特許第6215221号(P6215221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6215221
(24)【登録日】2017年9月29日
(45)【発行日】2017年10月18日
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20171005BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20171005BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20171005BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171005BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20171005BHJP
【FI】
   H02J7/00 Y
   H02J7/00 302C
   H01M10/48 P
   H01M2/10 J
   H01M2/10 S
   B60R16/02 645A
   B60R16/033 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-544262(P2014-544262)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】JP2013006295
(87)【国際公開番号】WO2014068918
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-238301(P2012-238301)
(32)【優先日】2012年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】坂田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大隅 信幸
(72)【発明者】
【氏名】中島 薫
(72)【発明者】
【氏名】常定 昭伸
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−176958(JP,A)
【文献】 特開2012−100438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60R 16/02
B60R 16/033
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の発電機により発電される電力を蓄え、エンジン始動用モータおよび車両内の電装品に給電するための第1蓄電部と、
前記第1蓄電部と並列に接続され、前記発電機により発電される電力を蓄え、車両内の電装品に給電するための第2蓄電部と、
前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間の経路に挿入されるスイッチと、
前記スイッチと並列に、カソード側が前記第2蓄電部側になるよう接続されるダイオードと、
前記経路と前記第2蓄電部との間に設けられる別のスイッチと、
車両内の電装品に給電するための電流路であって、前記スイッチと前記別のスイッチの間に接続されており、かつ、車両内の電装品が前記第1蓄電部に対して前記ダイオードを介して接続されるように構成されている、該電流路と、
前記スイッチ及び前記別のスイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1蓄電部の電圧、および前記第2蓄電部の電圧を監視し、それらの差分電圧と、前記ダイオードの順方向降下電圧を比較して、前記スイッチの異常を検出するとともに、前記経路に挿入されるスイッチの異常を検出すると、前記別のスイッチをオフに制御することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記経路に挿入されるスイッチの異常を検出すると、車両側の制御装置に、前記発電機から本車両用電源装置への電力供給を停止するよう指示することを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置。
【請求項3】
前記第1蓄電部は鉛蓄電池を含み、前記第2蓄電部はニッケル水素蓄電池を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用電源装置。
【請求項4】
前記第2蓄電部は、直列に接続される複数の電池セルを含んでおり、
前記ダイオードは、前記複数の電池セルのうちの一つ分のセル電圧に対応する順方向降下電圧を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるべき車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの車両には鉛蓄電池が搭載されている。この鉛蓄電池から、スタータモータや各種の電装品に電力が供給されている。鉛蓄電池は安価であるが、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池と比較し、サイクル寿命が短いという特性がある。アイドリングストップ機能を有した車両では充放電回数が多くなるため、鉛蓄電池の寿命は特に短くなる。
【0003】
そこで鉛蓄電池と並列に、ニッケル水素蓄電池またはリチウムイオン蓄電池を接続する手法が提案されている。この並列回路において鉛蓄電池と、ニッケル水素蓄電池またはリチウムイオン蓄電池との間にスイッチを設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスイッチは主に、鉛蓄電池からスタータモータに給電する際にオフされて、ニッケル水素蓄電池またはリチウムイオン蓄電池から電装品に供給される電圧を安定化させるために使用される。従って通常時は原則、当該スイッチはオンされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−176958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら通常時にて上述のスイッチが、その制御信号を伝達するための配線の不具合などにより、オフされてしまうことが発生し得る。当該スイッチの不具合が、その制御信号を出力しているコントローラから認識できない場合が発生し得る。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、車両に搭載されるべき並列接続された蓄電部間に挿入されるスイッチの不具合を的確に検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用電源装置は、車両内の発電機により発電される電力を蓄え、エンジン始動用モータおよび車両内の電装品に給電するための第1蓄電部と、前記第1蓄電部と並列に接続され、前記発電機により発電される電力を蓄え、車両内の電装品に給電するための第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間の経路に挿入されるスイッチと、前記スイッチと並列に、カソード側が前記第2蓄電部側になるよう接続されるダイオードと、前記スイッチを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1蓄電部の電圧、および前記第2蓄電部の電圧を監視し、それらの差分電圧と、前記ダイオードの順方向降下電圧を比較して、前記スイッチの異常を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両に搭載されるべき並列接続された蓄電部間に挿入されるスイッチの不具合を的確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る車載用電源装置を説明するための図である。
図2図1の第2蓄電池制御部を説明するための図である。
図3】実施の形態に係る第2蓄電池制御部による第1スイッチの故障判定処理を説明するためのフローチャートである。
図4】変形例に係る車載用電源装置を説明するための図である。
図5】変形例に係る第2蓄電池制御部による第1スイッチの故障判定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る車載用電源装置について説明する。以下の説明では当該車載用電源装置が、アイドリングストップ機能および減速エネルギー回生機能を有する車両に搭載されることを想定する。
【0011】
アイドリングストップ機能は、車両停止時に自動的にエンジンを停止させ、発進時に自動的にエンジンを再始動させる機能である。減速エネルギー回生機能は、燃料によらず慣性によりエンジンが回転している減速時に集中的に発電する機能である。即ち通常走行中はオルタネータの作動をできるだけ抑制させてエンジンの負荷を下げる。いずれの機能も燃費を向上させる効果がある。
【0012】
アイドリングストップ機能が搭載された車両ではエンジンの始動回数が多くなる。エンジンは通常、バッテリ電圧で駆動されるスタータモータにより始動される。従ってエンジンの始動回数が多くなるとバッテリの消費電力が大きくなり、放電回数が多くなる。また減速エネルギー回生機能が搭載された車両では、減速時に集中的に発動されるため、大容量で効率的な充電が可能なバッテリが求められる。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る車載用電源装置100を説明するための図である。当該車載用電源装置100が搭載される車両には、車載用電源装置100に関連する部材として、オルタネータ200、スタータ300、電装品400、ECU(Electronic Control Unit)500が搭載される。
【0014】
オルタネータ200は、図示しないエンジンのクランク軸の回転エネルギーにより発電する。本実施の形態では主に減速中に発電する。オルタネータ200は、発電した電力を車載用電源装置100に供給する。
【0015】
スタータ300はエンジン始動用モータである。スタータ300は車載用電源装置100から供給される電力により回転し、エンジンを始動させる。運転者の操作により図示しないイグニッションスイッチがオンされると、車載用電源装置100からスタータ300に電力が供給され、スタータ300が始動する。
【0016】
電装品400は、ヘッドライト、パワーステアリング、オイルポンプ、カーナビゲーションシステム、オーディオなどの車両内に搭載される各種電気負荷を示す総称である。なお本明細書では説明の便宜上、オルタネータ200、スタータ300、ECU500は電装品400と別に描いている。電装品400は車載用電源装置100から供給される電力により駆動される。
【0017】
ECU500は車両内に搭載される各種の補機、センサ、スイッチに接続され、エンジン及び各種補機を電子制御する。アイドリングストップ機能を実行する場合、ECU500はブレーキ、車速センサ等から入力される信号をもとに車両の停止または設定速度以下への減速を検出するとエンジンを停止させる。またECU500は、ブレーキが解除されたことを検出するとエンジンを再始動させる。その際、車載用電源装置100からスタータ300に電力が供給されるよう制御し、スタータ300を作動させる。
【0018】
減速エネルギー回生機能を実行する場合、ECU500は通常走行時、原則的にオルタネータ200を停止させる。ECU500は、ブレーキ、車速センサ等から入力される信号をもとに車両の減速を検出するとオルタネータ200を作動させる。なお車載用電源装置100内のバッテリの容量が設定下限容量より低い場合は、ECU500は通常走行時でもオルタネータ200を作動させる。
【0019】
車載用電源装置100は、第1蓄電池10、第2蓄電池20、第1蓄電池制御部30、第2蓄電池制御部40、第1スイッチS1、ダイオードD1を含む。第1蓄電池10は、オルタネータ200により発電された電力を蓄え、スタータ300及び電装品400に給電するためのメインバッテリである。第2蓄電池20は、オルタネータ200により発電された電力を蓄え、電装品400に給電するためのサブバッテリである。第1蓄電池10と第2蓄電池20は並列接続される。
【0020】
本実施の形態では第1蓄電池10に鉛蓄電池、第2蓄電池20にニッケル水素蓄電池を用いることを想定する。鉛蓄電池は比較的安価、比較的広い温度範囲で動作可能、高出力などの長所があり、車両用の蓄電池として広く普及している。ただし充放電エネルギー効率が低い、過放電に弱い、サイクル寿命が短いなどの短所がある。ニッケル水素蓄電池は、充放電エネルギー効率が比較的高い、過充電および過放電に強い、使用温度範囲が広い、SOC(State Of Charge)範囲が広い、サイクル寿命が比較的長いなどの長所がある。ただし、自己放電が大きい、メモリ効果がある、低電圧、鉛蓄電池より高価などの短所がある。
【0021】
アイドリングストップ機能を採用する場合、スタータ300の使用回数が増えるため、蓄電池の容量を増大させる必要がある。その際、単純に鉛蓄電池の容量を増大させるのではなく、性質が異なる複数種類の蓄電池を組み合わせて使用することにより、それぞれの蓄電池の短所を補いつつ蓄電池全体の容量を増大させる。
【0022】
本実施の形態では鉛蓄電池とニッケル水素蓄電池を組み合わせて使用する例を説明するが、鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池を組み合わせて使用してもよい。リチウムイオン蓄電池は、エネルギー密度および充放電エネルギー効率が高く、高性能な蓄電池であるが、厳格な電圧・温度管理が必要である。
【0023】
一般的に蓄電池はエンジンルームに設置される。エンジンルームに鉛蓄電池と一体的に設置するには、ニッケル水素蓄電池のほうがリチウムイオン蓄電池より適している。エンジンルームはエンジン作動時に温度が上昇するが、ニッケル水素蓄電池のほうがリチウムイオン蓄電池より高温耐性がある。なお、鉛蓄電池と並列接続されるリチウムイオン蓄電池をエンジンルームから離れた位置に設置することも考えられるが、その場合、配線抵抗による損失が大きくなる。
【0024】
第1スイッチS1は、第1蓄電池10の充放電端子と第2蓄電池20の充放電端子との間の経路P1に挿入される。この経路P1にはオルタネータ200、スタータ300、電装品400も接続され、第1蓄電池10、第2蓄電池20、オルタネータ200、スタータ300、電装品400との間の共通の電流路となる。第1スイッチS1にはリレーまたは半導体スイッチング素子(例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))を用いることができる。本実施の形態ではリレーを用いることを想定する。
【0025】
第1スイッチS1は、エンジンのクランキング時およびアイドリングストップ状態からの再始動時に、上記経路P1の電圧が所定電圧以下に下がらないよう電圧補償するために設けられる。一般的に上述の経路P1は12Vに設計される。電装品400の中には、カーナビゲーションシステムなど10V程度まで電圧が下がると、リセットされてしまうものがある。これに対してスタータ300の作動時、第1スイッチS1をオフすることにより第2蓄電池20の充放電端子の電位が安定し、電装品400に安定した電圧を供給し続けることができる。
【0026】
ダイオードD1は、第1スイッチS1と並列に設けられる。ダイオードD1のカソード側が第2蓄電池20側、アノード側が第1蓄電池10側になる向きに接続される。第1スイッチS1がオフの状態においてダイオードD1を介して、オルタネータ200、スタータ300および第1蓄電池10側から、第2蓄電池20および電装品400側へは電流が流れるが、その逆には電流が流れないことになる。
【0027】
ダイオードD1は、第1スイッチS1の保護用ダイオードとして作用する。オルタネータ200から上記経路P1に第1スイッチS1の定格以上の大電流が流入した際に、第1スイッチS1を保護する。また第1スイッチS1がオフの状態、即ち主に第2蓄電池20から電装品400に電力供給している状態において、第2蓄電池20に不具合が発生した場合に、ダイオードD1は電装品400への電力供給を維持する作用を発揮する。なお第1スイッチS1にMOSFETを用いる場合、ダイオードD1は当該MOSFETの寄生ダイオードであってもよい。
【0028】
第1蓄電池制御部30は第1蓄電池10を管理制御する。具体的には第1蓄電池10の電圧、電流、温度を取得し、第1蓄電池10の残容量および異常発生の有無を監視する。第1蓄電池制御部30は、第1蓄電池10の残容量を第2蓄電池制御部40に通知するとともに、第1蓄電池10の正常または異常をECU500に通知する。第1蓄電池制御部30、第2蓄電池制御部40、ECU500間は例えば、CAN(Controller Area Network)により通信される。
【0029】
第2蓄電池制御部40は第2蓄電池20を管理制御する。以下、第2蓄電池制御部40をより具体的に説明する。
【0030】
図2は、図1の第2蓄電池制御部40を説明するための図である。第2蓄電池制御部40は、キー入力検出回路41、ハイサイドスイッチ42、定電圧生成回路43、電池状態検出回路44、通信インタフェース45、CPU46、メモリ47、スイッチ制御回路48を含む。
【0031】
キー入力検出回路41は、イグニッションキーの抜挿を検出する。キー入力検出回路41は、運転者によりイグニッションキーが挿入されるとハイサイドスイッチ42をオンに制御し、イグニッションキーが抜かれるとハイサイドスイッチ42をオフに制御する。なおキー入力検出回路41は、キーポジションがOFFではハイサイドスイッチ42をオフに維持し、ACC、ONまたはSTARTでハイサイドスイッチ42をオンに制御してもよい。
【0032】
ハイサイドスイッチ42は上記経路P1と、定電圧生成回路43およびスイッチ制御回路48との間に設けられる。ハイサイドスイッチ42はオンに制御されると、上記経路P1の電圧を定電圧生成回路43およびスイッチ制御回路48に供給する。
【0033】
定電圧生成回路43はCPU46およびスイッチ制御回路48の電源電圧を生成する。例えば、上記経路P1の12V電圧を3〜5V程度の電圧に降圧する。定電圧生成回路43には例えば三端子レギュレータを用いることができる。
【0034】
このようにイグニッションキーが差し込まれることによりCPU46に電源が供給され、第2蓄電池制御部40は起動する。
【0035】
電池状態検出回路44は、第2蓄電池20の電圧、電流、温度を取得する。第2蓄電池20には図示しないシャント抵抗が設けられ、当該シャント抵抗の両端電圧を監視することにより第2蓄電池20に流れる電流を検出できる。また第2蓄電池20には図示しないサーミスタが設けられ、第2蓄電池20の温度を検出できる。電池状態検出回路44は、第2蓄電池20の電圧、電流、温度をCPU46に通知する。
【0036】
通信インタフェース45は第2蓄電池制御部40と、他の制御回路(本実施の形態では第1蓄電池制御部30、ECU500)と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース45は外部から受信した情報をCPU46に伝達するとともに、CPU46から出力された情報を外部に伝達する。
【0037】
本実施の形態では通信インタフェース45は、第1蓄電池制御部30から第1蓄電池10の状態(例えば、第1蓄電池10の残容量としてのSOC(State Of Charge)を受信する。またECU500から車両の状態情報を受信する。
【0038】
また通信インタフェース45は、第2蓄電池20または第2蓄電池制御部40の異常検出をECU500に送信する。また第2蓄電池20の状態情報(例えば、電圧、電流、温度)をECU500に送信する。また第1スイッチS1のオン/オフ情報をECU500に送信する。またオルタネータ200による発電要求をECU500に送信する。
【0039】
CPU46は第2蓄電池制御部40全体を制御する。特に第1スイッチS1のオン/オフ制御、第2蓄電池20の状態管理などを行う。メモリ47は、CPU46により実行される制御プログラムおよびCPU46により生成されるデータを保持する。
【0040】
スイッチ制御回路48は、CPU46による指示にしたがい第1スイッチS1のオン/オフを切り換える。第1スイッチS1がリレーの場合はリレーコイルへの通電/非通電を制御し、半導体スイッチング素子の場合はゲート電圧を制御する。
【0041】
第1スイッチS1がリレーの場合、オープン故障する場合がある。また第1スイッチS1が半導体スイッチング素子の場合も動作不良により、規定のゲート電圧が印加されても電流が流れなくなる場合がある。またスイッチ制御回路48の故障、スイッチ制御回路48と第1スイッチS1との間の断線などにより、CPU46による第1スイッチS1の制御が不能になる場合もある。
【0042】
第1スイッチS1が意図せずにオフ状態になっても、上記経路P1には第2蓄電池20が接続されているため電装品400への電力供給が維持される。第1スイッチS1が故障しても直ぐに電装品400または第2蓄電池20に不具合が発生するわけではないため、第1スイッチS1の故障検出が遅れてしまう可能性がある。その故障を放置していると第2蓄電池20が過放電状態になりやすくなる。またオルタネータ200または第1蓄電池10から電装品400に供給される電力の効率が、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfにより低下する。
【0043】
そこで本実施の形態では第1蓄電池10の充放電端子と第2蓄電池20の充放電端子が、第1スイッチS1がオフ状態でもダイオードD1で接続されていることに注目し、ダイオードD1の両端電圧を監視することにより、第1スイッチS1が正常であるか異常であるかを判定する。
【0044】
図3は、実施の形態に係る第2蓄電池制御部40による第1スイッチS1の故障判定処理を説明するためのフローチャートである。この故障判定処理では第1スイッチS1をオンに制御するための信号が、第2蓄電池制御部40から第1スイッチS1に供給されている状態を前提とする。
【0045】
第2蓄電池制御部40は、第1蓄電池制御部30から第1蓄電池10の電圧V1を取得する(S10)。また第2蓄電池20の電圧V2を取得する。第2蓄電池制御部40は、その差分電圧(V1−V2)とダイオードD1の順方向降下電圧Vfを比較する(S14)。第1スイッチS1のオン抵抗は無視できる程度であるため第1スイッチS1がオン状態では、当該差分電圧(V1−V2)は略ゼロになる。一方、第1スイッチS1がオフ状態では、当該差分電圧(V1−V2)は順方向降下電圧Vfに略一致する。
【0046】
ステップS14にて当該差分電圧(V1−V2)と順方向降下電圧Vfが略一致する場合(S14のY)、第2蓄電池制御部40は第1スイッチS1を正常と判定する(S16)。当該差分電圧(V1−V2)と順方向降下電圧Vfが略一致しない場合(S14のN)、第2蓄電池制御部40は第1スイッチS1またはその制御系に異常ありと判定し(S18)、その異常をECU500に通知する(S20)。ECU500は当該通知を受信すると、オルタネータ200の停止制御、運転者へのアラート通知などを行う。
【0047】
上述の故障判定処理は基本的に、第2蓄電池制御部40の起動時に実行される。なお第2蓄電池制御部40の起動後においても定期的に実行されてもよい。
【0048】
上述の故障判定処理ではダイオードD1のアノード側の端子電圧として、第1蓄電池10の電圧を使用した。この点、オルタネータ200の作動時においてはオルタネータ200の設定出力電圧値、オルタネータ200の後段にDC−DCコンバータが設けられる場合は当該DC−DCコンバータの設定出力電圧値をそのまま用いてもよい。
【0049】
図2に戻る。本実施の形態では第2蓄電池20は複数の蓄電池セルが直列接続されて構成される。この一つの蓄電池セルの電圧と、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfが対応または略一致するように設計するとよい。例えば、第2蓄電池20の直列段数を12段にし、一つの蓄電池セルの電圧を約1Vに設定し、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfも約1Vに設定する。
【0050】
この場合において第2蓄電池20の一つの蓄電池セルが短絡すると、第2蓄電池20の電圧が約12Vから約11Vに低下し、第2蓄電池20が過充電される可能性が高くなる。第2蓄電池制御部40は、車両走行中に第2蓄電池20の一つの蓄電池セルの短絡を検出すると、その第2蓄電池20の故障をECU500に通知するとともに、第1スイッチS1をオフに制御する。これによりオルタネータ200または第1蓄電池10からの電圧が、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfの分、降下されて第2蓄電池20および電装品400に供給される。従って第2蓄電池20の過充電を抑制しつつ、電装品400への給電を維持できる。よって、カーディーラー店などの修理場まで第2蓄電池20および電装品400を保護しつつ自走で移動できる。
【0051】
以上説明したように本実施の形態によれば、並列接続された第1蓄電池10と第2蓄電池20間に挿入される第1スイッチS1の不具合を、第1スイッチS1に並列接続されるダイオードD1の順方向降下電圧Vfを利用することにより的確に検出できる。即ち、ダイオードD1のアノード側の第1蓄電池10の電圧と、カソード側の第2蓄電池20の電圧の差分と、ダイオードD1の順方向降下電圧Vfを比較することにより、第1スイッチS1がオン状態にあるかオフ状態にあるかを的確に検出できる。また第1蓄電池10および第2蓄電池20の電圧検出回路を転用できるため、別の電圧検出ラインを新たに設ける必要がない。従ってコストの増大なく第1スイッチS1の故障判定を行うことができる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。こられ実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
図4は、変形例に係る車載用電源装置100を説明するための図である。変形例に係る車載用電源装置100は、図1の車載用電源装置100に第2スイッチS2が追加された構成である。第2スイッチS2は、上記経路P1における第1スイッチS1と電装品400との間のノードと、第2蓄電池20との間に設けられる。第2スイッチS2にもリレーまたは半導体スイッチング素子を用いることができる。本変形例ではリレーを用いることを想定する。
【0054】
第2スイッチS2は第2蓄電池20の過充電および過放電を防止するために設けられる。また駐車時にオフすることにより、第2蓄電池20から暗電流が流れることを防止する作用も有する。ニッケル水素蓄電池またはリチウムイオン蓄電池は、鉛蓄電池より内部抵抗が低く電流が流れやすいため、過充電または過放電になりやすい。
【0055】
CPU46は第2スイッチS2のオン/オフ制御をする。スイッチ制御回路48は、CPU46による指示にしたがい第2スイッチS2のオン/オフを切り換える。
【0056】
図5は、変形例に係る第2蓄電池制御部40による第1スイッチS1の故障判定処理を説明するためのフローチャートである。図5のフローチャートは図3のフローチャートにステップS19の処理が追加されたものである。この故障判定処理では第1スイッチS1をオンに制御するための信号が、第2蓄電池制御部40から第1スイッチS1に供給されており、第2スイッチS2がオン状態であることを前提とする。
【0057】
第2蓄電池制御部40は第1スイッチS1またはその制御系に異常ありと判定すると(S18)、変形例では第2スイッチS2をオフに制御するとともに(S19)、その異常をECU500に通知する(S20)。ECU500は当該通知を受信すると、オルタネータ200の停止制御、運転者へのアラート通知などを行う。変形例によれば第2スイッチS2をオフすることにより、第1スイッチS1が交換または修理されるまでに、第2蓄電池20が過放電することを抑制できる。
【0058】
また上述の実施の形態では第1蓄電池10と第2蓄電池20をそれぞれ第1蓄電池制御部30と第2蓄電池制御部40の二つの制御回路で管理制御する例を説明したが、第1蓄電池10と第2蓄電池20を一つの制御回路で管理制御してもよい。
【0059】
また上述の実施の形態では第1蓄電池10と並列にニッケル水素蓄電池を用いる例を説明したが、ニッケル水素蓄電池の代わりにキャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ)を用いてもよい。
【0060】
上述の経路P1と第2蓄電池20との間にヒューズを挿入してもよい。この場合、大電流から第2蓄電池20を保護することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 車載用電源装置、 200 オルタネータ、 300 スタータ、 400 電装品、 500 ECU、 10 第1蓄電池、 20 第2蓄電池、 30 第1蓄電池制御部、 40 第2蓄電池制御部、 S1 第1スイッチ、 S2 第2スイッチ、 D1 ダイオード、 41 キー入力検出回路、 42 ハイサイドスイッチ、 43 定電圧生成回路、 44 電池状態検出回路、 45 通信インタフェース、 46 CPU、 47 メモリ、 48 スイッチ制御回路。
図1
図2
図3
図4
図5