(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、
図1(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、
図1(b)は、側面側から内部を見た図である。
【0024】
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。硬貨処理装置1は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、硬貨処理装置1は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を出金する。
【0025】
図1に示すように、硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨判別部14と、選別搬送路20と、リジェクト硬貨収容部26と、一時保留部30と、返却箱34と、金種別ホッパ36と、出金箱40と、制御ユニット90とを有する。
【0026】
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨Cが投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨Cを一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨Cは、硬貨繰り出し部12に落下する。
【0027】
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨Cを一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨Cは、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨判別部14へ繰り出される。
【0028】
硬貨判別部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨Cの真偽、金種等の判別を行う。硬貨判別部14は、硬貨Cを認識するセンサ(不図示)を有し、センサで検出した硬貨Cの特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨判別部14は、判別した硬貨Cを選別搬送路20に搬送する。
【0029】
選別搬送路20は、硬貨を搬送する搬送路である。選別搬送路20は、硬貨判別部14による判別結果に基づいて、硬貨Cを選別して搬送する。選別搬送路20は、搬送方向に沿って設けられ、硬貨を金種別に排出する複数の排出口を有する。具体的には、選別搬送路20は、搬送路上流側に位置するリジェクト口21と、搬送路下流側に位置する金種別の受入口22a〜22fとを有する。硬貨判別部14において真貨で無いと判別された硬貨Cは、リジェクト口21から排出される。真貨であると判別された硬貨Cは、金種別に受入口22a〜22fから排出される。本実施形態では、リジェクト口21と受入口22a〜22fの形状や大きさは、同じであり、最大直径の硬貨が排出可能な大きさとなっている。
【0030】
また、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fの各々には、硬貨を排出口から排出させる排出位置と、硬貨を排出口上を通過させる通過位置と、の間で回動する開閉部材(移動部材の一例)である選別ゲート24がそれぞれ設けられている。リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた選別ゲート24は、同様な構成である。以下では、受入口22aを例に挙げて説明する。
【0031】
図2は、受入口22aと、選別ゲート24の構成を示す斜視図である。なお、
図2(a)は、選別ゲート24が、通過位置として受入口22aを閉塞する閉位置に位置する状態を示し、
図2(b)は、選別ゲート24が、排出位置として受入口22aを開放する開位置に位置する状態を示す。選別ゲート24は、例えばソレノイド等によって軸24aを中心に回動することで、受入口22aを閉塞し、又は受入口22aを開放する。
図2(a)に示すように選別ゲート24が閉位置に位置する時は、硬貨Cは選別ゲート24上を通過する。一方で、
図2(b)に示すように選別ゲート24が開位置に位置する時は、硬貨Cが受入口22aに導かれて落下する。
【0032】
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過した硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(
図1に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出し可能である。
【0033】
一時保留部30は、金種別の受入口22a〜22fを通過した硬貨を、金種別に収容する。受入口22a〜22fの下方には、受入口22a〜22fから排出された硬貨を一時保留部30へ導く硬貨落下シュートが配置(
図1に示す矢印Qのルートで配置)されている。
【0034】
図3は、金種別の一時保留部30の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、一時保留部30は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の一時保留部30a〜30fで構成されている。また、一時保留部30は、底部を成すガイド32に対して、
図3に示す矢印H及び矢印Sで示す方向に移動可能である。
【0035】
返却箱34は、一時保留部30が矢印H方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を収容する。返却箱34は、使用者によって硬貨処理装置1の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
【0036】
金種別ホッパ36は、一時保留部30が矢印S方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を金種別に収納する。金種別ホッパ36は、金種別の一時保留部30a〜30fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a〜36fで構成されている。金種別ホッパ36a〜36fは、
図1に示す矢印T方向に、硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部も有する。
【0037】
出金箱40は、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された(送り出された)硬貨を、金種別に集積する。出金箱40は、着脱可能に装着されており、使用者によって硬貨処理装置1の前面から装置外へ引き出し可能になっている。金種別ホッパ36a〜36fの下方には、繰り出された硬貨を出金箱40へ導くシュートが配置(
図1に示す矢印Tのルートで配置)されている。なお、硬貨処理装置1の本体側には、出金箱40が装着されている状態か取り外されている状態かを検出するセンサ(不図示)が設けられている。
【0038】
制御ユニット90は、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。制御ユニット90は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部(
図4に示す制御部120)と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部(
図4に示す記憶部122)と、を有する。
【0039】
(1−2.搬送路における異常検出後の硬貨の搬送について)
硬貨処理装置1においては、選別搬送路20における硬貨の搬送に異常が検出され、硬貨の搬送が停止する場合がある。例えば、入金処理中に選別搬送路20において硬貨のジャムが発生した場合には、入金処理が停止する。なお、ジャムは、変形した硬貨やリジェクトされるような異形の硬貨、異物等が混ざっている場合に、発生する。
【0040】
ジャムを解消する方策としては、例えば操作者が手で選別搬送路20からジャムとなった硬貨を除去する方法がある。しかし、かかる場合には、操作者にとって作業が煩雑であり、また硬貨を取り忘れる恐れがある。
【0041】
上記の問題の発生を防止するために、ジャム硬貨を定められた箇所に強制的に搬送させて集積させる方策が採用されうる。例えば、受入口22fよりも搬送方向下流側に設けた一つの排出口(便宜上、強制排出口と呼ぶ)から、ジャム硬貨を強制的に排出させる。しかし、かかる場合には、例えば受入口22aの近傍に位置するジャム硬貨の強制排出口までの搬送距離が長いため、ジャム硬貨が選別搬送路20にくっついたりして強制排出口まで適切に搬送できない恐れがある。この結果、ジャムを適切に解消できなくなる恐れがある。
【0042】
そこで、本実施形態に係る硬貨処理装置1は、選別搬送路20のジャム硬貨を適切に除去すべく、
図4に示すような機能構成を有し、ジャム検出後の硬貨搬送について以下に説明するような制御を行う。
【0043】
図4は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、硬貨処理装置1は、前述した硬貨繰り出し部12、選別ゲート24、及び一時保留部30に加えて、搬送機構110と、異常検出部112と、表示部114と、操作部116と、制御部120と、記憶部122と、を有する。
【0044】
(搬送機構110)
搬送機構110は、例えば選別搬送路20上に設けられた搬送ベルトを有し、搬送ベルトが回転することで選別搬送路20の硬貨を搬送する。搬送ベルトは、モータ等の駆動源からの駆動力を受けて、回転する。なお、硬貨の搬送手段はベルトに限定されず、他の手段であっても良い。
【0045】
(異常検出部112)
異常検出部112は、選別搬送路20における硬貨の搬送異常を検出する。異常検出部112は、例えば光学センサで構成され、硬貨の通過を検出する。例えば、異常検出部112は、本来通過を検出すべき硬貨を検出しない場合に、搬送異常としてジャムが発生したと判定する。光学センサは、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fの搬送方向下流側に、それぞれ設けられている。
【0046】
(表示部114)
表示部114は、硬貨処理装置1に関する種々の情報を表示する。表示部114は、操作者が表示内容を視認しやすいように、硬貨処理装置1の上方に設けられている。第1の実施形態に係る表示部114は、選別搬送路20においてジャムが発生した際に、例えば
図5に示すような表示を行う。
【0047】
図5は、第1の実施形態においてジャムが発生した際の表示部114の表示例を説明するための模式図である。
図5に示すように、ジャムが発生した際には、硬貨のジャムが発生した旨のエラー表示M1がされると共に、復旧ボタンB1が表示される。操作者は、表示された復旧ボタンB1を押下することで、ジャムを解消するためのリセット搬送(詳細は、後述する)が行なわれる。
【0048】
(操作部116)
操作部116は、操作者による各種の入力操作を受け付ける。操作部116は、例えば表示部114と重畳して設けられたタッチパネルである。第1の実施形態に係る操作部116は、選別搬送路20における搬送異常が検出された際に、搬送異常を解消するための操作者による解消操作(例えば、操作者による
図5に示す復旧ボタンのタッチ操作)を受け付ける。
【0049】
(制御部120)
制御部120は、上述した搬送機構110、異常検出部112、表示部114、及び操作部116の動作を制御する。特に、第1の実施形態に係る制御部120は、選別搬送路20のジャム硬貨を適切に除去すべく、ジャム硬貨のリセット搬送を行う。
【0050】
ここで、リセット搬送とは、ジャムが発生した際に、選別搬送路20上のジャム硬貨をリジェクト口21、及び受入口22a〜22fのいずれかから排出すべく、搬送を行うものである。制御部120は、リセット搬送の際に、選別ゲート24の開閉状態を以下のように制御する。
【0051】
制御部120は、異常検出部112によって選別搬送路20における搬送異常が検出された場合に、複数の選別ゲート24を排出位置(
図2(b)に示す位置)に位置させた状態で硬貨を搬送させる。具体的には、制御部120は、選別搬送路20において搬送異常が検出された際に、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた全ての選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で硬貨を搬送させる。
【0052】
上記の構成の場合には、ジャムが発生した際に停止したジャム硬貨が、リセット搬送の際に、搬送方向下流側において最も近くの排出口(リジェクト口21、及び受入口22a〜22fのいずれか)から排出されることになる。このため、リセット搬送を行った際に、ジャム硬貨が選別搬送路20から排出される迄の搬送距離を短くできるので、選別搬送路20におけるジャムを迅速に解消できる。
【0053】
なお、上記では、リセット搬送の際に、全ての選別ゲート24を排出位置に位置させることとしたが、これに限定されない。例えば、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた7つの選別ゲート24のうちの2〜6個の選別ゲート24のみを排出位置に位置させても良い。具体的には、7つの選別ゲート24を1つ置きに排出位置に位置させても良い。
【0054】
また、選別搬送路20におけるジャム硬貨の位置を特定できる場合には、ジャム硬貨の近傍に位置する複数の選別ゲート24を排出位置に位置させても良い。かかる場合にも、リセット搬送を行った際に、ジャム硬貨が選別搬送路20から排出される迄の搬送距離を短くできるので、選別搬送路20におけるジャムを迅速に解消できる。
【0055】
制御部120は、選別搬送路20において搬送異常が検出された際に、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で、装置本体に対して着脱可能な硬貨収容部に硬貨を搬送させる。ここで、制御部120は、硬貨収容部として、リジェクト硬貨収容部26や返却箱34に硬貨を搬送させる。これにより、操作者は、ジャム硬貨が集積されたリジェクト硬貨収容部26や返却箱34を取り出すことで、リセット搬送後にジャム硬貨を回収しやすくなる。
【0056】
なお、制御部120は、搬送異常が検出された際に、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で、複数の硬貨収容部(具体的には、リジェクト硬貨収容部26及び返却箱34)に硬貨を搬送させても良い。かかる場合には、ジャムが発生した際の硬貨の位置に応じて、ジャム硬貨がリジェクト硬貨収容部26又は返却箱34に搬送されるので、ジャム硬貨を有効に回収できる。
【0057】
制御部120は、操作部116がジャムの解消操作(例えば、操作者による
図5に示す復旧ボタンの押下操作)を受け付けると、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で硬貨を搬送させる。かかる場合には、操作者が、手で自らジャム硬貨を除去せず自動で除去したい場合に、リセット搬送を行うことになるので、ジャム除去の利便性が向上する。
【0058】
(記憶部122)
記憶部122は、制御部120が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部122は、硬貨処理装置1の動作時に必要な各種のデータを記憶する。例えば、記憶部122は、表示部114が表示する表示内容を記憶する。
【0059】
なお、上記では、リセット搬送の際に、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させることとしたが、これに限定されない。例えば、ジャム硬貨の位置を特定できる場合には、ジャム硬貨から搬送方向下流側において最も近くに位置する一の選別ゲート24のみを排出位置に位置させても良い。かかる場合には、選別ゲート24の制御を最小限に留めつつ、ジャム硬貨が選別搬送路20から排出される迄の搬送距離を短くできるので、選別搬送路20におけるジャムを迅速に解消できる。なお、排出位置に位置させる選別ゲート24は、硬貨よりも搬送方向上流側に位置するゲートであっても良く、かかる場合には、硬貨を搬送方向上流側に逆走させることで、排出できる。
【0060】
(1−3.硬貨処理装置の動作)
図6を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例について説明する。
【0061】
図6は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例を示すフローチャートである。硬貨処理装置1の動作は、制御ユニット90の制御部120によって実行される。すなわち、制御部120が、記憶部122に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0062】
図6のフローチャートは、例えば入金処理等において、硬貨繰り出し部12が硬貨を繰り出すところから開始される(ステップS102)。繰り出された硬貨は、搬送機構110により選別搬送路20を搬送される。
【0063】
次に、異常検出部112は、選別搬送路20において搬送異常としてジャムが発生したか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104でジャムが発生した場合には(Yes)、制御部120は、硬貨繰り出し部12による硬貨の繰り出しと、搬送機構110による硬貨の搬送を停止させる(ステップS106)。これにより、ジャム硬貨が、選別搬送路20上に滞留することになる。
【0064】
次に、制御部120は、表示部114を制御して、例えば
図5に示すようなエラー表示を行う(ステップS108)。この際、
図5に示すように、リセット搬送を行う契機となる復旧ボタンも表示される。操作者は、リセット搬送でジャム硬貨を除去したい場合には、復旧ボタンを押下することになる。
【0065】
次に、制御部120は、操作部116を制御して、操作者が復旧ボタンを押下したか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110で復旧ボタンが押下された場合には(Yes)、制御部120は、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた全ての選別ゲート24を開位置(
図2(b)に示す位置)に位置させる(ステップS112)。
【0066】
次に、制御部120は、全ての選別ゲート24が開位置に位置した状態で、搬送機構110を制御して、選別搬送路20のジャム硬貨を排出させるためのリセット搬送を行う(ステップS114)。これにより、ジャム硬貨が、リセット搬送の際に、搬送方向下流側において最も近くの排出口(リジェクト口21、及び受入口22a〜22fのいずれか)から排出されることになる。例えば、ジャム発生時にジャム硬貨がリジェクト口21と受入口22aの間に位置する場合には、リセット搬送による硬貨が受入口22aから排出されることになる。
【0067】
その後、制御部120は、リジェクト口21から排出されたジャム硬貨を、リジェクト硬貨収容部26へ搬送させる。また、制御部120は、受入口22a〜22fから排出されたジャム硬貨を、一時保留部30を経由して返却箱34へ搬送させる。これにより、操作者は、リジェクト硬貨収容部26又は返却箱34に集積された硬貨を回収できる。
【0068】
<2.第2の実施形態>
上述した第1の実施形態では、操作部116がジャムの解消操作(例えば、操作者による
図5に示す復旧ボタンの押下操作)を受け付けると、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で硬貨を搬送させることとした(
図6参照)。
【0069】
これに対して、第2の実施形態では、制御部120は、異常検出部112によって選別搬送路20における搬送異常が検出されると、自動で複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で硬貨を搬送させる。すなわち、制御部120は、操作者がジャムの解消操作を行わなくても、自動でリセット搬送を実行させる。これにより、より迅速に硬貨のジャムを解消できる。
【0070】
上記の制御に伴い、制御部120は、表示部114を制御して、
図7に示すような表示を行う。
【0071】
図7は、第2の実施形態においてジャムが発生した際の表示部114の表示例を説明するための模式図である。
図7に示すように、ジャムが発生した際には、硬貨のジャムが発生した旨のエラー表示がされると共に、ジャム解消のための復旧中である旨M2が表示される。操作者は、表示された内容を見て、ジャム解消のための処理が実行されていることを容易に認識できる。
【0072】
次に、
図8を参照しながら、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例について説明する。
【0073】
図8は、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すステップS102〜S106の処理は、
図6に示す第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0074】
ステップS106で硬貨の搬送を停止した後に、制御部120は、表示部114を制御して、例えば
図7に示すようなエラー表示を行う(ステップS202)。この際、
図5に示すような復旧ボタンを表示せず、ジャム解消のための復旧中である旨が表示される。
【0075】
次に、制御部120は、自動で、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた全ての選別ゲート24を開位置に位置させる(ステップS204)。次に、制御部120は、全ての選別ゲート24が開位置に位置した状態で、搬送機構110を制御して、選別搬送路20のジャム硬貨を排出させるためのリセット搬送を行う(ステップS206)。これにより、ジャム硬貨が、リセット搬送の際に、搬送方向下流側において最も近くの排出口(リジェクト口21、及び受入口22a〜22fのいずれか)から排出されることになる。
【0076】
その後、制御部120は、リジェクト口21から排出されたジャム硬貨を、リジェクト硬貨収容部26へ搬送させる。また、制御部120は、受入口22a〜22fから排出されたジャム硬貨を、一時保留部30を経由して返却箱34へ搬送させる。これにより、操作者は、リジェクト硬貨収容部26又は返却箱34に集積された硬貨を回収できる。
【0077】
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態では、リセット搬送によって実際にジャム硬貨が適切に除去されたか否かを検知するために、以下のような制御が行なわれる。
【0078】
すなわち、制御部120は、リセット搬送後に、複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で硬貨を搬送させた後に、硬貨繰り出し部12に硬貨を繰り出させる。ここで、硬貨繰り出し部12から繰り出される硬貨は、1枚である。そして、繰り出された硬貨は、搬送機構110によって選別搬送路20を搬送される。なお、硬貨繰り出し部12は、2枚以上の硬貨を繰り出しても良い。
【0079】
この際、制御部120は、複数の選別ゲート24のうちの搬送方向の最下流(具体的には、受入口22f)に位置する選別ゲート24のみを開位置に位置させた状態で、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨を搬送させる。すなわち、リセット搬送時とは異なり、受入口22fのみ開位置に位置させ、リジェクト口21及び受入口22a〜22eは、閉位置に位置させる。
【0080】
かかる場合には、リセット搬送の際にジャム硬貨が適切に除去されていれば、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨は、選別搬送路20において詰まらず、受入口22fから排出されることになる。このように受入口22fから硬貨が排出されることで、ジャム硬貨が適切に除去されたことを検出できる。なお、ジャム硬貨が適切に除去されたことは、例えば、受入口22eと受入口22fの間にある光学センサが、硬貨の通過を検出することで、検出可能である。
【0081】
次に、
図9を参照しながら、第3の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例について説明する。
【0082】
図9は、第3の実施形態に係る硬貨処理装置1の動作例を示すフローチャートである。
図9に示すステップS102〜S114の処理は、
図6に示す第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0083】
ステップS114のリセット搬送後に、制御部120は、硬貨繰り出し部12を制御して、硬貨を繰り出させる(ステップS302)。次に、制御部120は、リジェクト口21及び受入口22a〜22fに設けられた選別ゲート24のうち、受入口22fの選別ゲート24のみを開位置に位置させる(ステップS304)。一方で、制御部120は、リジェクト口21及び受入口22a〜22eに設けられた選別ゲート24については、閉位置に位置させる。
【0084】
次に、制御部120は、搬送機構110を動作させて、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨を搬送させる(ステップS306)。リセット搬送の際にジャム硬貨が適切に除去されていれば、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨は、受入口22fまで搬送されて、受入口22fから排出されることになる。そして、受入口22fから排出された硬貨は、一時保留部30を経由して返却箱34へ搬送される。このように、受入口22fから硬貨が排出されることで、リセット搬送によってジャム硬貨が実際に除去されたことを判定できる。
【0085】
なお、上記では、硬貨繰り出し部12が硬貨を繰り出した後に、受入口22fの選別ゲート24のみを開位置に位置させることとしたが、これに限定されない。例えば、受入口22fの選別ゲート24のみを開位置に位置させた後に、硬貨繰り出し部12が硬貨を繰り出しても良い。
【0086】
また、上記では、
図6に示す第1の実施形態に係るリセット搬送後に、硬貨繰り出し部12が硬貨を繰り出すこととしたが、これに限定されない。例えば、
図8に示す第2の実施形態に係るリセット搬送後に、硬貨繰り出し部12が硬貨を繰り出しても良い。
【0087】
(移動部材の変形例)
なお、上記では、排出口(リジェクト口21及び受入口22a〜22f)に設けられ排出位置と通過位置との間で移動する移動部材として、
図2に示す選別ゲート24が設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、移動部材は、
図10に示すように排出口422aに隣接するように設けられたピン424であっても良い。
【0088】
図10は、移動部材の変形例に係るピン424の構成の一例を説明するための図である。
図10(a)は、硬貨を排出口422a上を通過させるピン424の通過位置を示し、
図10(b)は、硬貨を排出口422aから排出させるピン424の排出位置を示す。排出位置は、ピン424が選別搬送路20から
図10の紙面手前側へ突出した位置であり、通過位置は、ピン424が選別搬送路20から突出していない位置である。また、
図10に示す変形例においては、排出口422aの長手方向(搬送方向)の長さは、硬貨Cの直径よりも大きいが、排出口422aの短手方向(搬送方向の直交方向)の長さは、硬貨Cの直径よりも小さい。さらに、ピン424は、排出口422aの縁部に位置している。
【0089】
そして、ピン424が通過位置に位置する際には、
図10(a)に示すように、硬貨Cが、ピン424に接触すること無く、排出口422a上を通過する。一方で、ピン424が排出位置に位置する際には、硬貨Cが、
図10(b)に示すようにピン424に接触して排出口422aに対して姿勢が斜めになるため、排出口422aから斜めに落下して排出される。
【0090】
<4.まとめ>
上述した硬貨処理装置1によれば、異常検出部112が選別搬送路20における搬送異常(具体的には、硬貨のジャム)を検出した場合に、制御部120は、リジェクト口21、及び受入口22a〜22fに設けられた複数の選別ゲート24を排出位置に位置させた状態で、硬貨をリセット搬送させる。
【0091】
かかる場合には、搬送異常が発生した際に停止した硬貨が、リセット搬送の際に、搬送方向下流側において最も近くの排出口(リジェクト口21、及び受入口22a〜22f)から排出されることになる。このため、リセット搬送を行った際に、硬貨が選別搬送路20において搬送される距離を短くできるので、選別搬送路20における搬送異常を適切に解消できる。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。