(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(a)において選択される引抜対象部は軌条直交方向に連続して開けられた削孔によりブロック状に分割されていることを特徴とする請求項2記載のバラスト軌道の路盤形成方法。
前記(ア)の工程の前に、前記鉄筋コンクリート路盤の下方にエアモルタルを打設してエアモルタル層を形成し、当該エアモルタル層の上にコンクリートを打設して保護層を形成する工程を含み、
前記(ア)の工程において、当該保護層上に前記支保を組むことにより、前記鉄板に負荷された荷重を前記支保及び前記支持層を介して前記保護層及び前記エアモルタル層で受けることを特徴とする請求項1ないし4記載のバラスト軌道の路盤形成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
河川の流路は、治水や利水のための河川改修整備または長期的な河岸の自然浸食により、人為的に変更されたり自然に変化したりすることがある。河川の流路が変更等されることにともない、鉄道営業線と河川の交差位置が変更され、旧河川上に鉄道用軌道を架け渡すために設置していた橋りょうやボックスカルバート(以下「橋りょう等」という。)が不要となる場合がある。この場合、橋りょう等を安全に運用するための保守点検コストの削減を図る観点から、橋りょう等の利用を廃して、旧河川を埋め立て、従来利用していた鉄筋コンクリート路盤を、砕石を投入して形成される路盤(以下「砕石路盤」という。)に変更することが考えられる。このような路盤構造の変更の要請は、河川に架け渡された橋りょう等に限らず、窪地のような凹地に架け渡された橋りょう全般にも生じ得る。
【0006】
しかしながら、砕石路盤に変更するために、橋りょう等の全部を解体撤去する方法を採ると、代替路線を仮設する等の大々的な工事が必要となるため、鉄道運行に支障をきたし、コストが増大するとともに工期が伸びてしまう。一方、砕石路盤に変更するために、橋りょう等の全部を砕石等で埋設し、その上に軌条を敷設する方法を採ると、軌条の高さ(レベル)を上げる工事が必要となり、鉄道車両の運行速度等に影響を及ぼしてしまう等の問題が生じる。加えて、各鉄道事業者は、軌道保守の観点から、線路下に電線路やガス管等の路盤横断物を埋設しようとする場合には路盤横断物を路盤の施工基面から所定の深さ以下(例えば施工基面から300mm以深)に埋設しなければならないといった基準を設けているところ、橋りょう等の全部を埋設してしまう方法では、埋設物が障害となって当該基準を充たすことができず、軌道保守に支障をきたすおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋の解体にともなうバラスト軌道の路盤形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋の解体にともなうバラスト軌道の路盤形成方法であって、
(ア)前記鉄筋コンクリート路盤の底面側に鉄板支持用の支保を組み、当該支保の上に鉄板を載置し、当該鉄板上に複数の断面円形部材を軌条直交方向に並べ、前記支保の高さを調整して前記鉄板と前記鉄筋コンクリート路盤との間に前記断面円形部材を挟み込む工程と、
(イ)前記支保の下端から前記鉄板までセメント系材料で埋め固めて、前記鉄板に負荷される荷重を受ける支持層を形成する工程と、
(ウ)前記鉄筋コンクリート路盤が軌条延伸方向に所望の間隔でブロック状に分割された状態となるように、前記鉄筋コンクリート路盤を軌条直交方向に切削する工程と、
(エ)ブロック状に分割された状態の鉄筋コンクリート路盤を個々のブロックごとに軌条直交方向に引き抜き、引抜くことにより生じた空間に砕石を投入することにより、前記鉄筋コンクリート路盤を順次砕石路盤に変更する工程と、
を含むことを特徴とする。前記(ア)の工程においては、前記鉄筋コンクリート路盤の底面側にパイプサポートを立設して鉄板支持用の支保を組み、このパイプサポートを伸縮調整して断面円形部材を鉄板と鉄筋コンクリート路盤との間に挟み込むようにしても良い。また、前記(ウ)の工程にいう「分割された状態」には、ほぼ分割された状態を含むものとし、かかる状態のブロックを引き抜く際には、打撃力等を加えて隣接するブロック状の部分と完全に分割してから、軌条直交方向に引き抜くものとする。
【0009】
本発明は、道床バラストを支持する鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋の解体にともなうバラスト軌道の路盤形成方法であって、
前記(エ)の工程が、
ブロック状に分割された状態の鉄筋コンクリート路盤のうち前記断面円形部材上にある各ブロックについて、
(a)いずれか1つを引抜対象部として選択し、
(b)引抜対象部周辺の道床バラスト含む砕石を除去し、前記断面円形部材上を滑らせるようにして当該引抜対象部を軌条直交方向に引き抜き、引き抜くことにより生じた前記鉄板上の空間に砕石を投入して砕石路盤を形成することにより、当該引抜対象部の区間を鉄筋コンクリート路盤から砕石路盤に変更した後、路盤上に道床バラストを埋め戻し、
(c)砕石路盤に変更された区間に隣接するブロックを次の引抜対象部として選択して前記(b)の工程を行うことを、前記断面円形部材上にある各ブロックについて個々に順次行う工程を含むものであっても良い。
【0010】
本発明は、前記(a)において選択される引抜対象部は軌条直交方向に連続して開けられた削孔によりブロック状に分割されていることが好ましい。
【0011】
本発明は、前記断面円形部材は単管パイプであり、ブロック状に分割された状態の鉄筋コンクリート路盤のうち前記断面円形部材上にある各ブロックが、少なくとも2本以上の単管パイプにより支承されるように、前記(ア)の工程において前記単管パイプを複数並べて挟み込むことが好ましい。
【0012】
本発明は、前記(ア)の工程の前に、前記鉄筋コンクリート路盤の下方にエアモルタルを打設してエアモルタル層を形成し、当該エアモルタル層の上にコンクリートを打設して保護層を形成する工程を含み、
前記(ア)の工程において、当該保護層上に前記支保を組むことにより、前記鉄板に負荷された荷重を前記支保及び前記支持層を介して前記保護層及び前記エアモルタル層で受けることが好ましい。
【0013】
本発明は、前記(エ)の工程の前に、前記鉄板の高さ位置近傍まで砕石による腹付盛土をして前記支持層の両脇に腹付部を形成し、当該腹付部の上に養生鉄板を敷く工程を含み、
前記(エ)の工程において、軌条直交方向に引き抜かれた前記ブロックを当該養生鉄板で受けるようにしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従前の軌条の高さを維持して鉄道車両の安全かつ所定のタイムスケジュールによる運行を確保しながら、鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋の解体にともなうバラスト軌道の路盤形成を実現することができる。本発明によれば、鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋の利用を廃して、鉄道橋を安全に運用するための保守点検コストの削減を図ることができる。本発明によれば、代替輸送路線を仮設する等といった大々的な工事が不要であり、鉄道車両の運行が無い深夜等の限られた時間帯において工事期限に間に合うように確実かつ効率的に工事を進めることができる。
【0015】
本発明によれば、道床バラストを支持する鉄筋コンクリート路盤が架け渡された鉄道橋にあっては、従前通りの鉄道の運行に支障をきたすことなく、道床バラストを支持する鉄筋コンクリート路盤が架け渡されていた区間に新たに砕石路盤を形成することができ、当該砕石路盤上に道床バストを埋め戻すことによりバラスト軌道を再構築することもできる。日中等の鉄道車両の運行量が多い時間帯においては通常の運転走行を可能とする状態に戻すことが可能であり、鉄道車両の運行に支障をきたすことなく、バラスト軌道が敷設された鉄道橋の鉄筋コンクリート路盤を解体して、バラスト軌道が敷設された砕石路盤に変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、
図1から
図22に基づいて単線のバラスト軌道が敷設された水路用のボックスカルバートを例として説明するが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、鉄筋コンクリート製の橋桁が架け渡された橋りょう(
図23から
図25参照)や、上り線または下り線の一方のみが鉄筋コンクリート製の橋りょうである場合にも適用することができ、更には、河川に架け渡された橋りょう等に限らず、窪地のような凹地に架け渡されたコンクリート製鉄道橋全般にも適用することができるものである。
【0018】
図1から
図3は、本発明が適用される前の、鉄道橋として利用されている水路用ボックスカルバート10を示したものであり、
図1は旧河川に設置された水路用ボックスカルバート10の上床版12上にバラスト軌道1が敷設された状況を模式的に示す平面図であり、
図2は
図1に示すボックスカルバート10を軌条延伸方向から模式的に示すA−A断面図であり、
図3は
図1に示すボックスカルバート10を軌条直交方向から模式的に示す正面図である。
【0019】
先ず、
図1から
図3に基づいて、本発明を適用する前の鉄道橋の状況を説明する。
図1に示す旧河川9は、以前は水路として利用されていたものであり、旧河川9にバラスト軌道1を架け渡すために、旧河川9を横断するように鉄道橋としてのボックスカルバート10が設置されている。このボックスカルバート10の上床版12を鉄筋コンクリート路盤として、当該路盤上にバラスト軌道1が敷設されている。即ち、道床バラスト4を支持する鉄筋コンクリート路盤(上床版12)が架け渡された鉄道橋(ボックスカルバート10)が、旧河川9を横断するように設置されているが、河川の流路が変更等されたことに伴い、本発明を適用する時点では旧河川9は水路として利用されていない。
【0020】
ボックスカルバート10は略ロ字状のトンネル11(貫通口)を有する角筒状の鉄筋コンクリート製のRC函体構造物であり、
図3に示すように、地盤面上に略水平に設置される底版13と、底版13のそれぞれの両端から鉛直方向に立ち上がる一対の側壁14と、それぞれの側壁14に架け渡されるように配置され天井部を構成する上床版12(「函体床版」と称することもある。)とを有する。両河岸の土手8には護岸壁が施工されており、護岸壁の傾斜面に沿って鉄筋コンクリート製のウイング15(土留め壁)がボックスカルバート10の側壁14に一体として設けられている。トンネル11内は、従来は河川の水路として利用されていたが、本発明が適用される時点では水路としての利用を廃している。
【0021】
上床版12を鉄筋コンクリート路盤として、この路盤上には道床バラスト4が敷設されており、道床バラスト4上に所定の間隔で多数の枕木5が配設され、これらの枕木5上に軌条3が設置されている。上床版12及びウイング15の幅員方向の両端部(路肩部)には地覆6が突設され、側面視で凹形状の構成となっており(
図2参照)、路盤上に敷設された道床バラスト4の落下を防いでいる。旧河川9の両岸には従来一般に用いられる施工方法により砕石路盤が形成され、この砕石路盤上に道床バラストが整形されている。この両岸の道床バラスト上と上床版12に支持された道床バラスト4上には軌条3が設置されており、本発明が適用される時点においても、このバラスト軌道上を所定のタイムスケジュールにて鉄道車両が運行している。したがって、鉄道橋としてのボックスカルバートを解体する等の工事は、鉄道車両の運行が無い深夜等の限られた時間帯において確実かつ効率的に行わなければならない。
【0022】
本形態においては、軌道保守の観点から、前述の基準を充たすように、ボックスカルバート10の上床版12を解体撤去するものである。トンネル11内は空洞であるから、上床版12を解体撤去することにより、路盤の施工基面から所定の深さ以下には路盤横断物を埋設してはならない等の基準を充たすように路盤や道床の厚さを確保することが可能となる。もっとも、鉄筋コンクリート製の上床版12は数十トンもの重量物であるため、本発明においては、その全てを一度に撤去せず、これをブロック状に分割して、分割された状態の鉄筋コンクリート路盤を個々に引き抜いて撤去するものである。この点、上床版12を細分化するほど各ブロックは軽量となるが、鉄道車両走行上の安全性に支障をきたしかねず、また、工期が長期化するおそれがある。そこで、本発明は、一定以上の幅ないし重量にて上床版12をブロック状に分割しつつ、引き抜き時の摩擦を低減して引抜き撤去を可能とすることにより、限られた工期内で確実に解体撤去作業を行うものである。
【0023】
次に、適宜図面を参照しつつ、各工程を説明する。
【0024】
<準備工程> 先ず、バックホウ等の重機を用いて、旧河川9内を土砂で埋め立て、旧河川9内に作業ヤードを形成する。この際、後述のエアモルタル等打設工程を施工するため、トンネル11に至るスロープ(図示しない)を造成しておく。重機の進入エリア等には適宜鉄板を敷いて養生しておく。鉄道車両運行のための信号通信ケーブル等が配線されている場合には、作業ヤードの外周に切り回す等して、各種作業の支障とならないようにしておく。ケーブルを保護するため、埋設された落ち蓋式のU型側溝内にケーブルを配置したり、高密度ポリエチレン管に挿通したうえでその周囲を仮囲い鋼板(万能鋼板)で防護したりするようにしても良い。バラスト軌道に沿って鋼製の歩道が並設されている場合には、足場を組んで、溶接作業により解体・撤去しておく。
【0025】
<エアモルタル等打設工程>
図4は、
図1から3に示すボックスカルバート10に対して、エアモルタル等打設工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図である。準備工程を経た後、
図4に示すように、鉄筋コンクリート路盤の下方、即ち上床版12の下方であるトンネル11内に、所定の高さ位置までエアモルタルを打設してエアモルタル層20を形成し、エアモルタル層20の上に保護層21を形成するコンクリートを打設する。
【0026】
ここで、本工程の一形態を適用した状況を詳細に説明する。エアモルタル層20の形成については、先ず、上流側及び下流側双方のトンネル11を塞ぐように所定の高さ位置まで型枠(図示しない)を設置し、作業ヤード内にアジテータトラック及びコンクリートポンプ車を進入させて、
図4に示すとおり、トンネル11内の底板13上から所定の高さ位置までエアモルタルを打設して、固化させることにより行う。エアモルタルはコンクリートに比して軽量であるため、自重による底版13への負荷を軽減しつつ、後述の支持層22の自重や、鉄板23に負荷された荷重等を支持することができる。エアモルタルを打設する高さは、後述する支保工程により組まれる支保25の高さ等を踏まえて決定する。
【0027】
保護層21の形成については、エアモルタルが固化した後、エアモルタル層20の打設面上に所定の厚さ(例えば20cm程度)のコンクリートを打設、固化させることにより行う。保護層21を形成することにより、エアモルタル層20の気泡内への水分の浸入を抑制してエアモルタル層20の劣化を抑制することができ、更には、支保25を頑強に支持することができる。保護層21内にはビニール製の防水シートを敷くようにしても良く、これによりエアモルタル層20への水分の浸入をより確実に抑制することができる。
【0028】
なお、エアモルタルや保護層21形成のためのコンクリートの打設を省略することもできる。すなわち、本発明においては、エアモルタル層20や保護層21の形成はいずれも任意的に選択されるものであり、例えば、底版13から支保を組んで後述の鉄板23を支持するようにしても良く、この場合には、支保の下端である底板13から鉄板23までセメント系材料で埋め固めて、鉄板23に負荷される荷重を受ける支持層のみを形成するようにしても良い。
【0029】
<支保工程>
図5は、
図4に示すボックスカルバート10に対して、支保工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、
図6は、単管パイプの周辺を拡大して示す
図5の部分拡大図である。エアモルタル等打設工程を経た後、
図5及び
図6に示すとおり、鉄筋コンクリート路盤である上床版12の底面側に鉄板支持用の支保25を組み、支保25の上に鉄板23を載置し、鉄板23と上床版12との間に複数の断面円形部材である単管パイプ24を軌条直交方向に並べ、支保25の高さを調整して鉄板23と上床版12との間に単管パイプ24を挟み込む。なお、断面円形部材としては、中空の単管パイプ24に限らず、断面円形である中実の丸棒部材であっても良い。
【0030】
ここで、本工程の一形態を適用した状況を詳細に説明する。先ず、エアモルタル等打設工程を経た後、鉄筋コンクリート路盤である上床版12の底面側、本形態においては保護層21上に従来一般に使用される伸縮可能なパイプサポート27を立設して、鉄板支持用の支保25を組む。パイプサポート27は支保25の高さ調整手段として機能する。パイプサポート27同士は、筋交いにより相互に連結して剛性を確保する。次に、支保25の上に鉄板23を載置する。鉄板23は、鉄筋コンクリート路盤である上床版12の裏面に対向して、別言すればトンネル11の天井面11aに対向して、略水平に保持された状態で支保25により支持されている。本形態においては、鉄板23は、支保25の一構成要素であるH鋼26により支持されている。それぞれのH鋼26は、軌条直交方向に沿って横向きに寝かせた状態(I型の状態)で、軌条延伸方向に一定の間隔で配置されており、上面側に鉄板23が載置され、下面側がパイプサポート27により支持されている。なお、これらの支保25の組み方は一例に過ぎない。
【0031】
次いで、鉄板23上に、所定の間隔おきに、複数の単管パイプ24を軌条直交方向に並べる。なお、軌条直交方向とは、厳密に軌条に直交する場合に限られず、ほぼ直交する場合であっても良い。単管パイプ24は、ボックスカルバート10の奥行き寸法(桁の幅)よりも長尺のものが用いられる。分割された状態にあるブロック状の各部分(以下、単に「ブロック」とも称する。)は、少なくとも2本以上の単管パイプ24により支承されるような間隔で配置されることが好ましい(
図11参照)。本形態のように、上床版12が各枕木5の間で分割されるように切削する場合には、各枕木5の間に単管パイプ24が2本ずつ配置されるような間隔で、鉄板23上に単管パイプ24を並べる。次いで、パイプサポート27の付属ハンドルを操作してパイプサポート27を伸長させることにより鉄板23を押し上げて、トンネル11と鉄板23との間に単管パイプ24を挟み込む。これにより、鉄板23上を断面円形の単管パイプ24が転動しないようにするとともに、上床版12を切断等して切り離した際のブロック120の自重による衝撃で単管パイプ24が潰れないようにすることができる。なお、単管パイプ24を所定の位置に挟み込む前に位置ズレが発生しないように、上床版12の側面に杭ないし釘を打ち付け、これに単管パイプ24の端部に巻き付けた鋼線を結びつけるようにして、位置を確定させておいたうえで、パイプサポート27を操作して伸長させて鉄板23を押し上げることにより、単管パイプ24を所定の位置で挟み込むようにしても良い。
【0032】
<支持層形成工程>
図7は、
図5に示すボックスカルバートに対して、支持層形成工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図である。支保工程を経た後、
図7に示すように、支保25の下端から鉄板23までセメント系材料で埋め固めて、鉄板23に負荷される荷重を受ける支持層22を形成する。本形態においては、作業ヤード内にアジテータトラック及びコンクリートポンプ車を進入させて、支保25の下端である保護層21の上面から鉄板23の底面位置までセメント系材料であるコンクリートで埋め固めることにより、保護層21の上に支持層22を形成し、鉄板23に負荷された荷重を支保25及び支持層22を介して保護層21及びエアモルタル層20で受けるように構成している。
【0033】
分割された状態にある各ブロック120は相当の重量物であるが(枕木設置スパンの一例である約60cm間隔でブロック状に分割した場合でも、1つのブロックあたり自重が約3〜4t)、支保25及び支持層22にて強固に支持することが可能である。分割されたブロック120等の荷重は支保25及び支持層22を介して保護層21やエアモルタル層20に伝わるが、支持層22がパイプサポート27の高さ寸法以上の厚みを持っており(
図7参照)、当該荷重が保護層21に伝わるまでの間に相当程度分散するため、トンネル11内の下層をエアモルタル層20で充たすことにしても十分な強度を保って支持することができる。なお、本形態においては、支持層22を形成するためのコンクリートが鉄板23の高さ位置まで打設されているが、砂利が混入されることによりH鋼26の凹凸部などの細部にコンクリートが入り込みにくい場合には、コンクリートの打設をH鋼26の下端の高さ位置までに止め、H鋼26の下端から鉄板23の高さ位置までをモルタルにより充填することにより、支保25の下端から鉄板23までセメント系材料の一種であるコンクリート及びモルタルで埋め固めて支持層を形成ようにしても良い。
【0034】
<腹付工程>
図8は、
図7に示すボックスカルバートに対して、腹付工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、
図9は、
図8に示すボックスカルバートを軌条延伸方向から模式的に示すB−B断面図である。後述の引抜工程の前に、
図8及び
図9に示すように、鉄板23の高さ位置近傍まで砕石による腹付盛土をして支持層22の両脇に腹付部31aを形成しておく。そして、腹付部31aの上に養生鉄板(図示しない)を敷き、軌条直交方向に引き抜かれたブロックを養生鉄板で受けるようにする。なお、腹付工程は、後述の引抜工程の前であれば足り、後述の分割工程を経た後に行っても良い。
【0035】
ここで、
図8及び
図9に示す本工程の一形態を詳細に説明する。先ず、支持層形成工程を経て、トンネル11内をモルタルやコンクリート等のセメント系材料で充填・固化させた後、作業ヤード内にバックホウを進入させ、
図8及び
図9に示すように、ボックスカルバート10の上流側及び下流側の埋立地面上に、鉄板23の高さ位置近傍まで砕石等による腹付盛土をして、支持層22の両脇に腹付部31aを形成しておく。腹付盛土内には、適宜、層圧管理材を挿入しておく。この腹付盛土により、上流側及び下流側双方のトンネル11の両脇は砕石等で覆われて埋設された状態となる。腹付部31aは、
図22に示すとおり、砕石路盤の下側の腹付部を構成する。腹付部31aを形成した後、ブロック120引き抜き用のバックホウ7を上床版12の近傍に移動させるためのスロープ(
図12参照)を岩ずり盛土材等を用いて築いておく。ブロック120を引き出す際の養生として、腹付部31aの上面に養生鉄板(図示しない)を敷いておく。
【0036】
上述の準備工程から腹付工程までは、道床バラスト4を支持する鉄筋コンクリート路盤(上床版12)が架け渡された鉄道橋の解体・撤去を伴うものではなく、平常どおりの鉄道車両の運行を確保することができる。
【0037】
<分割工程>
図10は、
図8に示すボックスカルバートに対して、分割工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図である。腹付工程を経た後、
図10に示すように、鉄筋コンクリート路盤である上床版12が軌条延伸方向に所望の間隔でブロック状に分割された状態となるように、上床版12を軌条直交方向に切削する。地覆6を備える場合には、地覆6の分割も行う。作業時間が深夜等の鉄道車両の運行が無い時間帯に限られているため、本形態においては、上床版12を概ね枕木1本ごとの設置間隔に対応させて約60cm間隔でブロック状に分割しておき、一回の作業で引抜き撤去する上床版12のサイズ及び重量を所定の範囲内に限定している。これにより、ブロック120の引抜き作業の負担や、路盤砕石や道床バラストの形成のための作業時間を減らし、限られた時間内で確実に作業を終わらせることができる。
【0038】
ここで、
図10に示す本工程の一形態を詳細に説明する。本形態においては、上床版12が各枕木5間を断面としてブロック状に分割された状態となるように切削され、
図10に示す場合にあっては上床版12が14個のブロック120に分割されている。上床版12を複数のブロック120に分割するための切削手段として、本形態においては、コアドリリングマシンとワイヤーソーイングマシンを適宜併用する。ただし、最初に引抜対象部として選択されるブロック121(以下「第1のブロック」という。)は、コアドリリングマシン等を用いて、軌条直交方向に貫通する引出し用縁切り削孔17(φ150)を上下方向に連続して開けることによりブロック状に分割しておくことが好ましい。引出し用縁切り削孔17により分割することにより、第1のブロック121に隣接するブロックとの接触面積が減り、第1のブロック121を引抜く際に生じる側面摩擦が低減するので引き抜き易くなる。
【0039】
上床版12をブロック状に分割するには、先ず、コアドリリングマシンを用いて通し穴18(φ75)を軌条直交方向に向けて穿設し、この通し穴18にワイヤーソーを通して輪切りすることにより切削して分断する。なお、上床版12上面から数cm(例えば3cm)下の位置に通し穴18を設け、上床版12上面から数cm下の位置から下方へ縦方向に切削する方法を採ることにより、回転切削中のワイヤーソーが路盤上に積載された砕石を噛んでしまうことを防ぐこともできる。上床版12上面から数cm以深までの部分は、引抜工程前までに、ブレーカーにより打撃力を加えて破壊することにより隣接するブロック120と完全に分割することが可能である。すなわち、「分割された状態」は、ほぼ分割された状態を含むものであっても良い。
【0040】
地覆6の分割は、地覆6の厚さが10数cm程度に過ぎないため、ブロック状に分割された状態にするための切削手段として例えばコアドリリングマシンを用いて、軌条直交方向に円筒状の地覆縁切り削孔16を連続して開けることにより行う。
図2及び
図9に示すように、上床版12の幅員方向の両端部(橋の路肩部分)には地覆6が突設され、側面視で凹形状の構成となっている。このうち、ブロック120の引き抜き方向側にある地覆6については、
図10に示すように、枕木5間に設定した分割面に沿って円筒状の地覆縁切り用削孔16を上下方向に連続して開けることにより、隣り合う地覆6同士を縁切りしておく。一方、ブロック120の引き抜き方向とは反対側にある地覆については、その高さ寸法により引抜き工程時に軌条3に衝突する可能性がある場合には、コアドリリングマシンを用いて切断のうえ解体撤去しておき、
図12に示すとおり、解体箇所に土のう30を積んでおいて砕石路盤31上に敷設された砕石等の落下を防いでおく。
【0041】
上床版12をブロック状に分割する都度、鉄道車両運行の安全確保のため、隣り合うブロック120同士を相互にプレート状の連結金具28で繋いでおく。これにより、鉄道車両がボックスカルバート10上を安全に通過できるようにしておく。また、ブロック120のそれぞれに、例えばU字状の鉄筋アンカーを打ち込むことにより、重機によりブロック120を引き抜き撤去する際のフック29を設けておく。各ブロック120を支える単管パイプ24のそれぞれには、ブロック120の自重や鉄道車両通過時の車両荷重等が負荷されるが、これらの荷重は支持層22中を分散して伝わるので、トンネル11内の下層をエアモルタル層20としても強度上問題ない。加えて、断面が円形の単管パイプ24を用いることにより荷重を分散できるので、パイプの変形を抑制できる。この点、単管パイプ24に代えてアングル鋼(山形鋼)を用いることとし、アングル鋼の折り曲げ部を上向きにして△状に配置することによってブロック120との接点が小さくなるようにしても良いが、引き抜き時に、ブロック120等の重みでアングル鋼がつぶれる可能性があることから、単管パイプ等の断面円形部材を用いることが好適である。
【0042】
<選択工程>(第1のブロック) 分割工程を経た後、鉄道車両の通過予定時刻を踏まえ、例えば各ブロック120を一晩に一つずつのペースで引き抜いて撤去するが、この引抜き工程に先立ち、ブロック状に分割された状態の鉄筋コンクリート路盤(上床版12)のうち断面円形部材(単管パイプ24)上にある各ブロック120について、いずれか1つを引抜対象部として選択する。本形態においては、前述のとおり、第1のブロック121が最初の引抜き対象として選択されている。
【0043】
<除去工程>(第1のブロック)
図11は、
図10に示すボックスカルバートに対して、除去工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、引抜対象部として選択したブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。本工程においては、引抜対象部周辺、即ち引抜き対象部として選択したブロック周辺の道床バラスト4を含む砕石を除去する。本形態においては、
図11に示すように、最初に引抜対象部として選択した第1のブロック121の周辺の道床バラスト4を含む砕石を第1のブロック121に被らないように斜面状に除去するものである。なお、作業の邪魔にならないように、好ましくは、第1のブロック121の上方にある枕木5を隣接する起終点方の枕木5に移動させて仮止めしておく。
【0044】
<引抜き工程>(第1のブロック)
図12は、
図11に示すボックスカルバートに対して、引抜き工程の一形態を適用中の状況を軌条延伸方向から模式的に示す説明図であり、ブロックの引き抜き方向を図中左向きの矢印で示している。除去工程(第1のブロック)を経た後、
図12に示すように、引抜対象部である第1のブロック121を断面円形部材である単管パイプ24の上を滑らせるようにして軌条直交方向に引き抜く。本形態においては、バックホウ7を上床版12の近傍に移動させ、バックホウ7のアームと第1のブロック121に設けられたフック29とをワイヤーで連結した後、第1のブロック121に固定された連結金具28を取り外し、土のう30を撤去した後、バックホウ7を後退移動させることにより第1のブロック121を単管パイプ24上をスライドさせるようにして引き抜いて撤去している。そして単管パイプ24の上を滑らせるようにして軌条直交方向に引き抜かれた第1のブロック121を腹付部31a上に敷設した養生鉄板(図示しない)で受けるようにしている。第1のブロック121を引き抜いた後は、第1のブロック121を支承していた単管パイプ24を撤去することが望ましい。
【0045】
上床版12はブロック120ごとに引き抜いて撤去されるが、スムーズにブロックを引き出せないと、所定の時間内に工事を完了することができないおそれがあるため、引き抜く際に過大な摩擦抵抗が発生しないように対策を講じておく必要がある。この点、本形態においては、2本の単管パイプ24上を滑らせるようにして第1のブロック121を引き抜くことにより、ブロックを引き抜く際の下面における接点が小さくなるため、引抜き時に第1のブロック121の底面に生じる摩擦力を低減することができる。2本の単管パイプ24上を滑らせることにより、安定して引き抜くことができる。また、第1のブロック121は引出し用縁切り削孔17を開けることによりブロック状に分割されているので、隣接するブロックとの接触面積が少なく、引抜き時にブロック121の側面に生じる摩擦力を低減することができるので、ブロックの引抜き作業をスムーズに行うことができる。なお、前述のとおり、ブロック121の引き抜き方向とは反対側にある地覆については解体撤去済みであるため、引き抜きの際にブロック121に突設された地覆が軌条3に接触するおそれはない。
【0046】
<砕石投入工程>(第1のブロック)
図13は、砕石投入工程及び埋戻し工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、引き抜いたブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。引抜き工程(第1のブロック)を経た後、第1のブロック121を引き抜くことにより生じた鉄板23上の空間に砕石を投入して砕石路盤31を形成する。投入される砕石は、粒度調整砕石である。砕石を投入する箇所は引抜対象部として選択されたブロック121周辺に限られているため、転圧作業を含め、短時間で行うことができる。これにより、引抜対象部として選択された第1ブロック121の区間を鉄筋コンクリート路盤から砕石路盤に変更することができる。
【0047】
<埋戻し工程>(第1のブロック) 砕石投入工程(第1のブロック)を経た後、
図13に示すように、路盤上に道床バラスト4を埋め戻す。埋め戻される道床バラスト4は、除去工程(第1のブロック)において除去した道床バラストを再利用しても良いし、新たに準備した道床バラストを含むものであっても良い。道床バラスト4が崩落しないように、ブロック121を引き抜いた箇所のバラスト軌道1の両側に大型土のう32を設置しておくようにしても良い(
図16参照)。道床バラスト4を埋め戻す箇所は引抜対象部のブロック121周辺の砕石路盤および未撤去の鉄筋コンクリート路盤(上床版12)上に限られているため、鉄道車両を運行に支障をきたすことなく、これらの作業を短時間で実施することが可能である。ブロック引抜き用のバックホウ7と砕石投入用の軌陸バックホウをそれぞれ準備すれば、限られた作業時間内でより確実に作業を終わらせることができる。道床バラスト4を投入して、砕石路盤31ないし未撤去の上床版12上にバラスト道床を復旧した後、枕木5を元の位置に戻して軌道を整備して、鉄道車両が運行可能な状態に復旧しておく。これにより、第1ブロック121の区間を道床バラスト4が敷設された砕石路盤31に変更することができる。なお、工期が夏場のような温度上昇期である場合には、道床安定剤を散布して軌条3の座屈を防ぐようにしても良い。
【0048】
<選択工程>(第2のブロック) 第1のブロック121を引抜き撤去することにより砕石路盤に変更された区間に隣接するブロック122を、次の引抜対象部(以下「第2のブロック」という。)として選択する(
図14参照)。
【0049】
<除去工程>(第2のブロック)
図14は、除去工程の一形態を第2のブロックに対して適用した状況を模式的に示す正面図であり、第2のブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。本工程においては、
図14に示すように、次の引抜対象部周辺、即ち第2のブロック122周辺の道床バラスト4を含む砕石を除去する。これにより、当該選択したブロック122を単管パイプ24の上を滑らせるようにして軌条直交方向に引き抜くことができる状態としておく。本工程は、例えば、翌日以降の鉄道車両の運行が無い時間帯を利用して行われる。前述の除去工程(第1のブロック)と同様、
図14に示すように、引抜対象部である第2のブロック122の周辺の道床バラスト4を含む砕石を第2のブロック122に被らないように斜面状に除去するとともに、好ましくは、第2のブロック122の上方にある枕木5を隣接する起終点方の枕木5に移動させて仮止めしておく。なお、道床安定剤を散布していたときは、バラスト融解剤を散布した後に除去作業を行う。
【0050】
<引抜き工程>(第2のブロック) 砕石除去工程を経て、第2のブロック122の周辺の砕石を撤去した後、引き抜き作業の障害となる位置に設置された土のう30、32を移動させておき、その後、第1のブロック121と同様の工程により、引抜対象部である第2のブロック122を軌条直交方向に引き抜く。第1のブロック121を撤去しているため、第1のブロック121に隣接していた第2のブロックの側面(
図14中左側面)は自由面となる。そこで、第2のブロック122が
図14中右側面において隣接する第3のブロック123(第2のブロックの次に引抜対象部として選択するブロック)と密接した状態にある場合には、第2のブロック122を自由面側に逃がすように引き抜くようにすれば、第3のブロック123との接触摩擦を断ち切ることができ、よりスムーズに引き抜くことができる。なお、底面側に発生する摩擦は単管パイプ24上を滑らせることにより低減されることは、第1のブロック121の引抜き工程で述べたのと同様である。
【0051】
<砕石投入工程>(第2のブロック)
図15は、砕石投入工程及び埋戻し工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、引き抜いた2番目のブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。引抜き工程(第2のブロック)を経た後、第2のブロック122を引き抜くことにより生じた鉄板23上の空間に砕石を投入して砕石路盤31を形成する。これにより、当該引抜対象部として選択された第2のブロック122の区間を鉄筋コンクリート路盤から砕石路盤に変更する。砕石を投入する箇所は引き抜き対象のブロック122周辺に限られているため、転圧作業を含め、短時間で行うことができる。
【0052】
<埋戻し工程>(第2のブロック) 砕石投入工程(第2のブロック)を経た後、
図15に示すように、路盤上に道床バラスト4を埋め戻して、路盤上にバラスト道床を復旧しておく。枕木5は元の位置に戻して軌道を整備しておき、鉄道車両が運行可能な状態に復旧しておく。その他の説明は第1のブロック121と同様であるから省略する。第2ブロックの除去工程、引抜き工程、砕石投入工程及び埋戻し工程は、一晩のうちに完了させることが望ましく、かつ、前述のとおり作業対象(区間)が限られていることから可能である。これにより、鉄道車両を運行に支障をきたすことなく、鉄道橋を構成する鉄筋コンクリート路盤の一部をバラスト軌道が敷設された砕石路盤に変更することができる。
【0053】
図16は、投入された砕石等の落下を防止するための土のうを設置した状況を模式的に示す平面図であり、特に、第2のブロック122について埋戻し工程を終えた後の状況を示すものである。
図16に示すように、砕石路盤31及び道床バラスト4が崩落しないように、適宜、ブロック121、122を引き抜いた箇所のバラスト軌道1の両側に大型の土のう32を設置しておく。
【0054】
<第3のブロック以降> 第2のブロック122の撤去作業を終えた翌日以降の鉄道車両の運行が無い時間帯を利用して、第3のブロック123以降の撤去作業を行う。第3のブロック以降についても、砕石路盤に変更された区間に隣接するブロックの1つを引抜対象部として選択して(選択工程)、除去工程、引抜き工程、砕石投入工程及び埋戻し工程を行うことを、断面円形部材である単管パイプ24上にある各ブロックについて個々に順次行う。例えば一晩に1ブロックのペースで、選択工程、除去工程、引抜工程、砕石投入工程及び埋戻し工程を行うことにより、一晩に1ブロック区間分のペースで、徐々にバラスト軌道が敷設された砕石路盤に変更することができる。
図17は、側壁上部以外の上床版を撤去した状況を模式的に示す正面図であり、引き抜いたブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。
図17に示すように、単管パイプ24上にあるブロック120を全て撤去して、砕石路盤31を形成し、当該砕石路盤31上に道床バラスト4を敷設して、砕石路盤31上にバラスト軌道1を復旧する。
【0055】
本発明によれば、従前の軌条を維持して鉄道車両の安全かつ所定のタイムスケジュールによる運行を確保しながら、深夜等の鉄道車両の運行が無い限られた時間帯において確実かつ効率的に工事を進めることができ、鉄筋コンクリート路盤としての上床版12を解体撤去して、バラスト軌道が敷設された砕石路盤に変更することができる。本発明によれば、夜間寝台鉄道車両や長距離貨物鉄道車両が運行されている鉄道区間のように、鉄道車両通過後に次の鉄道車両が通過するまでの間合い(間隔)が1時間程度に限られている場合であっても適用することが可能であり、仮に、一つの通過間隔内では除去工程、引抜き工程、砕石投入工程及び埋戻し工程の全てを施工できない場合又はそのおそれがある場合には、工程の途中で、道床バラスト4を除去したりブロックを撤去したりすることにより空になった空間にサンドルを仮設して軌条2を支えることにより鉄道車両を通過させ、通過後に工程の続きを施工することも可能である。
【0056】
図18は、除去工程の一形態を側壁上部のブロックに対して適用した状況を模式的に示す正面図であり、側壁上部のブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。側壁上部のブロック128を引き抜く際にも、当該ブロック128周辺の道床バラスト4を含む砕石を除去した後(
図18参照)、バックホウ7を用いてこれを軌条直交方向に引き抜いて撤去する。
図19は、埋戻し工程の一形態を適用した状況を模式的に示す正面図であり、引き抜いた側壁上部のブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。引き抜き対象として選択したブロック128を引き抜くことにより生じた空間に砕石を投入することにより砕石路盤31を形成する。これにより、鉄筋コンクリート路盤を砕石路盤に変更し、次いで、道床バラスト4を埋め戻し、枕木5を元の位置に戻してバラスト軌道1を復旧しておき、鉄道車両が運行可能な状態に復旧しておく。
【0057】
図20は、除去工程の一形態を側壁上部左端のブロックに対して適用した状況を模式的に示す正面図であり、側壁上部のブロック周辺を拡大して示す部分断面図である。側壁上部左端のブロック129を撤去する際にも、ブロック129の周辺の道床バラスト4を含む砕石を除去した後、これを軌条直交方向に引き抜いて、引抜くことにより生じた空間に砕石を投入することにより、鉄筋コンクリート路盤を順次砕石路盤に変更する。なお、右側側壁上部のブロックも同様の方法により撤去する。
【0058】
<整形工程>
図21は、整形工程の一形態を適用した状況を模式的に示す部分断面図である。
図22は、
図21に示すボックスカルバートを軌条延伸方向から模式的に示すC−C断面図である。上床版12を全て撤去して砕石路盤に変更した後(
図21参照)、大型土のう32を撤去しながら、腹付部31a上に粒度調整砕石を用いて腹付盛土をすることにより、
図22に示すように、側面視で台形状の法面を有する上部腹付部31bを砕石路盤31の両脇に整形する。次いで、上部腹付部31b上に道床バラスト4を敷設し、バラスト道床の両脇を整形する。以上の工程によれば、従前の軌条の高さを維持して鉄道車両の安全かつ所定のタイムスケジュールによる運行を確保しながら、砕石路盤31やバラスト道床を整形することができる。
【0059】
本発明は、橋台41の間に鉄筋コンクリート路盤としての橋桁42が架け渡された橋りょうタイプの鉄道橋にも適用することができる(
図23から
図25参照)。
【0060】
図23は、旧河川に設置された橋りょうの橋桁上にバラスト軌道が敷設された状況を軌条直交方向から模式的に示す正面図である。橋台41は、鉄筋コンクリート製の橋桁42の両端を支えている。橋桁42上にはバラスト軌道43が敷設されており、道床バラストが橋桁42により支持されている。橋台41間には旧来、水路(図示しない)が設けられていたが、本発明が適用される時点ではその用を廃している。橋りょうタイプの鉄道橋については、先ず、準備工程として、水路上に河床コンクリート44を整備する。既設の河床コンクリートが無い場合には、旧河川を埋め立てて整地した後、コンクリートを打設して新たに河床コンクリート44を形成する。河床コンクリート44があることにより、型枠の設置などエアモルタル層45の施工が行いやすくなるとともに、その上方に施工されるエアモルタル層45や支持層46、ブロック47等の荷重を分散して受けられるという効果がある。
【0061】
図24は、
図23に示す橋りょうに対して、エアモルタル等打設工程、支保工程及び支持層形成工程の一形態を適用した状況を軌条直交方向から模式的に示す正面図である。
図24に示すように、前記鉄筋コンクリート路盤(橋桁42)の下方にエアモルタルを打設してエアモルタル層45を形成し、当該エアモルタル層45の上にコンクリートを打設して保護層51を形成する工程を行った後、橋桁42の底面側に鉄板支持用の支保49を組み、支保49の上に鉄板48を載置し、鉄板48上に複数の断面円形部材としての単管パイプ50を軌条直交方向に並べ、支保49の高さを調整して鉄板48と橋桁42との間に単管パイプ50を挟み込む工程を行う。次に、支保49の下端から鉄板48までセメント系材料で埋め固めて、鉄板48に負荷される荷重を受ける支持層46を形成する工程を行う。保護層51上に支保49を組むことにより、鉄板48に負荷された荷重を支保49及び支持層46を介して保護層51及びエアモルタル層45で受けるようにしている。なお、単管パイプ50は、ブロック状に分割された状態の橋桁42のうち単管パイプ50上にある各ブロック47が、少なくとも2本以上の単管パイプ50により支承されるような間隔で鉄板48上に並べて挟み込まれている。これらの工程の詳細は、
図1から
図22を適宜参照して説明した前記実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0062】
図25は、
図24に示す橋りょうに対して、腹付工程及び分割工程の一形態を適用した状況を軌条直交方向から模式的に示す正面図である。支持層46を形成した後、鉄板48の高さ位置近傍まで砕石による腹付盛土をして支持層46の両脇に腹付部52aを形成し、腹付部52aの上に養生鉄板を敷く工程を行う。次いで、鉄筋コンクリート路盤としての橋桁42が軌条延伸方向に所望の間隔でブロック状に分割された状態となるように、橋桁42を軌条直交方向にワイヤーソーイングマシンやコアドリリングマシン等を用いて切削する工程を行う。本形態においては、引抜対象部として最初に選択される第1のブロック47aは、軌条直交方向に連続して開けられた引抜き用縁切り削孔53によりブロック状に分割されている。分割された各ブロック47は引き抜かれるまでは相互に連結金具54により固定されている。腹付工程、分割工程の詳細は、
図1から
図22を適宜参照して説明した前記実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
ブロック状に分割された状態の橋桁42のうち単管パイプ50上にある各ブロック47について、いずれか1つを引抜対象部として選択する。そして、引抜対象部である第1のブロック47a周辺の道床バラストを除去し、単管パイプ50上を滑らせるようにして第1のブロック47aを軌条直交方向に引き抜き、引き抜くことにより生じた鉄板48上の空間に砕石を投入して砕石路盤を形成することにより、当該引抜対象部の区間を鉄筋コンクリート路盤から砕石路盤に変更し、路盤上に道床バラストを埋め戻す工程を行う。道床バラストを埋め戻してバラスト軌道43を復旧することにより、軌道上を列車が運行可能となる。次いで、砕石路盤に変更された区間に隣接するブロック47を次の引抜対象部として選択して、当該工程を行うことを、単管パイプ50上にある各ブロック47に対して個々に順次行うことにより、橋桁42を順次撤去してバラスト軌道43が敷設された砕石路盤に順次変更することができる。これらの工程の詳細は、
図1から
図22を適宜参照して説明した前記実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
以上、主としてボックスカルバート10に本発明を適用した場合を主として説明したが、本発明は、スラブ軌道による鉄道橋を解体撤去して、当該鉄道橋が架け渡されていた区間に新たにバラスト軌道が敷設された砕石路盤を形成する場合の施工にも適用することができる。その他、本発明の技術的範囲が上記の形態ないし実施例に限定されないことはいうまでもない。例えば、本実施の形態においては、一晩に1ブロックのペースで除去工程、引抜き工程及び埋戻し工程を行っているが、鉄道車両が通過する間隔に余裕があれば、一晩で数ブロックを対象として施工をすることも可能である。また、1番目に引き抜くブロック(第1のブロック)は、上床版又は桁の中央に配置されているものであっても良く、これを引き抜いた後は、左右方向に同時に引抜き作業を行うようにしても良い。
【解決手段】鉄筋コンクリート路盤としての上床版12の底面側に支保25を組み、支保25の上に鉄板23を載置し、鉄板23と上床版12との間に複数の単管パイプ24を軌条直交方向に並べた状態で挟み込み、支保25の下端から鉄板23までをセメント系材料で埋め固めて支持層22を形成し、上床版12を軌条直交方向に分断して複数のブロック120に分割する。単管パイプ24により支持されるブロックのいずれか1つを選択して、選択したブロック周辺の道床バラスト4を除去し、単管パイプ24の上を滑らせるようにして引き抜いた後、引き抜くことにより生じた空間に砕石を投入して砕石路盤31を形成し、路盤上に道床バラスト4を埋め戻すことを、単管パイプ24により支持される個々のブロック120ごとに順次行う。