(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る圧電振動片、及び圧電振動子について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1から
図4を用いて説明する。
図1は本実施形態の光センサの外観斜視図である。
図2は本実施形態の光センサの断面図である。
図3は、本実施形態の光センサにおけるリッド基板3の凹部3a側の平面図である。
図4は、本実施形態の光センサを示す断面図であって、凹部近辺を示す図である。
【0016】
図1に示す通り、光センサ1は、ベース基板2と、ベース基板2に接合膜35を介して接合されたリッド基板3と、リッド基板3の下面に形成された外部電極38、39とで構成される。
【0017】
また、
図2に示す通り、光センサ1において、リッド基板3には、キャビティ用の凹部3aが形成されている。また、リッド基板3は、凹部3aをベース基板2に対向させた状態でベース基板2に接合する。
【0018】
また、光センサ1は、ベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に収納された状態で、ベース基板2の上面2aに設置され、光を受光する受光素子28を備える。
【0019】
また、光センサ1は、ベース基板2の下面2bに形成された外部電極38、39と、ベース基板2の上面2aに形成され、接合された受光素子28及び外部電極38、39と電気的に接続する内部電極36,37と、を備える。
【0020】
また、ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる基板であり、リッド基板3と同等の外形で略板状に形成されている。なお、ベース基板2はシリコンなどの半導体基板で形成されてもよい。
【0021】
また、このベース基板2には、ベース基板2を厚さ方向に貫通する、一対の貫通電極32,33が形成されている。貫通電極32,33は、ベース基板2との溶着によって固定されており、キャビティC内の気密を維持している。貫通電極32,33は、例えば、コバールやFe−Ni合金(42アロイ)等の、熱膨張係数がベース基板2のガラス材料と近い(好ましくは同等か高め)材料により円柱状に形成された導電性の金属芯材で、両端が平坦で且つベース基板2の厚さと同じ厚さである。
【0022】
ベース基板2の上面2a側(リッド基板3との接合面側)には、一対の内部電極36,37が形成されている。各内部電極36,37は、例えば下層のCr膜及び上層のAu膜の積層体によって形成されている。
【0023】
ベース基板2の下面2b側(リッド基板3との接合面と反対側)には、一対の外部電極38、39が形成されている。各外部電極38、39は、各内部電極36、37と、各貫通電極32、33を介して電気的に接続する。
【0024】
すなわち、ベース基板は、光透過部と、受光素子を形成する素子形成部と、リッド基板と接合する接合部、内部電極、外部電極及び貫通電極を形成する電極形成部で構成される。
【0025】
なお、外部電極38、39と内部電極36、37とは、必ずしも貫通電極32、33で導通する必要はなく、例えば各基板の接合面の間に引き出し電極を形成して、各電極間を導通してもよい。なお、各電極は、素子の電極数に応じて変更することができる。
また、ベース基板2は、接合方法によっては、陽極接合可能である必要もなく金属、セラミック等で形成されてもよい。
【0026】
リッド基板3は、凹部の内面側を覆う反射膜で形成される反射部40と、凹部の内面の反射部40と異なる部分に形成され、受光素子28で受光する光を拡散する拡散部41と、を有する。またリッド基板3は略板状に形成されている。本実施形態において、拡散部41は、凹部3aの内面を露出する部分で構成される。
【0027】
また、本実施形態において、リッド基板3は凹部3aと反対側の面に受光素子28で受光する光を入射する入射部を有する。すなわち、本実施形態の場合、リッド基板3は光透過性を有する。
【0028】
例えば、受光素子28で受光する光が可視光の場合、リッド基板3は、ガラスや透明樹脂等の可視光を透過する透明体で構成される。例えば、リッド基板3は、ソーダ石灰ガラスからなる陽極接合可能な基板である。このとき、ベース基板2とリッド基板3とを同様のガラス材料で構成すれば、両基板は、同様の熱膨張係数を有するため、接合時の加熱等により反りが発生しない。これにより、歩留まりを向上できる。
【0029】
また、受光素子28で受光する光が赤外光の場合、リッド基板3は、半導体基板のうちシリコン等の赤外光を透過する材料で構成される。なお、本実施形態において、リッド基板3は、受光素子で受光する光を透過する光透過性を有すれば、種々の材料で構成することができる。
【0030】
また、反射部40は、光を反射する金属で形成される。また、反射部40の反射面は、拡散部41の拡散面に対して傾斜している。また、本実施形態においては、反射部40は、凹部3aの開口端部に向かって広くなる方向に傾斜している。なお、反射部40の反射面は、拡散部41の拡散面に対して傾斜していていればよく、拡散面に対して垂直に形成されていてもよい。
また、反射部40の反射面の表面粗さは、拡散部41の拡散面の表面粗さより小さい。
【0031】
また、リッド基板3におけるベース基板2との接合面側には、受光素子28を収容するキャビティCが形成されている。
また、リッド基板3におけるベース基板2との接合面側の全体に、陽極接合用の接合膜35が形成されている。すなわち接合膜35は、キャビティCの凹部表面3aの周囲の額縁領域に形成されている。本実施形態の接合膜35はアルミ膜で形成されているが、接合膜35をシリコンで形成することも可能である。後述するように、この接合膜35とベース基板2とが陽極接合されることにより、キャビティCが真空封止されている。
なお、リッド基板3とベース基板2とは、必ずしも陽極接合で接合する必要はなく、例えば、接着剤や溶接部材を用いて接合してもよい。
【0032】
内部電極36,37の表面に、金ワイヤー10,11を介して、受光素子28の電極が接続されている。受光素子28は、ベース基板2の上面に塗布された導電性接着剤を介して設置されている。また、受光素子28の表面に、外部からの光を受光する受光部28aが形成されている。
【0033】
受光素子28は、例えば、光透過性を有する透明体を透過する可視光や紫外光を受光するものである。例えば、受光素子28は、カラーセンサ、イメージセンサ、照度センサなどに用いる半導体素子で構成される。また、受光素子28は、キャビティCに気密封止される。
【0034】
反射部40は、反射鏡(鏡面)を形成するように、反射膜としてアルミニウムや銀といった金属等を成膜している。また、本実施形態において、拡散部41は、リッド基板3の凹部3aの内面を露出する部分で構成される。
【0035】
図2、3に示す通り、本実施形態において、凹部3aは円錐台形状に形成される。なお、
図3において接合膜35は省略する。なお、凹部3aは必ずしも円錐台形状に形成される必要はなく柱状に形成されてもよい。また、凹部3aが角錐台形状に形成された場合、受光素子28での受光可能領域を最大限広げられる。また、本実施形態において、凹部3aは、底部と、底部に対して傾斜する壁部とで構成される。
【0036】
また、拡散部41は、凹部3aの底部に形成され、リッド基板3の入射部からの光をキャビティC内に拡散する。また、反射部40は凹部3aの壁部に形成される。本実施形態においては、拡散部41は凹部3aの底部の全体に形成され、反射部40は凹部3aの壁部全体に形成される。なお、本実施形態に限らず、拡散部41は凹部3aの底部に形成され、反射部40は凹部3aの壁部に形成されていればよい。そのため、拡散部41は凹部3aの底部の一部に形成され、反射部40は凹部3aの底部のその他の部分及び壁部に形成されていてもよい。また、反射部40が壁部の一部のみに形成されていてもよい。
【0037】
図4に示す通り、反射部40の反射面の表面粗さが、拡散部41の拡散面より表面粗さより小さい。なお、本実施形態においては、拡散部41の拡散面は、凹部3aの内面で形成されている。これにより、拡散面によって光を様々な方向に拡散させ、拡散された光を反射部40の様々な位置に入射させることができる。さらに反射面では光の散乱を抑制させて、受光素子28へ反射させる。この拡散部41及び反射部40により、効率的に入射光を受光素子28の受光部28aへ受光することが可能となる。
【0038】
また、拡散部41の表面粗さは受光する光の波長より長く形成し、例えば拡散部41の表面粗さの平均が1μm以下程度に形成する。なお、拡散部41の拡散面の表面粗さは、受光する光の波長より長く形成すればよい。
【0039】
このため、反射膜40の厚みは、キャビティCの凹部3a内面の表面粗さを最小限とするように1μm以上とする。この厚さ以上に形成することで凹部3a内面の表面粗さに依存せずに反射膜40の反射面の表面粗さを小さくすることができる。
【0040】
すなわち、
図4に示す通り、反射部40の反射膜の膜厚は、凹部3aの凹凸の差より、厚く形成される。なお、凹部3aの形成方法によって凹部3aの表面粗さは変えることが可能なため、反射膜の厚さは必ずしも1μm以上である必要はなく、反射部40の反射面の表面粗さが、拡散部41の拡散面より表面粗さより小さくなればよい。効率的に入射光を受光素子28の受光部28aへ受光することが可能となる。
【0041】
次に受光部28aへの光の受光について説明する。
リッド基板3の上面の入射部より入射した入射光L1は、リッド基板3を透過してリッド基板3の下面の拡散部41から出射し、キャビティC内に侵入する。入射光L1は、拡散部41により拡散され、拡散光L2となる。拡散部41による拡散光2は様々な方向に拡散する。拡散した拡散光L2の一部は、そのまま受光素子28の受光部28aへ受光する。また、拡散した拡散光L2の一部は、反射部40に向かって進行する。このとき、反射部40の反射面が拡散部41の拡散面に対して傾斜しているため、拡散光L2は反射部40に進行することができる。
【0042】
そして、反射部40に到達すると、拡散光L2は反射部40により反射され、反射光L3となる。このとき反射部40の反射面が拡散部41の拡散面に対して傾斜しているため、反射光L3は反射部40により拡散光L2に対して所定の角度を有して進行される。その後、反射光L3は、受光部28aへ受光される。
以上により、拡散部41及び反射部40によって、受光部28aへより効率的に導光することができる。
【0043】
すなわち、拡散部41で様々な方向に拡散された光を反射部40で反射して、この反射光を受光素子28へ受光させる。そのため、反射部40に対する入射角に依存することなく、受光する光を受光素子28へ効率的かつ簡易的に受光させることができる。さらに、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子28の受光部28aへ受光することが可能となる。また、本実施形態では、拡散部41の光の拡散によって拡散光が様々な方向に進めて、受光素子28への受光率を向上させるだけであり、反射部40の材質、光路の設計等による製造コストの上昇を抑制することができる。そのため、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。
【0044】
(光センサの製造方法)
次に、上述した光センサの製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る光センサの製造方法のフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態に係る光センサの製造方法は、光センサ作成工程(S10)と、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)と、ベース基板用ウエハ作製工程(S30)と、を主に有している。なお、光センサ工程(S10)、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)及びベース基板用ウエハ作製工程(S30)は、並行して実施することが可能である。
【0045】
初めに、光センサ作成工程を行って
図2に示す受光素子28を作製する(S10)。シリコンウエハをフォトリソグラフィ技術により複数の受光素子28を作製する。なお、本実施形態においては、受光素子28は可視光を受光する。
【0046】
リッド基板用ウエハ作製工程S20では、後にリッド基板となるリッド基板用ウエハを作製する。まず、ソーダ石灰ガラスからなる円板状のリッド基板用ウエハを、所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチングなどにより最表面の加工変質層を除去する(S21)。次いで、凹部形成工程S22では、リッド基板用ウエハにおけるベース基板用ウエハとの接合面に、キャビティ用の凹部3aを複数形成する。キャビティ用凹部3aの形成は、成形型を使用しての加熱プレス成型等のプレス加工によって行う。次に、接合面研磨工程S23では、ベース基板用ウエハとの接合面を研磨する。
【0047】
次に、接合膜形成工程S24では、ベース基板用ウエハとの接合面に、
図2に示す接合膜35を形成する。なお、接合膜形成工程S24の前に接合面研磨工程S23を行っているので、接合膜35の表面の平面度が確保され、ベース基板用ウエハとの安定した接合を実現することができる。
【0048】
次に、拡散部形成工程S25及び反射部形成工程S26を一括して行う。凹部3aの内面に金属膜をパターニングする。本実施形態において、凹部3aの露出する部分が拡散部となり、このパターニングされた金属膜が反射部40の反射膜を形成する。
【0049】
このとき、反射膜を形成開始後、凹部3aの内面の表面粗さを転写した状態で成膜されていく。しかし、反射膜の膜厚が厚くなるにつれて凹部3aの内面の転写は小さくなっていく。これにより、反射膜の表面粗さが、拡散部41を構成する凹部3aの内面の表面粗さより小さくなる。なお、反射部40は、光を反射する部分にのみ形成されていてもよい。
【0050】
また、反射膜のスパッタ等の成膜によっては、凹部3aの底面から側面に向かって滑らかに傾斜させてもよい。この場合、反射膜において、光が反射する部分を滑らかな曲面で形成することも可能なため、受光素子の受光効率が向上する反射経路を形成することが可能になる。
【0051】
なお、接合膜35をアルミニウムにすることで、接合膜35と反射部40とを一括で一体形成することも可能である。すなわち、反射部形成工程S26と同一工程で、接合膜形成工程S24を行う。この場合、接合膜35を形成するためのパターニングが不要になり、製造コストを低減することができる。また、接合膜35の形成は、スパッタやCVD等の成膜方法によって行うことができる。なお、接合膜35と反射膜との膜厚は同一でも異なっていてもよい。
【0052】
また、反射膜の膜厚は、凹部3aの側面から底面に向かって厚く形成される。この場合、凹部3aの側面に形成された反射部40の表面粗さが、凹部3aの内面の表面粗さより小さくなるまで反射膜をスパッタ等により成膜する。
【0053】
次に、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)と同時、または前後のタイミングで、後にベース基板2となるベース基板用ウエハを製作するベース基板用ウエハ作製工程S30を行う(S30)。まず、ベース基板用ウエハを形成する。具体的には、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去する(S31)。
【0054】
続いて、ベース基板用ウエハに貫通電極32,33を形成する貫通電極形成工程(S30)を行う。
まず、ウエハを貫通電極形成用型の凹部に貫通電極用の金属体をセットした状態し、その上にベース基板用ウエハをセットした状態で加熱炉内に配置し、約900℃程の高温状態で加圧型によりベース基板用ウエハの厚さ方向に沿って圧力をかける。すると、ベース基板用ウエハに貫通電極用の金属体が溶着させ一体化させる。その後、ベース基板用ウエハを徐々に温度を下げながら冷却する。
【0055】
これにより、貫通電極形成用型の凹部形成位置と同じ位置に貫通電極が形成される。また、特にベース基板の厚みに支障がなければ、ベース基板用ウエハ作成工程S31を省いても良い。
【0056】
続いて、ベース基板用ウエハを研磨する(S33)。具体的には、貫通電極の突出部分を研磨して除去するとともに、所望の厚みまで研磨を行う。これにより、ベース基板用ウエハの表面と貫通電極32,33の表面とが、略面一な状態となる。このようにして、ベース基板用ウエハに貫通電極32,33が形成される。なお、貫通電極の突出した部分は除去せずに、そのまま使用してもよい。
【0057】
次に、ベース基板用ウエハの表面に導電性材料をパターニングして、内部電極形成工程を行う(S34)。その後、受光素子28をベース基板用ウエハ上に接着するために導電性樹脂などを塗布する。(S35)このようにして、ベース基板用ウエハ作製工程(S30)が終了する。
【0058】
そして、上述した光センサ作成工程(S10)で作製した複数の受光素子28を、ベース基板用ウエハ上に形成された導電性樹脂と接着させ、さらに各内部電極36,37上に、それぞれ金ワイヤー10,11を介して実装する実装工程を行う(S40)。
【0059】
そして、上述した各基板用ウエハの作製工程で作成されたベース基板用ウエハ及びリッド基板用ウエハを図示しない基準マークなどを指標としながら、両ウエハ40,50を正しい位置にアライメントし、重ね合わせる(S50)。これにより、実装された受光素子28が、リッド基板用ウエハに形成された凹部とベース基板用ウエハとで囲まれるキャビティC内に収納された状態となる。
【0060】
両基板用ウエハの重ね合わせ工程S50後、重ね合わせた2枚の各基板用ウエハを図示しない陽極接合装置に入れ、図示しない保持機構により各基板用ウエハの外周部分をクランプした状態で、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。これにより、光センサをキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが接合したウエハ接合体を得ることができる。
【0061】
その後、ベース基板用ウエハの下面2b側に、一対の貫通電極32,33にそれぞれ電気的に接続する一対の外部電極38,39を形成する(S70)。そして、ウエハ接合体を所望の大きさに個片化する切断工程(S80)を行い、内部の電気特性検査(S90)を行うことで受光素子28を収容した光センサ1が作成される。
【0062】
本実施形態により、プレス加工によって拡散部41の形成を簡便に行うことができる。さらに、効率的に入射光を受光素子28へ受光することが可能となる。これにより、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。
【0063】
なお、光センサ1は、ウエハレベルパッケージによって複数形成する方法を示したが、1つの光センサを形成する方法でもよい。
また、光センサ1の構造によっては、種々の形成工程を採用することができる。例えば、貫通電極ではなく、引き出し電極を形成する場合は、ベース基板用ウエハに引き出し電極をパターニングする。また、接合工程において、陽極接合でなく接着剤等を用いて接合してもよい。
なお、本発明に係る光センサは本実施形態に限定されず、種々の構成を採用することができる。
【0064】
また、
図6から
図9に本実施形態の光センサの変形例を示す。
図6は、本実施形態の光センサの第1変形例を示す断面図である。
図7及び
図8は、それぞれ本実施形態の光センサの第2変形例を示す断面図及び平面図である。
図9は、本実施形態の光センサの第3変形例を示す断面図である。なお、第1実施形態の光センサと同様の構成は、説明を省略する。
【0065】
第1変形例の光センサにおいて、凹部3aの傾斜は、凹部3aの開口端から底部まで2段階の傾斜角度で形成されている。
図6においては、凹部3aは断面視多角形状に形成されている。本例において、拡散部41は、凹部3aの内面を構成する複数の面のうち、一部の面に形成される。また、反射部40は、凹部3aの内面を構成する複数の面のうち、拡散部41を形成する面と異なる面に形成される。この場合、拡散部41の拡散面と反射部40の反射面とが傾斜するだけでなく、反射部40の複数の反射面がそれぞれ反射部41に対して異なる傾斜角で傾斜する。
【0066】
これにより、拡散部41で発生する拡散光は、反射部40の異なる傾斜角を有する複数の反射面に向かって拡散される。これにより、反射部40の各反射面に到達した拡散光は、反射面の異なる傾斜角によって、様々な方向に反射される。また、反射光は、反射部40の1つの反射面から他の反射面へ向かって反射し、他の反射面から受光部28に向かって反射される場合もある。すなわち、受光部28へ向かう反射光をより増加させる。
【0067】
これにより、入射光が受光部28への受光率を向上させることができ、入射光を受光部28aへ効率的に導光することができる。なお、凹部3aの傾斜は、2段階である必要はなく、複数段設けることでもよい。その場合でも、さまざまな角度の傾斜が増えるため、反射光をより増加させることができる。
【0068】
また、
図7、
図8に示す第2変形例の光センサにおいて、反射部40は、凹部3aの開口端から底部まで曲面で形成されている。
図7においては、反射部40は、扁球面状に形成されている。これにより、さまざまな角度の傾斜部が増えるため、反射光をより増加させることができる。なお、反射部40は、少なくとも一部に曲面を有していればよい。その場合でも、さまざまな角度の傾斜が増えるため、反射光をより増加させることができる。
【0069】
また、本例において、拡散部41が凹部3aの内面に複数独立して形成される。本例の場合、反射部40内に複数の拡散部41が独立して形成されている。すなわち、1つの拡散部41は、反射部40に囲まれている。これにより、入射光を様々な位置で拡散させることができる。さらに、拡散光を拡散部41の周囲の反射部40で確実に反射させることができる。そのため、さらに反射光を増加させ、入射光を受光部28へ簡易的かつ効率的に受光することができる。
【0070】
また、凹部3aの内面は必ずしも平面または曲面で構成される必要はなく、ベース基板2の上面2aの光出射部に対して傾斜し、凹部3aの開口端部に向かって広くなる方向に傾斜していればよい。
【0071】
また、本例においても、拡散部41は少なくとも1つ形成されていればよい。また、本例においては、拡散部41が反射部40に囲まれているが、反射部40が拡散部41に囲まれる構成でもよい。この場合、例えば複数の反射部40が独立して形成される。
【0072】
図9に示す第3実施例の光センサにおいて、リッド基板3は凹部3aの底部に突起部を有する。この突起部の高さは、拡散部41の拡散面、すなわち凹部3aの表面粗さの平均より大きい。そして、突起部は、凹部3aの表面荒れによる凹凸とは区別される。また、本例では、突起部は、凹部3aの底部に複数形成される。また、本例において、突起部は、円錐台形状に形成される。なお、突起部の形状は、本例に限らず、角錐台形状、柱状、半球等であってもよい。
【0073】
また、拡散部41は、突起部の少なくとも上部に形成される。また、本例では、拡散部41は、突起部の側壁の一部にも形成されている。
また、本例では、反射部40は、突起部の拡散部41が形成される部分に対して傾斜する突起部の他の部分に形成される。本例においては、反射部40は、突起部の側壁のうち拡散部41が形成されていない部分に形成される。
【0074】
また、本例では、突起部が、凹部3aの底部のうち凹部3aの壁部と接続する部分に形成される。また、拡散部41は、この突起部において凹部3aの壁部と対向する部分に形成される。さらに、反射部40は、凹部3aの壁部においてこの突起部と対向する部分に形成される。すなわち、反射部40と拡散部41とは、凹部3aの壁部と底部との境界付近で対向している。
【0075】
この場合、第1実施形態の光センサに比べて、拡散部41から発生する拡散光が反射部40へ拡散しやすい。このため、反射部40で発生する反射光も増加し、受光素子28での受光率も向上する。
これは、突起部が凹部3aの底部に1つ形成される場合でも効果を得ることができる。
【0076】
また、本例において、複数の突起部のうち隣り合う突起部の対向する部分の一方に拡散部41、他方に反射部40が形成される。この場合においても、第1実施形態の光センサに比べて、拡散部41から発生する拡散光が反射部40へ拡散しやすい。このため、反射部40で発生する反射光も増加し、受光素子28での受光率も向上する。
【0077】
また、本例において、拡散部41は、突起部のうち傾斜の異なる複数の部分に形成されている。そのため、拡散光は、よりさまざまな方向へ拡散することができ、反射部40での反射光を増加することができる。
なお、本例において、突起は少なくとも1つ形成されていればよい。また、拡散部41は、突起部全体に形成されていてもよい。
【0078】
(第2実施形態)
第2実施形態の光センサについて
図10を用いて説明する。なお、第1実施形態の光センサと同様の構成については説明を省略する。
【0079】
図10に示す通り、拡散部41は、リッド基板3の凹部3aの内面を覆う拡散層42で構成される。また、この拡散層42は樹脂層で形成され、樹脂層は例えばメタクリル樹脂等で形成される。本実施形態において、反射部40は拡散層42の一部の表面に形成される。この場合、拡散部41は、反射部40から露出する部分で構成される。本実施形態の場合、反射部40は、凹部3aの内面の壁部の拡散層42上に形成され、拡散部41は、反射部40から露出する凹部3aの底部側に形成される。また、拡散層42は、受光する光を透過し、表面において光を拡散する性質を有する。
【0080】
本実施形態においても、反射部40の表面粗さは、拡散部41の拡散面より小さい。
本実施形態の場合、拡散部形成工程後に反射部形成工程を行って、拡散部41、反射部40を形成する。
【0081】
本実施形態の場合、凹部3aの内面に拡散層42を形成することにより、拡散部41を形成しているため、拡散部41の表面粗さを調整しやすい。そのため、受光する光の種類によって、拡散部41の表面粗さを容易に設定することができる。
【0082】
また、本実施形態において、拡散層42が樹脂層に内包される拡散粒子を有してもよい。この拡散粒子は、粒径を凹部3aの内面の表面粗さより大きくすることにより、光の拡散率を向上させることができる。そのため、反射部40での光の反射率、受光素子28での光の受光率を増加させることができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、拡散層42は、凹部3aの内面全体に形成されているが、これに限らず、一部に形成されていてもよい。この場合、拡散層42は、凹部3aの内面のうち反射部40の形成される部分と異なる部分にのみ形成されてもよい。例えば、拡散層42は、凹部3aの底部上に形成され、反射部40は凹部3aの壁部上に直接形成される。また、拡散層42を凹部3aの一部に形成することにより突起部を形成してもよい。
また、拡散層42は、光を透過し、表面で拡散する性質を有すれば、樹脂以外の材料でもよい。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態の光センサについて
図11を用いて説明する。なお、第1実施形態の光センサと同様の構成については説明を省略する。
本実施形態において、ベース基板2は凹部3a側と反対側の面に受光素子28で受光する光を入射する入射部を有する。すなわち、本実施形態の場合、ベース基板2は光透過性を有する。
【0085】
例えば、受光素子28で受光する光が可視光の場合、ベース基板2は、ガラスや透明樹脂等の可視光を透過する透明体で構成される。また、受光素子28で受光する光が赤外光の場合、ベース基板2は、半導体基板のうちシリコン等の赤外光を透過する材料で構成される。なお、本実施形態において、ベース基板2は、受光素子で受光する光を透過する光透過性を有すれば、種々の材料で構成することができる。
【0086】
また、本実施形態において、凹部3aは、底部と、底部に対して傾斜する壁部とで構成される。また、拡散部41は、凹部3aの壁部に形成され、入射部からの光をキャビティC内に拡散する。また、反射部は、少なくとも凹部3aの底部に形成される。
【0087】
本実施形態における受光部28aへの光の受光について説明する。
ベース基板2の下面の入射部より入射した入射光L1は、ベース基板2を透過してキャビティC内に進行し、リッド基板3の拡散部41で拡散する。このとき、入射光L1は、拡散部41により拡散され、拡散光L2となる。拡散部41による拡散光2は様々な方向に拡散する。拡散した拡散光L2の一部は、そのまま受光素子28の受光部28aへ受光する。また、拡散した拡散光L2の一部は、反射部40に向かって進行する。このとき、反射部40の反射面が拡散部41の拡散面に対して傾斜しているため、拡散光L2は反射部40に進行することができる。
【0088】
そして、反射部40に到達すると、拡散光L2は反射部40により反射され、反射光L3となる。このとき反射部40の反射面が拡散部41の拡散面に対して傾斜しているため、反射光L3は反射部40により拡散光L2に対して所定の角度を有して進行される。その後、反射光L3は、受光部28aへ受光される。
以上により、拡散部41及び反射部40によって、受光部28aへより効率的に導光することができる。
【0089】
すなわち、拡散部41で様々な方向に拡散された光を反射部40で反射して、この反射光を受光素子28へ受光させる。そのため、反射部40に対する入射角に依存することなく、受光する光を受光素子28へ効率的かつ簡易的に受光させることができる。さらに、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子28の受光部28aへ受光することが可能となる。また、本実施形態では、拡散部41の光の拡散によって拡散光が様々な方向に進めて、受光素子28への受光率を向上させるだけであり、反射部40の材質、光路の設計等による製造コストの上昇を抑制することができる。そのため、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。
【0090】
また、本実施形態において、ベース基板2には受光素子28、外部電極38、39等が配置されるため、入射部はベース基板2の露出する部分に制限される。このため、拡散部41は、凹部3aのうち入射部に対向する部分に形成されることが好ましい。なお、拡散部41がこの部分以外に形成されてもよい。この場合、拡散部41は、反射部40での反射光が反射される位置に形成される。
また、本実施形態においても、拡散部41は拡散層で構成されてもよい。この場合、拡散層は、受光する光を反射し、表面で拡散する性質を有する材料で形成する。
【0091】
なお、上記の実施形態に限られず、種々の構成に変更することができる。例えば反射部40の反射面は、拡散部41の拡散面に対して傾斜する位置に形成されていればよく、それ以外の拡散面と同一面に形成されてもよい。例えば、拡散部41が凹部3aの底部に形成され、反射部40が凹部3aの壁部及び底部に形成されてもよい。
【0092】
また、ベース基板が半導体基板で構成することによって、ベース基板に直接受光素子を形成してもよい。これにより、キャビティの高さを低くすることができるため、光センサの低背化が図れる。
また、ベース基板が半導体基板で構成される場合、貫通電極の構成は上記実施形態と異なってもよい。
【0093】
この際、例えば、ベース基板は、シリコンで形成されている。一般的にシリコンは赤外光を透過する特性を有する。すなわち、ベース基板をシリコンで形成することにより、赤外光の入射光がベース基板の光透過部を透過する。また、受光素子は、赤外光を受光する。
【0094】
また、ベース基板は、2つの貫通孔を有する。さらに、貫通電極がそれぞれ貫通孔の内面に形成される。なお、各貫通電極は、図示しない絶縁膜を介して各貫通孔の内面に形成されている。また、各貫通電極は、各貫通孔内部を埋める図示しない封止部を有している。この封止部が、キャビティC内部を外部から封止する。なお、本例において、封止部は貫通孔のキャビティ側の開口を埋める構成であるが、貫通孔内部全体を埋める構成であってもよい。
【0095】
また、各内部電極及び各外部電極は、貫通電極上及びベース基板上に形成されている。なお、各内部電極及び各外部電極は、絶縁膜を介してベース基板上に形成されている。また、本例においては、各内部電極は、各貫通電極の封止部上に形成されている。
【0096】
また、反射部を構成する反射膜は、赤外光の反射率が高い薄膜、例えば、アルミニウムや銀といった金属などで形成される。本例においても、反射膜をリッド基板の凹部の内面の表面粗さより小さい表面粗さに形成する。これにより、反射部で反射された赤外光の反射光を受光素子まで導光することができる。
【0097】
次に、本例に係る光センサの製造方法を説明する。なお、
図5に示すフローチャートと同様の工程は、説明を省略する。
光センサ作成工程S10において、赤外光を受光する受光素子を作成する。なお、受光素子は、ベース基板用ウエハ上でMEMS技術により形成してもよい。
【0098】
リッド基板用ウエハ作製工程S20において、研磨、洗浄、エッチングS21から接合面研磨工程まで
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。反射膜形成工程S26において、反射膜は、赤外線の反射率が高い薄膜、例えば、アルミニウムや銀といった金属などで成膜をする。特に、接合膜形成工程S24において、接合膜はアルミニウムを成膜した場合、反射膜形成工程S26と接合膜形成工程S24とを同一工程で行うことができる。なお、リッド基板がガラスで形成され、ベース基板がシリコンで形成される場合、接合膜を形成せずに両基板を陽極接合することも可能である。
ベース基板用ウエハ作製工程S30において、シリコンを用いてベース基板を作成する。研磨、洗浄、エッチングS31を
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。
【0099】
貫通電極形成工程S32は、まず、ブラスト加工やレーザー加工などで、貫通孔を形成する。その後、研磨を実施して、所望の厚みまで研磨を行う。なお、貫通孔を形成する手法としては、種々の方法を採用できる。例えば、まずベース基板の一面から、ベース基板の厚み方向に対して途中までブラスト加工やレーザー加工で有底の窪みを形成する加工を行う。その後、ベース基板の一面と反対の面を研磨することにより、貫通孔を形成することでも製作可能である。また、ベース基板がシリコンのため、エッチングにより貫通孔を形成することも可能である。
【0100】
次に、貫通孔の内面に絶縁膜を形成する。この際、ベース基板の表面のうち少なくとも内部電極と外部電極を形成する部分にも絶縁膜を形成する。その後、貫通孔の内面に金属膜を成膜する。また、金属膜上に、メッキ法によりメッキ膜を形成し、貫通電極の封止部を形成する。これにより、貫通電極が、絶縁膜を介して貫通孔内部に形成される。
次に接合面研磨工程S33からダイボンド形成工程S35まで同様に行う。その後、実装工程S40以降を同様に行う。これにより光センサを製造する。
【0101】
本実施形態においても、プレス加工によって拡散部41の形成を簡便に行うことができる。さらに、効率的に入射光を受光素子28へ受光することが可能となる。これにより、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。