特許第6215204号(P6215204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215204
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】組電池の処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20171005BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   H01M10/44 P
   H01M10/54
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-526766(P2014-526766)
(86)(22)【出願日】2013年7月24日
(86)【国際出願番号】JP2013004501
(87)【国際公開番号】WO2014017086
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-165122(P2012-165122)
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】西川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】前田 礼造
(72)【発明者】
【氏名】古田 丈晴
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−306394(JP,A)
【文献】 特開2004−355954(JP,A)
【文献】 特開2012−128952(JP,A)
【文献】 特開2012−38521(JP,A)
【文献】 特開2012−33345(JP,A)
【文献】 特開2010−277868(JP,A)
【文献】 特開2010−277737(JP,A)
【文献】 特開2005−347162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48
H01M10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池を直列に接続してなる組電池を放電させる処理方法であって、
組電池を非導電性の第1の流体中に配置した後、該第1の流体の導電性を向上させる導電物質を添加することを特徴とする組電池の処理方法。
【請求項2】
前記組電池を浸漬している前記第1の流体の導電率を次第に高くするように、前記導電物質を添加する請求項1に記載される組電池の処理方法。
【請求項3】
前記組電池を浸漬している前記第1の流体に連続的に導電物質を添加して、該第1の流体の導電率を連続的に高くすることを特徴とする請求項2に記載される組電池の処理方法。
【請求項4】
前記組電池を浸漬している前記第1の流体に、所定の時間経過すると所定量の導電物質を添加して、該第1の流体の導電率を段階的に高くすることを特徴とする請求項1又は2に記載される組電池の処理方法。
【請求項5】
前記第1の流体に水を使用し、前記導電物質に塩化ナトリウムを使用する請求項1から4のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項6】
前記組電池を浸漬してなる第1の流体を攪拌して、前記組電池を放電する請求項1から5のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項7】
前記組電池を浸漬してなる第1の流体に添加する導電物質の添加量を、前記組電池の出力電圧でコントロールする請求項1から6のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項8】
前記組電池を浸漬してなる第1の流体に添加する導電物質の添加量を、前記組電池の定格容量(Ah)でコントロールする請求項1から6のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項9】
前記組電池を浸漬してなる第1の流体の導電率を検出して、前記導電物質の添加量をコントロールする請求項1から8のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項10】
前記導電物質が導電性を有する液体である導電液で、該導電液をポンプでもって前記組電池を浸漬している第1の流体に添加して該第1の流体の導電率をコントロールする請求項1から9のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項11】
前記導電物質が第1の流体に溶解されて第1の流体の導電率を高くする導電性固形物で、該導電性固形物を前記組電池を浸漬してなる第1の流体に添加して、第1の流体の導電率をコントロールする請求項1から9のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項12】
前記組電池が、複数の二次電池を外装ケースに収納して出力端子を外部に設けてなる組電池である請求項1から11のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【請求項13】
前記組電池が、電動車両を走行させる走行用バッテリである請求項1から12のいずれかに記載される組電池の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を直列に接続して出力電圧を高くしている組電池の処理方法に関し、とくに、ハイブリッドカーや電気自動車の走行用バッテリのように高電圧な組電池を安全に処理するのに最適な組電池の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を直列に接続している組電池は、二次電池を直列に接続している個数に比例して出力電圧が高くなるので、これを安全に廃棄するためには、二次電池を放電して出力電圧を低くすることが大切である。廃棄される組電池を放電するために、塩水などの導電性の液体に浸漬して強制的に放電する処理方法が開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−306394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の処理方法は、使用済みのリチウム電池を多数個ポリプロピレン製の篭に入れて、イオン導電性の液体である食塩水を入れた浴中に浸漬して、電池の残存電力を放電させる。また、使用済み電池を、コンベアによって順次搬送しながら自動的に導電性を有する液体に浸漬する。
【0005】
以上の処理方法は、ひとつの電池を食塩水に浸漬して簡単に放電できる。しかしながら、複数の二次電池を直列に接続している組電池を食塩水に浸漬すると、極めて大きな放電電流が流れて発火する等の弊害がある。放電電流が組電池の出力電圧に比例して大きくなるからである。組電池の放電電流は、浸漬する食塩水の導電率を低くして、すなわち塩分濃度を低くして小さくできるが、放電電流を小さくすると、組電池を完全に放電して出力電圧を低下するのに極めて長い時間がかかる欠点がある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、複数の二次電池を直列に接続している組電池を、安全に、しかも速やかに放電させて出力電圧を低下できる組電池の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の組電池の処理方法は、複数の二次電池11を直列に接続してなる組電池10を放電させる処理方法であって、組電池10を非導電性の第1の流体20中に配置した後、第1の流体20の導電性を向上させる導電物質30を第1の流体20に添加する。
なお、本明細書において、「非導電性の第1の流体」とは、組電池を浸漬した状態で、組電池の放電電流を1C以下とする導電性の低い流体を意味するものとする。
【0008】
以上の処理方法は、複数の二次電池を直列に接続している組電池を、安全に、しかも速やかに放電させて出力電圧を低下できる特徴がある。それは、組電池を非導電性の第1の流体に浸漬して、組電池を浸漬している第1の流体に導電物質を添加して第1の流体の導電率を向上して、導電率で組電池の放電電流をコントロールしながら組電池を強制的に放電できるからである。とくに、以上の処理方法は、導電物質の添加量をコントロールして第1の流体の導電率を調整できるので、出力電圧の高い組電池にあっては、導電物質の添加量を少なくして放電電流を小さくし、また出力電圧の低い組電池にあっては、導電物質の添加量を多くして、放電電流を最適値にコントロールして、組電池を速やかに放電できる。さらに、以上の処理方法は、組電池を第1の流体に浸漬する状態で、第1の流体の導電率をコントロールして放電させるので、組電池の出力端子等の高電圧部分を第1の流体に浸漬した状態で、第1の流体の導電率をコントロールして放電できる。このため、高電圧部分が導電率の高い第1の流体に接触して過大な電流が流れたり、あるいは発火するのを確実に防止しながら、出力電圧の高い組電池をも安全に放電できる。また、組電池を浸漬する状態で第1の流体の導電率をコントロールするので、組電池の出力電圧が低くなる状態では、さらに導電物質を添加して、より速やかに組電池を完全に放電できる。
【0009】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬している第1の流体20の導電率を次第に高くするように、導電物質30を添加することができる。
以上の処理方法は、第1の流体に浸漬された組電池が放電されて出力電圧が低下する状態で、添加される導電物質によって第1の流体の導電率を高くして、より速やかに組電池を放電できる。
【0010】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬している第1の流体20に連続的に導電物質30を添加して、導電性第1の流体の導電率を連続的に高くすることができる。
この処理方法は、組電池を浸漬している第1の流体の導電率を連続的に次第に高くするので、放電されて次第に電圧が低下する組電池の放電電流が減少するのを少なくして、組電池をより速やかに放電できる。
【0011】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬している第1の流体20に、所定の時間経過すると所定量の導電物質30を添加して、第1の流体20の導電率を段階的に高くすることができる。
この処理方法は、組電池を浸漬している第1の流体の導電率を段階的に高くするので、放電されて次第に電圧が低下する組電池の放電電流が減少するのを少なくして、組電池をより速やかに放電できる。
【0012】
本発明の組電池の処理方法は、第1の流体20に水を使用し、導電物質30に塩化ナトリウムを使用することができる。
以上の処理方法は、導電物質に安価な塩化ナトリウムを使用するので、処理コストを低減しながら、少量の導電物質を添加して、組電池を速やかに放電できる特徴がある。
【0013】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬してなる第1の流体20を攪拌して、組電池10を放電することができる。
以上の処理方法は、組電池を浸漬する第1の流体の導電率を均一にしながら、より安全に組電池を放電できる。それは、組電池の出力端子の近傍の導電率が局部的に高くなって、放電電流が過大になる弊害を防止できるからである。
【0014】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬してなる第1の流体20に添加する導電物質30の添加量を、組電池10の出力電圧でコントロールすることができる。
以上の処理方法は、低電圧から高電圧までのあらゆる組電池を安全に、しかも速やかに放電できる特徴がある。それは、出力電圧の高い組電池を浸漬する第1の流体には、導電物質の添加量を少なくして、過大な電流で放電される弊害を防止し、また、低電圧の組電池を浸漬する第1の流体には、導電物質の添加量を多くして、速やかに放電できるからである。
【0015】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬してなる第1の流体20に添加する導電物質30の添加量を、組電池10の定格容量(Ah)でコントロールすることができる。
以上の処理方法は、小容量の組電池から大容量の組電池までを、速やかに放電できる特徴がある。それは、小容量の組電池には放電電流を小さくして安全に放電し、大容量の組電池は放電電流を大きくして放電できるからである。
【0016】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を浸漬してなる第1の流体20の導電率を検出して、導電物質30の添加量をコントロールすることができる。
以上の処理方法は、導電物質の添加量を調整して、組電池を浸漬する第1の流体の導電率を理想的な値にコントロールして、組電池を理想的な放電電流で放電できる。
【0017】
本発明の組電池の処理方法は、導電性を有する第1の流体である導電液30Aを導電物質30とし、この導電液30Aをポンプでもって組電池10を浸漬している第1の流体20に添加して第1の流体20の導電率をコントロールすることができる。
以上の処理方法は、塩水などの導電物質を簡単な添加装置で第1の流体に添加して、組電池を浸漬する第1の流体の導電率を好ましい状態にコントロールできる。
【0018】
本発明の組電池の処理方法は、導電物質30を、第1の流体に溶解されて第1の流体の導電率を高くする導電性固形物として、この導電性固形物を、組電池10を浸漬してなる第1の流体20に添加して、第1の流体20の導電率をコントロールすることができる。
以上の処理方法は、導電性固形物を第1の流体に供給する個数や量で、組電池を浸漬している第1の流体の導電率を最適値にコントロールして、組電池を放電できる。
【0019】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を、複数の二次電池11を外装ケース12に収納して出力端子13を外部に設けてなる組電池10とすることができる。
以上の処理方法は、二次電池を外装ケースに収納している組電池をも理想的な状態で放電できる。二次電池を外装ケースに収納して外部に出力端子を露出してなる組電池は、出力端子が導電液に接触する瞬間に、出力端子間に大電流が流れて発火する等の弊害がある。ところが、以上の処理方法は、組電池を第1の流体に浸漬する状態で、第1の流体の導電率を高くするので、出力端子が第1の流体中に浸漬される状態で、第1の流体に導電物質が添加されて導電率が次第に高くなる。このため、出力端子が直接に導電率の高い第1の流体に接触することがなく、出力端子を第1の流体に浸漬する状態で第1の流体の導電率を高くして安全に放電できる。
【0020】
本発明の組電池の処理方法は、組電池10を、電動車両を走行させる走行用バッテリとすることができる。
以上の処理方法は、走行用バッテリのように高電圧の組電池を安全に放電できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態にかかる組電池の処理方法に使用する処理装置の概略構成図である。
図2図1に示す処理装置で処理される組電池の電圧が時間と共に低下する状態を示すグラフである。
図3】本発明の一実施の形態にかかる組電池の処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための組電池の処理方法を例示するものであって、本発明は処理方法を以下の方法には特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
本発明の組電池の処理方法は、複数の二次電池を直列に接続して、出力電圧を高くしている組電池の放電処理に最適である。この種の組電池として、たとえば、ハイブリッドカーや電気自動車などの電動車両を走行させるモータに電力を供給する走行用バッテリ、太陽電池パネルや風力発電などの自然エネルギー、あるいは深夜電力など蓄電する蓄電用バッテリがある。これ等の組電池は、多数の二次電池を直列に接続して出力電圧を高くし、かつ蓄電容量を大きくしている。これ等の組電池は、充放電を繰り返して劣化し、蓄電できる容量が小さくなると廃棄される。また、車両に搭載される組電池においては、車両事故等により、走行用バッテリが破損して使用できなくなると廃棄される。とくに、走行用バッテリの破損状態によっては、走行用バッテリを解体して分解することなく廃棄されることがある。ただ、これらの組電池は、廃棄される状態で、常に完全に放電された状態とは限らない。完全に放電されない組電池は、出力端子やこれに接続しているワイヤーハーネスなどに高電圧が印加されている。したがって、組電池を強制的に放電して、出力電圧を低く、好ましくは0Vまで低下させて完全に放電される状態として安全に廃棄できる。本発明の処理方法は、組電池を強制的に放電させる方法である。
【0024】
図1は、本発明の処理方法に使用する処理装置の概略構成図を示している。この図の処理装置は、組電池10を浸漬して放電させる非導電性の第1の流体20を充填する処理槽1と、この処理槽1に第1の流体20を供給する流体供給機構2と、処理槽1に導電物質30を供給する導電物質供給機構3と、流体供給機構2と導電物質供給機構3を制御する制御機構4とを備えている。なお、ここで言う非導電性の意味は、導電率が略ゼロであることを示し、例えば組電池の正負の電極間(典型的には最高位と最低位の電極間)において通電が起こる事により、電気分解等による不具合が発生しない程度までの範囲の導電性のことをいう。
【0025】
処理槽1は、充填している第1の流体20に処理される組電池10を完全に浸漬できる内容積を有し、底部には、第1の流体20の攪拌装置15を設けている。この図の処理槽1は、底部に多孔性の底板18を設けて、底板18の下方に攪拌装置15の攪拌羽根16を設けている。攪拌装置15は、攪拌羽根16をモータ17で回転して、内部の第1の流体20を攪拌する。さらに、処理槽1は、底部に第1の流体20を排出する排出部1Aを設けて、この排出部1Aに排出弁53を連結して設けている。
【0026】
流体供給機構2は、処理槽1に組電池10を浸漬させる非導電性の第1の流体20を供給する。この第1の流体20には、好ましくは水を使用する。安価で安定しているからである。ただ、第1の流体には、水以外の液体や気体であって、導電物質を添加しない状態で組電池を配置して、組電池の放電電流を1C以下、好ましくは0.1C以下、さらに好ましくは殆ど放電電流を流さない流体、すなわち導電率の小さい流体を使用する。この第1の流体には、例えば、電気抵抗率(Ω・cm)を5000Ω・cm以上とする非導電液や気体が使用できる。非導電液には、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、フッ素系の不活性液体(フロリナート[登録商標])等が使用できる。また、非導電性の気体には、窒素ガスや空気などが使用できる。
【0027】
以下、図1の処理装置は、非導電性の第1の流体20に水を使用する。したがって、図1の処理装置の流体供給機構2は、水道水を蓄える水タンク21と、この水タンク21に蓄える水道水を吸入して処理槽1に供給する水ポンプ22と、この水ポンプ22の出力側に連結している給水弁23とを備える。この流体供給機構2は、水ポンプ22を運転する状態で給水弁23を開いて、水道水を処理槽1に供給する。さらに、図の流体供給機構2は、処理槽1の液面レベルを検出するレベルセンサ24を備えている。制御機構4は、レベルセンサ24で液面レベルを検出して、水ポンプ22の運転と給水弁23の開閉を制御する。すなわち、処理槽1に第1の流体20を供給している状態で、レベルセンサ24が所定の液面レベルまで水が供給されたことを検出すると、水ポンプ22の運転を停止して、給水弁23を閉じる。制御機構4は、必ずしもレベルセンサ24を設けることなく、たとえば、水ポンプ22をあらかじめ設定している時間運転した後、停止して、処理槽1に所定の液面レベルまで水を供給することができる。図1の流体供給機構2は、水タンク21の水道水を水ポンプ22で処理槽1に供給するが、水タンクと水ポンプを設けることなく、水道水の配管に給水弁を連結して、給水弁から処理槽に水道水を供給することもできる。
【0028】
導電物質供給機構3は、組電池10を浸漬している処理槽1の水に導電物質30を添加して、導電率を高くする。これにより、第1の流体の導電性を向上させることができる。図の導電物質供給機構3は、導電物質30を、水に塩化ナトリウムを溶解している導電液30Aの塩水とする。導電液30Aに塩水を使用する方法は、導電物質30を安価にでき、また、組電池10を安全に放電できる。だたし、本発明の処理方法は、導電液を塩水には特定しない。導電液には、たとえば、電気抵抗率を、たとえば2000Ω・cm以下、好ましくは1000Ω・cm以下、さらに好ましくは500Ω・cm以下とする全ての液体、たとえば、炭酸水素ナトリウム水溶液、LLC溶液や希釈したLLC溶液、イオン液体なども使用できる。
【0029】
さらに、本発明の処理方法は、導電物質を、液体である導電液には特定しない。導電物質には、第1の流体に添加する状態で、組電池を強制的に放電できるように、第1の流体の導電率を大きくできる物質、例えば、非導電液の第1の流体に添加されて溶解される固体、あるいは非導電性の気体である第1の流体に噴霧される霧状や粉粒状の流体等とすることもできる。非導電液の第1の流体に溶解されて第1の流体の導電率を高くする固体の導電物質には、塩化ナトリウムや水酸化ナトリウム等の電解質の固形や粉末が使用できる。また、非導電性の気体である第1の流体に噴霧される霧状や粉粒状の流体には、前述の導電液を霧状に噴霧したミストや、金属の微細な粉末を粉粒状に噴霧した流体、あるいは、微細な金属粉と導電液のミストを混合した流体等が使用できる。
【0030】
図1の処理装置は、導電物質30である導電液30Aを塩水としている。この導電物質供給機構3は、導電液30Aを蓄えている導電液タンク31と、この導電液タンク31の導電液30Aを処理槽1に供給する導電液ポンプ32と、この導電液ポンプ32の排出側に連結している導電液30Aの供給弁33とを備えている。導電液ポンプ32の運転と供給弁33の開閉は、制御機構4にコントロールされて、処理槽1の第1の流体20に導電物質30を添加する。
【0031】
導電液タンク31は、塩化ナトリウム濃度を3重量%とする塩水を蓄えている。この塩水の電気抵抗率は約30Ω・cmとなる。導電液タンク31には、たとえば、電気抵抗率を20Ω・cm以上であって、100Ω・cm以下とする塩水を蓄えて、処理槽1の第1の流体20に添加することができる。導電液タンク31の塩水は、電気抵抗率が小さすぎると、言い換えると導電率が大き過ぎると、処理槽1に添加する塩水量が少なくなって拡散に時間がかかって、処理槽1に蓄えられる水の導電率が局部的に大きくなることがある。局部的に導電率が高くなる塩水が、組電池10の出力端子のように高電圧が露出する部分などの近傍にあると、一時的に放電電流が大きくなる。反対に塩水の導電率が小さすぎると、処理槽1の第1の流体20への供給量が多くなって、導電率を速やかに設定値まで高くできなくなる。したがって、導電液タンク31の塩水は、処理槽1の第1の流体20に速やかに拡散でき、かつ速やかに所定の導電率にできるように、前述の範囲に設定される。
【0032】
導電液ポンプ32は、ダイヤフラムポンプなどの定流量ポンプである。定流量ポンプは運転時間を制御して、塩水の供給量を設定値にコントロールできるので、処理槽1の塩化ナトリウム濃度を検出することなく、処理槽1の導電率を正確にコントロールできる。ただ、導電液ポンプには、必ずしも定流量ポンプを使用する必要はない。定流量ポンプでないポンプも、運転時間で供給量をコントロールできるからである。
【0033】
制御機構4は、以下の工程で、流体供給機構2と導電物質供給機構3とをコントロールして、処理槽1に第1の流体20を供給し、また導電物質30を供給する。
【0034】
(1)処理槽1に組電池10をセットする状態で、流体供給機構2を制御して、処理槽1に組電池10を浸漬する液量の水を供給する。流体供給機構2は、放電処理する組電池10をセットした処理槽1に水を供給し、あるいは組電池10をセットする前に処理槽1に所定量の水を供給することもできる。処理槽1にセットされる組電池10は、複数の二次電池11を外装ケース12に収納して出力端子13を外部に設けたもの、あるいは、出力端子13にワイヤーハーネス(図示せず)を接続したものである。
【0035】
この工程において、制御機構4は、給水弁23を開いて水ポンプ22を運転して、水タンク21の水道水を処理槽1に供給する。制御機構4は、レベルセンサ24で水の液面レベルを検出し、処理槽1に組電池10を浸漬する水量が供給されると、水ポンプ22の運転を停止して給水弁23を閉じる。
【0036】
(2)その後、制御機構4は、導電物質供給機構3を制御して、処理槽1に導電物質30を供給する。処理槽1に導電物質30を供給する状態で、制御機構4は攪拌羽根16をモータ17で回転して、処理槽1の第1の流体20を攪拌状態とする。この工程において、制御機構4は、供給弁33を開く状態で、導電液ポンプ32を運転して、導電液タンク31の塩水を処理槽1に供給する。制御機構4は、導電液ポンプ32の運転時間で塩水の供給量をコントロールして、処理槽1の導電率を設定値にコントロールする。たとえば、制御機構4は、処理槽1の水量の1/10の塩水(塩分濃度3重量%)を供給するように、導電液ポンプ32の運転時間を制御して、処理槽1の水の塩化ナトリウム濃度を0.3重量%とする。制御機構4は、処理槽1に添加する導電液30Aの量と、添加する時間とをメモリ40に記憶しており、このメモリ40に記憶するように、導電液30Aの塩水を処理槽1に添加する。
【0037】
以上のように、処理槽1に水道水を入れて組電池10を浸漬する状態で、水道水に塩水を添加して水の導電率を高くして組電池10を放電すると、組電池10は導電率が高く調整された導電性の水に放電されて、時間と共に電圧が低下する。この状態を図2のグラフに示している。出力電圧を数百Vとする組電池10は、この図で示す特性で電圧が低下して、約5時間で出力電圧が1V以下とほぼ完全に放電される。
【0038】
以上の方法は、水道水に塩水を添加して水の導電率を高くして組電池を放電するが、組電池を浸漬している水に、所定の時間毎に複数回に分けて塩水を供給して、水の導電率を次第に高くして組電池を放電することもできる。この方法は、たとえば、制御機構4で導電液ポンプ32を制御して、処理槽1の水量の1/10の塩水を供給して処理槽1の水の塩化ナトリウム濃度を0.3重量%とし、その後10分経過する毎に、同じ水量の塩水を3回添加して、処理槽1の水の塩化ナトリウム濃度を、0.3重量%から、0.5重量%、0.7重量%、0.9重量%と多くして、処理槽1の水の導電率を高くして組電池10を放電する。この方法は、組電池10が放電されて残容量が減少し、電圧が低下し、あるいは内部抵抗が増加するにしたがって、水の導電率を高くして放電電流の減少を少なくできるので、組電池10をより速やかに放電できる。
【0039】
以上のように、処理槽1の第1の流体20の導電率を次第に高くする方法は、速やかに、しかも安全に高電圧の組電池10を完全に放電できる。処理槽1の第1の流体20の導電率を次第に高くする方法は、以上の処理方法のように、所定の時間毎に導電物質30を添加して、段階的に導電率を高くし、あるいは連続的に導電物質30を処理槽1の水に添加して、導電率を連続的に高くすることもできる。連続的に導電物質30を添加する方法は、処理槽1の水に単位時間に添加する塩水、すなわち導電液30Aの流量をコントロールして、処理槽1の水の導電率を次第に大きくする。ただ、本発明の処理方法は、必ずしも以上のように次第に処理槽1の第1の流体20の導電率を高くすることなく、処理槽に一度に導電物質を添加して導電率を高くして放電することもできる。
【0040】
さらに、制御機構4は、処理槽1の第1の流体20に添加する導電物質30の添加量、すなわち、処理槽1の流体の導電率を、組電池10の出力電圧でコントロールすることで、高電圧の組電池10をより安全に、しかも速やかに放電できる。この制御機構4は、組電池10の出力電圧に対して、処理槽1の流体の導電率をコントロールする特性、すなわち、処理槽1に導電物質30を添加する量と時間とをメモリ40に記憶している。この制御機構4は、出力電圧の高い組電池10は、処理槽1の第1の流体20の導電率の上昇を緩やかに上昇させるように制御して、すなわち、導電物質30の添加量を少なくして、組電池10を安全に放電する。ただ、組電池10が放電されて電圧が低下する状態では、導電物質30の添加量を多くして、速やかに放電させる。
【0041】
また、制御機構4は、処理槽1の第1の流体20に添加する導電物質30の添加量、すなわち、処理槽1の流体の導電率を、組電池10の定格容量(Ah)でコントロールして、定格容量(Ah)の大きい組電池10をより安全に、しかも速やかに放電できる。この制御機構4は、組電池10の定格容量(Ah)に対して、処理槽1の流体の導電率をコントロールする特性、すなわち、処理槽1に導電物質30を添加する量と時間とをメモリ40に記憶している。この制御機構4は、定格容量(Ah)の大きい組電池10は、処理槽1の第1の流体20の導電率を上昇させる割合を大きくするように制御して、すなわち、導電物質30の添加量を多くして、定格容量(Ah)の大きい組電池10を速やかに放電する。
【0042】
さらに、制御機構4は、組電池10を浸漬している第1の流体20の導電率、すなわち処理槽1の流体の導電率を検出して、導電物質30の添加量をコントロールすることもできる。この制御機構4は、導電物質30の添加量と時間に対する第1の流体の導電率をメモリ40に記憶しており、メモリ40に記憶されるように、時間が経過するにしたがって、処理槽1の流体の導電率をコントロールする。
【0043】
さらに、制御機構4は、処理槽1の流体の導電率を検出する導電率センサ41を備えることができる。この制御機構4は、組電池10を浸漬してなる第1の流体20の導電率を導電率センサ41で検出しながら、導電物質供給機構3を制御して導電物質30の添加量を調整して、組電池10を浸漬する第1の流体20の導電率をコントロールする。図1の処理槽1は、導電物質30が添加された第1の流体20の導電率を検出する導電率センサ41を備えている。この導電率センサ41は、導電物質30が添加された第1の流体20の電池抵抗から特定される導電率を検出して制御機構4に出力する。制御機構4は、導電率センサ41で検出される導電率が所定の値となるように導電物質供給機構3を制御して、導電物質30が添加された流体の導電率を正確にコントロールすることができる。ただし、導電率センサは、必ずしも導電物質30が添加された流体の電気抵抗から導電率を特定するセンサには限定しない。例えば、導電液を塩水とする場合、塩水が添加された流体の塩水濃度から流体の導電率を特定することもできるからである。したがって、導電率センサには、流体の塩水濃度を検出する濃度センサを使用することもできる。
【0044】
さらに、図1に示す制御機構4は、処理槽1の流体の温度を検出する水温センサ42も備えている。この水温センサ42は、処理槽1の流体の水温を検出して制御機構4に出力する。この処理装置は、組電池10の放電により、処理槽1の流体が異常な温度に上昇すると、このことを水温センサ42を介して速やかに検出できるので、安全性を向上できる。
【0045】
以上の処理装置は、制御機構4で導電物質供給機構3を制御して、処理槽1に導電液30Aの導電物質30を添加する。ただ、本発明の処理方法は、導電物質を必ずしも導電液とする必要はなく、導電物質を、第1の流体に溶解されて第1の流体の導電率を高くする導電性固形物とすることができる。導電性固形物は、たとえば、塩化ナトリウムを圧縮成形し、あるいはバインダーで固形状に成形した錠剤である。導電性固形物は、処理槽1の水に供給する個数で、水の導電率をコントロールできる。導電性固形物は、自動的に供給することができるが、ユーザーが処理槽1に投入して、導電率を調整することもできる。このように、導電性固形物を、処理槽1の水に供給する方法は、処理槽1に供給された導電性固形物が経時的に溶解することにより、処理槽1の第1の流体20の導電率を次第に高くすることができる。
【0046】
また、導電物質30には粉末状の塩化ナトリウムも使用できる。この導電物質30は、所定の重量の塩化ナトリウム粉末を、組電池10を浸漬している処理槽1の水に添加して、水の導電率をコントロールして組電池10を放電させる。このように、粉末状の塩化ナトリウムを処理槽1の水に添加する方法は、導電性固形物に比較して短時間で水に溶解することができるので、処理槽1の第1の流体20の導電率を速やかに高くすることができる。
【0047】
以上の処理方法は、組電池10を導電性の流体中で放電させる状態では、導電物質30が添加された流体が組電池10の放電によって電気分解されて、水素ガスを発生することがある。このとき、発生した水素ガスが、処理槽1を配置してなる処理室9の内部に充満すると、水素爆発を起こす危険性がある。図に示す処理装置は、このような事態を阻止するために、処理室9の内部に水素ガス濃度を検出する水素濃度センサ43を備えている。この水素濃度センサ43は、処理室9の内部における水素濃度を検出して制御機構4に出力する。水素濃度センサ43が検出する水素ガスの濃度が設定値よりも高くなると、制御機構4は、このことをアラームやランプ等の手段で外部に通知してユーザーに知らせる。
【0048】
さらに、図に示す処理装置は、処理室9の内部を換気するために、処理室9の上部に換気装置45を備えている。図の処理室9は、天面9Aを部分的に開口して外部に連結されたダクト44を設けており、このダクト44に換気装置45を配置している。図の換気装置45は、処理室9の内部の気体を外部に強制送風するファン46と、このファン46を回転させるモータ47とを備えている。モータ47は、制御機構4で運転が制御される。換気装置45は、処理室9内の水素濃度が所定の濃度以上に高くなると運転が開始されて、処理室9内の水素ガスを外部に排気し、処理室9内に水素ガスが充満されるのを阻止する。ただ、換気機構は、必ずしも水素濃度が高い場合にのみ運転させることなく、組電池10を放電処理している処理中において運転させることができる。組電池10の放電処理中においては、電気分解等により、水素ガス以外のガスが発生することもある。したがって、組電池10の放電処理中に、換気装置45を運転させることで、これらのガスを処理室9の外部に排気して処理室9内の環境を改善できる。
【0049】
さらに、図に示す処理装置は、処理槽1に浸漬された組電池10の処理状態を外部から観察できるように、監視カメラ48を処理槽1の上方に配置している。図に示す処理装置は、処置室9の天面9Aに監視カメラ48としてCCDカメラを配置している。この処理装置は、処理槽1で処理される組電池10を、処理室9に配置された監視カメラ48で監視できるので、ユーザーは処理室9の内部で監視することなく、監視カメラ48から伝送される映像を別室のモニターで監視して、安全に処理作業できる。
【0050】
以上のようにして、組電池10が完全に放電されると、処理槽1内の流体は、処理槽1の底部に連結した排出弁53を開放して外部に排出される。ただ、放電処理後の流体には、電気分解等の化学反応によって生じた物質が固体や液体の状態で含有され、あるいは発生した気体が流体に溶解された状態で含有されている。したがって、放電処理後の流体は、廃液タンク51に集められた後、廃液処理される。図に示す処理装置は、処理槽1の処理済みの流体を廃棄するために、処理槽1の排出側に廃液機構5を備えている。図の廃液機構5は、処理槽1から排出される廃液50を貯留する廃液タンク51と、処理槽1から排出される廃液50を廃液タンク1に供給する廃液ポンプ52とを備える。この廃液機構5は、排出弁53を開いて処理槽1内の流体を排出する状態で、廃液ポンプ52を運転させて廃液タンク51に供給する。廃液タンク51に集められた廃液50は、所定の廃棄処理が行われる。
【0051】
以上の組電池の処理方法は、図3に示すフローチャートで、以下のようにして組電池を放電処理する。ただし、以下に示す処理方法は、第1の流体を水道水とし、導電物質を導電液である塩水とする例を示している。ここで、図3のフローチャートは、所定の時間毎に塩水を添加して、第1の流体である水道水の導電率を段階的に高くする例を示している。
[n=1のステップ]
処理槽1に組電池10をセットする。
[n=2のステップ]
制御機構4が流体供給機構2を制御して、処理槽1に水を供給する。制御機構4は、給水弁23を開いて、水ポンプ22を運転し、水タンク21の水道水を処理槽1に供給する。
[n=3、4のステップ]
処理槽1に組電池10を浸漬する量の水が供給されたかどうかを判定する。制御機構4は、レベルセンサ24で水の液面レベルを検出し、処理槽1に組電池10を浸漬する量の水が供給されるまで、このステップをループする。処理槽1に組電池10を浸漬する量の水が供給されると、制御機構4は、水ポンプ22の運転を停止して給水弁23を閉じる。
[n=5のステップ]
制御機構4が導電物質供給機構3を制御して、処理槽1に導電液30Aである塩水を供給する。制御機構4は、供給弁33を開く状態で、導電液ポンプ32を運転して、導電液タンク31の塩水を処理槽1に供給する。
[n=6、7のステップ]
制御機構4は、導電液ポンプ32の運転時間で塩水の供給量をコントロールして、処理槽1の導電率を設定値にコントロールする。制御機構4は、タイマー(図示せず)で導電液ポンプ32の運転時間をカウントし、所定量の塩水を処理槽1に供給する。タイマーがカウントアップして所定量の塩水が処理槽1に供給されると、制御機構4は、導電液ポンプ32の運転を停止して供給弁33を閉じる。
[n=8〜10のステップ]
10分が経過した後、処理槽1内の流体の塩水濃度、すなわち、塩水が添加された流体の塩化ナトリウム濃度を検出し、処理槽1内の流体の濃度が所定の濃度になったかどうかを判定する。
処理槽1内の流体の塩水濃度が所定の濃度になるまで、n=6〜9のステップをループして、所定の時間毎に塩水を添加して、段階的に塩水濃度を高くする。
処理槽1内の流体の塩水濃度が所定の濃度になると、n=10のステップに進み、塩水の供給を終了する。
[n=11のステップ]
処理槽1内の流体の温度と処理室9内の水素濃度を検出しながら、組電池10の放電を継続する。
[n=12、13のステップ]
検出された処理槽1内の流体の温度や処理室9内の水素濃度に異常があるかどうかを判定する。流体の温度や水素濃度に異常があると、n=13のステップに進み、異常処理を行う。流体の温度や水素濃度に異常がないと、n=14のステップに進む。
[n=14のステップ]
組電池10の放電が開始されてから所定の時間が経過したかどうかを判定する。所定の時間が経過するまで、n=11、12、14のステップをループして、組電池10の放電を継続する。
[n=15のステップ]
組電池10の放電が開始されてから所定の時間が経過すると、組電池10が十分に放電されたと判定して、組電池10の放電を終了する。
[n=16のステップ]
制御機構4が廃液機構5を制御して、処理槽1内の流体を排出する。制御機構4は、排出弁53を開くと共に、排出ポンプ52を運転して処理槽1内から流体を排出し、排出された流体を廃液50として廃液タンク51に集める。
[n=17のステップ]
流体が排出された処理槽1から、放電処理された組電池10を回収する。
【0052】
さらに、本発明の処理方法は、処理槽に配置された組電池を浸漬する非導電性の第1の流体を気体とし、気体である非導電性の第1の流体に添加する導電物質を、導電性を有する霧状や粉粒状の流体とすることができる。この処理方法は、密閉された処理槽の内部に、非導電性の第1の流体として窒素ガスや空気を充満させて、この気体内に組電池を配置すると共に、第1の流体に添加する導電物質として、塩水の導電液をノズルから霧状に噴霧して、処理槽内の組電池を放電させる。この処理方法は、処理槽内に漂う導電液の微細なミストを媒体として、組電池を放電させる。さらに、この処理方法は、第1の流体に添加する流体を、微細な金属粉、例えば、アルミニウムの微細な粉末からなる粉粒体とし、この粉粒体を処理槽内に噴射して、処理槽内に漂う微細な金属粉の流体を媒体として、組電池を放電させることもできる。さらに、処理方法は、第1の流体に添加する流体を、微細な金属粉の粉粒体と導電液のミストを混合した流体とし、これらの混合流体を処理槽内に噴霧して、組電池を放電させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の組電池の処理方法は、多数の二次電池を積層して出力を高くしてなる組電池を安全かつ速やかに放電させて処理できることから、電動車両の走行用バッテリ、及び自然エネルギーや深夜電力の蓄電用バッテリなどを処理する方法として好適に利用される。
【符号の説明】
【0054】
1…処理槽 1A…排出部
2…流体供給機構
3…導電物質供給機構
4…制御機構
5…廃液機構
9…処理室 9A…天面
10…組電池
11…二次電池
12…外装ケース
13…出力端子
15…攪拌装置
16…攪拌羽根
17…モータ
18…底板
20…第1の流体
21…水タンク
22…水ポンプ
23…給水弁
24…レベルセンサ
30…導電物質 30A…導電液
31…導電液タンク
32…導電液ポンプ
33…供給弁
40…メモリ
41…導電率センサ
42…温度センサ
43…水素濃度センサ
44…ダクト
45…換気装置
46…ファン
47…モータ
48…カメラ
50…廃液
51…廃液タンク
52…排出ポンプ
53…排出弁
図1
図2
図3