特許第6171981号(P6171981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6171981
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】キースイッチ構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20170724BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H01H13/02 A
   H01H9/18 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-41917(P2014-41917)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2015-170391(P2015-170391A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山田 茂
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−079354(JP,A)
【文献】 実開昭63−037032(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/02
H01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させる光透過部が形成されたキートップと、
前記キートップを押下可能に支持するリンク機構と、
前記キートップの裏面に向けて光を出射する光出射部を前記キートップの下方に備えたバックプレートと、
前記バックプレートに設けられ、前記リンク機構を支持する支持部材と、
前記バックプレートの上に配置され、前記キートップの押下操作により導通する接点部を備えたメンブレンシートと、
前記接点部を導通させる押圧部を備え、前記キートップを前記接点部から離間する方向に付勢する弾性部材と、
前記メンブレンシートに形成され、前記光出射部から出射された光を通過させると共に、前記支持部材をキートップ側に露出させる孔と、
前記メンブレンシートに設けられ、前記キートップの裏面で反射した光を受けて前記キートップの外周から前記キートップの外側へ反射させる第1の反射層と、
を有するキースイッチ構造。
【請求項2】
前記第1の反射層は、前記キートップを平面視した際に、前記キートップの外周よりもキートップ外側に設けられている、請求項1に記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記第1の反射層は、前記キートップを平面視した際に、前記キートップの外周よりもキートップ内側に設けられている、請求項2に記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記キートップの裏面に第2の反射層が設けられている、請求項1に記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記バックプレートには複数の前記キートップが間隔を開けて複数設けられ、前記キートップと前記キートップとの間にフレームが配置されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記第1の反射層は、前記フレームよりも反射率が高い、請求項5に記載のキースイッチ構造。
【請求項7】
前記第1の反射層は、前記メンブレンシートの表面に印刷されたインク層、前記メンブレンシートに貼り付けられる反射シート、または複数のシートが積層された前記メンブレンシートのうちの最上層に設けられた反射性シートである、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のキースイッチ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキースイッチ構造に関し、情報処理機器、測定機器、医療機器、パーソナルコンピュータ等などのキーボードに用いられるキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキーボードにおいて、キートップの文字等を光らせるために、キートップの下側に配置されるバックプレートの光出射部からキートップの裏側に光を照射し、キースイッチの文字、記号等を光らせるキースイッチ構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この種のキースイッチ構造では、キートップを押圧可能に支持するリンク機構を備え、このリンク機構はバックプレートに設けた光を透過させる材料からなる支持部材に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−235065号公報
【特許文献2】特開2011−18484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バックプレートから出射された光の一部は、キートップの裏面(下面)で反射し、キートップとバックプレートとの間の隙間を通り、キートップの外周から漏れる。このため、キーボードのおかれている環境が暗い場合には、キートップの周囲が光って見える。
【0005】
しかしながら、キートップとバックプレートとの間にはキートップを支持するリンク機構等が配置されているため、リンク機構等の影になった部分の光量が不足してキートップの周囲には暗い部分もあり、改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、キートップの周囲から光を出射させ、キートップの輪郭が明瞭になるキースイッチ構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のキースイッチ構造は、光を透過させる光透過部が形成されたキートップと、前記キートップを押下可能に支持するリンク機構と、前記キートップの裏面に向けて光を出射する光出射部を前記キートップの下方に備えたバックプレートと、前記バックプレートに設けられ、前記リンク機構を支持する支持部材と、前記バックプレートの上に配置され、前記キートップの押下操作により導通する接点部を備えたメンブレンシートと、前記接点部を導通させる押圧部を備え、前記キートップを前記接点部から離間する方向に付勢する弾性部材と、前記メンブレンシートに形成され、前記光出射部から出射された光を通過させると共に、前記支持部材をキートップ側に露出させる孔と、前記メンブレンシートに設けられ、前記キートップの裏面で反射した光を受けて前記キートップの外周から前記キートップの外側へ反射させる第1の反射層と、を有する。
【0008】
次に、請求項1に記載のキースイッチ構造の作用を説明する。
請求項1に記載のキースイッチ構造では、弾性部材の付勢力と対抗するようにキートップを押下すると、弾性部材が圧縮されて押圧部が接点部を導通させる。
バックプレートの光出射部か出射された光は、メンブレンシートの孔を介してキートップ側に出射され、キートップの裏面に照射される。そして、キートップの光透過部を透過した光がキートップ外側へ出射される。請求項1に記載のキースイッチ構造では、このようにしてキートップの光透過部を光らせることができる。
【0009】
また、キートップの裏面に照射された光は、キートップの裏面で反射し、反射した光の一部が第1の反射層に照射され、第1の反射層は、照射された光をキートップの外周からキートップの外側へ反射させる。このため、キートップの周囲が光って見える。
【0010】
第1の反射層は、照射された光をキートップの外周からキートップ外側へ効率的に反射するので、キートップの周囲は、例えば、リンク機構の影になって光量不足となる部位においても、第1反射層を設けない場合に比較して明るく光って見える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキースイッチ構造において、前記第1の反射層は、前記キートップを平面視した際に、前記キートップの外周よりもキートップ外側に設けられている。
【0012】
請求項2に記載のキースイッチ構造では、第1の反射層が、キートップを平面視した際に、キートップの外周よりもキートップ外側に設けられているため、キートップの外周よりもキートップ外側で光を反射させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のキースイッチ構造において、前記第1の反射層は、前記キートップを平面視した際に、前記キートップの外周よりもキートップ内側に設けられている。
【0014】
請求項3に記載のキートップ構造では、第1の反射層がキートップを平面視した際に、キートップの外周よりもキートップ内側に設けられているため、キートップの裏面で反射した光をキートップの裏面に向けて反射させることができる。キートップの裏面とキートップの外周よりもキートップ内側に配置された第1の反射層との間で光を多重反射させることができるため、キートップの光透過部に照射される光、またはキートップの外周よりも外側へ射出される光の光量を増加させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のキースイッチ構造において、前記キートップの裏面に第2の反射層が設けられている。
【0016】
請求項4に記載のキースイッチ構造では、キートップの裏面に、光出射部から出射された光を反射さする第2の反射層が設けられているため、光出射部から出射された光を第2の反射層でもって第1の反射層に向けて効率的に反射することができる。このため、第1の反射層で反射する光の光量が増加する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のキースイッチ構造において、前記バックプレートには複数の前記キートップが間隔を開けて複数設けられ、前記キートップと前記キートップとの間にフレームが配置されている。
【0018】
請求項5に記載のキースイッチ構造では、キートップとキートップとの間にフレームが配置されている。このため、第1の反射層はフレームによって一部が覆われるが、キートップの外周よりもキートップ外周側においては、キートップとフレームとの間の第1の反射層が枠状に光って見える。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のキースイッチ構造において、前記第1の反射層は、前記フレームよりも反射率が高い。
【0020】
請求項6に記載のキースイッチ構造では、第1の反射層がフレームよりも反射率が高いため、キートップとフレームとの間の第1の反射層は明るく、フレームは暗く見える。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のキースイッチ構造において、前記第1の反射層は、前記メンブレンシートの表面に印刷されたインク層、前記メンブレンシートに貼り付けられる反射シート、または複数のシートが積層された前記メンブレンシートのうちの着色された反射性シートである。
【0022】
請求項7に記載のキースイッチ構造では、第1の反射層がメンブレンシートの表面に印刷されたインク層である場合には、インク層で光が反射する。
第1の反射層がメンブレンシートに貼り付けられる反射シートである場合には、反射シートで光が反射する。
また、第1の反射層が、複数のシートが積層されたメンブレンシートのうちの反射性シートである場合には、反射性シートで光が反射する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、キートップの輪郭が明瞭になる、という優れた効果を有する。
請求項2に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、キートップを平面視した際に、キートップの外周よりもキートップ外側全周が光って見えるようになる。
請求項3に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、光照射部、及びキートップの外周側をより明るく光らせることができる。
請求項4に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、キートップの外周側をより明るく光らせることができる。
請求項5に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、キートップとフレームとの間が枠状に光って見え、光って見える部分の輪郭が明瞭となる。
請求項6に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、キートップとフレームとの間がフレームよりも確実に明るく見える。
請求項7に記載のキースイッチ構造は上記構成としたので、簡単な構成で第1の反射層を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係るキースイッチ構造を示すキートップを取り除いた平面図である。
図2】第1の実施形態に係るキースイッチ構造を示す縦断面図である。
図3】第1の実施形態に係るキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
図4】反射シートを除いたバックプレート、メンブレンシート、第1ホルダ、及び第2ホルダを示す平面図である。
図5】バックプレート、メンブレンシート、反射シート、第1ホルダ、及び第2ホルダを図4の矢印A方向から見た側面図である。
図6】バックプレート、メンブレンシート、反射シート、第1ホルダ、及び第2ホルダを図4の矢印B方向から見た側面図である。
図7】第1の実施形態に係るキースイッチ構造において、キートップの外周側が光っている様子を示す平面図である。
図8】第2の実施形態に係るキースイッチ構造を示す平面図である。
図9】第2の実施形態に係るキースイッチ構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明によるキースイッチ構造10の第1の実施形態について説明する。図1、及び図2に示すように、本実施の形態のキースイッチ構造は、キートップ11、キートップ11を支持する第1リンク部材12と第2リンク部材13とを含んで構成されるリンク機構18、弾性部材としてのラバードーム15、メンブレンシート16、バックプレート17、リンク機構18をバックプレート17に支持する一対の第1ホルダ14b、及び第2ホルダ14aからなるホルダ14等を含んで構成されている。
【0026】
バックプレート17は、透明等の光の透過性の高い材料(合成樹脂等)で形成された板材である。バックプレート17の一側面に対向してLED8が設けられている。LED8から出射した光は、バックプレート17の内部を屈曲しながら通過し、キートップ11の直下に形成された複数の反射部17cで反射してキートップ側へ出射する(図3の矢印U参照)。なお、本実施形態のLED8は、一例として白色の光を出射するものである。また、キースイッチ構造10の周囲の明るさを光センサで検出し、周囲の明るさが暗い場合にLED8が点灯されるようになっている。
【0027】
図3に示すように、反射部17cは、例えば、白色インクで印刷された丸形状のドットであるが、バックプレート17の一部を凹状に加工したものであっても良い。また、反射部17cは、少なくともキートップ11に形成された後述する文字、記号等の光透過部23の下方に形成されていれば良く、反射部17cの数、及び配置は、光透過部23の形状、サイズ等によって適宜変更されるものである。
【0028】
図2、及び図3に示すように、バックプレート17には、キートップ11と対向する位置に、リンク機構18を支持する一対の第1ホルダ14b、及び第2ホルダ14aが配置されている。第1ホルダ14b及び第2ホルダ14aは、透明、半透明または乳白色等の光の透過性の高い合成樹脂等の材料で形成されている。
【0029】
図4図6に示すように、第1ホルダ14bの下端面(バックプレート17側の端面)には、固定ピン14eが設けられており、この固定ピン14eがバックプレート17に形成された取付孔17bに挿入されている。取付孔17bの下面側の周囲には凹部(座グリ)17aが形成されおり、固定ピン14eの先端を加熱により凹部17a内で扁平に変形させることで、第1ホルダ14bをバックプレート17に固定している。また、インサート成形でも第1ホルダ14bをバックプレート17に固定可能である。
【0030】
また、第2ホルダ14aのバックプレート17側の下端面にも、固定ピン14eが設けられており、この固定ピン14eもバックプレート17に形成された取付孔17bに挿入されており、固定ピン14eの先端を加熱により凹部17a内で扁平に変形させることで、第2ホルダ14aをバックプレート17に固定している。また、インサート成形でも第2ホルダ14aをバックプレート17に固定可能である。
【0031】
(メンブレンシート)
図4、及び図5に示すように、メンブレンシート16は、配線パターン21が印刷された2枚のシート、すなわち上部シート16aと下部シート16cとの間にスペーサシート16bが挟まれており、これらが互いに貼合された構成とされている。各シートは光を透過する柔軟な合成樹脂素材で形成されている。メンブレンシート16は、下部シート16cがバックプレート17の上に配置されている。
【0032】
図3、及び図4に示すように、メンブレンシート16は、キートップ11の中央部の直下に接点部16eを備えている。接点部16eは、メンブレンシート16のスペーサシート16bを挟んで貼合された上部シート16aと下部シート16cの、対向するそれぞれの箇所に電気接点が配置されており、メンブレンシート16の接点部16eが厚さ方向に押圧されると、上部シート16aの電気接点と下部シート16cの電気接点とが接触して電気的に接続が行われ、スイッチとしては閉成状態となる。
【0033】
キートップ11の押下を解除すると、各構成部品はラバードーム15とメンブレンシート16との復元力(弾性)によって元の状態に戻り、上部シート16aの電気接点と下部シート16cの電気接点とが離間して電気的接触が絶たれるため、スイッチとしては開放状態となる。
【0034】
図3図5に示すように、第1ホルダ14b、第2ホルダ14aの位置に合わせてメンブレンシート16に設けられた孔19、20から、それぞれ第1ホルダ14b、第2ホルダ14aが突出している。
図1に示すように、キートップ11を平面視した際に、これらの孔19、20は、キートップ11の外周縁(外周部)よりも内側に形成されている。これらの孔19、20は、打ち抜き加工によって形成することが出来る。
【0035】
図3、及び図4に示すように、メンブレンシート16の上部シート16aには、ラバードーム15が接点部16eの上側に接着剤などで固定されている。図2に示すように、ラバードーム15はゴム等を素材として略カップ状に形成され、内面の中央部には接点押下部15aがメンブレンシート16に向けて突出形成されている。なお、本実施形態のラバードーム15は、光が透過するように半透明となっている。
【0036】
キートップ11が押下されることにより、キートップ11は、後述するリンク機構18の作用によってメンブレンシート16(バックプレート17)に向けて平行を保ちながら移動してラバードーム15が圧縮変形すると共に、内部に形成されている接点押下部15aがメンブレンシート16の接点部16eに当接してこれを押圧し、スイッチとして閉成状態となる。
【0037】
キートップ11の押下を解除すると、各構成部品はラバードーム15とメンブレンシート16との復元力(弾性)によって元の状態に戻り、メンブレンシート16の接点部16eが接触を失い、電気的接触が絶たれるためスイッチは開放状態となる。
【0038】
図3、及び図4に示すように、上部シート16aの孔19と孔19の間、及び孔19と孔20との間は、電気接点と接続される配線パターン21の形成された配線部22とされ、上部シート16aの上には、配線部22以外の表面(キースイッチ側の上面)全体に、上部シート16aよりも光の反射率の高い反射シート24が貼り付けられている。なお、反射シート24には、孔19、孔20、及び配線部22を露出させるための開口24Aが形成されている。
【0039】
本実施形態の反射シート24は、合成樹脂等からなる白色の粘着シートである。反射シート24は、合成樹脂が白色であっても良く、シート表面に白色のインクが印刷等により塗布されているものであっても良い。なお、本実施形態の反射シート24は、光を透過しない。本実施形態では、反射シート24の開口24Aから見える孔19、孔20、及び配線部22が、バックプレート17から出射された光をキートップ11側へ透過可能とする光透過部とされており、バックプレート17から出射された光は、光透過部、及び開口24Aを介してキートップ11の裏面に向けて出射される。なお、図1、及び図3に示すように、開口24Aのサイズは、キートップ11のサイズよりも小さく、キートップ11を平面視した際に、開口24Aはキートップ11の外周縁よりも内側に配置されている。即ち、キートップ11を平面視した際に、反射シート24はキートップ11の外周縁よりもキートップ内側に配置されている。
【0040】
(キートップ)
図1、及び図3に示すように、キートップ11の裏側(バックプレート17に対向する側)には、第1リンク部材12の他端側に設けられた摺動ピン12aを回転可能にかつ水平方向(キートップ11の裏面に沿った方向)に平行移動(運動)可能に支持する摺動ピン支持部11aと、第2リンク部材13の一端側に設けられた回転ピン13aを回転可能に支持する回転支持部11bとが設けられている。
【0041】
キートップ11は、透明または半透明(例えば、乳白色等)の合成樹脂により形成されている。キートップ11の表面には、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装が施されており、塗装の一部をレーザーマーキングなどで文字や記号の形に取り除くことにより、図3に示すような抜き文字(あるいは抜き記号)である光透過部23が形成されている。なお、この光透過部23は、キートップ11の表面に通常記されている文字、記号、数値等をすべて含むものである。
【0042】
(リンク機構)
図1図3に示すように、中央にラバードーム15が貫通するように枠形状とされた第2リンク部材13には、対向する2辺13dの中央付近に外側へ突出したリンク回転軸13cが設けられ、対向する2辺13dの他端側を連結するように摺動ピン13bが設けられている。
【0043】
第2リンク部材13の摺動ピン13bは,バックプレート17の第1ホルダ14bに回転可能かつ水平方向(バックプレート17の表面に沿った方向)に平行移動可能に挿入されて保持されており、第1リンク部材12の一端側に設けられた回転ピン12bはバックプレート17の第2ホルダ14aに回転可能に保持されている。
【0044】
第2リンク部材13と第1リンク部材12とは、第1リンク部材12の内側に第2リンク部材13が嵌り込む入れ子構造となっており、これら第2リンク部材13と第1リンク部材12とでパンタグラフ方式のリンク機構18が構成されている。
第2リンク部材13のリンク回転軸13cは、第1リンク部材12の枠内周面側に設けられた軸穴12cに嵌り込み、リンク回転軸13cを軸として第1リンク部材12と第2リンク部材13とが互いに回転可能に組み合わされている。
【0045】
これによりキートップ11が押下された際、回転可能に支持された回転ピン13a、及び回転ピン12bはキートップ11およびバックプレート17に対する位置は変わらず、その場所で回転するのみであるのに対して、摺動ピン13b、及び摺動ピン12aはキートップ11が押下されるにしたがってバックプレート17上およびキートップ11裏側を摺動する。
【0046】
これら第1リンク部材12、及び第2リンク部材13は、共に光を透過する透明、または半透明(乳白色等)の合成樹脂で形成されている。
【0047】
図2、及び図3に示すように、本実施形態のメンブレンシート16には、アッパーカバー28が被せられている。アッパーカバー28には、キートップ11を露出させるための開口30が形成されている。開口30のサイズは、キートップ11のサイズよりも大きく形成されており、キートップ11の外周と開口30との間には隙間S1が設けられている。このため、キートップ11を平面視すると、隙間S1を介して反射シート24が枠状に見えるようになっている。
【0048】
本実施形態の反射シート24は、メンブレンシート16の上面(上部シート16a)、キートップ11、及びアッパーカバー28よりも光の反射率(光の明度)が大きく設定されている。例えば、キートップ11、及びアッパーカバー28の色が、黒、赤、青、緑、紫、オレンジ、ピンク等である場合、反射シート24の色は、例えば、白、銀、パールホワイト等にすることが好ましい。また、キートップ11、及びアッパーカバー28の色が銀の場合には、反射シート24は、白、パールホワイト等にすることが好ましい。なお、反射シート24は、蛍光色であっても良い。
【0049】
(作用)
本実施形態のキースイッチ構造10では、キートップ11を押下すると、キートップ11は、リンク機構18の作用によってメンブレンシート16(バックプレート17)に向けて平行を保ちながら移動してラバードーム15を圧縮変形させ、接点押下部15aがメンブレンシート16の接点部16eを押圧してスイッチとして閉成状態となる。
【0050】
また、キートップ11から手を離すと、キートップ11は、ラバードーム15及びリンク機構18の作用によってメンブレンシート16(バックプレート17)から離れる方向に平行を保ちながら移動して元の高さまで復帰し、接点押下部15aがメンブレンシート16の接点部16eから離間してスイッチとしては開放状態となる(図2参照)。
【0051】
LED8が点灯すると、LED8から出射した光がバックプレート17の内部を屈曲しながら通過し、キートップ11の直下に形成された反射部17cで反射してキートップ側へ出射する(図3の矢印U参照)。バックプレート17からキートップ11側へ出射した光は、孔19、孔20を通過する共に、配線部22、第1ホルダ14b、第2ホルダ14a、第1リンク部材12、第2リンク部材13、及びラバードーム15を透過してキートップ11の裏面に至り、キートップ11を透過して文字、記号等の光透過部23からキートップ上方へ出射する。これによって、キートップ11の文字、記号等の光透過部23を光らせることができ、周囲の環境が暗い場合には、文字、記号等の光透過部23が光って見える。
【0052】
ところで、バックプレート17からキートップ11の裏面へ向けて出射された光は、キートップ11の裏面で様々な方向、具体的には、キートップ11の下方、及びキートップ11の斜め下方に反射し、キートップ11の裏面で反射した光の一部は反射シート24に向けて出射される。反射シート24に照射された光の一部は、キートップ11とメンブレンシート16との間の隙間S2を介してキートップ11の外周よりも外側へ向けて出射される(図2の矢印U参照)、他の一部はキートップ11の裏面に向けて出射される。
【0053】
キートップ11の外周よりも外側へ向けて出射された光は、白色の反射シート24で拡散反射するため、周囲の環境が暗い場合には、キートップ11の周囲が白く光って見える。
【0054】
ところで、反射シート24が設けられておらず、例えば、メンブレンシート16の表面が白色以外の暗い色である場合、光の反射率は低くなる(即ち、光が吸収される率が大きくなる。)。キートップ11の裏面で反射した光は、直接的にメンブレンシート16の表面に照射される場合と、リンク機構18を透過してメンブレンシート16の表面に照射される場合とが有り、後者の場合前者の場合に比較してメンブレンシート16の表面に照射される光が弱まる。このため、メンブレンシート16の表面において、キートップ裏面で反射した光が直接的に照射された部分は光って見えるが、リンク機構18、ホルダ14等を透過した光が照射された部分は、弱い光が照射されているため、見た目に光っては見えない場合がある。
【0055】
本実施形態では、メンブレンシート16の表面に反射率が高い白色の反射シート24を貼り付けているため、リンク機構18、ホルダ14等を透過した弱い光が照射された部位でも明確に光って見え、キートップ11の外周よりもキートップ外側全周が光って見える。これによって、キートップ11の外縁(輪郭)を明瞭に見せることができ、視認性が向上する。
【0056】
さらに、本実施形態のキースイッチ構造10では、キートップ11の外周を囲むようにアッパーカバー28が設けられており、キートップ11とアッパーカバー28との間に隙間S1が設けられているため、周囲が暗い環境下において、図7に示すように、反射シート24の光った部分(図7において、白色の部分)が、外輪郭の明確な枠状に見える。なお、図7は、キートップ11、及びアッパーカバー28が黒色で、反射シート24が白色としたキースイッチ構造10の一例を示しており、キートップ11、アッパーカバー28、及び反射シート24は、他の色であっても良いのは勿論である。
【0057】
本実施形態のキースイッチ構造10では、キートップ11の外周よりもキートップ内側に反射シート24が入り込んでいるので、開口24Aを出射した光が、キートップ11の裏面とキートップ11の外周よりもキートップ内側に入り込んだ反射シート24との間で多重反射し、光透過部23に照射される光の光量が増加するので、光透過部23をより明るく光らせることができる。
【0058】
本実施形態のキースイッチ構造10は、メンブレンシート16の表面に反射シート24を貼り付ける構成であったが、本発明はこれに限らず、例えば、上部シート16aの表面が印刷等により白色等に塗装されていても良く、メンブレンシート16の上部シート16a自体が反射率の高い白色等に着色された反射性シートであっても良い。白色等に着色された上部シート16aを用いることで、メンブレンシート16とは別部品である反射シート24は必要無くなる。
【0059】
[第2の実施形態]
本実施形態では、図示を省略するが、光透過部23を除くキートップ11の裏面全体が印刷等により白色に塗装されている。このため、キートップ11の裏面の光の反射率が高くなり、反射シート24に向かって照射される光の光量を増やすことができ、キートップ11の外周側をより明るく見せることができる。
【0060】
また、バックプレート17と光の反射率が高くなったキートップ11の裏面との間で光が多重反射するため、キートップ11の光透過部23に照射される光の光量が増加し、光透過部23をより明るく光らせることができる。
【0061】
なお、キートップ11の裏面は、反射シート24と同様に、白色に限らず、銀色、パールホワイト色等の反射率の高い色であれば良い。また、キートップ11の裏面に細かな凹凸を形成し、凹凸で光を拡散反射させる構成としても良い。
【0062】
[第3の実施形態]
前述した実施形態では、キースイッチ構造10にアッパーカバー28が設けられていたが、図8、及び図9に示すように、アッパーカバー28が設けられていない構成であっても良い。本実施形態のキースイッチ構造10では、キートップ11とキートップ11との間に隙間が形成されており、この隙間から反射シート24が光って見えるようになっている。
【0063】
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
10 キースイッチ構造
11 キートップ
14 ホルダ(支持部材)
15 ラバードーム(弾性部材)
16 メンブレンシート
16a 上部シート(反射性シート)
16b スペーサシート
16c 下部シート
17 バックプレート
18 リンク機構
19 孔(光出射部)
20 孔(光出射部)
23 光透過部
24 反射シート
28 アッパーカバー(カバー)
S1 隙間
S2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9