(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚をそれぞれ半減させる請求項2に記載の画像形成装置。
前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層が重なり合う範囲では、前記媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の両方の層厚の合計を、前記範囲外の媒体の表面及び裏面に形成される遮蔽層の層厚に等しくする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略構成図である。
【0013】
図において、10は画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタ、ファクシミリ機及び複写機の機能を併せ持つ複合機(MFP:Multi Function Printer)等であって、インクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式等の各種の画像形成方式を利用して、印刷用紙等の媒体36に画像を形成することが可能な装置であれば、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置10がいわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタである場合について説明する。
【0014】
そして、画像形成装置10内には、ホワイト(W)、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)及びシアン(C)の5色に各々対応する現像部49W、49K、49Y、49M及び49Cが媒体36の搬送路に沿って、搬送方向(図における左方向)に順次並ぶように配列されている。なお、本実施の形態において、W、K、Y、M及びCは、ホワイト(W)、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応するものであることを意味する。そして、現像部49W、49K、49Y、49M及び49Cを統合的に説明する場合には、現像部49として説明する。
【0015】
また、現像部49W、49K、49Y、49M及び49Cの各々は、各色に対応する画像形成材料であるトナーとしての現像剤47W、47K、47Y、47M及び47Cを収容する現像剤収容器48W、48K、48Y、48M及び48Cを備える。そして、現像剤47W、47K、47Y、47M及び47C、並びに、現像剤収容器48W、48K、48Y、48M及び48Cを統合的に説明する場合には、現像剤47及び現像剤収容器48として説明する。
【0016】
なお、各現像部49の構成は同一であり、現像剤収容器48に収容される現像剤47の色が異なる点のみで相違する。そして、各現像部49は、像担持体としての回転可能な回転部材である感光体ドラム42と、該感光体ドラム42の表面を帯電させるための帯電装置としての帯電ローラ43と、印刷画像に応じて明滅するLED(Light Emitting Diode)からの光を照射して感光体ドラム42の表面に静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド41と、現像剤47を感光体ドラム42に付着させて静電潜像を現像するための現像剤担持体としての回転可能な回転部材である現像ローラ38と、該現像ローラ38に現像剤47を供給するための回転可能な回転部材である現像剤供給ローラ37とを備える。
【0017】
本実施の形態においては、白色すなわちホワイト(W)の現像剤47Wを、媒体36の表面又は裏面に遮蔽オブジェクトとしての後述される遮蔽層52を形成するための遮蔽剤として使用する。したがって、ホワイト(W)に対応する現像部49Wは、媒体36の表面又は裏面に後述される画像オブジェクト51の下地としての遮蔽層52を形成する遮蔽層形成部として機能し、その他の現像部49K、49Y、49M及び49Cは、媒体36の表面又は裏面に通常の画像である画像オブジェクト51を形成する画像形成部として機能する。
【0018】
画像形成装置10内には、媒体36を搬送方向の下流に搬送するベルトユニットが配設されている。該ベルトユニットは、図示されないモータによって駆動される駆動ローラにより駆動される転写ベルト33と、各現像部49の感光体ドラム42に対向して設けられた転写ローラ34とを備える。媒体36が転写ベルト33によって搬送されて各現像部49の感光体ドラム42と転写ベルト33との間の転写部を通過することにより、感光体ドラム42表面の現像剤像が媒体36に転写される。
【0019】
また、前記ベルトユニットの搬送方向上流側には、図示されない媒体供給部から供給された媒体36を給紙する給紙ローラ対35が配設されている。一方、前記ベルトユニットの搬送方向下流側には、媒体36に転写された現像剤像を加熱及び加圧することで媒体36に定着させるための定着器31と、該定着器31によって現像剤像が定着された媒体36を画像形成装置10の外部に排出するための排紙ローラ対32とが配設されている。
【0020】
画像形成装置10が印刷を行う場合、まず、図示されない媒体供給部から供給された媒体36は、給紙ローラ対35によって転写ベルト33に搬送される。そして、媒体36は転写ベルト33に載って下流側に搬送される。
【0021】
一方、各現像部49においては、感光体ドラム42上に現像剤像が形成される。そして、感光体ドラム42上に形成された現像剤像は、転写ベルト33に載って通過する媒体36上に、対向する転写ローラ34によって転写させられる。
【0022】
本実施の形態においては、遮蔽剤付着部としてのホワイト(W)の現像部49Wで形成された現像剤像、ブラック(K)の現像部49Kで形成された現像剤像、イエロー(Y)の現像部49Yで形成された現像剤像、マゼンタ(M)の現像部49Mで形成された現像剤像、及び、シアン(C)の現像部49Cで形成された現像剤像が、媒体36上に順次転写される。このような順で現像剤像が媒体36上に転写されることによって、有色現像剤である現像剤47K、47Y、47M及び47Cがホワイト(W)の現像剤47Wの上に重ねられるので、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wで形成された遮蔽層52が裏抜けの発生を防止することができる。
【0023】
そして、各現像部49において形成された現像剤像が転写された媒体36は、定着器31を通過する。該定着器31において、媒体36が加熱された定着ローラと加圧ローラとの間を通過することによって、現像剤像は、加熱溶着されて媒体36に定着する。そして、現像剤像が定着した媒体36は、排紙ローラ対32によって画像形成装置10の外部に排出される。
【0024】
次に、前記画像形成装置10を含む画像データ処理システムの機能構成について説明する。
【0025】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施の形態における画像データ処理システムは画像形成装置10とホスト装置11とを有し、前記画像形成装置10は、図示されないネットワーク、USB(Universal Serial Bus)回線等の通信回線を介して、上位装置としてのホスト装置11と通信可能に接続されている。該ホスト装置11は、印刷データを作成して画像形成装置10に送信することができる装置であれば、いかなる種類の装置であってもよく、例えば、サーバ、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、ゲーム機、携帯電話機等であってもよいが、ここでは、例えば、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるパーソナルコンピュータであるものとして説明する。
【0027】
そして、前記ホスト装置11は、印刷データを作成するためのアプリケーションソフトウェアが作動することによって機能を発揮する機能部としてのアプリケーション部12と、カラー電子写真式プリンタである画像形成装置10の動作を制御するソフトウェアであるプリンタドライバが作動することによって機能を発揮する機能部としてのプリンタドライバ部13とを備える。
【0028】
該プリンタドライバ部13は、図形処理部13aと、文字処理部13bと、写真処理部13cと、処理選択部13dと、送信部13eと、遮蔽オブジェクト処理部としての上位遮蔽オブジェクト処理部13fとを有する。
【0029】
そして、前記図形処理部13aは、アプリケーション部12から受信した画像データに基づき図形データの編集及びカラーマッチングを行って図形オブジェクトを生成し、該図形オブジェクトを送信部13eに出力するとともに、前記図形オブジェクトの印刷範囲を上位遮蔽オブジェクト処理部13fに出力する。
【0030】
また、前記文字処理部13bは、アプリケーション部12から受信した画像データに基づき文字データの編集及びカラーマッチングを行って文字オブジェクトを生成し、該文字オブジェクトを送信部13eに出力するとともに、前記文字オブジェクトの印刷範囲を上位遮蔽オブジェクト処理部13fに出力する。
【0031】
さらに、前記写真処理部13cは、アプリケーション部12から受信した画像データに基づき写真データの編集及びカラーマッチングを行って写真オブジェクトを生成し、該写真オブジェクトを送信部13eに出力するとともに、前記写真オブジェクトの印刷範囲を上位遮蔽オブジェクト処理部13fに出力する。
【0032】
さらに、前記処理選択部13dは、ユーザ操作による選択肢「遮蔽オブジェクト処理を行わない」、「遮蔽オブジェクト処理をホスト装置側で行う」、及び、「遮蔽オブジェクト処理を画像形成装置側で行う」を受け付け、該当する選択肢に関する情報を送信部13eから画像形成装置10に送信させる。
【0033】
なお、前記上位遮蔽オブジェクト処理部13fは、遮蔽剤印刷範囲判定処理部としての上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13gと、遮蔽剤層厚調整処理部としての上位遮蔽剤層厚調整処理部13hとを有する。そして、前記上位遮蔽オブジェクト処理部13fが処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理をホスト装置側で行う」との選択肢を受信すると、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13gは、図形処理部13a、文字処理部13b及び写真処理部13cから受信した印刷範囲に基づき、遮蔽層52の形成範囲、すなわち、遮蔽剤の印刷範囲を判定し、該印刷範囲を座標範囲として表現し、遮蔽オブジェクトを作成する。なお、本実施の形態において、遮蔽剤の印刷範囲は、媒体36の表面又は裏面における印刷可能範囲の全面である。
【0034】
また、前記上位遮蔽剤層厚調整処理部13hは、図形処理部13a、文字処理部13b及び写真処理部13cから受信した印刷範囲に基づき片面印刷モードか両面印刷モードかを判断して遮蔽層52の層厚を調整し、その印刷情報を遮蔽オブジェクトに含める。
【0035】
そして、上位遮蔽オブジェクト処理部13fは、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13g及び上位遮蔽剤層厚調整処理部13hによって生成された遮蔽オブジェクトを送信部13eに送信する。
【0036】
該送信部13eは、処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理を行わない」に関する情報を受信すると、図形処理部13aから受信した図形オブジェクト、文字処理部13bから受信した文字オブジェクト、及び、写真処理部13cから受信した写真オブジェクトを印刷データに変換し、画像形成装置10に送信する。
【0037】
また、前記送信部13eは、処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理をホスト装置側で行う」に関する情報を受信すると、図形処理部13aから受信した図形オブジェクト、文字処理部13bから受信した文字オブジェクト、写真処理部13cから受信した写真オブジェクト、及び、上位遮蔽オブジェクト処理部13fから受信した遮蔽オブジェクトを印刷データに変換し、画像形成装置10に送信する。
【0038】
さらに、前記送信部13eは、処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理を画像形成装置側で行う」に関する情報を受信すると、図形処理部13aから受信した図形オブジェクト、文字処理部13bから受信した文字オブジェクト、及び、写真処理部13cから受信した写真オブジェクトを印刷データに変換するとともに、「遮蔽層判断処理要」の情報を付加して画像形成装置10に送信する。
【0039】
また、画像形成装置10は、現像部49、定着器31、転写ベルト33等を含む画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部であって、演算手段、記憶手段等を含む図示されない制御部を有する。該制御部は、機能の観点から、I/F(Inter Face)接続部14、受信処理部15、編集処理部16、ディスプレイリスト部17、展開処理部18、ラスタバッファ部21、印刷処理部22及びオペレーションパネル処理部24を備える。
【0040】
なお、前記編集処理部16は、図形オブジェクト処理部16aと、文字オブジェクト処理部16bと、写真オブジェクト処理部16cと、遮蔽オブジェクト処理部16dとを有する。そして、該遮蔽オブジェクト処理部16dは、遮蔽剤印刷範囲判定処理部23、及び、遮蔽剤層厚調整処理部25を有する。
【0041】
前記I/F接続部14は、通信回線を介して、ホスト装置11と通信可能に接続されている。そして、前記受信処理部15は、前記ホスト装置11から送信された各種データ及び各種コマンドを含む印刷データを、前記I/F接続部14を介して、受信する。
【0042】
また、前記編集処理部16は、前記受信処理部15が受信した印刷データのデコードを行い、コマンドとデータとに区別する。
【0043】
そして、前記図形オブジェクト処理部16aは、受信処理部15から受信した画像データに基づき、図形オブジェクトデータの編集及びカラーマッチングを行い、中間コードに変換するとともに、図形オブジェクトの印刷範囲を遮蔽オブジェクト処理部16dに出力する。
【0044】
また、前記文字オブジェクト処理部16bは、受信処理部15から受信した画像データに基づき、フォントの選択等を実行し、文字オブジェクトデータの編集及びカラーマッチングを行い、中間コードに変換するとともに、文字オブジェクトの印刷範囲を遮蔽オブジェクト処理部16dに出力する。
【0045】
さらに、前記写真オブジェクト処理部16cは、受信処理部15から受信した画像データに基づき、写真オブジェクトデータの編集及びカラーマッチングを行い、中間コードに変換するとともに、写真オブジェクトの印刷範囲を遮蔽オブジェクト処理部16dに出力する。
【0046】
該遮蔽オブジェクト処理部16dは、受信処理部15から受信した画像データ、又は、図形オブジェクト処理部16aの処理結果、文字オブジェクト処理部16bの処理結果、及び、写真オブジェクト処理部16cの処理結果に基づき、遮蔽オブジェクトに関する中間コードを生成し、ディスプレイリスト部17に格納する。
【0047】
また、前記遮蔽剤印刷範囲判定処理部23は、図形オブジェクト処理部16a、文字オブジェクト処理部16b及び写真オブジェクト処理部16cから受信した印刷範囲に基づき、遮蔽層52の形成範囲、すなわち、遮蔽剤の印刷範囲を判定し、該印刷範囲を座標範囲として表現し、遮蔽オブジェクトを作成する。なお、本実施の形態において、遮蔽剤の印刷範囲は、媒体36の表面又は裏面における印刷可能範囲の全面である。
【0048】
さらに、前記遮蔽剤層厚調整処理部25は、受信処理部15が受信した印刷データに含まれる命令情報、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって設定された情報に基づいて、片面印刷モードか両面印刷モードかを判断し、遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52の層厚を調整し、その印刷情報を出力する。
【0049】
ここで、オブジェクトとは、媒体36に形成される図形、文字、写真等の画像オブジェクト51、及び、遮蔽オブジェクト等であって、現像剤47による画像形成の対象である。
【0050】
そして、前記編集処理部16は、デコードされた印刷データの印刷位置の決定、フォントの選択等を実行し、前記印刷データを中間コードに変換してディスプレイリスト部17に格納する。
【0051】
なお、前記遮蔽剤印刷範囲判定処理部23は、受信処理部15が受信した印刷データに「遮蔽層判断処理要」の情報が付加されていた場合、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって「遮蔽層判断処理要」に関する設定が成されていた場合、各オブジェクトの範囲に基づいて遮蔽層52の形成範囲、すなわち、遮蔽剤の印刷範囲を判定し、該印刷範囲を座標範囲として記憶する。なお、本実施の形態において、遮蔽剤の印刷範囲は、媒体36の表面又は裏面における印刷可能範囲の全面である。また、前記遮蔽剤層厚調整処理部25は、受信処理部15が受信した印刷データに含まれる命令情報、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって設定された情報に基づいて、片面印刷モードか両面印刷モードかを判断し、遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52の層厚を調整し、その印刷情報をディスプレイリスト部17に格納する。
【0052】
また、前記遮蔽剤印刷範囲判定処理部23は、受信処理部15が受信した印刷データに「遮蔽層判断処理不要」に関する情報が付加されている場合、又は、「遮蔽層判断処理要」に関する情報が付加されていない場合であってオペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって「遮蔽層判断処理要」に関する設定が成されていない場合、印刷データに遮蔽層52の印刷情報が含まれていれば、該印刷情報をディスプレイリスト部17に格納し、新たに遮蔽層を設けることは行わない。
【0053】
そして、前記展開処理部18は、ディスプレイリスト部17に格納されている中間コードに変換された印刷データ等の情報に基づいてフォントデータの読み出しを行い、実際に印刷可能なラスタデータ(ビットマップイメージ)に変換し、ラスタバッファ部21に格納する。
【0054】
また、前記印刷処理部22は、ラスタバッファ部21に格納されているラスタデータに変換された印刷データを実際に印刷するために、画像オブジェクト51を形成する画像形成部としての現像部49K、49Y、49M及び49Cの動作を制御する。さらに、前記印刷処理部22は、遮蔽層52を形成する遮蔽層形成部としての現像部49Wの動作を制御する。
【0055】
なお、前記オペレーションパネル処理部24は、画像形成装置10の本体に装着されている図示されないオペレーションパネルの制御を行う。該オペレーションパネルは、例えば、画像形成装置10の状態をLEDパネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示装置に表示する。また、画像形成装置10のオペレーションパネルが備えるスイッチを操作することによって、画像形成装置10の動作を選択したり、メニュー設定を行ったりすることができる。
【0056】
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、遮蔽層52の層厚を調整する動作について説明する。
【0057】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトを形成した媒体の模式断面図である。なお、図において、(a)は片面印刷の状態を示す図、(b)は両面印刷の状態を示す図、(c)は遮蔽層の層厚を調整した両面印刷の状態を示す図である。
【0058】
媒体36の表面のみに画像を形成するいわゆる片面印刷の場合、本実施の形態においては、前述のように、ホワイト(W)の現像部49Wで形成された現像剤像、ブラック(K)の現像部49Kで形成された現像剤像、イエロー(Y)の現像部49Yで形成された現像剤像、マゼンタ(M)の現像部49Mで形成された現像剤像、及び、シアン(C)の現像部49Cで形成された現像剤像が、媒体36上に順次転写されるので、
図3(a)に示されるように、遮蔽剤としての現像剤47Wで形成された遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52の上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成されたオブジェクトとしての画像オブジェクト51が形成される。なお、前記遮蔽層52は、画像オブジェクト51の下地であって層厚が100〔%〕であり、媒体36の表面に現像剤47Wを塗り潰(つぶ)すことによって形成されている。これにより、画像オブジェクト51の裏抜けの発生が防止される。
【0059】
また、媒体36の表面及び裏面に画像を形成するいわゆる両面印刷の場合、媒体36の表面及び裏面のそれぞれに片面印刷と同様の画像形成を行うと、
図3(b)に示されるように、現像剤47Wで形成された表面遮蔽層52aの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された表面画像オブジェクト51aが形成され、かつ、現像剤47Wで形成された裏面遮蔽層52bの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された裏面画像オブジェクト51bが形成される。なお、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52b、並びに、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bを統合的に説明する場合には、遮蔽層52及び画像オブジェクト51として説明する。また、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bは、いずれも、層厚が100〔%〕であり、媒体36の表面及び裏面に現像剤47Wを塗り潰すことによって形成されている。
【0060】
図3(b)に示される例では、媒体36の表面及び裏面に現像剤47Wを塗り潰すことによって表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bが形成されているので、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生が防止される。しかしながら、裏抜けの発生防止のためには層厚が100〔%〕の遮蔽層52で十分であるにも拘わらず、表面画像オブジェクト51aの裏側には層厚が100〔%〕の表面遮蔽層52aと層厚が100〔%〕の裏面遮蔽層52bとが存在し、裏面画像オブジェクト51bの裏側には層厚が100〔%〕の裏面遮蔽層52bと層厚が100〔%〕の表面遮蔽層52aとが存在している。つまり、表面遮蔽層52aと裏面遮蔽層52bとが全範囲で重なり合って、合計した層厚が200〔%〕の遮蔽層52が形成されているので、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wが不必要に多量に使われている、と言える。
【0061】
そこで、本実施の形態においては、媒体36の表面及び裏面に画像を形成するいわゆる両面印刷の場合、全範囲で重なり合う遮蔽層52の合計した層厚が100〔%〕となるように、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚を、それぞれ、50〔%〕にしている。具体的には、
図3(c)に示されるように、媒体36の表面に、現像剤47Wを塗り潰すことによって層厚が50〔%〕の表面遮蔽層52aが形成され、該表面遮蔽層52aの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された表面画像オブジェクト51aが形成され、かつ、媒体36の裏面に、現像剤47Wを塗り潰すことによって層厚が50〔%〕の裏面遮蔽層52bが形成され、該裏面遮蔽層52bの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された裏面画像オブジェクト51bが形成される。これにより、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wの消費量を抑制することができる。
【0062】
次に、遮蔽剤層厚調整処理部25の動作について説明する。
【0063】
図4は本発明の第1の実施の形態における遮蔽剤層厚調整処理部の動作を示すフローチャートである。
【0064】
まず、遮蔽剤層厚調整処理部25は、画像形成装置10が両面印刷モードであるか否か、すなわち、画像形成装置10の行う印刷が両面印刷であるか否かを判断する。
【0065】
そして、片面印刷モードの場合、すなわち、両面印刷でない場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、遮蔽剤を100〔%〕の層厚にセットする。つまり、媒体36の表面に現像剤47Wを塗り潰すことによって遮蔽層52の層厚が100〔%〕になるように層厚情報をセットする。
【0066】
また、両面印刷である場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、遮蔽剤を50〔%〕の層厚にセットする。つまり、媒体36の表面及び裏面に現像剤47Wを塗り潰すことによって表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚が、それぞれ、50〔%〕になるように層厚情報をセットする。
【0067】
続いて、遮蔽剤層厚調整処理部25は、セットした層厚情報に基づいて遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52を作成し、遮蔽剤層厚調整処理を終了する。なお、作成された遮蔽層52のデータは、ディスプレイリスト部17に印刷データとして格納される。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 両面印刷モードであるか否かを判断する。片面印刷モードの場合はステップS2に進み、両面印刷モードの場合はステップS3に進む。
ステップS2 遮蔽剤を100〔%〕の層厚にセットする。
ステップS3 遮蔽剤を50〔%〕の層厚にセットする。
ステップS4 遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52を作成し、遮蔽剤層厚調整処理を終了する。
【0069】
このように、本実施の形態においては、両面印刷の場合、全範囲で重なり合う表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚が、それぞれ、50〔%〕になるように媒体36の表面及び裏面に遮蔽剤としての現像剤47Wを塗り潰し、合計した層厚を100〔%〕とする。これにより、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。
【0070】
なお、本実施の形態においては、遮蔽層52の層厚を調整する動作を、
図3及び4を参照しつつ、画像形成装置10が行う動作として、具体的には、遮蔽剤印刷範囲判定処理部23及び遮蔽剤層厚調整処理部25を有する編集処理部16の遮蔽オブジェクト処理部16dが行う動作として説明したが、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13g及び上位遮蔽剤層厚調整処理部13hを有するホスト装置11のプリンタドライバ部13の上位遮蔽オブジェクト処理部13fが、同様の動作を行うこともできる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0072】
図5は本発明の第2の実施の形態における画像データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0073】
図に示されるように、本実施の形態において、プリンタドライバ部13の上位遮蔽オブジェクト処理部13fは、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13g及び上位遮蔽剤層厚調整処理部13hに加えて、遮蔽剤重なり範囲判定処理部としての上位遮蔽剤重なり範囲判定処理部13iを含んでいる。なお、本実施の形態における上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13gは、遮蔽剤の印刷範囲、すなわち、遮蔽層52の形成範囲を、印刷可能範囲の全面とせず、媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲のみとする。具体的には、遮蔽層52の形成範囲は、画像オブジェクト51の形成範囲よりも広く、対応する画像オブジェクト51の形成範囲のすべてが含まれる遮蔽オブジェクトを形成する。
【0074】
また、編集処理部16の遮蔽オブジェクト処理部16dは、遮蔽剤印刷範囲判定処理部23及び遮蔽剤層厚調整処理部25に加えて、遮蔽剤重なり範囲判定処理部26を含んでいる。なお、本実施の形態における遮蔽剤印刷範囲判定処理部23は、遮蔽剤の印刷範囲、すなわち、遮蔽層52の形成範囲を、印刷可能範囲の全面とせず、媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲のみとする。具体的には、遮蔽層52の形成範囲は、画像オブジェクト51の形成範囲よりも広く、対応する画像オブジェクト51の形成範囲のすべてが含まれるように形成される。
【0075】
そして、前記上位遮蔽剤重なり範囲判定処理部13iは、処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理をホスト装置側で行う」との選択肢を受信すると、アプリケーション部12から受信した画像データに含まれる命令情報、又は、処理選択部13dによって設定された情報に基づいて、片面印刷モードか両面印刷モードかを判断し、両面印刷モードである場合、表面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52aの形成範囲と、裏面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bの形成範囲とが重なり合う範囲である後述される遮蔽オブジェクト重なり範囲55を判断する。
【0076】
また、前記遮蔽剤重なり範囲判定処理部26は、受信処理部15が受信した印刷データに「遮蔽層判断処理要」の情報が付加されていた場合、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって「遮蔽層判断処理要」に関する設定がなされていた場合、受信処理部15が受信した印刷データに含まれる命令情報、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって設定された情報に基づいて、片面印刷モードか両面印刷モードかを判断し、両面印刷モードである場合、表面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52aの形成範囲と、裏面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bの形成範囲とが重なり合う範囲である後述される遮蔽オブジェクト重なり範囲55を判断する。
【0077】
そして、前記遮蔽剤層厚調整処理部25は、前記遮蔽オブジェクト重なり範囲55における遮蔽層52の層厚を調整し、その印刷情報をディスプレイリスト部17に格納する。
【0078】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、遮蔽層52の層厚を調整する動作について説明する。
【0080】
図6は本発明の第2の実施の形態における媒体の両面の画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトの形成範囲の位置関係を説明する図、
図7は本発明の第2の実施の形態における画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトを形成した媒体の模式断面図である。なお、
図6において、(a)は表面を示す図、(b)は裏面を示す図、(c)は面の画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトの重なりを示す図であり、
図7において、(a)は両面の遮蔽層の層厚が100〔%〕である状態を示す図、(b)は両面の遮蔽層の層厚を調整した状態を示す図、(c)は遮蔽オブジェクト重なり範囲の裏面遮蔽層を削除した状態を示す図である。
【0081】
前記第1の実施の形態においては、媒体36の表面及び裏面における印刷可能範囲の全面に遮蔽層52が形成されているのに対して、本実施の形態においては、
図6(a)及び(b)に示されるように、媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲にのみ遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52が形成されるようになっている。具体的には、遮蔽層52の形成範囲は、画像オブジェクト51の形成範囲より広く、対応する画像オブジェクト51の形成範囲のすべてが含まれるように形成されている。
【0082】
そして、
図6(a)に示されるように、媒体36の表面には、現像剤47Wを塗り潰すことによって表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52aが形成され、該表面遮蔽層52aの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された表面画像オブジェクト51aが形成されている。また、
図6(b)に示されるように、媒体36の裏面には、現像剤47Wを塗り潰すことによって裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bが形成され、該裏面遮蔽層52bの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された裏面画像オブジェクト51bが形成されている。
【0083】
なお、媒体36の表面における表面画像オブジェクト51a及び表面遮蔽層52aの位置と、媒体36の裏面における裏面画像オブジェクト51b及び裏面遮蔽層52bの位置とが対応していない。そのため、
図6(c)に示されるように、媒体36の裏面を透視した状態では、表面画像オブジェクト51a及び表面遮蔽層52aの形成範囲と、裏面画像オブジェクト51b及び裏面遮蔽層52bの形成範囲とは、一部分が重なり合い、その他の部分が重なり合っていない、すなわち、ずれている。
【0084】
図7には、
図6(c)におけるA−A’線に沿った媒体36の断面が示されている。
【0085】
図7(a)に示される例では、表面遮蔽層52aの層厚が100〔%〕であり、かつ、裏面遮蔽層52bの層厚が100〔%〕である。そのため、表面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52aの形成範囲と、裏面の遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bの形成範囲とが重なっている遮蔽オブジェクト重なり範囲55では、合計した層厚が200〔%〕の遮蔽層52が形成されているので、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wが不必要に多量に使われている、と言える。
【0086】
図7(b)に示される例では、遮蔽オブジェクト重なり範囲55での合計した層厚が100〔%〕となるように、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚を、それぞれ、50〔%〕にしている。
図7(b)における52a(50〔%〕部)及び52b(50〔%〕部)は、層厚を50〔%〕にした表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bを示している。なお、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応しない範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚は、100〔%〕である。
図7(b)における52a(100〔%〕部)及び52b(100〔%〕部)は、層厚を100〔%〕にした表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bを示している。これにより、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wの消費量を抑制することができる。
【0087】
図7(c)に示される例では、遮蔽オブジェクト重なり範囲55での合計した層厚が100〔%〕となるように、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの一方の層厚を100〔%〕にし、他方の層厚を0〔%〕にしている。具体的には、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52aの層厚を100〔%〕にし、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の裏面遮蔽層52bの層厚を0〔%〕にしている。すなわち、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲には裏面遮蔽層52bを削除している。なお、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応しない範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚は、100〔%〕である。これにより、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wの消費量を抑制することができる。
【0088】
次に、遮蔽剤層厚調整処理部25の動作について説明する。
【0089】
図8は本発明の第2の実施の形態における遮蔽剤層厚調整処理部の動作を示すフローチャートである。
【0090】
まず、遮蔽剤層厚調整処理部25は、遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得する。具体的には、ディスプレイリスト部17から、遮蔽オブジェクトであって、遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトを取得する。
【0091】
続いて、遮蔽剤層厚調整処理部25は、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断する。具体的には、遮蔽剤重なり範囲判定処理部26の判断に基づいて、遮蔽オブジェクト重なり範囲55があるか否かを判断する。
【0092】
そして、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分、すなわち、遮蔽オブジェクト重なり範囲55がある場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、取得済みの遮蔽オブジェクトを削除する。具体的には、取得した形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトをディスプレイリスト部17から削除する。
【0093】
続いて、遮蔽剤層厚調整処理部25は、反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っていない範囲の遮蔽オブジェクトを層厚100〔%〕で新たに作成する。具体的には、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応しない範囲の表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bを、層厚を100〔%〕として、新たに作成し、ディスプレイリスト部17に格納する。
【0094】
続いて、遮蔽剤層厚調整処理部25は、反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っている範囲の遮蔽オブジェクトを層厚50〔%〕で新たに作成する。具体的には、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽オブジェクトとしての表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽オブジェクトとしての裏面遮蔽層52bを、層厚を50〔%〕として、新たに作成し、ディスプレイリスト部17に格納する。
【0095】
続いて、遮蔽剤層厚調整処理部25は、全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。具体的には、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っていないか否かを判断する。
【0096】
なお、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断して重なる部分がない場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、直ちに、全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。
【0097】
そして、全遮蔽オブジェクトの調整が終了していない場合、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っている場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得し、以降の動作を繰り返す。
【0098】
また、全遮蔽オブジェクトの調整が終了している場合、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っていない場合、遮蔽剤層厚調整処理部25は、遮蔽剤層厚調整処理を終了する。
【0099】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得する。
ステップS12 反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断する。重なる部分がある場合はステップS13に進み、重なる部分がない場合はステップS16に進む。
ステップS13 取得済みの遮蔽オブジェクトを削除する。
ステップS14 反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っていない範囲の遮蔽オブジェクトを層厚100〔%〕で新たに作成する。
ステップS15 反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っている範囲の遮蔽オブジェクトを層厚50〔%〕で新たに作成する。
ステップS16 全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。全遮蔽オブジェクトの調整が終了している場合は遮蔽剤層厚調整処理を終了し、全遮蔽剤オブジェクトの調整が終了していない場合はステップS11に戻る。
【0100】
ここでは、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚を、それぞれ、50〔%〕にする場合について説明したが、
図7(c)に示される例のように、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの一方の層厚を100〔%〕にし、他方の層厚を0〔%〕にしてもよい。すなわち、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの一方を削除してもよい。換言すると、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの合計した層厚が100〔%〕になればよい。そうであるから、例えば、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの一方の層厚を70〔%〕にし、他方の層厚を30〔%〕にしてもよいし、一方の層厚を90〔%〕にし、他方の層厚を10〔%〕にしてもよい。
【0101】
さらに、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの合計した層厚が、必ずしも、100〔%〕にならなくてもよい。例えば、媒体36が裏抜けの発生しにくい材料から成るものである場合には、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚を、それぞれ、30〔%〕とし、合計した層厚が60〔%〕となるようにしてもよい。また、例えば、媒体36が裏抜けの発生しやすい材料から成るものである場合には、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bの層厚を、それぞれ、70〔%〕とし、合計した層厚が140〔%〕となるようにしてもよい。
【0102】
このように、本実施の形態においては、媒体36の表面及び裏面における印刷可能範囲の全面に遮蔽層52を形成するのではなく、媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲にのみ遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52を形成するので、画像オブジェクト51の裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。
【0103】
また、媒体36の表面及び裏面における遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52の形成範囲が重なり合う部分である遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲では、表面及び裏面における遮蔽層52の合計した層厚が、遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応しない範囲での遮蔽層52の層厚と等しくなるように形成するので、画像オブジェクト51の裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。
【0104】
なお、本実施の形態においては、遮蔽層52の層厚を調整する動作を、
図6〜8を参照しつつ、画像形成装置10が行う動作として、具体的には、遮蔽剤印刷範囲判定処理部23、遮蔽剤層厚調整処理部25及び遮蔽剤重なり範囲判定処理部26を有する編集処理部16の遮蔽オブジェクト処理部16dが行う動作として説明したが、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13g、上位遮蔽剤層厚調整処理部13h及び上位遮蔽剤重なり範囲判定処理部13iを有するホスト装置11のプリンタドライバ部13の上位遮蔽オブジェクト処理部13fが、同様の動作を行うこともできる。
【0105】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0106】
図9は本発明の第3の実施の形態における画像データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0107】
図に示されるように、本実施の形態において、プリンタドライバ部13は、上位遮蔽剤層厚調整処理部13hに代えて、遮蔽剤層厚削除調整処理部としての上位遮蔽剤層厚削除調整処理部13jを含んでいる。なお、本実施の形態における上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13gは、遮蔽剤の印刷範囲、すなわち、遮蔽層52の形成範囲を媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲と一致させる。具体的には、遮蔽層52の形成範囲は、画像オブジェクト51の形成範囲と実質的に同一となるように形成される。
【0108】
また、編集処理部16は、遮蔽剤層厚調整処理部25に代えて、遮蔽剤層厚削除調整処理部27を含んでいる。なお、本実施の形態における遮蔽剤印刷範囲判定処理部23は、遮蔽剤の印刷範囲、すなわち、遮蔽層52の形成範囲を媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲と一致させる。具体的には、遮蔽層52の形成範囲は、画像オブジェクト51の形成範囲と実質的に同一となるように形成される。
【0109】
そして、前記上位遮蔽剤層厚削除調整処理部13jは、処理選択部13dから「遮蔽オブジェクト処理をホスト装置側で行う」との選択肢を受けると、上位遮蔽剤重なり範囲判定処理部13iが判断した遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bを削除し、その印刷情報をディスプレイリスト部17に格納する。本実施の形態においては、遮蔽層52の形成範囲と画像オブジェクト51の形成範囲とは実質的に同一であるから、前記遮蔽オブジェクト重なり範囲55は、表面画像オブジェクト51aの形成範囲と裏面画像オブジェクト51bの形成範囲とが重なり合う範囲である後述される画像オブジェクト重なり範囲56と実質的に同一である。
【0110】
また、前記遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、受信処理部15が受信した印刷データに「遮蔽層判断処理要」の情報が付加されていた場合、又は、オペレーションパネル処理部24が行ったメニュー設定によって「遮蔽層判断処理要」に関する設定が成されていた場合、遮蔽剤重なり範囲判定処理部26が判断した遮蔽オブジェクト重なり範囲55に対応する範囲の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bを削除し、その印刷情報をディスプレイリスト部17に格納する。本実施の形態においては、遮蔽層52の形成範囲と画像オブジェクト51の形成範囲とは実質的に同一であるから、前記遮蔽オブジェクト重なり範囲55は、表面画像オブジェクト51aの形成範囲と裏面画像オブジェクト51bの形成範囲とが重なり合う範囲である後述される画像オブジェクト重なり範囲56と実質的に同一である。
【0111】
なお、その他の点の構成については、前記第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、遮蔽層52の範囲を調整する動作について説明する。
【0113】
図10は本発明の第3の実施の形態における媒体の両面の画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトの形成範囲の位置関係を説明する図、
図11は本発明の第3の実施の形態における画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトを形成した媒体の模式断面図である。なお、
図10において、(a)は表面を示す図、(b)は裏面を示す図、(c)は面の画像オブジェクト及び遮蔽オブジェクトの重なりを示す図であり、
図11において、(a)は両面の遮蔽層が存在する状態を示す図、(b)は重なり範囲に対応する両面の遮蔽層を削除した状態を示す図である。
【0114】
前記第2の実施の形態においては、遮蔽層52の形成範囲が画像オブジェクト51の形成範囲より広くなるように形成されているのに対して、本実施の形態においては、
図10(a)及び(b)に示されるように、遮蔽層52の形成範囲と画像オブジェクト51の形成範囲とが実質的に同一であるように形成されている。
【0115】
そして、
図10(a)に示されるように、媒体36の表面には、現像剤47Wを塗り潰すことによって表面遮蔽オブジェクトとしての層厚が100〔%〕の表面遮蔽層52aが形成され、該表面遮蔽層52aの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された表面画像オブジェクト51aが形成されている。前記表面遮蔽層52aの形成範囲と前記表面画像オブジェクト51aの形成範囲とは実質的に同一である。また、
図10(b)に示されるように、媒体36の裏面には、現像剤47Wを塗り潰すことによって裏面遮蔽オブジェクトとしての層厚が100〔%〕の裏面遮蔽層52bが形成され、該裏面遮蔽層52bの上に、現像剤47K、47Y、47M及び47Cで形成された裏面画像オブジェクト51bが形成されている。前記裏面遮蔽層52bの形成範囲と前記裏面画像オブジェクト51bの形成範囲とは実質的に同一である。
【0116】
なお、媒体36の表面における表面画像オブジェクト51a及び表面遮蔽層52aの位置と、媒体36の裏面における裏面画像オブジェクト51b及び裏面遮蔽層52bの位置とが対応していない。そのため、
図10(c)に示されるように、媒体36の裏面を透視した状態では、表面画像オブジェクト51a及び表面遮蔽層52aの形成範囲と、裏面画像オブジェクト51b及び裏面遮蔽層52bの形成範囲とは、一部分が重なり合い、その他の部分が重なり合っていない、すなわち、ずれている。
【0117】
図11には、
図10(c)におけるB−B’線に沿った媒体36の断面が示されている。
【0118】
図11(a)に示される例では、表面画像オブジェクト51aの形成範囲と裏面画像オブジェクト51bの形成範囲とが重なっている画像オブジェクト重なり範囲56にも、層厚が100〔%〕の表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bが形成されている。しかしながら、画像オブジェクト重なり範囲56では、媒体36の裏面から観ると、表面画像オブジェクト51aが裏面画像オブジェクト51bによって遮蔽され、かつ、媒体36の表面から観ると、裏面画像オブジェクト51bが表面画像オブジェクト51aによって遮蔽されているので、裏抜けが発生しない。つまり、画像オブジェクト重なり範囲56には、遮蔽層52を形成する必要がない、と言える。そうであるのに、画像オブジェクト重なり範囲56にも、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bが形成されているのであるから、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wが不必要に多量に使われている、と言える。
【0119】
図11(b)に示される例では、画像オブジェクト重なり範囲56に対応する範囲には、遮蔽層52を形成しないようになっている。つまり、画像オブジェクト重なり範囲56からは、表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bが削除されている。これにより、表面画像オブジェクト51a及び裏面画像オブジェクト51bの裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤としてのホワイト(W)の現像剤47Wの消費量を抑制することができる。
【0120】
次に、遮蔽剤層厚削除調整処理部27の動作について説明する。
【0121】
図12は本発明の第3の実施の形態における遮蔽剤層厚削除調整処理部の動作を示すフローチャートである。
【0122】
まず、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得する。具体的には、ディスプレイリスト部17から、遮蔽オブジェクトであって、遮蔽剤塗り潰し範囲、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトを取得する。
【0123】
続いて、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断する。具体的には、遮蔽剤重なり範囲判定処理部26の判断に基づいて、遮蔽オブジェクト重なり範囲55があるか否かを判断する。本実施の形態において、遮蔽オブジェクト重なり範囲55は画像オブジェクト重なり範囲56と実質的に同一である。
【0124】
そして、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分、すなわち、遮蔽オブジェクト重なり範囲55がある場合、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、取得済みの遮蔽オブジェクトを削除する。具体的には、取得した形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトをディスプレイリスト部17から削除する。
【0125】
続いて、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っている範囲を削除した遮蔽オブジェクトを新たに作成する。具体的には、画像オブジェクト重なり範囲56に対応する範囲から表面遮蔽層52a及び裏面遮蔽層52bを削除した表面遮蔽オブジェクト及び裏面遮蔽オブジェクトを新たに作成し、ディスプレイリスト部17に格納する。
【0126】
続いて、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。具体的には、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っていないか否かを判断する。
【0127】
なお、反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断して重なる部分がない場合、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、直ちに、全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。
【0128】
そして、全遮蔽オブジェクトの調整が終了していない場合、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っている場合、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得し、以降の動作を繰り返す。
【0129】
また、全遮蔽オブジェクトの調整が終了している場合、すなわち、形成範囲の調整を行っていない遮蔽オブジェクトが残っていない場合、遮蔽剤層厚削除調整処理部27は、遮蔽剤層厚削除調整処理を終了する。
【0130】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 遮蔽剤調整未処理遮蔽オブジェクトを取得する。
ステップS22 反対面の遮蔽オブジェクトの形成範囲と重なる部分があるか否かを判断する。重なる部分がある場合はステップS23に進み、重なる部分がない場合はステップS25に進む。
ステップS23 取得済みの遮蔽オブジェクトを削除する。
ステップS24 反対面の遮蔽オブジェクトと重なり合っている範囲を削除した遮蔽オブジェクトを新たに作成する。
ステップS25 全遮蔽オブジェクトの調整が終了したか否かを判断する。全遮蔽オブジェクトの調整が終了している場合は遮蔽剤層厚削除調整処理を終了し、全遮蔽オブジェクトの調整が終了していない場合はステップS21に戻る。
【0131】
このように、本実施の形態においては、遮蔽オブジェクトとしての遮蔽層52の形成範囲を画像オブジェクト51の形成範囲と実質的に同一とし、媒体36の表面及び裏面における画像オブジェクト51の形成範囲が重なり合う部分である画像オブジェクト重なり範囲56に対応する範囲からは、遮蔽層52を削除する。すなわち、画像オブジェクト重なり範囲56に対応する範囲には遮蔽層52を形成しない。これにより、画像オブジェクト51の裏抜けの発生を防止しつつ、遮蔽剤の消費量を抑制することができる。
【0132】
なお、本実施の形態においては、遮蔽層52の範囲を調整する動作を、
図10〜12を参照しつつ、画像形成装置10が行う動作として、具体的には、遮蔽剤印刷範囲判定処理部23、遮蔽剤層厚削除調整処理部27及び遮蔽剤重なり範囲判定処理部26を有する編集処理部16の遮蔽オブジェクト処理部16dが行う動作として説明したが、上位遮蔽剤印刷範囲判定処理部13g、上位遮蔽剤層厚削除調整処理部13j及び上位遮蔽剤重なり範囲判定処理部13iを有するホスト装置11のプリンタドライバ部13の上位遮蔽オブジェクト処理部13fが、同様の動作を行うこともできる。
【0133】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。