特許第6250567号(P6250567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6250567
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】密閉型電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/12 20060101AFI20171211BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20171211BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20171211BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20171211BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20171211BHJP
【FI】
   H01M2/12 101
   H01M2/04 C
   H01M2/08 C
   H01M4/525
   H01M4/505
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-559580(P2014-559580)
(86)(22)【出願日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2014000471
(87)【国際公開番号】WO2014119308
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-17321(P2013-17321)
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101823
【弁理士】
【氏名又は名称】大前 要
(72)【発明者】
【氏名】小平 一紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 恭介
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−111244(JP,A)
【文献】 特開平8−31397(JP,A)
【文献】 特開2002−208391(JP,A)
【文献】 特開2003−109556(JP,A)
【文献】 特開2007−18962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/12
H01M 2/04
H01M 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状の外装缶の開口部が、絶縁ガスケットを介して封口板によりカシメ封口された密閉型電池であって、
前記封口板には、電池内圧上昇時に前記封口板の変形の起点となる薄肉部を備え、
電池内圧上昇時には、前記封口板の変形により前記絶縁ガスケットと前記封口板との間に隙間が生じて、前記外装缶内部のガスが前記外装缶外部に排出される、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型電池おいて、
前記封口板は、一枚の板状部材により構成される、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の密閉型電池において、
前記封口板は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の密閉型電池において、
前記外装缶の側壁には、電池軸方向に突出した溝入れ部が設けられ、
前記薄肉部は、前記溝入れ部よりも内周側に設けられている、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の密閉型電池において、
前記封口板の全体が、前記外装缶の天面よりも低い位置にある、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の密閉型電池において、
電池内圧上昇の進行により、前記封口板は前記外装缶から完全に離脱する、
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の密閉型電池において、
前記密閉型電池は、正極板を有するリチウムイオン二次電池であり、
前記正極板は、一般式LiNi1−y(0.95≦x≦1.10、MはCo、Mn、Cr、Fe、Mg、TiおよびAlの少なくとも1種類、0.6≦y≦0.95)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として含み、
前記密閉型電池の体積エネルギー密度が、500Wh/L以上である、
ことを特徴とする密閉型電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型電池に関し、より詳しくはガス排出機能を備えた密閉型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、携帯電話、ノートパソコン等の移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。最近では、リチウムイオン二次電池は、電池駆動自動車の駆動電源や家庭用蓄電システム等の、高電圧・高容量が求められる用途で使用されることが期待されている。
【0003】
ところで、リチウムイオン二次電池には、可燃性の有機溶媒が用いられているため、電池の安全性の確保が求められている。このため、電池を密閉する封口体に、電池内圧が上昇した場合に電池内部のガスを電池外部に排出するガス排出機構を組み込むことが行われている。
【0004】
図9を用いて、従来のガス排出機構に係る技術を説明する。図9は、従来構造の封口体を示す断面図である。
【0005】
従来技術に係る密閉型電池の封口体は、ガス抜き穴21aが設けられた弁キャップ21と、PTCサーミスタ22と、電池内圧上昇時に破砕する破砕溝23a・25aがそれぞれ設けられた一対の防爆弁23・25と、一対の防爆弁23・25の外周部相互の導通を防止する絶縁板24と、ガス抜き孔26aが設けられた、正極板と電気的に接続される端子プレート26と、を備えている。この技術では、電池内圧上昇時には、まず一対の防爆弁23・25間の電気的接触が切断されて、弁キャップ21への通電が遮断される。さらに電池内圧が上昇すると、防爆弁23・25にそれぞれ設けられた破砕溝23a・25aが破砕されて穴が形成され、ガス抜き孔26a、一対の防爆弁23・25にそれぞれ形成された穴、及びガス抜き孔21aを経由して、電池内のガスが電池外部へと排出されるようになる。
【0006】
また、電池の安全性の向上に関する技術としては、下記特許文献1〜3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-287567号公報
【特許文献2】特開2004-335287号公報
【特許文献3】特開平9-120811号公報
【0008】
特許文献1は、バッテリターミナルの傷によって形成された解放部は、内部バッテリ圧力が所定のバッテリ作動範囲を超えた場合に破裂し、遮断可能な電気コネクタが破壊して、コネクタプレートとバッテリターミナルとの間の電気的接続を切断するバッテリ相互接続ステムに関する技術を開示している。この技術によると、バッテリパックからセルを同時に切断してそれによってセルを隔離するための手段を備えたバッテリの解放の特性を一体化するためのシステムが実現できるとされる。
【0009】
特許文献2は、封口板には、繋ぎ部で分断された環状の溝が形成されており、繋ぎ部が、少なくとも2箇所に設けられる技術を開示している。この技術によると、電池の内圧が異常上昇した場合には確実に溝での破断が生じる一方、小さな衝撃では溝での破断が不用意には生じない非水二次電池が実現できるとされる。
【0010】
特許文献3は、開弁と閉弁を繰り返しできる自己復帰可能な第1安全弁と、ヒンジ部を残して環状に形成されたスリット及びこのスリットを気密に閉塞する熱可塑性樹脂で構成された自己復帰しない第2安全弁とを備える安全弁を開示し、この安全弁は、第2安全弁の開弁圧力は、第1安全弁よりも高くて、電池ケースの封口部が破損する圧力よりも低く設定され、かつ、第2安全弁は、熱可塑性樹脂が破壊されてスリットで囲まれた部分がヒンジ部で折曲されて開弁することを開示している。この技術によると、自己復帰する第1安全弁でもって、電池内圧が上昇した後も再使用でき、さらに、自己復帰しない第2安全弁でもって、電池ケースの破裂を有効に防止できるとされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、電池のさらなる高エネルギー密度化に伴い、電池異常時における電池温度及び電池内圧は、より急激に上昇する可能性が高まっている。このため、上記のような封口体を用いても、急激な圧力上昇にガス排気能力が十分に追随出来なくなるおそれがあるとともに、電池温度上昇によって外装缶の強度が低下し、これらにより外装缶の側壁に亀裂が発生してしまうおそれがある。この亀裂からガスや電解液が流出すると、周囲に配された部材の異常を引き起こす危険性がある。
【0012】
また、電池駆動自動車の駆動電源や家庭用蓄電システム等においては、単電池を複数直列及び/又は並列に接続した組電池が使用される。組電池を構成する単電池の外装缶の側壁に亀裂が生じてガスや電解液が流出すると、当該単電池の周囲に配された他の単電池の燃焼リスク等が高まってしまう。これらの理由から、外装缶の側壁に亀裂が生じることを防止することが必要となってきている。しかしながら、上記各技術は、このような問題を何ら考慮していない。
【0013】
本発明は上記課題を解決するものであり、外装缶の側壁に亀裂を生じさせることなく電池内部のガスを排出できる密閉型電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、有底円筒状の外装缶の開口部が、絶縁ガスケットを介して封口板によりカシメ封口された密閉型電池であって、前記封口板には、電池内圧上昇時に前記封口板の変形の起点となる薄肉部を備え、電池内圧上昇時には、前記封口板の変形により前記絶縁ガスケットと前記封口板との間に隙間が生じて、前記外装缶内部のガスが前記外装缶外部に排出されることを特徴とする。
【0015】
上記構成による効果を、図1、2を用いて説明する。図1は、本発明に係る密閉型電池の断面図であり、図2は、本発明に係る密閉型電池の封口部分の内圧上昇による変形を説明する図である。
【0016】
本発明に係る密閉型電池の封口板10には、図1、2に示すように、他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部10aが設けられており、これにより当該部分の強度が弱められている。このため、電池内圧上昇時には、薄肉部10aを起点に封口板10が変形する(図2(a)、(b)参照)。そして、封口板10の変形が進行すると、絶縁ガスケット11と封口板10との接触が緩み、封口板10と絶縁ガスケット11との間にガス排出可能な隙間が生じる(図2(c)、(d)参照)。これにより、速やかに電池に大きな開口部が形成されるので、急速にガスが発生してもガス排気能力が十分に追随できる。よって、開口形成後に外装缶5の側壁に内圧によるダメージが加わるおそれがなく、外装缶5の側壁での亀裂発生を顕著に抑制できる。これにより、外装缶5内部のガスや電解液の排出方向を封口板10側のみに誘導できる。このため、外装缶10の側壁方向に隣接する部材に悪影響を及ぼすことが防止され、例えば本発明に係る密閉型電池を組電池に使用する場合、一つの単電池に異常が発生しても、組電池を構成する他の単電池の安全性を害することが防止される。
【0017】
上記構成において、前記封口板は、一枚の板状部材により構成されている。封口板10が一枚の板状部材であると、内圧上昇時に封口板10を変形させ易くなり、絶縁ガスケット11からの離脱をより速めることができるとともに、封口板10の製造が簡便となる。
【0018】
ここで、一枚の板状部材とは、実質的に一枚の板より構成されていればよく、例えば複数の材料が貼りあわされ、一体化された一枚のクラッド材により構成されていてもよい。また、板状部材は、厚みが一定であってもよく、厚みの変化があってもよく、強度を高める等の目的で1又は2以上の段差部10bが形成されていてもよい。また、電池外の要素との接続の接点となる部材等が、部分的に付加されている構成であってもよい。
【0019】
上記構成において、前記封口板は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成とすることができる。アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量で変形し易く、且つ電解液に対する耐性が高いので、封口板の材料として好適である。
【0020】
上記構成において、前記外装缶の側壁には、電池軸方向に突出した溝入れ部が設けられ、前記薄肉部は、前記溝入れ部よりも内周側に設けられている構成とすることができる。
【0021】
カシメ封口を行う場合、外装缶5の側壁に電池軸方向に突出した溝入れ部5aが設けられることが多いが、溝入れ部5aよりも外側の封口板部分には、電池内部の圧力がほとんど作用しないので、この部分に薄肉部10aを設けた場合には、本発明の効果が小さくなるおそれがある。このため、溝入れ部5aを形成する場合、薄肉部10aは、溝入れ部5aよりも内側の封口板部分を含んで設けられることが好ましく、溝入れ部5aよりも内側の封口板部分のみに設けることがより好ましい。
【0022】
また、封口板10の全体が、外装缶5の天面よりも低い位置にある構成とすることが好ましい。封口板10の全体が、外装缶5の天面よりも低い位置にあると、スペース効率を高めることができるとともに、封口板10に直接衝撃が作用することを抑制できるので、封口板10の無用な変形を抑制できる。
【0023】
なお、図1では、電池内方に凸の段差部10bを設けることにより上記構成を達成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、封口板10は、段差のない平坦な構成であってもよく、電池外方に凸の段差部を備えていてもよい。また、同一方向に凸又は異なる方向に凸の複数の段差部を備えた構成であってもよい。
【0024】
上記構成において、電池内圧上昇の進行により、前記封口板は前記外装缶から完全に離脱する構成とすることができる。この構成によると、ガス排出を行う開口面積を非常に大きくできるため、好ましい。
【0025】
上記構成において、前記密閉型電池は、正極板を有するリチウムイオン二次電池であり、前記正極板は、一般式LiNi1−y(0.95≦x≦1.10、MはCo、Mn、Cr、Fe、Mg、TiおよびAlの少なくとも1種類、0.6≦y≦0.95)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として含み、前記密閉型電池の体積エネルギー密度が、500Wh/L以上である構成とすることができる。
【0026】
上記リチウムニッケル複合酸化物は、従来よりリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用されているリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)よりも容量が大きく、エネルギー密度が高く、且つ安価であるので、体積エネルギー密度が、500Wh/L以上の高エネルギー密度の電池を低コストで得ることができる。ところで、リチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には、リチウムコバルト複合酸化物を用いた場合よりも、電池の異常時におけるガスの発生量が多量となるという問題がある。しかし、本発明の構成を採用することにより、上記のようなガスが急速に発生する電池においても、外装缶の側壁に亀裂が生じることを抑制することができる。ここで、上記リチウムニッケル複合酸化物の質量は、正極活物質全質量の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
【0027】
ここで、薄肉部10aの個数は、図3〜5に示すように、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、薄肉部の平面形状は特に限定されることはなく、例えば、直線状や曲線状のような線状であってもよく、多角形、円形、その他不定形のような平面状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の薄肉部を設ける場合、これらの配置は規則的(同一サイズで等間隔)であってもよく、長さや間隔が異なるランダム配置であってもよく、一部が重なるような配置であってもよい。
【0028】
例えば、薄肉部10aは、図3に示すように、1又は複数本の直線状である構成とすることができる。ここで、直線状は、図3(a)に示すように封口板10の直径に沿った直線状であってもよく、図3(b)に示すように封口板10の直径に沿わない直線状であってもよい。また、複数本の直線状を設ける場合、図3(c)に示すように、封口板10に均等に(等間隔に)配置されている構成であってもよく、図3(d)に示すように不均等に(ランダムに)配置されている構成であってもよい。
【0029】
また、薄肉部10aは、図4に示すように、1又は複数本の曲線状である構成とすることができる。ここで、曲線状は、封口板10の外周線と同心円状(図4(a)参照)や同心円弧状(図4(b)参照)であってもよく、封口板10の外周線と同心円状ではない1又は複数の曲線状あってもよい(図4(c)、(d)参照)。
【0030】
また、薄肉部10aは、図5に示すように、平面状である構成とすることができる。平面形状は特に限定されず、多角形(図5(a)参照)、円形、楕円形、扇形、その他不定形(図5(b)参照)とすることができる。また、図5(c)、(d)に示すように、薄肉部は、直線状、曲線状、平面状の組み合わせとしてもよい。また、複数の薄肉部10aは、一部が重なり合っている構成であってもよく(図5(c)参照)、重なり合わない構成(図5(d)参照)であってもよい。
【0031】
また、薄肉部の断面形状は特に限定されることはない。例えば、線状の薄肉部の場合、断面形状は、V字(三角形)状、四角形状、U字状、半円状等の凹部によるものとすることができ、溝深さは一定であってもよく、変化していてもよい。また、平面状の薄肉部の場合、封口板面に平行な平坦面を備える構成であってもよく、規則的な凹凸や不規則な凹凸を有する凹凸面を備える構成であってもよい。なお、薄肉部の破断が生じないように、凹部の角部を鈍角ないしRを付けた構成としたり、薄肉部を電池内がわ面に形成した凹部からなる構成としたり、薄肉部の残肉厚を破断し難い厚みとしたりすることが好ましい。
【0032】
ここで、薄肉部10aは、図3〜5、図7(b)に示すように、封口板10の電池内がわ面に凹部を設けることにより形成してもよいが、図6(a)、(b)、図7(a)に示すように、封口板10の電池外がわ面に凹部を設けることにより形成してもよい。さらに、図6(c)、(d)、図7(c)、(d)に示すように、封口板10の両面に凹部を設けることにより形成してもよい。ここで、図6では、電池外がわ面に凹部を設けた場合には破線で薄肉部10aを示している。封口板10の両面に凹部を形成する場合、封口板10を平面透視したときに、両面に形成された凹部が一致するように配置してもよく(図7(d)参照)、両面に形成された凹部が重ならないように配置してもよく(図6(c)、図7(c)参照)、両面に形成された凹部の一部が重なるように配置してもよい(図6(d)参照)。
【0033】
また、薄肉部10aの配置は、特に限定されることはない。しかしながら、絶縁ガスケット11によりかしめられた部分は、内圧上昇時に変形することがないので、この部分に薄肉部が設けられていた場合、本発明でいう電池内圧上昇時に封口板の変形の起点となる薄肉部には該当しない。すなわち、絶縁ガスケット11によりかしめられていない封口板部分に、薄肉部10aの少なくとも一部が存在するようにすることが必須である。また、かしめられた部分に薄肉部が存在すると、封口信頼性を害するおそれがあるので、封口板10のかしめられた部分には、薄肉の部分が存在しないようにすることが好ましい。また、封口板10に段差部10bを設ける場合、段差部10bよりも外側部分に薄肉部10aの少なくとも一部が存在するようにすることが好ましい。
【0034】
また、薄肉部の形成方法は、特に限定されないが、プレス加工により形成することが簡便であり好ましい。
【0035】
また、封口板は、電池の正負電極のいずれか一方の外部端子を兼ねる構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、電池構造を簡略化できる。また、外装缶は、他方の外部端子を兼ねる構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
上記本発明によると、封口板側のみからガスを排出できる密閉型電池を実現できる。この密閉型電池は、外装缶の側壁がわに配置された部材に悪影響を与えることがなく、たとえば組電池に適用した場合に、他の電池の安全性を阻害することがない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明に係る密閉型電池の断面図である。
図2図2は、本発明に係る密閉型電池の封口部分の内圧上昇による変形を説明する部分拡大断面図である。
図3図3は、封口板の薄肉部配置例を示す底面図である。
図4図4は、封口板の薄肉部配置の変形例を示す底面図である。
図5図5は、封口板の薄肉部配置のさらなる変形例を示す底面図である。
図6図6は、封口板の少なくとも電池外がわ面に薄肉部が設けられた場合の薄肉部配置の底面透視図である。
図7図7は、封口板の薄肉部配置の変形例を示す断面図である。
図8図8は、実施例での封口板の薄肉部配置を示す底面図であり、図8(a)は実施例1〜3、図8(b)は実施例4〜6、図8(c)は実施例7〜9、図8(d)は実施例10〜12、図8(e)は実施例13〜15、をそれぞれ示す。
図9】従来構造の封口体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施の形態1)
本発明を実施するための形態を、本発明をリチウムイオン二次電池に適用した例を用いて、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る密閉型電池の断面図であり、図2は、本発明に係る密閉型電池の封口部分の内圧上昇による変形を説明する部分拡大断面図である。
【0039】
本実施の形態に係る非水電解質二次電池は、図1に示すように、正極板1と負極板2とがセパレータ3を介して渦巻き状に巻回された捲回電極群4を備えている。捲回電極群4は、上下にそれぞれ絶縁板6・7が配置され、有底円筒形の金属製外装缶5の内部に収容されている。そして、外装缶5の内部には非水電解液(図示せず)が注液されており、外装缶5の開口部は、ガスケット11を介して封口板10でカシメ封口されて密閉されている。負極板2のリード9は外装缶5の内側底部に溶接され、正極板1のリード8は、封口板10の下面に溶接されている。これにより、外装缶5が負極外部端子、封口板10が正極外部端子としてそれぞれ機能する。なお、上部絶縁板6は、外装缶5の側壁に形成された溝入れ部5aによってその周縁部が保持され、捲回電極群4を上部から固定している。
【0040】
また、図1,2に示すように、封口板10には、他の部分よりも板厚の薄い薄肉部10aが設けられており、これにより薄肉部10aの強度が低くなっている。このため、電池内圧上昇時には、薄肉部10aを起点に封口板10が変形する(図2(a)、(b)参照)。そして、封口板10の変形が進行すると、絶縁ガスケット11と封口板10とのカシメ封口が緩み、封口板10と絶縁ガスケット11との間にガス排出可能な隙間が生じる(図2(c)、(d)参照)。さらに電池内圧の上昇が進行すると、封口板10が外装缶5から離脱する。よって、速やかに電池に大きな開口部が形成されるので、急速にガスが発生してもガス排気能力が十分に追随でき、開口形成後に外装缶5の側壁に内圧によるダメージが加わるおそれがなく、外装缶5の側壁での亀裂発生を抑制できる。これにより、外装缶内部のガスや電解液の排出方向を封口板側のみに誘導できる。このため、外装缶側壁方向に隣接する部材に悪影響を及ぼすことが防止され、例えば本発明に係る密閉型電池を組電池に使用する場合、一つの単電池に異常が発生しても、組電池を構成する他の電池の安全性を害することが防止される。
【0041】
封口板10は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる一枚の板状部材により構成されていることが好ましい。封口板が一枚の板状部材であると、電池内圧上昇時に封口板10を変形させ易くなるとともに、封口板10の製造が簡便となる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量で変形し易く、且つ電解液に対する耐性が高いので、封口板10の材料として好適である。なお、本発明の機能を害さない範囲において、封口板に他の部材が取り付けられていてもよい。
【0042】
また、外装缶5の側壁には、電池軸方向に突出した溝入れ部5aが設けられている。そして、絶縁ガスケット11は溝入れ部5aよりも上側に配され、封口板10を固定している。ここで、封口板10の薄肉部10aは、溝入れ部5aよりも内周側に設けられている。これは、溝入れ部5aよりも外側の封口板10部分に薄肉部10aを設けても変形促進効果が小さいためである。
【0043】
また、封口板10の全体が、外装缶5の天面よりも低い位置にある構成とすることが好ましい。封口板10の全体が、外装缶5の天面よりも低い位置にあると、スペース効率を高めることができるとともに、封口板10に直接衝撃が作用することを抑制できるので、封口板10の無用な変形を抑制できる。なお、封口板10は、段差のない平坦な構成であってもよく、図1に示すように段差部10bの有る構成であってもよい。また、段差部10bを設ける場合、段差の方向は図1に示すように電池内方に凸であってもよく、電池外方に凸であってもよく、同一方向に凸又は異なる方向に凸の複数の段差部を備えた構成であってもよい。なお、段差部10bを設けることにより、封口板10の強度を高めることができる。
【0044】
また、薄肉部の個数は、図3〜5に示すように、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、薄肉部の平面形状は特に限定されることはなく、例えば、直線状や曲線状のような線状であってもよく、多角形、円形、その他不定形のような平面状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の薄肉部を設ける場合、これらの配置は規則的(同一サイズで等間隔)であってもよく、長さや間隔が異なるランダム配置であってもよく、一部が重なるような配置であってもよい。
【0045】
図3〜5は、それぞれ、封口板の薄肉部配置例を示す底面図であり、図6は、封口板の少なくとも電池内側面に薄肉部が設けられた場合の薄肉部配置の底面透視図であり、図7は、封口板の薄肉部配置の変形例を示す断面図である。例えば、薄肉部10aは、図3に示すように、1又は複数本の直線状である構成とすることができる。ここで、直線状は、図3(a)に示すように封口板10の直径に沿った直線状であってもよく、図3(b)に示すように封口板10の直径に沿わない直線状であってもよい。また、複数本の直線状を設ける場合、図3(c)に示すように、封口板10に均等に配置されている構成であってもよく、図3(d)に示すように不均等に配置されている構成であってもよい。
【0046】
また、薄肉部10aは、例えば、図4に示すように、1又は複数本の曲線状である構成とすることができる。ここで、曲線状は、図4(a)、(b)に示すように封口板10の外周線と同心円状や同心円弧状であってもよく、図4(c)、(d)に示すように封口板10の外周線と同心円状ではないランダムな曲線状あってもよい。
【0047】
また、薄肉部10aは、例えば、図5に示すように、平面状である構成とすることができる。平面形状は特に限定されず、多角形(図5(a)参照)、円形、楕円形、扇形、その他不定形(図5(b)参照)とすることができる。また、図5(c)、(d)に示すように、直線状、曲線状、平面状の組み合わせとしてもよい。また、複数の薄肉部10aは、重なり合っている構成であってもよく(図5(c)参照)、重なり合わない構成(図5(d)参照)であってもよい。
【0048】
ここで、薄肉部10aは、図3〜5、図7(b)に示すように、封口板10の電池内がわ面に凹部を設けることにより形成してもよいが、図6(a)、(b)、図7(a)に示すように、封口板10の電池外がわ面に凹部を設けることにより形成してもよい。さらに、図6(c)、(d)、図7(c)、(d)に示すように、封口板10の両面に凹部を設けることにより形成してもよい。封口板10の両面に凹部を形成する場合、封口板10を平面透視したときに、両面に形成された凹部が一致するように配置してもよく(図7(d)参照)、両面に形成された凹部が重ならないように配置してもよく(図6(c)、図7(c)参照)、両面に形成された凹部の一部が重なるように配置してもよい(図6(d)参照)。
【0049】
また、薄肉部10aの配置は、特に限定されることはないが、封口板10に段差部10bを設ける場合、段差部10bよりも外側部分に薄肉部10aの少なくとも一部が存在するようにすることが好ましい。
【0050】
また、薄肉部の断面形状は特に限定されることはない。例えば、線状の薄肉部の場合、断面形状は、V字(三角形)状、四角形状、U字状、半円状等の凹部によるものとすることができ、溝深さは一定であってもよく、変化していてもよい。また、平面状の薄肉部の場合、封口板面に平行な平坦面を備える構成であってもよく、規則的な凹凸や不規則な凹凸を有する凹凸面を備える構成であってもよい。なお、薄肉部の破断が生じないように、凹部の角部を鈍角ないしRを付けた構成としたり、凹部を電池内がわ面に形成したり、薄肉部の残肉厚を破断し難い厚みとしたりすることが好ましい。
【0051】
次に、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【0052】
(実施例1)
<正極の作製>
リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)からなる正極活物質と、アセチレンブラックからなる導電剤と、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる結着剤とを、質量比100:2.5:1.7の割合で量り採り、これらをN−メチル−2−ピロリドンからなる有機溶剤と混合し、正極活物質ペーストを調製した。
【0053】
次に、ドクターブレードを用いて、アルミニウム箔(厚み:15μm)からなる正極集電体の両面に、この正極活物質ペーストを均一な厚みで塗布した。
【0054】
この極板を乾燥機内に通して上記有機溶剤を除去し、乾燥極板を作製した。この乾燥極板を、ロールプレス機を用いて圧延し、裁断した。この後、正極活物質ペーストが塗布されていない正極集電体部分に、アルミニウムからなる正極リード8を超音波溶接により取り付けて、長さ573mm、幅57mm、厚み163μmの正極板1を作製した。
【0055】
<負極の作製>
易黒鉛化炭素粒子からなる負極活物質と、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)からなる結着剤とを、カルボキシメチルセルロースからなる増粘剤とを、質量比100:0.6:1の割合で混合し、これらを適量の水と混合し、負極活物質ペーストを調製した。
【0056】
次に、ドクターブレードを用いて、銅箔(厚み:10μm)からなる負極集電体の両面に、この負極活物質ペーストを均一な厚さで塗布した。
【0057】
この極板を乾燥機内に通して水分を除去し、乾燥極板を作製した。その後、この乾燥極板を、ロールプレス機により圧延し、裁断した。この後、負極活物質ペーストが塗布されていない負極集電体部分に、ニッケルからなる負極リード9を超音波溶接により取り付けて、負極板2を作製した。
【0058】
<電極群の作製>
上記正極と負極とポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータ3とを、巻き取り機により捲回し、絶縁性の巻き止めテープを設け、巻回電極群4を完成させた。
【0059】
〈封口板の作製〉
厚み0.8mmの円盤状のアルミニウム板をプレス加工して、電池内方となる面に設けられた凹部(深さ0.2mm)からなる薄肉部10a(残肉厚0.6mm)と、電池内方に突出した段差部10bと、が形成された、直径16.59mmの封口板10を作製した。図8は、実施例での封口体の薄肉部配置を示す底面図であり、薄肉部の形状及び配置は、図8(a)に示すとおりである。また、薄肉部10aの長さは1.5mm、幅は0.5mm、断面形状はV字状、封口板外周縁からの距離は2.0mmである。
【0060】
<非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、を体積比2:2:6の割合(1気圧、25℃と換算した場合における)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1.0M(モル/リットル)の割合で溶解したものを非水電解質とした。
【0061】
<電池の組み立て>
上記電極群4の上下にポリプロピレン製の絶縁板6・7を置き、電極群4を外装缶5内に収容し、負極リード9と円筒形外装缶5の缶底とを抵抗溶接した。この後、塑性加工により、外装缶5に幅1.0mm、深さ1.5mmの円周状の溝入れ部5aを形成し、上記非水電解質を円筒形外装缶5内に注液した。この後、封口板10と正極リード8とをレーザ溶接した。外装缶5の開口部を、ガスケット11が挿入された封口板10を用いてカシメ加工して封止し、高さ65mm、直径18mmの実施例1に係る密閉型電池を作製した。なお、円筒形外装缶の材質は、鉄鋼板にニッケルメッキが施されたものであり、その厚みは、缶底面で0.3mm、側壁面で0.25mmである。また、この電池の体積エネルギー密度は、600Wh/Lであった。
【0062】
(実施例2〜15)
表1に示すように、薄肉部の配置、数、残肉厚を変化させたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2〜15に係る密閉型電池を作製した。なお、実施例2,3の薄肉部10aの長さ、封口体外周縁からの距離は、いずれも実施例1と同様である。また、実施例2〜15は、いずれも、溝の幅が0.5mmであり、溝の断面形状はV字状である。
また、実施例4〜6の薄肉部10aの長さは1.5mm、封口体外周縁からの距離は2.0mmである。
また、実施例7〜9の薄肉部10aは、封口体外周縁からの距離が2.5mmの同心円状である。
また、実施例10〜12の薄肉部10aのうち、曲線状のものについては、封口体外周縁からの距離が2.5mmの同心円状であり、直線状のものについては、長さは1.0mm、封口体外周縁からの距離は2.0mmであり、直線状の薄肉部10aの中点で、曲線状の薄肉部と交わっている。
また、実施例13〜15の薄肉部10aのうち、曲線状のものについては、封口体外周縁からの距離が2.5mmの同心円弧状であり、中心角は20°であり、直線状のものについては、長さは1.0mm、封口体外周縁からの距離は2.0mmであり、同心円弧状の薄肉部10aの中点で、直線状の薄肉部の外周側端部と交わっている。
【0063】
(比較例1)
図9に示すように、一対の防爆弁23・25を有する従来構造の封口体を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る密閉型電池を作製した。一対の防爆弁23・25の破砕溝23a・25aの残肉厚は、破砕溝23aでは0.04mm、破砕溝25aでは0.03mmである。
【0064】
〔安全性試験〕
上記実施例1〜15および比較例1に係る密閉型電池をそれぞれ10個用意し、これらの電池を室温(25℃)雰囲気下、定電流1500mAで電圧が4.2Vとなるまで充電した。この後、電池を200℃に設定したホットプレート上において加熱した。この時の封口板又は封口体の外装缶からの離脱の有無及び外装缶側壁の亀裂の発生の有無を目視にて確認し、この結果を下記表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
上記表1から、一枚のアルミニウム板からなり、薄肉部10aが形成された封口板10を用いて封口した実施例1〜15は、側壁の亀裂発生数が0〜2であるのに対し、従来の複数部材を用いてなる封口体を用いて封口した比較例1は、側壁の亀裂数が9であり、実施例では側壁の亀裂数が顕著に抑制されていることが分かる。
【0067】
このことは、次のように考えられる。実施例では、電池内圧が上昇すると、封口板10が強度の低い薄肉部10aを起点として速やかに変形し、これによりガスケット11と封口板10との接触が緩んでガス排出可能な隙間が生じ、最終的には全ての電池において封口板10が外装缶5から完全に離脱する(図2参照)。これにより、速やかに電池に大きな開口部が形成されるので、急速にガスが発生してもガス排気能力が十分に追随でき、弁作動(封口板離脱)後に外装缶の側壁にダメージが加わるおそれがない。
【0068】
この一方、比較例1では、電池内圧が上昇すると、一対の防爆弁23・25の導電接触が外れて電流遮断を行い、その後防爆弁23・25の破砕溝が破れてガス排出経路が確保される。このガス排出経路は実施例よりも小さく、且つより高い圧力とならないとガス排出経路が形成されないので、ガス排出の勢いが高い場合には、外装缶5の側壁がダメージを受けるおそれが実施例よりも高くなる。このため、比較例1では、外装缶5の側壁に亀裂が入ることを十分に抑制できない。ここで、外装缶5の側壁に亀裂が入ると、当該亀裂からガスや電解液が漏れ出すので、異常発生した電池の周囲に存在する部材や電池等に悪影響を及ぼすおそれがある。なお、比較例1に係る電池の全てにおいて、破砕溝23a・25aの破砕が確認された。
【0069】
また、実施例1〜15から、薄肉部10aの残肉厚が小さくなるに伴い、亀裂発生数が減少する傾向にあることが分かる。これは、薄肉部10aの残肉厚が小さくなるに伴い、電池内圧上昇により速やかに封口板10が変形でき、これによりガスケット11と封口板10との間の隙間形成や封口板10の離脱が速やかに行われるためと考えられる。
【0070】
また、実施例1〜15から、封口板10に薄肉部10aが設けられていれば、その平面形状や配置(直線状、円周状、円弧状、これらの組み合わせ)によらず十分な効果が得られることが分かる。
【0071】
以上の試験結果から、本発明によると、安全性が向上したガス排出弁付き封口板を備えた密閉型電池を、溶接による変形を招くことなく実現できることが分かった。
【0072】
(追加事項)
上記では、非水電解質二次電池に本発明を適用した例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニッケル−水素蓄電池やニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池に本発明を適用することができる。
【0073】
非水電解質二次電池に本発明を適用する場合、電池の構成材料としては次のような公知の材料を使用できる。以下にその具体例を示す。
【0074】
本発明に用いる正極板は、箔状(薄板状)の正極集電体上に正極活物質層を形成することで構成することができる。正極集電体の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン、チタン合金等を用いることができるが、中でもアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることが電気化学的な溶出等が起こりにくいことから好ましい。
【0075】
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物、例えばコバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムから選ばれる少なくとも一種の金属と、リチウムと、を含んだ複合酸化物が使用できる。中でも、一般式LiNi1−y(0.95≦x≦1.10、MはCo、Mn、Cr、Fe、Mg、TiおよびAlの少なくとも1種類、0.6≦y≦0.95)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いることが好ましい。
【0076】
また、本発明で用いる負極板は、負極集電体上に負極活物質層を形成することで構成することができる。負極集電体の材料としては、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができるが、中でも銅、銅合金、ニッケルまたはニッケル合金とすることが電気化学的な溶出等が起こりにくいことから好ましい。
【0077】
また、負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出し得る炭素材料、例えば、天然黒鉛や球状又は繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)などの炭素料や、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化物材料、ケイ素、シリサイドなどのケイ素含有化合物などを用いることができる。
【0078】
また、セパレータとしては、ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜を用いることができ、ポリオレフィン系材料と耐熱性材料を組み合わせたものを用いることが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などが例示できる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。耐熱性材料としては、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂、または、耐熱性樹脂と無機フィラーの混合体を用いることができる。
【0079】
また、非水電解質は、非水溶媒にリチウム塩を溶解することにより調製される。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート等が一種単独で、又は複数種混合して用いられる。また、リチウム塩としては、電子吸引性の強いリチウム塩、例えば、LiPF、LiBF、LiClOなどが一種単独で、又は複数種混合して使用される。非水電解質には、ビニレンカーボネート等の公知の添加材を添加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明によると、外装缶の側壁がわにガスや電解液が漏れることを抑制し得たガス排出を行うことのできる密閉型電池を提供できる。よって、産業上の意義は大きい。
【符号の説明】
【0081】
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
4 捲回電極群
5 外装缶
5a 溝入れ部
6 上部絶縁板
7 下部絶縁板
8 正極リード
9 負極リード
10 封口板
10a 薄肉部
10b 段差部
11 絶縁ガスケット
21 弁キャップ
21a ガス抜き穴
22 PTCサーミスタ
23 防爆弁
23a 破砕溝
24 絶縁板
25 防爆弁
25a 破砕溝
26 端子プレート
26a ガス抜き孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9