特許第6225745号(P6225745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225745
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20171030BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20171030BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20171030BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20171030BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20171030BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20171030BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20171030BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20171030BHJP
   H01G 11/14 20130101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/12 101
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/6551
   H01M2/26 A
   H01M10/058
   H01M2/04 A
   H01G11/14
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-34357(P2014-34357)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-159087(P2015-159087A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宗 真平
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
【審査官】 小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004461(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029669(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/039999(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01G 11/14
H01M 2/04
H01M 2/12
H01M 2/26
H01M 10/058
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/6551
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極がセパレータを介して積層された電極組立体と、
前記電極組立体が収容されているケースと、
前記ケースに存在し、前記ケース内の圧力が予め定められた開放圧を超えた場合に前記ケース内の圧力を開放させる圧力開放弁と、
前記ケース内における前記圧力開放弁と前記電極組立体との対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置されたものであって前記対向方向に延びた第1フィンを備えていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記ケース外における前記対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置されたものであって前記対向方向に延びた第2フィンを備えている請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1フィン及び前記第2フィンはそれぞれ、前記対向方向と直交する方向に複数配列されており、
前記第1フィンの配列方向と、前記第2フィンの配列方向とは、互いに交差している請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記電極の端部には、当該端部から突出した形状のタブが存在し、
前記蓄電装置は、
前記タブと、前記ケースに存在する端子とを接続する導電部材と、
前記導電部材における前記対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置された前記第1フィンと、
を備えている請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第2フィンには、前記圧力開放弁から離れる方向に凹んだ凹部が存在する請求項〜4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の一例としての二次電池は、例えば電極がセパレータを介して積層された電極組立体と、電極組立体が収容されたケースとを備えている。また、ケースには、当該ケース内の圧力が予め定められた開放圧を超えた場合に開放される圧力開放弁が存在するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4881409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ケース内には、比較的融点が低い樹脂部品が収容されている場合がある。この場合、ケース内の温度が過度に高くなると上記樹脂部品が融解し得る。かかる状況において、ケース内の圧力が開放圧を超えて圧力開放弁が開放された場合、樹脂部品の融解物が圧力開放弁から流出される場合がある。この場合、上記融解物が圧力開放弁から垂れ流し続けたり、二次電池の周囲に飛散したりし得る。また、例えば二次電池の周囲に各種機器が存在する場合、当該各種機器への悪影響を抑制するべく、冷却されたガスが一方向に放出されることが好ましい場合がある。
【0005】
本発明の目的は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ケース内の圧力及び温度が過度に高くなった場合に好適に対応できる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する蓄電装置は、電極がセパレータを介して積層された電極組立体と、前記電極組立体が収容されているケースと、前記ケースに存在し、前記ケース内の圧力が予め定められた開放圧を超えた場合に前記ケース内の圧力を開放させる圧力開放弁と、前記ケース内における前記圧力開放弁と前記電極組立体との対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置されたものであって前記対向方向に延びた第1フィンを備えていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、ケース内の圧力が開放圧を超えた場合、ケース内にて発生したガスは、圧力開放弁を介して放出される。この場合、ガスは、フィンを通過することが想定される。これにより、ガスの冷却を図ることができる。また、フィンは、圧力開放弁と電極組立体との対向方向に延びているため、ガスは対向方向に整流されて放出される。これにより、冷却されたガスを一方向に放出させることができる。
【0008】
さらに、仮にケース内の温度が過度に高くなることに起因して樹脂部品等が融解した場合、当該融解物は、フィンにて冷却され、固着される。これにより、仮に樹脂部品等が融解した場合であっても、融解物がケースから垂れたり飛散したりすることを抑制できる。以上のことから、ケース内の圧力及び温度が過度に高くなった場合に好適に対応できる。
【0009】
上記蓄電装置について、前記ケース外における前記対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置されたものであって前記対向方向に延びた第2フィンを備えているとよい。かかる構成によれば、蓄電装置は、第1フィンと第2フィンとの双方を備えているため、第1フィンと第2フィンのいずれか一方のみを備えている構成と比較して、ガスの冷却及び整流をより好適に行うことができ、且つ、融解物の流出をより好適に抑制できる。
【0010】
上記蓄電装置について、前記第1フィン及び前記第2フィンはそれぞれ、前記対向方向と直交する方向に複数配列されており、前記第1フィンの配列方向と、前記第2フィンの配列方向とは、互いに交差しているとよい。かかる構成によれば、第1フィンの配列方向と、第2フィンの配列方向とが互いに交差しているため、より好適に対向方向に流れるようにガスを整流できる。
【0011】
上記蓄電装置について、前記電極の端部には、当該端部から突出した形状のタブが存在し、前記蓄電装置は、前記タブと、前記ケースに存在する端子とを接続する導電部材と、前記導電部材における前記対向方向から見て前記圧力開放弁と重なる位置に配置された前記第1フィンと、を備えているとよい。かかる構成によれば、第1フィンは、導電部材における対向方向から見て圧力開放弁と重なる位置に配置されているため、ケース内のガスは、第1フィンを通過して、圧力開放弁から放出され易い。これにより、導電部材を用いてタブと端子とを電気的に接続しつつ、第1フィンを用いてガスの冷却等を行うことができる。
【0012】
上記蓄電装置について、前記第2フィンには、前記圧力開放弁から離れる方向に凹んだ凹部が存在するとよい。かかる構成によれば、圧力開放弁と第2フィンとの間には隙間が生じる。これにより、圧力開放弁が開放された場合に、当該圧力開放弁が第2フィンに当たりにくい。よって、圧力開放弁の開放が第2フィンによって阻害されるという不都合を抑制できる。
【0013】
上記蓄電装置は、二次電池であるとよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ケース内の圧力及び温度が過度に高くなった場合に好適に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の二次電池を一部破断して示す斜視図。
図2】電極組立体の分解斜視図。
図3】二次電池の分解斜視図。
図4】電池モジュールの斜視図。
図5図1の5−5線断面図。
図6図1の6−6線断面図。
図7】第2実施形態の二次電池の分解斜視図。
図8】第2実施形態の蓋の斜視図。
図9】蓋の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、蓄電装置の第1実施形態について図1図6を用いて説明する。なお、図5においては、図示の都合上、正極端子16、正極タブ31及び正極導電部材40等の一部構成の図示を省略するとともに、電極組立体14を簡略化して示す。
【0017】
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、直方体形状のケース11を備えている。ケース11は、一方に開口した有底箱状のケース本体12と、ケース本体12の開口部分を塞ぐ長方形平板状の蓋13とを備えている。ケース本体12と蓋13とは、溶接などによって接合されている。
【0018】
二次電池10は、ケース11に収容されている電極組立体14及び電解液15(図5及び図6参照)と、電極組立体14と電力のやり取りを行う正極端子16及び負極端子17とを備えている。各端子16,17は、ケース11の蓋13にあり、蓋13を貫通した状態で配置されている。本実施形態の二次電池10は、例えばリチウムイオン電池である。
【0019】
図2に示すように、電極組立体14は、正極電極21及び負極電極22が、電気伝導に係るイオンが通過可能な多孔質膜であるセパレータ23を介して交互に積層された構造である。各電極21,22及びセパレータ23は、長方形状のシートである。
【0020】
正極電極21は、長方形状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)21aと、当該正極金属箔21aの両面にある正極活物質層21bと、を有する。負極電極22は、長方形状の負極金属箔(例えば銅箔)22aと、当該負極金属箔22aの両面にある負極活物質層22bと、を有する。電極組立体14を構成している状態において、正極活物質層21bは負極活物質層22bに覆われ、且つ、各電極21,22はセパレータ23によって覆われている。
【0021】
図2に示すように、正極電極21には、端部21cから突出した形状の正極タブ31が存在する。同様に、負極電極22には、端部22cから突出した形状の負極タブ32が存在する。負極タブ32は、負極電極22の端部22cの中央に配置されており、正極タブ31は、正極電極21の端部21cにおいてその中央よりも偏倚した位置に有る。
【0022】
各電極21,22は、各タブ31,32の同一極性同士が列状に配置されるように積層されている。そして、図3に示すように、各負極タブ32は電極21,22の積層方向Yの一方に寄せて集められ、その集められた状態で他方に折り返されている。同様に、各正極タブ31は、電極21,22の積層方向Yの一方に寄せて集められた状態で他方に折り返されている。電極組立体14は、各タブ31,32が存在する端面14aと蓋13の内面13aとが対向する状態でケース11内に収容されている。
【0023】
図3に示すように、二次電池10は、各タブ31,32と各端子16,17との同一極性同士を電気的に接続する正極導電部材40及び負極導電部材50を備えている。
正極導電部材40は、ケース11の蓋13と電極組立体14との間にあって、各正極タブ31及び正極端子16の双方に接合(例えば溶接)されている。図3に示すように、正極端子16は、外周面にネジ溝が設けられた正極軸部16aと、正極軸部16aの軸線方向の端部に設けられた角柱状の正極頭部16bとを有している。正極導電部材40は、一枚の金属板、例えばアルミニウム板を屈曲させることで電極21,22の積層方向Yから見てクランク形状となっており、相対的に蓋13寄りに配置された第1正極パーツ41と、第1正極パーツ41よりも電極組立体14に近い位置に配置された第2正極パーツ42とを有している。正極導電部材40は、第1正極パーツ41が各正極タブ31に接合され、第2正極パーツ42が正極頭部16bに接合されることで、正極タブ31と正極端子16とを電気的に接続している。
【0024】
正極側と同様に、負極端子17は、負極軸部17aと負極頭部17bとを有している。負極導電部材50は、ケース11の蓋13と電極組立体14との間にある。負極導電部材50は、一枚の金属板、例えば銅板を屈曲させることで電極21,22の積層方向Yから見てクランク形状となっており、相対的に蓋13寄りに配置された第1負極パーツ51と、第1負極パーツ51よりも電極組立体14に近い位置に配置された第2負極パーツ52とを有している。各負極パーツ51,52は、電極21,22の積層方向Y、及び、電極組立体14の幅方向Xに延びた板状である。電極組立体14の幅方向Xとは、蓋13の内面13aと電極組立体14の端面14aとの対向方向Z及び電極21,22の積層方向Yの双方と直交する方向である。
【0025】
ここで、既に説明した通り、負極タブ32は負極電極22の端部22cの中央に配置されている一方、正極タブ31は正極電極21の端部21cにおいて中央よりも偏倚した位置に配置されている。このため、図3に示すように、電極組立体14の幅方向Xにおいて、負極タブ32及び負極端子17間の距離は、正極タブ31及び正極端子16間の距離よりも長くなっている。これに対応させて、電極組立体14の幅方向Xにおける第1負極パーツ51の長さは、第1正極パーツ41の対応する長さよりも長くなっている。そして、対向方向Zから見て第1負極パーツ51と各負極タブ32とは重なっている。負極導電部材50は、第1負極パーツ51が負極タブ32に対して接合され、第2負極パーツ52が負極頭部17bに対して接合されることで、負極タブ32と負極端子17とを電気的に接続している。
【0026】
ちなみに、図3に示すように、各端子16,17の軸部16a,17aにおいて頭部16b,17bとは反対側の端部はそれぞれ、蓋13に存在する貫通孔13bを通ってケース11外に突出しており、その突出箇所には絶縁リング61が挿通された状態でナット62が螺着されている。
【0027】
なお、各端子16,17の軸部16a,17aにはそれぞれ、シール部材としてのOリング63が取り付けられている。Oリング63が頭部16b,17bと蓋13との間に圧縮されることによって、各軸部16a,17aの周囲がシールされている。
【0028】
二次電池10は、正極端子16の正極頭部16b及び第2正極パーツ42をカバーする正極側絶縁部材64を備えている。正極側絶縁部材64は、第2正極パーツ42における電極組立体14の端面14aと対向する面を覆った状態で、正極頭部16b及び正極軸部16aに嵌合している。同様に、二次電池10は、第2負極パーツ52における電極組立体14の端面14aと対向する面を覆った状態で、負極頭部17b及び負極軸部17aに嵌合する負極側絶縁部材65を備えている。
【0029】
図3に示すように、二次電池10は、電極組立体14とケース11とを絶縁する絶縁シート66を備えている。絶縁シート66は、例えば一枚の長方形状の樹脂シートが折り曲げられて、一方向に開口した箱形状となっている。電極組立体14は、箱形状の絶縁シート66内に収容されている。
【0030】
なお、図4に示すように、複数の二次電池10は、例えば樹脂製の組付け枠Fによって、ケース11における電極21,22の積層方向Yと直交する面同士が対向する状態で組み付けられて電池モジュールMを構成する。
【0031】
図5及び図6に示すように、ケース11、詳細には蓋13には、ケース11内の圧力が予め定められた開放圧を超えた場合にケース11内の圧力を開放させる圧力開放弁70が有る。圧力開放弁70は、ケース11内の圧力が開放圧を超えた場合に開く弁であり、蓋13の厚さよりも薄い薄板状の弁体71を有する。弁体71は、対向方向Zから見て扁平形状である。また、弁体71におけるケース11外に露出している外面71aには溝72が存在する。
【0032】
かかる構成によれば、何らかの要因で電極組立体14が過度に発熱することに起因してケース11内にてガスが発生した場合、ケース11内の圧力が高くなる。そして、ケース11内の圧力が開放圧を超えた場合には、弁体71における溝72が存在する部分が開裂する。これにより、ケース11内のガスが圧力開放弁70を介して放出される。
【0033】
なお、開放圧は、弁体71の薄さや溝72の深さ等によって規定されるものであり、当該弁体71の薄さや溝72の深さ等は、ケース11自体やケース本体12と蓋13との接合部に亀裂や破断などが生じる前に圧力開放弁70が開放されるように設定されている。
【0034】
ちなみに、蓋13の内面13aと電極組立体14の端面14aとの対向方向Zは、圧力開放弁70と電極組立体14との対向方向、又は、弁体71の厚さ方向とも言える。
ここで、ケース11内にて高温のガスが発生した場合には、ケース11内に収容されている一部の部品が溶ける場合がある。詳細には、例えばセパレータ23、絶縁シート66及び各絶縁部材64,65は、ポリエチレンやポリプロピレン等といった樹脂材料で構成されている。このような樹脂材料は、ケース11内で発生する高温(例えば200℃以上)のガスによって融解する場合がある。このような融解物は、圧力開放弁70から流出して、二次電池10の周囲に存在する各種機器に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
【0035】
また、樹脂製の組付け枠Fを用いて複数の二次電池10が組み付けられた電池モジュールMにおいて、高温のガスが圧力開放弁70を介して対向方向Zと交差する方向に拡散して放出されると、圧力開放弁70が開放された二次電池10の周囲に存在する各種機器、例えば隣接する二次電池10や組付け枠Fに対して悪影響を与えるおそれがある。このため、なるべく低温のガスが、対向方向Zに放出されることが望ましい。
【0036】
これに対して、本実施形態の二次電池10は、ケース11内のガスを整流し、且つ、冷却する第1フィン81及び第2フィン82を備えている。当該各フィン81,82について以下に詳細に説明する。
【0037】
なお、以降の説明において、説明の便宜上、圧力開放弁70から電極組立体14に近づく方向を単に下方と言い、圧力開放弁70から電極組立体14に離れる方向を単に上方という。この場合、対向方向Zは上下方向とも言える。
【0038】
まず、第1フィン81について説明する。図5及び図6に示すように、第1フィン81は、ケース11内における対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置に配置されている。詳細には、圧力開放弁70は、蓋13の長手方向の略中央部に存在しており、上方から下方に向けて順に、圧力開放弁70、負極導電部材50の第1負極パーツ51及び負極タブ32が配置されている。第1フィン81は、第1負極パーツ51における圧力開放弁70と対向する面である上面51aのうち上方から見て圧力開放弁70と重なる位置に複数存在している。
【0039】
図5及び図6に示すように、複数の第1フィン81は、第1負極パーツ51の上面51aから対向方向Zに起立している。各第1フィン81はそれぞれ、対向方向Z及び電極組立体14の幅方向Xに延びた板状である。各第1フィン81は、電極21,22の積層方向Yに並んで配列されている。
【0040】
第1フィン81は、負極導電部材50と同一材料、例えば銅で構成されており、負極導電部材50に一体形成されている。第1フィン81と負極導電部材50とを一体形成する具体的な手法は任意であるが、例えば溶接であってもよいし鍛造であってもよい。第1フィン81を負極導電部材50に溶接する構成においては、先に第1負極パーツ51と負極タブ32とを溶接してから、第1フィン81を第1負極パーツ51に溶接してもよい。
【0041】
なお、図5に示すように、各第1フィン81のうち、電極21,22の積層方向Yの両端にあるもの同士の距離Y1は、圧力開放弁70の電極21,22の積層方向Yの最大長さY0よりも長く設定されている。そして、図6に示すように、本実施形態の各第1フィン81の幅方向Xの長さX1は、圧力開放弁70の幅方向Xの最大長さX0よりも長く設定されている。すなわち、第1フィン81は、第1負極パーツ51の上面51aのうち上方から見て圧力開放弁70と重なる領域全体に亘って存在する。なお、上記長さX1は、第1負極パーツ51の短手方向(電極21,22の積層方向Y)の長さよりも長い。
【0042】
次に、第2フィン82について説明する。図5及び図6に示すように、第2フィン82は、ケース11外における対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置、詳細には、圧力開放弁70の上方に配置されている。第2フィン82は、対向方向Z及び電極21,22の積層方向Yに延びた板状であって、電極組立体14の幅方向Xに並んで複数配列されている。この場合、各第1フィン81の配列方向と、各第2フィン82の配列方向とは、交差(詳細には直交)している。
【0043】
図5に示すように、第2フィン82には、圧力開放弁70から離れる方向、詳細には上方に凹んだ凹部83が存在している。この場合、第2フィン82の配列方向である電極組立体14の幅方向Xから見て、第2フィン82は、上方に向けて凸となった逆U字状となっている。圧力開放弁70と第2フィン82との間には、隙間Sが存在する。なお、第2フィン82は、例えば蓋13と同一材料で構成されている。そして、第2フィン82は、蓋13の外面に溶接されることによって、当該蓋13に対して一体形成されている。
【0044】
図3に示すように、二次電池10は、各導電部材40,50とケース11との接触を規制する絶縁カバー90を備えている。絶縁カバー90は、各導電部材40,50とケース11(詳細には蓋13)との間に配置されている。絶縁カバー90は、矩形板状の本体部91と、当該本体部91における各導電部材40,50との対向面(下面)の4隅から下方に起立した起立部92とを有する。図5及び図6に示すように、起立部92の起立寸法Z1は、第1フィン81の第1負極パーツ51の上面51aからの起立寸法Z2よりも長く設定されている。絶縁カバー90は、起立部92の先端部が第1正極パーツ41及び第1負極パーツ51に当接した状態で、各導電部材40,50に跨って配置されている。なお、起立部92の先端部と、第1正極パーツ41又は第1負極パーツ51との接触箇所は、溶接や接着等によって接合されている。
【0045】
また、絶縁カバー90における対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置、詳細には絶縁カバー90における圧力開放弁70の下方位置には貫通孔93が存在する。貫通孔93は、圧力開放弁70、詳細には弁体71の外形と同一形状である。貫通孔93は、圧力開放弁70と連通しており、第1フィン81を介して圧力開放弁70に向かうガスの流れを阻害しないようになっている。
【0046】
次に本実施形態の作用について説明する。
図6の2点鎖線に示すように、ケース11内にてガスが発生した場合、当該ガスは、第1フィン81→貫通孔93→圧力開放弁70→第2フィン82を通って放出される。この場合、ガスは、各フィン81,82によって冷却され、且つ、対向方向Zに整流される。
【0047】
また、樹脂部品が融解した場合、融解物は第1フィン81で冷却され、当該第1フィン81にて固着される。これにより、融解物がケース11外に流出しにくくなっている。さらに、仮に圧力開放弁70から融解物が流出した場合、当該融解物は第2フィン82にて固着される。よって、樹脂部品の融解物は、第1フィン81又は第2フィン82でトラップされるため、上記融解物が、圧力開放弁70から垂れ続けたり、飛散したりしにくい。
【0048】
上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)二次電池10は、ケース11内における圧力開放弁70と電極組立体14との対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置に配置されたものであって対向方向Zに延びた第1フィン81と、ケース11外における対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置に配置されたものであって対向方向Zに延びた第2フィン82とを備えている。これにより、電極組立体14が過度に発熱してケース11内にて高温のガスが発生した場合には、当該高温のガスを、冷却し、且つ、対向方向Zに整流した状態で、放出させることができる。よって、圧力開放弁70が開放された二次電池10の周囲に存在する各種機器、例えば当該二次電池10に対して電極21,22の積層方向Yに隣接している他の二次電池10や、複数の二次電池10を組み付ける組付け枠F等に対して高温のガスが当たることによって生じ得る悪影響を抑制できる。
【0049】
また、電極組立体14の発熱等によってケース11内の樹脂部品等が融解した場合には、当該融解物を各フィン81,82にてトラップさせることができるため、融解物がケースから垂れ流し状態となったり、飛散したりすることを抑制できる。
【0050】
さらに、仮にケース11内に、比較的大きい異物、例えば各フィン81,82のフィンピッチ以上の粒径の異物等が存在した場合には、当該異物は、各フィン81,82にて引っ掛かる。これにより、上記異物が放出されること等を抑制できる。
【0051】
(2)特に、二次電池10は、第1フィン81と第2フィン82の双方を備えている。よって、各フィン81,82のいずれか一方のみを備えている構成と比較して、ガスの冷却及び整流を、より好適に行うことができ、且つ、融解物の流出を好適に抑制できる。
【0052】
(3)第1フィン81及び第2フィン82はそれぞれ、対向方向Zと直交する方向に複数配列されており、第1フィン81の配列方向と、第2フィン82の配列方向とは、互いに交差している。詳細には、第1フィン81は、電極21,22の積層方向Yに複数並んで配列されており、第2フィン82は、電極組立体14の幅方向Xに複数並んで配列されている。これにより、ケース11内のガスを、より好適に対向方向Zに整流できる。
【0053】
(4)第2フィン82には、圧力開放弁70から離れる方向である上方に向けて凹んだ凹部83が存在する。これにより、圧力開放弁70と第2フィン82との間には隙間Sが生じている。よって、圧力開放弁70が開放された場合に、弁体71が第2フィン82に当たりにくい。したがって、圧力開放弁70の開放が第2フィン82によって阻害されるという不都合を抑制できる。
【0054】
(5)電極組立体14は、電極21,22及びセパレータ23が積層されて構成されており、当該電極21,22の端部21c,22cには、当該端部21c,22cから突出した形状のタブ31,32が存在し、二次電池10は、端子16,17とタブ31,32とを接続する導電部材40,50を備えている。かかる構成において、各導電部材40,50のうち負極導電部材50の一部は、対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置に配置されており、第1フィン81は、負極導電部材50の上記重なる位置に配置されている。詳細には、負極導電部材50は、負極タブ32と溶接されている第1負極パーツ51を備えている。そして、第1負極パーツ51の上面51aのうち対向方向Zから見て圧力開放弁70と重なる位置に、第1フィン81が有る。これにより、負極タブ32と負極端子17とを電気的に接続しつつ、第1フィン81を用いてガスの冷却等を行うことができる。
【0055】
(6)第1フィン81は、負極導電部材50に対して熱的に結合している。詳細には、第1フィン81は、負極導電部材50と同一材料の銅で構成されており、且つ、負極導電部材50に対して一体形成されている。これにより、第1フィン81の熱は、負極導電部材50に伝達されるため、第1フィン81の冷却性能の向上を図ることができる。
【0056】
特に、第1フィン81は負極導電部材50に取り付けられ、第2フィン82は蓋13に取り付けられている。これにより、各フィン81,82が1つの部材に取り付けられている構成と比較して、各フィン81,82にて吸収した熱を拡散させることができる。
【0057】
(7)第1負極パーツ51は、電極組立体14の幅方向Xに延びており、それに対応させて、第1フィン81は、対向方向Z、及び、電極組立体14の幅方向Xに延びている。すなわち、第1フィン81は、その長手方向が第1負極パーツ51の長手方向と一致するように配置されている。これにより、第1フィン81の長手方向の寸法を十分確保することができるため、第1フィン81の冷却性能等の更なる向上を図ることができる。
【0058】
詳述すると、第1フィン81が第1負極パーツ51の上面51aに立設されている構成においては、第1フィン81とケース11との接触の抑制等の観点から、上方から見て第1フィン81が第1負極パーツ51からはみ出さないようにするのが好ましい。この場合、仮に第1フィン81を、第1負極パーツ51の短手方向、すなわち電極21,22の積層方向Yに延びるように設けようとすると、第1フィン81の長手方向の寸法は、第1負極パーツ51の短手方向の寸法以下にする必要がある。
【0059】
これに対して、本実施形態では、第1フィン81の長手方向と、第1負極パーツ51の長手方向とが一致している。これにより、第1フィン81の長手方向と第1負極パーツ51の短手方向とが一致している構成と比較して、第1フィン81の長手方向の寸法を長く確保することができる。よって、ガスとの接触面積の向上を図ることができ、第1フィン81の冷却性能等の更なる向上を図ることができる。
【0060】
また、第1フィン81の長手方向と、第1負極パーツ51の長手方向とが一致しているため、鍛造によって第1フィン81及び負極導電部材50を形成する際には、当該鍛造を比較的容易に行うことができる。
【0061】
(8)二次電池10は、各導電部材40,50とケース11との接触を規制する絶縁カバー90を備えている。絶縁カバー90は、第1フィン81と干渉しないように各導電部材40,50と蓋13との間に配置されている。詳細には、絶縁カバー90は、板状の本体部91と、本体部91における各導電部材40,50との対向面から起立し且つ第1フィン81の起立寸法Z2よりも長い起立部92とを有し、当該起立部92が各導電部材40,50に当接した状態で配置されている。これにより、第1フィン81が負極導電部材50にある構成において、好適に各導電部材40,50とケース11とを絶縁できる。
【0062】
(第2実施形態)
本実施形態では、負極タブ32の位置等が異なっている。図7図9を用いて、その異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、本実施形態では、負極タブ32は、上方から見て圧力開放弁70と重なる位置よりも正極タブ31とは反対側に配置されている。それに対応させて、負極導電部材100の第1負極パーツ101の幅方向Xの長さは、第1実施形態の第1負極パーツ51と比較して、短くなっている。この場合、圧力開放弁70と電極組立体14との間の空間には、負極導電部材100及び負極タブ32が存在していない。
【0064】
図8及び図9に示すように、本実施形態の第1フィン111は、圧力開放弁70の下方の位置に配置されており、蓋13の内面13aに取り付けられている。第1フィン111は、第1実施形態と同様に、対向方向Z及び電極組立体14の幅方向Xに延びた矩形板状であって、電極21,22の積層方向Yに並んで複数ある。本実施形態の第1フィン111は、蓋13と同一材料で構成されており、蓋13に一体形成されている。
【0065】
なお、図7に示すように、本実施形態の絶縁カバー112は、起立部92がない矩形板状である。絶縁カバー112は、第1負極パーツ51及び第1正極パーツ41に跨って配置されており、第1負極パーツ51及び第1正極パーツ41と、蓋13の内面13aとの間に介在している。
【0066】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(9)ケース11内であって圧力開放弁70の下方の位置に配置されている第1フィン111は、ケース11、詳細には蓋13に取り付けられている。これにより、(1)〜(4)の効果を奏する。
【0067】
(10)特に、第1フィン111及び第2フィン82の双方が、圧力開放弁70が存在する蓋13に取り付けられているため、これら3者の間で位置ずれ等が生じにくい。これにより、上記3者間の位置ずれに起因する冷却性能の低下等を抑制できる。
【0068】
(11)第1フィン111は、蓋13に対して一体形成されている。これにより、第1フィン111によって吸収された熱は蓋13に伝達される。よって、第1フィン111を用いてガスを好適に冷却することができる。
【0069】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1フィン81,111及び第2フィン82のいずれか一方を省略してもよい。要は、二次電池10は、第1フィン81,111及び第2フィン82の少なくとも一方を備えているとよい。
【0070】
○ 第1フィン81の数及び第2フィン82の数は任意であり、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、第1フィン81の数と第2フィン82の数とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0071】
○ 圧力開放弁70の位置は、蓋13の中央部に限られず、任意である。例えば、圧力開放弁70が蓋13の中央部よりも負極端子17寄りに配置されていてもよい。この場合、圧力開放弁70の下方に第1フィン81が配置されるように、第1フィン81の位置を調整するとよい。
【0072】
○ 圧力開放弁70は、蓋13ではなくケース本体12の所定の壁部に存在してもよい。この場合、圧力開放弁70が存在する壁部と電極組立体14の端面14aとが対向するように、電極組立体14をケース11に収容してもよい。
【0073】
○ 各第1フィン81,111の配列方向と、各第2フィン82の配列方向とは、直交していたが、これに限られず、交差していればよい。また、各第1フィン81,111の配列方向と、各第2フィン82の配列方向とが一致していてもよい。
【0074】
○ 第1フィン81の長手方向と、第1負極パーツ51の長手方向とが、交差又は直交していてもよい。
○ 正極タブ31が正極電極21の端部21cの中央部に配置されており、それに対応させて、第1正極パーツ41が圧力開放弁70の下方の位置まで張り出している構成であってもよい。この場合、第1フィン81は、第1正極パーツ41における圧力開放弁70との対向面に起立して有るとよい。なお、かかる構成においては、負極タブ32は、負極電極22の端部22cにおける中央部とはずれた位置にあるとよい。
【0075】
○ 各導電部材40,50は、電極21,22の積層方向Yから見て湾曲したクランク形状であったが、これに限られず、電極21,22の積層方向Yから見て直線状であってもよい。
【0076】
○ 第2フィン82の凹部83を省略してもよい。
○ 圧力開放弁70の具体的な構成及び形状は任意である。例えば、蓋13に貫通孔を形成し、当該貫通孔を塞ぐ弁を別途取り付ける構成であってもよい。
【0077】
○ 第1フィン81は、負極導電部材50と同一材料で構成されていたが、これに限られず、別材料で構成されていてもよい。第2フィン82についても同様である。
○ 第1フィン81は、第1負極パーツ51の上面51aのうち圧力開放弁70の下方に位置する領域の全体にあったが、これに限られず、上記領域の一部にあってもよい。例えば、上記領域のうち一部に、1又は複数の第1フィンがあり、その他の領域では、負極タブ32と第1負極パーツ51とが溶接されていてもよい。
【0078】
○ 電極組立体14は、帯状の正極電極と負極電極とが、帯状のセパレータを介して捲回されて積層構造となった捲回型であってもよい。
○ 二次電池10は、車両に搭載して走行に用いてもよいし、定置用の電源として用いてもよい。
【0079】
○ ケース11の形状は任意であり、例えば円筒形状であってもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン電池であったが、これに限られず、他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層21bと負極活物質層22bとの間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。また、蓄電装置として電気二重層キャパシタでもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)電極がセパレータを介して積層された電極組立体と、前記電極組立体が収容されているケースと、前記ケースに存在し、前記ケース内の圧力が予め定められた開放圧を超えた場合に前記ケース内の圧力を開放させる圧力開放弁と、を備えた蓄電装置において、前記電極の端部には、当該端部から突出した形状のタブが存在し、前記蓄電装置は、前記タブと、前記ケースに存在する端子とを接続する導電部材と、前記導電部材に有るフィンを備えている蓄電装置。
【0081】
かかる構成によれば、ケース内にて発生したガスの一部は、フィンを通過して圧力開放弁から放出され得る。これにより、圧力開放弁から放出されるガスの冷却を図ることができる。上記構成に着目した場合、第1フィン81は、圧力開放弁70の下方位置ではなく、当該下方位置からずれた位置に配置されていてもよい。例えば、第2実施形態の第1負極パーツ101における蓋13の内面13aとの対向面(上面)や、第1正極パーツ41における蓋13の内面13aとの対向面(上面)に、第1フィン81があってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…二次電池、11…ケース、13…蓋、14…電極組立体、16,17…端子、21,22…電極、23…セパレータ、31,32…タブ、40,50,100…導電部材、70…圧力開放弁、81,111…第1フィン、82…第2フィン、83…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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