特許第6243801号(P6243801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧
<>
  • 特許6243801-電力変換装置 図000002
  • 特許6243801-電力変換装置 図000003
  • 特許6243801-電力変換装置 図000004
  • 特許6243801-電力変換装置 図000005
  • 特許6243801-電力変換装置 図000006
  • 特許6243801-電力変換装置 図000007
  • 特許6243801-電力変換装置 図000008
  • 特許6243801-電力変換装置 図000009
  • 特許6243801-電力変換装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243801
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20171127BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20171127BHJP
【FI】
   H02M7/12 G
   H02M7/48 L
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-121033(P2014-121033)
(22)【出願日】2014年6月12日
(65)【公開番号】特開2016-1956(P2016-1956A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智道
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅弘
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−193633(JP,A)
【文献】 特開平10−014104(JP,A)
【文献】 特開2008−167620(JP,A)
【文献】 特開平06−213982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と蓄電器の間に設けられ、電力系統側の交流回路に高調波フィルタを備え、蓄電器側の直流回路に直流コンデンサと直流遮断器を備え、インバータによる交直変換処理を行う電力変換装置であって、
蓄電器の起動の際に、制限抵抗により制限された電流を前記電力系統側から前記直流コンデンサに与え、かつ直流コンデンサ電圧と前記蓄電器の電圧の差を監視して前記直流遮断器を投入し、蓄電器に接続するとともに、
前記交流回路に備えられる第一の開閉器と、該第一の開閉器に直列に接続され、その他端は前記高調波フィルタを介して前記インバータの交流端子に接続される抵抗器と、前記第一の開閉器と前記抵抗器の直列回路に対して並列に接続される第二の開閉器とを備え、
当該電力変換装置の起動制御手段として、前記第一の開閉器を投入し、前記直流コンデンサ電圧が第一の所定の値を超えたときに前記第一の開閉器を開放し、さらに第二の開閉器を投入するステップと、第二の開閉器の投入後に前記インバータのスイッチングを開始して前記蓄電器電圧と前記直流コンデンサ電圧との差を低減するようインバータを制御するステップと、前記蓄電器電圧と前記直流コンデンサ電圧との差が所定範囲内であれば前記直流遮断器を投入するステップと、前記直流遮断器投入後は運転モードを切り替えるステップと、運転モード切り替え後は有効電力指令値によりインバータを制御するステップと、を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
電力系統と蓄電器の間に設けられ、電力系統側の交流回路に高調波フィルタを備え、蓄電器側の直流回路に直流コンデンサと直流遮断器を備え、インバータによる交直変換処理を行う電力変換装置であって、
蓄電器の起動の際に、制限抵抗により制限された電流を前記電力系統側から前記直流コンデンサに与え、かつ直流コンデンサ電圧と前記蓄電器の電圧の差を監視して前記直流遮断器を投入し、蓄電器に接続するとともに、
前記交流回路に備えられて前記高調波フィルタを介して前記インバータの交流端子が接続される第二の開閉器と、前記交流回路に並列に接続される第三の開閉器と、該第三の開閉器を介して前記交流回路に接続される変圧器と、該変圧器に交流端子が接続されて直流出力回路が抵抗器を介して直流コンデンサに接続される整流器とを備え、
当該該電力変換装置の起動制御手段として、前記第三の開閉器を投入し、前記直流コンデンサ電圧が第二の所定の値を超えたときに前記第三の開閉器を開放し、さらに第二の開閉器を投入するステップと、前記第二の開閉器の投入後にインバータのスイッチングを開始して前記蓄電器電圧と直流コンデンサ電圧との差を低減するようインバータを制御するステップと、前記蓄電器電圧と前記直流コンデンサ電圧の差が所定範囲内であれば前記直流遮断器を投入するステップと、を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電力変換装置であって、
前記蓄電器は、並列接続された複数の単位蓄電器で構成され、該単位蓄電器はそれぞれ直流開閉器と該直流開閉器に接続される蓄電器を供え、前記単位蓄電器の蓄電器は前記直流開閉器を介して並列に接続され、前記電力変換装置は前記単位蓄電器の蓄電器電圧を検出する手段と、を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記単位蓄電器のうち少なくとも1つが単位蓄電器内の直流開閉器を開放している状態から直流開閉器を投入する際に、前記直流開閉器が開放されている蓄電器電圧とインバータ直流コンデンサ電圧との差を低減するようインバータを制御するステップを備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の電力変換装置であって、
直流開閉器を開放している状態にある単位蓄電器の連系指令を手動で与える操作インターフェース手段と、該操作インターフェース手段からの信号を元に電圧指令を切り替える手段とを備えることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統と蓄電池間に連系されて交直変換を行う電力変換装置に係り、特に電力変換装置の一部にコンデンサを備えてこれを初充電するに好適な電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーを利用した分散電源や、蓄電池に代表される電力貯蔵手段を備える蓄電システムの導入が進んでいる。これらの分散電源や蓄電システムは、内部に蓄電器を備え直流で電力を貯蔵している。蓄電器の電力は自励式電力変換器によって、連系する系統周波数に変換して電力系統に送電される。また電力系統より供給される電力は、自励式電力変換器によって直流に変換されて蓄電器に充電される。
【0003】
自励式電力変換器は、交直変換するインバータと直流回路を含み、直流回路にはコンデンサを備えている。また分散電源や蓄電システムと自励式電力変換器の間には直流遮断器が配置され、自励式電力変換器の停止中は、直流遮断器は開放されている。
【0004】
自励式電力変換器の運転開始時には、直流遮断器が投入されて分散電源や蓄電システムと自励式電力変換器を接続することになるが、このとき直流回路のコンデンサに過大な突入電流が発生し、機器の損傷を招く恐れがある。この突入電流は、コンデンサのインバータ側電圧と、分散電源や蓄電システムの蓄電器の電圧との電位差に起因して生じ、両端電位差が大きいほど大きな突入電流となる。
【0005】
このコンデンサ初充電時対策として、特許文献1では開閉器と抵抗器付電磁開閉器を直列にして分散電源や蓄電システムと自励式電力変換器の間に配置する。自励式電力変換器の運転開始時には、開閉器を投入して分散電源や蓄電システムと自励式電力変換器間を抵抗器で接続し、その後抵抗器付電磁開閉器を投入する。これにより開閉器の投入時にコンデンサには抵抗器により制限された電流が流れ、両端電位差を緩和しているので、過大な突入電流が抑止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−126339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、制限抵抗により両端電位差を緩和できるが、開閉器と抵抗器付電磁開閉器を配置する必要があり、必要部品点数が増加し、装置の大型化や複雑化をまねくという問題がある。
【0008】
以上のことから本発明においては簡便な構成で突入電流を管理することを可能とする電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本発明の電力変換装置は、電力系統と蓄電器の間に設けられ、電力系統側の交流回路に高調波フィルタを備え、蓄電器側の直流回路に直流コンデンサと直流遮断器を備え、インバータによる交直変換処理を行い、蓄電器の起動の際に、制限抵抗により制限された電流を電力系統側から直流コンデンサに与え、スイッチング開始後は直流コンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を低減するようインバータを制御し、かつ直流コンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を監視して直流遮断器を投入し、蓄電器に接続する。
【発明の効果】
【0010】
制限された電流をコンデンサに印加し、かつコンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を監視して蓄電器に接続するので、初充電から蓄電器接続に至る起動過程における突入電流が抑止できる。特に簡便な構成で突入電流を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る電力変換装置の概略構成を示す図。
図2】実施例1に適用可能なインバータおよび高調波フィルタの一例を示す図。
図3】電力変換装置の起動時のタイミングチャートを示す図。
図4】制御器内のシーケンス処理部の構成例を示す図。
図5】制御器内のゲート信号演算部の構成例を示す図。
図6】本発明の実施例2に係る電力変換装置の概略構成を示す図。
図7】本発明の実施例3に係る電力変換装置の概略構成を示す図。
図8図7の変形実施例を示す図。
図9】本発明の実施例3に係る制御器内のシーケンス処理部の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。この図において、Gは交流の電力系統、Btは分散電源や蓄電システム内に備えられた蓄電器である。電力変換装置1は、点線で囲まれた部分であり、主回路部分1Aと制御装置1Bで構成されている。このうち主回路部分1Aを電力変換器と称することがある。
【0014】
主回路部分1はインバータINVを主体に構成され、ここで交直変換あるいは、周波数変換が行われる。インバータINVの蓄電器Bt側は直流回路を形成しており、直流回路には直流遮断器CBdを備える。直流遮断器CBdは、後述する図2のインバータINV内部の直流コンデンサの充電が完了したと判定された時点で投入される。
【0015】
インバータINVの電力系統G側は交流回路を形成しており、交流回路には平滑用の高調波フィルタFが配置され、インバータINVから電力系統Gへ流出する高調波を低減する。また交流回路には交流開閉器Swaと、交流開閉器Swaに並列接続された初充電用抵抗器Rsと初充電用開閉器Swsからなる直列回路を配置している。ここで初充電用抵抗器Rsは、後述する図2の高調波フィルタFを構成するフィルタコンデンサFC及びインバータINV内の直流コンデンサCDの初充電を行う際に過大な突入電流の流入を防ぐための抵抗である。また初充電用開閉器Swsは、電力変換器が運転開始した際、初充電用抵抗器Rsを介して初充電を行うための開閉器である。
【0016】
制御装置1B内の制御器Cは、主回路部分1Aの各所に制御信号を与えるに際し、主回路部分1Aの各所から電流、電圧信号を取り込んでいる。これらは、電力系統G側の電圧検出器PTから取り込んだ連系点電圧(線間電圧VSUV、VSVW)、インバータ出力電流検出器CTIから取り込んだインバータ出力電流ISU、ISW、直流回路に設置された直流電圧検出器PTdから取り込んだ直流電圧VDC、蓄電池電圧検出器PTbから取り込んだ蓄電池電圧VDBなどである。
【0017】
また制御装置1B内の制御器Cは、上記入力を用いた判断・演算処理の結果として主回路部分1Aの各所に制御信号Sを与える。これらは、初充電用開閉器Swsに対するON/OFF指令S1、交流開閉器Swaに対するON/OFF指令S2、直流遮断器CBdに対するON/OFF指令S3、インバータINVに対するゲート信号S4などである。
【0018】
図2は、実施例1に適用可能なインバータINVおよび高調波フィルタFの一例を示している。このうち高調波フィルタFは、高調波フィルタを構成する三相のリアクトルであるフィルタリアクトルFLと高調波フィルタを構成する三相のコンデンサであるフィルタコンデンサFCで構成されて、インバータINVで発生した高調波電流の系統Gへの流出を抑制する。なおフィルタコンデンサFCは、初充電用抵抗器Rsを介して交流電流により初充電される。
【0019】
実施例1に適用可能なインバータINVは、直流コンデンサCDと、6個のIGBTモジュールIGBTにより構成される。インバータINVは三相交流電圧を出力し、IGBTモジュールIGBTを二直列接続することで一相分の回路を構成する。直流コンデンサCDは、インバータ直流側に備わるコンデンサであり、コンデンサCDの電圧がインバータ直流電圧となる。IGBTモジュールIGBTは、IGBTとダイオードが逆並列接続されるモジュールである。
【0020】
図2の構成において、直流コンデンサCDの電圧がインバータ直流電圧である。直流コンデンサCDは、初充電抵抗Rs、フィルタリアクトルFL、及びIGBTモジュール内のダイオードを介して初充電され、インバータINV動作後は制御器Cの演算による電圧制御により、蓄電池電圧VDBとの電圧差が所定の値になるまで交流電力Gにより充電される。IGBTモジュールIGBTは、交流開閉器SWa投入前はオフしており、INVは制御器Cからのゲート信号S4を受け、スイッチングする。これによりインバータINVは、交流開閉器SWa投入後は、直流電圧VDCが所定の範囲に達するように、制御器Cからゲート信号S4が出力され、IGBTモジュールIGBTが動作する。
【0021】
図3は、図1図2に示した本発明の実施例1に係る電力変換装置の起動時のタイミングチャートを示している。ここには停止状態から初充電を行う時の遮断器や開閉器などの開閉手段の操作順序及び変換器の起動タイミング及び、この結果としての直流コンデンサCDの直流電圧VDCを示している。
【0022】
本発明の起動手順では、最初に図示せぬ交流遮断器を手動操作により時刻t0において投入する。なお交流遮断器は、主回路部分1Aの電力系統側に配置されている。また、この時点t0において、遮断器や開閉器などの開閉手段(交流開閉器Swa、初充電用開閉器Sws、直流遮断器CBd)は開放状態にあり、かつインバータINVに対するゲート信号S4は印加されていない。
【0023】
電力変換装置起動時の初充電は、時刻t1において初充電用開閉器Swsを投入したことで開始する。これにより、初充電用開閉器Swsから初充電用抵抗器Rs、平滑用の高調波フィルタF、インバータINV内のIGBT(内部の逆並列ダイオード)を経由して直流コンデンサCDに至る回路が形成され、直流コンデンサCDの直流電圧VDCは初充電用抵抗器Rsにより制限された制限電流により徐々に増加する。
【0024】
初充電用開閉器Swsは、初充電完了しきい値電圧に到達したことをもって時刻t2において開放される。またこれを受けて直後の時刻t3において交流開閉器Swaが代わりに投入される。これにより、交流開閉器Swaから、平滑用の高調波フィルタF、インバータINV内のIGBTを経由して直流コンデンサCDに至る回路が引き続き形成される。さらにその直後の時刻t4において、インバータINVに対するゲート信号S4の印加が開始される。これら一連の切り替え操作期間内では直流コンデンサCDの直流電圧VDCは微増している。
【0025】
時刻t4以降のシーケンス動作について説明する。時刻t4以降は本発明の新規な点である直流遮断器投入時の過電流抑制手段が説明される。時刻t4以降、直流コンデンサCDの直流電圧VDCは、インバータINVのゲート信号S4により制御される。このときのインバータ制御では、蓄電池Btにおける電圧(蓄電池電圧VDB)が計測されており、蓄電池電圧VDBよりも多少低めに設定された直流遮断器CBdの投入しきい値電圧に向けて電圧制御が実行される。具体的には、直流電圧指令値を蓄電池電圧VDBとし、電圧制御を実施する。この制御は、直流遮断器CBdの投入しきい値電圧に達する時刻t5までの期間、継続され、この時点で直流遮断器CBdを投入する。この結果、直流コンデンサCDの直流電圧VDCと蓄電池電圧VDBの差電圧は微小であり、直流遮断器CBd投入による過電流の発生が抑止される。なお直流遮断器CBd投入後の時刻t6では、電力系統Gと蓄電器の間での自由な電力融通を達成すべくインバータINVによる制御が行われる。
【0026】
図1の制御器Cは図3の制御操作を実行すべく、その内部にシーケンス処理部とゲート信号演算部を備えている。図4には、このうちシーケンス処理部Seqの構成例を示している。シーケンス処理部Seqの機能は、図3の時刻t3までの期間(初充電用抵抗器Rsを介する初充電期間)の処理を行う初充電演算部Seq1と、図3の時刻t4からt5までの期間(交流開閉器Swa投入後期間)の処理を行う充電演算部Seq2とで構成されている。
【0027】
初充電演算部Seq1では、最初に交流遮断器投入を交流遮断器投入検知部b1で検知して、初充電用開閉器Swsの投入信号S1ONを出力する。また初充電演算部Seq1は直流電圧VDCを監視しており、直流電圧判定部b2においてこれが図3の初充電完了しきい値電圧に達したことをもって検知フラグを出力する。開閉制御信号算出部b3では検知フラグに対応して、初充電用開閉器Swsの開放指令S1OFFを発し、その開放後引き続き交流開閉器Swaの投入指令S2ONを与える。
【0028】
充電演算部Seq2では、交流開閉器Swaの投入指令S2ONを受けて、直流遮断器CBdの投入しきい値電圧に向けたインバータ制御を実行する。このために初充電演算部Seq1には、直流コンデンサCDの直流電圧VDCと蓄電池電圧VDBが取り込まれており、この差電圧が減算器b4において求められている。電圧指令算出器b8およびゲート信号算出器b6は、先に述べたゲート信号演算部に対応する部位である。このゲート信号演算部の具体的な処理内容について別途図5を用いて説明するが、要するに直流電圧VDCを蓄電池電圧に向けて緩やかに増加すべく、インバータINVに対するゲート信号S4を与える。なお電圧指令算出器b8には、ンバータINVの制御のために、連系点電圧や変換器出力電流が取り込まれている。
【0029】
また直流コンデンサCDの直流電圧VDCと蓄電池電圧VDBの差電圧は、電圧判定器b5に入力されて、直流遮断器CBdの投入しきい値電圧と比較され、投入しきい値電圧に達した時点で検知フラグを出力する。遮断器制御信号算出部b7では検知フラグに対応して、直流遮断器CBdの投入指令S3ONを発し、直流遮断器CBdを投入する。これにより以降の操作は、電力系統Gと蓄電器の間での自由な電力融通を達成すべくインバータINVによる制御が行われる。なお以上の説明において、初充電とは初充電用抵抗器Rsを介してコンデンサを充電する動作までを意味するものとする。
【0030】
図5に一般的なゲート信号演算部の一例を示している。この構成はインバータ制御においてよく知られたものであるので、ここでは簡便に説明をする。
【0031】
この図において100は相電圧算出器であり、図1の連系点電圧検出器PTにより検出された線間電圧(VSUV、VSVW)から相電圧(VSU、VSV、VSW)を算出する。相電圧算出器100の出力はα−β変換器101、および位相算出器104に入力される。α−β変換器101では相電圧(VSU、VSV、VSW)をα成分、β成分に変換する。α−β変換器101の出力はd−q変換器102に入力される。
【0032】
他方位相算出器104では、連系点相電圧(VSU、VSV、VSW)から連系点電圧位相を算出する。他方位相算出器104の出力はd−q変換器102、d−q変換器107、逆d−q変換器115に入力される。d−q変換器102では、連系点電圧α成分、β成分、および位相算出器104の出力である連系点電圧位相を入力とし、連系点電圧をd軸成分、q軸成分に変換する。d−q変換器102の出力は電力算出器109に入力される。以上の処理を通じて、主回路電圧は3相から2相成分に変換され、さらにd−q軸成分に変換されている。
【0033】
この図において105は減算器であり、図1のインバータ出力電流検出器CT1から変換器出力電流ISU、ISWを入力している。減算器では、さらにV相の電流ISVを再現している。α−β変換器106、d−q変換器107は、主回路の電流を3相から2相成分に変換し、さらにd−q軸成分に変換したものであり、この説明を省略する。
【0034】
図5での処理のために、さらに図4の直流コンデンサCDの直流電圧VDCと蓄電池電圧VDBの差電圧VDCDEFが取り込まれている。直流電圧制御器108では、蓄電池電圧と直流電圧の差分を入力し、有効電流指令値IDREFを出力する。出力IDREFは後述の切替スイッチを介して減算器112に入力される。
【0035】
また電力算出器109では、連系点電圧、出力電流それぞれのd軸成分、q軸成分を入力し、有効電力PSおよび無効電力QSを出力する。電力算出器109の出力PSは減算器117に、出力QSは減算器110にそれぞれ入力される。減算器110では、無効電力指令値であるQREFと、電力算出器109からの無効電力QSを入力とし、無効電力差分を出力する。無効電力制御部111では、前記無効電力差分を入力し、無効電流指令値IQREFを出力する。出力は減算器113に入力される。
【0036】
減算器112では、出力電流d軸成分と有効電流指令値を入力とし、差分であるIDDEFを出力する。出力であるIDDEFは電流制御器114に入力される。また減算器113では、出力電流q軸成分と無効電流指令値IQREFを入力とし、差分IQDEFを出力する。出力は電流制御器114に入力される。
【0037】
図5の制御によれば、以上のようにして電流制御器114にIDDEFとIQDEFを得、減算器112からの入力IDDEFよりd軸電圧指令値VDREFを、減算器113からの入力IQDEFよりq軸電圧指令値VQREFを算出し、出力する。出力は逆d−q変換器115に入力される。逆d−q変換器115では、電圧指令値d軸成分VDREF、q軸成分VQREF、および連系点電圧位相を入力とし、前記電圧指令値をα成分、β成分に変換する。そのうえで2相−3相変換器116において、電圧指令値α成分、β成分を三相の電圧指令値VREFに変換する。出力は図4のゲート信号算出器b6を経由して点弧信号S4としてインバータINVに入力される。
【0038】
上記は蓄電器を連系するまでの制御シーケンスであり、直流電圧制御部108が有効電流指令値IDREFを算出し、出力電圧制御を実施するが、直流遮断器CBd投入後は、直流遮断器開閉状態信号CB_Ansにより運転モード切替スイッチ119が切り替わる。このとき、減算器117に、上位システムより受信する有効電力指令値PREFと、無効電力算出器109からの出力PSが入力され、有効電力差分が出力される。有効電力制御部118では、前記有効電力差分を入力し、有効電流指令値IDREFを出力する。通常運転時は、前記有効電力制御部118が有効電流指令値IDREFを算出し、出力電圧制御を実施する。
【0039】
以上説明した本発明の実施例1によれば、制限された電流をコンデンサに印加し、かつコンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を監視して蓄電器に接続するので、初充電から蓄電器接続に至る起動過程における突入電流が抑止できる。
【実施例2】
【0040】
図6の実施例2は、制限された電流をコンデンサに印加するための主回路構成として、起動回路を利用したものである。つまり実施例1では、交流開閉器SWaに並列に初充電用抵抗器Rsと初充電用開閉器SWsの直列回路を設置したものであるが、この代わりに起動回路を利用したものである。
【0041】
起動回路は、電力系統Gと直流コンデンサCDの間で形成された直列回路であり、インバータを経由しない。起動回路としての直列回路は、電力系統Gの側から交流開閉器Swa、変圧器TR、整流器SR、初充電用抵抗器Rsの順に配列されている。この実施例2の構成の場合の起動制御手法は、実施例1と同じであるのでここでの説明を省略する。
【0042】
以上説明した本発明の実施例2によれば、制限された電流をコンデンサに印加し、かつコンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を監視して蓄電器に接続するので、初充電から蓄電器接続に至る起動過程における突入電流が抑止できる。また、変圧器TRの巻線比を調整することで、過変調無しにインバータを起動できる利点がある。特に既存の起動回路を備えている場合に、新たな付帯設備を追加することなく実現が可能である。
【実施例3】
【0043】
図7の実施例3では、本発明の適用対象である蓄電器Btが蓄電池ユニットBTUで構成されている。
【0044】
図の例では2つの蓄電池BT1、BT2が、蓄電池用遮断器CBb1、CBb2を介して並列接続されて使用される。このため、単独運転と連結運転の可能性があることから、各ユニット電圧を検知可能としている。蓄電池電圧検出器PTb1、PTb2において各端子電圧を検知し、電池管理ユニットBMUで電圧監視している。電池管理ユニットBMUで検知した電圧は制御器Cに送られて起動制御などに利用される。
【0045】
具体的には図7において、蓄電池ユニットBTUは並列に接続された蓄電池BT1、BT2と、制御器である電池管理ユニットBMUによって構成される電力貯蔵装置であり、個々の蓄電池BT1、BT2に蓄電池電圧検出器PTb1、PTb2、蓄電池用遮断器CBb1、CBb2が備わる。蓄電池電圧検出器PTb1、PTb2は、個々の蓄電池電圧を計測し、計測情報を電池管理ユニットBMUへ出力する。蓄電池用遮断器CBb1、CBb2は、個々の蓄電池BT1、BT2に備わり、異常時や交換作業時は蓄電池用遮断器CBb1、CBb2が開放される。電池管理ユニットBMUでは、蓄電池電圧検出器PTb1、PTb2からの出力である計測値を入力とし、電力変換器1の制御器Cへ計測値を送信する。制御器Cは計測値を受信情報COMrとして受信し、入力とする。
【0046】
実施例3における制御器Cは、蓄電池BT1、BT2の交換作業等により、遮断器CBb1が開放されている状態でも起動制御を行う必要がある。この場合、BT1とBT2の電圧が異なるため、CBb1投入時にBT1からBT2およびインバータに過大電流が流れ、蓄電池やインバータの損傷のおそれがある。図9は実施例3におけるシーケンス処理部seq3の構成例を示している。電力変換器1には、図示せぬ部分に手動操作が可能な操作インターフェース手段が備えられ、該インターフェース手段では連系する蓄電池を選択することが可能である。電力変換器1から切り離されている蓄電池BT1を連系するよう操作すると、上記インターフェース手段から制御器Cへ電圧指令値切り替え信号が送信され、制御器Cは蓄電池BT1の電圧VDB1を電圧指令値とし、該電圧VDB1とインバータの直流電圧を合わせるように電圧制御を行う。蓄電池BT1の電圧VDB1とインバータの直流電圧との差は、電池管理ユニットBMUへ送信情報COMtとして送信され、電池管理ユニットBMUは上記差電圧が所定の値以内であることを判定し、遮断器CBb1へ開閉指令S5を与えることにより、過大電流を発生させることなく遮断器CBb1を投入することが可能となる。
【0047】
遮断器CBb1投入後は、該遮断器の開閉状態信号CBb1_Ansを通信により受信し、運転モード切替スイッチへ入力することで、実施例1で説明した、有効電力制御部の演算によるインバータ制御に切り替わる。
【0048】
図8は、図7の代替実施案である。図7では電池管理ユニットBMUが、全ての蓄電池BT1、BT2を一括して管理制御していたが、図8の例では電池管理ユニットBMUは蓄電池個別に設置され、蓄電池の管理制御を行っている。
【0049】
以上説明した本発明の実施例3によれば、制限された電流をコンデンサに印加し、かつコンデンサ電圧と蓄電池電圧の差を監視して蓄電器に接続するので、初充電から蓄電器接続に至る起動過程における突入電流が抑止できる。特に、蓄電池が大容量設備であり、分割設置することが避けられない場合に好適である。
【符号の説明】
【0050】
G:交流の電力系統
Bt:分散電源や蓄電システム内に備えられた蓄電器
1:電力変換装置
1A:電力変換装置の主回路部分
1B:電力変換装置の制御装置
INV:インバータ
CBd:直流遮断器
F:平滑用の高調波フィルタ
Swa:交流開閉器
Rs:初充電用抵抗器
Sws:初充電用開閉器
FL:フィルタリアクトル
FC:フィルタコンデンサ
C:制御器
PT:電力系統G側の電圧検出器
CTI:インバータ出力電流検出器
PTd:直流電圧検出器
PTb:蓄電池電圧検出器
S1:初充電用開閉器Swsに対するON/OFF指令
S2:交流開閉器Swaに対するON/OFF指令
S3:直流遮断器CBdに対するON/OFF指令
S4:インバータINVに対するゲート信号
CD:直流コンデンサ
IGBT:IGBTモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9