特許第6251206号(P6251206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6251206
(24)【登録日】2017年12月1日
(45)【発行日】2017年12月20日
(54)【発明の名称】光送受信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20171211BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20171211BHJP
【FI】
   H04B10/27
   H04J14/02
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-29944(P2015-29944)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-152559(P2016-152559A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土居 芳行
(72)【発明者】
【氏名】小熊 学
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴晴
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−154160(JP,A)
【文献】 特開2012−080538(JP,A)
【文献】 特開2005−244261(JP,A)
【文献】 特開2001−358697(JP,A)
【文献】 特開平07−098424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数間隔ΔFを有するMチャネルの多波長光源をN組と、
前記Mチャネルを合波したMチャネル波長多重光であって前記N組の多波長光源のうちのN/2組の多波長光源の各々からのN/2組のMチャネル波長多重光を、第一のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、第二のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第一の周期性波長合分波素子と、
前記N組の多波長光源のうちの他のN/2組の多波長光源の各々からのN/2組のMチャネル波長多重光を、前記第二のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、前記第一のM×N/2チャネル波長多重光を前記N/2組のMチャネル波長多重光に分波する第二の周期性波長合分波素子と、
前記第一の周期性波長合分波素子により分波されたN/2組のMチャネル多波長光を受光するN/2組の多波長受光素子および前記第二の周期性波長合分波素子により分波されたN/2組のMチャネル多波長光を受光する他のN/2組の多波長受光素子と
を有し、
前記第一の周期性波長合分波素子の周期と前記第二の周期性波長合分波素子の周期が前記多波長光源の前記周波数間隔ΔFに等しく構成されている
ことを特徴とする光送受信システム。
【請求項2】
前記Mチャネルの多波長光源は、
隣接する組の周波数が全体的にΔfシフトしており、
N組の間隔積Δf×(N−1)が前記多波長受光素子における波長分波素子の透過帯域Bより小さいこと
を特徴とする請求項1に記載の光送受信システム。
【請求項3】
前記Mチャネルの多波長光源は、
N組の間隔積Δf×(N−1)が600GHz以内であること
を特徴とする請求項1に記載の光送受信システム。
【請求項4】
前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子はアレイ導波路格子であること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光送受信システム。
【請求項5】
前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子はポート間隔がΔfであり、
前記ポート間隔の積Δf×(N−1)は、前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子の周期性ΔFの2分の1以下である
ことを特徴とする請求項4に記載の光送受信システム。
【請求項6】
前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子は、同一である
ことを特徴とする請求項4に記載の光送受信システム。
【請求項7】
前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子は、
前記Mチャネル波長多重光を入出力するN本の入出力チャネル導波路と、
前記N本の入出力チャネル導波路に接続された入出力スラブ導波路と、
前記入出力スラブ導波路に前記N本の入出力チャネル導波路と共に接続された、前記Mチャネル波長多重光の波長を検出し制御するためのモニタ導波路と、
前記入出力スラブ導波路とアレイ導波路で接続された波長多重スラブ導波路と、
前記波長多重スラブ導波路に接続された波長多重導波路と、
前記波長多重スラブ導波路に前記波長多重導波路と共に接続された、出力される前記M×N/2チャネル波長多重光の一部を前記波長多重スラブ導波路に再入力するためのループバック導波路と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の光送受信システム。
【請求項8】
前記第一の周期性波長合分波素子および前記第二の周期性波長合分波素子は、
前記波長多重導波路が接続された、
前記M×N/2チャネル波長多重光の一部を抽出するタップ回路を備え、
前記抽出されたM×N/2チャネル波長多重光の一部が前記ループバック導波路に接続されること
を特徴とする請求項7に記載の光送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として光ファイバ通信に適用される光モジュールを用いた光送受信システムの構成に関する。さらに詳しくは、波長多重通信を用いたテレコムおよびデータコム伝送を行うための光送受信システムおよびその光回路の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光ファイバ通信技術の著しい発展、とりわけデータセンタ間通信に代表されるデータコム市場において光リンクのスループットが飛躍的に増大している。現在、100ギガビットイーサネット(登録商標)(100GbE)における伝送距離10kmの規格では、シングルモードファイバによる波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)伝送を用いた構成が仕様化されている(1波あたり25Gb/sのボーレート)。今後、伝送容量を拡大する次世代構成として400ギガビットイーサネット(400GbE)規格が注目されており、現在はその物理構成についての提案が活発に行われている。
【0003】
100GbEの10km伝送仕様における4波WDM伝送は、LAN−WDMと呼ばれる周波数配置が適用されている。すなわち、周波数間隔ΔFが800GHzの4波配置であり、各波長(レーン)における使用帯域(パスバンド)Bは360GHzとなっている。また各レーンの中心波長は、レーン0が1295.56nm、レーン1が1300.05nm、レーン2が1304.58nm、レーン3が1309.14nmと指定されている。ファイバ芯数は送信用と受信用にそれぞれ一芯の、計二芯を使用する。
【0004】
一方、企業向け専用線通信等で導入されている広域イーサネット回線ないし高速光アクセスシステムのPON(Passive Optical Network)においては一芯ファイバ、すなわち送受兼用のシステム構成が用いられている。一芯双方向通信を全二重通信(送受での時分割複信を行わない)によって実現する主な手法としては、各端局の光リンク内にサーキュレータやアイソレータ等の非可逆回路を設ける手法、および送受信で異なる波長を用いる波長多重通信による手法が挙げられる(例えば、特許文献1の図4参照)。前者の非可逆回路を用いる場合は、送受信に同一の光波長を使用できる等の経済的利点を有するものの、リンク内における反射戻り光や光ファイバ中の散乱光(誘導ブリルアン散乱など)による品質変動が発生するため、最大光出力を抑圧する(伝送距離を短くする)などの対策が必要である。後者、すなわち波長多重通信を行うシステムは、戻り光や散乱の影響を受けにくいため柔軟なシステム設計が可能であるが、多種の波長を収容するための光源や受光素子、波長フィルタ等が必要となるため、可能な限り部品を共通化することが経済化のためには重要である。以下、本出願は、波長多重通信を用いた一芯多重化に関する提案である。
【0005】
図12は、特許文献1の図11に開示されている、インターリーブフィルタを用いた従来の一芯双方向伝送の構成である。この光送受信システムは、下り光信号を送信する第1、第3、第5および第7の下り信号光送信器1111、1113、1115および1117と、これら第1、第3、第5および第7の下り信号光送信器1111、1113、1115および1117からそれぞれ送り出された奇数番目の波長λ1、λ3、λ5およびλ7の下り光信号を合波する下り信号多重用光合波器601と、この下り信号多重用光合波器601によって合波された奇数番目の波長λ1、λ3、λ5およびλ7の下り光信号を、偶数チャネルと奇数チャネルを分離する第1の上り下り信号合分離用光インタリーバ301から光ファイバ伝送路113および第2の上り下り信号合分離用光インタリーバ302を介して受信して分波する下り信号分波用分波器602と、下り信号分波用分波器602によって分波された奇数番目の波長λ1、λ3、λ5およびλ7の下り光信号を受信する第1、第3、第5および第7の信号光受信器1151、1153、1155および1157と、偶数番目の上り光信号を送信する第2、第4、第6および第8の上り信号光送信器1162、1164、1166および1168と、これら第2、第4、第6および第8の上り信号光送信器1162、1164、1166および1168からそれぞれ送り出された偶数番目の波長λ2、λ4、λ6およびλ8の上り光信号を合波する上り信号多重用光合波器603と、この上り信号多重用光合波器603によって合波された偶数番目の波長λ2、λ4、λ6およびλ8の上り光信号を、偶数チャネルと奇数チャネルを分離する第2の上り下り信号合分離用光インタリーバ302から光ファイバ伝送路113および第1の上り下り信号合分離用光インタリーバ301を介して受信して分波する上り信号分波用分波器604と、上り信号分波用分波器604によって分波された偶数番目の波長λ2、λ4、λ6およびλ8の上り光信号を受信する第2、第4、第6および第8の上り信号光受信器1172、1174、1176および1178とによって構成されている。この従来例は、下り光信号の4波長(λ1、λ3、λ5およびλ7)を含む第1の波長群312と上り光信号の4波長(λ2、λ4、λ6およびλ8)を含む第2の波長群313とを一組とすることで双方向システムとして機能する。各波長の伝送速度は上り下り共に10Gbpsであるとすると、総伝送容量40Gbpsを有する双方向システムとなる。
【0006】
上り下り信号合分離用光インタリーバ301および302は、たとえば400GHz間隔の波長多重(WDM)信号を800GHz間隔にインターリーブしたり、あるいは800GHz間隔の第1の波長群312とこの第1の波長群312とは400GHzずれた800GHz間隔の第2の波長群313とを400GHz間隔に波長多重(WDM)したりするものである。
【0007】
ここで図13は、信号波長と、下り信号多重用光合波器、上り信号多重用光合波器、下り信号分波用分波器および上り信号分波用分波器の透過特性の関係を表わしたものである。下り信号多重用光合波器601と下り信号分波用分波器602の透過特性は同じで、波長λ1に対しては破線611のような透過特性となっており、波長λ3に対しては破線613に示すような透過特性となっている。以下、それぞれ波長λ5に対しては破線615、波長λ7に対しては破線617に示すような透過特性となっている。上り信号多重用光合波器603および上り信号分波用分波器604についても、波長λ2に対しては破線612、波長λ4に対しては破線614、波長λ6に対しては破線616、波長λ8に対しては破線618のような透過特性である。
【0008】
なお図示は省略するが、特許文献1には、インタリーバの代わりにサーキュレータを用いることによる一芯双方向の光送受信システムも開示されている(特許文献1の図10)。
【0009】
また、波長多重化用光フィルタとして周期性を有するアレイ導波路回折格子(AWG)を用いた一芯双方向光波長分割多重伝送システムが知られている(特許文献2の図参照)。AWGの周期性とは、例えば、1×4の入出力端を有するAWGを分波器として用いる場合において、入力端側から波長λ1,λ2,λ3およびλ4(但し、λ1<λ2<λ3<λ4)の光信号及びこれらの波長λ1,λ2,λ3およびλ4の各光信号とそれぞれ同じ波長間隔にある、すなわち周回波長関係にある波長λ11,λ12,λ13およびλ14(但し、λ11<λ12<λ13<λ14)の光信号が入力された場合、各出力端(ポート)1,2,3および4側からそれぞれ波長λ1,λ2,λ3およびλ4の光信号に加えて、同一の出力端(ポート)1,2,3および4を通過することが可能となる光信号の波長として、これらの波長λ1,λ2,λ3およびλ4の各光信号とそれぞれ同じ波長間隔にある、すなわち周回波長関係にある波長λ11,λ12,λ13およびλ14の光信号を出力し得るようなフィルタ機能を意味している(出力端1から波長λ1と波長λ11が出力され、出力端2から波長λ2と波長λ12が出力され、出力端3から波長λ3と波長λ13が出力され、および出力端4から波長λ4と波長λ14が出力される。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−283438
【特許文献2】特開2003−143084
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図12に示す特許文献1の光送受信システムおよび光回路では、受信側における波長分波素子(602、604)が異なるフィルタ特性(図13)のため、両方の端局において異なるフィルタを個別に用意する必要がある。よって部品種の増加に伴う部品コストの増加だけでなく、システム構築の際に種類を区別するための稼働増加や、接続ミスなどが増加するという課題を有していた。また、例えば100GHz間隔のWDM信号を400GHzの周波数間隔を有するWDM信号に分波する際、2段のインターリーブフィルタが用いられる。また各インターリーブフィルタを誘電体多層膜やサーキュレータ等の空間光学系部品で構成する場合、光合分波システムおよび光回路の構成が複雑かつ大型化するという課題があった。
【0012】
またインターリーブフィルタを平面光回路であるPLCとすることにより小型化を行うことも考えられるが、複数段のマッハツェンダ回路を用いるため、やはりチップサイズの小型化には限界があった。
【0013】
また特許文献1に記載の、インタリーバの代わりにサーキュレータを用いることによる一芯双方向の光送受信システムにおいては、上り信号と下り信号の波長帯を同一とすることが可能であり、システムの簡素化および経済化が出来る一方、ファイバ中でのブリルアン散乱に起因する信号品質の劣化が避けられない。よって、散乱強度が増大する高い光出力での送信が困難となり、長距離伝送が出来ないという課題があった。特許文献1のシステムでは、同課題を避けるため、ブリルアン散乱のしきい値以下での使用に限定している。
【0014】
また特許文献2においては周期性AWGを使用しているものの、端局(中継局および加入者宅)においては光送信器と光受信器の分離、すなわち双方向化に光カプラを用いている。そのため、光送信器には高い非可逆回路を有するアイソレータを設置する必要があることに加え、光カプラにより50%(3dB)の過剰損失が発生するという課題があった。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型で簡易であり、かつ経済的な一芯双方向型の光送受信システムおよびその光回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために、本発明の一態様は、周波数間隔ΔFを有するMチャネルの多波長光源をN組と、上記Mチャネルを合波したMチャネル波長多重光であって上記N/2組の多波長光源の各々からのN/2組のMチャネル波長多重光を、第一のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、第二のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第一の周期性波長合分波素子と、上記N組の多波長光源のうちの他のN/2組の多波長光源の各々からのN/2組のMチャネル波長多重光を、上記第二のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、上記第一のM×N/2チャネル波長多重光を上記N/2組のMチャネル波長多重光に分波する第二の周期性波長合分波素子と、上記第一の周期性波長合分波素子により分波されたN/2組のMチャネル多波長光を受光するN/2組の多波長受光素子および上記第二の周期性波長合分波素子により分波されたN/2組のMチャネル多波長光を受光する他のN/2組の多波長受光素子とを有し、上記第一の周期性波長合分波素子と上記第二の周期性波長合分波素子とを接続する一芯ファイバにより上記第一のM×N/2チャネル波長多重光および上記第二のM×N/2チャネル波長多重光を送受する光送受信システムである。
【0017】
一実施形態では、上記第一の周期性波長合分波素子の周期と上記第二の周期性波長合分波素子の周期が上記多波長光源の上記周波数間隔ΔFに等しく構成されている。
【0018】
一実施形態では、上記Mチャネルの多波長光源は、隣接する組の周波数が全体的にΔfシフトしており、N組の間隔積Δf×(N−1)が上記多波長受光素子における波長分波素子の透過帯域Bより小さい。また、Mチャネルの多波長光源は、N組の間隔積Δf×(N−1)が600GHz以内である。
【0019】
一実施形態では、上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子はアレイ導波路格子である。上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、同一である。上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子はポート間隔がΔfであり、上記ポート間隔の積Δf×(N−1)は、上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の周期性ΔFの2分の1以下である。
【0020】
一実施形態では、上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、Mチャネル波長多重光を入力するN本の入出力チャネル導波路と、該N本の入出力チャネル導波路に接続された入出力スラブ導波路と、該入出力スラブ導波路に上記N本の入出力チャネル導波路と共に接続された、上記Mチャネル波長多重光の波長を検出し制御するためのモニタ導波路と、上記入出力スラブ導波路とアレイ導波路で接続された波長多重スラブ導波路と、上記波長多重スラブ導波路に接続された波長多重導波路と、上記波長多重スラブ導波路に上記波長多重導波路と共に接続された、出力される上記M×N/2チャネル波長多重光の一部を上記波長多重スラブ導波路に再入力するためのループバック導波路とを備える。上記第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、上記波長多重導波路が接続された、上記M×N/2チャネル波長多重光の一部を抽出するタップ回路を備え、上記抽出されたM×N/2チャネル波長多重光の一部が上記ループバック導波路に接続される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の一態様の光送受信システムによれば、周波数間隔ΔFを有するMチャネルの多波長光源をN組有し、N/2組のMチャネル波長多重光を第一のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、第二のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第一の周期性波長合分波素子と、他のN/2組のMチャネル波長多重光を第二のM×Nチャネル波長多重光をN組のMチャネル波長多重光に合波し、第一のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第二の周期性波長合分波素子と、Mチャネルの多波長光を受光する多波長受光素子をN組(2×N/2組)を有する、一芯ファイバによる双方向構成の光送受信システムにおいて、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の周期をいずれも多波長光源の周波数間隔ΔFに等しい条件に設定することにより、既存のWDMシステムを簡易な構成でより高密度、高ビットレートの一芯双方向型の光送受信WDMへの拡張が可能となる。
【0022】
さらに本発明の一態様の光送受信システムでは、N組の間隔積Δf×(N−1)が多波長受光素子における波長分波素子の透過帯域Bより小さいため、各多波長受光素子は波長分波特性を含め、同一の部品を使用することが可能となる。よって、さらなるシステムの簡素化と経済化が可能となる。
【0023】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、Mチャネルの多波長光源は、N組の間隔積Δf×(N−1)が600GHz以内であるため、各多波長光源は光源の発振波長特性を含め、同一の部品を使用することが可能となる。よって、さらなるシステムの簡素化と経済化が可能となる。
【0024】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、PLC型アレイ導波路回折格子(AWG)を適用した。それにより、従来のインターリーブ型フィルタより小型で簡易な光回路が実現可能である。
【0025】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、第一の周期性波長合分波素子と第二の周期性波長合分波素子のポート間隔Δfについて、その積Δf×(N−1)を周期性ΔFの2分の1以下とした。それにより、図5の結果に示されるように使用波長はFSR内の中央付近を用いることが出来るため低損失な特性の光回路が実現可能である。
【0026】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子を同一としたことにより、さらなる光回路の小型化や経済化が実現可能である。
【0027】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子にモニタ導波路とループバック導波路をチップサイズの増大や特性の劣化を与えることなく追加することが出来るため、各多波長光源の波長や光強度の監視機能を小型、簡素な構成で実現可能である。
【0028】
また本発明の一態様の光送受信システムでは、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、タップ回路を同一基板上に集積したことにより、さらなる光回路の小型化や経済化が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムの波長配置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の構成図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の構成図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の透過スペクトルを示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる多波長光源の波長配置を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子からの出力スペクトルを示す図である。
図8】本発明の二実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の構成図である。
図9】本発明の二実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の構成図である。
図10】本発明の三実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子の構成図である。
図11】本発明の三実施形態にかかる光送受信システムにおける第一の周期性波長合分波素子と第二の周期性波長合分波素子の透過スペクトルを示す図である。
図12】従来の光送受信システムにおける構成を示す図である。
図13】従来の光送受信システムにおける波長配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図1から図7を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる光送受信システムおよびその光回路について説明する。
図1は、本実施形態の光送受信システム100の構成図である。本システムは、周波数間隔ΔFを有するMチャネルの多波長光源をN組(110−1〜110−N)と、N/2組のMチャネル波長多重光を第一のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、かつ第二のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第一の周期性波長合分波素子130と、N/2組のMチャネル波長多重光を第二のM×N/2チャネル波長多重光に合波し、かつ第一のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル波長多重光に分波する第二の周期性波長合分波素子140と、第一のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル多波長光を受光する多波長受光素子をN/2組(152−1,152−3,150−(N−1))および第二のM×N/2チャネル波長多重光をN/2組のMチャネル多波長光を受光する多波長受光素子をN/2組(152−2,152−4,150−N)を有する構成である。第一の周期性波長合分波素子130は光ファイバ伝送路113を介して第二の周期性波長合分波素子140と接続されている。本実施例においては、隣接する組ごとに送受信方向が異なる一芯ファイバによる光送受信システムである。
【0032】
多波長光源(110−1〜110−N)は各々、M個の光源112と、M個の光源からのM個のチャネル光を波長多重してMチャネル波長多重光を出力する波長合波素子114とを備える。例えば、多波長光源110−1のM個の光源112−11〜112−M1からのM個のチャネル光の周波数間隔はΔFである。多波長光源110−2〜110−Nについても同様である。N組の多波長光源(110−1〜110−N)からのN/2組のMチャネル波長多重光は、第一の周期性波長合分波素子130においてM×N/2チャネル波長多重光に波長多重される。N組の多波長光源(110−1〜110−N)からの残りのN/2組のMチャネル波長多重光は、第二の周期性波長合分波素子130においてM×N/2チャネル波長多重光に波長多重される。
【0033】
多波長受光素子(150−1〜150−N)の各々は、Mチャネル波長多重光を波長分離してM個のチャネル光を出力する波長分波素子154と、M個のチャネル光を受光するM個の受光素子152を備える。M個の受光素子152は各々、M個のチャネル光の1つを受光する。例えば、多波長受光素子150−1の波長分波素子154−1は、第一の周期性波長合分波素子140によりM×N/2チャネル波長多重光から分波されたN組のMチャネル波長多重光の1つをM個のチャネル光に分波し、これらのM個のチャネル光をM個の受光素子152−11〜152−M1でそれぞれ受光する。同様に、多波長受光素子150−2の波長分波素子154−2は、第二の周期性波長合分波素子140によりM×N/2チャネル波長多重光から分波されたN組のMチャネル波長多重光の1つをM個のチャネル光に分波し、これらのM個のチャネル光をM個の受光素子でそれぞれ受光する。
【0034】
光源112は1.3μm帯の半導体レーザが用いられ、M×Nチャネルの波長はそれぞれ異なる。各光源には25Gb/sのデータ信号による変調動作が可能な電界吸収型の変調部が集積されている。
【0035】
ここでN組の多波長光源における波長にラベルを付与する。第1組の多波長光源の波長はλ11からλM1のM波とし、第2組の多波長光源の波長はλ12からλM2のM波とする。よって第M組の波長は、λ1NからλMNのM波となる。
【0036】
図1の光送受信システムの動作について簡単に説明する。N組の多波長光源(110−1〜110−N)から出力されるそれぞれMチャネルの波長多重信号は、それぞれ第一の周期性波長合分波素子130または第二の周期性波長合分波素子140の入力ポートに入力される。その出力はM×N/2チャネルの波長多重信号となり光ファイバ伝送路113内を伝搬する。伝搬後、第一の周期性波長合分波素子130または第二の周期性波長合分波素子140により各多波長光源と同等の波長群(N組のMチャネルの波長多重信号)に分波されたのち、それぞれ多波長受光素子(150−1〜150−N)において波長分波素子154でM個のチャネル光に再分波された後にM個の受光素子152で受光される。
【0037】
例えば各多波長光源(110)が4チャネルの波長多重数で各光源112が25Gb/sの変調速度を有する場合、各多波長光源の総ビットレートは100Gb/sとなる。さらに4組の多波長光源(110−1〜110−N;N=4)を用いることにより、周期性波長合分波素子からは400Gb/sの総ビットレートが得られる。本実施例においては、隣接する組ごとに送受信方向が異なる一芯ファイバによる光送受信システムであるため、各方向の総ビットレートは200Gb/sである。
【0038】
図2に、本実施例における波長配置を示す。M×Nチャネルの波長は大きくNチャネルのM群に分けられる。例えば第一群はλ11からλ1NのN波で構成され、続く第二群はλ22からλ2NのN波で構成される。ここで、隣接する群の周波数間隔(例えばλ11とλ21の間隔)をΔF、同一群内の隣接周波数間隔(例えばλ21とλ22の間隔)をΔfとし、各群における透過帯域(パスバンド)をBとする。
【0039】
本実施例は100GbEを拡張した200Gb/s双方向伝送を想定した構成である。その要素を考慮した上で主要パラメータを以下の数値に設定した。
【0040】
M=4
N=4
ΔF=800GHz
Δf=100GHz
B=360GHz
よってこの構成では、各群に100GHz間隔の4波WDMを有し、かつ群ごとの周波数間隔が800GHzとなる。すなわち、本提案の光送受信システムにおいては、M×NのWDM光波長が同一周波数間隔で並ぶとは限らない。
【0041】
またこの構成では、N組のMチャネルの多波長光源(110−1〜110−N)は、隣接する組の周波数が全体的にΔfシフトしており、N組の間隔積Δf×(N−1)が多波長受光素子150における波長分波素子154の透過帯域Bより小さいことも特徴の一つである。
【0042】
次に、上記構成を実現するための第一の周期性波長合分波素子130、および第二の周期性波長合分波素子140の構成例について図3を用いて説明する。ここでは第一の周期性波長合分波素子130の構成図として説明するが、光の進行方向を対称にすることにより第二の周期性波長合分波素子140としての説明も同様に可能である。
【0043】
図3に示す周期性波長合分波素子は、光平面回路(PLC)300に作製された、PLC型アレイ導波路回折格子(AWG)である。周期性波長合分波素子は、入出力チャネル導波路(302−1〜302−N)と波長多重導波路(310)、入出力スラブ導波路304と波長多重スラブ導波路308、およびアレイ導波路306から構成される。入出力チャネル導波路は少なくともN本有し、波長多重導波路は少なくとも1本有する。
【0044】
ここで回路設計条件として、周期性波長合分波素子の周期(自由スペクトル範囲,FSR)はいずれも多波長光源(110−1〜110−N)の周波数間隔ΔFに等しく構成されている。また、入出力スラブ導波路304との接続点における入出力チャネル導波路(302−1〜302−N)の間隔(ポート間隔)はΔfに等しく、かつ入出力スラブ導波路304、アレイ導波路306、波長多重スラブ導波路308を伝播した入力光は波長多重スラブ導波路に接続された波長多重導波路310に焦点を結ぶように構成されている。
【0045】
N本の入出力チャネル導波路(302−1〜302−N)のうち奇数番号すなわち入出力チャネル導波路302−1,302−3〜302−(N−1)には多波長光源(110−1〜110−N)のうち奇数番号すなわち多波長光源110−1、110−3〜110−(N−1)からの波長が入力される。また、N本の入出力チャネル導波路のうち偶数番号すなわち入出力チャネル導波路302−2,302−4〜302−Nには多波長受光素子(150−1〜150−N)のうち偶数番号すなわち多波長受光素子150−2、150−4〜150−Nへの波長が出力される。すなわち、第1の入出力チャネル導波路には第1組の多波長光源の波長λ11からλM1のM波が入力され、第2の入出力チャネル導波路には第2組の多波長受光素子への波長λ12からλM2のM波が出力される。第3の入出力チャネル導波路には第3組の多波長光源の波長λ13からλM(N-1)のM波が入力され、第4の入出力チャネル導波路には第N組(N=4)の多波長受光素子への波長λ1NからλMNのM波が出力される。N本の入出力チャネル導波路のうちの奇数番号と偶数番号に多波長光源と多波長受光素子を交互に接続することにより、4波WDM間のクロストークを低減することができる。
【0046】
上記設計条件と入力条件により、N本の入出力チャネル導波路(302−1〜302−N)の内のN/2本に入力されるMチャネル波長多重光の組は、波長多重導波路310においてM×N/2チャネルのWDM信号として出力される。
【0047】
本実施例ではN=4であるため入出力チャネル導波路は4本である。またM=4であるため、双方向を合わせると波長多重導波路からは16波(4×4)のWDM信号が入出力される。ここで周期性波長合分波素子のポート間隔Δfは、その積Δf×(N−1)がFSR周期性(自由スペクトル範囲,FSR)ΔFの2分の1以下としても良い。これにより、低損失な特性の光回路(周期性波長合分波素子)が実現可能となる。
【0048】
図4に、本実施例で使用した周期性波長合分波素子300の回路構成を示す。図4に示すように、第一の周期性波長合分波素子130および第二の周期性波長合分波素子140は、同一である。これにより、光回路(第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子)の小型化や経済化が実現できる。周期性波長合分波素子300は、N本の波長合波用入出力チャネル導波路302と、波長合波用入出力スラブ導波路304、波長合波用アレイ導波路306、波長合波用波長多重スラブ導波路308、および1本の波長合波用波長多重導波路310を含んで構成される。
【0049】
図5に、作製した4×1周期性波長合分波素子の特性例を示す。本素子は、シリコン基板上の石英系PLCであり、コアとクラッドの比屈折率差は約1%である。得られた特性は、λ11からλ44まで1.5dB以下の低損失性を有する。また隣接する群の周波数間隔(例えばλ11とλ21の間隔)ΔF、同一群内の隣接周波数間隔(例えばλ21とλ22の間隔)Δfについてはそれぞれ800GHzと100GHzと設計通りで、その誤差は測定精度(±4GHz)以下であった。さらに、光の偏波2成分方向の特性差(偏波依存性)について、図5には両偏波方向の重ね描きを行ったが、その偏波依存性は識別できない範囲(周波数差で測定精度未満)の良好な特性を有することがわかる。
【0050】
次に多波長光源110の設定波長について図6を用いて説明する。前述のように、多波長光源(110−1〜110−N)の周波数間隔ΔFは800GHzでチャネル数Mは4であり、それらの組Nが4である。このM×Nチャネルは全て異なる発振波長(発振周波数)で、隣接する組の周波数は全体的にΔfシフトしている。そのような波長を揃えるには、Δfシフトした異なる組成の光源を用意するという方法もあるが、本実施例では同一組成の光源を用いる方法を採用する。すなわち、温度調整により発振波長を調整する方法である。
【0051】
用いる多波長光源は、各光源(M個の光源112)が同一基板上に集積化されたものである。よって、基板毎にペルチェ素子やヒータ等の温度制御手段により温度を調節することによって多波長光源の全波長を一括して変更することが可能である。温度による波長変動は1℃あたり約15GHzであるため、100GHzのΔfを与えるには7℃程度の温度変化を与えれば良いことになる。
【0052】
図6では、同一の多波長光源の温度を横軸に、発振波長を縦軸にプロットしている。それによると、動作温度が約40℃の時にλ11からλ41の4波が得られ、順次温度を上げるごとに残りの波長が得られ、約57℃の時にもっとも長波長であるλ14からλ44の波長を発生させることが可能である。
【0053】
一般的なレーザの性能を考慮した場合、温度制御範囲は±20℃以内に設定することが望ましい。すなわち周波数制御範囲は全幅で600GHz以内であることが望ましい。
【0054】
よって、本実施例のMチャネルの多波長光源は、N組の間隔積Δf×(N-1)が600GHz以内としている。これにより、同一の部品を使用することが可能となる。よって、さらなるシステムの簡素化と経済化が可能となる。
【0055】
図7に、上記の多波長光源を作製した周期性波長合分波素子に入力した際の出力スペクトル波形を示す。なお本実験では、同一の多波長光源を(図6に示した波長調整を用いて)4組の多波長光源として使用したため、図7の出力スペクトルは周期性波長合分波素子の各入出力チャネル導波路から得られる4つの出力スペクトルの重ね描きである。
【0056】
実験の結果、図7に示すようにΔFが800GHz、Δfが100GHzで各レーンを透過帯域B(360GHz)内に割り当てることが出来た。
【0057】
以上の結果から、本実施例により、図1に示すような光送受信システムおいて、周期性波長合分波素子の周期を多波長光源の周波数間隔ΔFに等しい条件に設定することにより、既存のWDMシステムを簡易な構成でより高密度、高ビットレートの一芯双方向型の光送受信WDMへの拡張が可能となる。
【0058】
なお本実施例では光源の波長を1.3μm帯としたが、テレコム波長である1.5μm帯を用いても良い。また光源の変調部は電界吸収型としたが、レーザの直接変調を用いても良いし、ニオブ酸リチウムなどの電気光学結晶を用いた変調器と光源を組合せて使用しても良い。
【0059】
さらにこの構成では、N組の間隔積Δf×(N−1)が多波長受光素子における波長分波素子の透過帯域Bより小さいため、各多波長受光素子は波長分波特性を含め、同一の部品を使用することが可能となる。よって、さらなるシステムの簡素化と経済化が可能となる。
【0060】
なお本実施例ではΔfを100GHzとしたが、同一群内のN波が透過帯域B内にあれば他の値、例えば75GHzや50GHzでも上記の効果は保たれる。
【0061】
また本実施例では、Mチャネルの多波長光源は、N組の間隔積Δf×(N−1)が600GHz以内であるため、各多波長光源は光源の発振波長特性を含め、同一の部品を使用することが可能となる。よって、さらなるシステムの簡素化と経済化が可能となる。
【0062】
また本実施例では、第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子は、PLC型アレイ導波路回折格子(AWG)を適用した。それにより、従来のインターリーブ型フィルタより小型で簡易な光回路が実現可能である。
【0063】
なお本実施例のPLCはシリコン基板上の石英導波路であるが、基板や導波路の材料はシリコンや石英に限定されるものではなく、有機高分子樹脂なども使用可能である。
【0064】
また本実施例のPLCに温度補償機能、すなわちアサーマル機能を追加することにより、環境温度の変動によっても特性の変動しない光回路とすることが可能である。代表的なアサーマル機能の追加は、光導波路の熱膨張率と対称的な熱膨張率を有する材料を導波路間に挿入する等の方法があげられる。
【0065】
また本実施例では、周期性波長合分波素子のポート間隔Δfについて、その積Δf×(N−1)を周期性ΔFの2分の1以下とした。それにより、図5の結果に示されるように使用波長はFSR内の中央付近を用いることが出来るため低損失な特性の光回路が実現可能である。
【0066】
さらには図4に示すように第一の周期性波長合分波素子と第二の周期性波長合分波素子を同一としたことにより、さらなる光回路の小型化が実現可能である。
【0067】
(第2の実施形態)
次に図8を参照して、本発明の第2の実施形態にかかる光送受信システムおよびその光回路について説明する。本実施形態の光送受信システムの構成は図1図2に示した構成と同等であるため説明は省略する。第1の実施形態に対する差異は周期性波長合分波素子の回路構成である。図8に、本実施例における周期性波長合分波素子の構成を示す。ここでは、第一の周期性波長合分波素子130の構成図として説明するが、光の進行方向を対称にすることにより第二の周期性波長合分波素子140としての説明も同様に可能である。なお第二の周期性波長合分波素子の構成は図3で説明した第一の周期性波長合分波素子と同等としても良い(光の進行方向は図3と対称である)。
【0068】
図8の周期性波長合分波素子は、第1の実施形態と同様に光平面回路(PLC)800に作製されたPLC型AWGであり、入出力チャネル導波路302と波長多重導波路310、入出力スラブ導波路304と波長多重スラブ導波路308、およびアレイ導波路306から構成される。入出力チャネル導波路は少なくともN本有し、波長多重導波路は少なくとも1本有する。
【0069】
さらに本実施例の特徴の一つとして、周期性波長合分波素子は、入出力スラブ導波路304に入出力チャネル導波路302が接続されると共に、各多波長光源の波長を検出し制御するためのモニタ導波路802が接続され、かつ波長多重スラブ導波路308に波長多重導波路310が接続されると共に、出力される波長多重光の一部を波長多重スラブ導波路308へ再入力するためのループバック導波路804が接続される。
【0070】
また周期性波長合分波素子の出力部にはタップ回路806が挿入され、波長多重光の一部が接続導波路808を介してループバック導波路804に接続される。タップ回路806は方向性結合器やY分岐回路等で構成可能な光部品であり、本実施例では波長多重光の全強度の5%を抽出しループバック導波路804に接続する。
【0071】
基本的な回路設計条件は実施形態1と同様である。すなわち、周期性波長合分波素子の周期はいずれも多波長光源の周波数間隔ΔFに等しく構成されている。また、入出力スラブ導波路304との接続点における入出力チャネル導波路302の間隔(ポート間隔)はΔfに等しく、かつ入出力スラブ導波路304、アレイ導波路306、波長多重スラブ導波路308を伝播した入力光は波長多重スラブ導波路308に接続された波長多重導波路310に焦点を結ぶように構成されている。
【0072】
またN本の入出力チャネル導波路302のうち奇数番号すなわち入出力チャネル導波路302−1,302−3〜302−(N−1)には多波長光源(110−1〜110−N)のうち奇数番号すなわち多波長光源110−1、110−3〜110−(N−1)からの波長が入力される。また、N本の入出力チャネル導波路のうち偶数番号すなわち入出力チャネル導波路302−2,302−4〜302−Nには多波長受光素子(150−1〜150−N)のうち偶数番号すなわち多波長受光素子150−2、150−4〜150−Nへの波長が出力される。すなわち、第1の入出力チャネル導波路には第1組の多波長光源の波長λ11からλM1のM波が入力され、第2の入出力チャネル導波路には第2組の多波長受光素子への波長λ12からλM2のM波が出力される。第3の入出力チャネル導波路には第3組の多波長光源の波長λ13らλM(N-1)のM波が入力され、第4の入出力チャネル導波路には第N組(N=4)の多波長受光素子への波長λ1NからλMNのM波が出力される。本実施例におけるパラメータはM=4、N=4、Δf=100GHz、ΔF=800GHzとする。
【0073】
本実施形態に特徴的な構造の一つである、モニタ導波路802とループバック導波路804の設計について説明する。
【0074】
モニタ導波路802について、その本数はN組の多波長光源に対しN本である。入出力チャネル導波路302と同様に、入出力スラブ導波路304の接続点におけるN本のモニタ導波路802の間隔(ポート間隔)をΔfに設定し、入出力チャネル導波路302に隣接して順に配置する。本実施形態では、入出力チャネル導波路302は低損失性を得るために入出力スラブ導波路の中心に対称的に配置する。そのため、モニタ導波路802は図8に示すように、N本の入出力チャネル導波路302の両外側に対称的に配置されている。
【0075】
ループバック導波路804は、波長多重スラブ導波路308と波長多重導波路310の接続点からΔf×N離れた位置に配置される。
【0076】
上記設計条件と入力条件により、実施形態1と同様に、N本の入出力チャネル導波路302の内のN/2本に入力されるMチャネル波長多重光の組は、波長多重導波路310においてM×N/2チャネルのWDM信号として出力される。本実施例ではN=4であるため入出力チャネル導波路は4本である。またM=4であるため、双方向を合わせると波長多重導波路からは16波(4×4)のWDM信号が出力される。
【0077】
さらに本実施例の特徴として、ループバック導波路804から波長多重スラブ導波路308に戻された波長多重光の一部は波長分波されたのち、各モニタ導波路802に出力される。各モニタ導波路に出力される波長群は各多波長光源の波長群と同等の、周波数間隔ΔFでMチャネルを有する。よって、各モニタ導波路からの波長、光強度を監視することにより、各多波長光源の波長、光強度を調整(フィードバック制御)することが可能となる。
【0078】
以上説明した構造と機能は、AWGのチップサイズを殆ど増大することなく、かつ波長合分波特性の劣化を殆ど与えることなく実現することが可能である。
【0079】
上記のように、本実施例により、図8に示すような周期性波長合分波素子を用いることによって、既存のWDMシステムを簡易な構成でより高密度、高ビットレートの一芯双方向型の光送受信WDMへの拡張が可能となる。
【0080】
なお本実施例において、入出力チャネル導波路302は低損失性を得るために入出力スラブ導波路の中心に対称的に配置したがFSRの範囲内であれば別の位置でも良い。例えば、各入出力チャネル導波路をΔf×Nずらした位置に接続することも可能である。その場合、本実施例の設計条件では、モニタ導波路802は入出力チャネル導波路4本に隣接して4本配置される。
【0081】
(第3の実施形態)
次に図9から図11を参照して、本発明の第3の実施形態にかかる光送受信システムおよびその光回路について説明する。本実施形態の光送受信システムの構成は図1図2で示される構成と同等であるため説明は省略する。実施形態1および2に対する差異は周期性波長合分波素子の回路構成である。図9に、本実施例における周期性波長合分波素子の構成を示す。ここでは、第一の周期性波長合分波素子130の構成図として説明するが、光の進行方向を対称にすることにより第二の周期性波長合分波素子140としての説明も同様に可能である。なお第二の周期性波長合分波素子の構成は図3で説明した第一の周期性波長合分波素子と同等としても良い(光の進行方向は図3と対称である)。
【0082】
図9の周期性波長合分波素子は、上記実施形態と同様に光平面回路(PLC)900に作製された、PLC型アレイ導波路回折格子(AWG)である。入出力チャネル導波路302と波長多重導波路310、入出力スラブ導波路304と波長多重スラブ導波路308、およびアレイ導波路306から構成される。入出力チャネル導波路302は少なくともN本有し、波長多重導波路310は少なくとも1本有する。
【0083】
周期性波長合分波素子は、実施例2と同様に、入出力スラブ導波路304に入出力チャネル導波路302が接続されると共に、各多波長光源の波長を検出し制御するためのモニタ導波路802が接続され、かつ波長多重スラブ導波路308に波長多重導波路310が接続されると共に、出力される波長多重光の一部を波長多重スラブ導波路308へ再入力するためのループバック導波路904が接続される。
【0084】
さらに本実施例の特徴の一つとして、周期性波長合分波素子は、波長多重スラブ導波路308に波長多重導波路310が接続されると共に、出力される波長多重光の一部を抽出するタップ回路906が波長多重導波路310に接続され、タップ回路の一方がループバック導波路904に接続される。タップ回路906は方向性結合器やY分岐回路等で構成可能な光回路であり、本実施例では波長多重光の全強度の5%を抽出し、ループバック導波路904に接続する。
【0085】
基本的な回路設計条件は実施形態1および2と同様である。すなわち、周期性波長合分波素子の周期はいずれも多波長光源の周波数間隔ΔFに等しく構成されている。また、入出力スラブ導波路304との接続点における入出力チャネル導波路302の間隔(ポート間隔)はΔfに等しく、かつ入出力スラブ導波路304、アレイ導波路306、出力スラブ導波路308を伝播した入力光は出力スラブ導波路308に接続された波長多重導波路310に焦点を結ぶように構成されている。
【0086】
またN本の入出力チャネル導波路(302−1〜302−N)のうち奇数番号すなわち入出力チャネル導波路302−1,302−3〜302−(N−1)には多波長光源(例えば、110−1〜110−N)のうち奇数番号すなわち110−1、110−3〜110−(N−1)からの波長が入力される。また、N本の入出力チャネル導波路のうち偶数番号すなわち入出力チャネル導波路302−2,302−4〜302−Nには多波長受光素子(150−1〜150−N)のうち偶数番号すなわち多波長受光素子150−2、150−4〜150−Nへの波長が出力される。すなわち、第1の入出力チャネル導波路には第1組の多波長光源の波長λ11からλM1のM波が入力され、第2の入出力チャネル導波路には第2組の多波長受光素子への波長λ12からλM2のM波が出力される。第3の入出力チャネル導波路には第3組の多波長光源の波長λ13らλM(N-1)のM波が入力され、第4の入出力チャネル導波路には第N組(N=4)の多波長受光素子への波長λ1NからλMNのM波が出力される。本実施例におけるパラメータはM=4、N=4、Δf=100GHz、ΔF=800GHzとする。
【0087】
モニタ導波路802について、その本数はN組の多波長光源に対しN本である。入出力チャネル導波路302と同様に、入出力スラブ導波路304の接続点におけるN本のモニタ導波路802の間隔(ポート間隔)をΔfに設定し、入出力チャネル導波路302に隣接して順に配置する。本実施形態では、入出力チャネル導波路302は低損失性を得るために入出力スラブ導波路の中心に対称的に配置する。そのため、モニタ導波路802は図9に示すように、N本の入出力チャネル導波路302の両外側に対称的に配置する。
【0088】
ループバック導波路904は、出力スラブ導波路308と波長多重導波路310の接続点からΔf×N離れた位置に配置される。
【0089】
上記設計条件と入力条件により、実施形態1と同様に、N本の入出力チャネル導波路302の内のM/2本に入力されるMチャネル波長多重光の組は、波長多重導波路310においてM×N/2チャネルのWDM信号として出力される。本実施例ではN=4であるため入出力チャネル導波路は4本である。またM=4であるため、双方向を合わせると波長多重導波路からは16波(4×4)のWDM信号が出力される。
【0090】
ループバック導波路904から出力導スラブ波路308に戻された波長多重光の一部は波長分波されたのち、各モニタ導波路802に出力される。各モニタ導波路に出力される波長群は各多波長光源の波長群と同等の、周波数間隔ΔFでMチャネルを有する。よって、各モニタ導波路からの波長、光強度を監視することにより、各多波長光源の波長、光強度を調整(フィードバック制御)することが可能となる。
【0091】
以上説明した構造と機能は、AWGのチップサイズを殆ど増大することなく、かつ波長合分波特性の劣化を殆ど与えることなく実現することが可能である。
【0092】
さらに本実施例では同一チップ上にタップ回路906を集積したため、実施例2に比べてサイズや特性の劣化なく集積度を向上することが可能である。
【0093】
図10に、本実施例で使用した周期性波長合分波素子900の回路構成を示す。図10に示すように、第一の周期性波長合分波素子130および第二の周期性波長合分波素子140は、同一である。これにより、光回路(第一の周期性波長合分波素子および第二の周期性波長合分波素子)の小型化や経済化が実現できる。周期性波長合分波素子900は、N本の波長合波用入出力チャネル導波路302と、波長合波用入出力スラブ導波路304、波長合波用アレイ導波路306、波長合波用波長多重スラブ導波路308、および1本の波長合波用波長多重導波路310を含んで構成される。
【0094】
また周期性波長合分波素子300は、実施例2と同様に、入出力スラブ導波路304に入出力チャネル導波路302が接続されると共に、各多波長光源の波長を検出し制御するためのモニタ導波路802が接続され、かつ波長多重スラブ導波路308に波長多重導波路310が接続されると共に、出力される波長多重光の一部を波長多重スラブ導波路308へ再入力するためのループバック導波路904が接続され、さらに、波長多重導波路310から出力される波長多重光の一部を抽出するタップ回路906が波長多重導波路310に接続され、タップ回路の一方がループバック導波路904に接続される。
【0095】
図11に、作製した4×1周期性波長合分波素子の特性例のうち第一組(第1組の多波長光源の波長λ11からλM1のM波)を示す。本素子は、シリコン基板上の石英系PLCであり、コアとクラッドの比屈折率差は約1%である。得られた特性は、λ11からλ44まで1.5dB以下の低損失性を有する。また隣接する群の周波数間隔(例えばλ11とλ21の間隔)ΔF、同一群内の隣接周波数間隔(例えばλ21とλ22の間隔)Δfについてはそれぞれ800GHzと100GHzと設計通りで、その誤差は測定精度(±4GHz)以下であった。さらに、光の偏波2成分方向の特性差(偏波依存性)について、図11には両偏波方向の重ね描きを行ったが、その偏波依存性は識別できない範囲(周波数差で測定精度未満)の良好な特性を有する。また、波長多重出力光と同等の波長で20dB低い位置にモニタ出力光が得られる。この結果から、各モニタ導波路からの波長、光強度を監視することにより、各多波長光源の波長、光強度を調整(フィードバック制御)することが可能となる。
【0096】
上記のように、本実施例により、図9に示すような周期性波長合分波素子を用いることによって、既存のWDMシステムを簡易な構成でより高密度、高ビットレートの一芯双方向型の光送受信WDMへの拡張が可能となる。
【0097】
上記種々の実施形態では、N本の入出力チャネル導波路のうちの奇数番号と偶数番号に多波長光源と多波長受光素子を交互に接続する例を説明したが、N本の入出力チャネル導波路に多波長光源と多波長受光素子を交互に接続しなくても良い。例えば、N本の入出力チャネル導波路の1番目からN/2番目に多波長光源を接続し、残りに多波長受光素子を接続しても良い。
【符号の説明】
【0098】
100 光送受信システム
110 多波長光源
111 下り信号光送信器
112 光源
113 光ファイバ伝送路
114 波長合波素子
115 信号光受信器
116 上り信号光送信器
117 上り信号光受信器
130 第一の周期性波長合分波素子
140 第二の周期性波長合分波素子
145 周期性波長合分波素子
150 多波長受光素子
152 受光素子
154 波長分波素子
300,800,900 光平面回路(PLC)
302 入出力チャネル導波路
304 入出力スラブ導波路
306 アレイ導波路
308 波長多重スラブ導波路
310 波長多重導波路
802 モニタ導波路
804,904 ループバック導波路
806,906 タップ回路
808 接続導波路
図1
図2
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