(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の層が、アルミニウム、セラミック、マグネシウム、SiSiC、又は熱分解グラファイトから選択される少なくとも1つの材料製である、及び/又は、前記第1の層が、熱容量が3.0Jcm−3K−1未満の材料製である、及び/又は、前記第1の層の厚さが、5mm以下である、請求項1に記載の熱調整ユニット。
前記第2の層が、アルミニウム、セラミック、マグネシウム、エアロゲル、ガラスセラミック、又はステンレス鋼から選択される少なくとも1つの材料製である、及び/又は、前記第2の層が、熱容量が3.0Jcm−3K−1未満の材料製である、及び/又は、前記第2の層の厚さが、5mm以下である、請求項1又は2に記載の熱調整ユニット。
前記熱調整要素が、前記基板を前記熱調整要素上に少なくとも部分的に支持するように、前記基板の下側の部分を通って流れるガスフローをガスベアリングとして提供する複数の出口及び/又は入口を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0031]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0032] − 放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0033] − パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0034] − 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0035] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、
を備える。
【0017】
[0036] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0018】
[0037] 支持構造MTはパターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0019】
[0038] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0020】
[0039] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0021】
[0040] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0022】
[0041] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0023】
[0042] リソグラフィ装置は、基板ステージ又は基板テーブルなどの2つ以上の基板支持構造、及び/又はパターニングデバイス用の2つ以上の支持構造を有するタイプのものであってもよい。複数の基板ステージを有する装置では、すべての基板ステージは同等のものでもよく、互換性がある。ある実施形態では、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に露光ステップに適合しており、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に測定又は予備工程に適合している。本発明のある実施形態では、複数の基板ステージの1つ以上が測定ステージに置き換えられる。測定ステージは、センサ検出器及び/又はセンサシステムのターゲットなどの1つ以上のセンサシステムの少なくとも一部を含むが、基板を支持しない。測定ステージは、基板ステージ又はパターニングデバイス用の支持構造の代わりに投影ビーム内で位置決め可能である。このような装置では、追加のステージを併用してもよく、又は1つ以上の別のステージを露光用に使用している間に1つ以上のステージで予備工程を実行してもよい。
【0024】
[0043]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0044] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、別に提供されてもよい(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)。
【0026】
[0045] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。基板Wは、以下に詳述する本発明のある実施形態による基板ホルダによって基板テーブルWT上に保持されている。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実施できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0046] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0047] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0048] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
[0049] 3.別のモードにおいては、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0028】
[0050] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0029】
[0051] 投影システムPSの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、3つの一般的なカテゴリに分類できる。これらは、浴槽タイプの構成、いわゆる局所液浸システムと、オールウェット液浸システムである。浴槽タイプの構成では、実質的に基板Wの全体と、任意選択で基板テーブルWTの一部が液体の浴槽に浸される。
【0030】
[0052] 局所液浸システムは、液体が基板の局所区域にのみ提供される液体供給システムを使用する。液体によって充填された空間は、基板の上面より平面視で小さく、液体によって充填される容積は、その容積の下を基板Wが移動している間、投影システムPSに対して実質的に静止している。
図2〜
図5は、そのようなシステムで使用することができる異なった供給デバイスを示す。液体を局所区域に封止する封止フィーチャが存在する。提案されているこれを配置する方法の1つが、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。
【0031】
[0053] オールウェット構成では、液体は閉じ込められない。基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。液浸液は、投影システムと投影システムに対向する対向面(そのような対向面は基板及び/又は基板テーブルの表面であってもよい)に、又はその領域内に供給することができる。
図2〜
図5の液体供給デバイスのいずれもそのようなシステムで使用することができる。しかしながら、封止フィーチャが存在しないか、活性化されていないか、通常より効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所区域にのみ封止する効果がない場合がある。
【0032】
[0054]
図2及び
図3に図示されているように、液体は、少なくとも1つの入口によって基板上に、好ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給される。液体は、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が
図3に図示され、ここでは両側に出口を有する4組の入口が最終要素の周囲に規則的パターンで設けられる。液体のフローの方向は、
図2及び
図3に矢印で示されていることに留意されたい。
【0033】
[0055] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が
図4に示されている。液体が、投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。流体のフローの方向と基板の方向は
図4に矢印で示されていることに留意されたい。
【0034】
[0056] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め構造を提供する構成である。液体閉じ込め構造は、投影システムの最終要素と基板又は基板テーブルあるいはその両方との間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する。そのような構成を
図5に示す。
【0035】
[0057]
図5は、投影システムの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する液体閉じ込め構造12を有する局所的液体供給システム又は流体ハンドリングシステムを概略的に示している。(以下の文面で基板Wの表面と言及する場合は、別途明確に記載されない限り、追加的に又は代替的に、基板テーブルの表面も指すことに留意されたい。)ある実施形態では、液体閉じ込め構造12と基板Wの表面との間にシールが形成され、これは(欧州特許出願公開EP−A−1,420,298号に開示のガスシールによるシステムなど)ガスシールなどの非接触シール、又は液体シールでよい。
【0036】
[0058] 液体閉じ込め構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間内に少なくとも部分的に液体を含んでいる。空間11は少なくとも部分的に、投影システムPSの最終要素の下に、これを囲んで位置する液体閉じ込め構造12によって形成される。液体は液体入口13によって投影システムPSの下の、液体閉じ込め構造12内の空間に供給される。液体は液体出口13によって排出されてもよい。
【0037】
[0059] 使用中に、バリア部材12の底面と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって液体が空間11内に閉じ込められてもよい。ガスシール内のガスは、加圧されて入口15を介してバリア部材12と基板Wとの間のギャップに提供される。ガスは出口14を介して抽出される。ガス入口15での過圧、出口14での真空レベル、及びギャップの形状は、液体を閉じ込める内側への高速度のガスのフロー16が生じるように構成される。バリア部材12と基板Wとの間で液体に加わるガスの力が液体を空間11内に閉じ込める。このようなシステムは、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。ある実施形態では、液体閉じ込め構造12はガスシールを有していない。
【0038】
[0060] 本発明のある実施形態は、例えば参照により全内容が全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2006−0158627号、US2006−0038968号、US2008−0212046号、US2009−0279060号、US2009−0279062号、US2004−0207824号、US2010−0313974号、及びUS2012−0120376号に開示されているような流体ハンドリング構造を含むどの流体ハンドリング構造にも適用し得る。
【0039】
[0061] 多くの他のタイプの液体供給システムが可能である。本発明のある実施形態は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも、液浸リソグラフィにも限定されない。本発明のある実施形態は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。EUVリソグラフィ装置では、ビーム経路が実質的に排気され、上記液浸構成は使用しない。
【0040】
[0062]
図1に示す制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的作動を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、適切にプログラムし、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶装置を備えた汎用コンピュータとして実施することができる。任意選択として、制御システムはさらに、キーボード及び画面のような1つ以上の入出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、及び/又はリソグラフィ装置の様々な部品との1つ以上のインターフェイスを備えてもよい。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係は必要ないことが理解される。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、ネットワークで接続した複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置が一部を形成するリソセル又はクラスタ内で1つ以上の関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成することもできる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は工場の全体的な制御システムに従属するように構成することもできる。
【0041】
[0063]
図6は、ソースコレクタ装置SOを含むEUVリソグラフィ装置4100を概略的に示している。装置は、
−放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)EILと、
−パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
−基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
【0042】
[0064] EUVリソグラフィ装置のこれらの基本的なコンポーネントの機能は、
図1のリソグラフィ装置の対応するコンポーネントの機能と同様である。以下の記載は主として異なる区域を含み、同じコンポーネントの態様の重複する記載は省略する。
【0043】
[0065] EUVリソグラフィ装置では、気体が過剰な放射を吸収することがあるため、真空又は低圧環境で使用することが望ましい。したがって、真空壁及び1つ以上の真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を提供することができる。
【0044】
[0066]
図6を参照すると、EUVイルミネータEILは、ソースコレクタ装置SOから極紫外線放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法には、例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの少なくとも1つの元素を有する材料をEUV範囲内の1つ以上の放出線を有するプラズマ状態に変換するステップが含まれるが、必ずしもそれに限定されない。
【0045】
[0067] 放射ビームEBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAに反射した後、放射ビームEBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームEBの経路内に位置決めできるように正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームEBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせしてもよい。
【0046】
[0068] 図示した装置は、
図1の装置と同じモードで使用可能である。
【0047】
[0069]
図7は、ソースコレクタ装置SOと、EUV照明システムEILと、投影システムPSとを含むEUV装置4100をより詳細に示している。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの閉鎖構造4220内に真空環境を維持することができるように構築され、配置される。EUV放射放出プラズマ4210は、放電生成プラズマ放射源によって形成されてもよい。EUV放射は、例えば、キセノンガス、リチウム蒸気、又はスズ蒸気などの気体又は蒸気によって生成されてもよく、その際、プラズマ4210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内で放射を放出する。
【0048】
[0070] プラズマ4210によって放出された放射は、放射源チャンバ4211から、放射源チャンバ4211内の開口内、又はその裏側に位置する任意選択のガスバリア及び/又は汚染物トラップ4230(場合によっては汚染物バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介してコレクタチャンバ4212内に送られる。
【0049】
[0071] コレクタチャンバ4212は、いわゆるかすめ入射コレクタであってよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側4251と、下流放射コレクタ側4252とを有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ4240から反射して仮想放射源ポイントIFに集束することができる。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、中間焦点IFが閉鎖構造4220内の開口4221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ4210の像である。
【0050】
[0072] その後、放射は照明システムILを横切り、照明システムILはパターニングデバイスMAで放射ビーム421の所望の角度分布、並びにパターニングデバイスMAで放射強度の所望の均一性を与えるように配置されたファセット型フィールドミラーデバイス422と、ファセット型瞳ミラーデバイス424とを含んでもよい。放射ビーム421が、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAで反射すると、パターン付ビーム426が形成され、パターン付ビーム426は投影システムPSによって、反射要素428、430を介して基板ステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0051】
[0073]
図7に示すコレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255を有する入れ子状コレクタとして示されている。かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255は光軸Oの周囲に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは好適には、DPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ放射源と組み合わせて使用される。
【0052】
[0074] あるいは、ソースコレクタ装置SOは、
図8に示すようにLPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料にレーザエネルギーを付与して、電子温度が電子ボルト(eV)の数10倍の高電離プラズマ4210を生成するように配置されている。これらのイオンの脱励起、及び再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学系COによって集光され、閉鎖構造4220内の開口4221へと集束される。
【0053】
[0075] 本発明の実施形態はどのタイプのリソグラフィ装置にも適用可能である。
【0054】
[0076] 温度安定化ユニットは、基板を熱調整し、基板を支持する補剛部材と、熱調整要素とを含む熱調整ユニットを備える。熱調整要素(厚さ20mmのアルミニウム、熱伝達率を700W/m
2Kと想定)でシミュレーションが実施された。
図9は、熱調整要素について経時と共にx軸上に生じるy軸に沿った温度変化を示している。複数の異なる位置、及び熱調整要素で使用される熱調整流体(水)について、開始温度からの温度オフセットがグラフ表示されている。幾つかの基板が熱調整ユニットの元の温度以上の温度で熱調整要素上に配置される。基板は約9秒毎に熱調整要素上に配置され、熱調整要素上に6秒間放置された。熱調整要素の温度は、基板間で熱調整要素が回復するには3秒を要するにもかかわらず、経時と共に上昇することがわかる。その結果、基板が熱調整要素から離れる時点の温度は経時と共に変化する(基板の上面で(単一の点で区切られた長破線)、第1の基板は約8度の温度オフセットを伴って離れ、第2の基板は約11度の温度オフセット、第3の基板は約12度の温度オフセット、第4の基板は約13度の温度オフセット、及び第5の基板は約14度の温度オフセットを伴って離れる)。温度オフセットのこの変化は、このような基板がリソグラフィ装置の基板テーブル上に配置される際に、別の基板とは異なる温度で離れ、上記のように誤差を生じる可能性を意味するため不利である。
【0055】
[0077] この困難は、熱調整ユニットの熱調整要素の高い熱容量に起因する。典型的な熱調整ユニットでは、熱調整要素の厚さは通常約20mmであり、アルミニウム製である。
図9の結果を生じるには、(熱調整要素内の流路を通る熱調整流体を使用した)このような熱調整要素を通る熱伝達率は700W/m
2Kであると想定されている。同じ熱伝達率を想定した以下に記載の本発明のある実施形態は、(本発明のある実施形態の熱調整ユニットを使用する以外は
図9と同じシミュレーションの結果である
図17に示すように)第2の及びその後の基板が実質的に同じ温度で熱調整要素を離れることを可能にする。
【0056】
[0078]
図10は、アルミニウム層が基板と熱調整要素との間にあり、熱調整要素への熱伝達率が500W/m
2Kであると想定したシミュレーションの結果を示している。基板は所望の設定ポイントから0.5Kの初期温度オフセットを有するものと想定されている。シミュレーション結果では、アルミニウム層の厚さが(x軸に沿って)変化し、6秒後の基板の設定ポイントからの温度オフセットがmK単位でy軸上にグラフ表示されている。図示のように、6秒簿の温度オフセットはアルミニウム層の厚さの減少と共に低減する。
【0057】
[0079]
図10に示すように、熱調整要素の熱容量はその厚さを薄くすることによって有利に低減され得る。しかしながら、それは熱調整要素の変形を引き起こすことがある。このような変形の結果、熱調整要素と(熱調整要素によって支持される)基板との間の熱伝達が不均一になる。したがって、熱調整要素の機械的変形を低減するために熱調整要素用の基板支持構造が使用される。本発明の実施形態は、熱調整ユニットの機械的支持機能を熱調整機能から切り離す。すなわち、機械的支持機能と熱調整機能とが分離される。熱調整要素は基板を支持する。しかしながら、熱調整要素自体は支持するのに十分な剛性を有していないかもしれない。これが、熱容量を低減するために熱調整要素の厚さが薄くされる理由である。したがって、熱調整要素を支持するための支持体が使用される。ある実施形態では、熱調整要素は基板を支持するのに十分な剛性を有していないが、熱調整要素の下方に設けられた補剛部材によって直接、又は間接的に剛性が与えられる。
【0058】
[0080] ある実施形態では、補剛部材が備えられる。補剛部材は熱調整要素よりも剛性が高く、(例えば支持体を介して)熱調整要素を支持するように構成されている。それによって、熱調整要素の機械的変形が低減する。
【0059】
[0081] ある実施形態では、熱調整要素は(例えば補剛部材などの)熱調整要素の残りの部分から熱的に分離される。これが(例えば補剛部材などの)熱調整要素の残りの部分の熱質量が熱調整要素の熱質量に追加されることを防止するために役立ち、それによって熱調整要素の熱応答が速い状態に留まることに役立つ。
【0060】
[0082] 本発明のある実施形態が
図11に示されている。
図11は、温度安定化ユニットであってよい熱調整ユニット100を示している。熱調整ユニット100は、リソグラフィ装置内、工場のトラックない、又は基板ハンドラ内に配置されてもよい。
【0061】
[0083] 熱調整要素100は補剛部材110と、熱調整要素200と、支持体300とを備えている。基板Wは、熱調整要素200の上方に配置される。
【0062】
[0084] 熱調整要素200は、一般的な熱調整要素よりも薄くした厚さ205を有している。厚さ205を薄くすることで、熱調整要素200の熱質量がより低くなる。その結果、熱調整要素200の熱安定性が高まる。熱伝達率が同じならば、(
図9と
図17との比較で示されるように)同じ材料のより薄い熱調整要素200のほうがより厚い熱調整要素200よりも少ない温度変化しか基板配列間に生じない。
【0063】
[0085] 熱調整要素は補剛部材110、例えば支持体300上に支持される。これによって熱調整要素200の機械的変形、特にその上面の平坦さの変形が低減する。そうしないと、熱調整要素200の相対的厚さにより変形が生じる筈である(ある実施形態では、熱調整要素は自重で変形(例えば屈曲)するため、自己支持形ではない)。ある実施形態では、支持体300は、支持体300がそこでは比較的柔軟であるxy面と比較してz方向(垂直方向)では比較的剛性が高い。これは、熱調整要素200の上面を確実に平坦にするために役立ち、これは望ましい特徴である。それが望ましいのは、平面図で基板Wと熱調整要素200との間の熱伝達が確実に均一になるために役立ち、及び/又は(平坦な上面は不均一なギャップを生じる不均一な表面(例えば屈曲面)よりも均一な熱結合をもたらすので)熱調整要素200と基板Wとの間のギャップのサイズを確実に最小限にし、ひいては基板と熱調整要素200との間の熱伝達を最大にするために熱調整要素200と基板Wとの間のギャップのサイズを最小限にすることができるからである。基板Wと熱調整要素200との間のギャップは望ましくは50μm以下、25μm以下、又は15μm以下、例えば10μmである。基板と熱調整要素200との間のガス膜が熱伝達に対する主要な抵抗であるため、ギャップは望ましくは小さいほうがよい。
【0064】
[0086] ある実施形態では、支持体300は、熱調整要素200、及び/又は補剛部材110から分離される。ある実施形態では、支持体300は熱調整要素200、及び/又は補剛部材110の一部である。
【0065】
[0087]
図11に示すようなある実施形態では、熱調整要素200は基板Wを少なくとも部分的に保持、又は支持する。ガスベアリング245は基板Wを支持するために使用され、その目的のため、熱調整要素200の上面に出口240と入り口250とが設けられる。ガス入口及び出口240、250は熱調整要素200の厚さ205全体を通して延びているため、ガスは熱調整要素200の下方から供給され、抽出される。結果として生じる、基板Wの下側の部分を通過するガスフローはガスベアリングとして作用する。
【0066】
[0088] ある実施形態では、基板Wを支持するための追加の又は代替構造を備えている。
図11の実施形態では、基板Wとその実質的な中心で接触する基板位置マニピュレータ350が備えられる。基板Wの一部は基板位置マニピュレータ350によって、また一部はガスベアリング245によって支持される。基板位置マニピュレータ350は、熱調整要素200内の貫通穴を通って延びている。基板位置マニピュレータ350は基板Wを回転させるために使用可能であり、また基板Wが熱調整ユニット100上にある間の基板のプレアライメント中に使用可能である。基板位置マニピュレータ350は、この実施形態、及びその他のすべての実施形態でオプションである。
【0067】
[0089] ある実施形態では、熱調整要素200は補剛部材110から熱的に分離される。熱的分離は支持体300によって、又は以下に記載するように熱調整要素200の下層によってなされてもよい。熱調整要素200を補剛部材110(及び/又は熱調整ユニット100の残りの部分、及び/又は周囲大気)から熱的に分離することは、補剛部材110、熱調整ユニット100の残りの部分、及び/又は環境の熱質量が熱調整要素200の熱質量に追加されることを確実になくするために役立つ。それによって、熱調整要素の熱応答性が高く保たれる。
【0068】
[0090]
図11の実施形態では、支持体300は複数の板バネ310の支持構造を備えている。板バネ310は複数の別個の位置で熱調整要素200に接触する。複数の別個の位置の少なくとも幾つかは、熱調整要素200の縁部から離間している。これは熱調整要素200の縁部からのたるみが確実に低減され、又は最小限にされることに役立つ。また、板バネ310は、熱調整要素200と補剛部材110との間に(例えばガスが充填され、又は真空の)ギャップを設けることによって、熱調整要素200を補剛部材110などの熱調整ユニット100の残りの部分から熱遮断又は絶縁する。このことは、熱調整ユニット100の残りの部分が熱調整要素200の熱質量に追加されないことを意味する。それは熱調整要素200の熱応答時間を長くするため不都合であろう。ある実施形態では、板バネ310は、熱調整要素200を周囲大気から熱遮断又は絶縁する。ある実施形態では、板バネは(例えば炭素鋼又はポリマーではなくステンレス鋼などの)熱伝達係数が低い材料を含んでもよく、それは熱調整要素200が補剛部材110からも実質的に熱遮断又は絶縁されることを意味する。熱調整要素200は、例えば熱調整要素200に接続された流体用の配管をすることによって、熱調整ユニット100の別の部分にある程度まで熱接続されてもよい。
【0069】
[0091] ある実施形態では、熱調整要素200は熱伝達部品を備える。ある実施形態では、熱伝達部品は、熱伝達流体を通過させる少なくとも1つの流路230を備える。ある実施形態では、熱伝達流体は熱調整流体である。ある実施形態では、熱調整流体は、リソグラフィ装置の1つ以上のレンズを冷却するために使用される熱調整流体と同じ流体でよい。ある実施形態では、熱調整流体は、例えば水などの液体でよい。
【0070】
[0092] ある実施形態では、熱伝達係数をできるだけ高めるため、熱調整要素200内に少なくとも2つの流路230が設けられる。少なくとも2つの流路には並行して熱伝達流体が供給される。それには、熱調整要素200を通る流体の全流量を増大し、又は最大にするだけではなく、熱調整流体が熱調整要素200を通って流れる際の圧力効果を低減し、又は最小にし、また熱調整要素200を通って流れる際の熱伝達流体の温度変化を低減し、又は最小にするという利点がある。
【0071】
[0093] ある実施形態では、少なくとも1つの流路230は、相変化流体熱伝達システムの一部を形成してもよい。このようなシステムでは、熱伝達流体は、所望の設定点温度で位相が変化し、したがって位相変化しない熱伝達流体よりも大幅に効率的に熱伝達することができるように選択される。
【0072】
[0094] ある実施形態では、流路230はヒートパイプの一部でよい。ヒートパイプ内で、流路の一端では熱伝達流体は液体であり、流路の他端では熱伝達流体はガスと液体との混合物である。ガスから流体への、またその逆への変化は熱を吸収し、熱を放出するため、これは流路の一端と他端との間で熱伝導する効率的な方法である。この目的のため、オプションとして熱調整要素200から離間した位置で流路230に接続された熱交換器を備えてもよい。2つの並行流路の場合は、並行流路の温度レベルを等しくするため、個々の流路の入口の上流側に絞りを配置して、並行流路内部の液体/ガス混合物の動作圧を等しくすることができる。
【0073】
[0095] ある実施形態では、熱調整要素200は単一層から成っている。
【0074】
[0096] ある実施形態では、熱調整要素200は、間に熱伝達部品が位置する上層210と、下層220とを含む。上下の層210、220はプレートでよい。
【0075】
[0097] ある実施形態では、上層210は熱伝導率が高く、熱容量が低い材料から形成される。それは、多くの熱が熱調整要素200自体によって吸収されずに熱が確実に熱調整要素200と基板Wとの間で迅速に伝導されることに役立つ。ある実施形態では、上層210は、熱容量が約3.0Jcm
−3K
−1以下で、熱伝導率が約100W/mK以上である材料製である。材料の例は、熱伝導率が25℃で250W/mKであり、熱容量が2.4Jcm
−3K
−1であるアルミニウムである。ある実施形態では、上層は、熱伝導率が156W/mKであり、熱容量が1.77cm
−3K
−1であるマグネシウム製である。別の材料、特にセラミックも適している。その他の例には、熱伝導率が185W/mKであり、熱容量が2.0Jcm
−3K
−1であるSiSiC、及び熱伝導が1500W/mKであり、熱容量が1.6Jcm
−3K
−1である(カプセル化された)熱分解グラファイトが含まれる。
【0076】
[0098] ある実施形態では、上層210の厚さは5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、又は1mm以下である。ある実施形態では、上層210の厚さは1mmである。
図14〜
図17を参照して以下に記載するように、この厚さによっても剛性を犠牲にして熱調整要素200の熱容量が有利に低減される。しかしながら、剛性の低下は補剛部材110を設けることによって補償される。
【0077】
[0099] ある実施形態では、熱調整要素200の全体の厚さは11mm以下、10mm以下、5mm以下、又は3mm以下である。
【0078】
[00100] ある実施形態では、下層220の厚さは5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、又は1mm以下である。ある実施形態では、下層220の厚さは1mmである。
【0079】
[00101] 下層220の熱容量は低いことが望ましい。しかしながら、下層220の熱伝導率は上層210よりも重要ではない。その理由は、下層220が基板Wと熱調整要素200との間の熱伝達をもたらさないからである。確かに、熱調整要素200から支持体300及び/又は補剛部材110へと熱が伝導されないようにするには、下層220の熱伝導率が例えば約50W/mK以下など、特に低いことが有利であろう。熱が支持体300又は補剛部材110内に漏れると、これらの部品の熱質量により
図9に示す熱の蓄積が生じるかもしれないため不利であろう。
【0080】
[00102] ある実施形態では、下層220は、アルミニウム、セラミック、又はマグネシウム製である。ある実施形態では、下層220はエアロゲルなどの高多孔質固体製である。エアロゲルは、(主として空気であるため)密度と熱伝導率とが極めて低い(ゲルから成る)固定である。別の例には、熱伝導率が1.4W/mKであり、熱容量が2.0Jcm
−3K
−1であるガラスセラミック(アルミノケイ酸リチウムガラスセラミック)であるZerodur(商標)、又は、熱伝導率が15W/mKであり、熱容量が4.0Jcm
−3K
−1であるステンレス鋼が含まれる。
【0081】
[00103] ある実施形態では、支持体300及び/又は補剛部材110は熱調整要素200の一部である。ある実施形態では、下層220は支持体300及び/又は補剛部材110として構成される。すなわち、下層200は、上層210の機械的変形を低減するように十分な剛性を有して製造される。ある実施形態では、別個の補剛部材110は不要である。ある実施形態では、下層220は、熱伝導率が低く、高剛性の材料から製造される。望ましくは、下層220はエアロゲルなどの熱容量が低い材料から製造される。
【0082】
[00104] ある実施形態では、支持体300は、熱調整要素200の追加層(下層220と補剛部材110との間の層)であってもよい。追加の又は代替実施形態では、追加層は補剛部材110の層である。追加の又は代替実施形態では、追加層は熱調整要素200の下層220、及び補剛部材110の上面と物理的に接触する。ある実施形態では、追加層は望ましくは、熱伝導率が低く、及び/又は熱容量が低く、及び/又は高剛性の材料製である。
【0083】
[00105] ある実施形態では、上層210及び下層220は、異なる材料から製造される。上層210は熱容量が低く、熱伝導率が高い材料から成るのに対して、下層220は熱容量が低く、オプションとして熱伝導率が例えば約50W/mKのように低い材料から成っている。上層210と下層220とは、それらに限定されないが粘着、溶接、ろう接、又ははんだ付け(ガラスフリット接合を含む)を含む任意の方法で接合することができる。
【0084】
[00106] ある実施形態では、上層及び/又は下層の熱容量は2.0Jcm
−3K
−1以下、又は1.5Jcm
−3K
−1以下である。
【0085】
[00107] ある実施形態では、補剛部材110はアルミニウム、鋼、セラミック、ガラスセラミックなどの材料、又は高剛性のその他の材料製である。ある実施形態では、補剛部材110は、内部に空洞及び/又は突起部を有するように加工又は形成されてもよく、そうしなくてもよい単体構造である。ある実施形態では、補剛部材110は、粘着、溶接、ろう接、ボルト止め又はその他の方法で接着され、又は互いに保持される複数の部品から成っていてもよい。
【0086】
[00108] ある実施形態では、熱調整要素200の底面と補剛部材110の上面との距離は、熱調整要素200の上面と基板Wの底面との距離よりも大きい。それが有利であるのは、それによって熱調整要素200と補剛部材110との間の熱伝達と比較して、基板Wと熱調整要素200との間の熱伝達が良好であるからである。
【0087】
[00109]
図12は、以下の記載以外には
図11と同じ実施形態を示している。
図12の実施形態では、熱調整要素200が基板Wを少なくとも部分的に保持又は支持する態様が
図11とは異なり、また、支持体300が熱調整要素200を支持する態様が
図11とは異なっている。ある実施形態では、
図12の支持体300を設ける代わりに
図11の支持体を使用してもよい。ある実施形態では、以下に記載の突起部260を設ける代わりに、
図12の実施形態は
図11のガスベアリング245を設けてもよい。
【0088】
[00110]
図12では、熱調整要素200は1つ以上の突起部260を設けている。突起部260(バールと呼ばれることもある)は、比較的小さい全表面積を有するが、その下側の複数個所で基板Wを支持する。ある実施形態では、突起部260と熱調整要素200及び基板Wとの間に負圧が与えられる。これは、基板Wを突起部260に固締するのに有利であろう。突起部260は、リソグラフィ装置内の基板テーブル上で使用される周知の1つ以上の突起部と同様のものでよい。突起部260を使用する利点は、熱調整要素200と基板Wとの間の熱伝達が直接的接触によって、及びその結果として熱調整要素200の上層210の材料を熱伝達することによって向上することである。ある実施形態では、基板Wと熱調整要素200との間の領域に、熱伝導率が298Kで100mW/m.K以上である(例えば負圧の)ガスが供給される。このようなガスの1つはH
2である。このようなシステムは、それぞれ全体として参照により本明細書に組み込まれる2012年8月8日に出願された米国特許出願公開US13/569,926号、2011年8月10日に出願されたUS61/521,952号、及び2011年10月7日に出願されたUS61/544,875号に記載されている。
【0089】
[00111]
図12の実施形態では、熱調整要素200はガスベアリング320によって補剛部材110上に支持される。ガスベアリング320は、特にz方向の熱調整要素200の機械的変形を低減する。
【0090】
[00112] ある実施形態では、温度センサ375が熱伝達液用の流路230内に設けられる。温度センサ375からの信号は、参照により全体が本明細書に組み込まれる2011年7月14日に出願されたUS13/183,220号に記載のようなフィードバック方式で使用できる。温度センサ375は、流路230の出口に備えてもよく(この場合は、測定される温度は流路230の長さに沿った温度全体であり、基板の冷点によって性客される液体は流路に沿って長距離を移動しなければならないため速度が遅い)、又は流路230の長さに沿って複数の温度センサ375を備えてもよい。ある実施形態では、代替的に又は追加的に、1つ又は複数の温度センサ375を熱調整要素200内に配置してもよい。
【0091】
[00113] ある実施形態では、
図12の熱調整ユニット100は基板位置マニピュレータ350を有しておらず、別個のプレアライメントユニットが備えられる。
【0092】
[00114]
図13は、熱調整要素200上、又はその内部に少なくとも1つの熱伝達要素(例えばヒータ)400が備えられる実施形態を示している。熱伝達要素400は任意の形状を有してもよい。一実施形態では、熱伝達要素は環状リングである。ある実施形態では、複数の熱伝達要素400が提供される。ある実施形態では、複数の熱伝達要素400は熱調整要素200の中心軸の周囲の環状リングの形態を有している。熱伝達要素400は上層210の表面上にあってもよい。ある実施形態では、熱伝達要素400は上層210の外面上の薄膜の形態を有している。熱伝達要素400は、基板テーブル上での使用に関して記載されている、参照により本明細書に全体が組み込まれる米国特許出願公開US2011−0222033号に記載のような熱伝達要素でよい。熱伝達要素400の制御は、US2011−0222033号に記載の制御と同様であってよい。ある実施形態では、熱伝達要素400は熱調整要素200内に埋め込まれる。
【0093】
[00115] 基板Wが基板位置マニピュレータ350によって回転される場合、熱伝達要素400が
図13に示すように径方向に配置されていれば、例えば基板W上の冷点はより良好に調整される。流路230/熱調整要素200内の1つ又は複数の温度センサ375からの信号は、熱伝達要素400の温度を制御するためにフィードバック方式で用いられる。この目的のため、コントローラ500を使用してもよい。ある実施形態では、基板位置マニピュレータ350の上面は熱伝達要素と温度センサとを有し、熱伝達要素は、例えば温度センサの信号に基づくフィードバック方式でコントローラ500によって制御される。ある実施形態では、熱調整要素200は、流路230は有さず、少なくとも1つの熱伝達要素400を有する。
【0094】
[00116] 熱伝達要素400を使用する利点は、熱伝達要素が、流路230内の熱伝達流体のフローに基づく熱調整システムよりも速やかに温度変化に反応し得る点にある。したがって、熱伝達要素400を備えることによって、例えば基板W上の冷点によって冷却された液体が再加熱されるまで流路230に沿って長距離移動しなければならないため、システムの反応時間が遅い、流路230に沿った熱伝達流体のフローに基づく熱調整システムの潜在的な不利点に対処する。
【0095】
[00117]
図14及び
図15は、熱調整要素200の厚さ、及び熱調整要素200の材料が、6秒間熱調整要素200上に配置された基板Wの達成可能な温度変化にどのように影響するかを示している。
図14は、(熱伝導率が250W/mK、及び熱容量が2.4Jcm
−3K
−1である)アルミニウム製の熱調整要素200での例を示すのに対して、
図15は(熱伝導率が16W/mK、及び熱容量が3.5Jcm
−3K
−1である)ステンレス鋼製の熱調整要素200での同じ結果を示している。x軸は流路230内の熱伝達流体の想定された熱伝達係数であり、y軸は熱調整要素200の全体の厚さ205である。グラフで示す線は、ゼロ秒での基板の温度オフセットが1000mKである、熱調整ユニット100上に6秒間置いた後の所望の温度からのmKで示した基板の温度である。図から分かるように、
図14の実施形態は、
図15に示すステンレス鋼の実施形態よりも基板温度をターゲット温度に低下させる上で大幅に効果的である。これは、ステンレス鋼と比較してアルミニウムの熱容量が低い結果である。明らかに、熱調整要素200の厚さが薄く、熱伝達係数が高いほど、速く設定点温度に達する。
【0096】
[00118]
図16は、x軸に沿った流路の高さと、y軸に沿った流路の幅とを有するらせん状流路が内部に形成された熱調整要素200でのシミュレーション結果を示している。より大きい数字を付した線は、計算された達成済み熱伝達係数であり、より小さい数字を付した線は計算された圧力降下である。例えば、0.5バールより少し大きい(例えば補間による0.55バール)の圧力降下では、高さ3mm、幅16mmのらせん状流路を使用して500W/mKの熱伝達係数を達成し得る。ある実施形態では、これらの寸法の流路が使用される。熱調整要素200の厚さ205は、上層が1mm、下層が1mm、及び熱伝達部品(例えば流路230)が3mmであり、全体の厚さは5mmである。
【0097】
[00119]
図17の結果は、厚さ3mmの上下のアルミニウム層と、基板に700W/m
2Kを伝達する熱伝達部品230とを有する実施形態に基づいている(上下のアルミニウム層の厚さが薄いこと以外は
図9の計算の場合と同じ条件)。図からわかるように、第1と第2の基板は3mKの温度差があるが、後続の基板は全て熱調整ユニットを実質的に同じ熱オフセットに留める。したがって、
図17は熱調整要素200の機械的変形を低減するために、より薄い、補剛部材110上に支持される熱調整要素を使用することによって得られる改善を示している。補剛部材110が熱調整要素200の熱質量を増大させないように、補剛部材110は熱調整要素200から確実に熱的に分離されている。
【0098】
[00120] 理解されるように、上述したフィーチャのいずれも任意の他のフィーチャと一緒に使用することができ、本出願の対象となるのは、明示的に記載された組み合わせだけではない。
【0099】
[00121] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのマイクロスケール、さらにはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0100】
[00122] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0101】
[00123] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0102】
[00124] 以上、本発明の特定の実施形態を記載したが、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、記載した以外の別の態様で本発明を実施してもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、本発明の実施形態は、上記のような装置の動作方法を記載する機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含む1つ以上のコンピュータプログラム、又は、このようなコンピュータプログラムを内蔵するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気、又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
【0103】
[00125] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0104】
[00126] 本発明は、幅(例えば直径)が300mm、450mm又はその他の任意のサイズの基板に適用し得る。
【0105】
[00127] 本発明の1つ以上の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
【0106】
[00128] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ以上の構造、1つ以上の液体入口、1つ以上の気体入口、1つ以上の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ以上の液体出口の組み合わせを備えてよい。実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ以上の要素をさらに含むことができる。
【0107】
[00129] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。