特許第6155612号(P6155612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6155612
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】積層型圧電素子及び圧電アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/083 20060101AFI20170626BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20170626BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01L41/083
   H01L41/09
   G02B7/04 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-263285(P2012-263285)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-110295(P2014-110295A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年7月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 習仁
(72)【発明者】
【氏名】田村 淳
【審査官】 加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−245321(JP,A)
【文献】 特開2000−049032(JP,A)
【文献】 特開2003−017768(JP,A)
【文献】 特開平05−283272(JP,A)
【文献】 特開2010−034817(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/013669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/083
G02B 7/04
H01L 41/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体層を挟んで積層された内部電極と、
積層方向に沿って延在する側面に形成されており前記内部電極に対して電気的に接続される一対の外部電極と、を有しており、
前記積層方向に直交する方向の断面積が互いに異なる第1部分と第2部分とを有し、前記第1部分が、前記積層方向に直交する方向の断面積が前記第1部分より大きい前記第2部分に、前記積層方向の両側を挟まれるように配置されている積層型圧電素子と、
前記積層方向の両方の端面の少なくとも一方に取り付けられる接続部材と、
前記外部電極に対して電気的に接続され、前記外部電極に対して駆動信号を印加する駆動部と、を有し、
前記駆動部による駆動によって、前記第1部分よりも前記第2部分の近くに振動の節が生じることを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記積層方向の両方の端面の間に積層された前記圧電体層及び前記内部電極は、一体化されたセラミック積層体の焼結体からなることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
複数の前記第1部分を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2部分における前記外部電極の表面に、樹脂が付着した樹脂付着部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
圧電体層を挟んで積層された内部電極と、
積層方向に沿って延在する側面に形成されており前記内部電極に対して電気的に接続される一対の外部電極と、を有しており、
前記積層方向に直交する方向の断面積が互いに異なる第1部分と第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記積層方向に直交する方向の断面積が前記第1部分より大きい前記第2部分に、前記積層方向の両側を挟まれるように配置されており、
外観形状が、前記積層方向中央部に向かって湾曲していることを特徴とする積層型圧電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型圧電素子及びこれを含む圧電アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子は、圧電効果および逆圧電効果を利用し、機械的な変位と電気的な変位とを相互に変換する素子である。このような圧電素子は、例えば、圧電セラミックスを成形・焼成して素子本体を得た後、これに電極を形成し、さらに分極処理を施すことによって製造される。
【0003】
圧電素子は、たとえば精密かつ正確な制御が要求されるアクチュエータの一部として好適に利用される。より具体的には、レンズ駆動用、HDDのヘッド駆動用、インクジェットプリンタのヘッド駆動用、燃料噴射弁駆動用等の用途が挙げられる。
【0004】
また、電極と圧電体層の積層構造を有する積層型圧電素子は、単位体積あたりの変位量や駆動力を、非積層型の圧電素子に比べて大きくすることが可能であり、例えば小型のアクチュエータ等の一部として特に好適に用いられる(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2007−052599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、昨今アクチュエータ等の性能向上等の観点から、より大きい変位量が得られる積層型圧電素子の開発が求められている。また、アクチュエータに用いる積層型圧電素子には、積層型圧電素子で発生した変位を他の部材に伝達できるように、より高い強度と信頼性が求められている。
【0007】
本発明の目的は、強度の確保と変位の向上を両立し得る積層型圧電素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る積層型圧電素子は、圧電体層を挟んで積層された内部電極と、積層方向に沿って延在する側面に形成されており前記内部電極に対して電気的に接続される一対の外部電極と、を有しており、前記積層方向に直交する方向の断面積が互いに異なる第1部分と第2部分とを有し、前記第1部分が、前記積層方向に直交する方向の断面積が前記第1部分より大きい前記第2部分に、前記積層方向の両側を挟まれるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る積層型圧電素子は、積層方向に直交する方向の断面積が互いに異なる第1部分と第2部分とを有し、断面積の小さい第1部分が、断面積の大きい第2部分に挟まれている。第1部分周辺では、第2部分より圧電活性部に対する圧電不活性部の割合が小さくなるため、このような第1部分を有する積層型圧電素子は、より大きい変位を生じる。また、断面積の大きい第2部分が強度を補うことにより、本発明に係る積層型圧電素子は、強度の確保と変位の向上を両立することができる。
【0010】
また、例えば、前記積層方向の両方の端面の間に積層された前記圧電体層及び前記内部電極は、一体焼成されていても良い。
【0011】
積層型圧電素子に含まれる全ての圧電体層及び内部電極層は、一体に焼成されていることが好ましく、このような積層型圧電素子は、製造が容易であって、かつ良好な強度を奏する。
【0012】
また、例えば、本発明に係る積層型圧電素子は、複数の前記第1部分を備えていても良い。
【0013】
積層方向に沿って第1部分と第2部分とが繰り返される構造とすることにより、圧電不活性部の体積を減少させて変位を向上させながら、効果的に強度を確保することが可能である。
【0014】
また、例えば、前記第2部分における前記外部電極の表面に樹脂が付着した樹脂付着部が形成されていても良い。
【0015】
外部電極の表面に樹脂付着部が形成されている積層型圧電素子は、バレル研磨等によって、容易に第1部分及び第2部分を形成することが可能であり、製造が容易である。
【0016】
本発明に係る圧電アクチュエータは、上述のうち何れか1つの積層型圧電素子と、
前記積層方向の両方の端面の少なくとも一方に取り付けられる接続部材と、
前記外部電極に対して電気的に接続され、前記外部電極に対して駆動信号を印加する駆動部と、を有し、
前記駆動部による駆動によって、前記第1部分よりも前記第2部分の近くに振動の節が生じることを特徴とする。
【0017】
圧電アクチュエータにおいて、振動の節の位置には、他の部分より大きな負荷がかかると考えられるが、振動の節が、断面積の大きい第2部分の近くに生じる圧電アクチュエータは、特に好適な耐久性を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る積層型圧電素子を利用したレンズ駆動装置を示す概念図である。
図2図2は、図1に示すレンズ駆動装置に含まれる積層型圧電素子を拡大した斜視図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、図2に示す積層型圧電素子の積層方向に直交する方向の断面による断面図である。
図4図4は、図1に示すレンズ駆動装置の駆動によって生じる振動の節の位置を表す概念図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る積層型圧電素子を表す平面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る積層型圧電素子を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0020】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型圧電素子20を利用したレンズ駆動装置60を示す概念図である。レンズ駆動装置60は、積層型圧電素子20、錘42、シャフト44及びこれらを連結する第1及び第2樹脂部52,54を有する。また、レンズ駆動装置60は、積層型圧電素子20に駆動信号を印加する駆動回路58や、積層型圧電素子20と駆動回路58とを電気的に接続する配線部32等をさらに有する。
【0021】
積層型圧電素子20の積層方向における一方の端面である第1端面22には、第1樹脂部52を介して錘42が固定されている。また、積層型圧電素子20の積層方向における他方の端面である第2端面24には、第2樹脂部54を介してシャフト44が接続されている。
【0022】
また、レンズ駆動装置60は、シャフト44に対して移動自在に係合された移動部材56を有している。移動部材56はレンズを保持しており、移動部材56及びこれに保持されるレンズは、シャフト44に沿って相対移動することができる。
【0023】
積層型圧電素子20は、駆動回路58によって電圧を印加されて変形する。これに伴い、積層型圧電素子20に接続されたシャフト44は、矢印34で示す方向に往復運動する。駆動回路58が出力する電圧波形は特に限定されないが、駆動回路58は、たとえばノコギリ波形の電圧波形を出力することにより、積層型圧電素子20の変形量及びこれに伴うシャフト44の変位量を越える移動量を、移動部材56に発生させることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、積層型圧電素子20をレンズ駆動装置60に適用した態様を例に挙げて説明を行うが、積層型圧電素子20を適用する装置としてはこれに限定されず、積層型圧電素子20は、その他の駆動装置等にも適用することができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、レンズ駆動装置60に含まれる積層型圧電素子20は、略角柱状(本実施形態では四角柱)の外観形状を有しており、圧電体層26と、第1及び第2内部電極27a,27bと、第1及び第2外部電極28a,28bとを有する。なお、積層型圧電素子20の外観形状は、角柱状に限定されず、円柱状、楕円柱状その他の形状であってもかまわない。
【0026】
積層型圧電素子20の内部において、第1内部電極27aと、第2内部電極27bは、圧電体層26を挟んで交互に積層されている。第1外部電極28aと第2外部電極28bは、積層型圧電素子20の面のうち、積層方向に沿って延在する側面に形成されている。図2に示すように、第1外部電極28aは、積層方向Zに沿って延在する第1側面25aに形成されており、第2外部電極28bは、第1側面25aとは反対方向を向く第2側面(不図示)に形成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、第1内部電極27aは、第1外部電極28aに電気的に接続されており、第2内部電極27bは、第2外部電極28bに電気的に接続されている。図2に示すように、積層型圧電素子20の側面のうち、第1及び第2外部電極28a,28bが形成されていない第3側面25c及び第4側面(不図示)には、第1内部電極27a及び第2内部電極27bが露出しているが、当該第3側面25c及び第4側面には、マイグレーションを防止するための樹脂層が形成されていても良い。
【0028】
図2に示すように、積層型圧電素子20は、積層方向Zに沿って延在する稜線部21が、積層方向中央部で中心側へ向かって湾曲した形状を有しており、積層方向中央部でくびれた外形を有している。したがって、積層型圧電素子20は、積層方向に直交する方向の断面積が互いに異なる第1部分29aと第2部分29bとを有する。
【0029】
図3(a)は、図2に示す第1部分29aにおける積層方向Zに直交する方向の断面図であり、図3(b)は、図2に示す第2部分29bにおける積層方向Zに直交する方向の断面図である。第1部分29aにおける稜線部21aは、第2部分29bにおける稜線部21bより素子中央に近い位置にある。また、稜線部21(稜線部21a,21bを含む)は、R形状となっており、第1部分29aにおける稜線部21aの曲率半径は、第2部分29bにおける稜線部21bの曲率半径より大きい。ただし、稜線部21は必ずしもR形状である必要はなく、その他の曲線及び直線形状であってもよい。
【0030】
図3(a)及び(b)に示すように、第2部分29bの断面積Sbは、第1部分29aの断面積Saより大きく、図2に示すように、断面積の小さい第1部分29aが、断面積の大きい第2部分29bによって積層方向Zの両側を挟まれるように、配置されている。さらに、図3(a)と図3(b)の比較から、くびれ部分に相当する第1部分29aでは、圧電体層26のうち、特に外部電極28a,28bに近い位置にある圧電不活性領域26bが、ふくらみ部分に相当する第2部分29bより小さいことが解る。
【0031】
これに対して、圧電体層26のうち外部電極28a,28bから離れた位置(中央部付近)にある圧電活性領域26aについては、第1部分29aと第2部分29bとで、ほぼ同じ大きさである。なお、圧電活性領域26aは、圧電体層26のうち、積層方向Zに沿って互いに極性の異なる第1内部電極27aと第2内部電極27bの間に挟まれる部分であり、圧電不活性領域26bは、圧電活性領域26a以外の部分である。
【0032】
第1部分29aは、圧電体層26に占める圧電不活性領域26bの割合が、第2部分29bに対して小さいため、第2部分29bより大きい変位を生じることができる。なぜなら、圧電不活性領域26bには、圧電体層26の変位量を抑制する作用があるため、圧電活性領域26aが同様の大きさであれば、圧電不活性領域26bが小さい方が、より大きい変位を生じることができるからである。
【0033】
これに対して、第2部分29bは、積層方向Zに直交する方向の断面積が大きいため、積層型圧電素子20の強度向上に資する。本実施形態に係る積層型圧電素子20は、断面積の小さい第1部分29aが、断面積の大きい第2部分29bによって積層方向Zの両側を挟まれるように配置されており、強度の確保と変位の向上を両立することができる。
【0034】
図4は、図1に示すレンズ駆動装置60の駆動によって生じる振動の節の位置Pを示す概念図である。図4下部のグラフは、レンズ駆動装置60の各位置で生じる変位を表しており、実線は積層型圧電素子20が積層方向Zに沿って伸張した際の変位を表しており、鎖線は、積層型圧電素子20が積層方向Zに沿って収縮した際の変位を表している。積層型圧電素子20における第1部分29a及び第2部分29bの位置は特に限定されないが、図4に示すように、第1部分29aよりも第2部分29bの近くに、振動の節が生じることが好ましい。振動の節の位置P近傍には、他の部分より大きな負荷がかかるため、断面積の大きい第2部分29bの近くに振動の節が生じるレンズ駆動装置60は、特に好適な耐久性を有する。
【0035】
図2に示す積層型圧電素子20において、第1内部電極27a及び第2内部電極27bを構成する導電材としては、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt等の貴金属およびこれらの合金(Ag−Pdなど)、あるいはCu、Ni等の卑金属およびこれらの合金などが挙げられるが、特に限定されない。第1外部電極28a及び第2外部電極28bを構成する導電材料も特に限定されず、内部電極を構成する導電材と同様の材料を用いることができる。なお、第1外部電極28a及び第2外部電極28bの最外表面には、上記各種金属のメッキ層やスパッタ層が形成してあってもよい。
【0036】
また、圧電体層26の材質は、圧電効果あるいは逆圧電効果を示す材料であれば、特に制限されず、たとえば、PbZrTi1−x、BaTiOなどが挙げられる。また、特性向上等のための成分が含有されていてもよく、その含有量は、所望の特性に応じて適宜決定すればよい。
【0037】
積層型圧電素子20に取り付けられる各部材の材質は特に限定されないが、例えばシャフト44は、移動部材56を好適に支持できるように、SUS等の金属材料等によって構成することができる。また、錘42は、シャフト44に変位を与えるための慣性体として好適に機能するように、タングステン等の比較的比重の大きい金属材料等を含むことが好ましいが、錘42の材質は特に限定されない。
【0038】
積層型圧電素子20と錘42又はシャフト44を連結する第1樹脂部52及び第2樹脂部54の材質も特に限定されないが、例えば第1樹脂部52及び第2樹脂部54は、熱硬化性接着剤が硬化した接着材硬化部によって構成される。
【0039】
以下に、図4及び図5を用いて、積層型圧電素子20及びレンズ駆動装置60の製造方法の一例を説明する。
【0040】
積層型圧電素子20の製造工程では、まず、焼成後に第1内部電極27aおよび第2内部電極27bとなる所定パターンの内部電極ペースト膜が形成されたグリーンシートと、内部電極ペースト膜を持たないグリーンシートとを、用意する。
【0041】
グリーンシートは、例えば以下のような方法で作製される。まず、圧電体層26を構成する材料の原料を含む仮焼粉末にバインダを加えてスラリー化する。次に、スラリーをドクターブレード法またはスクリーン印刷法等の手段によってシート化し、その後に乾燥させて、内部電極ペースト膜を持たないグリーンシートを得る。さらに、上述した導電材を含む内部電極ペーストを、印刷法等の手段により、グリーンシートの上に塗布することで、所定パターンの内部電極ペースト膜が形成されたグリーンシートが得られる。なお、圧電体層26を構成する材料の原料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
【0042】
各グリーンシートを準備した後、準備したグリーンシートを重ね合わせ、圧力を加えて圧着し、乾燥工程等の必要な工程を経た後、切断し、積層体を得る。
【0043】
次に、得られた積層体を所定条件で焼成して焼結体を得た後、ダイシングソー等を用いて該焼結体を短冊状に切断する。さらに、焼結体における第1側面25a及び第2側面に相当する部分に第1外部電極28aおよび第2外部電極28bを形成し、この電極に直流電圧を印加して圧電体層26の分極処理を行う。その後、分極処理後の短冊状焼結体を個々の素子本体に切断した後、バレル研磨を行うことにより、図2に示すような積層型圧電素子20を得る。バレル研磨は、積層型圧電素子20に対して所定の直径を有するメディアを用いて行うことが、製造中における割れや欠けの発生を防止しつつ、稜線部21が湾曲した積層型圧電素子20を適切に製造する観点から好ましい。例えば、バレル研磨のメディア径は、積層方向に垂直な投影面による積層型圧電素子20の最大幅よりも大きく、積層型圧電素子20における積層方向の長さの2倍より小さい長さとすることが、特に好ましい。
【0044】
なお、積層方向Zと垂直な方向の稜線部や、積層型圧電素子20の角部72についても、積層方向に平行な稜線部21(図2参照)と同様に、R形状としても良い(図5参照)。積層型圧電素子20の角部、稜線部をR形状とすることにより外部電極の剥離を防止できる。また、第3側面25c及び第4側面に、樹脂層を形成することも好ましい。
【0045】
図1に示すレンズ駆動装置60の製造工程では、まず、積層型圧電素子20に対して、配線部32を、はんだ付け等によって接続する。次に、熱硬化性接着剤等を用いて、積層型圧電素子20の第1端面22及び第2端面24に、それぞれ錘42とシャフト44を取り付ける。この際、熱硬化性接着剤が硬化することにより、樹脂部52,54が形成される。最後に、シャフト44に移動部材56を取り付けることにより、レンズ駆動装置60を得る。なお、上述の説明では、積層型圧電素子20と、これに接続される接続部材としての錘42及びシャフト44を接続する接着剤として、熱硬化性接着剤を用いたが、レンズ駆動装置60の製造に用いる接着剤はこれに限定されない。
【0046】
本実施形態に係る積層型圧電素子20は、図2に示すように、積層方向に直交する方向の断面積が小さく、周辺の第2部分29bに対してくびれている第1部分29aを有する。積層型圧電素子20は、第1部分29aによって変位を拡大するとともに、第1部分29aの両側に配置された第2部分29bによって強度を上げ、変位の向上と強度の確保を両立することができる。また、第1部分29a及び第2部分29bによるくびれ形状を有する積層型圧電素子20は、組み立て装置等が積層型圧電素子20の対角線上に位置する稜線部21を挟むチャックを行う場合にも、正確にチャックされる。
【0047】
また、製造方法で述べたように、積層方向Zの両方の端面22,24の間に積層された圧電体層26及び内部電極27a,27bは、一体焼成されていることが好ましい。このような積層型圧電素子20は、製造が容易であるとともに、小型化に対して有利である。
【0048】
第2実施形態
図5は、本発明の第2実施形態に係る積層型圧電素子70を表す平面図である。第2実施形態に係る積層型圧電素子70は、積層方向Zに平行な稜線部71だけでなく、積層方向Zに垂直な稜線部73や角部72もR形状である点で、第1実施形態に係る積層型圧電素子20と異なるが、その他の構成は積層型圧電素子20と同様である。
【0049】
また、積層型圧電素子70は、バレル研磨における研磨条件(研磨時間、メディア等)を変更することを除き、積層型圧電素子20と同様の方法で製造することができる。
【0050】
図5に示すように、積層型圧電素子70は、積層型圧電素子20(図2参照)と同様に、積層方向に直交する方向の断面積が小さい第1部分79aが、断面積の大きい第2部分79bに挟まれるように配置されている。これにより、積層型圧電素子70は、上述した積層型圧電素子20と同様の効果を奏する。
【0051】
第3実施形態
図6は、本発明の第3実施形態に係る積層型圧電素子80を表す平面図である。積層型圧電素子80は、積層方向に平行な稜線部81に複数のくびれ部が形成されており、複数の第1部分89aを有する点及び第1外部電極28aの表面に樹脂付着部84が形成されている点で積層型圧電素子70(図5参照)と異なるが、その他の構成は第2実施形態に係る積層型圧電素子70と同様である。
【0052】
図6に示すように、積層型圧電素子80は、積層方向Zに直交する方向の断面積が小さい第1部分89aと、断面積の大きい第2部分89bとが、積層方向Zに沿って交互に配置されている。第1部分89aを複数有する積層型圧電素子80も、1つの第1部分79aを有する積層型圧電素子70(図5参照)と同様に変位を向上させることができ、また、3つの第2部分89bによって強度を効果的に確保できる。
【0053】
また、積層型圧電素子80は、外部電極28aの形成後であってバレル研磨の前に、外部電極28aの表面に樹脂を付着させて樹脂付着部84を形成することを除き、積層型圧電素子70と同様の方法で製造することができる。バレル研磨において、樹脂付着部84は、周辺部分に比べて研磨され難いため、樹脂付着部84の周辺に第2部分89bが形成される。このように、樹脂付着部84を外部電極28aの表面に設けることにより、任意の位置に第1部分89aや第2部分89bを形成することが可能である。
【0054】
その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0055】
例えば、積層型圧電素子が有する第1部分の数は、実施形態で説明した1又は2に限定されず、積層型圧電素子は、3以上の第1部分を有しても良い。さらに、くびれ部が形成されるのは、稜線部21,71,81に限定されず、例えば外部電極28a,28bが形成される第1側面25a又は第2側面にくびれ部が形成されていても良い。また、積層方向Zに平行な稜線部の全てが湾曲している態様だけでなく、一部の稜線部のみがくびれている態様や、稜線部が非対称にくびれている態様も、本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
20,70,80…積層型圧電素子
21,21a,21b,71,81…稜線部
22…第1端面
24…第2端面
25a…第1側面
25c…第3側面
26…圧電体層
26a…圧電活性領域
26b…圧電不活性領域
27a…第1内部電極
27b…第2内部電極
28a…第1外部電極
28b…第2外部電極
29a,79a,89a…第1部分
29b,79b,89b…第2部分
32…配線部
42…錘
44…シャフト
52…第1樹脂部
54…第2樹脂部
56…移動部材
58…駆動回路
60…レンズ駆動装置
72…角部
84…樹脂付着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6