(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンロバーナを有する加熱部と、前記コンロバーナにガスを供給するためのガス流路と、このガス流路に配設されるラッチ式電磁弁と、このラッチ式電磁弁に通電する電流を出力する制御部と、を備え、閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される開弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が開弁して前記ラッチ式電磁弁が開弁状態に移行し、前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態に移行した後は前記開弁用電流がしゃ断された後も前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態を維持するように構成されたガスコンロにおいて、
前記ラッチ式電磁弁は、弁体がスプリングによって付勢されて閉弁状態となり、前記開弁用電流の通電がしゃ断された後には、マグネットによる吸引力によって前記開弁状態を維持するように構成され、
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の中間開度に維持可能であり、
前記中間開度において、前記弁体が前記開弁方向に移動したときに、前記スプリングの付勢力の増加分が、前記中間電流の通電により生じる吸引力の増加分より大きくなるように構成され、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記中間電流に維持した後に前記開弁用電流を出力することを特徴とするガスコンロ。
前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい第一の中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の第一の中間開度に維持可能であり、また、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さく前記第一の中間電流より大きい第二の中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の中間開度と前記開弁状態の間の第二の中間開度に維持可能であり、
前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の中間電流から前記第二の中間電流に徐々に増加させた後に前記開弁用電流を出力することを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
ガス流量制限部を備えたバイパス流路が前記ラッチ式電磁弁と並列に接続されて前記ガス流路に配設され、前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられることを特徴とする請求項1または請求項2記載のガスコンロ。
前記コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備え、前記調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、前記温度検出手段の検知温度に基づいて前記ラッチ式電磁弁の開閉によって前記コンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられることを特徴とする請求項3記載のガスコンロ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなガスコンロでは、ラッチ式電磁弁が閉弁した小火力の状態からラッチ式電磁弁が開弁した大火力の状態に切替える際に、ラッチ式電磁弁に備える弁体の位置が時間の経過と共に急変するものであり、コンロバーナの火力が小火力から大火力に急変するものであるから、急激なコンロバーナへのガス供給量の増大に対するコンロバーナへの一次空気の供給の追従が遅れることに起因して、一時的にコンロバーナの火炎にイエローが生じるおそれがあり、また、小火力から大火力に急変するときにコンロバーナに形成される炎が急に広がることになり使用者が驚くおそれがあり、改善が望まれていた。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、ラッチ式電磁弁を用いてコンロバーナの火力の切替えを行いコンロバーナの火力を小火力の状態から大火力の状態に切替えたときにも、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制されて、急激なコンロバーナへのガス供給量の増大に対するコンロバーナへの一次空気の供給の追従が遅れることに起因するコンロバーナの火炎のイエロー発生が抑制され、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガスコンロは、コンロバーナを有する加熱部と、前記コンロバーナにガスを供給するためのガス流路と、このガス流路に配設されるラッチ式電磁弁と、このラッチ式電磁弁に通電する電流を出力する制御部と、を備え、閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁に前記制御部から出力される開弁用電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁が開弁して前記ラッチ式電磁弁が開弁状態に移行し、前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態に移行した後は前記開弁用電流がしゃ断された後も前記ラッチ式電磁弁が前記開弁状態を維持するように構成され、
請求項1に係るガスコンロは、前記
ラッチ式電磁弁は、弁体がスプリングによって付勢されて閉弁状態となり、前記
開弁用電流の通電がしゃ断された後には、マグネットによる吸引力によって前記開弁状態を維持するように構成され、前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の中間開度に維持可能であり、前記中間開度において、前記弁体が前記開弁方向に移動したときに、前記スプリングの付勢力の増加分が、前記中間電流の通電により生じる吸引力の増加分より大きくなるように構成され、前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を所定時間に亘り前記中間電流に維持した後に前記開弁用電流を出力する点を特徴とする。
【0009】
つまり、ガスコンロに備えるラッチ式電磁弁は、ラッチ式電磁弁に開弁用電流より小さい中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を閉弁状態と開弁状態の間の中間開度に維持可能であるように構成する。そして、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、ガスコンロに備える制御部は、その出力を所定時間に亘り中間電流に維持した後に開弁用電流を出力するのである。
【0010】
このように構成することで、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、ラッチ式電磁弁が開弁状態になる前に所定時間に亘り閉弁状態と開弁状態の間の中間開度に維持されることになり、ラッチ式電磁弁の開度は、閉弁状態から開弁状態に急変しないから、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制される。
【0011】
このように、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制されるから、急激なコンロバーナへのガス供給量の増大に対するコンロバーナへの一次空気の供給の追従が遅れることに起因するコンロバーナの火炎のイエロー発生が抑制され、また、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制される。
【0012】
要するに、請求項1によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制されて、コンロバーナの火炎のイエローの発生が抑制され、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0013】
請求項2に係るガスコンロは、請求項1に係るガスコンロにおいて、前記ラッチ式電磁弁は、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さい第一の中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記閉弁状態と前記開弁状態の間の第一の中間開度に維持可能であり、また、前記ラッチ式電磁弁に前記開弁用電流より小さく前記第一の中間電流より大きい第二の中間電流を通電することで前記ラッチ式電磁弁の開度を前記第一の中間開度と前記開弁状態の間の第二の中間開度に維持可能であり、前記閉弁状態の前記ラッチ式電磁弁を開弁するときに、前記制御部は、その出力を前記第一の中間電流から前記第二の中間電流に徐々に増加させた後に前記開弁用電流を出力する点を特徴とする。
【0014】
つまり、ラッチ式電磁弁は、ラッチ式電磁弁に開弁用電流より小さい第一の中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を閉弁状態と開弁状態の間の第一の中間開度に維持可能であるように構成する。また、ラッチ式電磁弁に開弁用電流より小さく第一の中間電流より大きい第二の中間電流を通電することでラッチ式電磁弁の開度を第一の中間開度と開弁状態の間の第二の中間開度に維持可能であるように構成する。そして、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、制御部は、先ずその出力を第一の中間電流から第二の中間電流に徐々に増加させる。そしてその後に開弁用電流を出力するように構成するのである。
【0015】
このように構成することで、閉弁状態のラッチ式電磁弁を開弁するときに、ラッチ式電磁弁が開弁状態になる前に閉弁状態と開弁状態の間の第一の中間開度に維持され、そしてその後、ラッチ式電磁弁は、第一の中間開度から第二の中間開度にその開度を徐々に増加させることになる。そして、ラッチ式電磁弁は、その開度が第二の中間開度になった後に上記開弁状態に至ることになるから、ラッチ式電磁弁の開度は、閉弁状態から開弁状態に急変せず、徐々にその開度を増加する過程を経た後に開弁状態に至ることになり、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制される。
【0016】
要するに、請求項2によれば、請求項1による効果に加えて、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
【0017】
請求項3に係るガスコンロは、請求項1または請求項2に係るガスコンロにおいて、ガス流量制限部を備えたバイパス流路がラッチ式電磁弁と並列に接続されてガス流路に配設され、ラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられる点を特徴とする。
【0018】
つまり、ガス流量制限部を備えたバイパス流路がラッチ式電磁弁と並列に接続されてガス流路に配設される。そして、ラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられるように構成するのである。
【0019】
このように構成すると、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるようにする場合に、ラッチ式電磁弁の開閉によって切替えるものであるから、例えば、ガス流路の途中に設けた開口部におけるガス通過量を増減する閉子をステッピングモータなどのモータにより駆動して火力の大小を切替えるように構成した場合に比べて低コストでガスコンロが構成できる。
【0020】
すなわち、請求項3によれば、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成でき、請求項1または請求項2による効果を好適に有らしめるガスコンロとすることができる。
【0021】
請求項4に係るガスコンロは、請求
項3に係るガスコンロにおいて、コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備え、調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、前記温度検出手段の検知温度に基づいてラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられる点を特徴とする。
【0022】
つまり、コンロバーナによって加熱される調理容器の温度を検知する温度検出手段を備える。そして、調理容器の温度を所定の設定温度に維持すべく、温度検出手段の検知温度に基づいてラッチ式電磁弁の開閉によってコンロバーナの火力が大火力と小火力とに切替えられるように構成するのである。
【0023】
このように構成することで、度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるようにする場合に、請求項3の構成を好適に用いてラッチ式電磁弁の開閉によって切替えるように構成することができ、低コストで構成できる。
【0024】
すなわち、請求項4によれば、温度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成でき、請求項3による効果を好適に有らしめるガスコンロとすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が抑制されて、コンロバーナの火炎のイエローの発生が抑制され、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナに形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、コンロバーナへのガス供給量の急激な増大が一層抑制されたガスコンロとすることが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、コンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成できる。
請求項4に記載の発明によれば、温度検出手段の検知温度に基づいてコンロバーナの火力を大火力と小火力とに切替えられるガスコンロが低コストで構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態のガスコンロとして、コンロ部とグリルを備えたビルトイン型のガスコンロ1について、添付図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に示すように、ガスコンロ1の天面部を構成するトッププレート11には複数の加熱部2が設けてある。本実施形態では
図1に示すように、向かって左側および右側に加熱部2として高火力のコンロバーナ31を備えたコンロ部2aが設けてある。トッププレート11の上面には各コンロバーナ31を中心にして五徳21が設けてあり、前記コンロバーナ31と五徳21と、点火装置23及び点火検知装置24(
図3参照)とで、加熱部2としてのコンロ部2aが構成される。
【0029】
なお、点火装置23は、入力回路(高圧トランスの1次側巻き線を含む)が一つに対して出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)が各バーナの数だけ備えられ、一つの前記入力回路への通電により各々の前記出力回路(高圧トランスの2次側巻き線)に高電圧が発生し、各バーナの全てに点火用放電のための高電圧が供給される。
【0030】
各コンロ部2aには、
図5に示すように、五徳21上に載置される調理容器を検知する容器検知手段25と、調理容器の下面の温度を検知する温度センサ26とが設けてある。容器検知手段25は、ガスコンロ1に固定される支持部25aと、支持部25aに上下方向に移動自在に支持される可動部25bと、可動部25bの上下位置を検知する検知スイッチ25cと、で構成される。可動部25bはばね等の付勢手段(図示せず)により上方に付勢され、その上端部は五徳21よりも上方に突出する。この状態で五徳21上に調理容器が載置されると、可動部25bの上端部が調理容器の下面に押し下げられ、可動部25bの下動に伴い検知スイッチ25cにより下動が検知され、後述する制御部H(図示せず)に認識される。そして、可動部25bの上端部に温度センサ26が設けられ、調理容器が五徳21上に載置された時に調理容器の下面に当接して温度を検知し、温度は制御部H(図示せず)に認識される。
【0031】
またガスコンロ1には、
図1に示すように、加熱部2としてのグリル2bが設けてある。グリル2bは、
ガスコンロ1の本体内の中央部に形成されるグリル庫と、グリル庫内に設けられる加熱手段としてのグリルバーナ(図示せず)と、点火装置23及び点火検知装置24とで構成され、グリル2bの前端はガスコンロ1の前面部12に開口していてグリル扉28によって開閉自在に閉塞される。
【0032】
点火装置23は、イグナイタ(図示せず)で発生させる高圧パルスにより、コンロバーナ31及びグリルバーナの燃料ガスの吐出口に設けられる点火プラグに放電を起こさせて点火するもので、イグナイタは制御部H(図示せず)により制御される。
【0033】
点火検知装置24は、コンロバーナ31及びグリルバーナに設けられる熱電対からなるもので、点火されると火炎の熱により発生する熱起電力が制御部H(図示せず)に認識される。
【0034】
グリル扉28の両側には、
図1に示すように、グリル扉28とともにガスコンロ1の前面部12を構成する前面パネルP1、P2が設けてあり、左側の前面パネルP1の上側には、左側のコンロバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14aが設けてあり、右側の前面パネルP2の上側の左側より、グリルバーナを点火/消火するための点消火ボタン14b、右側のコンロバーナ31を点火/消火するための点消火ボタン14cとが設けてある。これら点消火ボタン14(14a〜14c)が、加熱部2での加熱の開始/加熱の停止を手動で行うための加熱/停止手動操作部となっている。また前面部12には、各加熱部2の加熱量を手動で調節するための加熱量手動操作部となる火力調節レバー15(15a〜15c)がそれぞれ各点消火ボタン14a〜14cの上に設けてある。
【0035】
ガス弁ブロック6は、
図3、
図4に示すように、器具栓本体60に、内部のガス流路61と、ガス流路61の上流端となる導入口61a及び下流端となる導出口61bとが設けてある。内部のガス流路61には、上流側より安全弁62用の弁孔、メイン弁63用の弁孔が設けてある。メイン弁63用の弁孔の下流側は、大火用の流路61cと小火用の流路61dとが並列に設けてあり、大火用の流路61cに大火力/小火力切替用のラッチ式電磁弁LB1用の弁孔が設けてあり、小火用の流路61dにラッチ式電磁弁LB2用の弁孔が設けてある。
【0036】
ラッチ式電磁弁LB1の弁孔の下流側と、ラッチ式電磁弁LB2の下流側に位置する小火用オリフィスof2の下流側で大火用の流路61cと小火用の流路61dとが合流し、さらにその下流側には、火力調節レバー15と連動する流量制御弁65用の弁孔が設けてある。
【0037】
因みに、上述した容器検知手段25により調理容器が検知されていない時に点消火ボタン14を操作した場合には、制御部H(図示せず)によりラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2が閉止されて、加熱を開始しないようにする容器検知制御が行われるもので、五徳21上に調理容器が載置されていない場合にはコンロバーナ31に炎が形成されないように構成してある。
【0038】
また、ガス流路61には、前記ラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2を設けた部分をバイパスするバイパス流路BPが設けてあり、このバイパス流路BPにバイパス用オリフィスof1が設けてある。バイパス用オリフィスof1は、ガス弁ブロック6を複数器種で共用するために設けられるもので、ガス弁ブロック6を他の機種への応用において使用する時には開口される場合があるが、本実施例においては、バイパス用オリフィスof1は閉塞体(図示せず)により閉塞されている。
【0039】
火力調節レバー15を中火から大火の間の位置に設定しておいたときに、ラッチ式電磁弁LB1とラッチ式電磁弁LB2の開・閉の組み合わせに応じて、コンロバーナ31の火力は下表の様に制御部H(図示せず)により調整制御される。
【0040】
【表1】
なお、ラッチ式電磁弁LB1、LB2は、開弁用の極性のパルス電流の通電により開放状態に移行し、その後は通電を停止した後にも開放状態を維持し、閉弁用の極性(開弁用とは逆極性)のパルス電流の通電により閉止状態に移行し、その後は通電を停止した後にも閉止状態を維持する。このとき電流のパルス幅は200〜300m秒に設定されており、コンロの火力を種々の状態に維持する場合にも省電力であるから、機器の電源として乾電池が用いられる場合に特に好適に用いられる。
なお、ラッチ式電磁弁LB1については、後に詳述する。
【0041】
流量制御弁65用の弁孔の下流側は、コンロバーナ31にガスを供給するための導出口に至る。
器具栓本体60には、スライダ66が前後方向に移動自在に取り付けてあり、スライダ66は前端面が点消火ボタン14に組み込まれたチャイルドロック用スライド部(図示せず)により後方に押圧されることで後退するようになっている。
【0042】
チャイルドロック用スライド部が内部に組み込まれた点消火ボタン14は、前後動自在に設けられるもので、前記点消火ボタン14の指で押される部分よりも上側の部分がコンロ本体側に枢支されて指で押される部分が前後動し、スライダ66の前端面を後方に押圧する。スライダ66には、例えば既存のハート型カム等からなる前位置と後位置の切替機構(図示せず)が設けてあり、前記点消火ボタン14を押し操作する毎に、スライダ66が後位置から前進して前位置に位置したり、前位置から後退して後位置に位置して、前位置と後位置とが切り替わって保持される。
【0043】
また、スライダ66の進退に伴って進退するバルブロッド67が設けてある。バルブロッド67の先端側はガス流路61内に挿入され、その先端部は後方すなわち下流側より上流側に向けて、メイン弁63用の弁孔と安全弁62用の弁孔とに挿通されている。バルブロッド67は、スライダ66が前位置から後位置に切り替わる際、一旦後位置よりも後方の最後位置に後退してから後位置にまで前進するが、この最後位置に移動した時に、安全弁62用の弁孔を上流側より閉止している安全弁62の弁体を上流側に移動させて、安全弁62用の弁孔を開放する。安全弁62は電磁弁からなり、弁体が前方すなわち下流側に前進することで安全弁62用の弁孔を後方より閉止し、弁体が後方すなわち上流側に後退することで安全弁62用の弁孔を開放する。
【0044】
安全弁62は、点火検知装置24により火炎が検知されている場合にのみ制御部H(図示せず)により開放状態が維持され、火炎が検知されなくなると制御部H(図示せず)による開放状態の維持が停止して閉止される。これにより、煮こぼれや風により立ち消えが起こって点火検知装置24の火炎が検知されなくなった場合に、燃料ガスの流出が防止される。また、温度センサ26により検知された調理容器の下面の温度が所定の温度(例えば250℃)に達すると、空焚きや焦げ付き等の異常が発生していると判定して、安全弁62を閉止する。このように、安全弁62、点火検知装置24、温度センサ26により異常検知手段が構成されている。
【0045】
バルブロッド67の途中には、メイン弁63用の弁孔を開閉するメイン弁体が設けてある。そして、スライダ66が前位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔を後方より閉止し、スライダ66が後位置に位置している時にはメイン弁体がメイン弁63用の弁孔より後方に位置してメイン弁63用の弁孔を開放する。
【0046】
流量制御弁65用の弁孔は、火力調整用のニードル65aの前後方向の移動により開度が自在に調節される。ニードル65aは、火力調節レバー15を操作することで、開度の調節がなされ、火力調節レバー15が右に行く程、燃料ガスの供給量が多くなるように調節される。
【0047】
点消火ボタン14又はスライダ66の位置によりON/OFFが切り替わる器具栓スイッチが設けてある。器具栓スイッチは、点消火ボタン14(又はスライダ66)が前位置に位置している時にはOFFとなり、後位置(最後位置も含む)に位置している時にONとなる。
【0048】
コンロバーナ31、グリルバーナの点火を行うには、点消火ボタン14を押し操作して、スライダ66を前位置から後位置に後退させる。スライダ66とともに後退したバルブロッド67により、安全弁62が開放されると共にメイン弁63が開放され、燃料ガスがコンロバーナ31、グリルバーナに供給される。また、スライダ66が後退することにより器具栓スイッチがONとなり、制御部H(図示せず)への給電がONとなって制御部H(図示せず)が動作を開始する。
【0049】
点消火ボタン14を押し操作されて、加熱が開始されると、火力調節レバー15を操作することで、所望の火力が得られる。なお、左側のコンロバーナ31を備えたコンロ部2aの火力調節レバー15は、該コンロ部2aの操作部を操作して点火を行う時、操作部の操作と連動して火力が中火力側に移動するようになっていて、点火時には中程度の火力となっている。
【0050】
全ての点消火ボタン14のスライダ66を前位置にすると、メイン弁63が閉止して消火し、器具栓スイッチS1〜S3がOFFになり、安全弁62が閉止すると共に電源保持信号の出力が停止して制御部H(図示せず)への給電が終了する。
【0051】
次に、自動調理について説明する。ガスコンロ1の左側の前面パネルの下側には、
図2に示すように、コンロ用の調理設定部7が設けてある。なお、ガスコンロ1の右側の前面パネルの右下の左側には、グリル用の調理設定部が設けてあるが細部については詳述しない。また、ガスコンロ1の右側の前面パネルの右下の右側には、マイクロコンピュータからなる制御部H(図示せず)の電源となる電池が収容される電池ケース13が設けてある。
【0052】
コンロ用の調理設定部7は、揚げもの、湯わかし、炊飯の自動調理のメニュー(オートメニュー)を設定するための一組のオートメニュー設定部71及びオートメニュー表示部72と、調理時間を設定するためのタイマ入力部73及びタイマ表示74とを備えている。オートメニュー設定部71として、揚げものスイッチ71aと、湯わかしスイッチ71bと、炊飯スイッチ71cと、が設けてある。揚げものモードは、コンロバーナ31の点火後、使用者により設定された温度に達するようにコンロバーナ31の火力を自動調節する自動調理モードであり、揚げものスイッチ71aは、何回押すかで200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げものの調理の中から目的とする温度の揚げもの調理が設定できると共に、揚げもの表示部72aに前記設定が表示されるようになっている。
【0053】
また、湯わかしモードや炊飯モードは、コンロバーナ31の点火後、予め設定された燃焼条件で燃焼させ、湯わかしや炊飯の完了が予測される時点で自動的にコンロバーナ31を消火する自動調理モードである。湯わかしスイッチ71bは、何回押すかで自動消火、5分保温といった、湯わかし後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯わかしを選択して設定できると共に、湯わかし表示部72bに前記設定が表示されるようになっている。また、炊飯スイッチ71cは、何回押すかでごはん、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理が設定できると共に、炊飯表示部72cに前記設定が表示されるようになっている。
【0054】
揚げものモードを選択して、制御部H(図示せず)によって揚げものモードが実行される場合を一例として、ラッチ式電磁弁LB1について詳しく説明する。なお、ラッチ式電磁弁LB2の構成等はラッチ式電磁弁LB1と同様であるので本書においてラッチ式電磁弁LB2に関しては詳細な説明を省略する。
【0055】
揚げものスイッチ71aを押し操作し、揚げものモードを選択してコンロバーナ31に点火すると制御部H(図示せず)によって揚げものモードが実行され、制御部H(図示せず)は、温度センサ26により検出される調理容器の温度を設定された温度(200℃、180℃、160℃の何れか。)に維持すべく、ラッチ式電磁弁LB1を開閉し、コンロバーナ31の火力が大火力と小火力とに切替えられる。
【0056】
詳述すると、温度センサ26により検出される調理容器の温度が設定された温度より大きいときはラッチ式電磁弁LB1を閉弁して、
図3、
図4に示すバイパス用オリフィスof1を備えたバイパス流路BPのみからコンロバーナ31にガスが供給されて、コンロバーナ31の火力が小火力になり、また、温度センサ26により検出される調理容器の温度が設定された温度より小さいときはラッチ式電磁弁LB1を開弁して、
図3、
図4に示すバイパス用オリフィスof1を備えたバイパス流路BPとラッチ式電磁弁LB1の両方の流路からコンロバーナ31にガスが供給されて、コンロバーナ31の火力が大火力になる。
【0057】
以下、ラッチ式電磁弁LB1、および、制御部H(図示せず)によるラッチ式電磁弁LB1の駆動について
図6〜
図8を参照して説明を加える。
【0058】
図6は、また、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態を中心線(一点鎖線)の右側に示し、ラッチ式電磁弁LB1の開弁状態を中心線(一点鎖線)の左側に示している。なお、ラッチ式電磁弁LB1が具備するスプリング54は、プランジャー52に形成された凹部中に挿入されており、ラッチ式電磁弁LB1の開弁状態を示す図における中心線(一点鎖線)の左側部分にはプランジャー52に形成された凹部と、この凹部中に挿入された部分のスプリング54についても図示してあるが、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態を示す図における中心線(一点鎖線)の右側部分にはプランジャー52に形成された凹部及びこの凹部中挿入された部分のスプリング54については図示していない。
【0059】
図6の右側に示す閉弁状態においては、ラッチ式電磁弁LB1が具備するプランジャー52は、その下端がコア59と当接するスプリング54によって、図における上側に付勢されて、弁体部51が弁座50に閉じ付勢されガスがしゃ断されている。
また、
図6の左側に示す開弁状態においては、制御部H(図示せず)からラッチ式電磁弁LB1のソレノイド(コイル)53に開弁用電流I6が通電されて、コア59、プランジャー52、ヨーク56、マグネット55によって形成される磁気回路における第1ギャップ57において、プランジャー52とコア59との間に生じる吸引力f6がスプリング54の付勢力Sより大きくなり(
図7参照)、プランジャー52が図における下側に吸引されコア59と当接して、弁体部51が弁座50から離間した開弁状態に至り、ガスが通流可能になっている。
【0060】
そして、プランジャー52が一旦コア59と当接すると、ソレノイド(コイル)53への通電が遮断されても、マグネット55の起磁力によってプランジャー52とコア59とが当接して弁体部51が弁座50から離間した開弁状態を維持する。
【0061】
本実施形態では、制御部H(図示せず)は、閉弁状態にあるラッチ式電磁弁LB1を上述の閉弁状態へと駆動する際に、つぎのように駆動用電流を出力する。なお、本書において、「制御部H(図示せず)が駆動用電流を出力する」と記載する場合、定電流回路等を用いた電流源による駆動のみを意味するのではなく、定電圧回路等を用いた電圧源による駆動を含めるものである。
【0062】
ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1に開弁用電流I6より小さい中間電流を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能であり、この点について説明を加える。
図7は、本実施形態におけるラッチ式電磁弁LB1の弁開度と、スプリング54による付勢力S、及び、ラッチ式電磁弁LB1への通電により生じる吸引力f1〜f6との関係を示す。
【0063】
図7に示すように、スプリング54による付勢力Sは、プランジャー52の移動距離(ストローク)に応じて、弁体部51の開度の変化に対し直線的に変化する。
また、制御部H(図示せず)が出力する駆動用電流のソレノイド(コイル)53への通電I1〜I6によって生じるプランジャー52とコア59との間に生じる吸引力f1〜f6は、コア59とプランジャー52との間の第1ギャップ57の長さ、及び、ヨーク56とプランジャー52との間の第2ギャップ58の長さの和(=第1ギャップ57の長さ+第2ギャップ58の長さ)を含むギャップ長の総和の変化に対し概ね反比例的に変化するため、ラッチ式電磁弁LB1が閉弁状態から開弁状態に近づくほど第1ギャップ57の長さは短くなるからその特性は、
図7に示すような下に凸となる曲線となる。
【0064】
図7を参照して、駆動用電流のソレノイド(コイル)53に通電する電流I1〜I6に対応して、プランジャー52とコア59との間に吸引力f1〜f6が生じるものとすると、スプリング54による付勢力Sによってプランジャー52は上方向に付勢され、電流Ii(i=1、2、3・・・・・)の通電によって生じる吸引力fi(i=1、2、3・・・・・)によってプランジャー52は下方向に吸引されるので、
fi<S
の時には、弁体部51が弁座50に近づく方向、つまり、上方向に移動し、弁体部51が弁座50に当接すると弁体部51が弁座50に当接下状態で閉じ付勢されてガスがしゃ断されることになり、
fi>S
の時には、プランジャー52は、弁体部51が弁座50から遠ざかる方向、つまり、下方向に移動することになる。
【0065】
そして、スプリング54による付勢力Sと、電流Ii(i=1、2、3・・・・・)の通電によって生じる吸引力fi(i=1、2、3・・・・・)とが等しい状態、つまり、
fi=S
の時には、プランジャー52は、弁体部51が弁座50から遠ざかる方向、及び、弁体部51が弁座50に近づく方向の何れにも移動せず、弁体部51と弁座50との距離は、ラッチ式電磁弁LB1の閉弁状態における弁体部51と弁座50との距離、及び、ラッチ式電磁弁LB1の開弁状態における弁体部51と弁座50との距離間の距離に維持されることになる。
言い換えると、ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1により小さい中間電流を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能である。
【0066】
そして、本実施形態では、閉弁状態のラッチ式電磁弁LB1を開弁するときに、制御部H(図示せず)は、出力を所定時間に亘り中間電流に維持しながら、その出力電流を徐々に増加させた後に開弁用電流I6を出力してラッチ式電磁弁LB1が開弁状態に至るものであり、以下この点について説明を加える。
【0067】
図7を参照して、全閉状態におけるラッチ式電磁弁LB1は、制御部H(図示せず)からの出力電流I1の駆動用電流のソレノイド(コイル)53への通電によっても、出力電流I1によって生じる吸引力f1がスプリング54による付勢力Sより小さいため、プランジャー52は移動せず全閉状態を維持する。
【0068】
しかし、ラッチ式電磁弁LB1の全閉状態において、制御部H(図示せず)からの出力電流をI2まで増加させると、制御部H(図示せず)からの出力電流I2のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f2によって、f2>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、プランジャー52が下方向に移動可能となり、プランジャー52が少し下方向に移動した図におけるP1に対応する位置(中間位置)においてf2=Sとなってそのときの弁開度(中間開度)が維持可能である。
【0069】
そして、P1に対応する位置(中間位置)における弁開度(中間開度)にあるラッチ式電磁弁LB1に通電される電流をさらにI3まで増加させると、制御部H(図示せず)からの出力電流I3のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f3によって、f3>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、プランジャー52がさらに下方向に移動可能となり、プランジャー52がさらに下方向に移動した図におけるP2に対応する位置(中間位置)においてf3=Sとなってそのときの弁開度(中間開度)が維持可能である。
【0070】
そして、P2に対応する位置(中間位置)における弁開度(中間開度)にあるラッチ式電磁弁LB1に通電される電流をさらにI4まで増加させると、制御部H(図示せず)からの出力電流I4のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f4によって、f4>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、プランジャー52がさらに下方向に移動可能となり、プランジャー52がさらに下方向に移動した図におけるP3に対応する位置(中間位置)においてf4=Sとなってそのときの弁開度(中間開度)が維持可能である。
【0071】
そして、P3に対応する位置(中間位置)における弁開度(中間開度)にあるラッチ式電磁弁LB1に通電される電流をさらにI5まで増加させると、制御部H(図示せず)からの出力電流I5のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f5によって、f5>Sとなって、ラッチ式電磁弁LB1は、プランジャー52がさらに下方向に移動可能となり、プランジャー52がさらに下方向に移動した図におけるP4に対応する位置(中間位置)においてf5=Sとなってそのときの弁開度(中間開度)が維持可能である。
【0072】
上述のように、ラッチ式電磁弁LB1は、ラッチ式電磁弁LB1にfi(i=1、2、3・・・・・)=Sとなる中間電流Ii(i=1、2、3・・・・・)を通電することでラッチ式電磁弁LB1の開度を上記閉弁状態と上記開弁状態の間の中間開度に維持可能であるが、fi(i=1、2、3・・・・・)=Sである場合に、ラッチ式電磁弁LB1が安定的に中間開度を維持可能な場合と、ラッチ式電磁弁LB1が安定的には中間開度を維持できない場合があることに注意を要し、上述のP1、P2、P3、P4はいずれもラッチ式電磁弁LB1が安定的に中間開度を維持可能な場合に対応するfi(i=1、2、3・・・・・)=Sとなる位置を示す。
【0073】
詳しく説明すると、制御部H(図示せず)からの出力電流I5のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f5によって、プランジャー52が図におけるP4に対応する位置に移動したときには、f5=Sであり、しかも、図におけるP4においては、外乱等により、プランジャー52が少し下方向に移動したときにはf5<Sとなることでプランジャー52が逆方向の上方向に移動することになりラッチ式電磁弁LB1はP4に対応する位置に戻ることになり、ラッチ式電磁弁LB1は安定的に中間開度を維持できる。
【0074】
これに対し、制御部H(図示せず)からの出力電流I5のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f5によって、もし、プランジャー52が図におけるP5に対応する位置まで移動したときには、f5=Sであっても、そのときの弁開度を安定して維持できない。なぜならば、図におけるP5においては、外乱等により、プランジャー52が少しでも下方向に移動したときにはf5>Sとなることでプランジャー52がさらに下方向に移動することになりラッチ式電磁弁LB1は全開状態に至ることになる。
【0075】
つまり、制御部H(図示せず)からの出力電流I5のソレノイド(コイル)53への通電による吸引力f5によって、プランジャー52が図におけるP4に対応する位置に位置する場合、すなわち、プランジャー52をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、駆動用電流のソレノイド(コイル)53への通電により生じる吸引力の増加分に比べてスプリング54による付勢力Sの増加分が大きい場合には、プランジャー52はその位置に留まり、そのときの弁開度(中間開度)が維持可能であるが、プランジャー52が図におけるP5に対応する位置に位置する場合、すなわち、プランジャー52をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、駆動用電流のソレノイド(コイル)53への通電により生じる吸引力の増加分に比べてスプリング54による付勢力Sの増加分が小さい場合には、プランジャー52はその位置に留まることができず、そのときの弁開度が維持できない。
【0076】
言い換えると、本実施形態におけるラッチ式電磁弁LB1は、ソレノイド(コイル)53への通電による吸引力がスプリング54による付勢力Sと等しくなる全閉状態と全開状態との間の中間開度となる弁開度において、弁体部51と連動するプランジャー52をラッチ式電磁弁LB1の全開状態の方向に微小距離移動させたときに、駆動用電流のソレノイド(コイル)53への通電により生じる吸引力の増加分に比べてスプリング54による付勢力Sの増加分が大きくなるような開弁用電流より小さい電流つまり中間電流が存在することになる。
【0077】
本実施形態のラッチ式電磁弁LB1では、上述のように、中間電流として、I2、及び、I2より大きいI3、及び、I3より大きいI4、及び、I4より大きいI5の中間電流が存在し、閉弁状態のラッチ式電磁弁LB1を開弁するときに、制御部H(図示せず))は、その出力をI2、I3、I4、I5を経由して徐々に増加させ、その後に吸引力f6を発生させる開弁用電流I6を出力して、徐々に開弁するように構成してある。このときのソレノイド(コイル)53への通電電流と対応するソレノイド(コイル)53への供給電圧とプランジャー52の位置とラッチ式電磁弁LB1の弁開度とラッチ式電磁弁LB1を通過するガスの流量との関係は、例えば、
図8のようになる。
【0078】
上述のような構成によって、コンロバーナ31へのガス供給量の急激な増大が抑制され、コンロバーナ31への一次空気の供給の追従が遅れることに起因するコンロバーナ31の火炎のイエロー発生が抑制され、小火力から大火力への火力増大時にコンロバーナ31に形成される炎の急激な広がりが抑制されたガスコンロ1となっている。
【0079】
これに対し、駆動用コイルに開弁用電圧をステップ状に印加して開弁する従来のラッチ式電磁弁では、
図9に示すように、開弁用電圧の印加によってその弁開度が全閉状態から全開状態にステップ状に変化するものであり、コンロバーナへのガス供給量が急激に増大する。
〔別実施形態〕
【0080】
(1)上述の実施形態では、ソレノイド(コイル)53への通電電流およびこの通電電流と対応するソレノイド(コイル)53への供給電圧を、時間と共に増加する所謂ランプ入力としてあったが、ソレノイド(コイル)53への通電電流およびこの通電電流と対応するソレノイド(コイル)53への供給電圧が時間と共に複数段に段階的に増加するように構成してもよい。
(2)上述の実施形態では、ガスコンロ1をグリルを備えたビルトイン型のガスコンロ1として説明したが、ガスコンロ1は、コンロ台などに載置して設置される据え置き型のテーブルコンロであってもよい。またグリルは備えなくてもよい。
(3)上述の実施形態では、ラッチ式電磁弁LB1及びラッチ式電磁弁LB2を閉止することで、コンロバーナへのガスの供給をしゃ断するように構成されていたが、ラッチ式電磁弁LB2は備えず、ラッチ式電磁弁LB1の開閉によって、ガス量の大小のみを切替えるように構成してもよい。