特許第6270330号(P6270330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6270330エンジン音出力装置及びエンジン音出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6270330
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】エンジン音出力装置及びエンジン音出力方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20180122BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20180122BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G10K15/04 302J
   B60R11/02 Z
   H04R3/00 310
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-77854(P2013-77854)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-202856(P2014-202856A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100112760
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 五雄
(72)【発明者】
【氏名】椎津 貴之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真
【審査官】 武田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−085662(JP,A)
【文献】 特開平05−053594(JP,A)
【文献】 特開平07−032948(JP,A)
【文献】 特開2008−094328(JP,A)
【文献】 特開2000−010576(JP,A)
【文献】 特開平04−152395(JP,A)
【文献】 特開2008−145659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
B60R 11/02
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行情報を取得する第1取得部と;
エンジン回転数毎の複数のエンジン音情報を記憶する記憶部から、複数のエンジン音情報を取得する第2取得部と;
前記複数のエンジン音情報に基づく信号を合成して前記走行情報に対応した合成音情報を生成し、前記合成音情報に対し前記エンジン音情報の収集車両のエンジン音を再現する周波数特性変更処理を行う生成部と;
前記周波数特性変更処理の結果に基づく擬似エンジン音を、車室内に出力させる制御部と;
を備えることを特徴とするエンジン音出力装置。
【請求項2】
前記第1取得部が取得した前記走行情報に基づいて、前記車両の駆動機構がエンジンである場合におけるエンジン回転数に相当する擬似エンジン回転数を算出する算出部を更に備え、
前記生成部は、前記算出された擬似エンジン回転数に基づいて、前記第2取得部が取得した前記複数のエンジン音情報のそれぞれに対応する信号の周波数特性を変化させた複数の特性変化信号を生成した後、前記複数の特性変化信号に基づいて、前記合成音情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン音出力装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記複数の特性変化信号を、前記擬似エンジン回転数に基づいた所定の割合で重み付け合成して、前記合成音情報を生成する、ことを特徴とする請求項2に記載のエンジン音出力装置。
【請求項4】
前記走行情報には、アクセル開度が含まれ、
前記生成部は、前記アクセル開度に応じて、前記合成音情報に基づく信号を増幅させる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジン音出力装置。
【請求項5】
前記走行情報には、アクセル開度が含まれ、
前記生成部は、前記算出された擬似エンジン回転数に対応する周波数の所定次数の信号に対して、前記アクセル開度の時間微分値を用いることなく、前記アクセル開度に応じた振幅変調を施した変調用信号を生成し、前記生成された変調用信号に基づいて、前記合成音情報に基づく信号を振幅変調させる、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のエンジン音出力装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記合成音情報に対して、前記エンジン音情報の収集車両のエンジン音を再現する前記周波数特性変更処理を行った後に、前記周波数特性変更処理が行われた信号に対して前記変調用信号に基づいて振幅変調を施す、ことを特徴とする請求項5に記載のエンジン音出力装置。
【請求項7】
第1取得部と、第2取得部と、生成部と、制御部とを備えるエンジン音出力装置において使用されるエンジン音出力方法であって、
前記第1取得部が、車両の走行情報を取得する第1取得工程と;
エンジン回転数毎のエンジン音情報を記憶する記憶部から、前記第2取得部が、複数のエンジン音情報を取得する第2取得工程と;
前記生成部が、前記複数のエンジン音情報に基づく信号を合成して前記走行情報に対応した合成音情報を生成し、前記合成音情報に対し、前記エンジン音情報の収集車両のエンジン音を再現する周波数特性変更処理を行う生成工程と;
前記制御部が、前記周波数特性変更処理の結果に基づく擬似エンジン音を、車室内に出力させる制御工程と;
を備えることを特徴とするエンジン音出力方法。
【請求項8】
エンジン音出力装置が有するコンピュータに、請求項7に記載のエンジン音出力方法を実行させる、ことを特徴とするエンジン音出力プログラム。
【請求項9】
エンジン音出力装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項8に記載のエンジン音出力プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン音出力装置、エンジン音出力方法、エンジン音出力プログラム、及び、当該エンジン音出力プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の搭乗者に対して、走行臨場感や快適なドライブ感を与えるために、車室内に擬似環境を生成する技術が注目されている。こうした擬似環境の生成に関して提案されている技術としては、例えば、車両の走行状態に対応するエンジン音を生成し、当該エンジン音を車室内に出力するものがある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。
【0003】
この従来例の技術では、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを駆動機構とする車両(以下、「エンジン車両」と呼ぶ)のエンジンルーム内でエンジン音を収音し、当該エンジン音を示すエンジン音信号を生成する。そして、当該エンジン音信号に、エンジン回転数やアクセルペダルの操作速度に応じた歪みを付与する加工を行い、加工されたエンジン音信号に基づく加工エンジン音を、当該エンジン車両の車室内に配置されたスピーカから出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−145659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近においては、省エネルギや環境負荷の低減等の観点から、モータを駆動機構とする電気自動車やモータを駆動機構の一部とするハイブリッド車といった電動車両が、続々と登場してきている。こうした電動車両が走行する場合には、従来のエンジン車両と比べて、車室内における駆動音のレベルが飛躍的に低くなる。この結果、電動車両においては、エンジン車両において得られていたエンジン音による走行臨場感やドライブ感を得ることができないという事態が発生する。このため、車室内に走行状態に対応した擬似環境を創出する必要性は、電動車両の方がエンジン車両の場合に比べて高いといえる。
【0006】
しかしながら、従来例の技術では、上述したように走行状態に対応した加工エンジン音を、エンジン車両の車室内空間に出力することで、当該車室内空間に擬似環境を創出するようになっている。したがって、モータを駆動機構として使用している期間においては、走行状態に対応した電動車両の車室内空間の擬似環境の創出に、従来例の技術を適用することはできない。
【0007】
このため、電動車両の車室内空間においても、走行状態に対応した擬似エンジン音による擬似環境を創出することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、電動車両の搭乗者に対して、走行状態に対応した走行臨場感や快適なドライブ感を与えることができる新たなエンジン音出力装置及びエンジン音出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、車両の走行情報を取得する第1取得部と;エンジン回転数毎の複数のエンジン音情報を記憶する記憶部から、複数のエンジン音情報を取得する第2取得部と;前記複数のエンジン音情報に基づく信号を合成して前記走行情報に対応した合成音情報を生成し、前記合成音情報に対し前記エンジン音情報の収集車両のエンジン音を再現する周波数特性変更処理を行う生成部と;前記周波数特性変更処理の結果に基づく擬似エンジン音を、車室内に出力させる制御部と;を備えることを特徴とするエンジン音出力装置である。
【0010】
請求項7に記載の発明は、第1取得部と、第2取得部と、生成部と、制御部とを備えるエンジン音出力装置において使用されるエンジン音出力方法であって、前記第1取得部が、車両の走行情報を取得する第1取得工程と;エンジン回転数毎のエンジン音情報を記憶する記憶部から、前記第2取得部が、複数のエンジン音情報を取得する第2取得工程と;前記生成部が、前記複数のエンジン音情報に基づく信号を合成して前記走行情報に対応した合成音情報を生成し、前記合成音情報に対し、前記エンジン音情報の収集車両のエンジン音を再現する周波数特性変更処理を行う生成工程と;前記制御部が、前記周波数特性変更処理の結果に基づく擬似エンジン音を、車室内に出力させる制御工程と;を備えることを特徴とするエンジン音出力方法である。
【0011】
請求項8に記載の発明は、エンジン音出力装置が有するコンピュータに、請求項7に記載のエンジン音出力方法を実行させる、ことを特徴とするエンジン音出力プログラムである。
【0012】
請求項9に記載の発明は、エンジン音出力装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項8に記載のエンジン音出力プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るエンジン音出力装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る端末装置及び出力音管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施例に係るエンジン音出力装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図4図3の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図5図4の変調用信号生成部が生成する変調用信号の例を示す図である。
図6図4の擬似エンジン回転数算出部が利用する「ギア設定情報」の内容を説明するための図である。
図7図4の擬似エンジン回転数算出部が利用する「ギア比情報」の内容を説明するための図である。
図8図4の信号合成部が利用する「音量設定テーブル」の内容を説明するための図である。
図9図4の信号増幅部が利用する「増幅情報」の内容を説明するための図である。
図10図4の変調用信号生成部が利用する「変調度情報」の内容を説明するための図である。
図11図4の特性変化信号生成部の構成を示すブロック図である。
図12図11の個別特性変化信号生成部が生成するエンジン音信号を周波数シフトした特性変化信号FSDの例を示す図である。
図13図3の装置による擬似エンジン音の出力処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1を参照して説明する。
【0016】
<構成>
図1には、第1実施形態に係るエンジン音出力装置700の構成がブロック図にて示されている。このエンジン音出力装置700は、電気エネルギを駆動エネルギの全部として利用する電気自動車CR(以下、「車両CR」と呼ぶ)内に配置される。
【0017】
第1実施形態では、車両CRには、エンジン音出力装置700に加えて、出力部910と、走行情報検出部920と、記憶部930とが装備されている。
【0018】
上記の出力部910は、エンジン音出力装置700から送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音を車両CRの内部へ向けて出力するスピーカ等の発音体(以下、「スピーカSP」という)を備えている。
【0019】
上記の走行情報検出部920は、車両CRの走行情報を検出する。走行情報検出部920により検出された車両の走行情報は、エンジン音出力装置700へ送られる。第1実施形態では、走行情報検出部920による検出対象には、車両CRの速度(以下、「車速」ともいう)及びアクセル踏み込み量に対応するアクセル開度が含まれており、検出された車速及びアクセル開度が、エンジン音出力装置700へ送られるようになっている。
【0020】
上記の記憶部930には、第1実施形態では、エンジン車両のエンジンルーム内で収音された、当該エンジン車両のエンジン回転数ごとのエンジン音に関する情報である「エンジン音情報」が、複数記憶される。第1実施形態においては、エンジン回転数ER1の「エンジン音情報ESI1」、エンジン回転数ER2の「エンジン音情報ESI2」、…、エンジン回転数ERNの「エンジン音情報ESIN」(ER1<ER2<…<ERN)が含まれているものとする。
【0021】
かかるエンジン音情報に従って音再生を行えば、そのエンジン音情報と関連付けられているエンジン回転数に対応するエンジン音が、擬似エンジン音として再現できるようになっている。この記憶部930には、エンジン音出力装置700がアクセス可能となっている。
【0022】
《エンジン音出力装置700の構成》
次に、上記のエンジン音出力装置700の構成について、説明する。
【0023】
エンジン音出力装置700は、図1に示されるように、第1取得部710と、算出部720と、第2取得部730とを備えている。また、エンジン音出力装置700は、生成部740と、制御部750とを備えている。
【0024】
上記の第1取得部710は、走行情報検出部920から送られた車速及びアクセル開度の検出結果を取得する。こうして取得された車速は、算出部720へ送られる。また、取得されたアクセル開度は、算出部720及び生成部740へ送られる。
【0025】
上記の算出部720は、第1取得部710から送られた車速及びアクセル開度の検出結果を受ける。そして、算出部720は、車速及びアクセル開度の検出結果等に基づいて、車両CRの駆動機構がエンジンである場合におけるエンジン回転数に相当する「擬似エンジン回転数ERP」を算出する。こうして算出された擬似エンジン回転数ERPは、生成部740へ送られる。
【0026】
上記の第2取得部730は、記憶部930から、「エンジン音情報ESI1」、「エンジン音情報ESI2」、…、「エンジン音情報ESIN」を、適宜、取得する。そして、第2取得部730は、取得されたエンジン音情報を生成部740へ送る。なお、第1実施形態では、第2取得部730は、これらのエンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)を取得するようになっている。
【0027】
上記の生成部740は、第2取得部730から送られた「エンジン音情報ESI1」、「エンジン音情報ESI2」、…、「エンジン音情報ESIN」を受ける。また、生成部740は、算出部720から送られた「擬似エンジン回転数ERP」を受ける。さらに、生成部740は、第1取得部710から送られた「アクセル開度」を受ける。
【0028】
そして、生成部740は、取得された「エンジン音情報ESI1」、「エンジン音情報ESI2」、…、「エンジン音情報ESIN」、並びに、「擬似エンジン回転数ERP」及び「アクセル開度」に基づいて、合成音情報を生成する。引き続き、生成部740は、生成された合成音情報を制御部750へ送る。生成部740による合成音情報の生成処理の詳細については、後述する。
【0029】
上記の制御部750は、生成部740から送られた合成音情報を受ける。そして、制御部750は、当該合成音情報に基づいて、擬似エンジン音の出力音信号を生成する。引き続き、制御部750は、生成された出力音信号を出力部910へ供給する。
【0030】
<動作>
上記のように構成されたエンジン音出力装置700の動作について、生成部740による擬似エンジン音を出力するための合成音情報の生成処理に、主に着目して説明する。
【0031】
このエンジン音出力装置700では、第1取得部710が、走行情報検出部920から送られた車速及びアクセル開度を取得しているものとする。そして、第1取得部710は、当該車速及びアクセル開度を、逐次、算出部720へ送っているものとする。第1取得部710から送られた車速及びアクセル開度を受けた算出部720は、当該車速及びアクセル開度等に基づいて、逐次、「擬似エンジン回転数ERP」を算出し、算出された擬似エンジン回転数ERPを、生成部740へ送っているものとする。また、第1取得部710は、取得したアクセル開度を、逐次、生成部740へも送っているものとする。
【0032】
さらに、エンジン音出力装置700では、第2取得部730が、記憶部930から、「エンジン音情報ESI1」、「エンジン音情報ESI2」、…、「エンジン音情報ESIN」を取得しているものとする。そして、これらのエンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)は、第2取得部730から生成部740へ送られているものとする。
【0033】
こうした状態で、生成部740は、擬似エンジン音に出力するための合成音情報を生成する。かかる合成音情報の生成に際して、生成部740は、まず、算出された擬似エンジン回転数ERPに基づいて、「エンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)」のそれぞれに対応する「エンジン音信号ESDj」に対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj」を生成する。
【0034】
ここで、エンジン音信号ESDj(j=1,2,…,N)のそれぞれは、時系列の音データから構成される音信号(t)(t:時間)であってもよいし、周波数スペクトルの音信号(f)(f:周波数)であってもよい。そして、エンジン音信号ESDjが時系列の音データから構成される音信号(t)である場合には、音信号(t)における音データ間の時間間隔を(ERP/ERj-1倍にして、特性変化信号FSDj(T)(T:時間)を生成すればよい。また、エンジン音信号ESDjが周波数スペクトルの音信号(f)である場合には、当該音信号(f)の周波数fを(ERP/ERj)倍にすることで、特性変化信号FSDj(F)(F:周波数)を生成すればよい。
【0035】
引き続き、生成部740は、周波数をシフトさせたN個の「特性変化信号FSD1」、「特性変化信号FSD2」〜「特性変化信号FSDN」を、擬似エンジン回転数ERPに基づいた所定の割合で重み付け合成する。かかる所定の割合は、擬似エンジン回転数ERPに近いエンジン回転数ERに対応する特性変化信号FSDほど重み付け合成の割合を高くし、擬似エンジン回転数ERPと離れたエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDについては、重み付け合成の割合を低くするようになっており、実験、シミュレーション等に基づいて予め定められる。
【0036】
次に、生成部740は、当該所定の割合で「特性変化信号FSD1」、「特性変化信号FSD2」〜「特性変化信号FSDN」を重み付け合成した信号を、アクセル開度に応じて増幅させた増幅合成信号GSDを生成する。
【0037】
かかる増幅合成信号GSDの生成と並行して、生成部740は、算出された擬似エンジン回転数ERPに対応する周波数の所定次数の信号に対して、アクセル開度に応じた振幅変調度の振幅変調を施した変調用信号MSDを生成する。そして、生成部740は、当該生成された変調用信号MSDに基づいて、増幅合成信号GSDを振幅変調する。こうして振幅変調された信号が、合成音情報として制御部750へ送られる。
【0038】
制御部750は、生成部740から送られた合成音情報を受けると、擬似エンジン音に対応する出力音信号を生成する。そして、制御部750は、生成された出力音信号を出力部910へ供給する。
【0039】
出力音信号を受けた出力部910は、出力音信号に従った擬似エンジン音を、車両CRの内部に向けて出力する。この結果、車両CRの走行状態に対応した擬似エンジン音が、出力部910から出力される。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態では、第1取得部710が、走行情報検出部920により検出された車速及びアクセル開度を取得し、当該車速及びアクセル開度を算出部720へ送る。そして、算出部720が、第1取得部710から送られた車速及びアクセル開度等に基づいて、擬似エンジン回転数ERPを算出し、当該算出された擬似エンジン回転数ERPを、生成部740へ送る。また、第1取得部710は、走行情報検出部920により検出されたアクセル開度を、生成部740へ送る。こうして算出された擬似エンジン回転数及び取得されたアクセル開度を受けると、生成部740は、擬似エンジン音を出力するための合成音情報を生成する。
【0041】
かかる合成音情報の生成に際して、生成部740は、第2取得部730を介して、記憶部930から、エンジン車両のエンジン回転数ごとのエンジン音に関する情報である複数のエンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)を取得する。そして、生成部740は、エンジン音情報ESIjに対応するエンジン音信号ESDjに対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj」を生成する。引き続き、生成部740は、N個の「特性変化信号FSD1」、「特性変化信号FSD2」〜「特性変化信号FSDN」を、擬似エンジン回転数ERPに基づいた所定の割合で重み付け合成し、アクセル開度に応じて増幅させて、増幅合成信号GSDを生成する。
【0042】
また、生成部740は、算出された擬似エンジン回転数ERPに対応する周波数の所定次数の信号に対して、アクセル開度に応じた振幅変調度の振幅変調を施した変調用信号MSDを生成する。そして、生成部740は、当該生成された変調用信号MSDに基づいて、増幅合成信号GSDを振幅変調する。こうして振幅変調された信号が、合成音情報として制御部750へ送られる。
【0043】
そして、生成部740から送られた合成音情報を受けると、制御部750は、当該合成音情報に基づいて擬似エンジン音の出力音信号を生成し、生成された出力音信号を出力部910へ供給する。出力部910は、こうして生成された出力音信号に従った擬似エンジン音を、車両CRの内部へ向けて出力する。
【0044】
このため、第1実施形態では、電動車両の車室内において、走行状態に対応した擬似エンジン音による擬似環境を創出することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、エンジン回転数ERjの「エンジン音信号ESDj」(j=1,2,…,N)に対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj」を生成する。そして、当該「特性変化信号FSDj」を、擬似エンジン回転数ERPに近いエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDほど重み付け合成の割合を高くし、擬似エンジン回転数ERPと離れたエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDについては、重み付け合成の割合を低くする態様で、重み付け合成する。
【0046】
この結果、エンジン回転数ごとのエンジン音情報の不連続性や、いわゆるボツ音を聴き取ることのない、算出された擬似エンジン回転数ERPの変化に追従したリアルな擬似エンジン音を生成することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、車室内に出力される擬似エンジン音は、算出された擬似エンジン回転数及びアクセル開度に対応して振幅変調するため、車両の加速時におけるメカニカルな音も演出することができる。
【0048】
したがって、第1実施形態によれば、電動車両の搭乗者に対して、走行状態に対応した走行臨場感や快適なドライブ感を与えることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図2を参照して説明する。
【0050】
<構成>
図2には、第2実施形態に係る端末装置810及び出力音管理装置820の構成がブロック図にて示されている。図2に示されるように、端末装置810は、車両(電気自動車)CR内に配置され、車両CRに装備された出力部910及び走行情報検出部920と接続されている。そして、端末装置810と出力音管理装置820とは、ネットワーク850を介して、通信可能となっている。
【0051】
なお、出力音管理装置820は、端末装置810と同様に構成された他の端末装置とも通信可能となっているが、図2においては、端末装置810のみが代表的に示されている。
【0052】
《端末装置810の構成》
図2に示されるように、端末装置810は、走行情報データ取得部811と、送信部812と、受信部815とを備えている。
【0053】
上記の走行情報データ取得部811は、走行情報検出部920から送られた車両CRの車速及びアクセル開度の検出結果を取得する。そして、走行情報データ取得部811は、当該車速及びアクセル開度の検出結果を、端末送信データとして送信部812へ送る。
【0054】
上記の送信部812は、走行情報データ取得部811から送られた端末送信データを受ける。そして、送信部812は、当該端末送信データを、ネットワーク850を介して、出力音管理装置820へ送信する。
【0055】
上記の受信部815は、出力音管理装置820から、ネットワーク850を介して送られた出力音信号を受信する。そして、受信部815は、当該出力音信号を出力部910へ供給する。
【0056】
《出力音管理装置820の構成》
図2に示されるように、出力音管理装置820は、第1取得部710と、算出部720と、第2取得部730と、生成部740と、制御部750とを備えている。また、出力音管理装置820は、受信部821と、エンジン音情報記憶部822と、送信部823とを備えている。
【0057】
上記の受信部821は、端末装置810から、ネットワーク850を介して送られた端末送信データを受信する。そして、受信部821は、端末送信データに含まれる車両CRの車速及びアクセル開度を第1取得部710へ送る。
【0058】
上記のエンジン音情報記憶部822には、エンジン車両のエンジン回転数ごとのエンジン音に関する情報である「エンジン音情報」が、複数記憶される。第2実施形態においては、エンジン回転数ER1の「エンジン音情報ESI1」、エンジン回転数ER2の「エンジン音情報ESI2」、…、エンジン回転数ERNの「エンジン音情報ESIN」(ER1<ER2<…<ERN)が含まれているものとする。このエンジン音情報記憶部822には、生成部740がアクセス可能となっている。
【0059】
上記の送信部823は、制御部750から送られた擬似エンジン音を出力するための出力音信号を受ける。そして、送信部823は、当該出力音信号を、ネットワーク850を介して、端末装置810へ送信する。
【0060】
以上のような端末装置810の構成及び出力音管理装置820の構成では、端末装置810の走行情報データ取得部811が取得した車両CRの車速及びアクセル開度は、送信部812、ネットワーク850及び受信部821を介して、出力音管理装置820の第1取得部710へ送られることになる。
【0061】
さらに、出力音管理装置820の制御部750により生成された擬似エンジン音の出力音信号は、送信部823、ネットワーク850を介して、端末装置810の受信部815へ送られることになる。
【0062】
<動作>
上記のように構成された端末装置810と出力音管理装置820とが協働して実行する擬似エンジン音を出力するための合成音情報の生成処理に、主に着目して説明する。
【0063】
端末装置810では、走行情報データ取得部811が、走行情報検出部920から送られた車両CRの車速及びアクセル開度の検出結果を取得すると、当該車速及びアクセル開度を、逐次、ネットワーク850を介して出力音管理装置820の第1取得部710へ送る。
【0064】
車両CRで検出された車速及びアクセル開度を受けた第1取得部710は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、当該車速及びアクセル開度を取得する。そして、第1取得部710は、当該速度及びアクセル開度を、逐次、算出部720へ送るとともに、アクセル開度を、生成部740へ送る。
【0065】
第1取得部710から送られた速度及びアクセル開度を受けた算出部720は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、当該速度及びアクセル開度等に基づいて、逐次、「擬似エンジン回転数ERP」を算出し、当該算出された擬似エンジン回転数ERPを、生成部740へ送る。また、第1取得部710から送られたアクセル開度及び算出部720から送られた擬似エンジン回転数ERPを受けた生成部740は、エンジン音情報記憶部822から、第2取得部730を介して、エンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)を取得し、上述した第1実施形態の場合と同様にして、エンジン音情報ESIj、アクセル開度及び擬似エンジン回転数ERPに基づいて、合成音情報を生成する。そして、生成部740は、生成された合成音情報を制御部750へ送る。
【0066】
制御部750は、生成部740から送られた合成音情報を受けると、当該合成音情報に基づいて、擬似エンジン音を出力するための出力音信号を生成する。そして、制御部750は、生成された出力音信号を、ネットワーク850を介して端末装置810の受信部815へ送る。
【0067】
出力音信号を受けた受信部815は、当該出力音信号を出力部910へ供給する。出力音信号を受けた出力部910は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、出力音信号に従った擬似エンジン音を、車両CRの内部に向けて出力する。この結果、車両CRの走行状態に対応した擬似エンジン音が、出力部910から出力される。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態では、走行情報検出部920が車両CRの車速及びアクセル開度を検出すると、端末装置810の走行情報データ取得部811が、検出された車速及びアクセル開度を取得し、出力音管理装置820の第1取得部710へ送信する。第1取得部710は、当該車速及びアクセル開度を取得すると、当該車速及びアクセル開度を算出部720へ送る。そして、算出部720が、第1取得部710から送られた車速及びアクセル開度等に基づいて、擬似エンジン回転数ERPを算出し、当該算出された擬似エンジン回転数ERPを、生成部740へ送る。また、第1取得部710は、取得したアクセル開度を、生成部740へ送る。こうして算出された擬似エンジン回転数及び取得されたアクセル開度を受けると、生成部740は、第1実施形態の場合と同様にして、擬似エンジン音を出力するための合成音情報を生成する。そして、生成部740は、生成された合成音情報を制御部750へ送る。制御部750は、生成部740から送られた合成音情報に基づいて、擬似エンジン音を出力するための出力音信号を生成する。そして、当該出力音信号を、端末装置810へ送る。
【0069】
端末装置810は、出力音信号を受けると、当該出力音信号を出力部910へ供給する。出力部910は、こうして供給された出力音信号に従った擬似エンジン音を、車両CRの内部へ向けて出力する。
【0070】
このため、第2実施形態では、上述した第1実施形態の場合と同様に、電動車両の車室内において、走行状態に対応した擬似エンジン音による擬似環境を創出することができる。
【0071】
また、第2実施形態では、上述した第1実施形態の場合と同様に、エンジン回転数ERjの「エンジン音信号ESDj」(j=1,2,…,N)に対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj」を生成する。そして、当該「特性変化信号FSDj」を、擬似エンジン回転数ERPに近いエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDほど重み付け合成の割合を高くし、擬似エンジン回転数ERPと離れたエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDについては、重み付け合成の割合を低くする態様で、重み付け合成する。
【0072】
この結果、エンジン回転数ごとのエンジン音情報の不連続性や、いわゆるボツ音を聴き取ることのない、算出された擬似エンジン回転数ERPの変化に追従したリアルな擬似エンジン音を生成することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、上述した第1実施形態の場合と同様に、車室内に出力される擬似エンジン音は、算出された擬似エンジン回転数及びアクセル開度に対応して振幅変調するため、車両の加速時におけるメカニカルな擬似エンジン音も演出することができる。
【0074】
したがって、本発明の第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、電動車両の搭乗者に対して、走行状態に対応した走行臨場感や快適なドライブ感を与えることができる。
【0075】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、第2取得部は、記憶部に記憶されているエンジン音情報ESIj(j=1,2,…,N)を取得することとした。これに対して、第2取得部は、擬似エンジン回転数に対応して重み付け合成を行うエンジン音情報のみを取得するようにしてもよい。この場合には、第2取得部は、重み付け合成を行うエンジン音情報のエンジン回転数の情報を、生成部から受けるようにすればよい。
【0077】
また、上記の第1及び第2実施形態では、生成部は、合成音情報を生成するに際して、特性変化合成信号SNDを、アクセル開度に応じて増幅させたが、当該増幅処理を行わないようにしてもよい。
【0078】
また、上記の第1及び第2実施形態では、生成部は、合成音情報を生成するに際して、擬似エンジン回転数に対応する周波数の所定次数の信号に対して、アクセル開度に応じた振幅変調度の振幅変調を施した変調用信号MSDを生成し、当該生成された変調用信号MSDに基づいて、増幅合成信号GSDを振幅変調させることとした。これに対して、当該振幅処理を行わないで、出力音信号を生成するようにしてもよい。
【0079】
また、上記の第1及び第2実施形態では、エンジン音情報は、エンジン車両のエンジンルーム内で収音された収音データとしたが、電子楽器やコンピュータ等で作成したエンジン音情報であってもよい。
【0080】
また、上記の第1実施形態では、エンジン音出力装置が、出力部、走行情報検出部及び記憶部を備えない構成とした。これに対して、出力部、走行情報検出部及び記憶部として利用できる設備品が車両に配置されていない場合には、エンジン音出力装置が、当該車両に配置されていない設備品を備えるようにしてもよい。
【0081】
また、上記の第2実施形態では、端末装置が、出力部及び走行情報検出部を備えない構成とした。これに対して、出力部及び走行情報検出部として利用できる設備品が車両に配置されていない場合には、端末装置が、当該車両に配置されていない設備品を備えるようにしてもよい。
【0082】
また、第2実施形態では、出力音管理装置820が、第1取得部と、算出部と、生成部と、制御部と、エンジン音情報記憶部とを備えるようにしたが、例えば、第1取得部を端末装置の構成要素にすることができる。
【0083】
また、上記の第1及び第2実施形態では、電気自動車内に配置される装置に本発明を適用したが、電気エネルギを駆動エネルギの一部として利用する車両(例えば、ハイブリッド車)に配置される装置に本発明を適用することができるのは、勿論である。
【0084】
なお、上記の第1実施形態のエンジン音出力装置の第1取得部、算出部、第2取得部、生成部及び制御部を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算部としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、これらの要素の処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0085】
また、上記の第2実施形態の端末装置の走行情報データ取得部、並びに、出力音管理装置の第1取得部、算出部、第2取得部、生成部及び制御部を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算部としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、これらの要素の処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の一実施例を、図3図13を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0087】
[構成]
図3には、一実施例に係るエンジン音出力装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。このエンジン音出力装置100は、上述した第1実施形態のエンジン音出力装置700(図1参照)の一態様となっている。
【0088】
エンジン音出力装置100は、電気エネルギを駆動エネルギの全部として利用する電気自動車CR(以下、「車両CR」と呼ぶ)内に配置される。本実施例では、この車両CRには、車室内音出力ユニット210と、車両制御ユニット220とが配置され、エンジン音出力装置100に接続されている。
【0089】
上記の車室内音出力ユニット210は、スピーカSPを備えて構成されている。この車室内音出力ユニット210は、エンジン音出力装置100から送られた出力音信号を受ける。そして、車室内音出力ユニット210は、当該出力音信号に従って、スピーカSPから擬似エンジン音を車両CRの内部へ向けて出力する。すなわち、車室内音出力ユニット210は、上述した出力部910の機能を果たすようになっている。
【0090】
上記の車両制御ユニット220は、車速センサ、アクセル開度センサ等の各種センサによる検出結果に基づいて、車両CRの走行制御を行う。そして、車両制御ユニット220は、車速SPの検出結果及びアクセル開度ARの検出結果をエンジン音出力装置100へ送るようになっている。すなわち、車両制御ユニット220は、上述した走行情報検出部920の機能を果たすようになっている。
【0091】
<エンジン音出力装置100の構成>
次に、上記のエンジン音出力装置100の構成について、説明する。
【0092】
エンジン音出力装置100は、図3に示されるように、制御ユニット110と、記憶ユニット120とを備えている。
【0093】
上記の制御ユニット110は、エンジン音出力装置100の全体を統括制御するとともに、様々な処理を実行する。この制御ユニット110は、演算手段としての中央処理装置(CPU)、DSP(Digital Signal Processor)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110が様々なプログラムを実行することにより、エンジン音出力装置100としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第1実施形態における第1取得部710、算出部720、第2取得部730、生成部740及び制御部750の機能も含まれている。
【0094】
制御ユニット110の構成の詳細については、後述する。また、かかる制御ユニット110が実行する処理の詳細については、後述する。
【0095】
なお、制御ユニット110が実行するプログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0096】
上記の記憶ユニット120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、エンジン音出力装置100において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、「エンジン音情報ESI1」、「エンジン音情報ESI2」、…、「エンジン音情報ESI5」が含まれている。記憶ユニット120には、制御ユニット110がアクセスできるようになっている。すなわち、記憶ユニット120は、上述した記憶部930の機能を果たすようになっている。
【0097】
上記の「エンジン音情報ESIj」(j=1〜5)は、エンジン車両のエンジンルーム内で収音された収音データを解析して得られた、当該エンジン車両のエンジン回転数ごとの収音結果のスペクトルデータとなっている。ここで、「エンジン音情報ESI1」は、エンジン回転数ERがER1(=1000[rpm])のときの収音結果のスペクトルデータであり、「エンジン音情報ESI2」は、エンジン回転数ERがER2(=2000[rpm])のときの収音結果のスペクトルデータである。
【0098】
また、「エンジン音情報ESI3」は、エンジン回転数ERがER3(=3000[rpm])のときの収音結果のスペクトルデータであり、「エンジン音情報ESI4」は、エンジン回転数ERがER4(=4000[rpm])のときの収音結果のスペクトルデータである。さらに、「エンジン音情報ESI5」は、エンジン回転数ERがER5(=5000[rpm])のときの収音結果のスペクトルデータである。
【0099】
《制御ユニット110の構成》
次に、制御ユニット110の構成について説明する。
【0100】
制御ユニット110は、図4に示されるように、擬似エンジン回転数算出部111と、特性変化信号生成部112と、信号合成部113とを備えている。また、制御ユニット110は、信号増幅部114と、イコライザ部(EQ)115と、変調用信号生成部116と、擬似エンジン音信号生成部117とを備えている。
【0101】
上記の擬似エンジン回転数算出部111は、内部に、ギア設定情報GSI(後述する図6参照)及びギア比情報GRT(後述する図7参照)を有している。
【0102】
擬似エンジン回転数算出部111は、車両制御ユニット220から送られた車速SP及びアクセル開度ARを受ける。こうして車速SP及びアクセル開度ARを受けると、擬似エンジン回転数算出部111は、まず、ギア設定情報GSIを参照して、当該車速SP及びアクセル開度ARに対応するギアを設定する。そして、擬似エンジン回転数算出部111は、設定されたギアに対応するギア比GR及び最終減速比GRFを、ギア比情報GRTから読み取る。引き続き、擬似エンジン回転数算出部111は、「L」を車両CRのタイヤ円周として、次の(1)式により、擬似エンジン回転数ERPを算出する。
ERP[rpm]=SP・GR・GRF/(L・60) …(1)
こうして算出された擬似エンジン回転数ERPは、特性変化信号生成部112、信号合成部113及び変調用信号生成部116へ送られる。
【0103】
なお、上述した(1)式では、車速SPの単位を[km/h]とし、タイヤ円周Lの単位を[km]としている。
【0104】
上記の特性変化信号生成部112は、記憶ユニット120にアクセスして、5個のエンジン音情報ESIj(j=1〜5)を、エンジン音信号ESDj(f)(f:周波数)として読み取る。また、特性変化信号生成部112は、擬似エンジン回転数算出部111から送られた擬似エンジン回転数ERPを受ける。そして、特性変化信号生成部112は、擬似エンジン回転数ERPに基づいて、エンジン音信号ESDj(f)の周波数特性を変化させた特性変化信号FSDj(F)(F:周波数)を生成する。こうして生成された特性変化信号FSDj(F)は、信号合成部113へ送られる。
【0105】
特性変化信号生成部112の構成の詳細については、後述する。
【0106】
上記の信号合成部113は、内部に、音量設定テーブルVOT(後述する図8参照)を有している。信号合成部113は、特性変化信号生成部112から送られた特性変化信号FSDj(F)を受ける。また、信号合成部113は、擬似エンジン回転数算出部111から送られた擬似エンジン回転数ERPを受ける。そして、信号合成部113は、擬似エンジン回転数ERPに対応する音量設定テーブルVOTに示される割合で、特性変化信号FSD1(F)〜特性変化信号FSD5(F)を重み付け合成する。引き続き、信号合成部113は、当該重み付け合成された信号に対して逆フーリエ変換を施して、特性変化合成信号SND(t)(t:時間)を生成する。こうして生成された特性変化合成信号SND(t)は、信号増幅部114へ送られる。
【0107】
上記の信号増幅部114は、内部に、増幅情報GNI(後述する図9参照)を有している。信号増幅部114は、信号合成部113から送られた特性変化合成信号SND(t)を受ける。また、信号増幅部114は、車両制御ユニット220から送られたアクセル開度ARを受ける。そして、信号増幅部114は、アクセル開度ARに対応する増幅率を増幅情報GNIから読みより、当該増幅率で特性変化合成信号SND(t)を増幅する。こうして増幅された信号は、増幅信号GSD(t)としてEQ部115へ送られる。
【0108】
上記のEQ部115は、信号増幅部114から送られた増幅信号GSD(t)を受ける。そして、EQ部115は、エンジン音情報ESIの収集元のエンジン車両の車種に応じた周波数特性の変更処理を行う。そして、EQ部115は、当該周波数特性を変更した信号を、信号ESD(t)として擬似エンジン音信号生成部117へ送る。なお、EQ部115が実施する周波数特性変更の処理態様は、エンジン車両のエンジン音の再現性を高めた擬似エンジン音を生成するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0109】
上記の変調用信号生成部116は、内部に、変調度情報MDI(後述する図10参照)を有している。変調用信号生成部116は、擬似エンジン回転数算出部111から送られた擬似エンジン回転数ERPを受けるとともに、車両制御ユニット220から送られたアクセル開度ARを受ける。そして、変調用信号生成部116は、擬似エンジン回転数ERPの基本周波数fP[Hz](=ERP/60)の0.5次を周波数とし、アクセル開度ARに応じた振幅変調度の振幅変調処理を施した変調用信号MSD(t)を生成する。
【0110】
ここで、図5には、振幅変調度が0%のときの変調用信号MSD(t)が2点鎖線にて示され、振幅変調度が50%のときの変調用信号MSD(t)が実線にて示されている。また、図5には、振幅変調度が100%のときの変調用信号MSD(t)が点線にて示されている。
【0111】
上記の擬似エンジン音信号生成部117は、EQ部115から送られた信号ESD(t)を受ける。また、擬似エンジン音信号生成部117は、変調用信号生成部116から送られた変調用信号MSD(t)を受ける。そして、擬似エンジン音信号生成部117は、信号ESD(t)と変調用信号MSD(t)を乗算して、出力音信号PED(以下、「擬似エンジン音信号」ともいう)を生成する。こうして生成された出力音信号PFDは、車室内音出力ユニット210へ送られる。
【0112】
(制御ユニット110が使用する各種情報)
本実施例で採用している上述した「ギア設定情報GSI」、「ギア比情報GRT」、「音量設定テーブルVOT」、「増幅情報GNI」及び「変調度情報MDI」の内容の例について説明する。
【0113】
上記の「ギア設定情報GSI」には、図6に例示されるように、車速SP及びアクセル開度ARに関連付けてギア位置(第1速〜第4速)が登録されている。このギア設定情報GSIの内容は、実験、シミュレーション等に基づいて、車両CRの車種ごとに予め定められる。
【0114】
上記の「ギア比情報GRT」には、図7に例示されるように、第1速〜第4速のギア比と、最終減速比とが登録されている。このギア比情報GRTの内容は、実験、シミュレーション等に基づいて、車両CRの車種ごとに予め定められる。
【0115】
上記の「音量設定テーブルVOT」には、図8に例示されるように、擬似エンジン回転数ERPに応じて特性変化信号FSDj(F)(j=1,2,…,5)の音量を設定するための音量設定情報VOIjが登録されている。そして、これらの音量設定情報VOIj(j=1,2,…,5)は、擬似エンジン回転数ERPの変化に応じた、重み付け合成時における特性変化信号FSDj(F)の音量係数の変化に関する情報である。これらの音量設定情報VOIjは、算出された擬似エンジン回転数ERPの変化に追従した擬似エンジン音を生成するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0116】
本実施例においては、音量設定情報VOI1では、擬似エンジン回転数ERPが0[rpm]より大きく、2000[rpm]より小さいときに、0より大きい音量係数を設定する。そして、この音量設定情報VOI1では、擬似エンジン回転数ERPが1000[rpm]となるときに最大の音量係数「1」を設定する。また、音量設定情報VOI2では、擬似エンジン回転数ERPが1000[rpm]より大きく、3000[rpm]より小さいときに、0より大きい音量係数を設定する。そして、この音量設定情報VOI2では、擬似エンジン回転数ERPが2000[rpm]となるときに最大の音量係数「1」を設定する。
【0117】
また、音量設定情報VOI3では、擬似エンジン回転数ERPが2000[rpm]より大きく、4000[rpm]より小さいときに、0より大きい音量係数を設定する。そして、この音量設定情報VOI3では、擬似エンジン回転数ERPが3000[rpm]となるときに最大の音量係数「1」を設定する。また、この音量設定情報VOI4では、擬似エンジン回転数ERPが3000[rpm]より大きく、5000[rpm]より小さいときに、0より大きい音量係数を設定する。そして、この音量設定情報VOI4では、擬似エンジン回転数ERPが4000[rpm]となるときに最大の音量係数「1」を設定する。
【0118】
また、音量設定情報VOI5では、擬似エンジン回転数ERPが4000[rpm]より大きく、6000[rpm]より小さいときに、0より大きい音量係数を設定する。そして、この音量設定情報VOI5では、擬似エンジン回転数ERPが5000[rpm]となるときに最大の音量係数「1」を設定する。
【0119】
上記の「増幅情報GNI」には、図9に例示されるように、アクセル開度ARに応じて信号を増幅させる増幅率が登録されている。この増幅情報GNIの内容は、アクセル開度に応じた走行臨場感のある擬似エンジン音を生成するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0120】
上記の「変調度情報MDI」には、図10に例示されるように、アクセル開度ARに応じて信号を振幅変調させる変調率が登録されている。この変調度情報MDIの内容は、車両CRの加速時におけるメカニカルな擬似エンジン音を演出するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0121】
(特性変化信号生成部112の構成)
上述した特性変化信号生成部112の構成について説明する。
【0122】
特性変化信号生成部112は、図11に示されるように、5個の個別特性変化信号生成部211j(j=1,2,…,5)を備えている。
【0123】
上記の個別特性変化信号生成部211j(j=1,2,…,5)のそれぞれは、内部に、エンジン回転数ERjの値を保持している。個別特性変化信号生成部211jのそれぞれは、記憶ユニット120にアクセスして、エンジン音情報ESIjを、エンジン音信号ESDj(f)として読み取る。また、個別特性変化信号生成部211jのそれぞれは、擬似エンジン回転数算出部111から送られた擬似エンジン回転数ERPを受ける。
【0124】
そして、個別特性変化信号生成部211jのそれぞれは、エンジン回転数ERjの値及び擬似エンジン回転数ERPに基づいて、次の(2),(3)式の関係を満たす特性変化信号FSDj(F)を生成する。
FSDj(F)=ESDj(f) …(2)
F=f・(ERP/ERj) …(3)
引き続き、個別特性変化信号生成部211jのそれぞれは、生成された特性変化信号FSDj(F)を信号合成部113へ送る。
【0125】
ここで、図12(A)には、エンジン音信号ESD1(f)に対して周波数をシフトさせた特性変化信号FSD1(F)の例が示され、図12(B)には、エンジン音信号ESD2(f)に対して周波数をシフトさせた特性変化信号FSD2(F)の例が、周波数シフトを説明する代表例として示されている。
【0126】
[動作]
以上のようにして構成されたエンジン音出力装置100の動作について、制御ユニット110による擬似エンジン音の出力処理に、主に着目して説明する。
【0127】
前提として、車両制御ユニット220は動作を開始しており、車両制御ユニット220からは、逐次、検出された車速SP及びアクセル開度ARが制御ユニット110へ送られているものとする。また、エンジン音出力装置100では、制御ユニット110の特性変化信号生成部112が、記憶ユニット120にアクセスして、スペクトル解析された5個の「エンジン音情報ESIj」(j=1〜5)を、エンジン音信号ESDj(f)として読み取っているものとする(図4参照)。
【0128】
かかる動作環境のもとで、制御ユニット110により擬似エンジン音の出力処理が実行される。この擬似エンジン音の出力処理に際して、図13に示されるように、まず、ステップS11において、新たな車速SP及びアクセル開度ARが取得される。こうして取得された車速SPを、擬似エンジン回転数算出部111が受ける。また、取得されたアクセル開度ARを、擬似エンジン回転数算出部111、信号増幅部114及び変調用信号生成部116が受ける。この後、処理はステップS12へ進む。
【0129】
ステップS12では、擬似エンジン回転数算出部111が、車両CRの駆動機構がエンジンである場合におけるエンジン回転数に相当する「擬似エンジン回転数ERP」を算出する。かかる「擬似エンジン回転数ERP」の算出に際して、擬似エンジン回転数算出部111は、まず、ギア設定情報GSIを参照して、当該車速SP及びアクセル開度ARに対応するギアを設定する。引き続き、擬似エンジン回転数算出部111は、設定されたギアに対応するギア比GR及び最終減速比GRFを、ギア比情報GRTから読み取り、上述した(1)式により、擬似エンジン回転数ERPを算出する。そして、擬似エンジン回転数算出部111は、算出された擬似エンジン回転数ERPを、特性変化信号生成部112、信号合成部113及び変調用信号生成部116へ送る。
【0130】
次に、ステップS13において、特性変化信号生成部112が、「エンジン音信号ESD1(f)」〜「エンジン音信号ESD5(f)」の周波数特性を変化させた「特性変化信号FSD1(F)」〜「特性変化信号FSD5(F)」を生成する。かかる「特性変化信号FSDj(F)」の生成に際して、個別特性変化信号生成部221jのそれぞれは、まず、算出された擬似エンジン回転数ERP及びエンジン回転数ERjの値に基づいて、値ERP/ERjを算出する。引き続き、個別特性変化信号生成部221jのそれぞれは、「エンジン音信号ESDj(f)」に対して、周波数fを(ERP/ERj)倍シフトさせることで「特性変化信号FSDj(F)」を生成する。そして、特性変化信号生成部112は、生成された「特性変化信号FSD1(F)」〜「特性変化信号FSD5(F)」を信号合成部113へ送る(図11参照)。
【0131】
例えば、擬似エンジン回転数算出部111により算出された擬似エンジン回転数ERPが1800[rpm]のときには、個別特性変化信号生成部2211は、エンジン音信号ESD1(f)に対して、周波数を1.8(=1800/1000)倍シフトさせて、特性変化信号FSD1(F)」を生成する。また、個別特性変化信号生成部2212は、エンジン音信号ESD2(f)に対して、周波数を0.9(=1800/2000)倍シフトさせて、特性変化信号FSD2(F)」を生成する(図12参照)。
【0132】
また、個別特性変化信号生成部2213は、エンジン音信号ESD3(f)に対して、周波数を0.6(=1800/3000)倍シフトさせることで、特性変化信号FSD3(F)」を生成する。さらに、個別特性変化信号生成部2214は、エンジン音信号ESD4(f)に対して、周波数を0.45(=1800/4000)倍シフトさせて、特性変化信号FSD4(F)」を生成する。また、個別特性変化信号生成部2215は、エンジン音信号ESD5(f)に対して、周波数を0.36(=1800/5000)倍シフトさせることで、特性変化信号FSD5(F)」を生成する。
【0133】
引き続き、ステップS14において、信号合成部113が、「特性変化信号FSD1(F)」〜「特性変化信号ESD5(F)」を、擬似エンジン回転数ERPに対応する音量設定テーブルVOTに示される割合で重み付け合成する(図4参照)。
【0134】
例えば、擬似エンジン回転数算出部111により算出された擬似エンジン回転数ERPが1800[rpm]のときには、音量設定情報VOI1から読み取れる音量係数の値は「0.3」となり、音量設定情報VOI2から読み取れる音量係数の値は「0.7」となる。また、音量設定情報VOI3、音量設定情報VOI4、音量設定情報VOI5のそれぞれから読み取れる音量係数の値は「0」となる(図8参照))。こうした場合には、信号合成部113は、特性変化信号FSD1(F)及び特性変化信号FSD2(F)を、3対7の割合で重み付け合成する。
【0135】
引き続き、信号合成部113は、重み付け合成された信号に対して逆フーリエ変換を施して、特性変化合成信号SND(t)を生成する。そして、信号合成部113は、特性変化合成信号SND(t)を、信号増幅部114へ送る。
【0136】
次に、ステップS15において、信号増幅部114が、増幅情報GNIに示されているアクセル開度ARに対応する増幅率で、特性変化合成信号SND(t)を増幅する。そして、信号増幅部114は、増幅信号GSD(t)を、EQ部115へ送る(図4参照)。引き続き、ステップS16において、EQ部115が、増幅信号GSD(t)に対する周波数特性の変更処理を行い、信号ESD(t)を生成する。そして、EQ部115は、信号ESD(t)を擬似エンジン音信号生成部117へ送る(図4参照)。この後、処理はステップS17へ進む。
【0137】
ステップS17では、変調用信号生成部116が、算出された擬似エンジン回転数ERP及び取得されたアクセル開度ARに基づいて、擬似エンジン回転数ERPの基本周波数fP[Hz](=ERP/60)の0.5次を周波数とし、アクセル開度ARに応じた振幅変調度の振幅変調を施した変調用信号MSD(t)を生成する(図5参照)。そして、変調用信号生成部116は、生成された変調用信号MSD(t)を擬似エンジン音信号生成部117へ送る(図4参照)。
【0138】
引き続き、ステップS18において、擬似エンジン音生成部117が、EQ部115から送られた信号ESD(t)と、変調用信号生成部116から送られた変調用信号MSD(t)とを乗算して、擬似エンジン音信号PFDを生成する。そして、擬似エンジン音生成部117は、生成された擬似エンジン音信号PFDを車室内音出力ユニット210へ送る。この後、処理はステップS11へ戻る。
【0139】
この結果、車室内音出力ユニット210から、擬似エンジン音信号PFDに従った擬似エンジン音が、車両CRの内部へ向けて出力する。
【0140】
以後、上記のステップS11〜S18の処理が繰り返されて、擬似エンジン音の出力処理の出力処理が行われる。
【0141】
以上説明したように、本実施例では、制御ユニット110が、車両制御ユニット220により検出された車速及びアクセル開度を、逐次、取得する。そして、制御ユニット110内では、擬似エンジン回転数算出部111が、検出された車速及びアクセル開度等に基づいて、擬似エンジン回転数ERPを算出し、当該算出された擬似エンジン回転数ERPを、特性変化信号生成部112、信号合成部113及び変調用信号生成部116へ送る。
【0142】
引き続き、特性変化信号生成部112が、エンジン車両のエンジン回転数ERj(j=1〜5)ごとのエンジン音情報ESIjを、記憶ユニット120から、エンジン音信号ESDj(f)として読み取る。そして、特性変化信号生成部112は、当該エンジン音信号ESDj(f)に対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj(F)」を生成する。次に、信号合成部113が、擬似エンジン回転数ERPに対応する音量設定テーブルVOTに示される割合で、特性変化信号FSD1(F)〜特性変化信号FSD5(F)を重み付け合成して、特性変化合成信号SND(t)を生成する。そして、信号増幅部114が、増幅情報GNIに示されているアクセル開度ARに対応する増幅率で、特性変化合成信号SND(t)を増幅した後、EQ部115が、周波数特性の変更処理を施して、信号ESD(t)を生成する。
【0143】
また、変調用信号生成部116が、算出された擬似エンジン回転数ERPに対応する周波数の0.5次の信号に対して、アクセル開度に応じた変調を施した変調用信号MSD(t)を生成する。そして、擬似エンジン音信号生成部117が、EQ部115から送られた信号ESD(t)と、変調用信号生成部116から送られた変調用信号MSD(t)とを乗算して、擬似エンジン音信号PFDを生成する。車室内音出力ユニット210は、こうして生成された擬似エンジン音信号PEDに従った擬似エンジン音を、車両CRの内部へ向けて出力する。
【0144】
このため、本実施例では、電動車両の車室内において、走行状態に対応した擬似エンジン音による擬似環境を創出することができる。
【0145】
また、本実施例では、エンジン回転数ERjの「エンジン音信号ESDj(f)」(j=1,2,…,N)に対して、周波数を(ERP/ERj)倍シフトさせた「特性変化信号FSDj(F)」を生成する。そして、当該「特性変化信号FSDj(F)」を、擬似エンジン回転数ERPに近いエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDほど重み付け合成の割合を高くし、擬似エンジン回転数ERPと離れたエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDについては、重み付け合成の割合を低くする態様で、重み付け合成する。
【0146】
この結果、エンジン回転数ごとのエンジン音情報の不連続性や、いわゆるボツ音を聴き取ることのない、算出された擬似エンジン回転数ERPの変化に追従したリアルな擬似エンジン音を生成することができる。
【0147】
また、本実施例では、車室内に出力される擬似エンジン音は、算出された擬似エンジン回転数及びアクセル開度に対応して振幅変調するため、車両の加速時におけるメカニカルな音も演出することができる。
【0148】
したがって、本実施例によれば、電動車両の搭乗者に対して、走行状態に対応した走行臨場感や快適なドライブ感を与えることができる。
【0149】
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0150】
例えば、上記の実施例では、エンジン音出力装置100の構成要素の全てが車両CRに搭載されるようにしたが、上述した第2実施形態のように、車両CRに搭載される端末装置と通信可能なサーバ装置が、エンジン音出力装置100の構成要素の一部の機能を備えるようにしてもよい。
【0151】
また、上記の実施例では、記憶ユニット120には、エンジン回転数1000[rpm]毎の5個の「エンジン音情報ESI1」、…、「エンジン音情報ESI5」が含まれることとした。これに対して、エンジン音情報の数は、2個以上4個以下、又は、6個以上であってもよく、さらに、データ収集時におけるエンジン車両のエンジン回転数の間隔は、1000[rpm]に限定されず、任意の間隔であってもよい。
【0152】
また、上記の実施例では、記憶ユニット120に記憶されるエンジン音情報ESIj(f)(j=1,2,…,5)は、エンジン車両のエンジンルーム内で収音された収音データを解析して得られたスペクトルデータとした。これに対して、エンジン音情報としては、時系列の音データから構成されるエンジン音信号(t)であってもよい。
【0153】
そして、エンジン音情報が時系列の音データから構成されるエンジン音信号(t)である場合には、個別特性変化信号生成部は、エンジン音信号(t)における音データ間の時間間隔を(ERP/ERj-1倍にして、特性変化信号(T)を生成すればよい。
【0154】
なお、時系列の音データから構成されるエンジン音信号(t)から特性変化信号を生成するに際して、上述した音データ間の時間間隔の変更処理を行わない場合には、制御ユニットにおける特性変化信号生成部の前段で、当該エンジン音信号(t)のスペクトル解析を行うようにしてもよい。
【0155】
また、上記の実施例では、エンジン音情報は、エンジン車両のエンジンルーム内で収音することとしたが、エンジンルーム外で収音するようにしてもよい。
【0156】
また、上記の実施例では、制御ユニットは、擬似エンジン音を出力するに際して、記憶ユニット120に記憶されているエンジン音情報ESIj(j=1〜5)を取得することとした。これに対して、制御ユニットは、擬似エンジン回転数に対応して重み付け合成を行うエンジン音情報のみを取得するようにしてもよい。
【0157】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音信号を生成するに際して、信号合成部は、擬似エンジン回転数ERPに近いエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDほど重み付け合成の割合を高くし、擬似エンジン回転数ERPと離れたエンジン回転数に対応する特性変化信号FSDについては、重み付け合成の割合を低くする態様で、特性変化信号FSDj(F)(j=1〜5)を重み付け合成することとした。これに対して、信号合成部は、合成割合を一定として、特性変化信号FSDj(F)(j=1〜5)を合成するようにしてもよい。
【0158】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音信号を生成するに際して、信号増幅部が、特性変化合成信号SND(t)をアクセル開度に応じて増幅させたが、当該増幅処理を行わないようにしてもよい。この場合には、エンジン音出力装置の構成要素として、制御ユニットにおける信号増幅部を省略することができる。
【0159】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音信号を生成するに際して、EQ部が、増幅信号GSD(t)に対して、収集元のエンジン車両の車種に応じた周波数特性の変更処理を行うようにしたが、当該EQ部の処理を行わないようにしてもよい。この場合には、エンジン音出力装置の構成要素として、制御ユニットにおけるEQ部を省略することができる。
【0160】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音信号を生成するに際して、変調用信号生成部が、擬似エンジン回転数に対応する周波数の0.5次の信号に対して、アクセル開度に応じた変調を施した変調用信号MSD(t)を生成した。そして、当該変調用信号に基づいて変調させた擬似エンジン音を出力するようにした。これに対して、当該変調用信号に基づいた変調を行わないで、擬似エンジン音を出力するようにしてもよい。この場合には、エンジン音出力装置の構成要素として、制御ユニットにおける変調用信号生成部を省略することができる。
【0161】
また、上記の実施例における音量設定テーブルVOT、増幅情報GNI、及び変調度情報MDIの内容は一例を示したものであって、他の内容であってもよいことは、勿論である。
【0162】
また、上記の実施例のエンジン音出力装置が、エンジン音情報を記憶するようにしたが、当該エンジン音情報を、スマートフォン情報を他の装置から取得するようにしてもよい。
【0163】
また、上記の実施例では、エンジン音出力装置が、記憶ユニットを備える構成とした。これに対して、記憶ユニットとして利用できる設備品が車両に配置されている場合には、当該装備品を利用するようにしてもよい。
【0164】
また、上記の実施例では、電気自動車内に配置される装置に本発明を適用したが、電気エネルギを駆動エネルギの一部として利用する車両(例えば、ハイブリッド車)に配置される装置に本発明を適用することができるのは、勿論である。
【0165】
また、上記の実施例については、上述した第1実施形態に対する変形と同様の変形を適宜施すことができる。
【符号の説明】
【0166】
100 … エンジン音出力装置
110 … 制御ユニット(第1取得部、算出部、第2取得部、生成部、制御部)
120 … 記憶ユニット(記憶部)
210 … 車室内音出力ユニット(出力部)
700 … エンジン音出力装置
710 … 第1取得部
720 … 算出部
730 … 第2取得部
740 … 生成部
750 … 制御部
910 … 出力部
930 … 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13