特許第6177761号(P6177761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6177761有機エーロゲル又はキセロゲルを含む動力学的に排気可能で、且つ電気的に作動する装置、該装置に有機エーロゲル又はキセロゲルを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177761
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】有機エーロゲル又はキセロゲルを含む動力学的に排気可能で、且つ電気的に作動する装置、該装置に有機エーロゲル又はキセロゲルを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20170731BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   F25D23/06 U
   F16L59/06
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-501556(P2014-501556)
(86)(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公表番号】特表2014-514528(P2014-514528A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012055272
(87)【国際公開番号】WO2012130779
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月6日
(31)【優先権主張番号】11160648.9
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】フリッケ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シュッテ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フェヒナー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】クログマン,イエルク
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−174186(JP,A)
【文献】 特表2010−526928(JP,A)
【文献】 特開昭62−260814(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/046361(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F16L 59/00−59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力学的に排気可能で、且つ電気的に作動する装置であって、
一貫して排気可能な領域、及び
一貫して排気可能な領域によって、周囲温度からの熱が遮断される、温度調節可能な利用領域、及び
装置の一貫して排気可能な領域が、常に特定の圧力範囲内にあるように真空状態を積極的に維持する手段、
を有し、
一貫して排気可能な領域が、装置内に占められている多孔性及び/又はセル状の断熱材の全体積の少なくとも20体積%の該断熱材を含有し、
一貫して排気可能な領域は、少なくとも1つの有機エーロゲル及び/又は有機キセロゲルを含み、
前記有機エーロゲル又はキセロゲルが、イソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性の成分に基づいており、且つイソシアネートに対して反応性の成分が、少なくとも1種の多官能性芳香族アミンであり、
前記少なくとも1つの多官能性芳香族アミンが、一般式I
【化1】
で表わされる構造を有し、
上記式中、
及びRが、同一又は異なり、相互に独立して、水素、及び1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル基から選択され、そして全ての置換基Q〜Q、及びQ’〜Q5’が、同一又は異なり、相互に独立して、水素、第1級アミノ基、及び1〜12個の炭素原子を有する直鎖、又は分枝のアルキル基から選択され、且つこのアルキル基は、他の官能基を有しても良く、
一般式Iに従う化合物が、少なくとも2つの第1級アミノ基を含み(但し、Q、Q及びQの内の少なくとも1つが第1級アミノ基であり、且つQ1’、 Q3’及び Q5’の内の少なくとも1つが第1級アミノ基である場合に限る、)、
、Q、Q2’、及びQ4’は、一般式Iに従う化合物が、更なる官能基を有することができ、及び芳香族環に結合した少なくとも1つの第1級アミノ基へのα位に1〜12個の炭素原子を有する、少なくとも1つの直鎖状、又は分枝したアルキル基を有するように選ばれる、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
装置が冷却装置であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
装置が冷蔵庫であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
有機エーロゲル又はキセロゲルは、体積重量平均で、孔径が50〜3000nmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
有機キセロゲルが使用されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記多孔性の断熱材が有機多孔性材料であり、該有機多孔性材料が、以下の工程、
(a)少なくとも1種の多官能性イソシアネート(a1)、及び少なくとも1種の多官能性芳香族アミン(a2)を溶媒中で、及び任意に成分(a3)として水の存在下、更に任意に少なくとも1種の触媒(a4)の存在下に反応させる工程;
(b)溶媒を除去し、エーロゲル又はキセロゲルを得る工程、
を含む方法によって得られることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
成分(a1)は、オリゴマー性のジフェニルメタンジイソシアネートを含み、且つ少なくとも2.4の官能価を有することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
成分(a2)が、以下の化合物:4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、及びオリゴマー性のジアミノジフェニルメタンのうち、少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
反応が、触媒の存在下に行われることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
反応が、水(a3)及び任意に触媒(a4)の存在下に行われることを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
工程(a)で、成分(a1)と成分(a2)としての多官能性芳香族アミンとの反応が、水(a3)の不存在下に行われることを特徴とする請求項6〜の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に定義された装置に使用される有機エーロゲル又は有機キセロゲルを、動力学的に排気可能で、及び電気的に作動する装置の一貫して排気可能な領域内に使用する方法であって、
前記装置は、一貫して排気可能な領域に加え、一貫して排気可能な領域によって周囲温度からの熱が遮断される、温度調節可能な利用領域、及び装置の一貫して排気可能な領域が常に特定の圧力範囲内にあるように真空状態を積極的に維持する手段を有し、
一貫して排気可能な領域は、装置内で多孔性及び/又はセル状の断熱材が占める全体積に対して少なくとも20体積%を構成することを特徴とする方法。
【請求項13】
イソシアネートが、オリゴマー性のジフェニルメタンジイソシアネートを含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
触媒がトリエタノールアミンであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に作動し、且つ動力学的に排気可能な装置であって、一貫して排気可能な領域、及び一貫して排気可能な領域によって、周囲温度からの熱が遮断される、温度調節可能な利用領域、及び装置の一貫して排気可能な領域が、常に特定の圧力範囲内にあるように真空状態を積極的に維持する手段を有し、一貫して排気可能な領域が、装置内で多孔性、及び/又はセル状の断熱材が占める全体積の少なくとも20体積%を構成し、且つ一貫して排気可能な領域は、少なくとも1つの有機エーロゲル及び/又は有機キセロゲルを含む装置に関する。
【0002】
更に本発明は、有機エーロゲル又は有機キセロゲルを、動力学的に排気可能で、及び電気的に作動する装置の一貫して排気可能な領域内に使用する方法であって、前記装置は一貫して排気可能な領域に加え、一貫して排気可能な領域によって周囲温度からの熱が遮断される、温度調節可能な利用領域、及び装置の一貫して排気可能な領域の圧力が常に特定の圧力範囲内にあるように真空状態を積極的に維持する手段を有し、一貫して排気可能な領域は、装置内で多孔性及び/又はセル状の断熱材が占める全体積の少なくとも30体積%を構成することを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギーを節約するための断熱は、高い価値を有している。断熱は、高まるエネルギー価格の背景、及びCO−排出量を低減する試み、及び将来的になお上昇する防熱、防寒の需要によって重要な意義を有している。これら断熱の最適化における高まる需要には、建物分野、可動分野、ロジスティックス分野、及びステーショナル分野(静止分野)が含まれる。
【0004】
断熱装置は、周囲に対しての、対応する遮断によって境界付けられる規定された利用領域を含んでおり、ここで、利用領域の温度は、外側温度の上側、又は下側に位置している。ここで、冷蔵庫、フリーザー、冷却倉庫、冷却コンテナ、クールボックス、冷却トラック、又は他に熱水タンクが例示される。
【0005】
利用空間(利用室)の周囲に対する断熱(以降、熱的遮断、及び熱的絶縁という概念と同義に使用される)は、断熱材料(以降、断熱材という概念と同義に使用される)によって、従来技術を使用して行われる。
【0006】
熱的遮断の目的のために、種々の断熱材料が公知であり、独立気泡フォームは、その特に低い伝熱性(熱伝導度)のために、卓越した役割を果たす。独立気泡ポリウレタン(PUR−)−硬質フォームは、低い熱伝導度を有する材料の一つである。PUR−硬質フォームには大抵の場合、空気のように熱伝導度が低く、そしてフォームの気泡(セル)中に残る物理的発泡剤、例えばアルカン、又はフッ素化炭化水素が使用される。ここでフォーム中の圧力は外圧に相当する。
【0007】
近代においては、PURでできた、排気された連続気泡フォーム、又は連続気泡メソ多孔性パウダー床、例えばAerosilsは、真空絶縁パネル(VIPs)の状態でも使用される。VIPsはパネル状態で、更なる追加工程で、通常の絶縁材料と一緒に、後の絶縁ユニットに組み込まれる。例えば、VIPsは今日、冷蔵庫中で、接着と発泡によってPURと一体化され、これによりエネルギー消費の低下に貢献している。VIPsの大きな短所は、VIPsを制作するため、及びこれらを装置内に組み込むために、追加的な複雑性(煩雑性)が生じることである。VIPsは、常に全絶縁の一部分のみを構成するので、対応した低い熱伝導度を達成するためには、低い圧力(低い負圧)を達成する必要がある。この低圧を、装置の寿命にわたり可能な限り安定に維持するために、充填材料の密度に非常に高い要求がなされる。ここで通常、今日では、金属化したアルミニウム−複数層ホイル、又はアルミニウム複合体が使用される。
【0008】
更なる技術的な代替は、断熱のために与えられた、全体積の排気、又は部分的な排気であり、ここで排気は原則として、動力学的に、又は静力学的に行うことができる。VIPsと、通常の絶縁材料での、その被覆との組み合わせに対する大きな長所は、断熱材料を形成する全体積が、低い圧力に曝され、そしてこれにより、必要とされる低圧を、通常のVIP内で達成されるものよりも低くすることができ、又は同じ低圧で、高い絶縁性を達成することができることである。このようにして排気された装置は、当業者にとって既に公知である。
【0009】
特許文献1(US1898977)には、排気可能な絶縁(evacuable insulation)を備えた冷蔵庫が記載されている。絶縁材として、微細な充填材、及びこれにより形成される、寸法が可能な限り小さい(理想的には、ガス分子の平均自由行路長さよりも相当に小さい)空洞空間が提案されている。角部における熱伝導による損失を避けるために、熱伝導度の少ない材料でできたブリッジを介して、金属層が、外壁及び内壁の間で結合されるべきである。Silocel、コルク、及び紙が絶縁材料とされている。
【0010】
特許文献2(EP0587546A1)には、排気可能な冷蔵庫が記載されており、これには恒久的に設置された真空ポンプが設けられている。真空ポンプは、空気に対して緊密に封止されたハウジング内に配置された絶縁材料を排気する。長い排気時間のために、冷蔵庫が使用者へと導入された時に、初めてポンプが作動するように企てられている。製造の間の装置の排気は、装置の製造の間のサイクル時間を長くし、従って製造工程が非経済的になる。ここで特殊なポンプが使用され、このポンプは、エネルギー消費が非常に少なく、及びこれにより絶縁特性の改良によるエネルギー節約が、真空ポンプの作動に必要とされるエネルギーよりもはるかに優るものである。通常の真空ポンプは、自己消費のエネルギーが高いために不適切である。
【0011】
絶縁材料として、純粋に水で発泡するPURフォームが提案されている。この場合、フォームのセルは、最初に二酸化炭素を含んでいる。二酸化炭素は空気と比較して、ファクタ―が5高い拡散速度を有している。これにより0.1mbar未満の減圧状態を目標にできる。
【0012】
このアプローチの技術的に大きな短所は、極端に長い排気時間が必要なことである。この短所は、フォームの閉じた気泡(セル)に起因する。更に、熱伝導度を十分に低下させるために、非常に低い圧力を達成する必要がある。このことは、通常の硬質フォームの大きな気泡径に関連する。
【0013】
特許文献3(EP0587548A1)には、類似した対象物が記載されており、ここで重点は、絶縁材料の独立気泡特性に置かれている。連続気泡フォームは、不利なものとして記載されている。この理由は、低い密度で十分な機械的強度を得ることができないからである。
【0014】
特許文献4(EP1335171A1)には、排気性の冷蔵庫が記載されている。この技術では、排気時間を短くするために、断熱材料に通路(channel)のネットワークが設けられている。例えば、後部壁の排気は、吸収通路の蜘蛛の巣状の配置構成を介して行われる。断熱材料として、連続気泡ポリウレタン及びポリスチレンが記載されている。更に、問題の多い、既存の材料の非常に長い排気時間について指摘されている。
【0015】
特許文献5(WO2005/093349)には、排気された冷蔵庫が記載されており、これには断熱材料として所定の粉が充填されている。真空は原則的に静力学的に、及び動力学的に設定可能であることが記載されている。冷蔵庫は、真空ポンプを必要としていない。この理由は、この機能はコンプレッサーによって行われるからである。
【0016】
特許文献6(WO2004/010042)には、排気性の冷蔵庫が記載されており、この冷蔵庫は紛体床を含んでいる。充填の1つの可能性として、装置の後部の開口部を介してのものが記載されている。後の密閉のための種々の変形例が記載されている。
【0017】
特許文献7(WO2010/127947)には、完全に排気されたドア要素が記載されている。充填材料として、開孔性のPUR、ポリスチレン、又はシリカ−粉が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】US1898977
【特許文献2】EP0587546A1
【特許文献3】EP0587548A1
【特許文献4】EP1335171A1
【特許文献5】WO2005/093349
【特許文献6】WO2004/010042
【特許文献7】WO2010/127947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら従来技術に記載されている装置は、工業的な実施を妨げる根本的な短所を有している。その原因は、使用される断熱材料にある。今まで使用されてきた絶縁材は、これらが連続気泡でない場合には、十分に短い排気時間を許容する、適切な孔構造を有していないことにある。完全に連続気泡のフォームであっても、気泡の窓部分(cell window)の穴の寸法が小さく、及びフォームが純然たる熱硬化性のプラスチックフォームの理想的な状態から、大きく離れる場合には、
長い排気時間が必要になる。更に、有利な断熱特性を有する公知の絶縁材料は、スラブの状態で、又は粉体として(また部分的にプレスされた状態で)しか使用することができない。成形体を後に、装置のために必要とされる幾何学形状に適合させるには、(そもそも可能であれば)大きな消費(出費)がかさみ、そして相当量の廃棄物が生じる。紛体床の場合、複雑な幾何学形状、例えばアンダーカットに完全に満たすこと、又は十分に規定された圧縮状態を得ることは、大抵の場合不可能である。
【0020】
更に公知の連続気泡絶縁材は、製造の過程で皮(殻)部分を形成するという短所を有している。これにより排気性が損なわれ、及び特に一貫して排気可能な領域において排気性が損なわれる。この理由は、皮部分が、気泡を満たしているガスのポンプ除去を妨げるからである。
【0021】
上述した冷却装置の工業的な実施は、適切な絶縁材が存在しなかったために、今日まで不可能であった。
【0022】
改良された排気性の断熱装置、例えば排気性の冷蔵庫は、短い排気時間、及びこれと結び付いたポンプ時間、及び短いポンプサイクルを有し、及び一貫して排気される領域のシェル(殻)の密度に対して少ない要求を有するべきである。
【0023】
一貫して排気可能な領域を有する絶縁材料は同時に、以下の特性をも有するべきである:
−装置内の断熱の製造の際、材料の消費が少ないこと、
−1〜10mbarの範囲の圧力において、熱伝導度を相当に低下できること、
−複雑な三次元幾何学構造を、後工程無しに形成可能なこと、
−水蒸気の受け入れ容量が少なく、及び通常、ガスの吸収容量が低いこと;このことは、真空状態を動力学的に維持するために、特に重要である。
【0024】
本発明の目的は、上述した短所が回避されるか、又は有していたとしてもより少ないものである、排気可能な断熱装置を見出すことにある。特に、目的とする差圧を、排気される全ての体積内に設定するのに要する時間(設定された減圧での排気時間)は、従来技術に対して短縮化されているべきである。使用される断熱材料は、上述した特性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
従って、本発明に従う装置、及び本発明に従う使用方法が見出された。
【0026】
好ましい実施の形態は、請求項、及び発明の詳細な説明に記載されている。好ましい実施の形態の組合せも本発明の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に従う装置は、一貫して排気可能な領域、及び一貫して排気可能な領域によって、周囲温度からの熱が遮断される、温度調節可能な利用領域、及び装置の一貫して排気可能な領域が、常に特的の圧力範囲内にあるように、真空を積極的に維持する手段、を有し、一貫して排気可能な領域が、装置内で多孔性及び/又はセル状の断熱材が占める全体積に対して、少なくとも20体積%を構成し、及び一貫して排気可能な領域は、少なくとも1つの有機エーロゲル及び/又は有機キセロゲルを含む。
【0028】
「一貫して排気可能な領域」は、原則として、「少なくとも1つの一貫して排気可能な領域」であると理解される。かくして本発明に従う装置は、このように定義された一貫して排気可能な領域を複数含むこともでき、この場合、エーロゲル及び/又はキセロゲルを含む領域は、単独で(別個に)一貫して排気可能である。当然ながら、複数のこのような領域は、一つの排気装置に装着されることができる。いずれにせよ本発明にとって本質的なことは、上述した領域は、多孔性、及び/又はセル状の断熱材料で装置内を占めている全体積の少なくとも30体積%を構成していることである。場合により、エーロゲル及び/又はキセロゲルを含む、2つ以上の一貫して排気可能な領域について、それぞれ、この基準を単独で満たすようにすることもできる。
【0029】
有機エーロゲル及び有機キセロゲルは、それ自体は公知である。文献中では、キセロゲルは、液相が液相の臨界温度未満、及び臨界圧未満での乾燥(「臨界未満の条件」)によって、ゲルから取り出される、ゾル−ゲル−法によって製造される多孔性の材料であると理解される。これに対し、超臨界条件下でゲルから液相を分離する場合には、エーロゲルと称される。
【0030】
ゾル−ゲル−法では、最初にゾルが、反応性の有機ゲル前駆体に基づいて製造され、その後にゾルが架橋反応によって、ゲルへとゼリー状にされる。ゲルから多孔性材料、例えばキセロゲルを得るために、液体を除去する必要がある。以降簡略化して、この工程を乾燥と称する。
【0031】
30〜90質量%の少なくとも1種の多官能性イソシアネート、及び10〜70質量%の少なくとも1種の多官能性芳香族アミンを含むキセロゲルが、WO−2008/138978から公知であり、その体積計量(volume-weighted)の平均孔径は最大で5マイクロメーターである。
【0032】
一貫して排気可能な領域は、本発明の装置内部の空間的に閉じた(一貫して排気可能な)領域であり、すなわち全体の領域のある個所に真空を施すことによって、減圧状態(負圧)がもたらされる領域である。
【0033】
ここで「一貫して排気可能」は、排気の後に上記領域内の圧力が、周囲圧力に対して持続的(恒久的)に低下されることを意味し、すなわち上記領域が、周囲に対して、ガス拡散(空気成分の拡散)に関して閉じていることを意味する。差圧は、限られた時間でのみ維持可能であることに気が付く。「排気可能」及び「閉じた」という基準を満足させるためには、排気の後(すなわち低圧状態を設定した後)、少なくとも1時間、特に少なくとも4時間、特に好ましくは少なくとも24時間の期間に渡って低圧状態(負圧状態)が維持される必要がある。
【0034】
温度調節可能な利用領域は、装置内の領域であって、周囲温度に対して低い、又は高い温度が維持されることが意図されている領域である。
【0035】
多孔性、及び/又はセル状の絶縁材料によって、装置内に占められている全体積は、装置内の全ての多孔性、及び/又はセル状の断熱材料に対応し、及び孔とセルを含む。多孔性、及び/又はセル状の絶縁材料は、全体が、又は部分的に絶縁材料で囲まれているセル又は孔を有する物質であり、すなわち第1の固体相、及びガスが充填された第2の層(場合により、低圧状態、又は真空状態)を含む材料である。多孔性、及び/又はセル状の材料は、連続気泡、又は独立気泡であることができる。混合状態も考えられる。これらの定義は、孔及び/又はセルを有し、及び断熱の目的のために装置内に設けられる全ての材料を含み、これには本発明に従い含まれる、有機エーロゲル、及び/又はキセロゲルに加え、特にフォーム、例えばポリウレタンフォーム、又はポリスチレンに基づくフォームも含まれる。
【0036】
好ましくは、本発明に従い含まれる、(有機エーロゲル又はキセロゲルを含む)一貫して排気される領域の体積は、(多孔性及び/又はセル状の絶縁材料によって、装置内を占めている)全体積に対して、少なくとも30体積%、特に少なくとも40体積%、特に好ましくは少なくとも50体積%、特に少なくとも60体積%、極めて好ましくは少なくとも70体積%である。
【0037】
真空状態は、周囲圧力に対する低圧(負圧)であると理解される。従って排気は、周囲圧力に対する低圧(負圧)の形成である。
【0038】
本発明の範囲内で、キセロゲルは、多孔率が少なくとも70体積%であり、及び体積で計算した平均孔径が最大で50マイクロメーターである(所定のゾル−ゲル法によって製造される)多孔性の材料であると理解され、ここで上記ゾル−ゲル法では、液相の臨界温度未満及び臨界圧未満(臨界未満の条件)で、乾燥によって液相がゲルから除去される。
【0039】
対応して、エーロゲルは、本発明の範囲内で、多孔率が少なくとも70体積%であり、及び体積で計算した平均孔径が最大で50マイクロメーターである(所定のゾル−ゲル法によって製造される)多孔性の材料であると理解され、ここでこのゾル−ゲル法では、液相の臨界温度を超える温度及び臨界圧を超える圧力(超臨界の条件)で、乾燥によって液相がゲルから除去される。
【0040】
平均孔径は、DIN66133に従う水銀−貫入測定を使用して測定され、及び本発明の範囲内で、原則的に体積−計量の平均値である。DIN66133に従う水銀−貫入測定は、多孔度測定法であり、及び多孔度測定器内で行われる。ここで、材料の試料内に水銀がプレスされる。水銀で満たすためには、小さな孔は大きな孔よりも高い圧力が必要とされ、そして対応する圧力/体積−ダイアグラムから、孔径分布、及び体積計量の平均孔径を測定することができる。
【0041】
多孔性材料の体積計量された平均孔径は、好ましくは最大で20マイクロメートルである。特に好ましくは、多孔性材料の体積計量の平均孔径は、最大で10マイクロメートル、極めて好ましくは最大で5マイクロメートル、及び特に最大で3マイクロメートルである。
【0042】
高い多孔度で孔径が可能な限り小さいことが、低い熱伝導度という観点からは望ましい。しかしながら、製造方法には、体積計量の平均孔径の実際的な下限値が存在する。通常、体積計量の平均孔径は、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも100nmである。多くの場合、体積計量の平均孔径は、少なくとも200nm、特に少なくとも300nmである。
【0043】
本発明に従う装置は、電気的に作動する。好ましくは、本発明に従う装置の利用領域の温度調節は、積極的なエネルギー導入によって行われる。好ましくは、真空状態の積極的な維持を行うための手段は、(特に電気的に作動する)コンプレッサー、及び/又はポンプである。
【0044】
本発明の好ましい第一の実施の形態では、本発明に従う装置は、冷却装置であり、特に好ましくは冷蔵庫、フリーザー、冷却倉庫、電気的に作動する冷却容器、又は冷却トラックである。冷却装置は、規定された利用空間が、エネルギー導入によって冷却され、利用空間が周囲温度に対して冷却される(低い温度を有する)装置である。
【0045】
本発明の更なる好ましい実施の形態では、本発明に従う装置は、材料を加熱するための装置、特に瞬間湯沸かし器(温水タンク)である。
【0046】
動力学的に排気可能な装置は、真空状態が、予め設定された圧力範囲内に時間的に一定して存在するように積極的に維持される上述したような排気可能な装置である。ここで「積極的」は、次のことを意味する:真空状態を維持するための手段の、周期的な(繰り返される)助力による。ここで、真空状態は、一方では領域の閉鎖性によって、及び繰り返される圧力低下によって維持される。繰り返される圧力低下は、持続的にでも、又は定期的に繰り返してでも行うことができ、後者が好ましい。これに対して、完全に排気可能な装置は、真空状態が1回の実施で形成され、そして領域の閉鎖性(封止性)によってのみ維持される、上述した装置である。
【0047】
このような装置は、それ自体この技術分野の当業者によって公知である。本発明に従い使用される有機エーロゲル、又は有機キセロゲルは有利なことに、(一貫して排気可能な領域に加え、この一貫して排気可能な領域によって、周囲温度に対して熱的に絶縁される、温度調節可能な利用領域を有する)全ての装置に使用することができ、ここで、一貫して排気可能な領域は、絶縁材料によって装置内を占めている全体積の少なくとも20体積%を構成する。断熱装置の技術的な概念については、特に制限はない。
【0048】
特に好ましい装置は、動力学的に排気可能な冷却装置、特に冷蔵庫である。
【0049】
適切な、動力学的に排気可能な、電気的に作動する冷蔵庫、又は冷凍庫は、1つ以上の閉じた、熱的に絶縁された領域を有しており、この領域は、冷蔵庫又は冷凍庫のハウジング−、壁−、及び/又はドア充填体(パネル)であり、ここで、1つ以上の空間(部屋)が、排気ラインを介して真空形成装置を結合しており、及び真空形成装置は、冷蔵庫又は冷凍庫内の恒久的に設置されたユニットである。このような冷蔵庫、又は冷凍庫は例えば、US−A1898977及びFR−A−2628179及びEP−A0587546から公知である。
【0050】
静力的又は動力学的な真空状態が形成される正確な技術的構想(設計)は、本発明にとって重要でない。むしろ、絶縁材料中に含まれる大きな体積が、一貫して排気された場合には、本発明に従い使用される多孔性の材料は、絶縁材料として有利に使用することができる。例えば、EP−A0587546に記載されているキャビネットに、製造の際に、キャビネットの壁及びドア中の空気に対して封止して閉じられた空間と結合した真空ポンプを設けることができる(ここでこの空間には、本発明に従う断熱材料を充填されている)。キャビネットが、使用者によって作動状態にされると、ポンプが活動し、及び長い使用期間において非常に低い圧力を段々に形成する。このことは、1週間から数か月の間、絶縁の作用力が高められることを意味する。この替りに、WO2005/093349に記載されているように、装置内に使用されるコンプレッサーを、排気可能な領域の低圧(負圧)を維持するために使用することもできる。
【0051】
本発明の範囲内で好ましい有機キセロゲル、及びエーロゲルを以下に記載する。
【0052】
好ましくは、エーロゲル又はキセロゲルは、イソシアネート及びイソシアネートに対して反応性の任意の成分に基づく。
【0053】
特に好ましくは、有機エーロゲル又はキセロゲルは、イソシアネート及びイソシアネートに対して反応性の成分に基づき、ここで、イソシアネートに対して反応性の成分として、少なくとも1種の芳香族アミンが使用される。好ましくは、有機エーロゲル又はキセロゲルは、ポリウレア及び/又はポリイソシアヌレートに基づいて形成される。
【0054】
「ポリウレアに基づいて形成される」は、有機エーロゲル又はキセロゲル中のモノマー単位の結合(連鎖:linkage)の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、特に90モル%が、ウレア結合として存在することを意味する。「ポリウレア及び/又はポリイソシアヌレートに基づいて形成される」は、有機キセロゲル又はエーロゲル中のモノマー単位の結合の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、特に90モル%が、ウレア結合及び/又はイソシアヌレート結合として存在することを意味する。
【0055】
本発明に従い使用される有機エーロゲル又はキセロゲルは以降、有機性多孔性材料と称される。
【0056】
好ましくは、使用される有機性多孔性材料は、以下の工程、
(a)少なくとも1種の多官能性イソシアネート(a1)、及び少なくとも1種の多官能性芳香族アミン(a2)を溶媒中で、及び任意に成分(a3)として水の存在下、及び任意に少なくとも1種の触媒(a4)の存在下に反応させる工程;
(b)溶媒を除去し、エーロゲル又はキセロゲルを得る工程、
を含む方法によって得られる。
【0057】
工程(a)の範囲内で使用されることが好ましい成分(a1)〜(a4)、及び量の割合は後述する。
【0058】
多官能性イソシアネート(a1)は以降、共通して成分(a1)と称される。対応して、多官能性芳香族アミン(a2)は以降、共通して成分(a2)と称される。上述したモノマー成分が、有機性多孔性材料中で変換された状態で存在することは、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0059】
化合物の官能価は、本発明の範囲内で、1分子当たりの反応性基の数であると理解される。モノマー成分(a1)の場合、官能価は、1分子当たりのイソシアネート基の数である。モノマー成分(a2)のアミノ基の場合、官能価は1分子当たりの反応性アミノ基の数を示す。ここで多官能性化合物は、少なくとも2の官能価を有する。
【0060】
成分(a1)ないしは(a2)として、種々の官能価の混合物が使用される場合、成分の官能価はそれぞれ、個々の化合物の官能価の数計量(number-weighted)の平均値から計算される。多官能性の化合物は、上述した官能性基を1分子当たり少なくとも2つ含んでいる。
【0061】
成分(a1)
好ましくは成分(a1)として、少なくとも1種の多官能性イソシアネートが使用される。
【0062】
本発明に従う方法の範囲内で、成分(a1)の使用される量は、それぞれ成分(a1)、(a2)及び場合により(a3)の全質量(100質量%になる)に対して、少なくとも20質量%、特に少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%、極めて好ましくは少なくとも55質量%、特に少なくとも68質量%である。本発明の方法の範囲内で、成分(a1)の使用さされる量は、それぞれ成分(a1)、(a2)及び場合により(a3)の全質量(100質量%になる)に対して、好ましくは最大で99.8質量%、特に最大で99.3質量%、特に好ましくは最大で97.5質量%である。
【0063】
多官能性イソシアネートとして、芳香族、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックイソシアネートが考慮される。このような多官能性イソシアネートは、それ自身公知であり、又は公知の方法によって製造することができる。多官能性イソシアネートは特に、混合物としても使用することができ、この場合、成分(a1)は種々のイソシアネートを含む。モノマー構成要素(a1)として考慮される多官能性イソシアネートは、2つ(以降、ジイソシアネートと称する)又は2つを超えるイソシアネート基を、モノマー成分の1分子当たりに含む。
【0064】
特に適切なものは、2,2’−、2,4’−、及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トルエン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート、及び/又はp−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリテトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−、及び/又は2,6−ジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネートである。
【0065】
多官能性イソシアネート(a1)として、芳香族イソシアネートが好ましい。成分(a3)として水が使用される場合には、これらは特に有効である。
【0066】
成分(a1)の多官能性イソシアネートとして、特に適切なものは、以下のものである:
i)トルエンジイソシアネート(TDI)に基づく多官能性イソシアネート、特に2,4−TDI又は2,6−TDI、又は2,4−及び2,6−TDIの混合物;
ii)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づく多官能性イソシアネート、特に2,2’−MDI、又は2,4’−MDI、又は4,4’−MDI、又はオリゴマー性MDIで、ポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも称されるもの、又は上述したジフェニルメタンジイソシアネートの2種、又は3種の混合物、又はMDIの製造時に得られる粗製MDI、又はMDIの少なくとも1種のオリゴマーと上述しょた低分子量MDI−誘導体の少なくとも1種の混合物;
iii)実施の形態i)に従う少なくとも1種の芳香族イソシアネート、及び実施の形態ii)に従う少なくとも1種の芳香族イソシアネートの混合物。
【0067】
多官能性イソシアネートとして、特に好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートである。オリゴマー性のジフェニルメタンジイソシアネート(以降、オリゴマーMDIと称する)は、複数種のオリゴマー性縮合生成物の混合物であり、従ってジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の誘導体の混合物である。多官能性イソシアネートは、好ましくは、モノマー性芳香族ジイソシアネート及びオリゴマー性MDIの混合物から構成されることもできる。
【0068】
オリゴマーMDIは、官能価が2を超える、特に3又は4又は5のMDIの1種以上の多環式の縮合生成物を含む。オリゴマーMDIは公知であり、及びしばしばポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも、又はポリマーMDIとも称される。オリゴマーMDIは通常、種々の官能価を有するMDI−ベースのイソシアネートの混合物から構成される。通常、オリゴマー性MDIは、モノマー性MDIとの混合物中に使用される。
【0069】
オリゴマーMDIを含むイソシアネートの(平均)官能価は、約2.2〜約5、特に2.5〜3の範囲内で変化する。種々の官能価を有するMDIベースの多官能性イソシアネートの、このような混合物は特に粗製MDIであり、この粗製MDIは、MDIの製造で形成され、典型的には(粗製MDIの製造の中間生成物として)塩酸によって触媒作用を施される。
【0070】
多官能性イソシアネート、又はMDIに基づく複数種の多官能性イソシアネートの混合物は公知であり、及び例えばBASF Polyurethanes GmbHからLupranat(登録商標)の名称で販売されている。
【0071】
好ましくは、成分(a1)の官能価は、少なくとも2、特に少なくとも2.2、及び特に好ましくは少なくとも2.4である。成分(a1)の官能価は、好ましくは、2.2〜4、及び特好ましくは2.4〜3である。
【0072】
好ましくは、成分(a1)のイッソシアネート基の含有量は、5〜10mmol/g、特に6〜9mmol/g、特に好ましくは7〜8.5mmol/gである。mmolでのイソシアネート基の含有量、及びいわゆるg/当量(equivalent)での当量(equivalent weight)は、相互関係を有していることは、当業者にとって公知である。mmolでのイソシアネート基の含有量は、ASTM D−5155−96Aに従う質量%から計算される。
【0073】
好ましい一実施の形態では、成分(a1)は、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,3’−ジイソシアネート、及びオリゴマー性ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる、少なくとも1種の多官能性イソシアネートから構成される。この好ましい実施の形態の範囲内で、成分(a1)は、特に好ましくは、オリゴマー性フェニルメタンジイソシアネートを含み、及び官能価が少なくとも2.4である。
【0074】
使用される成分(a1)の粘度は、広い範囲で変化させることができる。好ましくは、成分(a1)は、粘度が100〜3000mPa.s、特に好ましくは200〜2500mPa.sである。
【0075】
成分(a2)
本発明に従う好ましい方法の範囲内で、成分(a2)は、少なくとも1種の多官能性芳香族アミンである。
【0076】
成分(a2)は、部分的にインサイチュ(現場)で製造することができる。このような実施の形態では、工程(a)の範囲内での反応は、水(a3)の存在下に行われる。水はイソシアネート基と反応してアミノ基を形成し、そしてCOを放出する。これにより、多官能性アミンが部分的に、中間生成物(インサイチュ)として製造される。これらはイソシアネート基との反応の更なる過程で、ウレア結合に変換される。
【0077】
この好ましい実施の形態では、反応は、水(a3)及び成分(a2)としての多官能性芳香族アミン、及び任意に触媒(a4)の存在下に行われる。
【0078】
同様に好ましい、更なる実施の形態では、成分(a1)及び成分(a2)としての多官能性芳香族アミンの反応は、任意に触媒(a4)の存在下に行われる。ここで水(a3)は存在しない。
【0079】
多官能性芳香族アミンは、それ自体は公知である。多官能性アミンは、1分子につき、少なくとも2つのイソシアネートに対して反応性のアミノ基を有するものと理解される。ここで、「イソシアネートに対して反応性」は、1級及び2級アミノ基であり、ここで1級アミノ基の反応性は通常、2級アミノ基の反応性よりも明らかに高い。
【0080】
多官能性芳香族アミンは、好ましくは、2つの1級アミノ基(2官能性芳香族アミン)を有する2環式芳香族化合物、対応して2つを超えるアミノ基を有する3−又は多環式芳香族化合物、又は上述した化合物の混合物である。成分(a2)の好ましい多官能性芳香族アミンは特に、ジアミノジフェニルメタンの異性体、及び誘導体である。
【0081】
上述した2官能性2環式アミンは、特に好ましくは、一般式I、
【0082】
【化1】
(但し、
とRが同一であるか、又は異なることができ、及び相互に独立して、水素、及び1〜6個の炭素原子を有する直鎖状の、又は分枝したアルキル基から選ばれ、及び全ての置換基Q〜Q及びQ1’〜Q5’が同一又は異なっており、及び相互に独立して、水素、1級アミノ基、及び1〜12個の炭素原子を有する直鎖状の、又は枝分かれしたアルキル基から選ばれ、ここでアルキル基は更なる官能基を有することができ、但し、一般式Iに従う化合物は、少なくとも2個の2個のアミノ基を含み、ここで、Q、Q、及びQの少なくとも1つが、1級アミノ基であり、そしてQ1’、Q3’、及びQ5’の少なくとも1つが1級アミノ基である)
に従うものである。
【0083】
一実施の形態では、一般式Iに従う置換基Qの範囲内でアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sek−ブチル、及びtert−ブチルから選ばれる。このような化合物は以降、置換された芳香族アミン(a2−s)と称される。当然ながら、これらが、上記に定義したアミノ基でなければ、全ての置換基Qが水素を表していても同様に好ましい(いわゆる置換されていない多官能性芳香族アミン)。
【0084】
一般式Iの範囲内で、好ましくはR及びRは、同一であるか、又は異なっており、及び相互に独立して水素、第1級アミノ基、及び1〜6個の炭素原子を有する、直鎖状の、又は分枝したアルキル基から選ばれる。好ましくは、R及びRは、水素及びメチルから選ばれる。特に好ましくは、R=R=Hである。
【0085】
適切な多官能性芳香族アミン(a2)は更に、特にトルエンジアミンの異性体及び誘導体である。成分(a2)の範囲内で、トルエンジアミンの好ましい異性体、及び誘導体は特に、トルエン−2,4−ジアミン、及び/又はトルエン−2,6−ジアミン、及びジエチルトルエンジアミン、特に3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、及び/又は3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンである。
【0086】
極めて好ましくは、成分(a2)は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン及びオリゴマー性ジアミノジフェニルメタンから選ばれる、少なくとも1種の多官能性芳香族アミンを含む。
【0087】
オリゴマー性ジアミノジフェニルメタンは、アニリンとホルムアルデヒドの1種以上の多環式メチレン−ブリッジ縮合生成物を含む。オリゴマー性MDAは、少なくとも1種の、しかしながら通常では数種の(官能価が2、特に3又は4又は5を超える)MDAのオリゴマーを含む。オリゴマー性MDAは公知であり、又はそれ自体公知の方法で製造することができる。通常、オリゴマー性MDAは、モノマー性MDAとの混合物の状態で使用される。
【0088】
オリゴマー性MDAを含む成分(a2)の多官能性アミンの(平均)官能価は、約2.3〜約5の範囲が可能であり、これは特に2.3〜3.5の範囲、特に2.3〜3の範囲である。このようなMDAベースの種々の官能価を有する多官能性アミンの混合物は特に、粗製MDAであり、該塑性MDAは、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合で、通常では塩酸によって触媒作用を及ぼされて、粗製MDIの中間生成物として形成される。
【0089】
特に好ましくは、少なくとも1種の多官能性芳香族アミンは、ジアミノジフェニルメタン、又はジアミノジフェニルメタンの誘導体を含む。特に好ましくは、少なくとも1種の多官能性芳香族アミンは、オリゴマー性ジアミノジフェニルメタンを含む。成分(a2)が、化合物(a2)としてオリゴマー性ジアミノジフェニルメタンを含み、及び全体で少なくとも2.1の官能価を有することが特に好ましい。特に、成分(a2)は、オリゴマー性ジアミノジフェニルメタンを含み、及び官能価が少なくとも2.4である。
【0090】
本発明の範囲内で、置換された多官能性芳香族アミンを成分(a2)の範囲内で使用することによって、第1級アミノ基の反応性を制御することが可能である。上述した、及び後に詳述する、置換された多官能性芳香族アミン(以降、(a2−s)で表す)は、上述した(置換されていない)ジアミノジフェニルメタン(式I中の全てのQが、NHでなければ水素である)との混合物中に使用されるか、又は専用的に使用される。
【0091】
この実施の形態では、上述した式Iの範囲内の(対応する定義を含めた)Q、Q、Q2’、及びQ4’は、一般式Iに従う化合物が、少なくとも1つの直鎖状、又は分枝した、芳香族環に結合した、少なくとも1つの第1級アミノ基へのP位に1〜12個の炭素原子を有する、(更なる官能基を有することができる)アルキルを基含むように選ばれることが好ましい。好ましくは、この実施の形態でのQ、Q、Q2’、及びQ4’は、置換された芳香族アミン(a2−s)が、少なくとも2つのアミノ基(該アミノ基は、α位に1〜12個の炭素原子を有する、更なる官能基を有することができる1つ又は2つの直鎖状の、又は分枝したアルキル基を有する)を含むように選ばれる。Q、Q、Q2’、及びQ4’の1つ以上が、これらが1〜12個の炭素原子を有する直鎖状の又は分枝した(更なる官能基を有することができる)アルキル基に対応するように選ばれた場合、アミノ基、及び/又はヒドロキシ基、及び/又はハロゲン原子が、このような官能基として好ましい。
【0092】
好ましくは、アミン(a2−s)は、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、及び3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,4’−ジアミノジフェニルメタンから成る群から選ばれることが好ましく、ここで、3,3’,5、及び5’−位のアルキル基は、同一であっても良く、又は異なっていても良く、及び互いに独立して、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状の、又は分枝した(更なる官能基を有することができる)アルキル基から選ばれる。好ましくは、上述したアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sek−ブチル、又はt‐ブチル(それぞれ置換されていない)である。
【0093】
一実施の形態では、置換基Qの1つ以上のアルキル基の1つ、複数、又は全ての水素原子が、アルゲン原子、特に塩素によって置き換えられていることができる。この替りに、置換基Qの1つ又は複数のアルキル基の1つ、複数、又は全ての水素原子が、NH又はOHによって置き換えらえることができる。しかしながら、一般式Iの範囲のアルキル基が、炭素及び水度によって構成されることが好ましい。
【0094】
特に好ましい実施の形態では、成分(a2−s)は、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4−ジアミノジフェニルメタンを含み、ここで、アルキル基は同一、又は異なっていることができ、そして独立して、直鎖状の、又は分枝した、1〜12個の炭素原子を有し、任意の官能基を有していても良いアルキル基から選ばれる。好ましくは、上記アルキル基は、置換されていないアルキル基、特にメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブイチル、sek−ブチル及びtert−ブチルから選ばれ、特に好ましくはメチル、及びエチルから選ばれる。極めて好ましくは、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び/又は3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0095】
成分(a2)の上述した多官能性アミンは、この技術分野の当業者にとって公知であり、又は公知の方法によって製造することもできる。公知の方法は、アニリン又はアニリンの誘導体をホルムアルデヒドを使用して、酸性触媒の存在下に変換することである。
【0096】
上述したしように、成分(a3)として、多官能性芳香族アミンを水で部分的に置き換えることができ、これは事前に計算された量で、成分(a1)の追加的な多官能性芳香族イソシアネートとインサイチュ(現場)で反応させ、対応する多官能性芳香族アミンを形成することによって行われる。
【0097】
成分(a3)として水が使用される場合、後に詳述するように、特定の境界条件と適合することが好ましい。
【0098】
上述したように、水はイソシアネート基と反応してCOを開放しつつアミノ基を形成する。これにより、多官能性アミンが部分的に中間生成物として(インサイチュで)製造される。これらは反応の更なる過程で、イソシアネート基と反応してウレア結合へと反応する。中間生成物としてのアミンの製造は、高い機械的安定性及び低い熱伝導度を有する多孔性の材料をもたらす。形成されたCOは、得られる多孔性材料が、望ましくない影響を受けてしまう程にゲル化を強く妨げてはならない。成分(a1)〜(a3)の全質量に対する水含有量の、(ここでの)上述した好ましい上限は、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下、特に20質量%以下である。この範囲の水含有量は、ゲル化を行う上で、残留する水を乾燥によって複雑な態様で除去する必要がないという長所をもたらす。
【0099】
成分(a3)として水が使用される場合、水の使用されることが好ましい量は、成分(a1)〜(a3)の全質量を100質量%として、0.1〜30質量%、特に0.2〜25質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%である。
【0100】
水の好ましい量は、上述した範囲内で、触媒(a4)が使用されるか否かに依存する。
【0101】
水の使用が含まれる第1の実施の形態では、成分(a1)〜(a3)の反応は、触媒(a4)が存在することなく行われる。この第1の実施の形態では、成分(a1)〜(a3)の全質量を100質量%として、5〜30質量%、特に6〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%の水が成分(a3)として使用されることが有利である。
【0102】
この第1の実施の形態の範囲内で、上述した成分(a1)〜(a3)は、成分(a1)〜(a3)の全質量に対して、次の割合で使用されることが好ましい:40〜94.9質量%、特に55〜93.5質量%、特に好ましくは68〜90質量%の成分(a1)、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜12質量%の多官能性芳香族アミン(a2)、及び5〜30質量%、特に6〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%の水(a3)。
【0103】
水分含有量、及び成分(a1)の反応性イソシアネート基の含有量から、アミノ基の計算上の含有量が得られ、これは、水の成分(a1)のイソシアネート基との完全な反応(この反応で、アミノ基の対応する量が形成される)から出発し、そしてこの含有量を、成分(a2)から得られた含有量に加えること(全体namine)によって行われる。理論上形成され、及び使用されるアミノ基に対する、理論上残っているNCO基の割合nNCOの得られる使用割合は、以降、理論使用割合nNCO/namineと称され、及びこれは当量割合、すなわち特定の官能基のモル割合である。
【0104】
上述した第1の変形例の範囲内で、理論使用割合(当量割合)nNCO/namineは、広い範囲内で変化させることができ、及び特に0.6〜5の範囲で変化させることができる。nNCO/namineは、好ましくは1〜1.6、特に1.1〜1.4である。
【0105】
水の使用を含む、第2の好ましい実施の形態では、成分(a1)〜(a3)の反応は、触媒(a4)の存在下に行われる。この第2の実施の形態では、それぞれ成分(a1)〜(a3)の合計質量を100質量%として、0.1〜15質量%、特に0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜12質量%の水を使用することが有利であることがわかった。上述した範囲内では、得られる多孔性材料の特に望ましい機械的特性(この特性は、特に良好なネットワーク構造に基づく)が得られる。水の高い量は、ネットワーク構造に消極的(ネガティブ)に作用し、及び多孔性材料の特性に関しては不利である。
【0106】
好ましい第2の変形例の範囲内では、上述した成分(a1)〜(a3)は、好ましくは、それぞれ成分(a1)〜(a3)の合計質量を100質量%として、次の割合で使用される:成分(a1)が、55〜99.8質量%、特に65〜99.3質量%、特に好ましくは76〜97.5質量%、多官能性芳香族アミン(a2)が、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜12質量%、及び水(a3)が、0.1〜15質量%、特に0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜12質量%。
【0107】
上述した第2の変形例に従い、理論使用割合(当量割合)nNCO/namineは、好ましくは1.01〜5である。特に好ましくは、上述した当量割合は、1.1〜3、特に1.1〜2である。namineに対するnNCOの過剰量は、この実施の形態では、多孔性材料、特にキセロゲルの、溶媒の除去における、及び触媒(a4)との相互作用による収縮の低下をもたらし、改良されたネットワーク構造、及び得られる多孔性材料の改良された特性をもたらす。
【0108】
上述した第2の実施の形態では、工程(a)に従う反応は、水の不存在下に行われる。この好ましい実施の形態に範囲内で、上述した成分(a1)及び(a2)は、好ましくは、それぞれ成分(a1)及び(a2)の合計質量を100質量%として、次の割合で使用される:成分(a1)が、20〜80質量%、特に25〜75質量%、特に好ましくは35〜68質量%、成分(a2)が、20〜80質量%、特に25〜75質量%、特に好ましくは32〜65質量%;(a3)無し。
【0109】
上述した実施の形態の範囲内で、理論使用割合(当量割合)nNCO/namineは、好ましくは1.01〜5である。特に好ましくは、上述した当量割合は、1.1〜3、特に1.1〜2である。この実施の形態でも、namineに対するnNCOの過剰量は、多孔性材料、特にキセロゲルの、溶媒の除去における、及び触媒(a4)との相互作用による収縮の低下をもたらし、改良されたネットワーク構造、及び得られる多孔性材料の改良された特性をもたらす。
【0110】
以降、成分(a1)〜(a3)を一緒にして、有機ゲル前駆体(A)と称する。
【0111】
触媒(a4)
好ましい一実施の形態では、本発明に従う方法は好ましくは、成分(a4)として少なくとも1種の触媒の存在下に行われる。
【0112】
触媒として原則として、当業者にとって公知の全ての触媒が含まれ、この触媒は、イソシアネートの三量化(いわゆる三量化触媒)、及び/又はイソシアネートとアミノ基との反応(いわゆるゲル触媒)、及び/又は−水が使用される場合には−イソシアネートと水との反応(いわゆる発泡触媒)を促進するものである。
【0113】
対応する触媒は、それ自体公知であり、及び上述した反応について異なる特性を示す。これらの特性に従い、これらの1種以上のタイプを割り当てることができる。ここで、この技術分野の当業者は、上述した反応以外の反応も発生可能であることを知っている。
【0114】
対応する触媒は特に、そのゲル化の発泡化に対する割合によって特徴化され、このことは例えばPolyurethane,3.Auflage,G.Oertel,Hanser Verlag,Munchen,1993,第104〜110頁から公知である。
【0115】
成分(a3)、すなわち水が使用されない場合には、好ましい触媒は、三量化について相当な活性を示す。このことは、ネットワーク構造の均質化に有利な影響を及ぼし、特に有利な機械的特性が得られる。
【0116】
水が成分(a3)として使用される場合、好ましい触媒(a4)は、バランスのとれたゲル化−に対する発泡化の割合を示し、これにより、成分(a1)の水に対する反応が加速され過ぎることなく、及びネットワーク構造の消極的な影響がもたらされ、及び同時に短いゲル化時間が得られ、離型時間が有利に短縮化される。好ましい触媒は同時に、三量化に関して相当な活性を示す。これにより、ネットワーク構造の均質化が有利に影響され、特に有利な機械的特性が得られる。
【0117】
触媒はモノマー単位(組み込み可能な触媒)であって良く、又は組み込み不可能であっても良い。
【0118】
成分(a4)は、目的に従って、有効な最少量で使用される。好ましい使用は、成分(a1)、(a2)及び(a3)を全体で100質量部として、成分(a4)が、0.01〜5質量部、特に0.1〜3質量部、特に好ましくは0.2〜2.5質量部である。
【0119】
成分(a4)の範囲内で、好ましい触媒は、第1級、第2級、及び第3級アミン、トリアジン誘導体、有機金属化合物、金属キレート、第4級アンモニウム塩、アンモニウムヒドロキシド、及びアルカリ金属、及びアルカリ土類金属ヒドロキシド、アルコキシド、及びカルボキシレートから成る群から選ばれる。
【0120】
適切な触媒は、特に強塩基、例えば第4級アンモニウムヒドロキシド、例えばアルキル基に1〜4個のCを有するテトラアルキルアンモニムヒドロキシド、及びベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属ヒドロキシド、例えばカリウム−又はナトリウムヒドロキシド、及びアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、及びナトリウムエトキシド、及びカリウムイソプロキシドである。
【0121】
適切な触媒はまた特に、カルボン酸のアルカリ金属塩、例えばカリウムフォルメート、ナトリムアセテート、カリウムアセテート、カリウム2−エチルヘキサノエート、カリウムアジペート、及びナトリウムベンゾエート、8〜20個、特に10〜20個の炭素原子を有し、及び任意に側部OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩でもある。
【0122】
適切な触媒は特に、N−ヒドロキシアルキル第4級アンモニウムカルボキシレート、例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムフォルメートである。
【0123】
有機金属化合物は特にゲル触媒として、この技術分野の当業者にとって公知であり、そして触媒(a4)としても同様に適切である。有機スズ化合物(a4)、例えばスズ2−エチルヘキサノエート及びジブチルスズジラウレートが成分(a4)の範囲内で好ましい。更に、金属−アセチルアセトネート、特に亜鉛アセチルアセトネートが好ましい。
【0124】
第3級アミン(第3アミン)は、ゲル化触媒として、及び三量化触媒として公知である。第3級アミンは、触媒(a4)として特に好ましい。好ましい第3級アミンは特に、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’,N”−トリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン(IUPAC:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミンである。
【0125】
成分(a4)の範囲内で、特に好ましい触媒は、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、金属アセチルアセトネート、アンモニウムエチルヘキサノエート、及び金属イオンエチルヘキサノエートから成る群から選ばれる。
【0126】
本発明の範囲内で好ましい触媒の使用は、機械的特性が改良された、特に圧縮強さが改良された多孔性材料をもたらす。触媒(a4)を使用することにより、ゲル化時間が短縮され、すなわち、他の特性に不利な影響を及ぼすことなくゲル化反応が加速される。
【0127】
溶媒
本発明に従い使用される有機エーロゲル、又はキセロゲルの製造は、溶媒の存在下に行われる。
【0128】
溶媒という用語は、本発明の範囲内で、液体希釈剤、すなわち狭い意味での溶媒及び分散材をも含む。混合物は、特に、本当の溶液、コロイド状溶液、又は分散物、例えば乳濁液、又は懸濁液であることができる。混合物は好ましくは、本当の溶液である。溶媒は。工程(a)の条件下では、液状の化合物、好ましくは有機溶媒である。
【0129】
溶媒としては原則として、有機化合物、又は複数種の化合物の混合物が含まれ、ここで溶媒は、混合物が供給される温度−及び圧力条件(簡略化して溶液条件)下では液体である。溶媒の組成は、有機ゲル前駆体を溶解させるか、又は分散させる、好ましくは溶解させることが可能であるように選ばれる。有機エーロゲル、又は有機キセロゲルを製造するための、上述した好ましい方法の範囲内で、好ましい溶媒は、有機ゲル前駆体(A)のための溶媒であり、すなわち、有機ゲル前駆体(A)が反応条件下で完全に溶解するものである。
【0130】
溶媒の存在下で反応が行われた反応生成物は、第一にゲル、すなわち溶媒によって膨張する(ふやける)粘性の化学的ネットワークである。形成されたネットワークのための良好な膨張剤である溶媒は通常、微細な孔及び小さな平均孔径を有するネットワークをもたらし、これに対して、得られるゲルに対して劣悪な膨張剤になる溶媒は通常、大きな平孔径を有する粗いネットワークをもたらす。
【0131】
従って溶媒の選択は、目標とする孔径分布、及び目標とする多孔度に影響を及ぼす。更に溶媒の選択は通常、本発明に従う方法の工程(a)の間、又は後に、沈殿する反応生成物の形成によって、沈殿又は凝降が(ほとんど)発生しないように行われる。
【0132】
適切な溶媒の選択において沈殿する反応生成物の割合は、混合物の全質量に対して、通常1質量%未満である。所定の溶媒内で形成された沈殿生成物は、ゲル化点に到達する前に、適切なフィルターを通して反応混合物を濾過することにより、重量測定的に測定することができる。
【0133】
溶媒として、イソシアネートに基づくポリマーのための、従来技術から公知の溶媒が含まれる。ここで好ましい溶媒は、成分(a1)、(a2)及び場合により(a3)のための溶媒、すなわち成分(a1)、(a2)及び場合により(a3)の成分が、反応条件下に実質的に完全に溶解するものである。好ましいものは、成分(a1)に対して不活性なもの、すなわち反応しないものである。
【0134】
溶媒として例えば、ケトン、アルデヒド、アルキルアルカノエート、アミド、例えばホルムアルデヒド、及びN−メチルピロリドン、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、脂肪族、及び脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、及びフッ素化エーテルが含まれる。同様に、上述した化合物の2種以上の混合物も含まれる。
【0135】
更に、アセタール、特にジエトキシメタン、ジメトキシメタン及び1,3−ジオキソランが溶媒として含まれる。
【0136】
ジアルキルエーテル及び環式エーテルも、溶媒として同様に適切である。好ましいジアルキルエーテルは特に、2〜6個の炭素原子を有するもの、特にメチル−エチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−プロピルエーテル、メチル−イソプロピルエーテル、プロピル−エチルエーテル、エエチル−イソプロピル−エーテル、ジプロピル−エーテル、プロピル−イソプロピル−エーテル、ジイソプロピル−エーテル、メチル−ブチル−エーテル、メチル−イソブチル−エーテル、メチル−t−ブチル−エーテル、エチル−n−ブチル−エーテル、エチル−イソブチル−エーテル、及びエチル−t−ブチル−エーテルである。好ましい環式−テルは特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びテトラヒドロピランである。
【0137】
溶媒として更に、アルキルアルカノエート、特に、メチルフォルメート、メチルアセテート、エチルフォルメート、ブチルアセテート、及びエチルアセテートが含まれる。好ましいハロゲン化溶媒は、WO00/24799、第4頁、第12行目〜第5頁第4行目に記載されている。
【0138】
アルデヒド、及び/又はケトンが溶媒として好ましい。溶媒として適切なアルデヒド、又はケトンは特に、一般式R−(CO)−Rに相当するもので、ここで、上記式中、R及びRは、水素、及び1、2、3又は4個の炭素原子を有するアルキル基である。適切なアルデヒド又はケトンは特に、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペントアルデヒド、2−メチルペントアルデヒド、2−エチルヘキサアルデヒド、アクロライン、メタクロライン、クロトンアルデヒド、フルフラル、アクロライン二量体、メタクロライン二量体、1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒド、6−メチル−3−シクロヘキセンアルデヒド、シアンアセトアルデヒド、エチルグリコキシレート、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、エチルイソプロピルケトン、2−アセチルフラン、2−メトキシ−4−メトキシペンタン−2−オン、シクロヘキサノン及びアセトフェノンである。上述したアルデヒド及びケトンは、混合物の状態で使用することもできる。置換基1つにつき3個以下の炭素原子を有するアルキル基を有するケトン及びアルデヒドが、溶媒として特に好ましい。極めて好ましくは一般式R(CO)Rのケトンであり、ここでR及びRは、相互に独立して、1〜3個のC‐原子を有するアルキル基から選ばれる。好ましい第1の実施の形態では、ケトンはアセトンである。更なる好ましい実施の形態では、両方の置換基R及び/又はRの少なくとも1つは、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルエチルケトンを含む。上述した特に好ましいケトンを、本発明の方法で組合せ使用することにより、平均孔径が特に小さい多孔性の材料が得られる。得られるゲルの多孔性構造は、上述した特に好ましいケトンの高い親和性のために、特に細孔性であると考えられるが、これにより何ら限定がなされるものではない。
【0139】
多くの場合において、上述した溶媒から選ばれる、相互に完全に混合可能な2種以上の化合物を。混合物の状態で使用することにより特に適切な溶媒が得られる。
【0140】
工程(b)での乾燥で大きく収縮しない十分に安定したゲルを工程(a)で得るために、成分(a1)〜(a3)の部分は、成分(a1)〜(a3)及び溶媒の全質量を100質量%として通常、5質量%以上である。成分(a1)〜(a3)の部分は、成分(a1)〜(a3)及び溶媒の全質量を100質量%として、好ましくは少なくとも6質量%、特に好ましくは少なくとも8質量%、特に少なくとも10質量%である。
【0141】
一方で、上述した混合物中の成分(a1)〜(a3)の濃度は、高い範囲には選ばれない。この理由は、そうでなければ、良好な特性を有する多孔性材料が得られないからである。成分(a1)〜(a3)の部分は、成分(a1)〜(a3)及び溶媒の全質量を100質量%として通常、40質量%以下である。成分(a1)〜(a3)の部分は、成分(a1)〜(a3)及び溶媒の全質量を100質量%として、好ましくは35質量%以下、特に好ましくは25質量%以下、特に20質量%以下である。
【0142】
成分(a1)〜(a3)の質量割合は、成分(a1)〜(a3)及び溶媒の全質量を100質量%として、全体で好ましくは、8〜25質量%、特に10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%である。上述した範囲での使用する量を遵守することによって、特に良好な孔構造、低い熱伝導度、及び乾燥における少ない収縮を有する多孔性材料が得られる。
【0143】
本発明に従う方法の工程(a)に従う反応の前に、好ましくは、成分(a1)、(a2)、場合により(a3)及び場合により(a4)及び場合により溶媒の供給が行われる。
【0144】
好ましくは、(一方では)成分(a1)、及び(a2)及び場合により(a3)及び場合により(a4)(他方では)は、それぞれ溶媒の適切な部分量中に分けて準備される。この分けられた状態の準備は、混合の前、及び混合の間の操作について、最適な制御を可能とする。
【0145】
水が成分(a3)として使用される場合、成分(a3)は特に好ましくは成分(a1)とは分けて準備される。これにより、水と成分(a1)とが、成分(a2)の不存在下にネットワークを形成しつつ反応することが回避される。他方において、水と成分(a1)との事前混合は、孔構造の均一性、及び得られる材料の熱伝導度について、好ましい特性を低下させる。
【0146】
工程(a)を行う前に準備される混合物、又は複数の混合物は更に通常、この技術分野の当業者にとって公知の助剤を更なる成分として含むことができる。このようなものは例えば、表面活性剤、核形成剤、酸化安定剤、スライディング及び脱型剤、染料及び顔料、(例えば加水分解、光、熱、又は変色に対する)安定剤、無機、及び/又は有機充填剤、補強剤、及び殺生物剤を含む。
【0147】
上述した助剤−、及び添加剤のより詳細な記載は、専門文献、例えばPlastics Additive Handbook,5th edition,H.Zweifel,ed.Hanser Publishers,Munchen,2001,104−127に見出すことができる。
【0148】
好ましい方法の工程(a)に従う反応を行うために、第1に、工程(a)に従う反応の前に準備される成分の均一な混合物を製造する必要がある。
【0149】
工程(a)の範囲内で反応(変換)される成分の準備は通常の態様で行うことができる。このために好ましくは、(良好で迅速な攪拌を行うために)攪拌器、又は他の混合装置が使用される。(混合の欠陥を回避するための)均一な混合物を製造するために必要とされる期間は、ゲルが少なくとも部分的に形成される期間と比較して短い。他の混合条件は通常、重要ではない。例えば、0〜100℃、及び0.1〜10バール(絶対圧)、特に室温及び大気圧で混合することができる。均一な混合物を満足に製造した後、混合装置は好ましくはスイッチオフされる。
【0150】
ゲル化反応は、重付加反応、特にイソシアネート基とアミノ基の重付加である。
【0151】
ゲルは、液体(いわゆるソルボゲル又はリオゲル、ないしは液体としての水と一緒:アクアゲル又はヒドロゲル)と接触しているポリマーに基づく架橋された系であると理解される。ここで、ポリマー相は、連続的な空間的(三次元的)ネットワークを形成する。
【0152】
工程(a)の範囲内で、ゲルは通常、放置することにより、例えば内部に混合物が存在する容器、反応容器、又は反応器(以降、ゲル化装置と称する)をそのままにしておくことにより発生する。好ましくは、ゲル化(ゲル形成)の間にゲル混合物は、もはや攪拌されず、又は混合されない。この理由は、ゲルの形成が妨げられるからである。ゲル化の間、混合物に覆いをかぶせるか、又はゲル化装置をしまいこむことが有利であることがわかった。
【0153】
ゲル化はこの技術分野の当業者にとって、それ自体は公知であり、及び例えばWO2009/027310、第21頁、第19行目〜第23頁、第13行目に記載されている。
【0154】
好ましい方法の範囲内で、工程(b)の範囲で溶媒が除去される(乾燥)。基本的に乾燥は、超臨界条件で、好ましくは溶媒をCO又は超臨界条件での乾燥の目的に適した他の溶媒に置き換えた後に考慮される(任意のものである)。このような乾燥は、この技術分野の当業者にとって公知である。超臨界条件は、分離される液相が、超臨界状態に置かれる温度と圧力を示す。これにより、溶媒の除去におけるゲル体の収縮が、低減される。超臨界条件での乾燥で得られた材料は、エーロゲルと称される。
【0155】
得られたゲルを、ゲル内に含まれる液体を、ゲル内に含まれる液体の臨界温度と臨界圧力未満の温度と圧力でガス状状態にすることで乾燥させることも、単純な工程という観点からは当然、好ましい。
【0156】
好ましくは、得られたゲルの乾燥は、溶媒を、溶媒の臨界温度未満及び臨界圧力未満の温度と圧力でガス状状態にすることによって行われる。これにより、乾燥は、反応時に存在した溶媒を、(更なる溶媒と事前に置き換えことなく)除去することによって行われる。対応する方法は、この技術分野の当業者にとって公知であり、及びWO−2009/027310、第26頁、第22行目〜第28行目、第36行目に記載されている。
【0157】
本発明に従い使用される有機エーロゲル、又はキセロゲルは種々の態様で、本発明に従う装置の、一貫して排気される領域に組み込まれることができる。
【0158】
有機エーロゲル、又は有機キセロゲルは例えば、EP−A11155833.4に記載されているように、微細化された粉に変換することができる。次に、粉を一貫して排気可能な領域内に吹き込むことができ、又は例えばWO2004/010042に記載されているように、所定の開口部を介して導入することができる。
【0159】
この替りに、ケセロゲルをなお液体状態、すなわち完全に硬化する前に、一貫して排気可能な領域(例えば、後に装置内で一貫して排気可能な領域を形成する構造部分に)に導入することができる。その個所で、ゲルを硬化させることができ、そして上述したように溶媒が除去される。
【0160】
本発明に従い使用されるエーロゲル又はキセロゲルの本発明に従う更なる好ましい変形例は、以下の工程を有している:(i)有機エーロゲル又はキセロゲルを成形体、すなわち事前成形された部分として用意する工程、次に(ii)成形体を後の本発明に従う装置の部分によって囲む(仕立てる:altering)工程。この部分は特に、本発明に従う装置のモジュール構造部分、特に(本発明に従う装置内で、一貫して排気される領域を取り囲む)合成物質(樹脂)でできた構造部分である。換言すれば:本発明に従う装置、又は(後の装置の)一貫して排気される領域を含むモジュール部分、例えば装置のハウジング、及び/又は装置の側壁、又はドアは、事前成形された有機エーロゲル、又はキセロゲルの回りに構築される。
【0161】
本発明の対象は更に、上述した有機エーロゲル又は有機キセロゲルを、(一貫して排気可能な領域に加え、一貫して排気可能な領域によって周囲温度に対して温度的に絶縁されている温度調節可能な利用領域を有する)装置内の一貫して排気可能な領域内に使用する方法であって、一貫して排気可能な領域が、(多孔性、及び/又はセル状の絶縁材料によって装置内を占めている)全体積の少なくとも30体積%を構成している。
【0162】
実施例
熱伝導度(熱伝導率)を23℃で、2−プレート装置を使用して測定した。ここで、中央の円盤状の金属板が制御下に加熱された。これを両面において、厚さがわかっている2つの同じサンプルで囲んだ。サンプルの外側面を温度的に制御された放熱板に繋いだ。サンプルに一定した温度勾配が形成されるように、(閉じたループ下で)熱的な挙動を制御した。加熱板に導入された電気エネルギーを熱として、両方のサンプルを通して対称的に流した。一次元的な熱の流れを保証するために、中央の加熱板を2枚の同心の保護リングで囲み、保護リングは中央の板と同じ温度に維持された。
【0163】
キセロゲルを製造するために、以下の化合物を使用した:
オリゴマーMDI(Lupranat(登録商標)M50)で、ASTM D−5155−96Aに従うNCO含有量が100gにつき31.5g、官能価が2.8〜2.9の範囲、及びDIN53018に従う粘度が、25℃で550mPa・sのもの(以降「化合物M50」)。
【0164】
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以降「MDEA」)
触媒:トリエタノールアミン
実施例1
2700mLの23、4質量%の、アセトン中化合物M50の溶液を、(1.8質量%のMDEA、0.9質量%のトリエタノールアミン、及び1200gの水を含んでいる)2700mLのアセトン溶液と混合した。透明で低粘性の混合物が得られた。この混合物を室温で24時間、硬化のために保持した。次に、7日間にわたり20℃で乾燥させて液体(アセトン)を除去した。得られた材料は、密度が130g/Lであった。
【0165】
圧力に依存した熱伝導率を、長さが320mm、及び幅が450mm、厚さが25mmの試験体を使用して測定した。表1に結果をまとめて示した。
【0166】
【表1】
【0167】
実施例2(比較例)
実施例2で、ポリウレタンに基づく断熱性硬質フォームを製造し、及び実施例1と比較した。
【0168】
ポリウレタンフォームを製造するために、以下の化合物を使用した:
ポリオールA:スクロース、グリセロール、及びプロピレンオキシドから形成されたポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価490
ポリオールB:プロピレングリコール、及びプロピレンオキシドから形成されたポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価105
ポリオールC:プロピレングリコール、及びプロピレンオキシドから形成されたポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価250
添加剤1:Tegostab(登録商標)B8870(Evonik社からのシリコーン安定剤)
添加剤2:Ortegol(登録商標)501(Evonik社からのセル開口界面活性剤)
触媒1:Polycat(登録商標)58(Air Products社からの第3級アミン)
触媒2:エチレングリコール中カリウムアセテート(BASF)
ASTM D−5155−96Aに従うNCO含有量が100g中31.4g、官能価の範囲が約2.9、及びDIN53018に従う25℃での粘度が650mPa.sのオリゴマーMDI(Lupranat(登録商標)M70)(以降、「化合物M70」と称する)
上述した原料から、混合によってポリオール成分を製造し、そしてイソシアネート(化合物M70)と反応させた。使用した材料の量を表に示した。混合を混合ヘッド内で行った。反応混合物を辺長が418×700×455mmの実験室成形型に排出し、そしてその中で硬化させた。
【0169】
【表2】
【0170】
このようにして得られた硬質フォームから、及びキセロゲルから、19×19×2cmの寸法の試験体(サンプル)を切り取り、ガス漏れのないフィルムに包み、そして0.1ミリバール未満の圧力に排気した後に、これを溶接した。ここで、排気時間を測定した(表3)。
【0171】
【表3】
【0172】
ポリウレアに基づく有機キセロゲルを使用することによって、絶縁材として冷蔵庫に使用されるPUR硬質フォームと比較して、熱伝導率が改良された。同時に、排気時間を相当に短縮することができた。