(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コイルばねが一方向のみに回転移動する場合と比較し、コイルばねの分離効率を向上させることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、絡まった状態のコイルばねが供給されるドラム部と、前記ドラム部の軸方向から見た場合に、前記コイルばねが周方向一方側に回転移動するように前記ドラム部の内部に気体を噴出する第一噴出口と、前記コイルばねが周方向他方側に回転移動するように前記ドラム部の内部に気体を噴出する第二噴出口と、を有し、前記第一噴出口と前記第二噴出口とから交互に前記気体を噴出
し、前記コイルばねを前記周方向一方側と前記周方向他方側とに交互に回転移動させる噴出部と、前記ドラム部の内部に設けられ、回転移動する前記コイルばねが衝突する衝突部と、前記コイルばねが、前記ドラム部の内周面に形成された排出口から排出される排出部と、を備える、コイルばね分離装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記排出部は、周方向他方側に回転移動する前記コイルばねが排出される第一排出部と、周方向一方側に回転移動する前記コイルばねが排出される第二排出部と、を備える請求項1に記載のコイルばね分離装置である。
【0008】
請求項3の発明は、前記排出部は、内径が前記コイルばねの大きさに対応して交換可能な通過部を有している、請求項1又は請求項2に記載のコイルばね分離装置である。
【0009】
請求項4の発明は、前記排出部は、前記コイルばねの排出方向と反対方向に気体を噴射する逆噴射部を有している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコイルばね分離装置である。
【0010】
請求項5の発明は、前記排出部は、前記逆噴射部の噴射口よりも排出方向下流側に、開閉部材が設けられている、請求項4に記載のコイルばね分離装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、コイルばねが一方向のみに回転移動する場合と比較し、コイルばねの分離効率が向上する。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第一排出部と第二排出部のいずれか一方のみを備える場合と比較し、分離したコイルばねの排出効率が向上する。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、通過部が交換できない場合と比較し、分離できるコイルばねの種類が増える。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、逆噴射部を有していない場合と比較し、コイルばねの詰まりを容易に解消することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、開閉部材が設けられていない場合と比較し、コイルばねの逆噴射部が気体を噴射する際のコイルばねの逆流を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係るコイルばね分離装置の一例について説明する。
<構造>
まず、コイルばね分離装置10の構造について説明する。各図に適宜示される矢印Xは正面視における装置幅方向を示し、矢印Yは装置前後方向を示し、矢印Zは装置上下方向を示す。また、各図の上側方向が鉛直方向上側方向である。
【0018】
図1〜
図4に示すコイルばね分離装置10は、装置本体12(
図1〜
図3を参照)、コイルばね排出部70(
図2及び
図3を参照)、空気噴出部200(
図4を参照)及び制御装置150(
図4を参照)を含んで構成されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、箱形状の装置本体12の内部には略円筒形のドラム部20が形成されている。なお、この略円筒状のドラム部20の軸G方向はY方向と一致する。
【0020】
なお、本実施形態では、
図1〜
図3に示すように、装置本体12の底面部18が下側で上面部19を上側で設置した状態で説明する。しかし、この方向にコイルばね分離装置10の装置本体12を設置する必要はない。
【0021】
図2及び
図3に示すように、装置本体12の正面側の外壁14には、ドラム部20(
図1及び
図2も参照)を開閉する扉16が設けられている。この扉16の下端部には、回転軸が設けられ、
図2に示すように、この回転軸を回転中心として、扉16の上端側が開閉する構成となっている。そして、扉16を開閉することで、絡まった状態のものを含むコイルばねSをドラム部20に供給するように構成されている。なお、装置本体12には、閉止した扉16をロックするロック機構17が設けられている。
【0022】
図1に示すように、装置本体12のドラム部20の内周面20Aの下端部には、第一噴出口30Aと第二噴出口30Bとが、対向して開口している。なお、本実施形態の第一噴出口30Aは、
図1における左側に開口し、第二噴出口30B、
図1における右側に開口している。
【0023】
これら第一噴出口30A及び第二噴出口30Bは、それぞれ装置本体12の下部に設けられた第一供給管32A及び第二供給管32Bと繋がり、第一供給管32A及び第二供給管32Bは、それぞれ側壁15A、15Bに開口した第一供給接続部34A及び第二供給接続部34Bに繋がっている。また、第一供給管32A及び第二供給管32Bは、ドラム部20の内周面20Aの接線に沿ってX方向に延びている。
【0024】
図4に示す空気噴出部200は、第一噴出口30Aと第二噴出口30Bとから交互に空気を噴出させる機能を有している。空気噴出部200は、供給ポンプ210、第一供給チューブ212A、第二供給チューブ212B、第三供給チューブ212C、及び三方弁220を含んで構成されている。
【0025】
第一供給接続部34A及び第二供給接続部34Bには、第一供給チューブ212A及び第二供給チューブ212Bが、それぞれ接続されている。また、供給ポンプ210には、第三供給チューブ212Cが接続されている。そして、第一供給チューブ212A、第二供給チューブ212B、及び第三供給チューブ212Cは、三方弁220に接続されている。
【0026】
供給ポンプ210及び三方弁220は、制御装置150と電気的に接続されている。制御装置150は、供給ポンプ210の駆動等を制御すると共に、三方弁220の切り替えを制御する。具体的には、制御装置150は、第一噴出口30A(
図1を参照)と第二噴出口30B(
図1を参照)とから交互に圧縮空気を噴出するように制御する。
【0027】
図1に示すように、ドラム部20の内周面20Aの頂部には、軸G方向(Y方向)に延びる棒状の衝突部22が設けられている。衝突部22は、内周面20Aから一部が露出している。
【0028】
ドラム部20の内周面20Aの上部には、第一溝部24A及び第二溝部24Bが形成されている。第一溝部24Aは、
図1における左側に後述する第一排出口52AにコイルばねSを案内するように上下方向に沿って形成されている。また、第二溝部24Bは、
図1における右側に後述する第二排出口52BにコイルばねSを案内するように上下方向に沿って形成されている。
【0029】
図1に示すように、装置本体12の上部における左側には第一排出部50Aが設けられ、右側には第二排出部50Bが設けられている(
図3も参照)。なお、第一排出部50A及び第二排出部50Bは、配置場所が異なるだけで、同様の構造である。
【0030】
第一排出部50Aはドラム部20の内周面20Aの第一溝部24Aに開口する第一排出口52Aを有し、第二排出部50Bはドラム部20の内周面20Aの第二溝部24Bに開口する第二排出口52Bを有している。
【0031】
第一排出口52Aは着脱し交換することが可能な第一アダプター54Aで構成され、第二排出口52Bは着脱し交換することが可能な第二アダプター54Bで構成されている。これら通過部の一例としての第一アダプター54A及び第二アダプター54Bは、第一排出口52A及び第二排出口52Bに向かうに従って拡径した拡径部55A、55Bと筒部56A、56Bとを有する構造となっている(
図5も参照)。なお、筒部56A、56Bの内径L(
図5(A))は、コイルばねSが一つ通過することが可能な大きさに設定されている。
【0032】
第一アダプター54A及び第二アダプター54Bは、第一排出管58A及び第二排出管58Bに繋がり、これら第一排出管58A及び第二排出管58Bは、第一排出接続部59A及び第二排出接続部59Bに繋がっている。
【0033】
また、第一排出部50A及び第二排出部50Bは、第一逆噴射口62A及び第二逆噴射口62Bから第一排出口52A及び第二排出口52B側に向けて空気を噴射する第一逆噴射部60A及び第二逆噴射部60Bを有している。
【0034】
図4に示すように、第一逆噴射部60A及び第二逆噴射部60Bは、第一チューブ63A及び第二チューブ63Bによって圧縮空気を噴射する第一逆噴射ポンプ66A及び第二逆噴射ポンプ66Bに繋ながれている。第一逆噴射ポンプ66A及び第二逆噴射ポンプ66Bは、制御装置150に電気的に接続され、制御されている。
【0035】
図1に示すように、第一排出部50A及び第二排出部50Bは、第一開閉部65A及び第二開閉部65Bが設けられている。第一開閉部65A及び第二開閉部65Bは、第一排出管58A及び第二排出管58Bを開閉する板状の第一開閉部材64A及び第二開閉部材64Bを有している(
図2及び
図3も参照)。第一開閉部材64A及び第二開閉部材64Bは、第一排出管58A及び第二排出管58Bにおける第一逆噴射口62A及び第二逆噴射口62Bよりも排出方向下流側(上側)に設けられている。
【0036】
また、
図4に示すように、第一開閉部65A及び第二開閉部65Bは、制御装置150に電気的に接続されており、制御装置150は第一開閉部材64A及び第二開閉部材64Bの開閉を制御している。
【0037】
図3に示すように、第一排出接続部59A及び第二排出接続部59B(
図1も参照)は、コイルばね排出部70を構成する第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bが接続されている(
図2も参照)。第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bの出口部分には、コイルばねSが排出され取り出される第一取出部72A及び第二取出部72Bが設けられている(
図2も参照)。
【0038】
また、第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bの外周部には、間隔をあけて複数の第一検知センサー74A及び複数の第二検知センサー74Bが設けられている(
図2も参照)。第一検知センサー74A及び第二検知センサー74Bは、第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bの中を通るコイルばねSを検知する。
図4に示すように、第一検知センサー74A及び第二検知センサー74Bは、制御装置150に電気的に接続され、検知結果が制御装置に伝達される。
【0039】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0040】
図示していない作業者PAが、コイルばね分離装置10の装置本体12の扉16を開閉し、絡まった状態のものを含むコイルばねSをドラム部20に供給する。作業者PAが図示していない操作盤のスイッチを入れると、制御装置150は、第一噴出口30Aと第二噴出口30B(
図1を参照)とから交互に圧縮空気を噴出するように制御する。
【0041】
これにより、ドラム部20に供給された絡まった状態のコイルばねSは、第一噴出口30Aから圧縮空気を噴出されたときは
図1における反時計回り方向(周方向一方側)に回転移動し、第二噴出口30Bから圧縮空気を噴出されたときは時計回り方向(周方向他方側)に回転移動する。
【0042】
回転移動によって、絡まった状態のコイルばねSが衝突部22に衝突し、絡みが解されて分離する。このとき、コイルばねSは、反時計回りと時計回りとに交互に回転することで、一方向のみに回転移動する場合と比較し、コイルばねSの衝突部22への衝突がより不規則になり、効率的に絡みが解されて分離する。
【0043】
なお、圧縮空気を噴出する時間及び回転方向の切り替え間隔などは、予め実験などによって設定されている。
【0044】
また、コイルばねSが反時計回りに回転移動しているときは、分離したコイルばねSは、第二溝部24Bに案内され、第二排出口52Bから排出される。同様に、コイルばねSが時計回りに回転移動しているときは、分離したコイルばねSは、第一溝部24Aに案内され、第一排出口52Aから排出される。
【0045】
なお、第一アダプター54A及び第二アダプター54Bの筒部56A、56Bの内径Lは、コイルばねSが一つ通過することが可能な大きさに設定されているので、仮に絡まった状態のコイルばねSが第一排出口52A及び第二排出口52Bから進入しても、筒部56A、56Bには進入することなく、回転方向が切り替わった際又は圧縮空気の排出が停止すると排出される。
【0046】
また、コイルばねSの大きさに応じて、第一アダプター54A及び第二アダプター54Bを筒部56A、56Bの内径Lが異なるものに交換することができるので、複数の大きさのコイルばねSに対応できる。別の観点から説明すると、交換できない場合と比較し、分離するコイルばねSの種類(大きさ)が増える。
【0047】
第一排出部50A及び第二排出部50Bから排出されたコイルばねSは、第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bを通り、第一取出部72A及び第二取出部72Bに排出され、図示していない作業者PBが第一取出部72A及び第二取出部72BからコイルばねSを取り出し、図示してない組立中の製品に組み付ける。
【0048】
本実施形態では、第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bを装置本体12に接続することで、装置本体12から離れたところで作業者PBがコイルばねSを使って作業できる。また、コイルばねSを装置本体12に供給する作業を作業者PBとは別の作業者PAが行うことができる。つまり、装置本体12にコイルばねSを供給する作業者PAと、コイルばねSを使っての組立の作業者PBと、を別にできる。よって、作業者PBのコイルばねSの組み付け作業の作業効率が向上する。
【0049】
また、コイルばねSを反時計回りと時計回りと交互に回転移動させるので、コイルばねSを二箇所から排出することができる。よって、第一排出部50Aと第二排出部50Bとのいずれか一方のみを備える場合と比較し、コイルばねSの排出効率及びコイルばねSの組み付け作業の作業効率が向上する。
【0050】
ここで、第一排出部50A及び第二排出部50Bの筒部56A、56B等に、多数のコイルばねSが進入して詰まった場合、作業者PA又は作業者PBは、図示してない操作盤を操作し、第一排出部50Aの第一逆噴射口62A又は第二排出部50Bの第二逆噴射口62Bから第一排出口52A及び第二排出口52B側に向けて空気を噴射し、コイルばねSを第一排出口52A及び第二排出口52Bからドラム部20に戻し、詰まりを解消する。
【0051】
また、このとき、制御装置150は、第一開閉部材64A又は第二開閉部材64Bによって、筒部56A、56Bを閉止し、第一排出チューブ70A又は第二排出チューブ70B内のコイルばねSの負圧による逆流を防止する。
【0052】
また、第一検知センサー74A及び第二検知センサー74Bは、第一排出チューブ70A及び第二排出チューブ70Bの中を通るコイルばねSを検知する。制御装置150は、検知結果に基づいて、装置全体を制御する。
【0053】
例えば、排出されるコイルばねSが予め定めた個数に達すると装置を停止する、又は排出されるコイルばねSが予め定めた時間通過しない場合は詰まったと判断して自動的に第一逆噴射口62A又は第二逆噴射口62Bから空気を噴射して詰まりを解消する等である。
【0054】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0055】
例えば、上記実施形態では、第一排出部50A及び第二排出部50Bと二つ設けられていたが、これに限定されない。第一排出部50A及び第二排出部50Bのいずれか一方のみが設けられていてもよい。なお、
図6は、第一排出部50Aのみが設けられている変形例である。
【0056】
また、例えば、上記実施形態では、装置本体12のドラム部20の内周面20Aの下端部には、第一噴出口30Aと第二噴出口30Bとは、対向して開口したが、これに限定されない。第一噴出口30AはコイルばねSが反時計回り方向(周方向一方側)に回転移動するように設けられていればよく、第二噴出口30Bは、コイルばねSが時計回り方向(周方向他方側)に回転移動するように設けられていればよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、第一噴出口30A、第二噴出口30B、第一逆噴射口62A、及び第二逆噴射口62Bは、空気を噴出したが、これに限定されない。空気以外の気体、例えば窒素ガスを噴出させてもよい。
【0058】
また、例えば、上記実施形態では、ドラム部20の内周面20Aの頂部には、軸G方向(Y方向)に延びる棒状の衝突部22が内周面20Aから一部が露出するように設けられていたが、これに限定されない。回転移動する絡まった状態のコイルばねSが衝突して分離すれば、衝突部の形状又は位置は限定されない。例えば、衝突部はドラム部20の内周面20Aと間隔をあけて設けられていてもよい。
【0059】
例えば、上記実施形態では便宜上、コイルばね分離装置10の装置本体12の設置は、上面部19が上側となるように設置したが、これに限定されない。例えば、側壁15A、15Bが上側になるように設置してもよいし、扉16の外壁部14が上側となるように設置してもよい。
【解決手段】コイルばね分離装置10の装置本体12には、絡まった状態のコイルばねSが供給されるドラム部20が設けられている。第一噴出口30Aは、ドラム部20の軸方向から見た場合に、コイルばねSが反時計回り方向に回転移動するようにドラム部20の内部に気体を噴出する。第二噴出口30Bは、ドラム部20の軸方向から見た場合に、コイルばねSが時計回り方向に回転移動するようにドラム部20の内部に気体を噴出する。そして、第一噴出口30Aと第二噴出口30Bとから交互に気体が噴出する。ドラム部20の内部には、回転移動するコイルばねSが衝突する衝突部22が設けられ、衝突部22に衝突することで、絡みが解されて分離したコイルばねSは、ドラム部20の内周面20Aに形成された第一排出口52A又は第二排出口52Bから排出される。