特許第6209027号(P6209027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6209027
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】スリットバルブ付きキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20170925BHJP
   B65D 35/52 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B65D83/00 G
   B65D35/52
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-185127(P2013-185127)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-51789(P2015-51789A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591223482
【氏名又は名称】株式会社ライフプラテック
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】山根 邦夫
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−112401(JP,A)
【文献】 特開2004−083036(JP,A)
【文献】 特表2011−502812(JP,A)
【文献】 特開2003−112334(JP,A)
【文献】 特開2003−159720(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0127294(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0079334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 35/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の内容物を吐出させるスリットバルブ付きキャップであって、キャップ本体と、前記キャップ本体の開放側の開口部に設けられ容器内圧の上昇により開放されるスリットを有するスリットバルブとの2部品から構成され、
前記開口部は、所定の長さおよび所定の肉厚を備えた略中空円筒形状であって、前記円筒形状の容器側の第1の端面と、前記第1の端面の逆側である開放側の第2の端面とを備え、
前記開口部は、前記第2の端面よりも前記第1の端面を大きく残存させて、前記円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第1のリブが前記第1の端面に形成されるとともに、前記第1の端面よりも前記第2の端面を大きく残存させて、前記円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第2のリブが前記第2の端面に形成され前記第1のリブおよび前記第2のリブは前記円筒形状の円周に沿って4個ずつ設けられ
前記スリットバルブは、前記第1のリブの切欠部に係合する形状を備えた第1の係合部と、前記第2のリブの切欠部に係合する形状を備えた第2の係合部とを備え、
前記第1のリブと前記第1の係合部とが係合し、かつ、前記第2のリブと前記第2の係合部とが係合することにより、前記スリットバルブが前記キャップ本体に挟持され
前記第1のリブと前記第2のリブとが前記円周に沿って互い違いになるように設けられ、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが前記円周に沿って互い違いになるように設けられ、
前記スリットバルブを前記キャップ本体に挟持するための部材を備えない、スリットバルブ付きキャップ。
【請求項2】
前記第1のリブおよび前記第2のリブがそれぞれ対称になるように配置され、前記第1の係合部と前記第2の係合部とがそれぞれ対称になるように配置されている、請求項1に記載のスリットバルブ付きキャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体と前記スリットバルブとが、インサート成形または2色成形により製造された、請求項1または請求項2に記載のスリットバルブ付きキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定値よりも高い圧力によって開放されるスリットを有するスリットバルブを備えたキャップに関し、特に、スリットバルブを容器本体の開口部に取り付けるためのスリットバルブ押さえ等を必要としないスリットバルブ付きキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料や洗顔料等を収納する容器は、内容物の適量吐出が可能でかつその吐出に際して良好な液切れを可能とするスリットタイプのバルブ(以下スリットバルブと記載)が使用されている。
スリットバルブは通常、十字状の切り込みが形成されており、容器の胴部を加圧して内圧を高め、バルブの中央域に設けたスリットを瞬時に開放させることにより内容物を適量吐出することができるようになっている。そして、このスリットバルブは、内容物として、クリームのような粘度の高いものを用いる場合でも、オイル系の化粧料や植物油等の比較的粘度の低いものを用いる場合でも、内容物を吐出させた際の切れが良好となる点で好ましく、様々なスリットバルブを備えたキャップが公知である。
【0003】
たとえば、特許第4145523号公報(特許文献1)は、このようなスリットバルブを備えた構造体を開示する。この公報に開示されたスリットバルブ構造体は、所定値よりも高い圧力によって開放されるスリットを有するスリットバルブと、このスリットバルブを導入保持する開口を有し該スリットバルブを容器本体の口部に取り付けるためのスリットバルブ保持部材からなるスリットバルブ構造体において、前記スリットバルブはストレートな形状の内壁を有するものであり、前記スリットバルブ保持部材は、前記スリットバルブのスリットを全周にわたって包囲し、前記スリットから排出される内容物の飛散を防止する飛散防止壁を備えるものであることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145523号公報(特開2003−182750号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この特許文献1に開示されたスリットバルブ構造体において、キャップ本体は、その中心付近にスリットバルブを導入する開口を有し、この開口には、スリットバルブを凹凸嵌合等の方法によって保持するスリットバルブ保持部材が形成されている。そして、スリットバルブは、キャップ本体の背面側(容器口部側)から開口に導入されて、このスリット面がキャップ本体の保護面とほぼ整列するようにスリットバルブ保持部材で規制されたのち、キャップ本体の背面側(容器口部側)から(キャップ本体ともスリットバルブとも別部品の)バルブ押さえによってスリットバルブ保持部材に対して固定保持されている。このように、このスリットバルブ構造体は、スリットバルブ保持部材を備えたキャップ本体、スリットバルブおよびバルブ押さえの3部品により構成されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に開示されたスリットバルブ構造体においては、上述したように、比較的小さな3つの部品を別々に製造して、組み付ける必要がある。このため、このスリットバルブ構造体の製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりする可能性がある。
本発明は、このような問題点に鑑み、内容物の吐出に際して液切れのよいスリットバルブ付きキャップであって、製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりすることを抑制することができるスリットバルブ付きキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係るスリットバルブ付きキャップは、容器内の内容物を吐出させるスリットバルブ付きキャップであって、キャップ本体と、前記キャップ本体の開放側の開
口部に設けられ容器内圧の上昇により開放されるスリットを有するスリットバルブとの2部品から構成される。前記開口部は、所定の長さおよび所定の肉厚を備えた略中空円筒形状であって、前記円筒形状の容器側の第1の端面と、前記第1の端面の逆側である開放側の第2の端面とを備える。前記開口部は、前記第2の端面よりも前記第1の端面を大きく残存させて、前記円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第1のリブと、前記第1の端面よりも前記第2の端面を大きく残存させて、前記円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第2のリブとを、前記円筒形状の円周を分割するようにそれぞれ2以上備える。前記スリットバルブは、前記第1のリブの切欠部に係合する形状を備えた第1の係合部と、前記第2のリブの切欠部に係合する形状を備えた第2の係合部とを備える、前記第1のリブと前記第1の係合部とが係合し、かつ、前記第2のリブと前記第2の係合部とが係合することにより、前記スリットバルブが前記キャップ本体に挟持されていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記第1のリブおよび前記第2のリブがそれぞれ対称になるように配置され、前記第1の係合部と前記第2の係合部とがそれぞれ対称になるように配置されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記キャップ本体と前記スリットバルブとが、インサート成形または2色成形により製造するように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物の吐出に際して液切れのよいスリットバルブ付きキャップを製造するにあたり、製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップの外観図であって、(A)は蓋体封止状態を示す上面図、(B)は蓋体封止状態を示す側面図、(C)は蓋体開放状態を示す側面図である。
図2図1(A)の2−2断面図である。
図3図1のスリットバルブ付きキャップの開口部の上面(開放側)詳細図である。
図4図3の4−4断面図である。
図5図3の5−5断面図である。
図6図1のスリットバルブ付きキャップの開口部の下面(容器側)詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップ100を、図面に基づき詳しく説明する。なお、以下の説明では、同一の部品(部分)には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない場合がある。
本実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップ100の構造について説明する。図1に、このスリットバルブ付きキャップ100の外観図を示す。図1(A)は蓋体110が封止された状態を示す上面図であって、図1(B)は蓋体110が封止された状態を示す側面図であって、図1(C)は蓋体110が開放された状態を示す側面図である。また、図2に、図1(A)の2−2断面図を示す。
【0012】
これらの図に示すように、このスリットバルブ付きキャップ100は、内容物が化粧品等である容器本体の口部に取り付けられる。図示しない容器本体は、口部および胴部を有し、この胴部を加圧可能な合成樹脂からなるスクイーズボトル等である。このスクイーズボトルには、たとえば、化粧品等を内容物とし、スクイーズボトルの口部に備えられた螺旋部とこのスリットバルブ付きキャップ100の螺旋部122とによりスリットバルブ付きキャップ100が取り付けられる。このスリットバルブ付きキャップ100には、スリットバルブ300が取り付けられている。
【0013】
このように、このスリットバルブ付きキャップ100は、容器本体内の内容物を吐出さ
せるスリットバルブ300を備えたキャップであって、キャップ本体120と、キャップ本体120の開放側の開口部200に設けられ容器内圧の上昇により開放されるスリット330を有するスリットバルブ300との2部品から構成される。蓋体110とキャップ本体120とはヒンジ部130を介して一体に成形したものである。蓋体110は、封止された状態ではスリットバルブ300を覆い隠すことができるように、ヒンジ部130によりキャップ本体120に着脱自在に保持される。蓋体110が封止された状態では、キャップ本体120の開放側の開口部200を形成する略中空円筒部の外壁(より詳しくは後述する第1のリブ210および第2のリブ220により形成される外径側の壁である外壁)と蓋体110の嵌合部114とにより固定保持される。なお、蓋体110には、その開閉動作を容易にするための引っ掛かり部112が設けられ、たとえば、使用者は指先をこの引っ掛かり部112を押し上げるようにして、封止状態の蓋体110を開放状態へ移行させる。
【0014】
なお、本発明は、このような蓋体110を備えず、蓋体はスリットバルブ付きキャップ100と別体であっても構わない。このような蓋体110を備えないスリットバルブ付きキャップ100は、キャップ本体120とスリットバルブ300との2部品から構成されるのは明らかであるが、蓋体110を備える場合であっても、蓋体110はキャップ本体120にヒンジ接続され、キャップ本体120の付属品として考えることができるので、蓋体110を備えるスリットバルブ付きキャップ100であっても、キャップ本体120とスリットバルブ300との2部品から構成されることになる。
【0015】
キャップ本体120は略中空円筒形状の開口部200を備え、その開口部200によりスリットバルブ300が挟持されることにより、キャップ本体120にスリットバルブ300が取り付けられていることを特徴とする。この取り付け構造の特徴の詳細については後述する。
スリットバルブ300は、たとえば、シリコンゴムや弾性を有する合成樹脂などであって、キャップ本体120とは異なる樹脂等からなり、十文字形のスリット(切り込み)330が形成されたスリット面Sを有する。このため、スリットバルブ300は、スクイーズボトルの内圧が大気圧と等しいときには、その弾性力によってスリット330を閉じた状態に維持する一方、スクイーズボトルの内圧が大気圧よりも高くなると、スリット330を弾性力に抗して外方に開放し、スクイーズボトルの内圧が大気圧よりも低くなると、スリット330を弾性力に抗して内方に開放する。
【0016】
すなわち、スリットバルブ300は、スクイーズボトルの胴部を押すと、スクイーズボトルの内圧上昇に伴い、スリット330を外方に開いて所定量の内容物を排出し、その後、スリット330を閉じて内容物の排出を停止する。このとき、スクイーズボトルの口部を上向きにして胴部の押し力を弱め、スクイーズボトルの内圧が大気圧よりも減少すると、スリット330を内方に開いてスクイーズボトル内に空気が導入される。
【0017】
上述したように、このスリットバルブ付きキャップ100においては、スリットバルブ300のキャップ本体120への取り付け構造が特徴である。この特徴について詳しく説明する。
図3にこのスリットバルブ付きキャップ100の開放側開口部の上面(開放側)詳細図を、図4図3の4−4断面図を、図5図3の5−5断面図を、図6にこのスリットバルブ付きキャップ100の開放側開口部の下面(容器側)詳細図を、それぞれ示す。
【0018】
上述したように、このスリットバルブ付きキャップ100は、キャップ本体120(蓋体110を備えていても備えていなくても構わない)と、キャップ本体120の開放側の開口部200に設けられ容器内圧の上昇により開放されるスリット330を有するスリットバルブ300との2部品から構成されている。ここで、スリットバルブ300のスリット面Sは、湾曲部340により、容器本体の内部に向かって内向きにへこんだ形状を備える。
【0019】
図3図6に示すように、このキャップ本体120の開放側の開口部200は、所定の長さおよび所定の肉厚を備えた略中空円筒形状を備える。この円筒形状を備える開口部200は、容器側の第1の端面211と、第1の端面211の逆側である開放側の第2の端
面212とを備える。
さらに詳しくは、この開口部200は、図3および図4に示すように、第2の端面212Nよりも第1の端面211Wを大きく残存させて、円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第1のリブ210と、図5および図6に示すように、第1の端面211Nよりも第2の端面212Wを大きく残存させて、円筒形状の内径側の肉厚が切り欠かかれた切欠部を備える第2のリブ220とを、円筒形状の円周を分割するようにそれぞれ2つ備える。ここで、広い方の第1の端面211Wと狭い方の第1の端面211Nとにより容器側の第1の端面211が形成され、広い方の第2の端面212Wと狭い方の第2の端面212Nとにより開放側の第2の端面212が形成され、第1の端面211の面積と第2の端面212の面積とは略等しい。
【0020】
一方、これらの第1のリブ210の切欠部および第2のリブ220の切欠部に合致するように、スリットバルブ300は、第1のリブ210の切欠部に係合する形状を備えた第1の係合部310と、第2のリブ220の切欠部に係合する形状を備えた第2の係合部320とを備える。
そして、このスリットバルブ付きキャップ100は、開口部200が備える第1のリブ210および第2のリブ220とスリットバルブ300が備える第1の係合部310および第2の係合部320とにより、スリットバルブ300がキャップ本体120に挟持された取り付け構造を特徴とする。詳しくは、第1のリブ210と第1の係合部310とが係合し、かつ、第2のリブ210と第2の係合部320とが係合することにより、スリットバルブ300がキャップ本体120に挟持されている。このようにスリットバルブ300がキャップ本体120に挟持され、第1のリブ210に第1の係合部310が係合することによりスリットバルブ300が容器側へ抜けることを防止するとともに、第2のリブ220に第2の係合部320が係合することによりスリットバルブ300が開放側へ抜けることを防止している。
【0021】
さらに、開口部200およびスリットバルブ300は、図4に示す第1のリブ210がある部分(この部分は第1の係合部310がある部分でもある)の断面と、図5に示す第2のリブ220がある部分(この部分は第2の係合部320がある部分でもある)の断面とが、同じような断面になるように、それぞれの形状が決定されている。しかしながら、本発明は、このように同じような断面になるスリットバルブ付きキャップに限定されるものではなく、スリットバルブ300のスリット330以外の部分で気密性を保持(スリット330以外から容器の内容物が漏れない)するものであれば構わない。
【0022】
本実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップ100おいては、第1のリブ210および第2のリブ220がそれぞれ開口部200の円筒形状に対して対称になるように2個ずつ配置され、第1の係合部310と第2の係合部320とがそれぞれ開口部200の円筒形状に対して対称になるように2個ずつ配置されている。しかしながら、本発明はこのように対称に配置されていることにも2個ずつ配置されていることにも限定されるものではなく、スリットバルブ300のスリット330以外の部分で気密性を保持すればよく、それぞれ2個以上配置されていれば非対称に配置されていても構わない。
【0023】
また、本実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップ100おいては、図3および図6に示すように、開口部200が備える第1のリブ210と第2のリブ220とが開口部200の円筒形状の円周を分割しその円周に沿って互い違いになるように設けられ、スリットバルブ300が備える第1の係合部310と第2の係合部320とが同じように互い違いになるように設けられている。これにより、開口部200の円筒形状の中心軸方向(図4および図5の紙面上下方向)に沿った、第1のリブ210と第1の係合部310とで形成される係合状態(後述する接着状態)、第2のリブ220と第2の係合部320とで形成される係合状態(後述する接着状態)が、円周に沿って互い違いになった構造となるので、スリットバルブ300のスリット330以外の部分で気密性を保持した取り付け構造を実現することができる。
【0024】
このような取り付け構造については、キャップ本体120とスリットバルブ300とを、公知のインサート成形または公知の2色成形を用いて工業的に製造することにより、大
量生産を実現することができる。このような射出成形を用いる場合、特に2色成形を用いる場合には、係合した第1のリブ210と第1の係合部310とは熱融着して接着され、かつ、係合した第2のリブ210と第2の係合部320とは熱融着して接着されて、キャップ本体120の開口部200とスリットバルブ300とが一体化される。なお、インサート成形を用いる場合には、一方が低温のため熱融着しないとしても、スリットバルブ300は、第1のリブ210の切欠部に係合する形状を備えた第1の係合部310と、第2のリブ220の切欠部に係合する形状を備えた第2の係合部320とを備えるために、第1のリブ210の切欠部に第1の係合部310が、第2のリブ220の切欠部に第2の係合部320が接合されて、キャップ本体120の開口部200とスリットバルブ300とが一体化される。なお、ここで一体化されるとは、スリットバルブ300のスリット330以外の部分で気密性を保持することができるように開口部200にスリットバルブ300が取り付けられることを意味する。
【0025】
このような射出技術を用いるので、第1のリブ210と第1の係合部310とが係合し、かつ、第2のリブ210と第2の係合部320とが係合することにより、スリットバルブ300がキャップ本体120に挟持されているという複雑な取り付け構造であって、特許文献1のようなバルブ押さえを必要としない取り付け構造であっても、製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりすることを抑制することができる。なお、インサート成形および2色成形は、公知の射出成形技術であるので、それらについての説明はここでは繰り返さないが、図3および図4には、スリットバルブ300の成形時に形成された凹部形状のゲート312が現れている。また、スリット330は、たとえば、キャップ本体120の開口部200とスリットバルブ300とが一体化された後にスリットバルブ300の中心付近が十字形状に切断されることにより設けられる。このスリット330を設けるための切断処理は射出成形機内で行うようにしても構わない。
【0026】
以上のようにして、本実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップによると、バルブ押さえを必要としないでキャップ本体とスリットバルブとの2部品でスリットバルブのスリット以外の部分で気密性を保持して構成することができる。この場合において、本実施の形態に係るスリットバルブ付きキャップはインサート成形や2色成形により製造されるので、内容物の吐出に際して液切れのよいスリットバルブ付きキャップを製造するにあたり、製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりすることを抑制することができる。
【0027】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
ここで、スリットバルブのスリット面Sは、上述のごとく、容器本体の内部に向かって内向きにへこんだ形状に限らず、容器本体の外部に向かって外向きに突出した形状であってもよい。さらに、スリットバルブのスリットも、十文字形に限らず、一文字形など様々な形状を採用することができる。また、内容物も、化粧品に限らず、薬品、食品(ケチャップ、マヨネーズ、ハチミツ)、台所用洗剤、浴室用のボディソープ、シャンプー、リンス、などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、容器内の内容物を吐出させるスリットバルブ付きキャップに好適に適用することができ、特に、内容物の吐出に際して液切れをよくするとともに、製造工数が大きくなったり製造コストが高くなったりすることを抑制することができる点で好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 スリットバルブ付きキャップ
110 蓋体
120 キャップ本体
130 ヒンジ部
200 (キャップ本体の開放側開口部を形成する略中空円筒形状の)開口部
210 第1のリブ
220 第2のリブ
211、211N、211W (容器側の)第1の端面
212、212N、212W (開放側の)第2の端面
300 スリットバルブ
310 第1の係合部
320 第2の係合部
330 スリット
340 湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6