(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1乃至
図13において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置に示す平面図である。本実施形態に係るめっき装置は、めっき液に電流を流すことで基板の表面を金属でめっきする電解めっき装置である。
【0015】
図1に示すように、めっき装置は、複数の基板Wを収納した基板カセット(基板収納容器)を搭載するロードポート2と、基板Wのオリエンテーションフラットまたはノッチを所定の方向に合わせるアライナ4とを備えている。さらに、めっき装置は、処理後の基板Wを高速回転させて乾燥させるスピン・リンス・ドライヤ(SRD)5と、基板ホルダ6(
図3乃至
図6参照)が載置されるテーブル7と、テーブル7上に載置された基板ホルダ6を開閉する基板ホルダ開閉機構11とを備えている。基板ホルダ開閉機構11はテーブル7の上方に位置している。テーブル7の上方には、基板ホルダ6を起倒させる基板ホルダ起倒機構12が配置されている。基板ホルダ起倒機構12は、基板ホルダ6を鉛直姿勢から水平姿勢に転換し、基板ホルダ6をテーブル7の上に載置するように構成されている。
【0016】
ロードポート2の配列方向に沿って走行機構9が敷設されており、この走行機構9上に基板搬送ロボット8が設置されている。基板搬送ロボット8は、走行機構9上を移動してロードポート2、基板ホルダ開閉機構11、およびアライナ4にアクセス可能に構成されている。
【0017】
めっき装置は、複数の基板ホルダ6を保管するホルダ保管槽13と、基板ホルダ6に保持された基板Wを純水等の洗浄液で洗浄する前洗浄槽14と、基板ホルダ6に保持された基板Wを前処理液で処理する前処理槽17とを備えている。さらに、めっき装置は、基板Wをめっきするためのめっき液を貯留するめっき槽15と、めっきされた基板Wをリンス液でリンスするリンス槽18、基板Wを水切りするブロー槽16とを備えている。ブロー槽16は、基板ホルダ6に保持された基板Wにエアを吹き付けて、基板Wの表面に残留した液滴を除去し、基板Wを乾燥させる。めっき槽15の一側方には、各めっき槽15内のめっき液を攪拌するパドル37(
図2参照)を駆動するパドルモータユニット26が設けられている。めっき槽15の他側方には、排気ダクト27が設けられている。
【0018】
めっき装置は、ホルダ保管槽13、前洗浄槽14、前処理槽17、めっき槽15、リンス槽18、ブロー槽16、および基板ホルダ開閉機構11の間で、基板Wを保持した基板ホルダ6を1つずつ搬送する搬送装置(トランスポータ)20を備えている。
【0019】
トランスポータ20は、めっき槽15の配列方向に沿って延びる固定ベース21と、固定ベース21上を水平方向に移動可能に構成されたリフタ22と、リフタ22に連結されたアーム23とを備えている。アーム23は基板ホルダ6を把持するグリッパ24を有している。アーム23とリフタ22は一体に水平方向に移動し、アーム23はリフタ22によって上昇および下降される。リフタ22およびアーム23を水平方向に移動させる駆動源としてはリニアモータまたはラック・アンド・ピニオンを採用することができる。
【0020】
めっき装置は、制御部69をさらに備えている。前洗浄槽14,めっき槽15,ブロー槽16,前処理槽17,リンス槽18,トランスポータ20を含む各機器の動作は、制御部69によって制御される。
【0021】
図2はめっき槽15の縦断面図である。
図2に示すように、めっき装置は、内部にめっき液を保持するためのめっき槽15と、めっき槽15内に配置されたアノード32と、このアノード32を保持するアノードホルダ33と、基板Wを着脱自在に保持し、かつ基板Wをめっき槽15内のめっき液に浸漬させる基板ホルダ6を備えている。
【0022】
めっき槽15は、基板ホルダ6に保持された基板Wおよびアノード32が配置される内槽34と、内槽34に隣接するオーバーフロー槽35とを備えている。内槽34内のめっき液は内槽34の側壁を越流してオーバーフロー槽35内に流入するようになっている。アノード32および基板Wは、互いに対向して内槽34内に配置される。
【0023】
さらに、めっき装置は、
図2に示すように、基板W上の電位分布を調整するための開口36aを有する調整板(レギュレーションプレート)36と、内槽34内のめっき液を攪拌するパドル37とを備えている。調整板36は、アノード32と基板Wとの間に配置されている。パドル37は、内槽34内の基板ホルダ6に保持された基板Wの表面近傍に配置されている。パドル37は鉛直に配置されており、基板Wと平行に往復運動することでめっき液を攪拌する。基板Wのめっき中にパドル37がめっき液を攪拌することで、十分な金属イオンを基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0024】
アノード32はアノードホルダ33を介してめっき電源38の正極に接続され、基板Wは基板ホルダ6を介してめっき電源38の負極に接続される。アノード32と基板Wとの間に電圧を印加すると、電流は基板Wに流れ、基板Wの表面に金属膜が形成される。
【0025】
オーバーフロー槽35の底部には、めっき液循環ライン39の一端が接続され、めっき液循環ライン39の他端は内槽34の底部に接続されている。めっき液は、内槽34をオーバーフローしてオーバーフロー槽35に流入し、さらにオーバーフロー槽35から内槽34にめっき液循環ライン39を通って戻される。このように、めっき液は、めっき液循環ライン39を通じて内槽34とオーバーフロー槽35との間を循環する。
【0026】
次に、基板ホルダ6について、
図3乃至
図6を参照して説明する。基板ホルダ6は、
図3乃至
図6に示すように、矩形平板状の第1保持部材40と、この第1保持部材40にヒンジ41を介して開閉自在に取付けられた第2保持部材42とを有している。他の構成例として、第2保持部材42を第1保持部材40に対峙した位置に配置し、この第2保持部材42を第1保持部材40に向けて前進させ、また第1保持部材40から離間させることによって第2保持部材42を開閉するようにしてもよい。
【0027】
第1保持部材40は例えば塩化ビニル製である。第2保持部材42は、基部43と、リング状のシールホルダ44とを有している。シールホルダ44は例えば塩化ビニル製である。シールホルダ44の上部には環状の基板側シール部材46(
図5および
図6参照)が内方に突出して取付けられている。この基板側シール部材46は、基板ホルダ6が基板Wを保持した時、基板Wの表面外周部に圧接して第2保持部材42と基板Wとの隙間をシールするように構成されている。シールホルダ44の第1保持部材40と対向する面には、環状のホルダ側シール部材47(
図5および
図6参照)が取付けられている。このホルダ側シール部材47は、基板ホルダ6が基板Wを保持した時、第1保持部材40に圧接して第1保持部材40と第2保持部材42との隙間をシールするように構成されている。ホルダ側シール部材47は、基板側シール部材46の外側に位置している。
【0028】
図6に示すように、基板側シール部材46は、シールホルダ44と第1固定リング48aとの間に挟持されてシールホルダ44に取付けられている。第1固定リング48aは、シールホルダ44にねじ等の締結具49aを介して取付けられる。ホルダ側シール部材47は、シールホルダ44と第2固定リング48bとの間に挟持されてシールホルダ44に取付けられている。第2固定リング48bは、シールホルダ44にねじ等の締結具49bを介して取付けられる。
【0029】
シールホルダ44の外周部には段部が設けられており、この段部には押えリング45がスペーサー50を介して回転自在に装着されている。押えリング45は、第1固定リング48aの外周部によって脱出不能に装着されている。この押えリング45は、酸やアルカリに対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する材料から構成される。例えば、押えリング45はチタンから構成される。スペーサー50は、押えリング45がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTFEで構成されている。
【0030】
押えリング45の外側には、複数のクランパ51が押えリング45の円周方向に沿って等間隔で配置されている。これらクランパ51は第1保持部材40に固定されている。各クランパ51は、内方に突出する突出部を有する逆L字状の形状を有している。押えリング45の外周面には、外方に突出する複数の突起部45bが設けられている。これら突起部45bは、クランパ51の位置に対応する位置に配置されている。クランパ51の内方突出部の下面および押えリング45の突起部45bの上面は、押えリング45の回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜する傾斜面となっている。押えリング45の円周方向に沿った複数箇所(例えば3箇所)には、上方に突出する凸部45aが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させて凸部45aを横から押し回すことにより、押えリング45を回転させることができる。
【0031】
第2保持部材42を開いた状態で、第1保持部材40の中央部に基板Wが挿入され、ヒンジ41を介して第2保持部材42が閉じられる。押えリング45を時計回りに回転させて、押えリング45の突起部45bをクランパ51の内方突出部の内部に滑り込ませることで、押えリング45とクランパ51にそれぞれ設けた傾斜面を介して、第1保持部材40と第2保持部材42とを互いに締付けて第2保持部材42をロックする。また、押えリング45を反時計回りに回転させて押えリング45の突起部45bをクランパ51から外すことで、第2保持部材42のロックを解くようになっている。
【0032】
第2保持部材42をロックした時、基板側シール部材46の下方突出部は基板Wの表面外周部に圧接される。シール部材46は均一に基板Wに押圧され、これによって基板Wの表面外周部と第2保持部材42との隙間をシールする。同じように、第2保持部材42をロックした時、ホルダ側シール部材47の下方突出部は第1保持部材40の表面に圧接される。シール部材47は均一に第1保持部材40に押圧され、これによって第1保持部材40と第2保持部材42との間の隙間をシールする。
【0033】
第2保持部材42の開閉は、図示しないエアシリンダと第2保持部材42の自重によって行われる。つまり、第1保持部材40には通孔40aが設けられ、テーブル7の上に基板ホルダ6を載置した時に通孔40aに対向する位置にエアシリンダ(図示せず)が設けられている。このエアシリンダのピストンロッドにより、通孔40aを通じて第2保持部材42のシールホルダ44を上方に押し上げることで第2保持部材42を開き、ピストンロッドを収縮させることで、第2保持部材42をその自重で閉じるようになっている。
【0034】
第1保持部材40の表面には、基板Wの大きさにほぼ等しいリング状の突条部52が形成されている。この突条部52は、基板Wの周縁部に当接して該基板Wを支持する環状の支持面53を有している。この突条部52の円周方向に沿った所定位置に凹部54が設けられている。
【0035】
図6に示すように、基板ホルダ6は、基板Wの周縁部に接触し、基板Wに電流を流す複数の内部接点(電気接点)55をさらに備えている。各内部接点55は、導電部材56と、導電部材56および基板Wの周縁部に接触する接触部材57とを備えている。
図4に示すように、複数(図示では12個)の導電部材56は凹部54内に配置されている。導電部材56は第1保持部材40に取り付けられ、接触部材57は第2保持部材42に取り付けられている。したがって、第2保持部材42が開いているとき、接触部材57は導電部材56から離間している。第1保持部材40の支持面53上に基板Wを載置した状態で第2保持部材42を閉じると、
図6に示すように、接触部材57が導電部材56の端部に弾性的に接触するようになっている。接触部材57は導電部材56と同じ数だけ(本実施形態では12個)設けられている。つまり、本実施形態では12個の内部接点(電気接点)55が設けられている。
【0036】
導電部材56に電気的に接続される接触部材57は、ねじ等の締結具58を介して第2保持部材42のシールホルダ44に固着されている。この接触部材57は、板ばね形状に形成されている。接触部材57は、基板側シール部材46の外方に位置した、内方に板ばね状に突出する接点部を有している。接触部材57はこの接点部において、その弾性力によるばね性を有して容易に屈曲するようになっている。第1保持部材40と第2保持部材42で基板Wを挟んだ時に、接触部材57の接点部が、第1保持部材40の支持面53上に支持された基板Wの周縁部に弾性的に接触し、接触部材57の下部が導電部材56に接触する。
【0037】
図4に示すように、第1保持部材40の端部には一対のホルダハンガ59が設けられている。2つのホルダハンガ59うちの一方には12個の外部接点60が設けられている。これら12個の外部接点60は12本の配線61を介して12個の導電部材56にそれぞれ接続されている。配線61は基板ホルダ6の内部に配置されている。
【0038】
基板ホルダ6は、そのホルダハンガ59がめっき槽15の周壁に置かれた状態で、めっき槽15の周壁から吊り下げられる。
図7はめっき槽15の周壁に設けられたホルダ支持部65を示す図である。めっき槽15の周壁には、外部接点60が設けられたホルダハンガ59を支持するホルダ支持部65が設けられている。
図7に示すように、ホルダ支持部65はその上面に開口部65aを有しており、外部接点60は開口部65aを通じてホルダ支持部65内にセットされる。ホルダ支持部65内にはめっき電源38に接続された給電端子66が設けられている。ホルダハンガ59がホルダ支持部65内に置かれると、外部接点60が給電端子66に接触するようになっている。
【0039】
基板Wのめっき中に、パドル37の運動に起因して基板ホルダ6が揺れると、外部接点60と給電端子66との接続が断続的になるおそれがある。そこで、断続的な接続を防止するために、ホルダ支持部65は磁石67を備えており、基板ホルダ6は磁石68(
図4参照)を備えている。これら磁石67,68間に働く磁力によって、基板ホルダ6はめっき槽15に強固に保持され、外部接点60と給電端子66との接触が確保される。
【0040】
図1に示すように、めっき装置は、基板ホルダ6の内部接点(電気接点)55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定する抵抗測定器70を備えている。この抵抗測定器70は基板ホルダ開閉機構11に配置されている。抵抗測定器70は、外部接点60に接触し、外部接点60を通じて内部接点55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定するように構成されている。
【0041】
面内均一性の良いめっきを実現するには、基板ホルダ6の複数の内部接点(電気接点)55に均一に電流が流れることが必要である。しかしながら、ある内部接点55と基板Wの導電層との電気抵抗が高いと、その内部接点55を流れる電流は減少し、その周囲の内部接点55を流れる電流値が上昇して、結果的にめっきが不均一になる。内部接点55の電気抵抗は、内部接点55に異物や酸化層が付着していたり、めっき液の漏れにより内部接点55にめっき液が付着していたり、内部接点55の変形や取り付け不良により、内部接点55が十分な接触面積で基板Wの導電層に接触していなかったり、内部接点55のコーティング材の剥がれによって、多くの場合、正常な状態よりも高くなる。また、そればかりでなく、基板Wの導電層(例えばシード層)が均一に形成されていなかったり、レジスト膜などが通電箇所の一部を覆っている場合、異常な電気抵抗となる。このように、異常な電気抵抗は、内部接点55のみならず、基板Wに起因しても起こりうる。本明細書では、内部接点55の電気抵抗とは、内部接点55と基板Wとの接触箇所の状態に起因して変わりうる抵抗のことを指し、内部接点55自体の損傷や基板W自体の問題によって生じている問題も含めて、広範な意味で内部接点55と基板Wの通電状態を表す指標として定義することができる。ある内部接点55の電気抵抗が他の内部接点55の電気抵抗と比較して高い場合だけでなく、他の内部接点55の電気抵抗よりも許容できるレベルを超えて低い場合も、同様に問題となる。
【0042】
図8(a)および
図8(b)は外部接点60と抵抗測定器70とを示す図である。抵抗測定器70は、複数の外部接点60にそれぞれ接触する複数のプローブ71と、外部接点60およびプローブ71を通じて内部接点55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定し、測定された合成抵抗から内部接点55の電気抵抗を算出(決定)する抵抗決定部72とを備えている。
図8(a)に示すように、抵抗測定器70は複数の外部接点60に向かって移動し、
図8(b)に示すように、複数のプローブ71が複数の外部接点60にそれぞれ接触する。
【0043】
図9は基板Wの円周方向に沿って配置された12個の内部接点(電気接点)55を示す模式図である。
図10は抵抗測定器70の内部構成を示す模式図である。12個の内部接点55をそれぞれ個別に言及するために、12個の内部接点55にはそれぞれ番号1〜番号12が付されている。以下、番号1〜番号12の内部接点55を、それぞれ第1内部接点55〜第12内部接点55という。12個の内部接点55は12本の配線61を介して12個の外部接点60にそれぞれ接続されている。基板ホルダ6が基板Wを保持しているとき、第1内部接点55乃至第12内部接点55は、基板Wに形成された導電層(例えばシード層など)を介して互いに電気的に接続される。抵抗測定器70は、基板Wが基板ホルダ6に保持されている状態で、内部接点55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定する。
【0044】
図10に示すように、抵抗測定器70は、外部接点60の数と同じ数のプローブ71を備えている。本実施形態では12個のプローブ71が設けられている。各プローブ71には、並列に配置された2つのスイッチ73が接続されている。この2つのスイッチ73のうちの一方は抵抗決定部72の測定電源74の正極に接続され、他方のスイッチ73は測定電源74の負極に接続されている。
【0045】
スイッチ73を開くと抵抗決定部72とプローブ71との接続が遮断され、スイッチ73を閉じると抵抗決定部72とプローブ71とが接続される。例えば、
図11に示すように、第1内部接点55と第4内部接点55の合成抵抗を測定する場合、第1内部接点55に接続された2つのスイッチ73のうちの一方を閉じるとともに、第4内部接点55に接続された2つのスイッチ73のうちの一方を閉じる。すると、
図11の太線に示すように、第1内部接点55と第4内部接点55は、外部接点60およびプローブ71を通じて抵抗決定部72に電気的に接続される。すなわち、第1内部接点55、基板Wの導電層、第4内部接点55、および抵抗決定部72を含む電気回路79が形成される。抵抗決定部72は、基板Wの導電層によって電気的に接続された第1内部接点55の電気抵抗と第4内部接点55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定する。
【0046】
抵抗決定部72は、測定された合成抵抗から内部接点55のそれぞれの電気抵抗の値を算出(決定)するように構成されている。以下、内部接点55の電気抵抗の値を決定する方法の一例について、
図12を参照しつつ説明する。本実施形態では、12個の内部接点55は3つのグループに分けられ、各グループに属する4つの内部接点55の電気抵抗の値が決定される。以下、1つのグループに属する4つの内部接点55のそれぞれの電気抵抗の値を決定する例に説明する。他のグループについても同様の方法で内部接点55の電気抵抗の値を決定することができる。
【0047】
まず、抵抗測定器70は、複数(
図12の例では4つ)の内部接点55から選択された2つの内部接点55の合成抵抗を測定する。すなわち、抵抗測定器70は、2つの内部接点55、基板Wの導電層、2つの外部接点60、2つのプローブ71、および抵抗決定部72を含む電気回路の抵抗を測定する。ここで、2つの内部接点の電気抵抗以外の電気回路の抵抗要素は、多くの場合、変動しない、あるいは微小な抵抗に過ぎない。従って、接触状態あるいは通電状態に異常のある内部接点を特定するという本発明の目的にとっては、抵抗測定器70によって測定される電気回路(例えば
図11の電荷回路79)の抵抗値は、2つの内部接点55の電気抵抗の和であるとみなすことができる。そこで、特に断らない限り、これ以降の記述では、合成抵抗とは選択された2つの内部接点55の電気抵抗の和であるとみなす。
【0048】
複数(
図12の例では4つ)の内部接点55の数と同じ数の複数の合成抵抗が測定されるまで、2つの内部接点55の組み合わせを変えながら合成抵抗の測定が繰り返される。例えば、
図12に示すように、抵抗測定器70は、4つの合成抵抗、すなわち、第1内部接点55の電気抵抗と第7内部接点55の電気抵抗との合成抵抗(例えば6[Ω])と、第4内部接点55の電気抵抗と第10内部接点55の電気抵抗との合成抵抗(例えば9[Ω])と、第1内部接点55の電気抵抗と第4内部接点55の電気抵抗との合成抵抗(例えば3[Ω])と、第1内部接点55の電気抵抗と第10内部接点55の電気抵抗との合成抵抗(例えば8[Ω])を測定する。
【0049】
抵抗決定部72は、第1内部接点55、第4内部接点55、第7内部接点55、および第10内部接点55の電気抵抗の値に、変数R1、変数R4、変数R7、および変数R10をそれぞれ割り当てる。例えば、変数R1は第1内部接点55の電気抵抗の値を示し、変数R4は第4内部接点55の電気抵抗の値を示す。上述した4つの合成抵抗は、4つの電気抵抗R1,R4,R7,R10のすべてを用いた4つの組み合わせに対応する。
【0050】
抵抗決定部72は、測定された複数の合成抵抗のそれぞれを、対応する2つの内部接点55の電気抵抗を表す2つの変数の和に等号[=]を用いて結合することによって複数の一次方程式を作成する。より具体的には、抵抗決定部72は、合成抵抗6[Ω]を、対応する第1内部接点55と第7内部接点55の電気抵抗を表す変数R1,R7の和に等号を用いて結合し、第1の一次方程式R1+R7=6[Ω]を作成する。同様にして、抵抗決定部72は、第2の一次方程式R4+R10=9[Ω]、第3の一次方程式R1+R4=3[Ω]、および第4の一次方程式R1+R10=8[Ω]を作成する。
【0051】
4つの合成抵抗(6,9,3,8[Ω])は、4つの内部接点55の電気抵抗R1,R4,R7,R10のすべてを用いた4つの組み合わせ(R1+R7,R4+R10,R1+R4,R1+R10)から構成される。言い換えれば、4つの電気抵抗の値を示す4つの変数R1,R4,R7,R10のそれぞれは、4つの一次方程式のうちの少なくとも1つに含まれる。
【0052】
抵抗決定部72は、第1〜第4の一次方程式を解いて内部接点55の変数R1,R4,R7,R10、つまり4つの内部接点55の4つの電気抵抗を決定する。例えば、抵抗決定部72は、第2の一次方程式および第4の一次方程式から第5の一次方程式(−R1+R4=1)を作成する。次いで、抵抗決定部72は第3の一次方程式および第5の一次方程式から変数R4の値(R4=2[Ω])を決定し、変数R4の値を第2の一次方程式に代入して変数R10の値(R10=7[Ω])を決定する。次いで、抵抗決定部72は変数R10の値を第4の一次方程式に代入して変数R1の値(R1=1[Ω])を決定し、変数R1の値を第1の一次方程式に代入して変数R7の値(R7=5[Ω])を決定する。
【0053】
抵抗決定部72は、それぞれの個々の電気抵抗を算出できるように、内部接点55の組み合わせを変えて合成抵抗を繰り返し測定する。この測定は、抵抗測定器70のスイッチ73の開閉パターンを切り替えることによりなされる。そして複数の電気抵抗の値を変数として含む複数の一次方程式から、個別の電気抵抗を求めることができる。
【0054】
このようにして、抵抗測定器70は複数の内部接点55のそれぞれの電気抵抗を決定することができる。従来では2つの内部接点55の合成抵抗しか測定できなかったため、2つの内部接点55のうち、どちらか一方の内部接点55の接触状態に問題が生じているのか、それとも両方の内部接点55の接触状態に問題が生じているのか判断することができなかった。本実施形態によれば、抵抗測定器70は内部接点55のそれぞれの電気抵抗を決定することができる。したがって、異常接触状態にある内部接点55を特定することができる。
【0055】
抵抗測定器70は、決定された各電気抵抗が所定の許容範囲内にあるか否かを決定する抵抗値点検部80に接続されている。この抵抗値点検部80は制御部69に接続されている。抵抗値点検部80は、抵抗測定器70内に配置されてもよく、または制御部69内に配置されてもよい。
【0056】
抵抗値点検部80は、抵抗測定器70によって決定された各電気抵抗が許容範囲内にあるかどうかを決定する。電気抵抗が所定の許容範囲内にある場合には、抵抗値点検部80は、基板Wのめっきの実行を許容する許容信号を制御部69に発信するように構成されている。さらに、抵抗値点検部80は、電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合には、抵抗値点検部80は警報信号を生成し、この警報信号を制御部69に送信するように構成されている。
【0057】
内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲を超えて高い場合、その内部接点55に流れる電流は小さくなる。その結果、その内部接点55の周辺では金属があまり析出せず、金属膜の厚さが不均一になる。内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲よりも低い場合、電流はこの内部接点55に集中し、大きな電流がこの内部接点55を流れる。その結果、内部接点55の周辺で多くの金属が析出し、金属膜の厚さが不均一になる。また、内部接点55に流れる電流が大きくなると、内部接点55が発熱し、基板ホルダ6の他の構成部材にダメージを与えることがある。このような不均一なめっきや基板ホルダ6のダメージを避けるために、基板Wがめっきされる前に、抵抗測定器70は内部接点55のそれぞれの電気抵抗を決定し、抵抗値点検部80は電気抵抗が許容範囲内にあるか否かを決定する。
【0058】
ある内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲を超えて高い場合、その内部接点55を新たな内部接点に交換してもよい。その結果、すべての内部接点55の電気抵抗を概ね均一にすることができる。ある内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲よりも低い場合、すべての内部接点55を新たな内部接点に交換してもよい。
【0059】
図13に示すように、複数の外部接点60に複数の可変抵抗器(デジタルポテンショメーター)75を取り付けてもよい。本実施形態では、12個の可変抵抗器75が12個の外部接点60にそれぞれ取り付けられている。可変抵抗器75は、複数の内部接点55をそれぞれ含む複数の電流路の電気抵抗を、最も高い電気抵抗に揃えることができる。したがって、それぞれの内部接点(電気接点)55から均一な電流を基板Wに流すことができる。
【0060】
内部接点55の電気抵抗は、基板Wのめっき前に、基板Wを基板ホルダ6に保持した状態で測定される。その理由は以下の通りである。第1の理由は、基板Wの欠陥を発見することである。例えば、基板Wの表面に導電層が均一に形成されていない場合および/または基板Wの表面に異常がある場合は、内部接点55の電気抵抗が大きく変化する。基板Wの表面の異常とは、例えば、レジストを基板Wの表面に塗布する際に生じる不要物が基板W上に残っている場合や、基板Wの表面が酸化している場合などである。
【0061】
第2の理由は基板ホルダ6の欠陥を発見することである。例えば、内部接点55が変形または欠損している場合、内部接点55の電気抵抗が大きく変化する。内部接点55の電気抵抗に影響を与える他の原因としては、レジストの内部接点55への付着、内部接点55の損傷(例えば、内部接点55にめっきされた金属の剥離)、外部接点60の変形または欠け、異物の外部接点60への付着などが挙げられる。抵抗値点検部80は、決定された電気抵抗の値からこのような基板Wおよび/または基板ホルダ6の欠陥を検出することができる。
【0062】
これまで、2つの内部接点55、基板Wの導電層、2つの外部接点60、2つのプローブ71および抵抗決定部72を含む電気回路の合成抵抗のうち、2つの内部接点55の電気抵抗以外の抵抗要素を考慮せずに、内部接点55の電気抵抗を求める手法を説明した。しかしながら、例えば、外部接点60の表面が酸化していたり、異物が付着していた場合も、実際のめっきの面内均一性の悪化要因になる。そして、実際に上記電気回路において、外部接点60とプローブ71の接触において電気抵抗が上がる問題が生じていれば、電気回路の合成抵抗は高く測定される。つまり、これまで説明した、2つの内部接点を含む電気回路の合成抵抗を複数の組み合わせで測定して問題のある内部接点を特定する手法は、複数の内部接点を通る通電経路のうち、異常な抵抗を有する通電経路を特定する手法と言い換えることもできる。
【0063】
次に、めっき装置による基板Wの処理を説明する。まず、トランスポータ20のアーム23により、ホルダ保管槽13から鉛直姿勢の基板ホルダ6を取り出す。基板ホルダ6を把持したアーム23は、水平方向に移動して、基板ホルダ起倒機構12に基板ホルダ6を渡す。基板ホルダ起倒機構12は、基板ホルダ6を鉛直姿勢から水平姿勢に転換し、テーブル7の上に載置する。そして、基板ホルダ開閉機構11によりテーブル7に載置された基板ホルダ6を開く。
【0064】
基板搬送ロボット8は、ロードポート2に搭載された基板カセットから基板Wを1枚取り出し、アライナ4に載せる。アライナ4はオリエンテーションフラットまたはノッチの位置を所定の方向に合わせる。基板搬送ロボット8は、基板Wをアライナ4から取り出し、テーブル7上に載置された基板ホルダ6に挿入する。この状態で、基板ホルダ開閉機構11により基板ホルダ6を閉じ、基板ホルダ6をロックする。
【0065】
次に、抵抗測定器70が基板Wを保持した基板ホルダ6の外部接点60に接近し、プローブ71が外部接点60に接触する。抵抗測定器70は、上述したように、複数の内部接点(電気接点)55の電気抵抗を含む合成抵抗を測定し、得られた合成抵抗から内部接点55のそれぞれの電気抵抗を決定する。内部接点55の電気抵抗の値は抵抗値点検部80に送られ、抵抗値点検部80は、各内部接点55の各電気抵抗の値が所定の許容範囲内にあるかどうかを判断する。内部接点55の各電気抵抗の値が所定の許容範囲内であれば、抵抗値点検部80は基板Wのめっきの実行を許容する許容信号を制御部69に送る。この許容信号を受けて、制御部69はめっき装置の各機器が基板Wの処理を続けることを許容する。
【0066】
電気抵抗のいずれかの値が所定の許容範囲内にない場合、抵抗値点検部80は警報信号を制御部69に送る。この警報信号を受けて、制御部69はめっき装置を次のように動作させる。一旦プローブ71を外部接点60から離間させ、再度プローブ71を外部接点60に接触させる。そして、抵抗測定器70は、合成抵抗の測定および電気抵抗の決定を再度行う。または、一旦プローブ71を外部接点60から離間させ、基板ホルダ6にセットされた基板Wを基板ホルダ6から一旦取り外し、再度基板Wを基板ホルダ6にセットする。そして、再度プローブ71を外部接点60に接触させて、抵抗測定器70は、合成抵抗の測定および電気抵抗の決定を再度行う。
【0067】
合成抵抗の測定および電気抵抗の決定を所定回数行っても内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合、基板搬送ロボット8は基板Wを基板ホルダ6から取り出し、基板Wを基板カセットに戻す。トランスポータ20は基板ホルダ6をホルダ保管槽13に戻す。基板カセットに戻された基板Wおよびホルダ保管槽13に戻された基板ホルダ6は、その使用が禁止される。
【0068】
内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合、基板Wだけを交換してもよい。この場合、別の基板が基板カセットから取り出され、基板ホルダ6にセットされる。その後、抵抗測定器70は内部接点55の電気抵抗を決定し、抵抗値点検部80は各内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にあるかどうかを判断する。依然として内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合は、基板ホルダ6は不良であると判断され、その基板ホルダ6の使用が禁止される。
【0069】
内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合、基板ホルダ6だけを交換してもよい。トランスポータ20は、この基板ホルダ6をホルダ保管槽13に戻し別の基板ホルダ6をテーブル7上に載置する。別の基板ホルダ6を使用しても内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合、基板Wは不良であると判断され、その基板Wの使用が禁止される。基板ホルダ6はそのまま使用され、別の基板Wがセットされる。
【0070】
このように、本実施形態によれば、基板Wと内部接点55、あるいは外部接点60の電気抵抗に異常があること、すなわち接触状態に異常があることを、基板Wを基板ホルダ6に保持させた時点、言い換えれば基板Wをめっき槽に搬送する前に発見することができる。これにより、実際にめっきを行う前に通電状態を確認できるので、通電状態が悪いままめっき液に浸漬させたり、実際にめっきを行うことを防ぐことができる。このことは、めっきを行う対象基板、すなわち半導体などの電子デバイス製品の生産性向上につながる。
【0071】
内部接点55のチェックが終了し、基板Wおよび基板ホルダ6に欠陥がないことが確認された後、基板ホルダ起倒機構12は、基板ホルダ6を水平姿勢から鉛直姿勢に転換する。アーム23のグリッパ24は、この起立した状態の基板ホルダ6を把持し、この状態でアーム23は前洗浄槽14の上方位置まで基板ホルダ6を水平方向に移動させる。さらに、トランスポータ20のリフタ22は、アーム23を基板ホルダ6とともに下降させて、前洗浄槽14内の所定の位置に基板ホルダ6をセットする。この状態で、基板Wの前洗浄が行われる。基板の前洗浄が終了した後、アーム23のグリッパ24は基板ホルダ6を把持し、リフタ22がアーム23を上昇させることで基板ホルダ6を前洗浄槽14から引き上げる。
【0072】
アーム23は、前処理槽17の上方位置まで水平方向に基板ホルダ6を移動させる。リフタ22はアーム23を基板ホルダ6とともに下降させて、基板ホルダ6を前処理槽17内の所定位置に基板ホルダ6をセットする。基板Wを前処理槽17内の前処理液に浸漬させ、基板Wの前処理を行う。基板Wの前処理が終了した後、グリッパ24は基板ホルダ6を把持し、リフタ22がアーム23を上昇させて基板ホルダ6を前処理槽17から引き上げる。
【0073】
アーム23は、めっき槽15の上方位置まで水平方向に基板ホルダ6を移動させる。さらに、トランスポータ20のリフタ22は、アーム23を基板ホルダ6とともに下降させて、めっき槽15の内槽34内の所定の位置に基板ホルダ6をセットする。基板Wがめっき液に浸漬された状態で、基板Wのめっきが行われる。めっきが終了した後、アーム23のグリッパ24は基板ホルダ6を把持し、リフタ22がアーム23を上昇させることで基板ホルダ6を内槽35から引き上げる。
【0074】
アーム23は、リンス槽18の上方位置まで水平方向に基板ホルダ6を移動させる。さらに、トランスポータ20のリフタ22は、アーム23を基板ホルダ6とともに下降させて、リンス槽18内の所定の位置に基板ホルダ6をセットする。この状態で、基板Wのめっき後のリンスが行われる。リンスが終了した後、アーム23のグリッパ24は基板ホルダ6を把持し、リフタ22がアーム23を上昇させることで基板ホルダ6をリンス槽18から引き上げる。
【0075】
アーム23は、ブロー槽16の上方位置まで水平方向に基板ホルダ6を移動させる。さらに、トランスポータ20のリフタ22は、アーム23を基板ホルダ6とともに下降させて、ブロー槽16内の所定の位置に基板ホルダ6をセットする。ブロー槽16は、エアの吹き付けによって、基板ホルダ6で保持した基板Wの表面に付着した液滴を除去し乾燥させる。ブロー処理が終了した後、アーム23のグリッパ24は基板ホルダ6を把持し、リフタ22がアーム23を上昇させることで基板ホルダ6をブロー槽16から引き上げる。
【0076】
アーム23は、水平方向に移動して、基板ホルダ6を基板ホルダ起倒機構12に渡す。基板ホルダ起倒機構12は、前述と同様にして、基板ホルダ6をテーブル7の上に水平に載置し、基板ホルダ開閉機構11により基板ホルダ6を開く。基板搬送ロボット8は、基板ホルダ6から処理後の基板Wを取り出し、この基板Wをスピン・リンス・ドライヤ5に搬送する。スピン・リンス・ドライヤ5は基板Wを洗浄液でリンスし、その後高速で回転させることで基板Wを乾燥させる。基板搬送ロボット8は、乾燥された基板Wをスピン・リンス・ドライヤ5から取り出し、ロードポート2の基板カセットに戻す。これによって、基板Wの処理が終了する。
【0077】
上述した本実施形態によれば、基板Wのめっきを開始する前に、内部接点55の電気抵抗に基づいて、基板Wおよび/または基板ホルダ6の欠陥を発見することができる。したがって、正常な基板Wおよび基板ホルダ6のみを使用して基板Wをめっきすることができる。結果として、基板Wに均一な電流を流すことができ、基板Wの表面に均一な厚さの金属膜を形成することができる。
【0078】
めっき装置の運転中に基板ホルダ6の欠陥が発見されると、めっき装置の運転を中止しなければならず、めっき装置のスループットが低下する。そこで、基板Wの処理を開始する前に、ダミー基板を使用して次のように基板ホルダ6をチェックすることが好ましい。シード層などの導電層(導電性のブランケット膜)が形成されたダミー基板が基板ホルダ6にセットされ、上述のようにすべての内部接点55の電気抵抗が決定される。同じようにして、使用されるすべての基板ホルダ6にダミー基板が順次セットされてそれぞれの基板ホルダ6について、すべての内部接点55の電気抵抗が決定される。欠陥を有する基板ホルダ6が見つかった場合は、その基板ホルダ6の使用は禁止される。
【0079】
なお、これまで説明した実施形態では、ある内部接点55の電気抵抗が所定の許容範囲内にない場合は、基板に異常があると判断するか、または基板ホルダ6に欠陥があると判断する。しかしながら、ある測定パターンで測定された内部接点55の電気抵抗が異常であっても、実際のめっきに影響がない範囲で、そのままめっきを続けてもよい。従来の測定方法では、それぞれの内部接点55の個別の電気抵抗は分からなかったため、めっき膜厚の均一性に関するデータと内部接点55の電気抵抗との関連性を調べることができなかった。
【0080】
本実施形態によれば、膜厚均一性に関するデータと内部接点55の電気抵抗の分布データとを照合することで、どのような測定パターンで内部接点55の電気抵抗が許容範囲を超えた場合にめっきを中止しなければならないかを判断することができる。逆に言えば、どのような測定パターンで内部接点55の電気抵抗が許容範囲を超えた場合にめっきの実行を許容できるかを判断することができる。
【0081】
具体例について、
図9を参照して説明する。例えば内部接点55の1つ(例えば、第1内部接点55)の電気抵抗が許容範囲を超えていても、蓄積された過去の膜厚均一性に関するデータに基づいて膜厚の均一性に影響しないことが確かめられている場合、めっきの実行を許容することができる。
【0082】
また、内部接点55の1つ(例えば第1内部接点55)の電気抵抗とその対角線上の第7内部接点55の電気抵抗、または第1内部接点55の電気抵抗と第7内部接点55の隣の内部接点55(第6内部接点55または第8内部接点55)の電気抵抗が許容範囲を超えていても、めっきの実行を許容できる場合がある。このようにして、過去の膜厚均一性に関するデータと内部接点55の電気抵抗の分布データとを解析し、めっきの実行を許容するNG測定パターン(すなわち、電気抵抗が許容範囲を超える測定パターン)を増やしていく。その結果、必要以上にめっき装置の運転が中断されることがなくなるため、めっき装置の生産性が下がることを防止できる。
【0083】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。