(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142122
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20170529BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
G01N27/416 386Z
G01N1/10 V
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-232524(P2013-232524)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-45625(P2015-45625A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-169282(P2013-169282)
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500428818
【氏名又は名称】大友 慶孝
(72)【発明者】
【氏名】大友 慶孝
【審査官】
土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−219309(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/085843(WO,A1)
【文献】
特開平09−072900(JP,A)
【文献】
特許第4154884(JP,B2)
【文献】
国際公開第2004/028359(WO,A1)
【文献】
特開2000−009693(JP,A)
【文献】
特表2010−528290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、27/26〜27/49、33/48〜33/98、A61B5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然コットンの綿棒と筒状ストローに格納された綿棒を使用して、
耳下腺、顎下腺、舌下腺の3種類の各唾液線の局所にあてて、
筒状のストローを綿棒の綿部分のみ出し入れ操作をし、
局所唾液を採取した綿棒を筒状のストロー内に戻し、
口腔内で他の唾液と接触しないようにして採取した被検液と、
小唾液腺および局所唾液成分が混合される口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、
口を閉じて採取した混合唾液成分と、
採取した前記耳下腺、前記顎下腺、前記舌下腺、および混合唾液成分のこれら4種類のヒト唾液の酸化還元電位(ORP)値(mV)、(基準電極、銀―塩化銀電極KCl1mol)を測定し、
生体活性の減退から起こる病状の治療における治癒経過ならびに完全治癒の状態を、
耳下腺(左右いずれか)および顎下腺(左右いずれか)と、
舌下腺の3種類から採取した唾液ORP値が、
口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、口を閉じて採取した混合唾液成分の唾液のORP値より、
還元有意の唾液のORP値は、副交感神経有意で病状は改善良好状態に向かっている、
還元有意のマイナスの唾液のORP数値を示したときは、完全治癒したことを、
数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項2】
耳下腺の局所からの唾液を採取して、
前記耳下腺の局所唾液成分の酸化還元電位値(ORP)、
(基準電極、銀―塩化銀電極KCl1mol)を測定し、
小唾液腺および局所唾液成分が混合される口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、
口を閉じて採取した混合唾液成分の酸化還元電位測定値と比較し、
混合唾液成分の数値より還元方向有意の耳下腺の唾液ORP値は、
活性酸素の増殖を抑え発ガン物質を抑制している状態であり、
還元有意のマイナスの唾液ORP数値を示したときは、
免疫力アップの完全治癒状態であることを、
数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項3】
顎下腺の局所から唾液を採取して、
前記顎下腺の局所唾液成分の酸化還元電位値(ORP)、
(基準電極、銀―塩化銀電極KCl1mol)を測定し、
小唾液腺および局所唾液成分が混合される口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、
口を閉じて採取した混合唾液成分の酸化還元電位測定値と比較し、
混合唾液成分の数値より還元有意の顎下腺の唾液ORP値は、
副交換神経有意でうつ症状は改善良好状態に向かっている、
還元有意のマイナスの唾液ORP数値を示したときは、完全治癒したことを、
数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項4】
治癒前後の耳下腺および顎下腺の局所唾液成分のORP値(mV)の測定と、
同じく治療前後の小唾液腺および局所唾液成分が混合された、
口腔内の舌の上に綿棒を乗せ口を閉じて採取した混合唾液成分のORP値(mV)の測定を比較し、混合唾液成分の数値より、
耳下腺および顎下腺の局所唾液成分が還元有意の唾液ORP値は、
副交感神経有意でうつ症状は改善良好状態に向かっている、
還元有意のマイナスの唾液ORP数値を示したときは、完全治癒したことを、
数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする請求項1に記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項5】
さらに、被検液に採取した血液をもちい、
前記血液を遠心分離して得られた血漿を綿棒に含浸させ、
唾液成分と同じように、血漿の酸化還元電位値(mV)を測定し、
血漿で測定された病気やストレスに関連する酸化還元電位値との相関、
および唾液の酸化還元状態との比較を液晶画面に表示し、
生体活性の減退から起こる体内の酸化状態の示唆を数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする請求項1、2、3又は4いずれかに記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項6】
前記唾液成分の酸化還元電位測定装置の利用方法は、
生体活性の減退から起こる体内酸化状態の示唆を酸化還元電位値(mV)として、
文字表現および数字、色彩表現、音声又は、ペーパープリント凹凸表示することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5いずれかに記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項7】
前記唾液成分の酸化還元電位測定装置の利用方法は、
USBへのダウンロード、
携帯電話、パソコン、テレビ、インターネット通信網の各種機能を介して
遠隔地、又は複数個所との活用をすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6いずれかに記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項8】
前記唾液成分の酸化還元電位測定装置の利用方法は、
家畜およびペット動物にも活用をすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7いずれかに記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【請求項9】
前記唾液成分の酸化還元電位測定装置の活用方法は、
治癒経時変化、
又は完全治癒を確認する手段として、あるいは、
うつ症状をはじめとする精神的な疾患と内臓その他の疾患の見極め手段として、
治療前の唾液ORPである口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、
口を閉じて採取した混合唾液成分である唾液ORPと、
前記耳下腺および顎下腺の2種類の唾液腺から採取した唾液ORP値と比較し、
還元有意傾向が見られる場合は、副交感神経が有意に作用し、
体内の過労およびストレス負荷状態が軽減されたことを示唆し、
耳下腺および顎下腺からの局所唾液ORPの数値が、
治療前の耳下腺および顎下腺の唾液ORP値と比較して、
唾液ORP値が還元有意傾向が見られない場合は、
うつ症状の精神的な疾患が改善されていない状態であることを、
数値化判定するために酸化還元電位値(mV)を測定することを特徴とする請求項1、4、5、6、7又は8いずれかに記載の唾液成分のORP数値化判定測定装置の活用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大きな唾液腺からより多くの割合量を分泌するヒトの唾液成分のORP数値化判定測定装置と活用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化還元電位測定装置は指示電極と参照電極を備え、指示電極と参照電極を試料溶液中に挿入し、溶液中の電解質の濃度や酸化体・還元体のイオン濃度比など酸化還元電位を測定する。従来、緩衝能力の低い試料溶液(唾液などの生体液等)の酸化還元電位(mV)を総合的に演算して、プラス、又はマイナス数値を総体指標として測定する装置があるが、生体液の溶液を構成する唾液成分の一つひとつの酸化還元電位の測定は、さらなる測定精度を求められることなり、酸化還元電位測定が困難とされているのである。
【0003】
従来のヒトの溶液の酸化還元電位測定においては、唾液の酸化還元電位値(mV)を総体的に演算測定する手段とその測定の利用方法であり、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大きな唾液腺からより多くの割合量を秘めて分泌される唾液成分の酸化還元電位数値化判定測定装置と活用方法についての発想がなかったのである。なお、本発明の明細書で述べる唾液成分のORPとは酸化還元電位値(mV)のことを指すのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
日本の特許文献1、人間の生体内物質である唾液の酸化体と還元体との活量比率を測定し、少なくとも参照電極と指示電極を設け、指示電極に当接する試料溶液である唾液により、酸化還元反応を測定し、体調状態を示唆することを特徴とする酸化還元電位測定装置及びこれを利用した使用方法を提供している。
【0005】
日本の特許文献2、生体液のような緩衝能力の低い試料溶液や少量の試料溶液であっても、その酸化還元電位を簡易、正確に測定しうる酸化還元電位測定装置を提供している。
【0006】
日本の特許文献3、唾液に含まれる成分を測定する唾液成分測定装置および唾液成分測定方法を、唾液成分が接触するセンサー部にpH指示薬を用いて唾液の糖分を測定することを提供している。
【0007】
前記特許文献1、2、3は、局所唾液腺である耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大きな唾液腺に、どのような種類の唾液の主成分がより多くの割合量を含んで口腔内に分泌されるかに本発明は着眼したのであり、これらの視点からの割合量が多く産出される酸化還元電位値(mV)を測定する意識は明記されてなく本発明とは技術的意図を異にする。
【0008】
特許4154884号
特許4650771号
特許4438092号
【0009】
従来において、病名発見の機器に躍起になるが、特に精神的な疾患の治癒経過、完全治癒を専門従事者でなくても簡単に数値化判定する手段がないのである。本発明では、唾液の酸化還元電位値(mV)を総体的に演算測定する手段とその測定の活用方法であり、舌の上に集まる総体唾液および耳下腺、顎下腺、舌下腺から分泌される局所唾液成分からなる4箇所のヒト唾液成分の酸化還元電位値(mV)を測定することである。
【0010】
本発明では、唾液成分の一つひとつの酸化還元電位値(mV)を測定する再現精度が求められるのである。特許文献3では酸化還元電位測定ではないが、唾液成分が接触するセンサ一部に指示薬を用いて唾液の成分を分析することを提供しているが、指示薬を用いては、溶液にはそれぞれの固有の酸化還元電位があることから、本発明が意図とする唾液成分の酸化還元電位測定は、センサー部に付着させるpH指示薬によって唾液成分と指示薬が混合された混合電位となり、指示薬を用いたセンサーでは披検者唾液の酸化還元電位値(mV)測定とはならない。
【0011】
本発明のさらなる着眼点は、近年、うつ症状に対する治療において治療前と治療後における治癒の改善結果を客観的に数値化する手段がなく、2013年6月現在における日本の厚生労働省によると、問診による「うつ病判断基準」は(1)抑うつ気分。(2)興味または喜びの消失。(3)食欲の減退、体重の減少。(4)睡眠障害。(5)精神運動機能の障害(強い焦燥感、あるいは逆に精神運動機能の停止)。(6)疲れやすさ、気力の減退。(7)強い罪悪感。(8)思考力や集中力の低下。(9)自殺への思い。この9つの項目のうち、5項目以上が2週間以上継続した場合、うつ病と判断されると規定されている。
【0012】
精神科疾患の多くは、客観的指標とする判断が困難で、ヒト唾液成分は少なくとも数百種類あるとされ、バイオマーカーである唾液中のアミラーゼ、コルチゾール活性値などの限られた単一の唾液成分の活性値でのスクリーニング検査では、精神科疾患の客観的指標では、医療の専門機関においても見逃しが起きる可能性が高いとされている現状である。本発明は口腔内の局所唾液成分と総合的に混合される唾液成分の酸化還元反応の違いに着目した。
【0013】
従来においては、問診以外にうつ病と判断する客観的な数値化がないことから、うつ病と自らが自己申告をするなりすましのうつ病患者の問題が起きている。一般的に精神疾患の治癒経過を数値化判定するのが困難とされる現状を逆手に取るように、自分はうつ病と主張し、企業や組織体からの配置転換を拒否し、自分は精神的に病を抱えているので、なれない環境下ではストレス負荷でうつ症状が悪化する可能性が高いと主張し、会社や組織の業務命令に従わない主張が続発して企業組織の根幹をゆるがす事態が多発しているのである。又、病気が完治したのにもかかわらず、病気が治癒していないと自己申告で、周囲からのなぐさめを求め、病気治癒を脱出したがらない人が多いのも現状である。
【0014】
そこで本発明は、うつ症状の早期発見と治癒改善の経過を数値化で判定するために、ビフォーアフターをヒト唾液の局所唾液腺の唾液採取を天然コットンの綿棒と筒状のストローに挿入された綿棒を使用して、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3箇所の各唾液腺の局所にあてて、筒状のストローを綿棒の綿部分のみ出し入れ操作をし、局所唾液を採取した綿棒を筒状のストロー内に戻し、口腔内で他の唾液と接触しないようにして採取した披検液の酸化還元電位値(mV)と舌の上に綿棒を乗せ耳下腺、顎下腺、舌下腺のその他の小唾液腺から分泌されて混合された総体的な唾液の酸化還元電位値(mV)と相対比較して、うつ症状と治癒によって改善された状態であるかを客観的に唾液のORPで数値化判定するものである。
【0015】
本発明の唾液の酸化還元電位値(mV)測定は、唾液の酸化力と還元力の尺度が酸化還元電位であり複合物質の酸化体と還元体の混合電位の酸化と還元のポテンシャルを測定する。一方、pH測定は、酸性とアルカリ性の尺度がpHであり、酸性とアルカリ性という性質は定量的には酸化力を持った水素イオン(H+)の単一の電位測定である。酸化還元電位値は1000分の1mV測定により唾液成分全ての混合電位を演算して測定値の微妙な経時変化をとらえられるが、pH値はpH4乃至pH9の範囲において生体機能は常に中性のpH7前後を保とうとする緩衝作用の働きがあり、測定値の微妙な経時変化をとらえるのが困難である。
【0016】
従来にはなかった本発明の唾液成分の酸化還元電位測定装置と活用方法である数値化判定は、うつ病と自らが自己申告をする、なりすまし患者を防ぐために、被検者の唾液を採取する条件として唾液採取前40分以内に飲料水を含む飲食および携帯電話の付帯、又は強い電磁波を発生する機器類が電源ONされた環境下では採取させないこととし、飲食および前記の電源ONによる電磁波において口腔内に分泌される唾液の酸化還元電位の影響を避けるためである。ここで述べるなりすましとは、うつ症状が改善されている、又は病状が改善されているにもかかわらず、従来では精神面ならびに病状改善された体内状況を数値化できなかったことを利用して、疾患者として自らが自己申告するなりすましを防ぐためである。
【0017】
本発明は、ヒト唾液の成分が口腔内のどの箇所から、どのような唾液成分が産生されているかを検証した。唾液腺は大唾液腺として、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つに大別される。さらに小唾液腺として、口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺から口の中に唾液が分泌され、水、電解質、粘液そして多くの酵素からなる分泌物であることは、既に公知されていることであり、歯科分野に従事する専門家は周知していることである。
【0018】
このことから、前述の耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの大きな唾液腺のどこから、どのような種類の唾液の主成分がより多くの割合量を含んで口腔内に分泌されるかに、本発明は、着眼したのである。
【0019】
耳下腺の局所からの唾液は漿液腺と呼ばれ粘性が低いアミラーゼ、パロチン、ラクトペルオキシターゼ、ヒスタチン、プチアリンを割合量として多く含んだ水分濃度の高い唾液成分を分泌する。
【0020】
顎下腺の局所からの唾液は粘液腺と呼ばれ粘性が高いアルブミン、コルチゾール、リゾチーム、IgA、ラクトフェリン、ガスチンを割合量として多く含んだ唾液成分を分泌する。
【0021】
舌下腺の局所からの唾液は粘液腺と呼ばれ粘性が高いムチンを割合量として多く含んだ唾液成分を分泌する。
【0022】
披検液であるヒト唾液成分の一つひとつの酸化還元電位値(mV)を演算した数値と、さらに、ヒト唾液の総体評価として披検液である唾液成分の全ての酸化還元電位値(mV)を演算して測定結果を示すことで、総体評価の唾液の酸化還元電位値(mV)と個々の唾液成分が持つ働きが酸化状態にあるのか、還元状態にあるのかを確認して、体内がどのような状態で酸化状態にあるのかを、より具体的に示唆できるのである。
【0023】
ヒト唾液の総体評価とは、口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、綿棒をくわえた状態で唇を閉じて、唾液を採取する方法は、大唾液腺である耳下腺、顎下腺、舌下腺および小唾液腺である口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺、歯肉から口の中に唾液が分泌される唾液成分が集結することで得られる唾液成のORP(mV)の総体指標を意味するのである。
【0024】
そこで、大唾液腺である唾液の主成分である働きを詳しく述べる。ヒト唾液である成分を体の口腔内および外表面へ、生存上有用な物質を分泌する外分泌の唾液と体液中へ分泌する内分泌の唾液に分類される。本発明は外分泌である唾液の主成分に着眼したのである。まず、唾液成分を粘液腺と呼ばれ粘性が高い唾液成分、漿液腺と呼ばれ粘性が低い唾液成分とに分けて、それぞれの唾液成分の特徴と働きを述べる。
【0025】
耳下腺からの分泌量の割合が多くなる唾液成分について述べる。漿液腺と呼ばれ粘性が低い唾液成分として、アミラーゼは、でんぷんを分解する働きがある。唾液腺のアミラーゼが上がるものにシェーグレン症候群という自己免疫疾患があり、本発明におけるシェーグレン症候群の患者さんの唾液測定では強い酸化唾液となることが判明した。そして、シェーグレン症候群の患者さんにはドライアイ、ドライマウスの症状が診られることは歯学の分野で周知されている。唾液アミラーゼの酸化はストレス負荷の高い状態であるとともにシェーグレン症候群の症状が高くなり、食欲の減退、気力の減退、思考力や集中力の低下、気分がすぐれない、物事への興味が減退、なかなか寝付けないなど、うつ症状特有の訴えが多くなる。パロチンは成長ホルモンの1種で、栄養、発育などの代謝活動に大きな役割を果たすとともに若さを保つ老化防止の働きがある。唾液パロチンの酸化は老化防止の働きが抑制された状態にあることが示唆できる。
【0026】
顎下腺からの分泌量の割合が多くなる唾液成分について述べる。アルブミンは乾燥を防ぐ作用があり、口の中を滑らかにし会話をスムースに補う働きがある。唾液アルブミンの酸化は潤滑作用の働きを持つ唾液の分泌量が減少し、口腔内の乾燥が促進される。コルチゾールは身体的ストレスと心理的ストレスをコルチゾールの量の減少でストレス負荷を抑制する働きがある。唾液のコルチゾールの酸化は自律神経におけるストレス負荷が高い状態にあることを意味し、この状態は胃や内臓機能への負荷となる。ラクトペルオキシターゼは細菌に抵抗し、活性酸素を消化し発ガン物質を減弱させる働きがある。唾液ラクトペルオキシターゼの酸化は、活性酸素の増殖を抑え発ガン物質を抑制する力が衰えている状態を示す。ヒスタチンはカルシウムと結合する作用があることから、歯を強化させる働きがある。唾液ヒスタチンの酸化は歯を保護する防御作用が減少していることを示す。プチアリンは唾液に含まれる酵素であり、ご飯のような糖質を多く含んだものをよく噛んで食べていると甘くなるのは食べ物の中のデンプンを麦芽糖に変える働きがあるからである。唾液プチアリンの酸化は食べ物の中のデンプンを麦芽糖に変える働きを減少させ、食べ物のうまみを感じる働きを減少させる。
【0027】
舌下腺からの分泌量の割合が多くなる唾液成分について述べる。粘液腺と呼ばれ粘性が高い唾液成分ムチンはタンパク質で物体の流動に対する反応として流動の方向に沿って分子が一列に並んでいる特徴があり、潤滑性が一定の距離を保つことができるので食べ物を飲み込みやすくする働きがある。唾液ムチンの酸化はネバネバ唾液の分泌が増え、ムチンの量が多くなるとネバネバ唾液で細菌の栄養源となり口臭や飲み込みを阻害することになる。
【0028】
さらに顎下腺から分泌量の割合が多く出る唾液成分のリゾチームは免疫グロブリンの活動を強め、免疫グロブリンが結合した細菌を溶解する物質であり、細菌の細胞機能を停止させる作用を持っていることから、細菌に抵抗する働きがある。唾液のリゾチームの酸化は免疫グロブリンの活動を抑制することになり細菌に対する抵抗力を減退させる。ガスチンは亜鉛と結合する作用があることから、味覚の働きを敏感にする働きがある。唾液のガスチンの酸化は味覚に対する微妙な識別機能を減退させる。IgAは毒素に対する抗体中和作用など重要な生体防御機能を担う、唾液のIgAの酸化は毒素に対する抗体中和作用など過剰な活性酸素に対する生体防御機能が減退することになる。ラクトフェリンは鉄と結合する作用があり、細菌の働きを抑制する働きがある。唾液のラクトフェリンの酸化はこれら機能が弱くなり細菌の働きを抑制する働きが減退するのである。
【0029】
顎下腺の局所からの唾液は粘液腺と呼ばれ、粘性が高いアルブミン、コルチゾール、リゾチーム、IgA、ラクトフェリン、ガスチンを割合量として多く含んだ唾液成分を分泌することを利用し、ヒト唾液成分であるIgAを含むこれらの局所唾液成分の酸化還元電位値(mV)を測定し、食生活、生活習慣における極度のストレス過多が続くことによって、活性酸素を生み出し、神経細胞が損傷し、情報伝達である神経線維が痩せて、脳内の情報を流す電気信号(インパルス)がスムーズに流れないことからこれらの生体活性の減退から発現する酸化還元反応を指標とすることで精神的なうつ症状の示唆に活用できるのである。
【0030】
すなわち本発明では前記の外分泌の唾液腺である大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺および小唾液腺である口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺、歯肉から口の中に唾液が分泌される。さらに、漿液腺と呼ばれ粘性が低い唾液成分、又は粘液腺と呼ばれ粘性が高い唾液成分は、各唾液腺から分泌されているが、より割合量として多く含んだ各種唾液主成分の産出される各唾液成分が秘める生体への免疫機能を勘案した上で、耳下腺、顎下腺、舌下腺から分泌される個々の酸化還元反応すなわち酸化還元電位の数値化に着眼したのである。
【0031】
歯学分野では、唾液分泌量を増やすために唾液腺マッサージが効果的とされており、安静時の唾液分泌量では、耳下腺23%、顎下腺65%、舌下腺4%、小唾液腺8%であるが、刺激唾液時においては、耳下腺からの分泌量は50%を超え、瞬時に反応する交感神経が有意になるとネバネバ唾液が多くなり、反対に副交感神経が有意では耳下腺からのサラサラ唾液が多くなると公知されている。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明は([請求項1]の構成要件)とで唾液成分のORP数値化判定測定装置と活用方法を構成している。
【0033】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)([請求項1]の構成要件)とで構成されているので、大唾液腺である耳下腺、顎下腺、舌下腺の分別した3箇所からの唾液成分の酸化還元電位値(mV)を演算した数値と、さらに、ヒト唾液の総体評価として披検液である唾液成分の全ての混合電位とする酸化還元電位値(mV)を演算して測定結果を示すことで、3箇所からの唾液成分が持つ個々の働きが酸化もしくは還元のどちらが有意にあるのか、又は総体評価の唾液の酸化還元電位で酸化と還元のどちらが有意の状態にあるのかを確認して体内状態を具体的に示唆できるようにする。
【0034】
(2)前記(1)によって外分泌の唾液腺である大唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺および小唾液腺である口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺、歯肉から口の中に唾液が分泌される。漿液腺と呼ばれ粘性が低い唾液成分、又は粘液腺と呼ばれ粘性が高い唾液成分は、各唾液腺から産生され分泌されているが、より割合量として多く含んだ各種唾液成分が分泌される耳下腺、顎下腺、舌下腺を大別し、体内がどのような状態で酸化状態にあるのかを、より具体的に示唆する目的が達成できる。
【0035】
(3)請求項2至る請求項9も前記(1)〜(2)と同様な本発明の漿液腺と呼ばれ粘性が低い唾液成分、又は粘液腺と呼ばれ粘性が高い唾液成分は、各唾液腺から分泌されているが、より割合量として多く含んだ各種唾液成分が分泌される耳下腺、顎下腺、舌下腺を大別し体内がどのような状態で酸化状態にあるのかを具体的に示唆する効果が得られる。
【0036】
本発明は、唾液腺の局所部位より唾液採取する方法は次のようにする。天然コットンの綿棒と筒状のストローに挿入されたセット綿棒を唾液腺局所にあてて、箇状のストローを綿棒の綿部分のみ少し引き抜き、局所唾液を採取した綿棒を筒状のストロー内に戻し、口腔内から引き出し披検液とし、唾液の酸化還元電位測定をするのである。
【0037】
このことによって、耳下腺、顎下腺、舌下腺から出る唾液の主成分は重複するものがあっても、個々の唾液成分が持つ働きを認識した上で、耳下腺、顎下腺、舌下腺の局所唾液採取の披検液と口腔内の舌の上に綿棒を乗せて唾液採取の総体評価とする唾液の酸化還元電位値(mV)を測定比較し、日常生活での食生活や生活行動前後の測定に応用することで体内がどのような状態にあるのかを、より具体的に示唆できることになる。
【0038】
耳下腺、顎下腺、舌下腺の局所唾液採取の披検液と口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、唾液採取の披検液の酸化還元電位値(mV)の測定において、これら披検液とする唾液成分は、冷凍保存したのち、解凍して酸化還元電位値(mV)の測定は、急激な温度差と冷凍および解凍時における溶存酸素の変化により、冷凍する前の酸化還元電位値(mV)と冷凍保存し、解凍した後の同一の披検液を測定すると酸化還元電位値(mV)の再現値に大きな値差が出たのである。よって、冷凍保存したのち解凍して酸化還元電位値(mV)の測定は真実値が得られないことから、唾液採取して直ちにリアルタイムでの測定が重要であることを確認した。すなわち、遠隔地であっても、オンラインで本発明の唾液成分のORP数値化判定測定装置と活用方法が実現できるのである。
【0039】
前記の局所唾液の酸化還元反応は、大別すると、ヒトの体内は飲食した結果として所定時間後にビフォーアフターにおいて明確に反応する場合と、又ヒトが視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感から受ける刺激による自律神経への働きかけで瞬時にビフォーアフターにおいて反応する場合とに分けられる。ヒトの五感は自律神経に影響を与える割合は、視覚から87%、聴覚から7%、触覚から3%、嗅覚から2%、味覚から1%であることは、既に周知されていることである。五感の中でも視覚が最も自律神経に影響を与える最大の理由は、音楽や絵画、又は彫刻など多種多様な芸術作品、自然風景、四季の変化や動植物を視覚認識することで聴覚や触覚、嗅覚、味覚反応の全てにつながる理由は後述する。本発明では、さらに、色光と水と空気および気候変動の低気圧などの気圧変化によって、体の五感から自律神経へ大きく影響することを突き止め局所唾液ORPに着眼したのである。
【0040】
すなわち、色光は五感全てに係わる、中でも視覚に大きく係わり、昼と夜の光の有無、又は光の黄、赤、橙、青、緑、紫、白などの各色光および色調により自律神経に精神的な喜び不安による酸化還元反応として影響される。光は植物や動物、ヒトが光からの光合成の恩恵により、各種食糧の栄養バランスや味覚が大きく影響される。
【0041】
水も五感全てに係わる、その中でも触覚、嗅覚、味覚に大きく係わり、ミネラル成分が豊富で、環境汚染されていない還元作用の高い自然水であれば手に触れたり入浴したりした場合の心地よさを触覚で感じることができ、不快な臭いがないことでの嗅覚、まろやかで美味しいと味覚を実感することができる。
【0042】
空気は、五感全てに大きく係わり、地球上に生きる何人も国境線を引き、我が物として独占できるものではないのであり、風の流れや臭い、熱い風、冷たい風などにより存在を知ることができる。人間が生きていく上での酸素バランスが良好な酸素濃度は、森林豊富な場所や排気ガスの少ない街中では約21%、通常の車中では約19.2%、換気ができている場所では約21%、窓を閉め冷暖房をつけて10分後には約20.3%、さらにその部屋で3人が1時間過ごすと酸素濃度は約18.0%に減少するなど、今日における住環境は機密性が高いことで酸素不足となる。
【0043】
しかしながら、酸素欠乏の問題点はもちろんのことですが、室内の粉塵などの清浄化、室内温度、酸素濃度ばかりに注意していても、室内だけでなく室外の空気中の主要成分である窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素などの微量元素を含む空気が酸化還元電位という総合指標において酸化有意の空気では、青く澄んだ空に浮かぶ雲の流れ、移り変わる自然風景、澄んだ空気から聞こえてくる自然の物音、例えば、川の流れ、打ち寄せる波音、木々の間から聞こえてくるかすかな葉のこすれる音、小鳥の鳴き声、澄んだ空気の中で降り注ぐ雨などは視覚、聴覚から自律神経に微妙に働きかけるのである、酸化有意の体内状態に傾くことを、本発明者は、空気の酸化還元電位測定装置および方法として、測定場所における空気のORP測定データで確認し、優先権主張の特願2012−249705で出願している。
【0044】
空気は温度変化や気候変動における低気圧、又は気圧変化での温度差での強い空気流動によって、風で運ばれるさまざまな臭いを嗅覚から自律神経に働きかける。又、美味しいと感じる空気の味覚としても自律神経に働きかけることを本発明は重視したのである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の
図1は、唾液腺の局所部位より唾液採取する方法は次のようにする。天然コットンの綿棒と筒状のストローに挿入されたセット綿棒を示す一例図である。
【
図2】本発明の
図2は、各唾液腺から産出される主成分の酸化還元電位値(mV)を測定し、液晶に表示する手段と従来の口腔内の下の上に綿棒を乗せ、唾液採取の披検液を総体評価の唾液の酸化還元電位値(mV)を、それぞれ液晶画面に表示する流れを示す図。
【
図3】本発明の
図3は、本発明の病状改善方向、又は完全治癒したことを唾液ORP(mV)で数値化判定する流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の
図1は、唾液腺の局所部位より唾液採取する綿棒セットの一例図であり、
図2は唾液の主成分及び唾液成分全ての混合の酸化還元電位値(mV)を、それぞれ液晶画面に表示する流れを示す図である。
【実施例1】
【0047】
図1について説明する。1は唾液採取用の綿棒を円筒ストローに格納した状態を示し、2は唾液採取用の綿棒の綿部分、3は透明ストロー部分であり、綿棒の木軸、又はプラスチック素材などの軸棒4である。5は木軸の持ち手部分、6は耳下腺、顎下腺、舌下腺の各局所唾液腺部にストロー先端部をあてた後、ストロー内に格納された2の綿棒を押し出し、局所唾液腺にあて唾液を含浸させた後、ふたたび唾液を含浸させた綿棒を3のストロー内に格納させるのである。すなわち、6は唾液採取した綿部分のみ透明ストローの円筒より出し入れする方向を示したものであり、このことにより他の局所唾液との接触を防いで採取できる。
【実施例2】
【0048】
本発明の
図2は、局所の唾液腺から分泌される唾液成分の酸化還元電位値(mV)と唾液成分の全ての混合電位とする酸化還元電位値(mV)の測定結果を音声、又は数値で液晶画面に表示する流れを示す図である。
【0049】
図2について説明する。7は唾液の酸化還元電位測定の手順スタートであり、8は耳下腺、顎下腺、舌下腺(図せず)の各唾液腺から出る局所唾液の主成分を採取する。9は口腔内の舌の上に綿棒を乗せ、各唾液腺から出る唾液成分の全てが集結される唾液成分を採取する。10は局所唾液の主成分と唾液成分全ての混合唾液の酸化還元電位を、同時、又は任意で別々に測定を可能とし。11は各唾液腺の局所唾液の酸化還元電位の測定結果を音声、又は数値で液晶画面に表示する。12は唾液成分の全てが集結される唾液成分の混合唾液の酸化還元電位の測定結果を音声、又は数値で液晶画面に表示する。13は液晶画面に測定結果の最終表示として、11に唾液腺の局所唾液の酸化還元電位値(mV)と12の混合唾液の酸化還元電位値(mV)を比較表示し、あらかじめプログラムに入力した局所唾液の主成分の特徴と働きを簡潔に音声、又は文字及び数値で液晶画面に表示する。図示していないが、オンラインで遠隔地、又は複数個所とのデータ共有を可能とし、視覚面で不自由な方々には点字の凹凸プリントで本発明の数値化判定を示唆できるようにする。
【0050】
本発明の
図3は、病状改善方向、又は完全治癒したことを唾液ORP(mV)で数値化判定する流れを示す図である。
【0051】
図3について説明する。14は病状の改善方向に、又は完全治癒したと酸化還元電位(mV)で数値化判定する。15は活性酸素の増殖を抑え発ガン物質を抑制している状態であるか酸化還元電位(mV)で数値化判定する。16はうつ症状の治癒経過、又は完全治癒であるか酸化還元電位(mV)で数値化判定する。17は血漿で判定する病状示唆と血漿の酸化還元電位(mV)と唾液ORPとの比較照合する。18は本発明の活用は、家畜およびペット動物の唾液ORP測定に用いることも可能としている。19は本発明の活用は、歯科および各種医科の唾液ORP測定、又は医療従事者以外の一般人の唾液ORP測定に用いることもできるようにしている。20はUSBへのダウンロード、携帯電話、パソコン、テレビ、インターネット等の各種デジタル機能を介して遠距離および複数箇所との相互確認ができるのである。
【実施例3】
【0052】
本発明の実施例として、表1乃至表2、表3について説明する。これまで、歯学分野では、耳下腺23%、顎下腺65%、舌下腺4%、小唾液腺8%であるが、刺激唾液時においては耳下腺からの分泌量は50%を超え、交感神経が有意になると顎下腺、特に舌下腺のネバネバ唾液が多くなり、副交感神経が有意ではサラサラ唾液が多くなると公知されている。表1で示されたように、耳下腺、顎下腺、舌下腺から口腔内に分泌される局所唾液の酸化還元電位値(mV)は、明確な違いを示したのである。健常者の7例、うつ症状の患者4例、その他の病名である疾患者4例の合計15名の局所唾液の酸化還元電位値は同じような酸化有意と還元有意の数値が示されたのである。表1乃至表2に示す被検者の唾液は、舌の上、舌下腺、左右の顎下腺、左右の耳下腺と、6本の唾液採取の綿棒により、連続的に採取して測定した。表3でも、病名は特定されていないが岡沢クリニックに健康相談や定期健診に訪れた方々の舌の上、舌下腺、左右の顎下腺、左右の耳下腺と、6本の唾液採取の綿棒により、連続的に採取して測定した結果を表にしたのである。その結果は、疾病が特定されていないが過労、ストレス負荷による舌の上の唾液ORPの総体指標に対して、舌下腺、左右の顎下腺、左右の耳下腺は、表1および表2で診られた局所唾液の相関が同じように酸化、又は還元有意に傾く数値を示唆した。
【実施例4】
【0053】
さらに表2で示した検証結果は、うつ病患者5人の治療前と完全治癒後における耳下腺、顎下腺、舌下腺から口腔内に分泌される局所唾液の酸化還元電位値(単位mV)でも、明確な数値示唆が確認され、局所唾液の酸化還元電位値が5人とも、うつ病患者の数値化判定に、本発明が有用であることが示されたのである。ここに述べる完全治癒後とは、前記の問診による厚生労働省で示す「うつ病判断基準」9つの項目のうち、5項目以上が2週間以上継続した場合が4項目以下、又は2項目以下に解消された場合を指しているのである。
【0054】
本発明の表1乃至表2、表3に示す通り、うつ症状患者の唾液ORPの酸化還元電位値(mV)ならびに、表4に示した3人の重篤患者の病名が判明した患者の治療前、そして治療経緯を局所唾液ORPで追跡したデータを記述した。横浜・岡沢クリニック院長の岡澤美江子医師における唾液臨床の協力のもとに日常診療の10,000症例の中から、一例を示したものである。唾液の酸化還元電位測定装置は、日本の厚生省認可の一般医療機器である酸化還元確認計「アラ!元気」を用いて測定することで、本発明の唾液成分の酸化還元電位測定装置と活用方法に着眼できたのである。舌の上に集まる唾液腺全てから集約される総合唾液の酸化還元電位値と左右の顎下腺および左右の耳下腺の唾液は還元有意の方向性が見られず、ほほ同じ数値(mV)が示唆され、それに比べ健常者、又はうつ症状以外の病名患者の局所唾液の酸化還元電位値は、唾液腺全てから集約される総合唾液と比較して左右の顎下腺および左右の耳下腺は顕著に還元有意のマイナス数値を示した。よって、うつ症状、又はその他の疾患者の治癒状態を数値化判定する本発明の有効性が証明できたのである。
【0055】
本発明における表3でも、病名は特定されていないが岡沢クリニックに健康相談や定期健診に訪れた方々の舌の上、舌下腺、左右の顎下腺、左右の耳下腺と、6箇所の局所唾液採取により、連続的に採取して測定した結果14名を表3に示した。疾病が特定されていないが過労、ストレス負荷などによる舌の上の唾液ORPの総体指標に対して、舌下腺、左右の顎下腺、左右の耳下腺は、表1および表2で診られた局所唾液の相関と同じような数値を示唆した。よって、局所唾液ORPの数値化判定は、うつ症状、又は疾患の改善を数値判定で示唆できることで、うつ病なりすまし、病気なりすましによる治療費負担の軽減に役立つと考える。
【0056】
本発明における表4の、3名の重篤患者の局所唾液ORPの測定経緯からも明らかなように、舌の上、舌下腺、顎下腺、耳下腺の各局所唾液ORP値は変化し、体調が良好な状態に向かうと耳下腺の唾液ORPは、表1乃至表3の症例と同じようにマイナス若しくは舌の上の唾液ORP値と比較して明らかに還元有意な結果が示されたのである。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、このことによって、耳下腺、顎下腺、舌下腺から出る唾液の主成分は重複するものがあっても、口腔内の舌の上に綿棒を乗せて唾液採取の総体評価の披検液とそれぞれの耳下腺、顎下腺、舌下腺の局所唾液採取の披検液とで、総体評価の唾液の混合電位とする酸化還元電位値(mV)を観察し、体内がどのような状態で酸化状態にあるのかを、より具体的に示唆できることになる。本発明は、体内の酸化状態をリアルタイムにキャッチすることでアンチエイジ(未病治療)、病気にならないための身体作り、食育、又は生活習慣の早期対応、又改善によって、病気になってからの対処療法が増大する現状において医療費負担の削減に役立てようとするものであり、ヒトだけでなく家畜などの動物にも活用が期待できるのである。
【0058】
表1および表2に示す複数の唾液臨床により、うつ病患者の治療、又は治癒後における数値化判定だけでなく、その他の内臓疾患その他の病状患者や健常者の体調確認の指標となることが証明され、表3においても複数の唾液臨床により所期の酸化還元電位値(mV)を示すことが明らかである。よって、表1乃至表2の唾液の酸化還元電位(mV)が偶然に示唆されたのではなく、表3においても同様にヒト唾液の酸化還元電位(mV)の経時変化を示し所期の目的を達成したのである。
【0059】
本発明は、採取した検体液が血液であっても血液を遠心分離して得られた血漿であれば凝固しにくい性質を利用し血漿を綿棒に含浸させ、唾液成分と同じように血漿の酸化還元電位値(mV)測定することにも応用でき、血漿で判定している病気やストレスと血漿の酸化状態との相関、又は唾液の酸化状態との比較を検証することが可能となるのである。
【0060】
歯科治療におけるインプラント治療、虫歯や歯周病、歯ぎしり、口内炎、口腔感染症、口臭治療、そして小児の乳歯から永久歯の治療、矯正歯科治療、噛みあわせ治療、歯を白くするホワイトニング、予防歯科治療として歯磨き指導から食育成指導などがある。さらに治療時における金属の詰め物であるアマルガム(水銀合金)、又はインレー(金銀パラジウム合金)、ニッケルクロム合金、銀合金、チタン、金合金などにより、金属の種類によっては、金属が溶ける、電流が流れる、電磁波を集めるなどの生体反応を、本発明の出願に基づき検証した結果を口腔内で溶解する恐れの高い不適合な金属の詰め物が右にあり、左にはない患者の唾液ORP値は20〜40mVの値差を生じ、詰め物を除去した後は、左右の唾液ORP値差はなくなる臨床結果として氏家賢明歯科医が日本歯科新聞社「アポロニア21」2013年9月1日号で発表している。このように口腔内に溶解する不適合金属による酸化還元反応が明確に示唆されるのである。
【符号の説明】
【0061】
1 唾液採取用の綿棒を円筒ストローに格納した状態を示す。
2 唾液採取用の綿棒の綿部分。
3 透明ストロー部分。
4 綿棒の木軸、又はプラスチック素材などの軸棒。
5 木軸の持ち手部分。
6 口腔内の各唾液腺の局所に円筒ストローに格納された唾液採取用の綿棒をあてた後 、唾液採取した綿棒のみ円筒より→方向に出し入れする状態を示す。
7 唾液の酸化還元電位測定の手順スタート。
8 耳下腺、顎下腺、舌下腺の各唾液腺から出る局所唾液の主成分を採取。
9 口腔内の舌の上に綿棒を乗せ各唾液腺から出る全てが集結される唾液成分を採取。
10 局所唾液の主成分と唾液成分全ての混合唾液の酸化還元電位を、同時に又は任意で 時間差で測定する。
11 各唾液腺の局所唾液の酸化還元電位測定結果を音声、又は数値で液晶画面表示。
12 唾液成分の全てが集結される唾液成分の混合唾液の酸化還元電位の測定結果を音声 、又は数値で液晶画面に表示。
13 液晶画面に測定結果の最終表示をする。
14 病状は改善方向に、又は完全治癒したと酸化還元電位(mV)で数値化判定。
15 活性酸素の増殖を抑え発ガン物質を抑制している状態であるか酸化還元電位(mV )で数値化判定。
16 うつ症状の治癒経過、又は完全治癒であるか酸化還元電位(mV)で数値化判定。
17 血漿で判定する病状示唆と血漿の酸化還元電位(mV)と唾液ORPとの照合。
18 本発明の活用は、家畜およびペット動物の唾液ORP測定に用いる。
19 本発明の活用は、歯科および各種医科の唾液ORP測定、又は医療従事者以外の一 般人の唾液ORP測定に用いる。
20 USBへのダウンロード、携帯電話、パソコン、テレビ、インターネット等の各種 デジタル機能を介して遠距離および複数箇所との相互確認に用いる。