特許第6213615号(P6213615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6213615
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20171005BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20171005BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20171005BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20171005BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20171005BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M4/13
   H01M10/0568
   H01M2/26 A
   H01M10/0567
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-112334(P2016-112334)
(22)【出願日】2016年6月6日
(62)【分割の表示】特願2012-177251(P2012-177251)の分割
【原出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2016-178091(P2016-178091A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年6月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】松田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】藤原 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】能間 俊之
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−216403(JP,A)
【文献】 特開2008−243411(JP,A)
【文献】 特開2012−038702(JP,A)
【文献】 特開2011−049065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0587
H01M 2/26
H01M 4/13
H01M 10/0568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の正極板と長尺状の負極板とを長尺状のセパレータを介して巻回した偏平状の巻回電極体と、 前記正極板又は前記負極板に接続された集電体と、
開口を有し、前記偏平状の巻回電極体及び非水電解液を収納する角形外装体と、
前記開口を封口する封口体を有し、
前記正極板は長手方向に沿って正極芯体露出部が形成され、
前記負極板は長手方向に沿って負極芯体露出部が形成され、
前記負極芯体露出部の面積は700cm以上であり、
前記正極芯体露出部の面積は500cm以上であり、
前記負極芯体露出部の面積は前記正極芯体露出部の面積よりも大きく、
前記集電体は、前記正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部の外面に沿って配置される板状の接続部を有し、
前記集電体は、前記接続部において前記正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部に接続され、
前記接続部は、前記巻回電極体の巻回軸が延びる方向における前記巻回電極体の中央側の端部に、前記接続部から前記角形外装体に向かって延びるリブを有する非水電解質二次電池の製造方法であって、
オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含有する非水電解液を前記角形外装体に注液する注液工程を有する非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記集電体は、第1の接続部と第2の接続部を有し、
前記正極芯体露出部又は前記負極芯体露出部は、前記封口体の短手方向において、一方側に第1の平坦な外面を有し、他方側に第2の平坦な外面を有し、
前記第1の接続部は前記第1の平坦な外面に接続され、
前記第2の接続部は前記第2の平坦な外面に接続され、
前記接続部は前記第1の接続部である請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記接続部には、前記封口体に対して垂直な方向において離れて配置された二つの前記リブが設けられた請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記集電体は、前記負極板に接続された負極集電体である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記注液工程において、前記非水電解液中の前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の含有量は0.01〜2.0mol/Lである請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩はリチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(Li[B(C])である請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記注液工程において、前記非水電解液はジフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含有し、前記非水電解液中の前記ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)の含有量は0.01〜2.0mol/Lである請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記集電体を前記負極芯体露出部又は前記正極芯体露出部に超音波溶接する工程を有する請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項9】
長尺状の正極板と長尺状の負極板とを長尺状のセパレータを介して巻回した偏平状の巻回電極体と、
前記正極板に接続された正極集電体と、
前記負極板に接続された負極集電体と、
開口を有し、前記偏平状の巻回電極体及び非水電解液を収納する角形外装体と、
前記開口を封口する封口体を有し、
前記正極板は長手方向に沿って正極芯体露出部が形成され、
前記負極板は長手方向に沿って負極芯体露出部が形成され、
前記負極芯体露出部の面積は700cm以上であり、
前記正極芯体露出部の面積は500cm以上であり、
前記負極芯体露出部の面積は前記正極芯体露出部の面積よりも大きく、
前記正極芯体露出部は、前記封口体の短手方向において二つに分けてそれぞれ束ねられ、二つに分けてそれぞれ束ねられた前記正極芯体露出部のそれぞれに前記正極集電体が接続され、
前記正極集電体において二つに分けてそれぞれ束ねられた前記正極芯体露出部のうちの一方に接続された部分と、前記正極集電体において二つに分けてそれぞれ束ねられた前記正極芯体露出部のうちの他方に接続された部分とが、前記封口体の短手方向において離して配置され、
前記負極芯体露出部は、前記封口体の短手方向において二つに分けてそれぞれ束ねられ、二つに分けてそれぞれ束ねられた前記負極芯体露出部のそれぞれに前記負極集電体が接続され、
前記負極集電体において二つに分けてそれぞれ束ねられた前記負極芯体露出部のうちの一方に接続された部分と、前記負極集電体において二つに分けてそれぞれ束ねられた前記負極芯体露出部のうちの他方に接続された部分とが、前記封口体の短手方向において離して配置され、
前記負極集電体は、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域と、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域から前記巻回電極体に向かって延びて前記負極芯体露出部に超音波溶接により直接接続された領域を有し、
前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域と、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域から前記巻回電極体に向かって延びて前記負極芯体露出部に直接接続された領域とは一つの部品からなる非水電解質二次電池の製造方法であって、
オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含有する非水電解液を前記角形外装体に注液する注液工程を有する非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項10】
長尺状の正極板と長尺状の負極板とを長尺状のセパレータを介して巻回した偏平状の巻回電極体と、
前記正極板に接続された正極集電体と、
前記負極板に接続された負極集電体と、
開口を有し、前記偏平状の巻回電極体及び非水電解液を収納する角形外装体と、
前記開口を封口する封口体を有し、
前記正極板は長手方向に沿って正極芯体露出部が形成され、
前記負極板は長手方向に沿って負極芯体露出部が形成され、
前記負極芯体露出部の面積は700cm以上であり、
前記正極芯体露出部の面積は500cm以上であり、
前記負極芯体露出部の面積は前記正極芯体露出部の面積よりも大きく、
前記正極芯体露出部は、前記封口体の短手方向において二つに分けてそれぞれ束ねられ、二つに分けてそれぞれ束ねられた前記正極芯体露出部のそれぞれに前記正極集電体が接続され、
前記負極芯体露出部は、前記封口体の短手方向において二つに分けてそれぞれ束ねられ、二つに分けてそれぞれ束ねられた前記負極芯体露出部のそれぞれに前記負極集電体が接続され、
前記負極集電体は、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域と、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域から前記巻回電極体に向かって延びて前記負極芯体露出部に超音波溶接により直接接続された領域を有し、
前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域と、前記封口体と前記巻回電極体の間に配置された領域から前記巻回電極体に向かって延びて前記負極芯体露出部に直接接続された領域とは一つの部品からなる非水電解質二次電池の製造方法であって、
オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含有する非水電解液を前記角形外装体に注液する注液工程を有する非水電解質二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたサイクル特性を有し、かつ信頼性に優れた非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンを含む携帯電話機、携帯型コンピュータ、PDA、携帯型音楽プレイヤー等の携帯型電子機器の駆動電源として、ニッケル−水素電池に代表されるアルカリ二次電池やリチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池が多く使用されている。さらに、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)の駆動用電源、太陽光発電、風力発電等の出力変動を抑制するための用途や夜間に電力をためて昼間に利用するための系統電力のピークシフト用途等の定置用蓄電池システムにおいても、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池が多く使用されている。
【0003】
特に、EV、HEV、PHEV用途ないし定置用蓄電池システムでは、高容量及び高出力特性が要求されるので、個々の電池が大型化されていると共に、多数の電池が直列ないし並列に接続されて使用される。そのため、これらの用途においては、スペース効率の点から非水電解質二次電池が汎用的に使用されている。更に、物理的強度が必要とされる場合、電池の外装体としては、一般的に、一面が開口した金属製の角形外装体及びこの開口を封口するための金属製の封口体が採用されている。
【0004】
上述のような用途で使用するための非水電解質二次電池では、長寿命化が必須であることから、劣化防止のために非水電解液中に種々の添加剤を添加することが行われている。例えば、下記特許文献1には非水電解質二次電池の非水電解液中に環状フォスファゼン化合物と各種のオキサラト錯体をアニオンとする塩を添加することが示されている。また、下記特許文献2及び3には、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の1種である下記構造式(I)で示されるリチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(Li[B(C]、以下「LiBOB」と表すことがある)を添加することが示されている。
【0005】
【化1】
【0006】
さらに、下記特許文献4には,充電保存時の自己放電を抑制し、充電後の保存特性を向上させる目的で、非水電解液中にジフルオロリン酸リチウム(LiPF)を添加した非水電解質二次電池の発明が開示されている。また、下記特許文献5には、サイクル特性と低温出力が良好な非水電解質二次電池を得る目的で、非水電解液中にLiPFを添加した例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−129541号公報
【特許文献2】特表2010−531856号公報
【特許文献3】特開2010−108624号公報
【特許文献4】特許第3439085号公報
【特許文献5】特開2007−227367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非水電解液中に上記特許文献1に開示されている環状フォスファゼン化合物と各種のオキサラト錯体をアニオンとする塩とを添加すると、非水電解液の難燃性が向上し、優れた電池特性と高い安全性を備えた非水電解質二次電池が得られる。また、非水電解液中に上記特許文献2及び3に開示されているLiBOBを添加すると、非水電解質二次電池の炭素負極活物質の表面上に薄くて極めて安定したリチウムイオン伝導層からなる保護層を形成し、この保護層は高温でも安定しているため、炭素負極活物質による非水電解液の分解反応が抑制され、良好なサイクル特性が得られると共に、電池の安全性が向上するという優れた効果を奏する。
【0009】
さらに、上記特許文献4に開示されている非水電解質二次電池によれば、LiPFとリチウムとが反応して正極板及び負極板の表面に良質な保護被膜が形成され、この保護被膜が充電状態の活物質と有機溶媒との直接との接触を抑制するため、活物質と非水電解液との接触に起因する非水電解液の分解が抑制され、充電保存特性が向上する。また、上記特許文献5に開示されている非水電解質二次電池によれば、LiPFによって形成される保護被膜の存在によって、サイクル特性が良好となり、しかも、低温特性に優れた非水電解質二次電池が得られるという優れた効果を奏する。
【0010】
しかしながら、非水溶媒中にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を添加した非水電解液を用いた非水電解質二次電池では、圧壊等により電池に異常が生じて電池の温度が上昇すると、保護被膜が形成された負極と非水電解液との間の反応が進行し易くなり、電池の発熱量が多くなるという課題が生じた。特に、高容量及び高出力特性が要求される非水電解質二次電池では、発熱反応を起こす原因となる負極合剤やオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の絶対量が多くなる。
【0011】
本発明は、このような従来の非水電解質二次電池における非水電解液中にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を添加した際の問題点を解決すべくなされたものであり、優れたサイクル特性を有し、かつ信頼性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池は、
長尺状の正極板と長尺状の負極板とを長尺状のセパレータを介して巻回した偏平状の巻回電極体と、
前記偏平状の巻回電極体及び非水電解液を収納する角形外装体とを有し、
前記正極板は長手方向に沿って正極芯体露出部が形成され、
前記負極板は長手方向に沿って負極芯体露出部が形成され、
オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含有する非水電解液を用いて作製された非水電解質二次電池であって、
前記負極芯体露出部の面積は700cm以上であり、
前記正極芯体露出部の面積は500cm以上であり
前記負極芯体露出部の面積は前記正極芯体露出部の面積よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
非水電解液中にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が添加されている場合、負極板の表面にはオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩と負極活物質との間の反応によって生じる保護被膜が形成されるため、サイクル特性は良好となる。しかしながら、電
池の温度が上昇すると、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩由来の保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応が進行し易くなり、電池の発熱量が多くなる。本発明の非水電解質二次電池では、負極芯体露出部の面積を700cm以上、正極芯体露出部の面積を500cm以上とすることで、電極体内部からの放熱性を向上させ、負極板の温度が上昇することを抑制し、保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応を抑制することが可能となる。また、負極芯体露出部の面積を正極芯体露出部の面積よりも大きくすることで、より効率的に負極板の温度が上昇することを抑制し、保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応を抑制することが可能となる。
【0014】
なお、本発明における芯体露出部の面積は、極板の両面に芯体露出部が形成されている場合は、極板の両面に形成された芯体露出部の面積の和とする。また、この場合、極板の両面に形成されている芯体露出部の面積が一方の面と、他方の面とで異なっていてもよい。
【0015】
大容量の非水電解質二次電池では、その分だけ発熱反応を起こす原因となる負極活物質及びオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の絶対量が多く、発熱量も多くなる。しかしながら、本発明の非水電解質二次電池では、負極板の温度が上昇し難くなっているので、保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応が抑制される。そのため、本発明の非水電解質二次電池によれば、高いサイクル特性を有しながら、より信頼性が向上した非水電解質二次電池が得られる。
【0016】
なお、本発明の非水電解質二次電で使用し得る正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能な化合物であれば適宜選択して使用できる。これらの正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(y=0.01〜0.99)、LiMnO、LiCoMnNi(x+y+z=1)や、LiMn又はLiFePOなどが一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。さらには、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム、アルミニウム等の異種金属元素を添加したものも使用し得る。
【0017】
また、本発明の非水電解質二次電池の非水電解液に使用し得る非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などの環状炭酸エステル、フッ素化された環状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、γ−バレロラクトン(γ−VL)などの環状カルボン酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジブチルカーボネート(DBC)などの鎖状炭酸エステル、フッ素化された鎖状炭酸エステル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、メチルイソブチレート、メチルプロピオネートなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N'−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどのアミド化合物、スルホランなどの硫黄化合物などを例示できる。これらは2種以上混合して用いることが望ましい。
【0018】
また、本発明においては、非水溶媒中に溶解させる電解質塩として、非水電解質二次電池において一般に電解質塩として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)が特に好ましい。前記非
水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、0.8〜1.5mol/Lとするのが好ましい。
【0019】
本発明の非水電解質二次電池における非水電解液中のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の含有量は、非水電解質二次電池作製時において、0.01〜2.0mol/Lとすることが好ましく、0.05〜0.2mol/Lとすることがより好ましい。本発明の非水電解質二次電池における非水電解液中のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の添加量は、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩自体を主成分の電解質塩として添加することもできる。しかしながら、非水電解液中のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の添加量が多くなると、非水電解液の粘度が大きくなるので、上述した各種電解質塩を主成分として用いるとともに、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を添加物として少量、例えば0.1mol/L程度となるように添加するとよい。なお、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を添加物として添加する場合、その添加量によっては初期の充電時に全てのオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が保護被膜形成に消費されてしまい、非水電解液中に実質的にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が存在しない場合が生じることがあるが、この場合も本発明に含まれる。従って、非水電解質二次電池に対して初回の充電を行なう前の状態で、非水電解液中にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が含有されていれば本発明に含まれる。
【0020】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、
前記負極芯体露出部の面積は、前記負極板の両面に形成された負極活物質合剤層の面積に対して5〜30%であり、
前記正極芯体露出部の面積は、前記正極板の両面に形成された正極活物質合剤層の面積に対して5〜20%であることが好ましい。
【0021】
このような構成を備えていると、高容量及び高出力特性を有する非水電解質二次電池においても、単位体積当たりの電池容量を確保しつつ、負極板の放熱効率が良好となるようにすることができる。なお、本発明における活物質合剤層の面積は、極板の両面に活物質合剤層が形成されている場合は、極板の両面に形成された活物質合剤層の面積の和とする。また、この場合、極板の両面に形成されている活物質合剤層の面積が一方の面と、他方の面とで異なっていてもよい。
【0022】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、
前記偏平状の巻回電極体は、一方の端部に巻回された正極芯体露出部を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部を有し、
前記正極芯体露出部の両外面には正極集電体が溶接接続され、
前記負極芯体露出部の両外面には負極集電体が溶接接続されているものとすることが好ましい。
【0023】
このような構成を備えていると、電極体内部で発生した熱が、巻回された芯体露出部から電極体外部へと放熱され易くなる。さらに、電極体内部で発生した熱が、巻回された芯体露出部の両外面に溶接接続された集電体を介して、電極体外部へと放熱され易くなる。
【0024】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記負極芯体露出部は前記負極板の幅方向の両端に長手方向に沿って形成されていることが好ましい。係る場合においては、前記負極芯体露出部は一方側が他方側よりも幅広に形成されており、前記幅広側の芯体露出部幅が前記負極集電体に接続されているものとすることが好ましい。さらに、これらの場合においては、前記正極芯体露出部は前記正極の幅方向の一方側のみに長手方向に沿って形成されているものとすることがより好ましい。
【0025】
このような構成を備えていると、負極芯体露出部の幅方向の両端側から放熱させること
ができるので、より負極板からの放熱性が向上する。
【0026】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、電池容量が4Ah以上であることが好ましく、電池容量が20Ah以上のものであることがより好ましい。
【0027】
電池容量が4Ah以上と大きい場合、発熱反応を起こす原因となる負極活物質及びオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の絶対量が多いので、発熱量も多くなるため、本発明の上記効果が良好に奏されるようになる。特に、電池容量が20Ah以上であれば、保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応に起因する発熱がより大きくなるため、本発明の上記効果がより良好に奏されるようになる。
【0028】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含有する非水電解液を用いて作製されていることが好ましい。
【0029】
本発明の非水電解質二次電池では、電極体からの放熱性が向上するものの、低温環境下においては電極体内部の温度が低温になり易い。しかしながら、LiPFを含有する非水電解液を用いて非水電解質二次電池を作製することにより、低温環境下においても優れた出力特性を有する非水電解質二次電池となる。
【0030】
なお、このLiPFも、その添加量によっては初期の充放電時に全てのLiPFが保護被膜形成に消費されてしまい、非水電解液中に実質的にLiPFが存在しない場合が生じることがあるが、この場合も本発明に含まれる。従って、非水電解質二次電池に対して初回の充電を行なう前の状態で、非水電解液中にLiPFが含有されていれば本発明に含まれる。LiPFの含有量は、非水電解質二次電池作製時において、0.01〜2.0mol/Lとすることが好ましく、0.01〜0.1mol/Lとすることがより好ましい。
【0031】
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩はリチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩((Li[B(C]、以下「LiBOB」と表すことがある)であることが好ましい。
【0032】
オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としてLiBOBを用いると、より良好なサイクル特性を達成し得る非水電解質二次電池が得られる。なお、LiBOBの好ましい含有量は0.01〜2.0mol/Lであり、より好ましくは0.05〜0.2mol/Lである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1Aは実施形態の角形の非水電解質二次電池の平面図であり、図1Bは同じく正面図である。
図2図2A図1AのIIA−IIA線に沿った部分断面図であり、図2B図2AのIIB−IIB線に沿った部分断面図であり、図2C図2AのIIC−IIC線に沿った断面図である。
図3図3Aは実施形態の角形の非水電解質二次電池で用いた正極板の平面図であり、図3Bは同じく負極板の平面図である。
図4図4は、図2BのIV−IV線に沿った部分拡大断面図である。
図5図5Aは第1変形例の角形の非水電解質二次電池で用いた負極板の平面図である。
図6図6Aは第2変形例の角形の非水電解質二次電池の図2Aに対応する部分断面図であり、図6B図6AのVIB−VIB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0035】
[実施形態]
最初に、実施形態の角形の非水電解質二次電池を図1図4を用いて説明する。この角形の非水電解質二次電池10は、図4に示したように、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回された偏平状の巻回電極体14を有している。この巻回電極体14の最外面側は、セパレータ13で被覆されているが、負極板12が正極板11よりも外周側となるようになされている。
【0036】
正極板11は、図3Aに示したように、アルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、幅方向の一方側の端部に沿ってアルミニウム箔が帯状に露出するように正極板11をスリットすることにより作製されている。この帯状に露出したアルミニウム箔部分が正極芯体露出部15となる。また、負極板12は、図3Bに示したように、銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、幅方向の一方側の端部に沿って銅箔が帯状に露出するように負極板12をスリットすることによって作製されている。この帯状に露出した銅箔部分が負極芯体露出部16となる。
【0037】
なお、負極板12の負極活物質合剤層12aの幅及び長さは正極活物質合剤層11aの幅及び長さよりも大きくなっている。ここで、正極芯体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる厚さが10〜20μm程度のものを用い、負極芯体としては銅又は銅合金からなる厚さが5〜15μm程度のものを用いることが好ましい。また、正極活物質合剤層11a及び負極活物質合剤層12aの具体的組成については、後述する。
【0038】
そして、上述のようにして得られた正極板11及び負極板12を、正極板11のアルミニウム箔露出部と負極板12の銅箔露出部とがそれぞれ対向する電極の活物質合剤層と重ならないようにずらし、セパレータ13を介して互いに絶縁した状態で巻回することにより、図2A及び図2Bに示したように、一方の端には複数枚重なった正極芯体露出部15を備え、他方の端には複数枚重なった負極芯体露出部16を備えた偏平状の巻回電極体14が作製される。なお、セパレータ13としては、好ましくはポリオレフィン製の微多孔性膜が使用される。
【0039】
複数枚積層された正極芯体露出部15は、アルミニウム材からなる正極集電体17を介して同じくアルミニウム材からなる正極端子18に電気的に接続され、同じく複数枚積層された負極芯体露出部16は銅材からなる負極集電体19を介して同じく銅材からなる負極端子20に電気的に接続されている。正極端子18、負極端子20は、図1A図1B及び図2Aに示したように、それぞれ絶縁部材21、22を介して例えばアルミニウム材からなる封口体23に固定されている。また、正極端子18、負極端子20は、それぞれ必要に応じて、正極外部端子及び負極外部端子(何れも図示省略)に接続される。
【0040】
上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体14は、封口体23側を除く周囲に絶縁性の樹脂シート24が介在され、一面が開放された例えばアルミニウム材からなる角形外装体25内に挿入される。その後、封口体23を角形外装体25の開口部に嵌合し、封口体23と角形外装体25との嵌合部をレーザ溶接し、さらに、電解液注液口26から非水電解液を注液し、この電解液注液口26を密閉することにより本実施形態の非水電解質二次電池10が作製されている。従って、実施形態の角形の非水電解質二次電池10では
図4に示したように、角形外装体25側から順に、樹脂シート24、セパレータ13、負極板12、セパレータ13、正極板11、セパレータ13、負極板12・・・と配置されていることになる。
【0041】
なお、正極集電体17と正極端子18との間には、電池の内部で発生したガス圧によって作動する電流遮断機構27が設けられている。また、封口体23には、電流遮断機構27の作動圧よりも高いガス圧が加わったときに開放されるガス排出弁28も設けられている。そのため、非水電解質二次電池10の内部は密閉されている。この非水電解質二次電池10は、単独であるいは複数個が直列ないし並列に接続されて各種用途で使用される。なお、この非水電解質二次電池10を複数個を直列ないし並列に接続して使用する際には、別途正極外部端子及び負極外部端子を設けてそれぞれの電池をバスバーで接続するとよい。
【0042】
実施形態の角形の非水電解質二次電池10で用いた偏平状の巻回電極体14は、電池容量が20Ah以上の高容量及び高出力特性が要求される用途に用いられるものであり、例えば正極板11の巻回数が43回、すなわち、正極板11の総積層枚数は86枚と多くなっている。なお、巻回数が30回以上、すなわち、総積層枚数が60枚以上であれば、容易に電池サイズを必要以上に大型化せずに電池容量を20Ah以上とすることができる。
【0043】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の総積層枚数が多いと、正極芯体露出部15に正極集電体17を、負極芯体露出部16に負極集電体19を、それぞれ抵抗溶接により取り付ける際に、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕15a、16aを形成するには多大な溶接電流が必要である。
【0044】
そのため、図2A図2Cに示すように、正極板11側では、積層された複数枚の正極芯体露出部15が2分割されてその間に導電性の正極用導電部材29を複数個、ここでは2個保持した樹脂材料からなる正極用中間部材30が挟まれている。同様に、負極板12側では、積層された複数枚の負極芯体露出部16が2分割されてその間に導電性の負極用導電部材31を2つ保持した樹脂材料からなる負極用中間部材32が挟まれている。また、正極用導電部材29の両側に位置する正極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体17が配置されており、負極用導電部材31の両側に位置する負極芯体露出部16の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体19が配置されている。なお、正極用導電部材29は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム製であり、負極用導電部材31は負極芯体と同じ材料である銅製であるが、正極用導電部材29及び負極用導電部材31の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0045】
このように正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16を2分割すると、多数積層された正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するような溶接痕15a、16aを形成するために必要な溶接電流は、2分割しない場合と比すると小さくて済むので、抵抗溶接時のスパッタの発生が抑制されるため、スパッタに起因する巻回電極体14の内部短絡等のトラブルの発生が抑制される。このように、正極集電体17と正極芯体露出部15との間及び正極芯体露出部15と正極用導電部材29との間は共に抵抗溶接されており、また、負極集電体19と負極芯体露出部16との間及び負極芯体露出部16と負極用導電部材31との間も共に抵抗溶接によって接続されている。なお、図2には、正極集電体17には抵抗溶接により形成された2箇所の溶接跡33が示されており、負極集電体19にも2箇所の溶接跡34が示されている。
【0046】
以下、実施形態の偏平状の巻回電極体14における正極芯体露出部15、正極集電体17、正極用導電部材29を有する正極用中間部材30を用いた抵抗溶接方法、及び、負極
芯体露出部16、負極集電体19、負極用導電部材31を有する負極用中間部材32を用いた抵抗溶接方法を詳細に説明する。しかしながら、実施形態においては、正極用導電部材29と正極用中間部材30との形状及び負極用導電部材31と負極用中間部材32との形状は実質的に同一とすることができ、しかも、それぞれの抵抗溶接方法も実質的に同様であるので、以下においては正極板11側のものに代表させて説明することとする。
【0047】
まず、上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体14の正極芯体露出部15を、巻回中央部分から両側に2分割し、電極体厚みの1/4を中心として正極芯体露出部15を集結させた。そして、正極芯体露出部15の最外周側の両面に正極集電体17、内周側に正極用導電部材29を有する正極用中間部材30を、正極用導電部材29の両側の突起部がそれぞれ正極芯体露出部15と当接するように、2分割された正極芯体露出部15の間に挿入した。また、正極集電体17は例えば厚さ0.8mmのアルミニウム板からなる。
【0048】
ここで、実施形態の正極用中間部材30に保持された正極用導電部材29は、円柱状の本体の対向する二つの面のそれぞれにたとえば円錐台状の突起(プロジェクション)が形成されている。この正極用導電部材29としては、円筒状だけでなく、角柱状、楕円柱状等、金属製のブロック状のものであれば任意の形状のものを使用することができる。また、正極用導電部材29の形成材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、モリブデン等からなるものを使用することができ、更に、これらの金属からなるもののうち、突起部にニッケルメッキを施したもの、突起部とその根本付近までをタングステンもしくはモリブデン等の発熱を促進する金属材料に変更し、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる円筒状の正極用導電部材29の本体にロウ付け等によって接合したもの等も使用し得る。
【0049】
なお、正極用導電部材29は、複数個、たとえば2個が樹脂材料からなる正極用中間部材30によって一体に保持されている。この場合、それぞれの正極用導電部材29は互いに並行になるように保持されている。この正極用中間部材30の形状は角柱状、円柱状等任意の形状をとることができるが、2分割した正極芯体露出部15内で安定的に位置決めして固定されるようにするためには、横長の角柱状とすることが望ましい。ただし、正極用中間部材30の角部は、軟質の正極集電体露出部12と接触しても正極芯体露出部15に傷が付いたり変形したりしないようにするため、面取りすることが好ましい。この面取り部分は、少なくとも2分割された正極芯体露出部15内に挿入される部分であればよい。
【0050】
そして、角柱状の正極用中間部材30の長さは、角形の非水電解質二次電池10のサイズによっても変化するが、20mm〜数十mmとすることができる。この角柱状の正極用中間部材30の幅は正極用導電部材29の高さと同じ程度となるようにすればよいが、少なくとも溶接部となる正極用導電部材29の両端が露出していればよい。なお、正極用導電部材29の両端は、正極用中間部材30の表面から突出していることが望ましいが、必ずしも突出していなくてもよい。このような構成であると、正極用導電部材29は正極用中間部材30に保持されており、しかも、正極用中間部材30は2分割された正極芯体露出部15の間に安定的に位置決めされた状態で配置される。
【0051】
次いで、一対の抵抗溶接用電極(図示省略)間に正極集電体17及び正極用導電部材29を保持した正極用中間部材30が配置された偏平状の巻回電極体14を配置し、一対の抵抗溶接用電極をそれぞれ正極芯体露出部15の最外周側の両面に配置された正極集電体17に当接させる。そして、一対の抵抗溶接用電極間に適度の圧力を印加し、予め定めた一定の条件で抵抗溶接を実施する。この抵抗溶接においては、正極用中間部材30は2分割された正極芯体露出部15の間に安定的に位置決めされた状態で配置されているので、
正極用導電部材29と一対の抵抗溶接用電極間の寸法精度が向上し、正確にかつ安定した状態で抵抗溶接することが可能となり、溶接強度がばらつくことが抑制される。
【0052】
次に、実施形態に係る正極集電体17及び負極集電体19の具体的構成について、図2を用いて説明する。正極集電体17は、図2A及び図2Bに示したように、偏平状の巻回電極体14の一方の側端面側に積層配置された複数枚の正極芯体露出部15に抵抗溶接法によって電気的に接続されており、この正極集電体17は正極端子18に電気的に接続されている。同じく負極集電体19は、偏平状の巻回電極体14の他方の側端面側に積層配置された複数枚の負極芯体露出部16に抵抗溶接法によって電気的に接続されており、この負極集電体19は負極端子20に電気的に接続されている。
【0053】
正極集電体17は、例えばアルミニウム板を所定形状に打ち抜いた後、折り曲げ成形して製造されたものである。この正極集電体17には、束ねられた正極芯体露出部15へ抵抗溶接する箇所である本体部分にリブ17aが形成されている。また、負極集電体19は、例えば銅板を所定形状に打ち抜いた後、折り曲げ成形して製造されたものである。この負極集電体19も、束ねられた負極芯体露出部16へ抵抗溶接する箇所である本体部分にリブ19aが形成されている。
【0054】
正極集電体17のリブ17a及び負極集電体19のリブ19aは、いずれも抵抗溶接時に発生したスパッタが偏平状の巻回電極体14の内部に飛び込まないようにするための遮蔽の役割と、抵抗溶接時に発生する熱によって正極集電体17及び負極集電体19の抵抗溶接部以外の部分が溶融しないようにするための放熱フィンの役割を有している。なお、これらのリブ17a、19aは、それぞれ正極集電体17及び負極集電体19の本体から垂直に設けられているが、必ずしも垂直である必要はなく、垂直から±10°程度傾いていても同様の作用効果を奏する。
【0055】
なお、実施形態の角形非水電解質二次電池10においては、正極集電体17のリブ17a及び負極集電体19のリブ19aとして長さ方向に抵抗溶接位置に対応して2箇所設けたものを用いた例を示したが、これに限らず、一つのものとしても良いし、幅方向の両側にリブが形成されているものを用いてもよい。幅方向の両側にリブが形成されているものを用いる場合には、両方の高さが同じであっても異なっていてもよく、両方の高さが異なる場合は、偏平状の巻回電極体14付近の方が高さが高い方とすることが好ましい。
【0056】
[正極板の作製]
次に、実施形態の角形の非水電解質二次電池10で用いた正極活物質合剤層11a及び負極活物質合剤層12aの具体的組成及び非水電解液の具体的組成について説明する。正極活物質としては、LiNi0.35Co0.35Mn0.30で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いた。このリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、それぞれ質量比で88:9:3となるように秤量し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極活物質合剤スラリーを調製した。この正極活物質合剤スラリーを、例えば厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面にダイコーターによって塗布し、正極活物質合剤層を正極芯体の両面に形成し、次いで、乾燥させて有機溶媒となるNMPを除去し、ロールプレスによって所定厚さとなるように圧縮した。得られた極板を極板の幅方向の一方端に長さ方向全体にわたって一定幅で正極活物質合剤層が両面に形成されていない正極芯体露出部15が形成されるようにスリットし、図3Aに示した構成の正極板11を得た。
【0057】
なお、図3Aにおいて、正極芯体の長さをLp、正極芯体の幅をWp、正極活物質合剤層11aの幅をWap、正極芯体露出部15の幅をWcpとすると、ここでは、Wap=
Wp−Wcpとなる。従って、正極板11に形成された正極芯体露出部15の面積は、両面で、2×Wcp×Lpであり、2×Wcp×Lp≧500cmとされている。
また、
(2×Wcp×Lp)/(2×Wap×Lp)=Wcp/(Wp−Wcp)
=5〜20%
とされている。すなわち、正極芯体露出部15の面積(両面)は、正極板11の両面に形成された正極活物質合剤層11aの面積に対して5〜20%となるようにされている。
【0058】
[負極板の作製]
負極板は次のようにして作製した。黒鉛粉末98質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部を水に分散させ負極活物質合剤スラリーを調整した。この負極活物質合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の両面にダイコーターによって塗布し、乾燥して負極集電体の両面に負極活物質合剤層を形成し、次いで、圧縮ローラーを用いて所定厚さに圧縮した。その後、得られた極板を極板の幅方向の一方端に長さ方向全体にわたって一定幅で負極活物質合剤層が両面に形成されていない負極芯体露出部16が形成されるようにスリットし、図3Bに示した構成の負極板12を得た。
【0059】
なお、図3Bにおいて、負極芯体の長さをLn、負極芯体の幅をWn、負極活物質合剤層12aの幅をWan、負極芯体露出部16の幅をWcnとすると、ここでは、Wan=Wn−Wcnとなる。従って、負極板12に形成された負極芯体露出部16の面積は両面で、2×Wcn×Lnであり、2×Wcn×Ln≧700cmとされている。
また、
(2×Wcn×Ln)/(2×Wan×Ln)=Wcn/(Wn−Wcn)
=5〜30%
とされている。すなわち、負極芯体露出部16の面積(両面)は、負極板12の両面に形成された負正極活物質合剤層12aの面積に対して5〜30%となるようにされている。
【0060】
加えて、実施形態の角形の非水電解質二次電池10では、負極芯体露出部16の面積は正極芯体露出部15の面積よりも大きくされている。すなわち、
2×Wcn×Ln > 2×Wcp×Lp
の関係が成り立つようにされている。
【0061】
[非水電解液の調製]
非水電解液としては、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:7の割合で混合した混合溶媒に電解質塩としてLiPFを1mol/Lとなるように添加し、さらにオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としてのLiBOBを0.1mol/Lとなるように添加したものを用いた。なお、添加されたLiBOBは、初期の充電時に負極板の表面で反応して保護被膜を形成する。そのため、実施形態の角形の非水電解質二次電池10内では、非水電解液中に添加されたLiBOBの全てがLiBOBの形で存在しているわけではない。
【0062】
[角形の非水電解質二次電池の作製]
上述のようにして作製された負極板12及び正極板11を、最外面側が負極板12となるようにして、それぞれセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回した後、偏平状に成形して偏平状の巻回電極体14を作製した。この偏平状の巻回電極体14は、正極板11及び負極板12の巻回数がそれぞれ43回、44回となっており、すなわち、正極板11及び負極板12の総積層枚数はそれぞれ86枚、88枚であり、設計容量が20Ahのものである。また、正極芯体露出部15及び負極芯体露出部16の総積層枚数はそれぞれ86枚、88枚である。なお、偏平状の巻回電極体14の負極芯体露出部16の面
積(両面)は700cmであり、同じく正極芯体露出部15の面積(両面)は500cmである。この偏平状の巻回電極体14を用いて、非水電解液が注入されていない角形の非水電解質二次電池を作製した。その後、角形外装体25内を真空脱気した後、上述のようにして作製された非水電解液を封口体23に設けられた電解液注液口26から所定量注液し、電解液注液口26をブラインドリベットにより封止し、図1及び図2に記載した構成を備える実施形態の角形の非水電解質二次電池10を作製した。なお、非水電解液を注液した後、電解液注液口26を封止する前に予備充電を行うことが好ましい。
【0063】
実施形態の角形の非水電解質二次電池10では、LiBOBを含有する非水電解液を用いているため、優れたサイクル特性を有する非水電解質二次電池となる。さらに、偏平状の巻回電極体14の負極芯体露出部16の面積を700cmとし、正極芯体露出部15の面積を500cmとすることで、電極体内部からの放熱性を向上させ、負極板の温度が上昇することを抑制し、LiBOB由来の保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応を抑制することが可能となる。また、負極芯体露出部の面積を正極芯体露出部の面積よりも大きくしていることで、より効率的に負極板の温度が上昇することを抑制し、保護被膜が形成された負極板と非水電解液との間の反応を抑制することが可能となる。
【0064】
なお、上記実施形態の角形の非水電解質二次電池10においては、非水電解液中に添加剤としてLiBOBを添加した例を示したが、本発明においてはオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、他にリチウムジフルオロ(オキサラト)ホウ酸塩、リチウムトリス(オキサラト)リン酸塩、リチウムジフルオロ(ビスオキサラト)リン酸塩、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)リン酸塩等も用いることができる。
【0065】
さらに、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩以外に、例えばLiPFを含有させることもできる。LiPFは、非水電解液中に添加剤として含有させると、充放電時にリチウムと反応して正極板及び負極板の表面に良質な保護被膜を形成し、この保護被膜が充電状態の活物質と有機溶媒との間の直接の反応を抑制するため、非水電解液の分解が抑制され、良好な充電保存特性を有する非水電解質二次電池が得られるようになる。
【0066】
[第1変形例]
第1変形例の負極板12Aは、実施形態の負極板12よりも面積を大きくし、図5に示すように幅方向(短辺方向)の両端にそれぞれ一定幅の負極芯体露出部16、16bを形成したものである。なお、負極芯体露出部16bは負極板12の両面に形成されている。これにより、負極板12Aの負極活物質合剤層12aが形成されている部分の面積を実施形態の負極板12の負極活物質合剤層12aが形成されている部分の面積と同一になるようにしながら、新たに形成された負極芯体露出部16bの部分だけ負極板11の面積を大きくすることができる。なお、正極板11は、図3Aに示した実施形態の正極板11と同一サイズでかつ同一構成のものを使用する。
【0067】
このような構成の負極板12Aを用いれば、負極芯体露出部16bの面積を大きくすることができるので、負極板12の放熱効率が向上する。なお、負極板12Aの新たに形成された負極芯体露出部16bの両面にもセパレータ13が介在されているようにすることが好ましい。
【0068】
[第2変形例]
また、上記の実施形態の非水電解質二次電池10では、複数枚が積層された正極芯体露出部15及び負極芯体露出部16をそれぞれ2分し、その間に正極用導電部材29ないし負極用導電部材31を有する正極用中間部材30ないし負極用中間部材32を配置した例を示した。しかしながら、本発明は複数枚が積層された正極芯体露出部15ないし負極芯
体露出部16を2分しなくてもよい。
【0069】
積層された正極芯体露出部15及び積層された負極芯体露出部16を共に2分割せず、正極用導電部材及び負極用導電部材を使用しない第2変形例の角形の非水電解質二次電池10Aを図6を用いて説明する。なお、図6においては、図2に示した実施形態の角形の非水電解質二次電池10と同一の構成部分には同一の参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。また、第2変形例の偏平状の巻回電極体14における正極芯体露出部15と正極集電体17との抵抗溶接部の構成及び負極芯体露出部16と負極集電体19との抵抗溶接部の構成は、それぞれの形成材料が相違する他は実質的に同様の構成を備えているので、図6Bとして正極芯体露出部15側の側面図を例示し、負極芯体露出部16側の側面図の図示は省略した。
【0070】
この第2変形例の角形の非水電解質二次電池10Aで用いた偏平状の巻回電極体14においては、正極板11及び負極板12のそれぞれについて単位面積当たりの正極活物質合剤層11a及び負極活物質合剤層12aの量を実施形態よりも多くするとともに、正極板11及び負極板12の巻回数をそれぞれ35回、36回とし、すなわち、正極板11及び負極板12の総積層枚数をそれぞれ70枚、72枚とし、設計容量を25Ahとしている。また、正極芯体露出部15及び負極芯体露出部16の総積層枚数はそれぞれ70枚、72枚である。正極板11側では積層された複数枚の正極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体17が配置されており、また、負極板12側では積層された複数枚の負極芯体露出部16の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体19が配置されている。そして、束ねられた正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16の全積層部分にわたって貫通するように溶接痕(図示省略)が形成されるようにそれぞれ2箇所ずつ抵抗溶接を行っている。
【0071】
なお、第2変形例の角形の非水電解質二次電池10Aで用いた偏平状の巻回電極体14では、正極集電体15に形成されているリブ15a及び負極集電体16に形成されているリブ16aとして、一つの、抵抗溶接箇所に跨がって形成されたものを使用している。
【0072】
なお、上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例の角形の非水電解質二次電池においては、正極芯体露出部15と正極集電体17の間、及び負極芯体露出部16と負極集電体19の間をそれぞれ抵抗溶接により接続する例を示したが、超音波溶接やレーザ等の高エネルギー線の照射により接続してもよい。また、正極側と負極側で異なる接続方法を用いることもできる。
【0073】
10、10A…非水電解質二次電池 11…正極板 11a…正極活物質合剤層 12、12A…負極板 12a…負極活物質合剤層 13…セパレータ 14…巻回電極体 15…正極芯体露出部 15a…溶接痕 16、16b…負極芯体露出部 16a…溶接痕 17…正極集電体 17a…リブ 18…正極端子 19…負極集電体 19a…リブ 20…負極端子 21、22…絶縁部材 23…封口体 24…樹脂シート 25…角形外装体 26…電解液注液口 27…電流遮断機構 28…ガス排出弁 29…正極用導電部材 30…正極用中間部材 31…負極用導電部材 32…負極用中間部材 33、34…溶接跡














図1
図2
図3
図4
図5
図6