特許第6311691号(P6311691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6311691
(24)【登録日】2018年3月30日
(45)【発行日】2018年4月18日
(54)【発明の名称】車両の後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20180409BHJP
【FI】
   B62D37/02 E
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-209764(P2015-209764)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-81295(P2017-81295A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 典史
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0016131(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0236045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部灯火と、車幅方向中央から左右外方へ延びる整流部材と、前記整流部材を駆動する駆動手段とが設けられ、
前記整流部材の車幅方向外側の外方部は、
前記後部灯火のレンズ面よりも車幅方向外側まで延設されるとともに、前記レンズ面を少なくとも車両上下方向に分断し、
かつ車幅方向中央側の中央部は、
少なくともその上面が前記後部灯火より車両上方において延びるよう形成され
前記駆動手段は、車両走行時に前記整流部材の前記外方部及び前記中央部を一体として前記後部灯火より上方へ変位させることを特徴とする
車両の後部構造。
【請求項2】
前記整流部材のうち、前記外方部と前記中央部とを連結する連結部が、平面視で車両後方にいくほど車幅方向内方になるよう傾斜されたことを特徴とする
請求項1に記載の車両の後部構造。
【請求項3】
後面視において、前記外方部は車幅方向外方または車両後方にいくほど車両下方へ下げられていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の車両の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の後部灯火と、車幅方向中央から左右外方へ延びるリヤスポイラ等の整流部材とが設けられた車両の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両後部に、リヤスポイラが設けられる場合があるが、このようなリヤスポイラは、特許文献1に例示される車両後部構造のように、走行時の整流のため、車両後部上面へ配置することが一般的である。
【0003】
しかしながら、意図する美観の実現や車載装備品のレイアウトの関係から、リヤスポイラをテールライト等の後部灯火を上下各側に分断する位置に配すると、リヤスポイラ全体が低くなることから空力性能を確保できなくなってしまう問題があった。
上記特許文献1には、このような問題に着目した記載や、意図する美観の実現と空力性能の確保との両立を図るための具体的な構成に関する記載について見受けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0016131号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明は、整流部材を、テールライト等の後部灯火を上下に分断するよう配しても、意図するデザインを実現するデザイン自由度の確保と空力性能の確保の両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車両の後部構造は、車両の後部灯火と、車幅方向中央から左右外方へ延びる整流部材と、前記整流部材を駆動する駆動手段とが設けられ、前記整流部材の車幅方向外側の外方部は、前記後部灯火のレンズ面よりも車幅方向外側まで延設されるとともに、前記レンズ面を少なくとも車両上下方向に分断し、かつ車幅方向中央側の中央部は、少なくともその上面が前記後部灯火より車両上方において延びるよう形成され、前記駆動手段は、車両走行時に前記整流部材の前記外方部及び前記中央部を一体として前記後部灯火より上方へ変位させることを特徴とする
【0007】
上記構成によれば、レンズ面よりも車幅方向外側まで延設された外方部によって後部灯火のレンズ面を上下に分断するよう整流部材を配しても、整流部材のうち後部灯火のレンズ面を分断する部分以外の部分において空力性能を確保し、デザイン自由度と空力性能確保とを両立することができる。
【0008】
また、前記整流部材を駆動する駆動手段を有し、前記駆動手段は、車両走行時に前記整流部材の前記外方部及び前記中央部を一体として前記後部灯火より上方へ変位させるため、走行時の前記整流部材の外方部における空力性能を向上させることができる。
【0009】
またこの発明の態様として、前記整流部材のうち、前記外方部と前記中央部とを連結する連結部が、平面視で車両後方にいくほど車幅方向内方になるよう傾斜させるものがある。
【0010】
上記構成によれば、車幅方向中央側の負圧をより有効に抑制することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、後面視において、前記外方部は車幅方向外方または車両後方にいくほど車両下方へ下げさせるものがある。
【0012】
上記構成によれば、前記整流部材への着雪や泥付着等による前記後部灯火の被視認性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、整流部材を、後部灯火を上下に分断するよう配しても、整流部材のその他部分において空力性能を確保し、デザイン自由度の確保と空力性能確保との両立を図ることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の車両後部を後方から見た斜視図
図2】スポイラが降下姿勢、及び立上げ姿勢にある時の、車両後部の要部を示す背面図
図3】スポイラが降下姿勢にある時の、車両後側左端部を上方から見た斜視図
図4】スポイラが立上げ姿勢にある時の、車両後部の要部を示す平面図
図5】スポイラが降下姿勢にある時の、車両後部の要部を示す左側面図
図6】スポイラが立上げ姿勢にある時の、車両後部の要部を示す左側面図
図7】リヤランプユニットの内部構造の概略を示す構成説明図
図8】スポイラの駆動支持装置の構成説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本実施例の車両を左斜め後方から見た斜視図であり、図2(a)、(b)は夫々リヤスポイラが降下姿勢、立上げ姿勢にある時の、車両後部左側の要部を示す背面図であり、図3はリヤスポイラが降下姿勢にある時の、車両後側左端部を上方から見た斜視図であり、図4はリヤスポイラが立上げ姿勢にある時の、車両後部左側の平面図であり、図5はリヤスポイラが降下姿勢にある時の、車両後側上部の左側面図であり、図6はリヤスポイラが立上げ姿勢にある時の、車両後側上部の左側面図であり、図7は、左側リヤランプユニットの内側リヤランプ灯体の中心部で切断した車幅方向の直交断面図である。但し、図7中のリヤスポイラは降下にある時を示し、リヤランプユニット以外の車両後部の内部構造は図示省略している。
【0016】
さらに、以下の実施例においては、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印LEは車幅方向の左方を示し、矢印RIは車幅方向の右方を示す。
【0017】
車両後部1Rの左右各側には、図1図5に示すように、リヤランプユニット2,2が取り付けられるとともに、左右一対のリヤランプユニット2,2を備えた車両後部1Rの後方において車幅方向に延びるリヤスポイラ3が設けられている。
なお、図1中の101はバックウィンドガラス、102はリヤデッキパネル、103はバンパフェイス、104はリヤフェンダパネルである。
【0018】
車両後部1Rのリヤランプユニット2の配設箇所(車両後部1Rの左右各部)には、車体ボディを車両前方に向けて凹ませた凹部4が設けられており、凹部4は後方視車両上下方向長さよりも車幅方向の外端から車幅方向内側へ長い横長形状に形成している。
【0019】
なお、車両後部1Rは、左右のリヤランプユニット2,2間、すなわち、左右の凹部4,4の車幅方向内端上部間を連続して結ぶように該凹部4よりも上下長さが短い凹状部分45を介して車幅方向に繋がった凹状のデザインを有している(図2(b)、図7参照)。
【0020】
車両後部1Rの左右両端部のリヤランプユニット2の配設部に相当するボディは、図2(a)、(b)〜図7に示すように、凹部4の開口部が形成されるように、該開口部の縁部を前方へ向けて延出した延出縁部41が形成されている。
【0021】
上述の凹部4の周面の略全体は、図1図7に示すように、リヤランプユニット2に備えた樹脂製のベゼル5によって形成されている。ベゼル5は、後端に開口部を備えた有底状に形成され、図7に示すように、このベゼル5の前縁部は、凹部4の開口部の縁部に有する車体ボディの延出縁部41に当接されている。すなわち、このベゼル5と延出縁部41とで車両前方へ向けて凹んだ有底状の凹部4の滑らかな周面が形成されている。
なお、本実施例の凹部4は、その開口部がレンズや透明カバー等によって覆われることなく、該凹部4の内部空間と車両外側の空間とが連通している。
【0022】
リヤランプユニット2は、図1図6に示すように、この凹部4に格納されるように該凹部4の車幅方向内側から外側へ並列配置された灯火としての2個のリヤランプ灯体6(6a,6b)とターンシグナル部7とを備えている。
【0023】
本実施例においては、車幅方向内側のリヤランプ灯体6(内側リヤランプ灯体6a)は、車両が後退する際に点灯するバックライト(後退信号灯)である。車幅方向外側のリヤランプ灯体6(外側リヤランプ灯体6b)は、車内の図示省略するスイッチを操作することにより点灯し、ブレーキペダル(図示省略)を踏み込んだ際にさらに強く点灯するテールアンドストップランプ(尾灯/停止信号灯)である。内側リヤランプ灯体6aと外側リヤランプ灯体6bとは後述するレンズ面141が車両後方を向くように平面視で互いに平行に配設されている。
【0024】
なお、図2(a)、(b)及び図3中の符号7a,7bは、ウインカーレバーを操作することにより、リヤランプユニット2の内部に備えた図示省略するターンシグナル用光源の光を導光して点滅するターンシグナル部7の一部として備えたフィン状導光板であり、アクリル等の透光性部材で形成している。
【0025】
続いてリヤランプ灯体6の内部構造について説明するが、左右のリヤランプユニット2,2は、左右対称に形成されているとともに、上述した内側リヤランプ灯体6aと外側リヤランプ灯体6bとは略同じ内部構造であるため、右側リヤランプユニット2の内側リヤランプ灯体6aの縦断面を模式的に示した図7に基づいて説明する。
【0026】
リヤランプ灯体6は、主に灯具ケース11とLED光源12とリフレクタ13とレンズ14とヒートシンク15とを備えている。
灯具ケース11は、リフレクタ13やLED光源12を格納し、後部が前部よりも小径となるように段部11aを備えた段付の円筒状に形成されており、本実施例においてはその中心軸が前後方向と一致するようにベゼル5の底面に形成した凹部5a(図7参照)に装着されている。
【0027】
LED光源12は、光源としてリヤランプ灯体6の前端かつ後面視略中央部に設けられ、図示省略するが、ハーネス等を介してリヤランプ灯体6(6a)外側に配設されたコントローラへ接続されている。
【0028】
リフレクタ13は、LED光源12の周縁に備え、LED光源12が発した光を車両後方に向かって反射するように該LED光源12の周縁を囲うように側面視略U字状に形成している。
レンズ14は、透明合成樹脂により断面視偏平な形状に形成され、灯具ケース11の後端の開口部を塞ぐように取り付けられている。
ヒートシンク15はリヤランプ灯体6の外側かつLED光源12の前方に該LED光源12に対応して設けられ、LED光源12から発せられる熱を周囲に放出する放熱部としての機能を有する。
【0029】
また、上述したリヤスポイラ3は、図1に示すように、車両後部1Rにおいて車幅方向の略全長に亘って延びる樹脂製の板状部材であり、図1図6に示すように、車幅方向中央側に有する中央部31と、該中央部31よりも車幅方向の両外側かつ低い位置に有する外方部32,32と、これらを連結する連結部33とで一体に左右対称形状で形成している。リヤスポイラ3は、中央部31、連結部33、外方部32のいずれもが上下方向の厚みに対して前後方向に延出されているため、全体として車幅方向に長い板状に形成している。このようなリヤスポイラ3は、図2(a)、図3及び図5に示すように、リヤランプ灯体6を車両上下方向に分断する位置まで降下した降下姿勢Pdと、図2(b)及び図6に示すように、降下姿勢Pdよりも立ちあげた立上げ姿勢Puとの間で変位するように構成している。
【0030】
リヤスポイラ3の外方部32は、図1図2(a)、図3及び図5に示すように、該リヤスポイラ3が降下姿勢Pdの状態において、リヤランプユニット2を横切るように該リヤランプユニット2の車幅方向の外端に至るまで車幅方向に延びている。
【0031】
詳しくは、リヤスポイラ3の外方部32は、リヤランプ灯体6(内側リヤランプ灯体6a及び外側リヤランプ灯体6b)の後端に備えたレンズ面141を後面視で上下各側に分断する(横切る)ように延びている(同図参照)。これにより、リヤスポイラ3の外方部32は、リヤランプ灯体6のレンズ面141が、すなわちリヤランプ灯体6による明滅が外方部32よりも上方および下方の両方から直接視認可能となるように配置されている(図2(a)、図3参照)。
【0032】
より詳しくは、リヤスポイラ3の外方部32は、後面視でレンズ面141のうち、該外方部32に対して下側となる下側部分141dの方が、該外方部32に対して上側となる上側部分141uよりも上下方向の長さが大きくなるように(Hd>Hu)配置している(図2(a)、図7参照)。
すなわち、外方部32は、図7に示すように、後面視でリヤランプ灯体6に備えたレンズ面141をその上下方向の中間部よりも上方で上下各側に分断するように配置している。
【0033】
さらに、外方部32は、リヤスポイラ3が降下姿勢Pdにおいて平面視で凹部4の開口部よりも内側に入り込んだ状態でレンズ面141に対して後方で対向するように配置される(図5図7参照)。
【0034】
このような外方部32は、前後方向に延出されている(すなわち、前後方向の長さを有している)が、リヤランプ灯体6のレンズ面141のうち、外方部32よりも下側部分141dは、後面視で直接視認できるように配置されている(図2(a)参照)。
【0035】
ここで、本実施例のようにレンズ面141が車両後方を向くように配置されている場合とは異なる場合、例えば、レンズ面141が後方斜め上方を向くようにレンズ14が上前下後状に傾いて(仰角をつけて)配置された構成(図示省略)とした場合には、レンズ面141うち下側部分141dが、平面視で外方部32の前後方向長さと重合してしまい、例えば後斜め上方から視認されないおそれがある。しかしながら、下側部分141dは、該外方部32に対して上側部分141uよりも上下方向の長さを大きくしていることから、上記重合した部分以外の残余の下側部分141dを後斜め上方や上方から直接視認することができる。
【0036】
リヤスポイラ3の中央部31は、図1図2(a)、(b)に示すように、リヤスポイラ3の車幅方向における左右一対のリヤランプユニット2,2の略間部分に相当する位置にあり、少なくとも該中央部31の上面が、立上げ姿勢Puの状態のみならず降下姿勢Pdの状態においても、リヤランプ灯体6のレンズ面141より上方に位置する高さで車幅方向に延びている(図2(a)参照)。
【0037】
さらに、リヤスポイラ3の中央部31は、降下姿勢Pdの状態において、図5に示すように、車両後部1Rの後面を形成するバンパフェイス103の上端部に位置し、リヤデッキパネル102の後端から後方へ突出するように配置されている。
【0038】
上述したリヤスポイラ3の中央部31および外方部32の各上面は、図2(a)及び図5に示すように、いずれも車幅方向外側程かつ車両後方程下方へ徐々に傾く滑らかな湾曲面となるように形成されている。
【0039】
また、連結部33は、中央部31と、該中央部31よりも車幅方向外側で低い位置に配置された外方部32とを連結するように車幅方向外側へ向けて降下するように傾斜した滑らかな段状に形成するとともに(図1図2(a)、図5参照)、後方へ向けて徐々に車幅方向内側に位置するように傾斜して形成している(図3図5参照)。
【0040】
上述したリヤスポイラ3は、図8に示すように、降下姿勢Pdと立上げ姿勢Puとのうち、いずれかの姿勢へと駆動支持装置20によって変更可能に支持されている。
【0041】
駆動支持装置20は、その略全体が車両後部1Rの車幅方向の中央部31に組み込まれ、リヤスポイラ3を降下姿勢Pdと立上げ姿勢Puとの間で変位するようにリヤスポイラ3の中央部31を下側から支持している。
【0042】
駆動支持装置20の一実施形態について図8(a)、(b)に示す模式図を用いて説明すると、駆動支持装置20は、主に基台21とアーム取付けブラケット22と支持アーム23と伸縮支持アーム24とを備えている。
【0043】
なお、図8は、図4中のA−A線断面において駆動支持装置を模式的に示した構成説明図であり、図8(a)、(b)は夫々リヤスポイラが降下姿勢時、立上げ姿勢時における断面図である。但し、図8では、駆動支持装置以外の車体内部の構造は図示省略している。また、支持アーム23と伸縮支持アーム24は、車両後部1Rの車幅方向の中央部の左右各側に一対ずつ備えており、リヤスポイラ3は、合計4つの支持アーム23,24によって支持されているが、図8(a)、(b)においては、その車幅方向の左右各側のうち一方の支持アーム23及び伸縮支持アーム24のみを図示している。
【0044】
基台21には、そのスライド方向に沿ってラック25が取り付けられるとともに、車体側には、該ラック25に噛合するピニオン26、及びピニオン26を回転駆動する基台スライド用モータ28が取り付けられており、これらにより基台21は、車両後部1Rに対して後方へ突出又は退避するようにスライド自在に、車体側に備えたガイド部材27(図8(a)参照)によってガイドされた板状の部材である。
アーム取付けブラケット22は、支持アーム23および伸縮支持アーム24を支持可能な剛性を有し、その外端に形成されたフランジ22aが基台21の上面に一体に締結されている。
【0045】
伸縮支持アーム24は、駆動手段としてのアーム伸縮用モータ241と、ねじ軸242(図8(b)参照)と、アーム伸縮用モータ241とねじ軸242との間に介在し、アーム伸縮用モータ241の駆動力をねじ軸242に伝達するボス部244(カップリング)と、ねじ軸242の回転に伴って螺進するナット部材245を備えている。
支持アーム23は、主動リンクとしての伸縮支持アーム24の回動に連動して回動する従動リンクである。
【0046】
支持アーム23および伸縮支持アーム24は、これら上端部がリヤスポイラ3の下面の前後各部に夫々枢着部23u,24uを介して連結されている。すなわち、伸縮支持アーム24は、ナット部材245の上端がリヤスポイラ3の下面に連結されている。
【0047】
一方、支持アーム23および伸縮支持アーム24は、これら下端部が取付けブラケットの前後各部に夫々枢着部23d,24dを介して連結されている。このように支持アーム23および伸縮支持アーム24は、アーム取付けブラケット22を介して基台21に連結されている。
【0048】
上述した駆動支持装置20により、リヤスポイラ3を図8(a)に示す降下姿勢Pdの状態から図8(b)に示す立上げ姿勢Puへと変位させる際には、まず基台スライド用モータ28の駆動により、ピニオン26が回転し、該ピニオン26とラック25により基台21は、車両後部1Rから外側後方へ直進する。これによりリヤスポイラ3は、車両後方へ離間する。
【0049】
その後、アーム伸縮用モータ241の駆動によりねじ軸242が回転することでナット部材245が直進し、これに伴って伸縮支持アーム24が伸長する。これにより、支持アーム23と伸縮支持アーム24とは、互いに連動して基台21に対して立ち上がるように左側面視反時計回りに回動することで、支持アーム23と伸縮支持アーム24とでリヤスポイラ3を下側から押し上げ、リヤスポイラ3は、車両上方へ移動しながら立上げ姿勢Puとなる(図6(b)参照)。
【0050】
ここで、リヤスポイラ3の外方部32に着目すると、外方部32は、リヤスポイラ3を降下姿勢Pdから立上げ姿勢Puへ変位させることにより、凹部4から後方かつ上方へ離間するように変位する。
【0051】
すなわち、図2(a)及び図5に示すように、降下姿勢Pdにおいてリヤランプ灯体6を上下各側に分断する高さで配置されていた外方部32は、立上げ姿勢Puにおいては、図2(b)及び図6に示すように、凹部4の上縁部4uよりも上方かつ後方に離間した位置となる。
換言すると、外方部32は、立上げ姿勢Puにおいて、リヤランプ灯体6よりも上方に配置される。すなわち、本実施例において外方部32は、立上げ姿勢Puにおいてリヤランプ灯体6のレンズ面141の上端よりも上方に配置される(図2(b)参照)。
【0052】
一方、リヤスポイラ3の中央部31に着目すると、中央部31は、リヤスポイラ3が降下姿勢Pdの状態において側面視でリヤデッキパネル102の後端かつリヤエンドパネル103の上端から後方へ延出するように配置されているが(図5参照)、立上げ姿勢Puの状態においては、リヤデッキパネル102から上方かつリヤエンドパネル103から後方へ離間するように配置される(図6図8(b)参照)。すなわち、リヤスポイラ3の中央部31は、該中央部31の下面とリヤデッキパネル102との間に前後方向に連通する空間Aが形成される(図6図8(b)参照)。なお、リヤスポイラ3の中央部31および外方部32は立上げ姿勢Puの状態においては、前下後上状に傾いた姿勢となる(図6参照)。
【0053】
なお、リヤスポイラ3を、立上げ姿勢Puから降下姿勢Pdへと変位する際には、上述した降下姿勢Pdから立上げ姿勢Puへと変位する際の動作と逆の動作を行う。すなわち、まず伸縮支持アーム24を収縮させて下方へ移動させ、その後、基台21を車両後部1Rの内部へと退避させればよい。
【0054】
また、本実施例におけるリヤスポイラ3は、車両停車時において降下姿勢Pdに保ちつつ、車両走行時に伴って上述した駆動支持装置20を自動で駆動して立上げ姿勢Puとなるように姿勢変更する構成としている。なお、車両の走行と停止を検出する手段として例えば、アクセルペダルの踏込の有無を基に検出することができるが、この検出手段の具体的構成は特に限定しない。
【0055】
この実施例の車両の後部構造は、車両後部1Rに設けたリヤランプユニット2に備えた後部灯火としてのリヤランプ灯体6(6a,6b)と、車幅方向中央から左右外方へ延びる整流部材としてのリヤスポイラ3とが設けられ、該リヤスポイラ3の車幅方向外側の外方部32はリヤランプ灯体6を少なくとも車両上下方向に分断し、かつ車幅方向中央側の中央部31では、少なくともその上面がリヤランプ灯体6より車両上方において延びるよう形成されたものである。
【0056】
上記構成によれば、リヤスポイラ3が降下姿勢Pdにおいて空力特性を改善するうえで有効なリヤスポイラ3の車幅方向中央側の中央部31では、少なくともその上面がリヤランプ灯体6より車両上方において延びるよう形成したため、空力性能を確保することができる。
【0057】
一方、リヤスポイラ3の車幅方向外方部32はリヤランプ灯体6を車両上下方向に分断して延びるように形成したため、意図するデザインを実現するデザイン自由度の確保および美観の向上を図ることができる。
【0058】
従って、上記構成によれば、リヤランプ灯体6の外方部32を上下に分断するようリヤスポイラ3を配しても、リヤスポイラ3の中央部31において空力性能を確保し、デザイン自由度の確保と空力性能確保とを両立することができる。
【0059】
この発明の態様によれば、リヤスポイラ3を駆動する駆動手段としての駆動支持装置20を有し、該駆動支持装置20は車両走行時にリヤスポイラ3をリヤランプ灯体6より上方へ変位させたものである(図2(b)、図6参照)。
【0060】
上記構成によれば、車両走行時にリヤスポイラ3を立上げ姿勢Puとし、該リヤスポイラ3の外方部32についてもリヤランプ灯体6より上方になるように変位させることにより、リヤデッキパネル102上やリヤフェンダパネル104上からリヤランプ灯体6へ流れてきた走行風を整流することができ、走行時のリヤスポイラ3の外方部32における空力性能を向上させることができる。
【0061】
さらに、車両走行時にリヤスポイラ3をリヤランプ灯体6より上方へ変位させるように駆動支持装置20により駆動させることにより、リヤスポイラを変位させる手間を省略することができるとともに、変位し忘れることを防げるため、外方部32における空力性能を確実に向上させることができる。
【0062】
またこの発明の態様によれば、リヤスポイラ3のうち、外方部32と中央部31とを連結する連結部33が、平面視で車両後方にいくほど車幅方向内方になるよう傾斜されたものである(図3図6参照)。
【0063】
上記構成によれば、連結部33が平面視で車両後方にいくほど車幅方向内方になるよう傾斜されているため、リヤスポイラ3を上げて立上げ姿勢Puとした状態において、リヤスポイラ3の中央部31と車両後部1Rの車体との間の空間Aから走行風を導入する際に、リヤスポイラ3の中央部31の車両前方端部の車幅方向長さを、中央部31の車両後方端部の当該長さよりも長くとることができることから、走行風をより多く導入しやすくなり、且つ連結部33付近を流れる走行風についても取り込み易くなることから、車幅方向中央側の負圧をより有効に抑制することができる。
【0064】
さらに、リヤスポイラ3が降下姿勢Pdの状態においても、リヤスポイラ3の中央部31はリヤエンドパネル103上端から後方へ延出しているため(図3図5参照)、走行風を後方へ流して空力特性を有効に改善することができるが、連結部33が平面視で車両後方にいくほど車幅方向内方になるよう傾斜されているため、リヤスポイラ3は中央部31だけでなく連結部33も含めて走行風を後方へ効果的に流して空力特性をより改善することができる。
【0065】
またこの発明の態様によれば、後面視において、外方部32は車幅方向外方または車両後方にいくほど車両下方へ下げられたものである(図2(a)、図5図7参照)。
【0066】
上記構成によれば、降下姿勢Pdにおいて外方部32はその上面が後面視で車幅方向外方または車両後方にいくほど車両下方へ下げられた形状となるため、外方部32の上面へ氷雪や雨水、埃や泥等が降下してきても、それらの付着や滞留等を抑制でき、リヤランプ灯体6の被視認性の低下を抑制することができる。
【0067】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の整流部材は、本実施例のリヤスポイラ3に対応し、以下同様に、
後部灯火は、リヤランプ灯体6に対応し、
駆動手段は、駆動支持装置20に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0068】
例えば、本発明は、本実施例のリヤランプユニット2のように、車両後部1Rに車両前方向へ凹状に形成された凹部4に2個のリヤランプ灯体6とターンシグナル部7を並設した構成に限らず、リヤランプ灯体6を2以外の個数で備えてもよく、或いは、リヤランプユニット2は、乗用車等で採用されているように、ボディの表面の一部を形成するようなカバーやレンズを備えた一般的な構成としてもよい。
【0069】
また、上述した本実施例においては、リヤスポイラ3,3Aを、車両の停車或いは走行に応じて降下姿勢Pdと立上げ姿勢Puとの間で姿勢変更する構成としたが、これに限らず、走行速度が所定速度以上になったことを検知して降下姿勢Pdから立上げ姿勢Puへと自動的に変更するなど、自車両の状態に基づいて姿勢変更する構成としてもよい。さらに、後続車両や歩行者など、自車両周辺の状態を検出・インフラから受信し、これに基づいて姿勢変更する構成(例えば、後続車両の乗員や歩行者へ自車両の状態を報知する必要があると判断した場合には、リヤスポイラ3,3Aを、降下姿勢Pdから立上げ姿勢Puへと自動的に変更する)としてもよい。
【0070】
また、本実施例においては、運転者が降下姿勢Pdと立上げ姿勢Puとを選択的に姿勢変更してもよい。その場合、運転者が例えば、車室内に備えたリモコンを操作したり、インストルメントパネルやセンターコンソール等に設けられたスイッチを操作することにより任意で姿勢変更可能とする構成することができる。或いは、駆動手段を備えずに、乗員の好みに応じて走行前に手動で姿勢変更する構成とするなど、姿勢変更する構成は特に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明は、車両の後部灯火と、車幅方向中央から左右外方へ延びるリヤスポイラ等の整流部材とが設けられた車両の後部構造について有用である。
【符号の説明】
【0072】
1R…車両後部
3…リヤスポイラ(整流部材)
6…リヤランプ灯体(後部灯火)
20…駆動支持装置(駆動手段)
31…中央部
32…外方部
33…連結部
図1
図2
図3
図4
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図8