(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は車両に搭載されるリヤワイパモータの平面図を、
図2は
図1のA−A線に沿う部分断面図を、
図3はウォームホイール単体を表側から見た斜視図を、
図4はウォームホイール単体を裏側から見た斜視図を、
図5は連結部,歯車部寄り凹部,ホイール軸固定孔寄り凹部の位置関係を説明する部分拡大図を、
図6は第1筒状部,第2筒状部,歯車部寄り凹部の寸法関係を説明する説明図を、
図7はコネクタユニットおよびウォームホイールを
図1の裏側から見た図をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示すように、モータ装置としてのリヤワイパモータ10は、車両のリヤハッチに搭載されるリヤワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるもので、モータ部20および減速機構部30を備えている。モータ部20および減速機構部30は、一対の締結ネジ11によりそれぞれ一体となるよう連結されている。リヤワイパモータ10は、リヤハッチ等の幅狭空間に配置され、図示しないリヤガラス上に設けられるワイパブレード(図示せず)を、所定角度範囲で往復払拭動作(揺動駆動)させるようになっている。
【0016】
図1,2に示すように、モータ部20は、ブラシ付きの4極モータとして構成されている。モータ部20は、モータケース21を備えており、当該モータケース21は、磁性体である鋼板を深絞り加工することにより有底筒状に形成されている。モータケース21は、一対の円弧部21aおよび一対の直線部21bを備え、各円弧部21aおよび各直線部21bは、モータケース21の中心(アーマチュア軸24)を挟んでそれぞれ対向配置されている。これによりモータケース21の横断面形状は略小判形状に形成されている。よって、モータケース21の幅寸法、つまり
図2中左右方向の厚み寸法を詰めて薄型化が図られている。
【0017】
各円弧部21aおよび各直線部21bは、モータケース21の開口部側から底部側に亘って延在されている。これにより、モータケース21を段差部の無いストレート形状にしており、ひいてはモータケース21の深絞り加工のし易さを向上させている。また、
図1に示すように、モータケース21の開口部側にはブラシホルダ70が入り込まないため、モータケース21の軸方向長さも抑えられている。このようにモータケース21は、成形性の向上および小型軽量化の観点で、有利な形状に形成されている。
【0018】
モータケース21の内部には、断面が略円弧形状に形成された合計4つのマグネット22が装着されている。各マグネット22は、例えばフェライト磁石であって、モータケース21の周方向に沿ってそれぞれ等間隔(90度間隔)で固定され、各マグネット22の内側には、所定の隙間を介してアーマチュア23が回転自在に収容されている。アーマチュア23の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)24の基端側が貫通して固定されている。
【0019】
アーマチュア軸24の軸方向に沿う略中央部分には、コンミテータ25が固定されており、コンミテータ25は10個のセグメント25aを備えている。また、アーマチュア軸24の基端側には、アーマチュア23を形成するアーマチュアコア26が固定されており、アーマチュアコア26は10個のティース26aを備えている。各ティース26a間には、スロットが形成されている。各ティース26aには、所定の巻き方および所定の巻数で複数のアーマチュアコイル26bが巻装されている。各アーマチュアコイル26bのコイル端は、各セグメント25aにそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
コンミテータ25の各セグメント25aには、複数の給電ブラシ25b(
図1では1つのみ示す)が摺接するようになっている。各給電ブラシ25bは、ハウジング31のブラシホルダ収容部34に収容されたブラシホルダ70に移動自在に設けられ、各給電ブラシ25bには、コネクタユニット50からの駆動電流が供給されるようになっている。このように、モータ部20とコネクタユニット50とは、各給電ブラシ25b,コンミテータ25およびアーマチュアコイル26bを介して電気的に接続され、これによりアーマチュアコイル26bに電磁力が発生し、アーマチュア23(アーマチュア軸24)が回転するようになっている。なお、
図2においては、説明を分かり易くするために各給電ブラシ25bおよびブラシホルダ70の図示が省略されている。
【0021】
アーマチュア軸24の基端側は、モータケース21内に回転自在に収容され、モータケース21の底部側に設けられたラジアル軸受27のみによって支持されている。アーマチュア軸24の基端側とモータケース21との間には、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受が設けられていない。ここで、ラジアル軸受27は、例えば、焼結材により略円筒形状に形成され、これにより、低騒音かつ耐衝撃性および自己潤滑性を備え、さらには摩耗粉が発生し難くなっている。ただし、ラジアル軸受27は、焼結材に換えて耐熱性に優れたプラスチック材料等により形成することもできる。
【0022】
アーマチュア軸24の先端側には、ウォームギヤ24a(詳細図示せず)が一体に設けられ、当該ウォームギヤ24aは、アーマチュア軸24の回転に伴いハウジング31内で回転するようになっている。ウォームギヤ24aは螺旋状に形成され、ウォームホイール80のギヤ歯80aに噛み合わされている。ここで、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール80は減速機構を形成している。ウォームホイール80は、ウォームギヤ24aの回転に伴い、当該ウォームギヤ24aよりも減速状態で回転され、減速して高トルク化した回転を外部に出力するようになっている。
【0023】
アーマチュア軸24のアーマチュア23とウォームギヤ24aとの間には、ボールベアリング28の内輪部材28aが圧入嵌合により固定されている。また、ボールベアリング28の外輪部材28bは、ハウジング31とストッパプレート60との間に挟持されている。これによりアーマチュア軸24は、ボールベアリング28により回転自在に支持されるとともに、ハウジング31に対する軸方向および径方向への移動が規制される。このようにボールベアリング28は、ラジアル軸受けおよびスラスト軸受としての機能を備えている。したがって、アーマチュア軸24の先端側とハウジング31との間においても、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受が設けられていない。
【0024】
ここで、リヤワイパモータ10は、小型軽量化された4極モータとして構成されるため、例えば同じ出力の大型である2極モータに比して発熱量が多くなる。しかしながら、アーマチュア軸24の軸方向両端側にはスラスト軸受を設けていないので、その分、アーマチュア軸24の摺動ロス、つまりスラスト軸受との摩擦抵抗を無くして、余計な発熱量の増大を防止するようにしている。
【0025】
減速機構部30は、
図1に示すように、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することにより略バスタブ形状に形成されたハウジング31を備えている。ハウジング31は底部31aおよび壁部31bを備え、底部31a側とは反対側は開口部31cとなっている。開口部31cは、図示しないギヤカバーによって閉塞され、開口部31cからは、ウォームホイール80やコネクタユニット50等が、ハウジング31内に収容されるようになっている。
【0026】
ハウジング31のモータ部20側には、ブラシホルダ収容部34が一体に設けられている。ブラシホルダ収容部34は、アーマチュア軸24の軸方向に沿って延びるよう筒状に形成され、その横断面形状は、モータケース21(
図2参照)の横断面形状と同様に、略小判形状に形成されている。これにより、ブラシホルダ収容部34においても、その幅寸法、つまり
図1中奥行き方向の厚み寸法を詰めて薄型化が図られている。
【0027】
ハウジング31の内部には、
図3,4に示すように、回転体としてのウォームホイール80が回転自在に収容されており、当該ウォームホイール80は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより略円盤形状に形成されている。ウォームホイール80は、本体部81と、当該本体部81よりも大径で軸方向寸法が薄くされた歯車部82とを備えている。歯車部82の外周部分にはギヤ歯80aが一体に形成され、当該ギヤ歯80aには、ウォームギヤ24a(
図1参照)が噛み合わされるようになっている。
【0028】
本体部81の回転中心には、ホイール軸固定孔81aが設けられ、当該ホイール軸固定孔81aには、断面が円形の鋼棒よりなるホイール軸80b(
図1参照)の軸方向一端側が固定されている。ここで、ホイール軸80bの軸方向他端側は、ハウジング31の底部31aに設けられたボス部(図示せず)に回動自在に支持されるようになっている。
【0029】
また、ホイール軸固定孔81aの軸方向一側および軸方向他側の周囲には、本体部81の軸方向に窪んだ複数の第1凹所81bが形成されている。各第1凹所81bは所謂「肉盗み」として機能し、本体部81におけるホイール軸固定孔81aの周囲のヒケやソリ等の発生を抑制して、ホイール軸固定孔81aの成形精度を向上させている。これにより、ウォームホイール80が歪むこと無くスムーズに回転することができ、リヤワイパモータ10の作動音の低減等が図られている。
【0030】
図3に示すように、本体部81の軸方向一側には、差し込み孔81c1を備えた一対の連結部81cが設けられている。各差し込み孔81c1のいずれか一方には、ウォームホイール80の回転に伴って駆動される運動変換機構40の一方側(
図1中右側)が連結される連結ピン83(
図1,6参照)が差し込まれるようになっている。つまり、各連結部81cのいずれか一方には、連結ピン83が装着されるようになっている。各連結部81cは、ウォームホイール80の回転中心であるホイール軸固定孔81aから離間した位置で、ホイール軸固定孔81aを挟んで対向するよう配置されている。各連結部81cは、本体部81の径方向外側の歯車部82寄りに設けられている。
【0031】
ここで、連結ピン83の装着位置を、各連結部81cのいずれか一方または他方に変更可能としているが、これはリヤワイパモータ10の種々の仕様に対応できるようにするためである。具体的には、例えば、各連結部81cのいずれか一方に装着した場合にはワイパブレードの停止位置が右向きとなり、各連結部81cのいずれか他方に装着した場合にはワイパブレードの停止位置が左向きとなる。言い換えれば、ウォームホイール80は、部品の共通化が図れる形状に形成されており、リヤワイパモータ10の製造コスト低減に寄与している。
【0032】
図6に示すように、連結部81cは、その径方向内側に配置された第1筒状部81dと、径方向外側に配置された第2筒状部81eとを備えている。ここで、第1筒状部81dおよび第2筒状部81eの位置関係を明確化するために、これらの境界部分には二点鎖線を施している。
【0033】
第1筒状部81dは、連結ピン83を回動自在に支持するようになっており、その軸方向寸法はL1に設定されている。一方、第2筒状部81eは、第1筒状部81dの周囲に設けられて第1筒状部81dを部分的に補強するようになっており、その軸方向寸法は、第1筒状部81dよりも短い軸方向寸法L2に設定されている(L2<L1)。ここで、第2筒状部81eは、特に、第1筒状部81dの連結ピン83を支持する支持部Pを部分的に補強しており、これにより連結部81cの連結ピン83を支持する部分の剛性を十分なものにしている。
【0034】
また、第1筒状部81dの軸方向寸法L1を、第2筒状部81eの軸方向寸法L2よりも長く設定することにより、第2筒状部81eの軸方向一側(図中上側)に階段状の段差部81fが形成されている。つまり、連結部81cの段差部81fに対応する部分において、その径方向に沿う厚み寸法(第1筒状部81dの厚み寸法に相当)を薄くして、連結部81cの成形時におけるヒケやソリ等の発生を抑制できるようにしている。
【0035】
図3に示すように、各連結部81cの中心Cを結んで形成される線分LNを挟む本体部81の一側(図中上側)には、第2凹部としての大径孔部81gと、当該大径孔部81gよりも小径の小径孔部81hが1つずつ設けられている。また、線分LNを挟む本体部81の他側(図中下側)にも、第2凹部としての大径孔部81gおよび小径孔部81hが1つずつ設けられている。そして、一対の大径孔部81gはホイール軸固定孔81aを挟んで対向配置され、一対の小径孔部81hにおいてもホイール軸固定孔81aを挟んで対向配置されている。
【0036】
このように、線分LNを挟む本体部81の一側および線分LNを挟む本体部81の他側のそれぞれに、本体部81の軸方向に窪んだ大径孔部81gおよび小径孔部81hを同数(1つずつ)設け、かつホイール軸固定孔81aを挟んで対向配置させることで、ウォームホイール80のホイール軸固定孔81aを中心としたバランスを良好にしている。これによりウォームホイール80の回転ブレが抑制される。
【0037】
また、各大径孔部81gおよび各小径孔部81hは、ウォームホイール80の軽量化はもちろんのこと「肉盗み」として機能するので、ウォームホイール80にヒケやソリ等を発生させないようにして、ウォームホイール80の成形精度を向上させている。ただし、大径孔部81gおよび小径孔部81hは、線分LNを挟む本体部81の一側および他側のそれぞれに1つずつ設けるに限らず、2つずつ設けることもできる。また、大径孔部81gのみとしても良いし、小径孔部81hのみとしても良い。
【0038】
さらに、線分LNを挟む本体部81の一側および線分LNを挟む本体部81の他側には、各孔部81g,81hに加えて、本体部81の軸方向に窪んだ複数の第2凹所81iが設けられている。これらの各第2凹所81iについても、「肉盗み」として機能しており、ウォームホイール80にヒケやソリ等が発生するのを抑制するものである。
【0039】
ここで、各大径孔部81gの内径寸法および各第1筒状部81dの内径寸法(差し込み孔81c1の直径寸法)は、それぞれ同じ寸法に設定されており、これにより各大径孔部81gにも連結ピン83が回動自在に差し込めるようになっている。つまり、各大径孔部81gにおいても、リヤワイパモータ10を種々の仕様に対応可能とする機能を備えている。具体的には、各大径孔部81gは、各第1筒状部81dよりも径方向内側に配置されている。したがって、各大径孔部81gを選択した場合には、各第1筒状部81dを選択した場合に比して、ワイパブレードの払拭範囲(揺動角度)を狭角に設定できるようになっている。
【0040】
図4に示すように、本体部81の軸方向他側で各連結部81c(
図3参照)に対応する部分には、第1凹部としての歯車部寄り凹部81jおよびホイール軸固定孔寄り凹部81kがそれぞれ設けられている。そして、
図5に示すように、各歯車部寄り凹部81jおよび各ホイール軸固定孔寄り凹部81kは、それぞれ横断面形状が略円弧形状に形成され、各連結部81cの周方向に沿うよう配置されている。
【0041】
ここで、各歯車部寄り凹部81jおよび各ホイール軸固定孔寄り凹部81kは、本体部81の軸方向一側に向けて窪んでおり、各連結部81cの体積を減少させている。各歯車部寄り凹部81jおよび各ホイール軸固定孔寄り凹部81kの深さ寸法、つまり軸方向寸法は、
図6に示すように、連結部81cの連結ピン83を支持する部分の剛性を下げずに、連結部81cの成形時におけるヒケやソリ等の発生を抑制できるよう、支持部Pに若干到達する深さ寸法Dに設定されている。
【0042】
また、
図4に示すように、本体部81の軸方向他側には、スイッチングプレート84(
図7参照)が装着される環状凹部81mが形成されている。この環状凹部81mの深さ寸法(軸方向寸法)は、導電性を有する鋼板よりなるスイッチングプレート84の厚み寸法(図示せず)と同じ寸法に設定されている。したがって、スイッチングプレート84を環状凹部81mに装着した状態のもとで、本体部81の軸方向他側の面は面一となる。
【0043】
本体部81のギヤ歯80a寄りには、ホイール軸固定孔81aを挟むようにして対向された一対の外周側係合孔81nが設けられている。また、本体部81のホイール軸固定孔81a寄りには、当該ホイール軸固定孔81aを挟むようにして対向された一対の内周側係合孔81pが設けられている。各外周側係合孔81nと各内周側係合孔81pとは、ホイール軸固定孔81aを中心として、互いに略90°相対回転させた位置に配置されている。
【0044】
各係合孔81n,81pには、スイッチングプレート84を環状凹部81mに固定するための各固定爪84c,84d(
図7参照)がそれぞれ差し込まれて固定されるようになっている。これにより、スイッチングプレート84の外周部84aおよび内周部84b(
図7参照)を、ウォームホイール80に対してがたつくことなく、強固に固定できるようにしている。
【0045】
図7に示すように、ウォームホイール80の軸方向他側(図中手前側)には、斜線部分に示すように、導電板であるスイッチングプレート84が設けられている。スイッチングプレート84は、導電性に優れた黄銅等によって形成され、プレス加工(打ち抜き加工等)を施すことにより略環状に形成されている。そして、スイッチングプレート84は、ウォームホイール80の軸方向他側の環状凹部81mに固定されている。
【0046】
スイッチングプレート84の外周部84aおよび内周部84bには、スイッチングプレート84の板厚方向に略直角に屈曲された外周側固定爪84c,内周側固定爪84dがそれぞれ2つずつ設けられている。各固定爪84c,84dは、スイッチングプレート84をウォームホイール80に固定するためのもので、それぞれ各係合孔81n,81p(
図4参照)に対応して設けられている。つまり、各外周側固定爪84cと各内周側固定爪84dとは、ホイール軸固定孔81aを中心として、互いに略90°相対回転させた位置に配置されている。
【0047】
スイッチングプレート84の外周部84aの一部には、スイッチングプレート84の径方向内側に窪んだ凹部84eが設けられている。また、スイッチングプレート84の内周部84bの一部には、スイッチングプレート84の径方向内側に突出した凸部84fが設けられている。さらに、スイッチングプレート84の径方向に沿う外周部84aと内周部84bとの間には、凹凸等を備えない環状のプレート本体84gが設けられている。
【0048】
スイッチングプレート84のプレート本体84gに対応する部分,凹部84eに対応する部分,凸部84fに対応する部分には、それぞれスイッチングプレート84の周方向に延在される第1摺接部84h,第2摺接部84i,第3摺接部84j(図中2点鎖線)が形成されている。そして、第1摺接部84hおよび第2摺接部84iのそれぞれには、ウォームホイール80の回転に伴って、コネクタユニット50に設けられた第1コンタクトプレートCP1および第2コンタクトプレートCP2の先端部分がそれぞれ摺接するようになっている。
【0049】
これにより、各コンタクトプレートCP1,CP2の通電状態や非通電状態が、コネクタユニット50を介して車載コントローラ(図示せず)に送られる。これにより車載コントローラは、運転者によりワイパスイッチ(図示せず)がオフ操作されたことと、各コンタクトプレートCP1,CP2が非通電状態になったこと、つまり第2コンタクトプレートCP2が凹部84eに到達したこととを検知することで、モータ部20への駆動電流の供給を停止させる。これにより、ワイパブレードを所定の停止位置で自動的に停止(オートストップ)できるようになっている。
【0050】
ここで、コネクタユニット50には、コネクタ接続部51が一体に設けられ、当該コネクタ接続部51には、車両側の外部コネクタ(図示せず)が電気的に接続されるようになっている。これにより、各コンタクトプレートCP1,CP2の通電状態や非通電状態を車載コントローラに送ることができるとともに、車載コントローラからブラシホルダ70(モータ部20)に駆動電流を供給できるようになっている。
【0051】
図1に示すように、ハウジング31のウォームホイール80から離れた部分(図中左側)には、断面が円形の鋼棒よりなる出力軸35が収容されている。この出力軸35は、ハウジング31の底部31aに設けられたボス部(図示せず)に回動自在に支持されている。そして、出力軸35の外部に延出された延出部分(図示せず)には、ワイパブレードの基端部が固定されるようになっている。
【0052】
ハウジング31内で、出力軸35の基端側とウォームホイール80との間には、ウォームホイール80の回転運動を出力軸35の揺動運動に変換する運動変換機構(動力伝達部材)40が設けられている。運動変換機構40は、揺動リンク41,連結板42および摺接板43を備えている。
【0053】
揺動リンク41は、鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成され、揺動リンク41の長手方向一端側は、出力軸35の基端側に固定されている。一方、揺動リンク41の長手方向他端側は、連結板42の長手方向一端側に、ピン部材44を介して回動自在に連結されている。連結板42の長手方向他端側は、連結ピン83を介してウォームホイール80の回転中心から偏心した位置にある一方の連結部81c(
図3参照)に回動自在に連結されている。
【0054】
つまり、運動変換機構40の一方側(
図1中右側)は連結ピン83に連結され、運動変換機構40の他方側(
図1中左側)は出力軸35に連結されている。ここで、揺動リンク41の長さ寸法は連結板42の長さ寸法に対して略半分(略1/2)の長さ寸法に設定されている。また、連結板42においても、揺動リンク41と同様に鋼板を打ち抜き加工等することで板状に形成されている。
【0055】
このように、出力軸35とウォームホイール80との間に運動変換機構40を設けることで、ウォームホイール80の一方向への回転に伴い出力軸35を所定角度範囲で揺動できるようになっている。具体的には、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール80の回転により、減速して高トルク化された回転力が連結ピン83に伝達され、連結ピン83がホイール軸80bを中心に回転する。すると、連結板42の長手方向他端側もホイール軸80bを中心に回転し、これにより連結板42の長手方向一端側が、ピン部材44を介して揺動リンク41に規制された状態で、出力軸35を中心に揺動する。
【0056】
摺接板43は、自己潤滑性に優れたプラスチック等の樹脂材料により板状に形成され、連結板42のギヤカバー側(
図1中手前側)に装着されている。摺接板43の長手方向中央部分には、ギヤカバーに摺接する摺接部43aが一体に設けられ、当該摺接部43aにはグリス(図示せず)が塗布されている。これにより、運動変換機構40のハウジング31内での動作をスムーズにしつつ、運動変換機構40が出力軸35の軸方向(
図1中奥行方向)に沿ってガタつくのを防止し、ひいてはリヤワイパモータ10の作動音の低減等が図られている。なお、
図6においては、摺接板43の図示が省略されている。
【0057】
以上詳述したように、実施の形態1に係るリヤワイパモータ10によれば、連結部81cを、連結ピン83を回動自在に支持する第1筒状部81dと、第1筒状部81dの周囲に設けられ、第1筒状部81dよりも短い軸方向寸法L2に設定された第2筒状部81eとから形成したので、第1筒状部81dを第2筒状部81eによって補強することができる。この場合、第1筒状部81dおよび第2筒状部81eの軸方向寸法をそれぞれ異ならせたので、第1筒状部81dおよび第2筒状部81eを階段状に形成して、第1筒状部81dの径方向の厚み寸法の増大を部分的に抑えることができる。これにより連結部81cの剛性を確保しつつその体積を減少させて、ヒケやソリ等の樹脂の変形を抑えることができ、ひいてはリヤワイパモータ10の作動音の低減および長寿命化を図ることができる。
【0058】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
図8は実施の形態2に係るリヤワイパモータの減速機構部を示す平面図を示している。
【0060】
図8に示すように、実施の形態2に係るリヤワイパモータ(モータ装置)90は、実施の形態1に係るリヤワイパモータ10(
図1参照)に比して、出力軸35の位置および運動変換機構(動力伝達部材)100の構造が異なっている。
【0061】
リヤワイパモータ90の出力軸35は、ハウジング91のウォームホイール80を挟んでアーマチュア軸24側とは反対側に配置されている。これにより、リヤワイパモータ90においては、実施の形態1に比して、アーマチュア軸24の軸方向に沿う寸法を詰められるようになっている。
【0062】
リヤワイパモータ90の運動変換機構100は、ピニオンギヤ101,運動変換部材102,連結板42および摺接板43を備えている。ピニオンギヤ101は出力軸35の基端側に固定され、出力軸35とともに揺動するようになっている。
【0063】
運動変換部材102は、ピニオンギヤ101と噛み合うセクタギヤ102aと、連結ピン83を介してウォームホイール80の偏心位置に回動自在に連結されるアーム部102bとを備えている。セクタギヤ102aの中心部分にはピン部材44が設けられ、当該ピン部材44と出力軸35との間には、連結板42が設けられている。具体的には、連結板42の長手方向一端側は出力軸35の基端側に回動自在に連結され、連結板42の長手方向他端側はピン部材44に回動自在に連結されている。このように、実施の形態2に係る連結板42は、出力軸35とピン部材44との距離を一定に保ち、ピニオンギヤ101とセクタギヤ102aとの噛み合いを維持するようになっている。
【0064】
リヤワイパモータ90の運動変換機構100においても、ウォームホイール80の回転運動を出力軸35の揺動運動に変換するようになっている。具体的には、ウォームホイール80の回転に伴い連結ピン83がホイール軸80bを中心に回転すると、運動変換部材102のアーム部102bもホイール軸80bを中心に回転する。これにより、セクタギヤ102aがピン部材44を中心に揺動し、その結果、セクタギヤ102aに噛み合うピニオンギヤ101、つまり出力軸35が揺動する。
【0065】
以上詳述したように、実施の形態2に係るリヤワイパモータ90においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、モータケース21およびブラシホルダ収容部34の横断面形状を、それぞれ略小判形状に形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、楕円形形状や長方形形状などに形成することもできる。
【0067】
また、上記各実施の形態においては、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール80からなる減速機構(ウォーム減速機)を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば減速機構として遊星歯車減速機を採用することもできる。この場合、例えばサンギヤを入力側(アーマチュア軸24側)のギヤとし、リングギヤを出力側(出力軸35側)のギヤとすれば良い。
【0068】
さらに、上記各実施の形態においては、各マグネット22として、フェライト磁石を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ネオジウム磁石よりなる板状マグネット等を採用することもできる。そして、モータ部に必要とされる仕様に応じて、磁石の個数,セグメント数およびティース数等は、それぞれ自由に設定して構わない。