(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、ヒートポンプを備えたドラム式の洗濯乾燥機に適用した第1の実施形態につき、
図1から
図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)1の全体構成を概略的に示している。洗濯機1はほぼ矩形箱状をなす本体(外箱)2を有し、本体2内には、円筒状の水槽3が後下がりにやや傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。前記水槽3内には、衣類(洗濯物)が収容される槽体としての円筒状のドラム4が回転可能に支持されている。このドラム4は、前後方向に延び且つ後下がりにやや傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成されている。
【0009】
前記ドラム4の周壁部には通水、通気用の多数の孔5が形成され、また、ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の複数個のバッフル7が設けられている。さらに、ドラム4の後壁部には複数個の通気口6が設けられている。このドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる開口部8が設けられている。前記水槽3の前面部には、前記開口部8に連なる投入口9が形成されており、本体2の前面には、その投入口を開閉する扉10が設けられている。
【0010】
前記水槽3の後部には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなるモータ11が配置されている。このモータ11の回転軸11aの先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、ドラム4の後部中心に連結固定されている。このような構成により、ドラム4はモータ11により直接的に回転駆動される。図示はしないが、前記本体2内の天井部には、給水源(この場合水道)からの水を前記水槽3内に給水するための、電磁式切替弁からなる給水弁12や給水ケース13、給水ホース14等が設けられている。
【0011】
また、水槽3の下部には、排水管路16が接続され、この排水管路16の途中部には排水弁15が設けられている。詳しく図示はしないが、排水管路16は本体2の外部まで延びており、水槽3内の水が洗面所などの所定の排水場所に排水されるようになっている。尚、図示はしないが、水槽3の後面下部には水槽3内と連通するエアトラップが設けられ、このエアトラップがエアチューブを介して本体2内の上部に配置された水位センサに接続されている。
【0012】
前記水槽3には、後面上部に給気口17が設けられ、この給気口17には、水槽3(ドラム4)内に温風を供給するための給気ダクト18が接続されている。一方、水槽3の上面前部に位置して排気口19が設けられ、この排気口19には、水槽3(ドラム4)内から温風を排出するための排気ダクト20が接続されている。そして、本体2内の底部には、送風機構及び除湿装置を構成するヒートポンプユニット21が設けられている。
【0013】
このヒートポンプユニット21は、熱交換ダクト22を備えると共に、ヒートポンプ(冷凍サイクル)を備えて構成される。熱交換ダクト22の一端部(
図1で前端部)には、前記排気ダクト20の先端部が、蛇腹状の継手20aを介して接続され、熱交換ダクト22の他端部(
図1で後端部)には、前記給気ダクト18の基端部が、蛇腹状の継手18aを介して接続されている。これにて、乾燥用の空気がドラム4内に循環供給される循環風路が構成される。
【0014】
図1、
図2に示すように、前記熱交換ダクト22内には、ヒートポンプ(冷凍サイクル)を構成する蒸発器23及び凝縮器24が、順に位置して配置されている。蒸発器23及び凝縮器24は、夫々、両側部の伝熱フィン間に、冷媒パイプを蛇行状に配置してなる周知構成を備えており、前記伝熱フィン間を風が通ることにより、熱交換を行うようになっている。そして、熱交換ダクト22の他端部(後端部)側には、遠心ファン25a及びファンモータ25bからなる送風ファン25が配設される。
【0015】
詳しく図示はしないが、前記ヒートポンプは、圧縮機27(
図1に一部のみ図示)と、前記凝縮器24と、減圧手段たる膨張弁(図示せず)と、前記蒸発器23とを、冷媒管路(配管)により閉ループ状に接続して構成されている。また、ヒートポンプの内部には、所要量の冷媒(及び潤滑用のオイル)が封入され、冷媒管路を循環する。このヒートポンプは、乾燥運転時において、圧縮機27が駆動されることにより、圧縮機27から吐出された気体冷媒が、凝縮器24において凝縮されて液体冷媒とされ、その液体冷媒が膨張弁によって膨張させて霧状とされ、その霧状の冷媒が、蒸発器23において外気との熱交換により気化され、気体冷媒が圧縮機27により圧縮されて高温、高圧とされて吐出されるという循環が行われる。
【0016】
そして、乾燥運転時には、上記したヒートポンプの駆動と共に、前記送風ファン25が回転駆動されることにより、
図1、
図2に矢印Aで示すように、水槽3(ドラム4)内の空気が、排気口19から排気ダクト20を通って熱交換ダクト22に至り、蒸発器23及び凝縮器24を順に通った後、給気ダクト18に流れ、給気口17及び通気口6を通ってドラム4内に供給されるという循環が行われるようになっている。
【0017】
これにて、送風ファン25の回転駆動に伴う空気の循環により、水槽3(ドラム4)内の衣類から湿気を奪って多量の蒸気を含んだ空気が、熱交換ダクト22内の蒸発器23部分を通って冷却されることにより、蒸気が凝縮(あるいは昇華)されて除湿され、その除湿空気が凝縮器24部分を通ることにより加熱されて乾いた温風となり、再びドラム4内に供給され、衣類の乾燥に供されるという循環が行われるのである。従って、
排気ダクト20、熱交換ダクト22、送風ファン25、給気ダクト18等から、ドラム4内に衣類を乾燥させるための空気を循環供給する送風機構が構成される。また、ヒートポンプユニット21に組込まれたヒートポンプが、循環される空気の除湿を行う除湿装置として機能するのである。
【0018】
尚、図示はしないが、洗濯乾燥機1には、コンピュータ(CPU)を主体として構成され、全体を制御する制御装置が設けられている。詳しい説明は省略するが、制御装置は、ユーザによる操作部の操作信号や、温度センサ、水位センサ等の各種センサの検出信号に基づき、運転制御プログラムに従って給水弁12、排水弁15、モータ11等の各機構(全体として洗濯機構が構成される)を制御し、洗い、すすぎ、脱水などの各行程からなる洗濯運転を実行する。また、制御装置は、洗濯運転後の乾燥運転を実行する。このとき、乾燥運転の実行時においては、制御装置は、モータ11を低速で駆動すると共に、ヒートポンプ(圧縮機27)及び送風ファン25を駆動制御する。
【0019】
さて、上記したヒートポンプユニット21においては、乾燥運転時のヒートポンプの駆動により、蒸発器23において空気中に含まれていた湿気が結露し水滴(除湿水)となって滴下する。尚、凝縮器24においても、蒸発器23の水滴が付着したり、非運転時に結露したりすることも考えられる。そこで、ヒートポンプユニット21から排出される除湿水を本体2の外部に排出するための除湿水排出経路が設けられる。
図2に示すように、本実施形態では、除湿水排出経路として、ヒートポンプユニット21の下部にドレンタンク28を配置すると共に、このドレンタンク28内の除湿水を排出するドレンポンプ29が設けられる。尚、
図1ではドレンタンク28の図示を省略している。
【0020】
即ち、
図2に示すように、ヒートポンプユニット21(熱交換ダクト22)のうち、前記蒸発器23及び凝縮器24が設置されている底板部26には、メッシュ状の多数の小孔からなる通水孔26aが形成されている。その底板部26の下面側に位置して、前記通水孔26aを通して落下する除湿水を受けるように、前記ドレンタンク28が着脱可能に設けられている。
【0021】
このドレンタンク28は、
図3及び
図4にも示すように、上面が開放したほぼ四角形状の容器状をなすと共に、図で左端部が前方に突出(膨出)した突出部30を一体に有した形態とされている。ドレンタンク28の上面開口部のうち、突出部30を除いた部分が前記底板部26(通水孔26a)の下方に位置し、突出部30部分は、ヒートポンプユニット21(熱交換ダクト22)から前方に露出した形態とされている。また、このドレンタンク28の底部は、例えば図で左方に緩やかに下降傾斜する傾斜面をなすと共に、その左端部に最も深くなる最深部28aが設けられている。この最深部28aは、前記突出部30まで前後方向に延びて設けられている。
【0022】
図2に示すように、前記ドレンポンプ29は、ドレンタンク28の図で左側上部位置してヒートポンプユニット21に配設されている。そして、ドレンポンプ29の吸込み管29aが図で右方に延び、その先端が前記最深部28a部分に配置されている。また、図示はしないが、ドレンポンプ29の吐出管が、前記排水ホース16の排水弁15よりも下流側部分に連結されている。これにて、例えば定期的にドレンポンプ29を一定時間駆動することにより、ドレンタンク28に溜まった除湿水を、排水ホース16から本体2外に排出するようになっている。
【0023】
そして、本実施形態では、前記除湿水排出経路の一部、この場合前記ドレンタンク28内に、除菌剤31が、最深部28a部分に位置して除湿水が接触するように設けられている。このとき、
図3、
図4に示すように、ドレンタンク28の突出部30の上面には、開口部を塞ぐように閉塞板32が設けられており、その閉塞板32の中央部に、前記最深部28aの上部に位置して円形の穴からなる投入口32aが形成されている。前記除菌剤31は、粒状をなし、本実施形態では、除菌剤ケース33内に所要量が収容された状態で設けられる。
【0024】
前記除菌剤ケース33は、上面が開口した円筒容器状をなすと共に、その周壁部は通水可能なメッシュ状とされ、上端部に、図で右方に延びる水平な板状部33aが一体に設けられている。この除菌剤ケース33は、前記閉塞板32の投入口32aに対し、上方から差込まれ、前記板状部33aが閉塞板32の上面に引っ掛かるようにして取付けられる。このとき、除菌剤ケース33内の除菌剤31は、ドレンタンク28の最も低くなる部分である最深部28aに少なくとも一部が配置される。
【0025】
本実施形態では、前記除菌剤31として、例えば、除菌作用を呈する銀イオンを、溶解性ガラスとしてのリン酸系ガラス又はホウ酸系ガラスに担持させたものが使用される。この除菌剤31について、簡単に説明しておく。即ち、この除菌剤31は、リン酸成分(P
2O
5)を主体としており、酸化銀等を含んでいる。前記酸化銀は、除菌性を有する銀イオンを除菌成分として水中に溶出して、除菌効果を発揮するものである。この酸化銀の含有量が0.1重量%以下であると実質的な除菌作用が得られなくなる。そのため、酸化銀の含有量は、少なくとも0.1重量%以上であることが好ましい。
【0026】
また、除菌剤31は、酸化マグネシウムや酸化亜鉛を含んでいても良い。前記酸化亜鉛は、主には酸化銀の褐色化を防止する機能を担うものである。また、この酸化亜鉛から溶出される亜鉛イオンにも、銀イオンほどではないが除菌作用が認められることから、除菌成分としての機能をも担う。除菌剤31を青色に着色するための金属酸化物として酸化コバルトを添加しても良い。この酸化コバルトは、例えば0.01%程度の極めて少ない含有量でも除菌剤31を鮮やかな青色に着色することができ、除菌剤31の有無を確認しやすくする点で有効である。
【0027】
本実施形態では、溶解性ガラスとしてリン酸系ガラスを用いている。リン酸系ガラスのリン酸成分(P
2O
5)は、除菌剤31の水への溶解性を有するためのものであると共に、ガラスの透明性を維持したり、銀イオンを水中に徐溶させる効果を出したりするものである。尚、このとき、溶解性ガラスとして、ホウ酸系ガラスを用いた方が、リン酸系ガラスを用いたものよりも水に溶けやすくなるため、少量の水しか接触しない(水との接触時間が短い)場合でも、除菌剤を効率良く溶け出させることができる。
【0028】
次に、上記構成の作用・効果ついて述べる。上記構成の洗濯機1においては、例えば洗濯運転の後に実行される衣類を乾燥する乾燥運転において、除湿装置としてのヒートポンプユニット21が駆動されることにより循環空気の除湿が行われ、効果的な乾燥運転が行われる。このとき、蒸発器23部分で生じた除湿水は底板部26の通水孔26aを通してドレンタンク28内に落下し、一時的に貯留される。ドレンタンク28内に溜められた除湿水は、ドレンポンプ29が定期的に駆動されることにより、外部に排出される。
【0029】
ここで、ドレンタンク28内には、一時的にせよ除湿水が溜められるものであるから、バイオフィルムやカビ等が繁殖し、異臭が発生したり、排水経路を詰まらせたりする不具合の発生が懸念される。特に、乾燥運転を実行しなければ除湿水の排水はしないうえ、完全に排出できず必ず一部はドレンタンク28内に残る構成であるため、長期不使用の場合に繁殖する虞があった。この場合、従来では、除湿装置から排出される除湿水までの除菌性能は求められていなかった。これに対し、本実施形態では、除湿水の排水経路に位置して、除菌剤31を除湿水が接触するように配置する構成とした。これにより、除湿水に対する除菌を図ることができ、除湿水におけるバイオフィルムやカビの繁殖による異臭の発生や、排水経路のつまりといった不具合の発生が未然に防止される。
【0030】
このとき、本実施形態では、ドレンタンク28内に除菌剤31を設けたことにより、ドレンタンク28内に溜められた除湿水中に、除菌剤31が常に浸った状態とすることができ、除湿水の効果的な除菌を図ることができる。また、除菌剤31は、ドレンタンク28の最も低くなる部分である最深部28a内に配置されているので、ドレンタンク28内の除湿水の多寡にかかわらず、常に除菌剤31を除湿水に接触させることができ、除菌を図ることができる。
【0031】
更に、ドレンタンク28には、除菌剤31を投入するための投入口32aを設けたので、除菌効果が低下してきたときや、除菌性能を上げたいような場合に、除菌剤31の補充や追加を容易に行うことができる。投入口32aは、最深部28aの上方に位置して設けられているので、除菌剤31を補充するような場合に、必要な場所に確実に投入することができる。
【0032】
本実施形態では、除菌剤31を、除菌剤ケース33に収容された形態で設置するようにしたので、粒子状の除菌剤31がばらけることなく、取扱いが簡単となり、除菌剤31の設置や交換を容易に行うことができる。除菌剤ケース33は、ドレンタンク28内で最も低くなる最深部28a部分に、除菌剤31の少なくとも一部が配置されるようにして設置されるので、必要な場所に確実に除菌剤31を配置することができる。
【0033】
このように、本実施形態の洗濯機1によれば、除湿水の排水経路に位置して、除湿水が接触するように除菌剤31を配置したので、除湿水に対す除菌が考慮されていない従来のものと異なり、除湿水に対する除菌を図ることができる。この結果、除菌剤31を効果的に配置することができ、洗濯機1の内部のうち使用者が直接清掃できないドレンタンク28など、除湿水におけるバイオフィルムやカビの繁殖による異臭の発生や、排水経路やドレンポンプ29の吸込み管29aのつまりといった不具合の発生を未然に防止することができるという優れた効果を奏するものである。
【0034】
尚、上記した第1の実施形態では、ドレンポンプ29を定期的に駆動するようにしたが、例えばドレンタンク28内に水位センサを設けて、ドレンタンク28の水位が所定以上になったときにドレンポンプ29を運転するように構成しても良い。除湿水排水経路としては、ドレンタンク28を設ける構成に限らず、排水経路のうちいずれかに、そこを通る除湿水が接触するように除菌剤を設ければ良く、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、除湿水の経路だけでなく、洗濯水の経路(給水経路等)についても、除菌剤を設けても良いことは勿論である。
【0035】
さらには、上記第1の実施形態では、ヒートポンプユニット21にドレンタンク28に適用するようにしたが、除湿装置としてヒートポンプ式のものに限定されることはない。即ち、ヒートポンプユニット21に代えて、熱交換器に給水して除湿する水冷除湿や、送風によって熱交換器を冷却する空冷除湿、ペルチェユニットによって熱交換器を冷却するペルチェ冷却除湿によって除湿した除湿水を貯留するタンクに、除菌剤を設けるようにしても良い。
【0036】
(
参考形態)
次に、循環ポンプを備えたドラム式の洗濯乾燥機に適用した
参考形態について、
図5から
図9を参照して説明する。
図5は、
本参考形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)40の全体構成を示し、また、
図6は、洗濯機40の内部の水の通る経路に関する構成を概略的に示している。
【0037】
図5に示すように、全体としてほぼ矩形箱状をなす本体41の前面側の中央部には、洗濯物出入口42が形成されると共に、当該出入口42を開閉する扉43が設けられている。また、本体41の前面部の上部には操作パネル44が設けられており、その裏側に運転制御用の制御装置45が設けられている。
【0038】
図6にも一部示すように、前記本体41の内部には、横軸円筒状の水槽46が配設されている。この水槽46は、複数(例えば左右一対)のサスペンション47によって、本体41内に弾性支持されている。この水槽46の後端側中心部には、例えばブラシレスDCモータからなるアウタロータ形のモータ48が配設されている。前記水槽46内には、横軸円筒状をなし衣類が収容される槽体としてのドラム50が回転可能に配設されている。前記モータ48の回転軸48aが、水槽46の背面を貫通して、ドラム50の後端側中央部に連結されている。
【0039】
前記ドラム50の周壁(胴部)には、多数の小孔50aが全域にわたって形成されていると共に、洗濯物掻き上げ用の複数のバッフル50bが設けられている。このドラム50の前面部には、衣類が出し入れされる開口部51が設けられている。前記水槽46の前面部には、前記開口部51に連なる投入口52が形成されており、この投入口52と前記洗濯物出入口42とがベローズ52aを介して連通している。
【0040】
前記水槽46の背面側の底部には、排水口53が形成されている。この排水口53には、機内排水ホース54の基端部が接続されている。前記本体41の底板41aには、前側部に位置してフィルタユニット55が設けられている。このフィルタユニット55の詳細については後述するが、このフィルタユニット55には、上部にホース接続口55aが設けられ、前端部にキャップ56が装着されている。前記ホース接続口55aには、前記機内排水ホース54の先端部が接続されている。
【0041】
また、フィルタユニット55の下部には、排水弁57が接続され、この排水弁57の出口側に排水パイプ58が接続されている。この排水パイプ58の先端部は、本体41の底板41aを通って機外に臨み、図示しない機外排水ホースに接続される。これにて、排水弁57が開放動作されると、水槽46内の水が、フィルタユニット55を通った後、排水パイプ58から排出される。これら排水口53、機内排水ホース54、フィルタユニット55、排水弁57、排水パイプ58等から排水経路49が構成されている。
【0042】
前記フィルタユニット55の後端部には、循環ポンプ59が設けられている。この循環ポンプ59は、前記フィルタユニット55に臨んで吸入口を有しており、前記水槽46及びドラム50内の水を排水口53、機内排水ホース54及びフィルタユニット55を介して吸引する。この循環ポンプ59の上部には、吐出口59aが設けられ、この吐出口59aに送水ホース60の基端部が接続されている。この送水ホース60は、中間部が前記ベローズ52aの周側方から上方へ延びており、その先端部が前記水槽46の投入口52の上部に形成された噴水ノズル61に接続されている。
【0043】
前記噴水ノズル61は、水を前記ドラム50の内下部(厳密には正面から見てやや右寄りの下部)に向けて、矢印B方向(
図5参照)に噴射するように構成されている。これにより、循環ポンプ59が駆動されることにより、前記水槽46内の水が、排水口53、機内排水ホース54、フィルタユニット55及び送水ホース60を通って、噴水ノズル61からドラム50内にシャワー状に放水される。これにて、循環ポンプ59、送水ホース60、噴水ノズル61等から、循環経路62が構成されている。
【0044】
図5に示すように、フィルタユニット55の前方上部には、エアトラップ63が設けられている。一方、本体41内の最上部には水位センサ64が配設されている。これらエアトラップ63と水位センサ64とが、エアチューブ65によって接続されている。これにて、水位センサ64により、前記水槽46内の水位が、前記機内排水ホース54、フィルタユニット55、エアトラップ63及びエアチューブ65を介して検出される。
【0045】
そして、
図6にも示すように、前記本体41内の上部には、前記水槽46内への給水を行う給水経路66が、次のようにして設けられる。即ち、前記本体41の後端上面部には、水道に接続される水道水給水口67が設けられていると共に、風呂水ホースが接続される風呂水給水口68(
図6のみ図示)が設けられている。前記水道水給水口67は、給水弁69に接続され、この給水弁69は、接続パイプ70を介して注水ケース71の入口部に接続されている。前記注水ケース71の出口部が、給水ホース72を介して前記水槽46に接続されている。図示はしないが、この前記注水ケース71の内部には、洗剤貯留部等が設けられている。これにて、給水弁69の開放動作により、水道水は、水道水給水口67から給水弁69、接続パイプ70、注水ケース71、給水ホース72を介して水槽46に供給される。
【0046】
また、
図6に示すように、前記風呂水給水口68には、風呂水ポンプ73が接続され、この風呂水ポンプ73の出口部が前記注水ケース71に接続されている。図示はしないが、前記風呂水給水口68には、風呂水ホースの基端部が接続されると共に、その風呂水ホースの先端部が、バスタブ内の残り湯に浸かるように配置される。これにて、前記風呂水ポンプ73の駆動により、風呂水は、風呂水ホース、風呂水給水口68、風呂水ポンプ73、注水ケース71、給水ホース72を介して水槽46に供給される。
【0047】
更に、
図5に示すように、前記本体41内には、ドラム50内の洗濯物を乾燥するための乾燥ユニット74が設けられている。この乾燥ユニット74は、送風ファン75、ヒータ76、循環ダクト77等から構成されている。循環ダクト77内には除湿手段(例えばヒートポンプ)を設けても良い。前記水槽46の上面部の前後の端部には、夫々振動を検出するための振動センサ78,78が設けられている。
【0048】
詳しい説明は省略するが、前記制御装置45は、ユーザによる操作パネル44の操作信号や、各種センサの検出信号に基づき、運転制御プログラムに従って給水弁69、風呂水ポンプ73、排水弁57、モータ48、循環ポンプ59等の各機構(全体として洗濯機構が構成される)を制御し、洗い、すすぎ、脱水などの各行程からなる洗濯運転を実行する。このとき、洗い及びすすぎの行程においては、循環ポンプ59を駆動させ、循環水流(噴水ノズル61からの洗濯水の噴出)による洗い、すすぎの効果を高めるようにしている。また、制御装置45は、洗濯運転終了後に、乾燥ユニット74を制御して乾燥運転を実行する。
【0049】
ここで、
図7及び
図8を参照して、前記フィルタユニット55について述べる。このフィルタユニット55は、フィルタケース79内に、前記キャップ56の後面側に一体的に設けられたリントフィルタ80が収納されて構成される。前記フィルタケース79は、前後方向に延びる筒状をなし、その前面開口部部分に前記キャップ56が着脱可能に装着される。また、フィルタケース79の後端部に、前記循環ポンプ59が設置されている。このとき、
図8に示すように、前記本体41の前面下部には、キャップ56の前方に位置して出し入れ用の開口部が設けられると共に、その開口部を開閉可能に塞ぐカバー41bが設けられている。
【0050】
前記キャップ56の後面側に設けられるリントフィルタ80は、合成樹脂製で、上面側が開口した容器状をなしている。そして、このリントフィルタ80の周壁部および底部に通水が可能な孔80aが多数個形成されている。
図7に示すように、前記キャップ56の前面にはつまみ部56aが設けられ、後部側の外周部には雄ねじ部56bが設けられている。前記フィルタケース79の入口部分の内周部には雌ねじ部79aが設けられている。リントフィルタ80をフィルタケース79内に前方から挿入し、キャップ56を回転させて雄ねじ部56bをフィルタケース79の雌ねじ部79aに螺合させることにより、リントフィルタ80はフィルタケース79に着脱可能に取付けられる。
図8に示すように、ユーザは、前記カバー41bを開放させた状態で、キャップ56を回転操作することで、リントフィルタ80をフィルタケース79に対して出し入れすることが可能である。
【0051】
さて、
本参考形態では、上記した給水経路66、循環経路62、水槽46、排水経路49のうち、水が触れる部位を構成する合成樹脂製部品(特にポリプロピレンを主体とした部品)においては、殺菌作用を有する金属イオンを担持した徐溶性の除菌剤を含んだ合成樹脂材料(「除菌剤含有樹脂材料」という)が用いられている。具体的には、前記給水経路66のうち、水道水給水口67、風呂水給水口68、接続パイプ70、注水ケース71、給水ホース72、風呂水ホースが、合成樹脂製部品であり、それらが除菌剤含有樹脂材料から構成されている。
【0052】
また、前記循環経路62のうち、送水ホース60、噴水ノズル61が、合成樹脂製部品であり、それらが除菌剤含有樹脂材料から構成されている。前記水槽46も、除菌剤含有樹脂材料から構成されている。前記排水経路49のうち、排水口53、機内排水ホース54、フィルタユニット55のフィルタケース79及びリントフィルタ80、排水パイプ58が、合成樹脂製部品であり、それらが除菌剤含有樹脂材料から構成されている。尚、除菌剤含有樹脂材料から構成される部品は、上記した全てでなく、そのうちの一部であっても良い。
【0053】
前記合成樹脂材料(例えばポリプロピレン)に含まれる徐溶性の除菌剤は、上記第1の実施形態で述べたと同様に、除菌作用を呈する金属イオン(例えば銀イオン)を、溶解性ガラス(例えばリン酸系ガラス又はホウ酸系ガラス)に担持させたものが使用される。この除菌剤は、マスターバッチの形態(ペレット状)で提供されるようになっている。このマスターバッチは、分散性を上げるために除菌剤を超微粒子状にすると共に、例えばエチレン−プロピレン共重合体を凍結粉砕して微粉末にし、それらを混合してペレット化することにより製造される。そして、その除菌剤のマスターバッチを、樹脂材料(例えばポリプロピレン)に所定量配合した上で、部材の成型が行われることにより、除菌剤が練り込まれた部品が得られるようになっている。
【0054】
このとき、
本参考形態では、
図9に示すように、合成樹脂製部品の配置場所に応じて、除菌剤の含有比率(濃度)が異なる少なくとも2種類の除菌剤含有樹脂材料が用いられている。即ち、給水経路66を構成する部品については、除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率が、0.8%とされる。循環経路62を構成する部品の除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率は、0.4%とされる。水槽46を構成する除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率は、0.4%とされる。排水経路49を構成する部品については、除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率が、0.8%とされる。
【0055】
次に、上記構成の作用・効果ついて述べる。上記した構成の洗濯機40において、衣類の洗濯運転を行うにあたっては、水(水道水或いは風呂水)は給水経路66を通って水槽46に溜められ、また循環ポンプ59により循環経路62を循環する。洗濯運転に供された水は、洗い行程やすすぎ行程が終了した後、排水経路49を通って排出される。このとき、
本参考形態では、上記給水経路66、循環経路62、水槽46、排水経路49のうち、水が触れる部位を構成する合成樹脂製部品に、除菌剤が練り込まれた除菌剤含有樹脂材料を採用している。
【0056】
これにより、水の流れる経路において、樹脂部品から除菌剤が溶け出すことによる除菌効果が得られ、構造上、水が流れにくく溜まりやすい場所でも、水の除菌を図ることができ、バイオフィルムやカビの繁殖による異臭の発生や、経路のつまりといった不具合の発生が未然に防止される。
【0057】
ここで、水の経路のうち、給水経路66及び排水経路49については、循環経路62や水槽46と比べて、水と部品との接触時間が比較的短くなっている。そのため、給水経路66及び排水経路49においては、除菌剤の溶け出す量が循環経路62や水槽46と比べて少なく、その分だけ除菌効果が低くなる虞がある。ところが、
本参考形態では、循環経路62や水槽46を構成する部品の除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率が0.4%であるのに対し、給水経路66及び排水経路49を構成する部品については、除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有比率を、0.8%と高いものとしている。
【0058】
これにより、給水経路66、循環経路62、水槽46、排水経路49の全体として、ほぼ一定(均等)の除菌性能を得ることができる。また、給水経路66、循環経路62、水槽46、排水経路49を構成する合成樹脂製部品については、除菌剤が溶け出すことによる劣化が起こる。この場合、除菌剤の含有比率が大きい除菌剤含有樹脂材料ほど劣化しやすいものとなるが、これを除菌剤が溶けにくい部位(給水経路66及び排水経路49)に用いているので、全体として劣化スピードを揃えることもできる。
【0059】
このように、
本参考形態の洗濯機40によれば、給水経路66、循環経路62、水槽46、排水経路49の水が触れる部位の合成樹脂製部品に、除菌剤含有樹脂材料を採用するようにした。これにより、水の流れる経路における除菌を図ることができる。この結果、除菌剤を効果的に配置することができ、バイオフィルムやカビの繁殖による異臭の発生や、経路のつまりといった不具合の発生を未然に防止することができるという優れた効果を奏するものである。特に、給水径路66は本体41の上方にあり、湿気がたまりやすい事情があるが、使用者がバイオフィルムやカビの繁殖を認識できず、また分解して清掃できない部品に適用し、繁殖を防止することができる効果がある。除菌剤ケースを経路内に配置する場合と異なり、経路内の送水の邪魔になるおそれがない。
上記参考形態には、次の第1、第2の洗濯機が開示されている。
(第1の洗濯機)
本体内に設けられた水槽と、
この水槽内に設けられ衣類が収容される槽体と、
この槽体内の衣類の洗濯を行う洗濯機構と、
前記水槽内への給水を行う給水経路と、
前
記水槽からの排水を行う排水経路とを備え、
前記給水経路、水槽、排水経路の少なくともいずれかにおいて、水が触れる部位を構成する合成樹脂製部品には、殺菌作用を有する金属イオンを担持した徐溶性の除菌剤を含んだ合成樹脂材料が用いられていることを特徴とする洗濯機。
(第2の洗濯機)
上記第1の洗濯機において、前記合成樹脂製部品の配置場所に応じて、前記除菌剤の含有比率が異なる少なくとも2種類の合成樹脂材料が用いられていることを特徴とする洗濯機。
【0060】
尚、上記
参考形態では、除菌剤含有樹脂材料の除菌剤の含有率を(濃度)を、2種類に異ならせるようにしたが、部位によって3段階以上に異ならせるようにしても良い。循環経路62を有していない洗濯機であっても適用することができる。また、合成樹脂製部品の材料としてポリプロピレン製を例にあげたが、合成樹脂材料としては、ポリプロピレンの他に、ABS、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等でも良い。上記した以外の部位、例えばドラム50等についても、少なくとも一部に合成樹脂製材料が使用されている場合には、抗菌剤を練り込んだものすることができる。
【0061】
その他、上記した各実施形態では、槽体として横軸周りのドラムを備えたドラム式の洗濯乾燥機に適用して述べたが、これに限らず、例えば水槽内に縦軸周りに回転可能な槽体としての回転槽を備えた縦軸型の洗濯機にも適用可能であるなど、槽体の形態に係らず広く転用可能である。その他、除菌剤の成分や組成等についても、様々な変更が可能である等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。