(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物、及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する。本発明の粘着剤組成物では、イソブチレン系ポリマーは、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物中に溶解又は散在している。本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物を含有するアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。また、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物により形成されるアクリル系粘着剤層であることが好ましい。
本明細書において、「アクリル系モノマー混合物」とは、モノマー成分のみからなる混合物(又は単一物)であって、モノマー成分として少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む混合物(又は単一物)をいう。「アクリル系モノマー混合物の部分重合物」とは、アクリル系モノマー混合物に含まれるモノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物をいう。アクリル系モノマー混合物の部分重合物には、モノマー成分と、アクリル系モノマー混合物に含まれるモノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合した部分重合物との混合物も含まれる。
また、本明細書において、粘着剤組成物は、粘着剤層の形成に用いられる組成物の意味であり、粘着剤の形成に用いられる組成物の意味を含む。
【0014】
本発明の粘着剤組成物は、特に限定されず、アクリル系モノマー混合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する組成物であってもよいし、アクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する組成物であってもよい。特に、本発明の粘着剤組成物は、イソブチレン系ポリマーをアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物中に均一に溶解又は散在させる点より、アクリル系モノマー混合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する組成物であることが好ましい。
【0015】
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物、イソブチレン系ポリマーの他に、後述の光重合開始剤等の任意の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の粘着剤組成物がアクリル系モノマー混合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する組成物である場合、本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物及びイソブチレン系ポリマーの他に、光重合開始剤を含んでいてもよい。また、本発明の粘着剤組成物がアクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含有する組成物である場合、アクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーの他に、光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の粘着剤組成物において、本発明の粘着剤組成物の全量(全重量、100重量%)に対するアクリル系モノマー混合物又はその部分重合物の割合は、特に限定されないが、被着体に対する十分な接着性を確保する点より、30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0017】
(アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物)
アクリル系モノマー混合物は、1種又は2種以上のモノマー成分の混合物(単一物)であり、少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む。上記アクリル系モノマー混合物は、アクリル系モノマーのみを含んでいてもよいし、アクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーを含んでいてもよい。このようなアクリル系モノマー以外のモノマーとしては、特に限定されないが、後述の極性基含有モノマーや多官能モノマーなどが挙げられる。他にも、後述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマー、及び多官能性モノマー以外のモノマー(「その他の共重合性モノマー」と称する場合がある)が挙げられる。例えば、アクリル系モノマー混合物は、アクリル系モノマーの他に、極性基含有モノマー、多官能モノマーを含む混合物であってもよい。
【0018】
上記アクリル系モノマー混合物には、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち一方又は両方)を意味し、以下も同様である。
また、「アルキル基」は、特に断りのない限り、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味する。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数が1〜24であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸C
1-24アルキルエステル)が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸C
1-24アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシルなどが挙げられる。
【0020】
上記アクリル系モノマー混合物中の上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系モノマー混合物全量(100重量%)に対して、10重量%以上(例えば10〜100重量%)が好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。なお、上記アクリル系モノマー混合物に2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる場合は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量とは、上記アクリル系モノマー混合物中に含まれるすべての(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の合計量をいう。
【0021】
上記のように、上記アクリル系
モノマー混合物には、粘着剤層で適度な凝集力を得る点、粘着剤層で適度な接着性を得る点より、極性基含有モノマーが含まれていてもよい。上記極性基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー(無水マレイン酸などの酸無水物基含有モノマーも含むものとする);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。上記極性基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
中でも、上記極性基含有モノマーは、ガラスへの粘着特性の観点で、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくはアクリル酸(AA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)である。
【0023】
上記アクリル系モノマー混合物中の上記極性基含有モノマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系モノマー混合物全量(100重量%)に対して、0〜75重量%が好ましく、より好ましくは0〜50重量%である。なお、上記アクリル系モノマー混合物に2種以上の極性基含有モノマーが含まれる場合は、上記極性基含有モノマーの含有量とは、上記アクリル系モノマー混合物中に含まれるすべての極性基含有モノマーの含有量の合計量をいう。
【0024】
また、上記のように、上記アクリル系
モノマー混合物には、架橋により、粘着剤層のゲル分率の調整を容易に行うことができる点、また、架橋により、粘着剤層を流動しにくくできる点より、多官能モノマーが含まれていてもよい。上記多官能モノマーとは、一分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。上記エチレン性不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などのラジカル重合性官能基が挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、極性基含有モノマー、及びその他の共重合性モノマーは、一分子中にエチレン性不飽和基を1つのみ有するモノマー(単官能性モノマー)である。
【0025】
上記多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。なお、上記多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記多官能モノマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系モノマー混合物全量(100重量%)に対して、0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜3重量%、さらに好ましくは0.005〜1重量%である。なお、上記アクリル系モノマー混合物に2種以上の多官能モノマーが含まれる場合は、上記多官能モノマーの含有量とは、上記アクリル系モノマー混合物中に含まれるすべての多官能モノマーの含有量の合計量をいう。
【0027】
上記のように、上記アクリル系
モノマー混合物では、モノマー成分として、その他の共重合性モノマー(上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記極性基含有モノマー、上記多官能モノマー以外のモノマー)が含まれていてもよい。上記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;リン酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。なお、その他の共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記アクリル系モノマー混合物は、特に限定されないが、例えば、上記モノマー成分を混合(好ましくは均一に混合)することにより調製することができる。
【0029】
上記アクリル系モノマー混合物の部分重合物は、上記アクリル系モノマー混合物を重合して得られる。重合方法としては、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線照射による重合が好ましく挙げられる。なお、重合は、酸素による重合阻害を抑制する点より、酸素との接触を避けて行われることが好ましい。例えば窒素雰囲気下で重合を行うことや、剥離ライナーで酸素を遮断して重合を行うことが好ましい。
【0030】
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマーの重合反応を生じさせることができればよい。
【0031】
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して、光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤が用いられてもよい。上記重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
【0033】
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。上記α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
【0034】
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、モノマー成分全量100重量部に対して、0.005〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0035】
上記アクリル系モノマー
混合物の部分重合物の重合率は、特に限定されないが、例えば、20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下である。
【0036】
アクリル系モノマー混合物の部分重合物の重合率は、以下のようにして求められる。
部分重合物の一部をサンプリングして、試料とする。該試料を精秤しその重量を求め、「乾燥前の部分重合物の重量」とする。次に、試料を130℃で2時間乾燥して、乾燥後の試料を精秤しその重量を求めて、「乾燥後の部分重合物の重量」とする。そして、「乾燥前の部分重合物の重量」及び「乾燥後の部分重合物の重量」から、130℃で2時間の乾燥により減少した試料の重量を求め、「重量減少量」(揮発分、未反応モノマー重量)とする。
得られた「乾燥前の部分重合物の重量」及び「重量減少量」から、下記式より、部分重合物の重合率(重量%)を求める。
モノマー成分の部分重合物の重合率(重量%)=[1−(重量減少量)/(乾燥前の部分重合物の重量)]×100
【0037】
(イソブチレン系ポリマー)
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物とともに、イソブチレン系ポリマーを含む。このため、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、透湿度が小さい。これは、イソブチレン系ポリマー自身が水蒸気を透過させにくいものであり、且つ、この粘着剤層中のイソブチレン系ポリマーが、水蒸気が粘着剤層を通過しようとする際に、水蒸気の経路を遮断したり、長くしたり、あるいは狭くしたりする等、水蒸気の粘着剤層の通過を阻害するためと推測される。
【0038】
上記イソブチレン系ポリマー(ポリイソブチレン)は、イソブチレン(イソブテン)に由来するモノマー構成単位を少なくとも含むポリマーである。すなわち、上記イソブチレン系ポリマーは、イソブチレンを含むモノマー成分を重合して得られたポリマーである。また、上記イソブチレン系ポリマーは、主鎖又は側鎖にポリイソブチレン骨格を少なくとも有するポリマーでもある。上記イソブチレン系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記イソブチレン系ポリマーは、イソブチレンの単独重合体であってもよいし、イソブチレンと他の単量体との共重合体(イソブチレン共重合体)であってもよい。上記イソブチレン共重合体において、イソブチレンと共重合する他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーが挙げられる。上記エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、炭素数2〜20のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレンなど)、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン
やメチルスチレン、スチレンなどのスチレン系化合
物)、1,3ブタジエン系化合物(例えば、1,3ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。中でも、凝集力の得やすさの点より、スチレン系化合物が好ましい。上記イソブチレン系ポリマーを構成するモノマー成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記イソブチレン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンの重合物)、イソブチレンとノルマルブチレンとのランダム共重合体、イソブチレンの重合体ブロックと他のモノマーの重合体ブロック(例えば、スチレン系化合物のスチレン系重合体ブロック、イソプレン系重合体ブロックなど)とのブロック共重合体、などが挙げられる。中でも、ハードセグメントとしてスチレン系重合体ブロック、ソフトセグメントとしてイソブチレン重合体ブロックを有するスチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIBブロック共重合体)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBSブロック共重合体)が好ましい。
【0041】
上記SIBSブロック共重合体は、市販品を用いることが可能であり、例えば、商品名「SIBSTAR−062M」((株)カネカ製)、商品名「SIBSTAR−062T」((株)カネカ製)、商品名「SIBSTAR−072T」((株)カネカ製)などが挙げられる。
【0042】
上記イソブチレン系ポリマーを構成するモノマー中のイソブチレンの割合は、特に限定されないが、粘着剤層の防湿性の観点から、上記イソブチレン系ポリマーを構成する全モノマー成分全量(100重量%)に対して、30重量%以上(例えば、30〜100重量%)が好ましく、より好ましくは50重量%以上(例えば、50〜100重量%)である。
【0043】
本発明の粘着剤組成物における上記イソブチレン系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、15重量部以上(例えば、15〜100重量部)が好ましい。上記イソブチレン系ポリマーの含有量が15重量部以上であると、粘着剤組成物により形成される粘着剤層において、一層優れる防湿性が得やすくなる。また、上記イソブチレン系ポリマーの含有量が100重量部以下であると、粘着剤組成物により形成される粘着剤層において、十分な接着性を有しつつ、高温時であっても優れた凝集力が得やすくなる。また、粘着剤層の流動を効果的に抑制でき、好ましい。
【0044】
(粘着付与樹脂)
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤組成物により形成される粘着剤層において、接着性を一層向上させる観点から、さらに粘着付与樹脂が含まれていてもよい。上記粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂環族飽和炭化水素系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。上記粘着付与樹脂は、水素添加型の粘着付与樹脂(例えば、脂環族飽和炭化水素系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与樹脂に水素添加した誘導体(水素添加型ロジン系樹脂、水素添加型石油系樹脂、水素添加型テルペン系樹脂など)であってもよい。上記粘着付与樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明の粘着剤組成物における上記粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜40重量部であり、さらに好ましくは2〜30重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が1重量部以上であると、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において、優れた接着性が得やすくなり、好ましい。また、上記粘着付与樹脂の含有量が50重量部以下であると、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において、凝集力が低下しにくくなり、好ましい。
【0046】
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、アクリル系オリゴマーを含有していてもよい。アクリル系オリゴマーは粘着付与成分として機能するので、接着性向上を図ることができる。上記アクリル系オリゴマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、シランカップリング剤が含まれていてもよい。本発明の粘着剤組成物にシランカップリング剤が含まれていると、粘着剤組成物により形成される粘着剤層において、接着性(特に、高温高湿環境下での接着性、高温高湿環境下でのガラスに対する接着性)が一層向上する。上記シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0048】
上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランなどが好ましく挙げられる。
【0049】
本発明の粘着剤組成物における上記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜0.5重量部である。
【0050】
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤組成物により形成された粘着剤層のゲル分率を適度な範囲に調整する点、粘着剤組成物により形成された粘着剤層を流動しにくくして、取り扱いを容易にする点から、さらに、架橋剤が含まれていてもよい。上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。上記架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0051】
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども挙げられる。
【0052】
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。さらに、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学(株)製)などの市販品も挙げられる。
【0053】
本発明の粘着剤組成物における上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、粘着剤組成物により形成された粘着剤層のゲル分率を適度な範囲に制御する点より、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して、0.001〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜25重量部、さらに好ましくは0.01〜20重量部である。
【0054】
本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤が含まれていてもよい。上記添加剤としては、例えば、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などが挙げられる。上記添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0055】
本発明の粘着剤組成物の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物、イソブチレン系ポリマー、必要に応じて添加される任意の成分(例えば、上記光重合開始剤、上記粘着付与樹脂、上記アクリル系オリゴマー、上記シランカップリング剤、上記架橋剤、上記添加剤など)を混合することが挙げられる。
【0056】
例えば、本発明の粘着剤組成物がアクリル系モノマー混合物及びイソブチレン系ポリマーを含み、さらに光重合開始剤を含む組成物である場合、このような組成物は、アクリル系モノマー混合物、イソブチレン系ポリマー及び光重合開始剤を混合することにより調製することができる。
【0057】
また、本発明の粘着剤組成物がアクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーを含み、さらに光重合開始剤を含む組成物である場合、このような組成物は、アクリル系モノマー混合物の部分重合物、イソブチレン系ポリマー及び光重合開始剤を混合することにより調製することができる。上述のように、アクリル系モノマー混合物の部分重合物はアクリル系モノマー混合物を部分重合させることにより形成されるが、例えば、アクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーを含み、さらに光重合開始剤を含む組成物は、まず、アクリル系モノマー混合物と光重合開始剤とを少なくとも含む組成物を部分重合させてから、さらに光重合開始剤を添加することにより調製されてもよい。さらに、アクリル系モノマー混合物の部分重合物及びイソブチレン系ポリマーを少なくとも含む組成物は、まず、アクリル系モノマー混合物を部分重合させてから、さらにアクリル系モノマーや多官能モノマー等を添加することにより調製されてもよい。
【0058】
本発明の粘着剤組成物の粘度は、特に限定されないが、粘着剤組成物の取り扱いを一層容易とする点、塗工性を一層向上させる点より、0.1〜100Pa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜50Pa・sである。
なお、本明細書において粘度とは、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度をいうものとする。
【0059】
なお、上記アクリル系モノマー混合物は粘度が低いため、アクリル系モノマー混合物を主成分として含む組成物は、基材や支持体などへの塗工が困難となる傾向がある。しかし、本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物に加え、イソブチレン系ポリマーを含むため、粘度を上記範囲に容易に保つことができる。
【0060】
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物に上記イソブチレン系ポリマーが溶解しやすいので、溶剤を加えなくても、粘度を上記範囲に保つことができる。すなわち、本発明の粘着剤組成物は溶剤を含まなくてもよい。本発明の粘着剤層に溶剤を含まない場合、塗工後の加熱乾燥が不要となり、粘着剤層の形成が一層容易となる。また環境面や安全性にも優れる。
なお、本発明の粘着剤組成物の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合することにより調整されてもよい。
【0061】
イソブチレン系ポリマーは、一般に、架橋点を有さないため架橋構造を構築できず、高温になると流動しやすくなり、高温における耐久性に劣る場合がある。また、イソブチレン系ポリマーは、タック、粘着性に劣ることが多い。しかし、本発明の粘着剤組成物は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物と、イソブチレン系ポリマーとを含むため、防湿性かつ接着性に優れる粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層が架橋構造を有する場合は、高温での耐久性を特に向上できる。
【0062】
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤組成物により形成される粘着剤層の下記の方法で測定される透湿度が100g/m
2・day以下であり、好ましくは80g/m
2・day以下、より好ましくは60g/m
2・day以下である。
透湿度の測定方法:粘着剤組成物より形成される粘着剤層(厚さ50μm)をトリアセチルセルロースフィルム(厚さ25μm)に貼り合わせて得られる測定用サンプルを用いて、JIS Z 0208の透湿度試験方法に準拠して、下記の条件で、透湿度を測定する。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
なお、本明細書では、粘着剤組成物における「粘着剤組成物により形成される粘着剤層の上記方法で測定される透湿度」を、単に「本発明の透湿度」と称する場合がある。
【0063】
本発明の粘着剤組成物は、本発明の透湿度が100g/m
2・day以下であるので、優れた防湿性を有する。
【0064】
[粘着テープ又はシート]
本発明の粘着テープ又はシートは、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する。つまり、本発明の粘着テープ又はシートは、アクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤層を有するアクリル系粘着テープ又はシートであることが好ましい。本明細書において、本発明の粘着テープ又はシートを、単に「本発明の粘着テープ」と称する場合がある。また、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。
【0065】
本発明の粘着テープは、片面のみが粘着剤層表面(粘着面)である片面粘着テープであってもよいし、両面が粘着剤層表面である両面粘着テープであってもよい。本発明の粘着テープは、特に限定されないが、被着体同士の貼り合わせに用いるなどの観点から、両面粘着テープであることが好ましい。
【0066】
本発明の粘着テープは、基材(基材層)を有しない粘着テープ、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着テープ(「基材レス粘着テープ」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有する粘着テープ(「基材付き粘着テープ」と称する場合がある)であってもよい。上記基材レス粘着テープとしては、例えば、本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層)のみからなる両面粘着テープや、本発明の粘着剤層と本発明の粘着剤層以外の粘着剤層(「他の粘着剤層」と称する場合がある)からなる両面粘着テープなどが挙げられる。上記基材を有する粘着テープとしては、例えば、基材の片面側に本発明の粘着剤層を有する片面粘着テープや、基材の両面側に本発明の粘着剤層を有する両面粘着テープや、基材の一方の片面側に本発明の粘着剤層を有し、他方の片面側に他の粘着剤層を有する両面粘着テープなどが挙げられる。
なお、上記の「基材(基材層)」とは、本発明の粘着テープを被着体(光学部材など)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分であり、粘着テープの使用(貼付)時に剥離される剥離ライナー(セパレータ)は含まれない。
【0067】
中でも、本発明の粘着テープは、使用する際において、様々な態様に対応でき、使用の態様を限定することなく、使用方法の選択肢を多くできる点より、基材レス粘着テープが好ましく、より好ましくは本発明の粘着剤層のみからなる、基材を有しない両面粘着テープ(基材レス両面粘着テープ)である。
【0068】
(本発明の粘着剤層)
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物から形成される。本発明の粘着剤層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤組成物を、基材や剥離ライナーなどの適当な支持体上に塗工(塗布)し、活性エネルギー線を照射すること挙げられる。なお、必要に応じて、塗工後に、加熱乾燥が行われてもよい。
【0069】
なお、上記の塗工(塗布)に際には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、慣用のコーター、具体的には、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどが用いられてもよい。
【0070】
本発明の粘着剤組成物を塗工した後、活性エネルギー線を照射する際に、照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に限定されない。
【0071】
本発明の粘着剤層は、アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物に由来するベースポリマー(つまり、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマー)とイソブチレン系ポリマーとを少なくとも含有する。本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、例えば、粘着剤層全体が均一な組成の構成であってもよいし、粘着剤層中にイソブチレン系ポリマーを多く含む部分(例えば、イソブチレン系ポリマーを60〜80重量%以上含む部分)(「イソブチレン系ポリマー部分」と称する場合がある)と、上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物に由来するベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーが多く含まれる部分(例えば、ベースポリマーを60〜80重量%以上含む部分)(「アクリル系ポリマー部分」と称する場合がある)とを有する構成からなっていてもよい。
【0072】
通常、粘着剤層は全体が均一な構成からなり、全体が均一な特性を有することが多い。本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層)は、イソブチレン系ポリマーが多い部分(例えば上記イソブチレン系ポリマー部分)と、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーが多い部分(例えば上記アクリル系ポリマー部分)とが極微小な分布で散在する構造を有することが好ましい。つまり、本発明の粘着剤層は、相構造として、アクリル系ポリマーとイソブチレン系ポリマーとの分離構造(相分離している構造)を有することが好ましい。本発明の粘着剤層は、このような構造を有していると、均一な場合よりも、防湿性、凝集力(特に高温時の凝集力)、及び、接着性のそれぞれの特性を高いレベルで得られる。つまり、粘着剤層全体として防湿性と接着性と高温時の凝集力を高いレベルで実現できる。これは、イソブチレン系ポリマーが、透湿度が低く、特に防湿性に優れ、一方、アクリル系ポリマーは、透湿度が高く防湿性に劣るが、凝集力、特に高温時の凝集力に優れ、接着性に優れるからである。また、本発明の粘着剤組成物が粘着付与樹脂を含有し、本発明の粘着剤層がこのような構造を有する場合、粘着付与樹脂は、イソブチレン系ポリマーが多い部分及びアクリル系ポリマーが多い部分の双方に適度に分布する。このため、本発明の粘着剤層は、粘着付与樹脂を含むと、粘着剤層全体として防湿性を低下させることなく、接着性が一層向上する。このような特性を得やすい粘着付与樹脂としては、例えば飽和炭化水素系樹脂が挙げられる。
【0073】
上記イソブチレン系ポリマーが多い部分(例えば上記イソブチレン系ポリマー部分)、及び上記アクリル系ポリマーが多い部分(例えば上記アクリル系ポリマー部分)の割合は、例えば、アクリル系モノマー混合物の部分重合物の重合率、粘着剤組成物中の上記アクリル系モノマー混合物又はその部分重合物の含有量、粘着剤組成物中の上記イソブチレン系ポリマーの含有量、活性エネルギー線の照度などにより、調整することができる。
【0074】
本発明の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、優れた接着性を得る点、粘着剤層の流動を抑制する点より、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
【0075】
また、本発明の粘着剤層は、架橋構造を有することが好ましい。すなわち、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有していると、粘着剤層の熱安定性が一層向上する。例えば、高温環境下(例えば80〜100℃の温度環境下)でも、粘着剤層が流動して剥がれるなどの問題が生じにくい。架橋構造は、例えば、多官能モノマーや架橋剤を用いることにより得ることができる。
【0076】
本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤)のゲル分率は、特に限定されないが、熱安定性の点、高温での粘着剤層の流動を抑制する点より、20重量%以上(例えば20〜99.9重量%)が好ましく、より好ましくは30重量%以上(例えば30〜99.9重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば50〜99.9重量%)が好ましく、さらにより好ましくは60重量%以上(例えば60〜99.9重量%)である。
【0077】
上記ゲル分率(溶剤不溶分)は、以下のようにして求められる。
(ゲル分率の測定方法)
粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、アクリル系粘着剤層(上記で採取したもの)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸の総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸の合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(a−b)/(c−b)×100
(上記式において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重量である。)
【0078】
また、本発明の粘着剤層は、優れた防湿性を得る点より、下記の測定方法で求められる透湿度が、100g/m
2・day以下(好ましくは85g/m
2・day以下、より好ましくは70g/m
2・day以下)である。
透湿度の測定方法:粘着剤層(厚さ50μm)をトリアセチルセルロースフィルム(厚さ25μm)に貼り合わせて得られる測定用サンプルを用いて、JIS Z 0208の透湿度試験方法(カップ法)に準拠して、下記の条件で、透湿度を測定する。より具体的には、後述の(評価)の「(透湿度の測定方法)」に記載の方法によって測定することができる。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【0079】
さらに、本発明の粘着剤層の接着力(測定温度:23℃、相対湿度:50%RH、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の剥離条件、対ガラス板)は、特に限定されないが、1.0N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは3.0N/25mm以上、さらに好ましくは5.0N/25mm以上である。接着力が上記範囲であることにより、上記アクリル系粘着剤層は、硬化処理を施すことなく優れた接着性を有する。
上記アクリル系粘着剤層の接着力は、より具体的には、後述の(評価)の「(接着力の測定)」に記載の方法によって測定することができる。
【0080】
(基材)
上記のように、の本発明の粘着テープは、本発明の粘着剤層と基材層とを少なくとも有する基材付き粘着テープであってもよい。上記基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック基材(ポリマー基材)が好ましく挙げられる。なお、基材は、1層からなる基材(単層基材)であってもよいし、2層以上の積層構造(積層基材)を有していてもよい。
【0081】
上記プラスチック基材を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ酢酸ビニル;ポリアミド;ポリイミド;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのセルロース類;フッ素系樹脂;ポリエーテル;ポリエーテルアミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂などが挙げられる。なお、上記材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
中でも、上記プラスチック基材を構成する材料としては、強度、取り扱い性(ハンドリング性)、コスト、寸法安定性、投錨力のバランスの良さから、ポリエステルやセルロース類、アクリル樹脂などが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である。つまり、上記基材は、ポリエチレンテレフタレート基材、トリアセチルセルロース基材、ポリメチルメタクリレート基材であることが好ましい。
【0083】
上記基材は、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理としては、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的又は物理的方法による処理などが挙げられる。また、粘着剤層との密着性を高めるためのプライマー処理が施されていてもよい。
【0084】
他にも、上記基材は、表面の耐擦傷性(耐擦過性)を向上させる点より、ハードコート処理が施されていてもよい。上記基材の表面にハードコート処理が施されていると、基材表面保護性(基材表面が傷つきにくくなる性質)が向上する。また、基材は、静電気の発生を抑制する点より、帯電防止処理が施されていてもよい。
【0085】
上記基材は、例えば、一方の面に粘着剤層との密着性を向上させるためにプライマー処理が施され、他方の面にハードコート処理が施された基材であってもよい。
【0086】
(その他の層)
本発明の粘着テープは、本発明の粘着剤層、基材以外にも、発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0087】
(剥離ライナー)
上記のように、本発明の粘着テープでは、粘着面が剥離ライナーにより保護されていてもよい。上記剥離ライナーとしては、特に限定されないが、公知乃至慣用の剥離ライナーが好ましく挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)などのアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系樹脂などから構成されるプラスチックフィルムが好ましく挙げられる。
【0088】
さらに、上記剥離ライナーとしては、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなども挙げられる。加えて、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)も挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)を使用することが好ましい。
【0089】
上記剥離ライナー基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムなどが挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)などのアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、加工性、入手性、作業性、防塵性、コストなどの観点から、ポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
【0090】
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤が挙げられる。中でも、剥離コントロール、経時安定性の観点から、シリコーン系剥離処理剤が好ましい。なお、剥離処理剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
上記剥離ライナーは、公知慣用の方法により製造することができる。また、上記剥離ライナーの厚さは、特に限定されない。
【0092】
(製造方法)
本発明の粘着テープの製造方法は、特に限定されないが、公知の形成方法を利用することができる。例えば、本発明の粘着テープが基材付き粘着テープである場合、上記基材の少なくとも一方の面側に、本発明の粘着剤組成物により本発明の粘着剤層を形成することにより、作製できる。また、本発明の粘着テープが、本発明の粘着剤層からなる基材レス粘着テープである場合、剥離ライナー上に、本発明の粘着剤組成物により本発明の粘着剤層を形成することにより、作製できる。
【0093】
(物性)
本発明の粘着テープは、特に限定されないが、優れた防湿性を得る点より、下記の測定方法で求められる透湿度が、100g/m
2・day以下であることが好ましく、より好ましくは80g/m
2・day以下、さらに好ましくは60g/m
2・day以下である。
透湿度の測定方法:粘着テープをトリアセチルセルロースフィルム(厚さ25μm)に貼り合わせて得られる測定用サンプルを用いて、JIS Z 0208の透湿度試験方法に準拠して、下記の条件で、透湿度を測定する。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【0094】
本発明の粘着テープの接着力(測定温度:23℃、相対湿度:50%RH、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の剥離条件、対ガラス板)は、特に限定されないが、1.0N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは3.0N/25mm以上、さらに好ましくは5.0N/25mm以上である。接着力が上記範囲であることにより、本発明の粘着テープは、硬化処理を施すことなく優れた接着性を有する。
本発明の粘着テープの接着力は、より具体的には、後述の(評価)の「(接着力の測定)」に記載の方法によって測定することができる。
【0095】
本発明の粘着テープの厚さは、特に限定されないが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
【0096】
本発明の粘着テープは、本発明の粘着剤層を有するので、貼り合せ後に硬化処理を施すことなく、被着体に対して十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れる。また、被着体を湿気から保護できる。
【0097】
本発明の粘着テープは、硬化処理を施すことなく被着体に対して十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れるので、湿度に弱い被着体に対しての保護用途などに用いることができる。例えば、本発明の粘着テープは、保護フィルムとして用いることができる。
【0098】
本発明の粘着テープは、上記の特性を有するので、例えば、電気又は電子機器など(例えば、熱、湿度、紫外線に弱い電気又は電子機器など)に用いることができる。特に、電気又は電子機器製造時の表面保護用途、電気又は電子機器の使用時の表面保護用途などに好ましく用いることができる。また、光学用途(例えば、光学製品や光学部材の製造時の表面保護用途、光学製品や光学部材の使用時の表面保護用途など)に好ましく用いることができる。
【0099】
上記電気機器としては、特に限定されないが、例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電機器、空調屋外機などが挙げられる。また、上記電子機器としては、特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC(タブレット型コンピューター)、ノートブック型パーソナル・コンピューター、携帯型情報端末(PDA)、携帯型音楽プレーヤー、携帯型ゲーム機、携帯型テレビなどのモバイル機器が挙げられる。
【0100】
上記光学製品とは、当該製品において光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)が利用された製品をいう。上記光学製品としては、例えば、液晶表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置、又はこれら表示装置と入力装置とを適宜組み合わせた装置などが挙げられる。
【0101】
上記光学部材とは、上記光学的特性を有する部材をいう。上記光学部材としては、例えば、上記表示装置(画像表示装置)、上記入力装置などの機器(光学機器)を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「光学フィルム」と称する場合がある)などが挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状などの形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」、「偏光シート」を含むものとする。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、表示装置や入力装置における表示部の視認性や優れた外観を保ちながら、加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルムなど)も含むものとする。
【0102】
より具体的には、本発明の粘着テープは、薄層表示部材(例えば、LCDを用いたタッチパネルなど)、薄層表示装置(例えば、LCDあるいはそれに使用されるカラーフィルター)、画像認識部材、薄層光学フィルム(例えば、偏光板など)、電子機器(特に薄層の電子機器)などの表面保護用途に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
アクリル酸ブチル(BA)80重量部、アクリル酸(AA)0.8重量部を混合し、アクリル系モノマー混合物を得た。
このアクリル系モノマー混合物80重量部に、スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062M」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%):20重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、多官能モノマー):0.08重量部、脂環族飽和炭化水素系樹脂(商品名「アルコンP125」、荒川化学工業(株)製):6重量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン(株)製)0.05重量、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部を加えて、均一に混合し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0105】
上記アクリル系粘着剤組成物を、剥離ライナー(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、形成された粘着剤層の厚さが50μmとなるように塗布して、アクリル系粘着剤組成物層を形成した。次いで、アクリル系粘着剤組成物層の表面に、剥離ライナー(「MRE#38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせた。次いで、ブラックライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cm
2の紫外線を360秒間照射し、アクリル系粘着剤組成物層を光硬化させて、アクリル系粘着剤層を形成した。
なお、紫外線の照度は、工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、(株)トプコンテクノハウス社製、約350nmに最大感度を有する)を用いて調節した。
そして、アクリル系粘着テープ(粘着剤層の両面が剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ)を作製した。
【0106】
(実施例2)
アクリル酸ブチル(BA)38重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)38重量部、アクリル酸(AA)4重量部を混合しアクリル系モノマー混合物を得た。
このアクリル系モノマー混合物80重量部に、スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062M」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%):20重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、多官能モノマー):0.08重量部、脂環族飽和炭化水素系樹脂(商品名「アルコンP115」、荒川化学工業(株)製):18重量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部を加えて、均一に混合し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0107】
上記アクリル系粘着剤組成物を、剥離ライナー(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、形成された粘着剤層の厚さが50μmとなるように塗布して、アクリル系粘着剤組成物層を形成した。次いで、アクリル系粘着剤組成物層の表面に、剥離ライナー(「MRE#38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせた。次いで、ブラックライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cm
2の紫外線を360秒間照射し、アクリル系粘着剤組成物層を光硬化させて、アクリル系粘着剤層を形成した
。なお、紫外線の照度は、工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、(株)トプコンテクノハウス社製、約350nmに最大感度を有する)を用いて調節した
。そして、アクリル系粘着テープ(粘着剤層の両面が剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ)を作製した。
【0108】
(実施例3)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)59.1重量部、アクリル酸(AA)5.9重量部を混合しアクリル系モノマー混合物を得た。
このアクリル系モノマー混合物80重量部に、スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062T」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%):35重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、多官能モノマー):0.3重量部、脂環族飽和炭化水素系樹脂(商品名「アルコンP125」、荒川化学工業(株)製):10.5重量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部を加えて、均一に混合して、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0109】
上記アクリル系粘着剤組成物を、剥離ライナー(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、形成された粘着剤層の厚さが75μmとなるように塗布して、アクリル系粘着剤組成物層を形成した。次いで、粘着剤組成物層の表面に、剥離ライナー(「MRE#38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせた。次いで、ブラックライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cm
2の紫外線を360秒間照射し、アクリル系粘着剤組成物層を光硬化させて、アクリル系粘着剤層を形成した。
なお、紫外線の照度は、工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、(株)トプコンテクノハウス社製、約350nmに最大感度を有する)を用いて調節した。
そして、アクリル系粘着テープ(粘着剤層の両面が剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ)を作製した。
【0110】
(比較例1)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)85重量部、アクリル酸(AA)5重量部を混合しアクリル系モノマー混合物を得た。
このアクリル系モノマー混合物を4つ口フラスコに投入した。次いで、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部を投入し、4つ口フラスコに窒素ガスを注入した。次いで、窒素雰囲気下、紫外線を照射し、光重合を生じさせ、粘度(BH型粘度計、No.5ローター、10rpm、温度30℃)が約15Pa・sの部分重合モノマーシロップ(アクリル系モノマー混合物の部分重合物)を得た。
この部分重合モノマーシロップ80重量部に、スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062T」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%):10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、多官能モノマー):0.3重量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(光重合開始剤、商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン(株)製)0.05重量部を加え、均一に混合して、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0111】
上記アクリル系粘着剤組成物を、剥離ライナー(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、形成された粘着剤層の厚さが45μmとなるように塗布して、アクリル系粘着剤組成物層を形成した。次いで、粘着剤組成物層の表面に、剥離ライナー(「MRE#38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせた。次いで、ブラックライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cm
2の紫外線を360秒間照射し、アクリル系粘着剤組成物層を光硬化させて、アクリル系粘着剤層を形成した。
なお、紫外線の照度は、工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、(株)トプコンテクノハウス社製、約350nmに最大感度を有する)を用いて調節した。
そして、アクリル系粘着テープ(粘着剤層の両面が剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ)を作製した。
【0112】
(粘着剤組成物の透湿度の測定方法)
粘着剤組成物を、剥離ライナー(商品名「MRF#38」、三菱樹脂(株)製)の剥離処理された面上に、形成された粘着剤層の厚さが50μmとなるように塗布して、粘着剤組成物層を形成した。次いで、粘着剤組成物層の表面に、剥離ライナー(「MRE#38」、三菱樹脂(株)製)を貼り合わせた。次いで、ブラックライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cm
2の紫外線を360秒間照射し、粘着剤組成物層を光硬化させて、粘着剤層を形成した。そして、粘着剤層の両面が剥離ライナーで保護されているシートを得た。
なお、紫外線の照度は、工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、(株)トプコンテクノハウス社製、約350nmに最大感度を有する)を用いて調節した。
次いで、このシートの一方の剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させ、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚さ25μm、コニカミノルタ(株)製)に貼り合わせ、剥離ライナー、粘着剤層、TACフィルムの順に積層した粘着テープを作製した。そして、この粘着テープから剥離ライナーを剥がして、測定サンプルを得た。
次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
なお、測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
【0113】
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、接着力等を測定した。測定結果は表1に示した。
【0114】
(接着力の測定)
粘着テープより、長さ100mm、幅25mmのテープ片を得た。次に、テープ片から一方の剥離ライナーを剥離して、粘着面を露出させて、テープ片の該粘着面に、PETフィルム(厚さ25μm)に貼り合わせ、剥離ライナー、粘着剤層、PETフィルムの順に積層している基材付き片面粘着テープ(長さ100mm、幅25mm)を作製した。この基材付き片面粘着テープから剥離ライナーを剥離して、測定用サンプルを得た。
次いで、23℃、50%RH雰囲気下で、測定用サンプルの露出した粘着面(測定面)に、ガラス板(「ソーダライムガラス #0050」、松浪硝子工業(株)製)を貼り合わせ、2kgローラーを1往復させることにより圧着した。そして、23℃、50%RHの雰囲気中で30分間放置した。
放置後、引張試験機(商品名「TCM−1kNB」、ミネベア社製)を用いて、ガラス板から測定用サンプルを引き剥がす180°剥離試験を行い、ガラス板に対する180°ピール粘着力(180度引き剥がし粘着力)(N/25mm)を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。
【0115】
(ゲル分率の測定方法)
粘着剤層のゲル分率は、上記方法により、測定した。
【0116】
【表1】
【0117】
上記表1において、アクリル系粘着剤層の相構造の欄における「分離構造」は、アクリル系粘着剤層において、アクリル系ポリマーとイソブチレン系ポリマーとが全体として1相ではなく、アクリル系ポリマーとイソブチレン系ポリマーとが相分離していることを意味する。
【0118】
上記表1において、下記の表現は下記の意味である。
BA:アクリル酸ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
AA:アクリル酸
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
SIBSTAR−062M:スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062M」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%)
SIBSTAR−062T:スチレン−イソブチレン−スチレン系共重合体(商品名「SIBSTAR−062T」、(株)カネカ製、重量平均分子量6万、スチレン含有率20%)
アルコンP115:脂環族飽和炭化水素系樹脂(商品名「アルコンP115」、荒川化学工業(株)製)
アルコンP125:脂環族飽和炭化水素系樹脂(商品名「アルコンP125」、荒川化学工業(株)製)