(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給電対象が水中探査等のミッションを行う水中移動体である場合には、そのミッションを一時中断して給電を行わなければならず、水中移動体の稼働率が低下することになる。
また、水中においては、急激な潮流の変化、大きな波の影響あるいは魚等の衝突によって、両構造体を離間させる方向に大きな荷重が作用することがあり得る。このようなときに、特許文献1や特許文献2のようにしっかりと嵌合されていると、嵌合部分が傷ついて修理作業が必要となる場合もあり、作業者の負担が増大することになる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、水中移動体の稼働率を向上させ、水中移動体の損傷を防止することのできる非接触給電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、非接触で電力を受電する受電手段を有する第1水中移動体と、非接触で電力を給電する給電手段を有すると共に、前記第1水中移動体に並走しながら前記受電手段と前記給電手段との間で非接触給電を行う第2水中移動体と、を有する、非接触給電システムを採用する。
【0008】
また、本発明においては、前記第2水中移動体は、蓄電池によって駆動しており、前記蓄電池に給電する給電ステーションと、前記蓄電池の残量に基づいて、前記第2水中移動体を前記給電ステーションに帰還させる制御手段と、を有する、という構成を採用する。
【0009】
また、本発明においては、前記制御手段は、前記蓄電池の残量がある閾値以下になったとき、前記非接触給電を中止し、前記第2水中移動体を前記給電ステーションに帰還させる、という構成を採用する。
【0010】
また、本発明においては、前記制御手段は、前記給電ステーションに対する前記第2水中移動体の距離に基づいて、前記閾値を逐次更新する、という構成を採用する。
【0011】
また、本発明においては、前記給電手段は、前記蓄電池に蓄えられた電力を給電する、という構成を採用する。
【0012】
また、本発明においては、前記非接触給電を行う際に、前記受電手段と前記給電手段とを位置合わせする位置合わせ手段を有する、という構成を採用する。
【0013】
また、本発明においては、前記位置合わせ手段は、前記第1水中移動体と前記第2水中移動体とを吸着させる吸着手段を有する、という構成を採用する。
【0014】
また、本発明においては、前記位置合わせ手段は、前記第1水中移動体と前記第2水中移動体とを磁着させる磁着手段を有する、という構成を採用する。
【0015】
また、本発明においては、前記位置合わせ手段は、前記第1水中移動体に設けられたマーカーと、前記第2水中移動体に設けられ、前記マーカーを検出するマーカー検出手段と、を有する、という構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1水中移動体に第2水中移動体が並走しながら非接触給電が行われる。このため、本発明では、第1水中移動体がミッションを継続したまま受電でき、第1水中移動体の稼働率を向上させることができる。また、非接触給電は、受電手段と給電手段とが多少位置ずれしていても給電可能であり、第1水中移動体に第2水中移動体を並走させることで、外力が加わったときに損傷の原因となっていた嵌合部を設ける必要性をなくすことができる。
したがって、本発明によれば、水中移動体の稼働率を向上させ、水中移動体の損傷を防止することのできる非接触給電システムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における非接触給電システム1の全体構成を示す模式図である。
図2は、本発明の実施形態における第1水中移動体10と第2水中移動体20の構成を示す模式図である。
図3は、本発明の実施形態における給電ステーション30の構成を示す模式図である。
【0019】
本実施形態の非接触給電システム1は、
図1に示すように、例えば海洋開発のために海中調査ミッションを行っている複数の第1水中移動体10に対して第2水中移動体20が非接触給電を行うものである。本実施形態の第1水中移動体10及び第2水中移動体20は、水中を無軌道で航行できる自律型の無人水中航走体であり、第1水中移動体10が海中探査用、第2水中移動体20が給電用として運用されている。
【0020】
第1水中移動体10及び第2水中移動体20は、
図2に示すように、同様の形状及び大きさを有している。第1水中移動体10及び第2水中移動体20が同様の形状及び大きさであれば、航走中に受ける水抵抗等の外乱の影響が略同様となり、非接触給電システム1における並走航走コントロールを容易にすることができる。また、第1水中移動体10及び第2水中移動体20の搭載アクチュエータ等の基本構成も同様なものとなっている。ここで同様というのは、まったく同一である必要はなく、第2水中移動体20から第1水中移動体10へ非接触給電を支障なく行える程度に第1水中移動体10に追従して第2水中移動体20を並走航走コントロールできればよいということである。
【0021】
搭載アクチュエータとしては、例えば、後部にメインスラスタ2、上下ラダー(上下舵ヒレ)3、左右エレベータ(左右舵ヒレ:不図示)等があり、前部に垂直スラスタ(不図示)、水平スラスタ(不図示)等がある。速度制御は、メインスラスタ2により行う。左右角制御は、舵となる上下ラダー3の左右角を制御することで行い、より小さな半径で旋回等するときは水平スラスタを併用する。上下角制御は、舵となる左右エレベータの上下角を制御することで行い、より小さな半径で旋回等するときは垂直スラスタを併用する。
【0022】
図2に示すように、第1水中移動体10には、受電コイル(受電手段)11が設けられている。一方で、第2水中移動体20には、給電コイル(給電手段)21が設けられている。受電コイル11及び給電コイル21は、十分な耐水性・耐圧性を有し、且つ非接触給電に使われる電磁界を通過させる材質(プラスチック、繊維強化プラスチック等)で構成したカバー部材4の背後に設けられている。カバー部材4は、表面が滑らかに成型されており、航行の妨げとなる流体抵抗を小さくすることができる。
【0023】
受電コイル11は、第1水中移動体10の略円筒状の本体の上部に設けられている。この受電コイル11は、給電コイル21と略同一のコイル径を有し、給電コイル21と電磁的に結合することによって交流電力を非接触で受電する。このような非接触給電においては、外部に露出する電極やコネクタが不要なので、給電中に外部からの影響で電極やコネクタが壊れたり、電極が水中で錆びたりすることがない。ここで、略同一というのは、まったく同一である必要はなく、給電コイル21から受電コイル11への非接触給電が可能であればよいということである。また、非接触給電が可能であれば、受電コイル11や給電コイル21の形状や方式はいずれであってもよく、受電コイル11と給電コイル21との形状が異なっていてもよい。
【0024】
本実施形態の非接触給電システム1における給電コイル21から受電コイル11への非接触給電は、磁界共鳴方式に基づいて行われる。すなわち、給電コイル21と受電コイル11とには各々に共振回路を構成するための共振用コンデンサ(不図示)が接続されている。また、例えば共振用コンデンサの静電容量は、給電コイル21と共振用コンデンサとからなる給電側共振回路の共振周波数と受電コイル11と共振用コンデンサとからなる受電側共振回路の共振周波数とは同一周波数となるように設定されている。
【0025】
第1水中移動体10には、受電コイル11の他に、受電回路12と、蓄電池13と、インバータ14と、モータ15と、ミッション用機器16とが設けられている。
受電回路12は、給電コイル21から受電した受電電力を直流電力に変換して蓄電池13に供給する電力変換回路である。すなわち、この受電回路12は、蓄電池13の充電状態に応じた充電電流を蓄電池13に供給することにより蓄電池13を充電する。
【0026】
蓄電池13は、第1水中移動体10の駆動動力源として十分な電力を蓄えることが可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等である。この蓄電池13は、受電回路12から供給される直流電力を充電すると共に、インバータ14に航行駆動用電力を供給(放電)する。
インバータ14は、供給された直流電力を交流電力に変換し、モータ15に駆動用の三相電流を供給するものである。モータ15は、メインスラスタ2と接続されており、メインスラスタ2を回転させる。なお、蓄電池13の電力は、メインスラスタ2だけでなく、他の搭載アクチュエータにも供給される。
【0027】
ミッション用機器16は、第1水中移動体10のミッションに応じた機器であり、例えば、海底面の地形を調査するためのソナー等である。このミッション用機器16は、第1水中移動体10の略円筒状の本体の下部に設けられている。なお、第1水中移動体10のミッション用機器16は、海底面の地形情報だけでなく、海底下の地層情報、海水の特定の化学物質の分布情報等を取得するものであってもよい。
【0028】
一方で、給電コイル21は、第2水中移動体20の略円筒状の本体の下部に設けられている。第2水中移動体20には、給電コイル21の他に、給電回路22と、蓄電池23と、インバータ24と、モータ25と、給電航行制御装置(制御手段)26と、通信装置27とが設けられている。また、第2水中移動体20には、後述する給電ステーション30から電力を受電するための受電コイル28及び受電回路29が設けられている。なお、インバータ24、モータ25、受電コイル28及び受電回路29の構成については、上記説明との重複を避けるため、その説明を割愛する。
【0029】
給電回路22は、蓄電池23から供給される直流電力を交流電力に変換して給電コイル21に供給する電力変換回路である。すなわち、この給電回路22は、磁界共鳴方式の非接触給電の共振周波数に応じた交流電流を給電コイル21に供給する。
本実施形態の蓄電池23は、第2水中移動体20の駆動動力源となり、また、第1水中移動体10への給電電力源ともなるものである。第2水中移動体20にはミッション用機器16を搭載していないため、蓄電池23は、そのスペースを活用して、第1水中移動体10の蓄電池13よりも倍以上の十分な容量及び大きさを有している。
【0030】
給電航行制御装置26は、第2水中移動体20の給電航行を制御するものである。給電航行制御装置26は、第2水中移動体20の各搭載アクチュエータを制御することで、非接触給電を行う際に、第2水中移動体20を第1水中移動体10に並走させる。具体的に、給電航行制御装置26は、第2水中移動体20の現在位置を把握し、第1水中移動体10に並走させるための制御を行う。給電航行制御装置26は、第2水中移動体20の現在位置を把握するための通信装置27を有している。
【0031】
通信装置27は、
図3に示すように、給電ステーション30に設けられた通信装置34との間で通信を行うものである。なお、給電ステーション30には、第2水中移動体20の蓄電池23に給電するための給電コイル31、給電回路32、外部電源33が設けられている。ちなみに、給電コイル31から受電コイル28への非接触給電は、上記説明と同様に磁界共鳴方式に基づいて行われる。
【0032】
水中の測位には、超音波を用いた音響測位を行うことが一般的である。音響測位としては、例えばUSBL(Ultra-Short BaseLine)方式を採用することができる。USBLでは、音波の往復時間と水中音速から目標(第2水中移動体20)までの距離を決定し、USBLの受波アレイ(複数の受波素子を並べたもの)での位相差から角度を決定し、USBLトランシーバ(送受波機)に対する三次元空間内での目標(第2水中移動体20)の相対位置を求めることができる。
【0033】
トランシーバを搭載した給電ステーション30では、トランシーバの地球座標での位置(経度・緯度)と姿勢角(水平からの傾きと方位)に目標(第2水中移動体20)との相対位置を加えることで、目標(第2水中移動体20)の緯度・経度を得る。この位置を音響通信で第2水中移動体20に伝えることで、第2水中移動体20は現在位置を得ることができる。なお、水中の測位として、慣性航行法を採用してもよいし、航行精度を上げるため、当該音響測位と併用してもよい。
【0034】
慣性航法とは、目標(第2水中移動体20)の姿勢角(左右角、上下角、方位角)と水底に対する目標(第2水中移動体20)の三次元空間内での速度を目標(第2水中移動体20)の搭載センサ(例えばドップラー流速計等)で短い時間間隔で計測し、地球座標でどの方向にどれだけ動いたかを求め、それを加えていくものである。この慣性航法によれば、短い間隔で測位可能というメリットがあるが、時間と共に位置誤差が増加するため、当該慣性航法による測位位置を、時間と共に位置誤差が増加しない上記USBLの測位位置と、定期的に置き換えることで位置誤差の蓄積を防ぐことができる。
【0035】
また、給電航行制御装置26は、蓄電池23の残量に基づいて、第2水中移動体20を給電ステーション30に帰還させる制御を行う。本実施形態の給電航行制御装置26は、蓄電池23の残量がある閾値以下になったとき、非接触給電を中止し、第2水中移動体20を給電ステーション30に帰還させる制御を行う。本実施形態の閾値は、第2水中移動体20が給電ステーション30に戻るための航行に必要な電力を確保するための値に設定されている。
【0036】
給電航行制御装置26は、給電ステーション30に対する第2水中移動体20の距離に基づいて、当該閾値を逐次更新する構成となっている。すなわち、給電ステーション30から第2水中移動体20が離れる程、給電ステーション30に戻るための航行に必要な電力が多くなるためである。このため、給電航行制御装置26は、給電ステーション30から第2水中移動体20が離れる程、当該閾値を高い値に逐次更新し、一方で給電ステーション30に第2水中移動体20が近づく程、当該閾値を低い値に逐次更新する構成となっている。
【0037】
次に、このように構成された非接触給電システム1の給電動作について説明する。
非接触給電システム1は、
図1に示すように、所定のミッションを行っている第1水中移動体10に対して第2水中移動体20が非接触給電を行うものである。第1水中移動体10は、予め設定されたミッションを行うべく、例えば海底付近を所定のルート(ルートA〜C)で航行している。第1水中移動体10のルートA〜C及び第1水中移動体10の現在位置の情報は、通信装置27を介して第2水中移動体20に伝えられ、第2水中移動体20は、当該位置情報と自身の現在位置の情報とに基づいて給電航行を行う。
【0038】
第2水中移動体20は、給電対象となる第1水中移動体10に近接するよう移動し、第1水中移動体10と近接したまま並走する(符号a〜cで示す)。そして、第2水中移動体20は、
図2に示すように、第1水中移動体10に並走しながら、受電コイル11と給電コイル21との間で非接触給電を行い、第1水中移動体10の蓄電池13を充電する。
この本実施形態の非接触給電システム1によれば、第1水中移動体10に第2水中移動体20が並走しながら非接触給電が行われるため、第1水中移動体10がミッションを継続したまま受電でき、第1水中移動体10の稼働率を向上させることができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、受電コイル11と給電コイル21間の水中での電力伝送に磁界共鳴方式を採用するが、この磁界共鳴方式は、電磁誘導方式と比べて、第1水中移動体10及び第2水中移動体20の両方に設けられた共鳴コイルの位置ズレに強く、高効率且つ長距離の電力伝送を実現できるという特徴がある。
したがって、本実施形態によれば、従来技術のような高精度な位置決め機構が不要であり、機械的な嵌め合いのような拘束手段を用いていないため外力の影響を受けても容易に離脱可能である。また、位置ズレに強く、併走の開始に当たり位置決めが容易であるため、第1水中移動体10及び第2水中移動体20間の水中での電力伝送を可能とすることができる。
【0040】
図1に戻り、第1水中移動体10の充電が完了したら、第2水中移動体20は、通常、給電ステーション30に戻っていくが、本実施形態のように第1水中移動体10が複数ある場合には、給電対象となる次の第1水中移動体10に近接するように移動し、上記と同様に非接触給電を行う。そして、給電対象となる全ての第1水中移動体10の充電が完了したら、第2水中移動体20は、給電ステーション30に戻り、
図3に示すように、受電コイル28と給電コイル31との間の非接触給電により、蓄電池23を充電する。
【0041】
より詳しく説明すると、
図1において、第2水中移動体20は、まずルートAを航行する第1水中移動体10に近接するよう移動し、ルートAを航行する第1水中移動体10と近接したまま並走し(符号aで示す)、ルートAを航行する第1水中移動体10への非接触給電を行う。これにより、ルートAを航行する第1水中移動体10の蓄電池13が充電される。次に、第2水中移動体20は、ルートBを航行する第1水中移動体10に近接するよう移動し、ルートBを航行する第1水中移動体10と近接したまま並走し(符号bで示す)、ルートBを航行する第1水中移動体10への非接触給電を行う。これにより、ルートBを航行する第1水中移動体10の蓄電池13が充電される。さらに、第2水中移動体20は、ルートCを航行する第1水中移動体10に近接するよう移動し、ルートCを航行する第1水中移動体10と近接したまま並走し(符号cで示す)、ルートCを航行する第1水中移動体10への非接触給電を行う。これにより、ルートCを航行する第1水中移動体10の蓄電池13が充電される。ここで、給電対象となる全ての第1水中移動体10の充電が完了するので、第2水中移動体20は、給電ステーション30に戻り、
図3に示すように、受電コイル28と給電コイル31との間の非接触給電により、蓄電池23を充電する。
【0042】
このように複数の第1水中移動体10に対し、1台の第2水中移動体20から給電する場合、第2水中移動体20の航行距離は長く、給電電力の消費量も多くなる。このため、非接触給電システム1は、蓄電池23の残量に基づいて、第2水中移動体20を給電ステーション30に帰還させる給電航行制御装置26を有する。
具体的に、給電航行制御装置26は、通信装置27により、給電ステーション30の通信装置34との間で上記した通信を行い、給電ステーション30に対する第2水中移動体20の距離情報を得る。
【0043】
次に、給電航行制御装置26は、この距離情報に基づいて、第2水中移動体20が給電ステーション30に帰還するために必要な電力を計算し、当該電力を基準に蓄電池23の残量をモニタリングする。そして、給電航行制御装置26は、蓄電池23の残量が、当該電力を下回りそうなとき、詳しくは当該電力に所定の余剰分を足した閾値以下になったときに、現在行っている非接触給電を中止し、強制的に第2水中移動体20を給電ステーション30に帰還させる。これにより、第2水中移動体20が給電ステーション30に戻るための航行に必要な電力を確保することができる。
【0044】
したがって、上述のように本実施形態によれば、非接触で電力を受電する受電コイル11を有する第1水中移動体10と、非接触で電力を給電する給電コイル21を有すると共に、第1水中移動体10に並走しながら受電コイル11と給電コイル21との間で非接触給電を行う第2水中移動体20と、を有する、という構成を採用することによって、第1水中移動体10の稼働率を向上させ、外力の影響による第1水中移動体10及び第2水中移動体20同士の損傷を防止することのできる非接触給電システム1が得られる。
【0045】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
例えば、第1水中移動体10と第2水中移動体20との並走時の給電効率を向上させるために、
図4〜
図6に示すように、受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせする位置合わせ手段40を設けてもよい。
【0047】
図4は、本発明の一別実施形態における受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせする位置合わせ手段40の構成を示す模式図である。
図4に示す位置合わせ手段40は、第1水中移動体10と第2水中移動体20とを吸着させる吸着手段41を有する。
図4に示す吸着手段41は、第2水中移動体20に設けられた吸盤部材42から構成され、吸盤部材42を第1水中移動体10のカバー部材4の平坦部に押し付けて吸着する構成となっている。
この構成によれば、受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせして給電効率を向上させることができ、また、機械的な嵌合部を設ける必要がなく、外力が加わるときには当該吸着力を振り切って容易に離脱可能とすることができる。
なお、並走開始時には、不図示のポンプで吸盤部材42の吸盤内を排水してもよいし、並走終了時には、吸盤部材42の吸盤内外を繋ぐ不図示のバルブを開けて吸盤内に注水してもよい。
【0048】
図5は、本発明の一別実施形態における受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせする位置合わせ手段40の構成を示す模式図である。
図5に示す位置合わせ手段40は、第1水中移動体10と第2水中移動体20とを磁着させる磁着手段43を有する。
図5に示す磁着手段43は、第2水中移動体20に設けられた電磁石44と、第1水中移動体10に設けられた鉄片45とから構成され、カバー部材4の背面側でお互いが引き付け合うことで位置合わせする構成となっている。
この構成によれば、受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせして給電効率を向上させることができ、また、機械的な嵌合部を設ける必要がなく、外力が加わるときには当該磁着力を振り切って容易に離脱可能とすることができる。
なお、並走開始時には、電磁石44を「ON」にし、並走終了時には、電磁石44を「OFF」にすることが電力消費の観点から好ましい。
【0049】
図6は、本発明の一別実施形態における受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせする位置合わせ手段40の構成を示す模式図である。
図6に示す位置合わせ手段40は、第1水中移動体10に設けられたマーカー46と、第2水中移動体20に設けられ、マーカー46を検出するマーカー検出手段47と、を有する。
図6に示すマーカー検出手段47は、水中カメラ(照明付きが好ましい)から構成され、受電コイル11を前後で挟んで設けられたマーカー46を画像で検出する構成となっている。
この構成によれば、画像処理によって、第2水中移動体20の第1水中移動体10に対する位置ずれを計測し、当該位置ずれを補正するよう第2水中移動体20の航路を補正することで、受電コイル11と給電コイル21とを位置合わせして給電効率を向上させることができる。
なお、マーカー検出手段47は、水中カメラに限らず、例えば超音波の反射強度と反射時間からマーカー46を検出する超音波センサであってもよい。
【0050】
また、例えば、上記実施形態では、第2水中移動体20が給電コイル21と受電コイル28とを有する構成について説明したが、双方向非接触給電の一個のコイルとして、給電ステーション30から受電するときは受電コイルとして、第1水中移動体10に給電するときは給電コイルとして用いてもよい。この場合、第1水中移動体10の受電コイル11は、第1水中移動体10の略円筒状の本体の下部に設け、双方向非接触給電の一個のコイルは第2水中移動体20の略円筒状の本体の上部に設ければよい。
【0051】
また、例えば、上記実施形態では、第2水中移動体20の駆動動力源に用いる蓄電池23を第1水中移動体10の給電電力源として兼用したが、別の蓄電池を設けてもよい。
【0052】
また、例えば、上記実施形態では、第1水中移動体10及び第2水中移動体20は、水中を無軌道で航行できる自律型の無人水中航走体であると説明したが、第1水中移動体10及び第2水中移動体20の少なくともいずれか一方が有人潜水艦等であってもよい。
【0053】
また、例えば、上記実施形態では、受電コイル11を第1水中移動体10の略円筒状の本体の上部に、給電コイル21を第2水中移動体20の略円筒状の本体の下部に設けたが、並走時に受電コイル11と給電コイル21とを対向させて近接させ受電コイル11へ給電コイル21から非接触給電可能であれば、他の配置も可能である。たとえば、受電コイル11を第1水中移動体10の略円筒状の本体の左側面に、給電コイル21を第2水中移動体20の略円筒状の本体の右側面に設けたり、逆に、受電コイル11を第1水中移動体10の略円筒状の本体の右側面に、給電コイル21を第2水中移動体20の略円筒状の本体の左側面に設けてもよい。
【0054】
また、例えば、本発明で使用する非接触給電の方式としては磁界共鳴方式が適するが、電力伝送効率の低下など性能面での低下を許容すれば他の非接触給電の方式、たとえば電磁誘導方式も使用可能である。