(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、曇点が68℃以下の非イオン性界面活性剤を使用するエポキシ化天然ゴムの製造方法である。
【0014】
従来の製造方法では、曇点が高い非イオン性界面活性剤を使用しており、エポキシ化処理後の中和反応の反応熱ではエポキシ化天然ゴムラテックスが凝固しないため、水蒸気やメタノールで凝固させることが必要であった。これに対し、本発明では、曇点が68℃以下の非イオン性界面活性剤を使用することで、エポキシ化処理後の中和反応の反応熱でエポキシ化天然ゴムラテックスを凝固させることが可能となるため、水蒸気やメタノールで凝固させていた従来の製造方法と比較して、生産性の改善及びコストダウンを実現できる。
【0015】
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤の曇点は68℃以下であればよいが、エポキシ化天然ゴムラテックスの凝固が容易であるという点から、65℃以下であることが好ましい。曇点の下限は特に限定されないが、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
なお、本明細書において、曇点とは、測定の対象となる非イオン界面活性剤の濃度が2質量%となるようにイオン交換水で調製した水溶液を、1℃/分の割合で昇温したときに、該水溶液が濁りだす温度をいう。
【0016】
非イオン性界面活性剤としては、酸化エチレン付加型の非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。酸化エチレン付加型の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールなどが挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましい。
【0017】
非イオン性界面活性剤の添加量は、エポキシ化処理前に天然ゴムラテックスが凝固することを防止できる量であれば特に限定されないが、天然ゴムラテックス中のゴム成分100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましく、1〜2.5質量部であることがより好ましい。界面活性剤を少量にすることは、その後の洗浄でもメリットとなる。
【0018】
(天然ゴムラテックス)
天然ゴムラテックスはヘベア樹などの天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックスなど)などを使用できる。なお、天然ゴムラテックス中のゴム成分(固形ゴム分)は、好ましくは5〜67質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
【0019】
(エポキシ化反応)
非イオン性界面活性剤を添加して安定化した天然ゴムラテックスに、エポキシ化液を添加することにより、エポキシ化反応を行う。エポキシ化液としては特に限定されないが、過酢酸、過ギ酸などの有機過酸が好適である。
【0020】
有機過酸は、酸無水物と過酸化水素とを反応させることによって調製することができる。酸無水物としては、有機酸無水物が好ましく、例えば、下記式で示される有機酸無水物を好適に使用できる。これにより、低温かつ短時間で有機過酸を合成できる。
RCOOCOR
(式中、Rは、同一若しくは異なって、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)
【0021】
置換基を有してもよい炭化水素基Rとしては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられる。該炭化水素基Rの炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2である。置換基としては、任意の炭化水素基、ハロゲン基などが挙げられる。
【0022】
酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸無水物;無水安息香酸、無水フタル酸などの芳香族カルボン酸無水物;などが挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
【0023】
過酸化水素としては特に限定されず、市販の過酸化水素水溶液などを使用できる。該過酸化水素水溶液の濃度は特に限定されないが、反応安定性の点から、20質量%以下が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。10質量%未満であると、反応効率が低下するおそれがある。
【0024】
酸無水物と過酸化水素とを反応させる方法としては、両成分を接触させ、反応可能な方法であれば特に限定されず、例えば、酸無水物と過酸化水素とを同時に混合して有機過酸を調製する方法、酸無水物を過酸化水素に滴下して有機過酸を調製する方法などにより実施できる。具体的には、無水酢酸などの酸無水物と過酸化水素水とを混合し、又は過酸化水素水に酸無水物を滴下し、反応を進行させることで過酢酸などの有機過酸を調製できる。このような方法によれば、低温かつ短時間で有機過酸を合成できる。
【0025】
過酸化水素は、酸無水物1モルに対し0.05〜5モル添加することが好ましく、安全性及び効率を考慮すれば、0.1〜2モルがより好ましい。0.05モル未満であると、酸無水物の転化率が著しく低下するおそれがあり、経済的ではない。また、5モルを超えると、過酸化水素の転化率が著しく低下するおそれがあり、経済的ではない。
【0026】
酸無水物と過酸化水素との反応熱によって酸無水物と過酸化水素との反応が低温で進行するため、反応温度の制御は特段必要ではないが、下限温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。下限より低温であると、平衡に達するまでの時間が長くなりすぎるおそれがあり、上限より高温であると、過酸化水素や生成する過酢酸が分解するおそれがある。また、反応時間は反応が進行すれば特に限定されないが、好ましくは5分〜5時間、より好ましくは10分〜1時間である。
【0027】
なお、このように前記反応は速やかに進行するため、酸無水物と過酸化水素とを反応させて有機過酸を調製する際には、酸(硫酸などの無機酸など)などの反応触媒の添加することは特段必要ではなく、酸無水物1モルに対して、好ましくは0.01モル以下、より好ましくは0.001モル以下であり、添加しなくてもよい。
【0028】
エポキシ化の反応温度は、エポキシ化が進行すれば特に限定されないが、好ましくは5〜70℃、より好ましくは20〜60℃である。また、エポキシ化の反応時間も反応が進行すれば特に限定されないが、好ましくは1〜120分、より好ましくは10〜60分である。
【0029】
本発明において、製造するエポキシ化天然ゴムのエポキシ化度は特に限定されず、所望の割合に調整可能であるが、材料コスト、排水処理、ゴム中の残存成分処理、ロスが大きくなるなどの観点から、エポキシ化度は、好ましくは0.5〜12.0モル%、より好ましくは0.5〜10.0モル%である。本発明は、このような低エポキシ化天然ゴムの製造に好適である。
【0030】
(中和反応)
エポキシ化反応終了後、得られたエポキシ化天然ゴムラテックスにアルカリを添加し、中和反応を行う。中和反応では、エポキシ化天然ゴムラテックスのpHを4〜6とすることが好ましい。この中和反応の反応熱でエポキシ化天然ゴムラテックスを凝固させ、固形ゴムを得る。
【0031】
アルカリとしては特に限定されず、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。
【0032】
(洗浄・乾燥)
中和反応で得られた固形ゴムを必要に応じて洗浄、乾燥させることにより、本発明のエポキシ化天然ゴムが得られる。洗浄方法としては、固形ゴムを水中で浸漬してアルカリを除去する方法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、通常のTSRの乾燥用ドライヤーを使用することができ、また、ベルトコンベヤーにゴムを乗せて熱風により乾燥させることも可能である。更に一般的ではないが、マイクロ波による加熱や真空乾燥も可能である。
【0033】
(エポキシ化天然ゴム)
本発明の製造方法により得られたエポキシ化天然ゴムは、特にタイヤの材料として有用である。
天然ゴムのエポキシ化により、天然ゴムのガラス転移点が上昇し、具体的には、エポキシ化度が1%上昇すると、ガラス転移点も約1度上昇する。エポキシ化度が高い場合、ガラス転移点が大きく上昇するため、湿潤時の摩擦係数が上昇し、雨天時の制動距離が短くなる。その一方で、転がり抵抗が高くなり、燃費が悪くなる傾向があり、また、低温時には固くなって、例えば冬用タイヤには適さなくなる傾向がある。一方、エポキシ化度が低い場合には、低温での弾性率が小さくなり、冬用タイヤなどに好適に使用可能となる。また、エポキシ化することによりゴムの極性が上昇し、充填剤として用いられるシリカとの親和性が高くなり、燃費が向上する。本発明では、エポキシ化度が上述したような小さい場合であっても、シリカとの親和性は充分であり、ガラス転移点を低くできるので、冬用タイヤなどに好適に使用可能となる。
【0034】
本発明のエポキシ化天然ゴムを含むタイヤ用ゴム組成物としては、該エポキシ化天然ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含むものが挙げられる。
【0035】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の前述のエポキシ化天然ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。5質量%未満であると、シリカ配合において充分なシリカ分散性が得られないおそれがある。
【0036】
前記ゴム組成物は、前記エポキシ化天然ゴム以外のゴム成分を含んでもよく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。なお、本発明のエポキシ化天然ゴムとBRとを含むゴム組成物の場合、例えば、ゴム成分100質量%中のエポキシ化天然ゴムの含有量は5〜90質量%、好ましくは10〜50質量%であり、BRの含有量は10〜95質量%、好ましくは50〜90質量%である。
【0037】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、好ましくは50m
2/g以上、より好ましくは70m
2/g以上である。また、該窒素吸着比比表面積は、125m
2/g以下、好ましくは115m
2/g以下、より好ましくは45m
2/g以下である。上記範囲のカーボンブラックを使用することで、ゴム強度などの物性を確保できる。
なお、カーボンブラックのN
2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0038】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、低燃費性、ゴム強度などの物性を確保できる。
【0039】
前記ゴム組成物は、白色充填剤として、シリカを含むことが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、80m
2/g以上、好ましくは100m
2/g以上、より好ましくは120m
2/g以上である。また、シリカのN
2SAは、好ましくは250m
2/g以下、より好ましくは200m
2/g以下である。上記範囲のシリカを使用することで、低燃費性、ゴム強度などの物性を確保できる。
なお、シリカのN
2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
【0040】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、低燃費性、ゴム強度などの物性を確保できる。
【0041】
本発明のゴム組成物には、上記の材料以外にも、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などのタイヤ工業において一般的に用いられている各種材料が適宜配合されていてもよい。
【0042】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドなどに好適に使用できる。
【0043】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧して製造できる。
【実施例】
【0044】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴムラテックス:野村貿易(株)のHytex(高アンモニアタイプ、天然ゴムラテックス)
界面活性剤1:花王(株)製のエマルゲン409PV(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、曇点:55℃)
界面活性剤2:花王(株)製のエマルゲン1108(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、曇点:66℃)
界面活性剤3:花王(株)製のエマルゲン709(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、曇点:56℃)
界面活性剤4:花王(株)製のエマルゲン220(ポリオキシエチレンセチルエーテル、曇点:98℃)
界面活性剤5:花王(株)製のエマルゲン430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、曇点:>100℃)
無水酢酸:和光純薬工業(株)製(試薬1級、有効成分93%)
過酸化水素水:和光純薬工業(株)製(有効成分35%)
アンモニア:和光純薬工業(株)製(試薬1級、有効成分25%)
【0045】
BR:宇部興産(株)製BR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N
2SA:111m
2/g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3
シランカップリング剤:Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:パームオイルオレイン
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の第2種酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸 つばき
ステアリン酸カルシウム:日油(株)製のカルシウムステアレートGF−200
硫黄:5%オイル入り硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0046】
〔評価〕
実施例において、作製した生ゴム、加硫ゴムシートの物性は、以下の方法で評価し、結果を表1に示した。なお、加硫ゴムシートについては、以下の方法で作製した。
(加硫ゴムシートの作製)
表1に示す配合処方に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で6分間プレス加硫して加硫ゴムシートを得た。
【0047】
(エポキシ化度の測定)
得られたエポキシ化天然ゴムをロールで1分間混練した後、数カ所サンプリングし、トルエンに溶解させ、これをメタノール中で再沈殿させ、乾燥させたもの(精製品)をサンプルとして使用した。測定は日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの
1H−NMR装置を用いて行った。
エポキシ化度(モル%)は、下式により計算した。
エポキシ化度(モル%)=B/(A+B)×100
(式中Aは、シスのプロトンに由来するピーク(5.0−5.2ppm)の積分値、式中Bは、エポキシ基のプロトンに由来するピーク(2.6−2.8ppm)の積分値を表す。)
【0048】
(ゴム強度)
得られた加硫ゴムシートを用いて、3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、その積(TB×EB)を算出した。下記計算式により、比較例1のゴム強度(TB×EB)を100として、下記計算式により指数表示した。なお、指数が大きいほど、ゴム強度に優れることを示す。
(ゴム強度指数)=(各配合のTB×EB)/(比較例1のTB×EB)×100
【0049】
(シリカ分散)
得られた加硫ゴムシートを用いて、カーボンブラックの分散度測定法ASTM D2663−B法に準じて、シリカの分散度を測定した。数値が大きいほど分散がよく、100%が最高である。結果を下記に従い、記号で表した。
◎ 分散度≧97.5%
○ 97.5%>分散度≧95%
△ 95%>分散度≧92%
× 92%>分散度
【0050】
<実施例及び比較例>
(
参考例1)
35%過酸化水素97.5gと水97.5gを混合し、無水酢酸102gを入れ、反応温度が20〜30℃になるように氷水で調整しながらマグネチックスターラーで約30分攪拌して、過酢酸を作製した。次に、天然ゴムラテックス480g(固形ゴム分60%)に界面活性剤1(曇点55℃のポリオキシエチレンオレイルエーテル)2phr(固形ゴム分100質量部に対して2質量部)と水を入れ、固形分が30%になるように調整した。次に、プロペラ攪拌装置で10分間攪拌した後、過酢酸をゆっくり添加し、プロペラ攪拌装置で10分間攪拌して反応させた(エポキシ化反応)。その後、アンモニアを添加してpH5になるように調整し(中和反応)、中和反応の反応熱を利用して凝固させ、得られた固形ゴムを水絞りロールでシート状にした。得られたゴムシートを1晩水に浸漬し、再度水洗後、恒量になるまで乾燥し、エポキシ化天然ゴムを作製した。
【0051】
(実施例2)
界面活性剤1を界面活性剤2(曇点66℃のポリオキシエチレンアルキルエーテル)に変更した以外は
参考例1と同様の方法でエポキシ化天然ゴムを作製した。
【0052】
(
参考例3)
界面活性剤1を界面活性剤3(曇点56℃のポリオキシエチレンアルキルエーテル)に変更した以外は
参考例1と同様の方法でエポキシ化天然ゴムを作製した。
【0053】
(比較例1)
35%過酸化水素97.5gと水97.5gを混合し、無水酢酸102gを入れ、反応温度が20〜30℃になるように氷水で調整しながらマグネチックスターラーで約30分攪拌して、過酢酸を作製した。次に、天然ゴムラテックス480g(固形ゴム分60%)に界面活性剤4(曇点98℃のポリオキシエチレンセチルエーテル)2phr(固形ゴム分100質量部に対して2質量部)と水を入れて固形分が30%になるように調整した。次に、プロペラ攪拌装置で10分間攪拌した後、過酢酸をゆっくり添加し、プロペラ攪拌装置で10分間攪拌して反応させた(エポキシ化反応)。その後、アンモニアを添加してpH5になるように調整した(中和反応)。中和反応の反応熱では凝固できなかったため、水蒸気で凝固させ、得られた固形ゴムを水絞りロールでシート状にした。得られたゴムシートを1晩水に浸漬し、再度水洗後、恒量になるまで乾燥し、エポキシ化天然ゴムを作製した。
【0054】
(比較例2)
界面活性剤4を界面活性剤5(曇点>100℃のポリオキシエチレンオレイルエーテル)に変更した以外は比較例1と同様の方法でエポキシ化天然ゴムを作製した。
【0055】
【表1】
【0056】
曇点が68℃以下の非イオン性界面活性剤を用いた実施例では、中和反応の反応熱でエポキシ化天然ゴムラテックスを凝固させることができた。また、実施例で得られたエポキシ化天然ゴムを用いたゴム組成物は、比較例と同等のシリカ分散、ゴム強度を有することも確認できた。