特許第6208238号(P6208238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6208238
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20170925BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20170925BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20170925BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20170925BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20170925BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M10/052
   H01M10/0566
   H01M2/34 A
   H01M4/62 Z
   H01M2/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-525019(P2015-525019)
(86)(22)【出願日】2014年6月10日
(86)【国際出願番号】JP2014003085
(87)【国際公開番号】WO2015001718
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-137936(P2013-137936)
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】服部 高幸
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−328278(JP,A)
【文献】 特開2013−020930(JP,A)
【文献】 特開2008−066255(JP,A)
【文献】 特開2006−156268(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/042743(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05 − 10/0587
H01M 10/36 − 10/39
H01M 4/00 − 4/62
H01M 2/00 − 2/08
H01M 2/20 − 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極芯体上に正極合剤層が形成された正極板と、
負極芯体上に負極合剤層が形成された負極板と、
前記正極板及び前記負極板がセパレータを挟んで互いに絶縁された状態で巻回された巻回電極体と、
非水電解液と、
前記正極板及び前記負極板の少なくとも一方に電気的に接続された圧力感応式の電流遮断機構と、
外装体と、
を有し、
前記外装体内には前記巻回電極体外に存在している余剰電解液を有し、
前記余剰電解液の液面の高さは、前記外装体が横置きされた際に、前記電流遮断機構の構成部材と接触しない高さとされている、
非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記電流遮断機構は、凹部を有する導電部材と、前記導電部材の凹部の開口を封止するように前記導電部材に溶接接続された反転板を含み、
前記余剰電解液の液面の高さは、前記外装体が横置きされた際に、前記導電部材及び前記反転板と接触しない高さとされている請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記導電部材は筒状部を有し、
前記反転板は前記筒状部の開口を封止するように前記筒状部の先端側に溶接接続された請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記正極合剤層は炭酸リチウムを含有している、請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記正極合剤層中の炭酸リチウム濃度は前記正極合剤質量に対して0.1質量%以上5質量%以下である、請求項4に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記外装体は角形である、請求項5に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用の非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)の駆動用電源などに使用される車載用の非水電解質二次電池は、防爆用の安全弁以外に圧力検知式の電流遮断機構を備えている。圧力検知式の電流遮断機構は、異常時に電池の内部で急速に発生するガスによって作動し、流れ込む電流を遮断することによって電池の破裂ないし発火を防止するために設けられている。
【0003】
非水電解質二次電池においては、電池容量を増大させるための手法の1つとして充電電圧を高くすることが知られている。また、非水電解質二次電池が過充電状態になった際の安全対策として、非水電解液中にtert−アミルベンゼン、ビフェニル(特許文献1参照)、シクロアルキルベンゼン化合物、ベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物など(特許文献2参照)の過充電抑制剤を添加することが知られている。しかしながら、電池容量を向上させるために充電電圧を高くすると、過充電抑制剤の種類によっては通常使用範囲として設定した電圧においても、過充電抑制剤が分解してしまい、充放電サイクル後に電池特性の低下や安全性の低下が懸念される。
【0004】
このような課題を解決するため、非水電解質二次電池の正極合剤中に炭酸リチウム(LiCO)を添加することで、過充電耐性を向上させることも知られている(特許文献3参照)。非水電解質二次電池の正極合剤中に炭酸リチウムを添加すると、過充電時など、電池に高電圧が印加された際に正極板から炭酸ガスが発生し、それによって確実に防爆用の安全弁よりも先に圧力検知式の電流遮断機構を作動させることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2002/059999号
【特許文献2】特開2008−186792号公報
【特許文献3】特開平04−328278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電流遮断機構を有する非水電解質二次電池においては、電流遮断機構が作動して流れ込む電流が遮断されても、電流遮断機構の近傍に非水電解液が存在していると、異常な高電圧が印加された際に非水電解液を介して再導通する懸念がある。さらに、過充電抑制剤が添加された非水電解液を用いた非水電解質二次電池は、過充電抑制剤の種類によっては可燃性ガスが発生することがあるため、電流遮断機構が再導通した際に発生するスパークによって発火する懸念もある。
【0007】
そのため、上述した構成の非水電解質二次電池は、更なる安全性の向上が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の非水電解質二次電池によれば、
正極芯体上に正極合剤層が形成された正極板と、
負極芯体上に負極合剤層が形成された負極板と、
前記正極板及び前記負極板がセパレータを挟んで互いに絶縁された状態で巻回された巻回電極体と、
非水電解液と、
前記正極板及び前記負極板の少なくとも一方に電気的に接続された圧力感応式の電流遮断機構と、
外装体と、
を有し、
前記外装体内には前記巻回電極体外に存在している余剰電解液を有し、
前記余剰電解液の液面の高さは、前記外装体が横置きされた際に、前記電流遮断機構の構成部材と接触しない高さとされている、
非水電解質二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様の非水電解質二次電池においては、外装体が横置きされても、電流遮断機構の構成部材が非水電解液と接触し難いので、電流遮断機構が作動して流れ込む電流が遮断された場合、異常な高電圧が印加されても電流遮断機構は再導通し難い。そのため、本発明の一態様の非水電解質二次電池によれば、過充電などによって電流遮断機構が作動した後は再導通し難いので、安全性に優れた非水電解質二次電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは実施形態の非水電解質二次電池の平面図であり、図1Bは同じく正面図である。
図2図2A図1AのIIA−IIA線に沿った部分断面図であり、図2B図2AのIIB−IIB線に沿った部分断面図であり、図2C図2AのIIC−IIC線に沿った断面図である。
図3】実施形態の偏平状の巻回電極体の巻回終了端側を展開した斜視図である。
図4図2AのIV−IV線に沿った模式断面図である。
図5】他の発明に係る非水電解質二次電池の部分断面図である。
図6図5の拡大図である。
図7】他の発明に係る非水電解質二次電池の部分断面図である。
図8図7におけるX−X線に沿った部分断面図である。
図9】他の発明に係る非水電解質二次電池の部分断面図である。
図10】他の発明に係る非水電解質二次電池の部分断面図である。
図11図10におけるY−Y線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を、角形非水電解質二次電池を例にとり、詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの角形非水電解質二次電池に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0012】
[実施形態]
最初に、実施形態の非水電解質二次電池の構成を図1図3を用いて説明する。この非水電解質二次電池10は、図3に示したように、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回された偏平状の巻回電極体14を有している。この偏平状の巻回電極体14の最外面側は、セパレータ13で被覆されているが、負極板12が正極板11よりも外周側となるようになされている。
【0013】
正極板11は、厚さが10〜20μm程度のアルミニウム又はアルミニウム合金箔からなる正極芯体の両面に、幅方向の一方側の端部に沿って正極芯体が帯状に露出した状態となるように、正極合剤層11aが形成されている。この帯状に露出した正極芯体部分が正極芯体露出部15となる。負極板12は、厚さが5〜15μm程度の銅又は銅合金箔からなる負極芯体の両面に、幅方向の一方側の端部に沿って負極芯体が帯状に露出した状態となるように、負正極合剤層12aが形成されている。この帯状に露出した負極芯体部分が負極芯体露出部16となる。なお、正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16は、それぞれ正極板11ないし負極板12の幅方向の両側の端部に沿って形成してもよい。
【0014】
これらの正極板11及び負極板12を、正極芯体露出部15と負極芯体露出部16とがそれぞれ対向する電極の合剤層と重ならないようにずらし、セパレータ13を挟んで互いに絶縁した状態で偏平状に巻回することにより、偏平状の巻回電極体14が作製される。
【0015】
偏平状の巻回電極体14は、図2A図2B及び図3に示したように、一方の端には複数枚積層された正極芯体露出部15を備え、他方の端には複数枚積層された負極芯体露出部16を備えている。セパレータ13としては、好ましくはポリオレフィン製の微多孔性膜が二枚あるいは長尺状の一枚を折畳んで使用されており、その幅は正極合剤層11aを被覆できるとともに負極合剤層12aの幅よりも大きいものが使用されている。
【0016】
複数枚積層された正極芯体露出部15は、正極集電体17を介して正極端子18に電気的に接続されている。正極集電体17と正極端子18との間には、電池の内部で発生したガス圧によって作動する電流遮断機構27が設けられている。複数枚積層された負極芯体露出部16は、負極集電体19を介して負極端子20に電気的に接続されている。
【0017】
正極端子18、負極端子20は、図1A図1B及び図2Aに示したように、それぞれ絶縁部材21、22を介して封口体23に固定されている。封口体23には、電流遮断機構27の作動圧よりも高いガス圧が加わったときに開放されるガス排出弁28も設けられている。正極集電体17、正極端子18及び封口体23は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが用いられている。負極集電体19及び負極端子20は、それぞれ銅又は銅合金製のものが用いられている。
【0018】
偏平状の巻回電極体14は、封口体23側を除く周囲に樹脂材料から形成された絶縁シート24が介在され、一面が開放された角形外装体25内に挿入されている。角形外装体25は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが用いられる。封口体23は、角形外装体25の開口部に嵌合され、封口体23と角形外装体25との嵌合部がレーザ溶接されている。角形外装体25内には電解液注液口26から非水電解液が注液され、この電解液注液口26は例えばブラインドリベットにより密閉されている。
【0019】
非水電解質二次電池10は、単独であるいは複数個が直列、並列ないし直並列に接続されて各種用途で使用される。なお、この非水電解質二次電池10を車載用途等において複数個直列ないし並列に接続して使用する際には、別途正極外部端子及び負極外部端子を設けてそれぞれの電池をバスバーで接続するとよい。
【0020】
この非水電解質二次電池10で用いられている偏平状の巻回電極体14は、電池容量が20Ah以上の高容量及び高出力特性が要求される用途に用いられるものであり、例えば正極板11の巻回数が43回、すなわち、正極板11の総積層枚数は86枚と多くなっている。なお、巻回数が15回以上、すなわち、総積層枚数が30枚以上であれば、電池サイズを必要以上に大型化せずに容易に電池容量を20Ah以上とすることができる。
【0021】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の総積層枚数が多いと、正極芯体露出部15に正極集電体17を、負極芯体露出部16に負極集電体19を、それぞれ抵抗溶接により取り付ける際に、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕15a、16aを形成するには多大な溶接電流が必要である。
【0022】
そのため、図2A図2Cに示すように、正極板11側では、巻回されて積層された複数枚の正極芯体露出部15は、厚み方向の中央部に収束されてさらに2分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として収束され、その間に正極用中間部材30が配置されている。正極用中間部材30は樹脂材料からなる基体に導電性の正極用導電部材29が複数個、例えば2個保持されている。正極用導電部材29は、例えば円柱状のものが用いられ、それぞれ積層された正極芯体露出部15と対向する側に、プロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。
【0023】
負極板12側では、巻回されて積層された複数枚の負極芯体露出部16は、厚み方向の中央側に収束されてさらに分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として収束され、その間に負極用中間部材32が配置されている。負極用中間部材32は、樹脂材料からなる基体に負極用導電部材31が複数個、ここでは2個が保持されている。負極用導電部材31は、例えば円柱状のものが用いられ、それぞれ積層された負極芯体露出部16と対向する側に、プロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。
【0024】
また、正極用導電部材29の両側に位置する正極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体17が配置されており、負極用導電部材31の両側に位置する負極芯体露出部16の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体19が配置されている。なお、正極用導電部材29は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム又はアルミニウム製のものが好ましく、負極用導電部材31は負極芯体と同じ材料である銅又は銅合金製のものが好ましい。正極用導電部材29及び負極用導電部材31の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0025】
実施形態の偏平状の巻回電極体14における正極芯体露出部15、正極集電体17、正極用導電部材29を有する正極用中間部材30を用いた抵抗溶接方法、及び、負極芯体露出部16、負極集電体19、負極用導電部材31を有する負極用中間部材32を用いた抵抗溶接方法は、既に周知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16を2分割すると、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕を形成するために必要な溶接電流は、2分割しない場合と比すると小さくて済むので、抵抗溶接時のスパッタの発生が抑制され、スパッタに起因する偏平状の巻回電極体14の内部短絡などのトラブルの発生が抑制される。図2Aには、正極集電体17に抵抗溶接により形成された2箇所の溶接跡33が示されており、負極集電体19にも2箇所の溶接跡34が示されている。
【0027】
電流遮断機構27の具体的構成について説明する。図2A図2Cに示すように、偏平状の巻回電極体14の一方の側端面側に配置された複数の正極芯体露出部16には正極集電体17が接続されており、この正極集電体17は正極端子18に電気的に接続されている。図4に示したように、正極端子18は、筒状部18aを備え、内部に貫通孔18bが形成されている。電流遮断機構27の構成の一部をなす導電部材35は、電池内部側に筒状部35aが形成されており、電池外部側すなわち封口体23側は内径が狭められて正極端子18の筒状部18aが挿入される開孔を形成している。
【0028】
正極端子18の筒状部18aは、ガスケット等の上部第1絶縁部材21a、封口体23及び下部第1絶縁部材21b及び導電部材35にそれぞれ形成された孔内に挿入されている。上部第1絶縁部材21a及び下部第1絶縁部材21bが図2A及び図2Bにおける絶縁部材21に対応する。正極端子18の筒状部18aの先端部は導電部材35の開孔の近傍でカシメられて互いに一体に固定されているとともに、正極端子18の筒状部18aと導電部材35の接続部はレーザ溶接されている。これにより、正極端子18は、上部第1絶縁部材21a及び下部第1絶縁部材21bによって封口体23とは電気的に絶縁された状態で、導電部材35と電気的に接続された状態となっている。
【0029】
導電部材35の電池内部側に位置する筒状部35aの先端には、反転板36の周囲が気密に溶接されて封止されている。反転板36は、周囲から中心側に向かって電池内部側に僅かに突出する形状、すなわち、封口体23とは傾斜した配置関係となる形状とされている。この反転板36は、導電性材料で形成されており、角形外装体25内の圧力が高くなると電池の外部側に向かって変形する弁の機能を有するものである。
【0030】
反転板36の中心部には、正極集電体17の薄肉領域とされている部分が当接され、複数箇所においてレーザ溶接されている。正極集電体17と反転板36との間には、貫通孔を有する第2絶縁部材37が配置されており、この貫通孔を介して正極集電体17の反転板36が電気的に接続されている。第2絶縁部材37と正極集電体17とは互いに固定されている。したがって、正極芯体露出部16は、正極集電体17、反転板36及び導電部材35を介して正極端子18と電気的に接続されていることになる。
【0031】
これらの導電部材35の筒状部35a、反転板36が電流遮断機構27の構成部材となる。反転板36は、角形外装体25内の圧力が増加すると正極端子18の貫通孔18b側に膨れるようになっている。反転板36の中央部には正極集電体17の薄肉領域が溶接されているため、角形外装体25内の圧力が所定値を超えると正極集電体17の薄肉領域の部分で破断し、反転板36と正極集電体17との間の電気的接続が遮断されるようになっている。なお、導電部材35は凹部を有し、その凹部の開口を封止するように、導電部材35に反転板36が溶接接続されていればよい。また、筒状部は、断面が円形の筒状であってもよいし、断面が角形の筒状であってもよい。
【0032】
次に、非水電解質二次電池10における正極板11、負極板12、偏平状の巻回電極体14及び非水電解液の具体的製造方法ないし組成について説明する。
【0033】
[正極板の作製]
正極活物質としては、例えばLiNi0.35Co0.35Mn0.30で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用い得る。このリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、それぞれ質量比で88:9:3となるように秤量し、さらにこれらの合計量(正極合剤の全質量)に対して炭酸リチウムを1.0質量%となるように添加し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極合剤スラリー
を調製する。
【0034】
炭酸リチウムは、正極合剤に対して、0.1〜5.0質量%含有させることが好ましい。正極合剤における炭酸リチウムの含有量が0.1質量%未満であると、炭酸リチウムからの炭酸ガスの発生が少なく、電流遮断機構を迅速に作動させ難くなる。正極合剤における炭酸リチウムの含有量が5.0質量%を超えると、電極反応に関与しない炭酸リチウムの割合が過度に多くなり、電池容量の低下が大きくなる。
【0035】
正極芯体としては厚さ15μmのアルミニウム箔を用い、上記の方法で作製した正極合剤スラリーを、正極芯体の両面にダイコーターによって塗布する。ただし、正極芯体の長手方向に沿う一方の端部(両面ともに同一方向の端部)にはスラリーを塗布せず、その芯体を露出させて、正極芯体露出部を形成する。次いで、乾燥して分散媒としてのNMPを除去し、ロールプレスによって所定厚さとなるように圧縮し、得られた極板を予め定めた所定寸法に切り出し、実施形態で使用する正極板を作製する。
【0036】
[負極板の作製]
負極板は次のようにして作製したものを用ることができる。黒鉛粉末98質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部を水に分散させ負極合剤スラリーを調製する。この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の両面にダイ負極芯体の長手方向に沿う一方の端部(両面ともに同一方向の端部)にはスラリーを塗布せず、その芯体を露出させて、負極芯体露出部を形成する。次いで、乾燥し、ロールプレスによって所定厚さとなるように圧縮し、得られた極板を予め定めた所定寸法に切り出し、実施形態及び比較例に共通して使用する負極板を作製する。
【0037】
[非水電解液の調製]
非水電解液としては、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:7の割合で混合した混合溶媒に電解質塩としてLiPFを1mol/Lとなるように添加し、さらに全非水電解質質量に対してビニレンカーボネートVCを0.3質量%添加したものを用いることができる。
【0038】
[偏平状の巻回電極体の作製]
上述ようにして作製された負極板12及び正極板11を、最外面側が負極板12となるようにして、それぞれセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回した後、偏平状に成形して偏平状の巻回電極体14を作製する。
【0039】
[角形非水電解質二次電池の作製]
図2A図2C及び図3に示したように、封口体23に正極端子18、電流遮断機構27、正極集電体17、負極端子20及び負極集電体19を取付け、さらに偏平状の巻回電極体14に正極集電体17及び負極集電体19を取り付ける。次いで、偏平状の巻回電極体14の外周を例えば樹脂材料からなる絶縁シート24によって覆う。このようにして作製された絶縁シート24で覆われた偏平状の巻回電極体14を角形外装体25内に装入し、角形外装体25の開口部に封口体23を嵌合する。次いで、封口体23と角形外装体25との間をレーザ溶接する。
【0040】
非水電解液の注入は、例えば封口体23がレーザ溶接された角形外装体25を真空チャンバー(「減圧チャンバー」とも称される)内に載置し、注入する非水電解液が収納されているシリンジ等の注液管を電解液注液口26内に挿入し、真空チャンバー内を減圧することにより、行うことができる。非水電解液の注液量は、予め実験的に好ましい範囲を定めておく。角形外装体25内に注液された非水電解液は、正極板11及び負極板12の間に配置されたセパレータ13内に浸透していくが、充放電時に一部の非水電解液が分解するため、セパレータ13内に含浸可能な量よりも多めに注入される。この多めに注入された非水電解液は、余剰非水電解液40(図4参照)として外装体内に液状で存在している。
【0041】
実施形態の非水電解質二次電池10では、余剰電解液40の液面の高さは、角形外装体25が横置きされた際に、電流遮断機構27の構成部材と接触しない高さとされている。図2A及び図2Bに示したように、非水電解質二次電池10は通常は封口体23が上方となり、底面25cが下側となるように縦置きに載置されて使用されるため、電流遮断機構27も通常は偏平状の巻回電極体14よりも上方に位置し、余剰非水電解液40は電流遮断機構27と接触しない。しかし、非水電解質二次電池10は、角形外装体25の広幅の側面25a又は狭幅の側面25bが下側となるように横置きに載置されて使用される可能性もある。なお、ここで横置きとは、底面及びその周囲に側面を備えた外装缶において、側面を下側(最下面)に載置することをいう。
【0042】
角形外装体25の広幅の側面25aが底面となるように横置きに載置された場合、図4に示したように、余剰非水電解液40は底面となされた側の広幅の側面25a上に溜まる。そのため、余剰電解液40の量が多い場合、余剰非水電解液40が電流遮断機構27の構成部材、特に導電部材35と、正極集電体17との間に跨がって接触することがある。このような状態となると、電流遮断機構27が作動して正極集電体17と、導電部材35及び正極端子18との間の電気的導通が遮断されても、余剰電解液40を介して正極集電体17と、導電部材35及び正極端子18とが再導通してしまう可能性が生じる。
【0043】
実施形態の非水電解質二次電池10では、角形外装体25の広幅の側面25aが底面となるように横置きに載置された場合及び狭幅の側面25bが底面となるように横置きに載置された場合のいずれであっても、余剰電解液40の液面の高さが電流遮断機構27の構成部材と接触しない高さとなるようにされている。これにより、非水電解質二次電池10が過充電状態となって電流遮断機構27が作動した後は、正極集電体17と、導電部材35及び正極端子18とが余剰非水電解液40を介して再導通するおそれが少なくなり、安全性が向上する。加えて、余剰非水電解液量が少ないので、過充電などに際して非水電解液が分解することにより生じたガスは、余剰非水電解液へ吸収され難いので、電流遮断機構27を迅速に作動させることができるようになる。
【0044】
また、実施形態の非水電解質二次電池10では、正極合剤層11a(図3参照)中に炭酸リチウムが含有されている。正極合剤層11a中の炭酸リチウムは、過充電状態となって正極電位が高くなると分解して炭酸ガスを発生する。この炭酸ガスは、過充電状態となった際に、非水電解液の分解によって生じるガスとは別個に発生するものである。これにより、非水電解質二次電池10が過充電状態になった際、ガス排出弁28が作動する前に迅速に電流遮断機構27が作動するようになり、過充電時の安全性がより向上する。加えて、炭酸ガスは引火性がないので、正極集電体17と正極端子18とが再導通した際にスパークが発生しても、燃え難く、より過充電時の安全性を向上させることができるようになる。
【0045】
上記実施形態では、正極合剤層中に炭酸リチウムが含有されている場合について説明したが、電流遮断機構27が作動した後に正極集電体17と正極端子18とが再導通し難いという作用・効果は、正極合剤層中に炭酸リチウムが含有されていなくても同様に生じる。また、上記実施形態では、非水電解質二次電池10の角形外装体25の広幅の側面25aが底面となるように横置きに載置された場合について説明したが、狭幅の側面25bが底面となるように横置きに載置された場合であっても、余剰電解液40の液面の高さが電流遮断機構27の構成部材と接触しない高さとなるようにされていれば、同様の作用・効果を奏する。
【0046】
なお、上記実施形態では、正極端子18及び負極端子20が偏平状の巻回電極体14よりも上側、すなわち電流遮断機構27が偏平状の巻回電極体よりも上側となっている場合について説明した。しかし、本発明では、正極端子18及び負極端子20が偏平状の巻回電極体14よりも下側、すなわち、電流遮断機構27が偏平状の巻回電極体よりも下側となるように載置された場合については、通常の使用形態ではないので、本発明には含まれない。また、上記実施形態では、電流遮断機構27が正極板11側に設けれられている例を示したが、負極板12側に設けられていてもよく、さらには正極板11側及び負極板12側の両方に設けられていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、角形の非水電解質二次電池について説明したが、円筒形の非水電解質二次電池の場合であっても、横置きにされた際に余剰電解液の液面の高さが電流遮断機構27の構成部材と接触しない高さとなるようにされていれば、同様の作用・効果を奏する。
【0048】
本発明の非水電解質二次電池で使用し得る正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能な化合物であれば適宜選択して使用できる。これらの正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(y=0.01〜0.99)、LiMnO、LiCoMnNi(x+y+z=1)や、LiMn又はLiFePOなどを一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。さらには、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム、アルミニウムなどの異種金属元素を添加したものも使用し得る。
【0049】
非水電解質の溶媒としては、特に限定されるものではなく、非水電解質二次電池に従来から用いられてきた溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステルを含む化合物;、プロパンスルトンなどのスルホン基を含む化合物;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテルを含む化合物;ブチロニトリル、バレロニトリル、n−ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタルニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリルなどのニトリルを含む化合物;ジメチルホルムアミドなどのアミドを含む化合物などを用いることができる。特に、これらのHの一部がFにより置換されている溶媒が好ましく用いられる。また、これらを単独又は複数組み合わせて使用することができ、特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせた溶媒や、さらにこれらに少量のニトリルを含む化合物やエーテルを含む化合物が組み合わされた溶媒が好ましい。
【0050】
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、カチオン種、アニオン種については特に限定されるものではないが、低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンを、アニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンを用いた組合せが特に好ましい。
【0051】
さらに、非水電解質に用いる溶質としても、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のリチウム塩を用いることができる。そして、このようなリチウム塩としては、P、B、F、O、S、N、Clの中の一種類以上の元素を含むリチウム塩を用いることができ、具体的には、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、LiPFなどのリチウム塩及びこれらの混合物を用いることができる。特に、非水電解質二次電池における高率充放電特性や耐久性を高めるためには、LiPFを用いることが好ましい。
【0052】
特に、非水電解質中にジフルオロリン酸リチウム(LiPF)が含有されていると、初期の充放電時にジフルオロリン酸リチウムとリチウムとが反応して正極板及び負極板の表面に良質な保護被膜が形成される。この保護被膜は、正極活物質と炭酸ガスとの接触を抑制して炭酸ガスが巻回電極体内で移動し易くなるとともに、正極の反応抵抗を低下させる。ジフルオロリン酸リチウムの含有量は、正極合剤質量に対して0.1〜2質量%とすることが好ましい。ジフルオロリン酸リチウムの含有量は、0.1質量%未満であるとジフルオロリン酸リチウム添加の効果が奏されず、2質量%を超えると非水電解液の粘度が高くなるので出力特性が低下する。
【0053】
また、溶質としては、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を用いることもできる。このオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、LiBOB(リチウム−ビスオキサレートボレート)の他、中心原子にC2−が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C](式中、Mは遷移金属、周期律表の13族,14族,15族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C)F]、Li[P(C)F]、Li[P(C]などがある。ただし、高温環境下においても負極の表面に安定な被膜を形成するためには、LiBOBを用いることが最も好ましい。LiBOBの添加量は、正極合剤質量に対して0.5〜2質量%とすることが好ましい。LiBOBの含有量は、0.5質量%未満であると充放電サイクル後の出力維持率が十分ではなく、2質量%を超えるとLiBOBが溶解しない。
【0054】
なお、上記溶質は、単独で用いるのみならず、2種以上を混合して用いても良い。また、溶質の濃度は特に限定されないが、非水電解液1リットル当り0.8〜1.7モルであることが望ましい。更に、大電電流での放電を必要とする用途では、上記溶質の濃度が非水電解液1リットル当たり1.0〜1.6モルであることが望ましい。
【0055】
本発明の一局面の非水電解質二次電池において、その負極に用いる負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵・放出できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料や、リチウム金属、リチウムと合金化する金属或いは合金材料や、金属酸化物などを用いることができる。なお、材料コストの観点からは、負極活物質に炭素材料を用いることが好ましく、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボンなどを用いることができる。特に、高率充放電特性を向上させる観点からは、負極活物質として、黒鉛材料を低結晶性炭素で被覆した炭素材料を用いることが好ましい。
【0056】
セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンからなるセパレータのみならず、ポリエチレンの表面にポリプロピレンからなる層が形成されたものや、ポリエチレンのセパレータの表面にアラミド系の樹脂が塗布されたものを用いても良い。
【0057】
正極とセパレータとの界面ないし負極とセパレータとの界面には、従来から用いられてきた無機物のフィラーを含む層を形成することができる。このフィラーとしても、従来から用いられてきたチタン、アルミニウム、ケイ素、マグネシウムなどを単独もしくは複数用いた酸化物やリン酸化合物、またその表面が水酸化物などで処理されているものを用いることができる。また、このフィラー層の形成は、正極、負極、あるいはセパレータに、フィラー含有スラリーを直接塗布して形成する方法や、フィラーで形成したシートを、正極、負極、あるいはセパレータに貼り付ける方法などを用いることができる。
【0058】
その他の発明として以下の構成が考えられる。
[その他の発明1]
開口部を有する角形外装体と
前記開口部を封止する封口体と
正極板及び負極板を有する電極体と、を備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極板は炭酸リチウムを含有し、
前記角形外装体内の圧力が所定値以上となった場合、前記正極板と前記負極板を強制的に短絡させる強制短絡機構を有し、
前記強制短絡機構は、前記電極体の外部に設けられた非水電解質二次電池。
【0059】
強制短絡機構を備えた非水電解質二次電池では、電池が過充電状態となった場合、電解質の分解により発生するガス、あるいは過充電状態で分解する添加剤の分解により発生するガス等により電池内部の圧力が上昇し、電池内部の圧力が所定値よりも大きくなると感圧式の強制短絡機構が作動する。これにより、電極体内に充電電流が流れ込むことを防止できる。また、電極体内のエネルギーを速やかに放出することができる。このようにして、電池が過充電状態になった場合に安全性を確保する。
【0060】
このような強制短絡機構が作動する際、スパークが発生する場合がある。また、このスパークは、強制短絡機構を構成する弁部に穴を開け電池内部に侵入する虞がある。そして、電池内部に可燃性のガスが充満していると、この可燃性のガスに引火し電池が発火する虞がある。これに対し、上記の発明によると、電池が過充電状態となった場合、電池内部を炭酸リチウムの分解により生じた炭酸ガスで満たす、あるいは電池内部における炭酸ガスが占める割合を多くすることができる。したがって、電池内部にスパークが発生、あるいは電池内部にスパークが侵入しても電池が発火することを防ぎ、より高い安全性を確保できる。
【0061】
強制短絡機構としては、図5に示すように封口体に設けられていることが好ましい。
図6は、図5の強制短絡機構50が設けられた部分の拡大図である。図6Aは通常状態の強制短絡機構50の状態を示し、図6Bは強制短絡機構50が作動した後の状態を示す。
【0062】
図6Aに示すように、金属製の封口体23が正極板11に電気的に接続された弁部51を有し、この弁部51の外側に負極板12に電気的に接続された板状の導電部材52を配置する。弁部51は金属製であり、封口体23に一体的に形成されていてもよい。また、封口体23とは別体の弁部51を封口体23に接続してもよい。ここで、導電部材52は負極端子20に接続されており、負極集電体19を介して負極板12に電気的に接続されている。なお、導電部材52、負極端子20及び負極集電体19は絶縁部材22により封口体23とは電気的に絶縁されている。
【0063】
電池が過充電状態となり電池内部の圧力が所定値以上となった場合、図6Bに示すように、弁部51が外側(図6中では上側)に変形し、導電部材52に接触する。弁部51は金属製で正極板11に電気的に接続され、また導電部材52は負極板12に電気的に接続されているため、弁部51と導電部材52が接触することにより正極板11と負極板12が短絡した状態となる。この短絡は、電極体の外部で生じるため、電極体の内部で短絡が生じたときのように、活物質層が発熱反応を生じ、電池が破裂・発火することを回避できる。しかしながら、電池内部が可燃性のガスで充満している場合、短絡時に発生したスパークにより電池内部に充満した可燃性のガスに引火する虞がある。これに対して、上記発明であれば、電池内部が炭酸ガスで満たされ、あるいは電池内部において炭酸ガスが高い分圧を有する状態とできるため、スパークによる発火を防止できる。
【0064】
[その他の発明2]
開口部、一対の大面積側壁、一対の小面積側壁、及び底部を有する角形外装体と
前記開口部を封止する封口体と
正極板と負極板を有する偏平状の巻回電極体と、を備えた非水電解質二次電池であって、
前記偏平状の巻回電極体は、その巻回軸方向の一方の端部に巻回された正極芯体露出部を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部を有し、
複数個の前記偏平状の巻回電極体が、それぞれの巻回された正極芯体露出部が前記一対の小面積側壁の一方と対向し、それぞれの巻回された負極芯体露出部が前記一対の小面積側壁の他方と対向するように、前記角形外装体内に収納されており、
前記偏平状の巻回電極体よりも前記封口体側に圧力感知式の安全機構が設けられている非水電解質二次電池。
【0065】
偏平状の巻回電極体よりも封口体側に圧力感知式の安全機構が設けられている非水電解質二次電池において電池が過充電状態となった場合、巻回電極体の内部で発生したガスは、巻回電極体の巻軸方向端部から巻回電極体の外部に排出され、更に巻回電極体と封口体の間の空間にスムーズに流れることが好ましい。例えば、電池が過充電状態となった場合、ガスの発生により巻回電極体が変形したり、他の部材が変形したりして、巻回電極体で発生したガスが巻回電極体の外部に排出され難い状態となる虞がある。このような場合に、ガスの通路が塞がれ、巻回電極体の内部でガスが滞留し、ガス発生反応が阻害される可能性がある。
【0066】
図7は上記その他の発明2に係る非水電解質二次電池を示す図である。図7は、図2cに対応する図であり、角形外装体25の小面積側壁の方向から見た断面図である。図7に示すように、角形外装体25内に二つの偏平状の巻回電極体14がその巻回軸がそれぞれ角形外装体25の底部25aと平行になるように収納されている。そして、巻回された正極芯体露出部15の巻軸方向の先端部は、直接あるいは絶縁シートを介して、角形外装体25の小面積側壁と対向するように位置する。このような場合、巻回された正極芯体露出部15の巻軸方向の先端部と角形外装体25の小面積側壁の間の距離が短く、巻回電極体14の内部で発生したガスが、封口体23側に移動し難くなる虞がある。
【0067】
しかしながら、上記発明によると図7のように、角形外装体25の大面積側壁25bと巻回された正極芯体露出部15の間、正極芯体露出部15同士の間にそれぞれガスの通路53を形成できる。このため、角形外装体25に収納される偏平状の電極体14が一つの場合に比べて、巻回電極体14内部で発生したガスを封口体13側にスムーズに排出することが可能となる。したがって、巻回電極体14にガスが滞留してガス発生反応を阻害することを抑制できる。よって、より安全性の高い非水電解質二次電池が得られる。図8図7におけるX−X線に沿った部分断面図である。図8に示すように、巻回された正極芯体露出部15の幅(大面積側壁25bに垂直な方向の幅)は、巻回電極体14の中央部14a(正極板と負極板がセパレータを介して巻回された部分)の幅よりも小く、角形外装体25の大面積側壁25bと巻回された正極芯体露出部15の間、巻回された正極芯体露出部15同士の間にそれぞれガスの通路53を形成できる。
【0068】
なお、巻回された正極芯体露出部15に束ねられて幅が小さくなった部分が存在すると、このガスの通路53の断面積が大きくなるためより好ましい。図9は、巻回電極体14内で発生したガスの流れを示す図である。図9において、ガスの流れを矢印で示す。図7図9では、集電体の図示は省略している。図10に示すように、集電体54は折り曲げられた板材からなり、一対の接続部54a、54bを有するものを用いることが好ましい。そして一方の接続部54aは、一方の巻回電極体14の巻回された正極芯体露出部15において、他方の巻回電極体14の巻回された正極芯体露出部15と対向する外面に接続され、他方の接続部54bは、他方の巻回電極体14の巻回された正極芯体露出部15において、一方の巻回電極体14の巻回された正極芯体露出部15と対向する外面に接続されることが好ましい。そして、集電体54が、一対の接続部54a、54bの間に間隔が保持されるような形状とすることにより、図11に示すように巻回された正極芯体露出部15同士の間にガスの通路53を確実に形成することができる。
【0069】
ここで、圧力感知式の安全機構60は、正極板と正極端子の間の導電経路又は負極板と負極端子の間の導電経路に形成される電流遮断機構、又は正極板と負極板を強制的に短絡させる強制短絡機構である。なお、電池が過充電状態となった場合、速やかに圧力感知式の安全機構を作動させるために、正極板が炭酸リチウムを含有することが好ましい。炭酸リチウムは正極合剤層に含有させることが特に好ましい。
【0070】
巻回された正極芯体露出部は、束ねられて正極集電体に接続されていることが好ましい。
巻回された正極芯体露出部は、図2cのように左右2箇所で束ねられていてもよいが、1つに束ねられている方がガスの通路を広く確保できるためより好ましい。また、図7に示すように、巻回軸方向に沿って巻回された正極芯体露出部を見たとき、中央に厚みの薄い領域を有し、その上下に厚みの厚い領域を有することが好ましい。なお、巻回された正極芯体露出部及び巻回された負極芯体露出部は、それぞれ、角形外装体の小面積側壁と直接対向している必要はなく、絶縁シートを介して対向していてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…非水電解質二次電池 11…正極板 11a…正極合剤層
12…負極板 12a…負極合剤層 13…セパレータ
14…偏平状の巻回電極体 15…正極芯体露出部 15a…溶接痕
16…負極芯体露出部 17…正極集電体 18…正極端子
18a…筒状部 18b…貫通孔 19…負極集電体
20…負極端子 21…絶縁部材 21a…上部第1絶縁部材
21b…下部第1絶縁部材 22…絶縁部材 23…封口体
24…絶縁シート 25…角形外装体 26…電解液注液口
27…電流遮断機構 28…ガス排出弁 29…正極用導電部材
30…正極用中間部材 31…負極用導電部材 32…負極用中間部材
33、34…溶接跡 35…導電部材 35a…筒状部
36…反転板 37…第2絶縁部材 38…金属板
40…余剰非水電解液
50…強制短絡機構 51…弁部 52…導電部材
53…ガスの通路 54…集電体 54a、54b…接続部
60…圧力感知式の安全機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11