特許第6330823号(P6330823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6330823
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/08 20120101AFI20180521BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20180521BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20180521BHJP
   B60W 50/14 20120101ALI20180521BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
   B60W40/08
   G08G1/16 A
   B62D6/00
   B60W50/14
   B62D113:00
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-4956(P2016-4956)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-124734(P2017-124734A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】桑原 潤一郎
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中里 仁美
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−129044(JP,A)
【文献】 特開2015−110417(JP,A)
【文献】 特開平10−205367(JP,A)
【文献】 特開2008−070966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/08
B60W 50/14
B62D 6/00
G08G 1/16
B62D 113/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が受動的に運転を行うことにより運転への外的集中が高くなっている緊張状態であるか否かを判定する緊張状態判定手段と、
前記緊張状態判定手段によって運転者が緊張状態であると判定されたときに、運転への外的集中が低減される方向に運転支援を行う運転支援手段と、
を備え、
前記運転支援手段は、あらかじめ設定された条件に応じて、運転への外的集中が低減される方向への運転支援の内容を変更するようにされ、
前記運転支援手段による運転支援の内容の変更が、運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援と、運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援と、外的集中の要因に対する運転者の認識を低減させる運転支援と、の3種類の運転支援の中から選択される、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記あらかじめ設定された条件が、運転者の体調状態、渋滞の有無、運転スキルのうち少なくとも1つに関するものとされている、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項1において、
運転者の運転スキルを判定する運転スキル判定手段をさらに備え、
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが高いと判定されたときは、運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援を行い、
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが低いと判定されたときは、外的集中の要因に対する運転者の認識を低減させる運転支援を行う、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが高いと判定されたときは、運転者の体調が良いときおよび渋滞以外のときを条件として、運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記運転支援手段は、運転者の体調が悪いときまたは渋滞のときは、運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援が、追従式の定速走行装置を自動的に作動させることとされている、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項7】
運転者が受動的に運転を行うことにより運転への外的集中が高くなっている緊張状態であるか否かを判定する緊張状態判定手段と、
前記緊張状態判定手段によって運転者が緊張状態であると判定されたときに、運転への外的集中が低減される方向に運転支援を行う運転支援手段と、
を備え、
前記運転支援手段は、あらかじめ設定された条件に応じて、運転への外的集中が低減される方向への運転支援の内容を変更するようにされ、
運転者の状態を検出する運転者状態検出手段と、
運転者による運転操作状態を検出する運転状態検出手段と、
運転者による運転操作とは無関係な車載機器の操作状態を検出する機器操作状態検出手段と、
前記各検出手段での検出結果に基づいて、運転者の運転に対する集中度合いと運転に対する余裕度合いとをパラメータとする複数の類型に分類する分類手段と、
さらに備え、
前記分類手段は、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低くなって運転以外への集中度合いが高くなる第1類型と、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転に対する余裕が十分にある第2類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低くて外的要因によって運転への外的集中が高くなっている第3類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転への内的な集中が高くなっている第4類型と、に分類し、
前記緊張状態判定手段は、前記分類手段によって前記第3類型であると分類されたときに運転者が緊張状態であると判定する、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項8】
請求項7において、
運転者が能動的に運転を行っていることによる内的な集中度合いを判定する内的集中度合い判定手段と、
運転者が受動的に運転を行っていることによる外的な集中度合いを判定する外的集中度合い判定手段と、
運転者が、運転操作以外のことに集中している運転外集中度合いを判定する運転外集中度合い判定手段と、
運転者がなにも集中していないスペア余裕の度合いを判定するスペア余裕度合い判定手段と、
をさらに備え、
前記類型手段は、前記内的集中度合い判定手段と前記外的集中度合い判定手段と前記運転外集中度合い判定手段と前記スペア余裕度合い判定手段との各判定結果に基づいて、前記類型に関する分類を行う、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記類型判定手段は、前記内的集中度合いと前記スペア余裕度合いとがそれぞれ運転者の余裕度合いに関する値とし、前記内的集中度合いと前記外的集中度合いとがそれぞれ運転者の集中度合いに関する値として、前記類型についての分類を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれか1項において、
前記運転者状態検出手段が、少なくとも運転者の顔面を含む画像を取得する撮像手段を含むものとされ、
前記運転状態検出手段が、少なくともアクセルペダルとブレーキペダルとの操作状況を検出するセンサを含むものとされている、
ことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の車両では運転支援を行うものが多くなっており、例えば車線維持制御、自動ブレーキ制御、追従式の定速走行制御(オートクルーズ制御)等が既に実用化されている。特許文献1には、運転者の緊張状態を緩和するために、周辺環境への注意を低減させるものが開示されている。特許文献2には、制御介入により運転状態での筋緊張を緩和するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−255519号公報
【特許文献2】特開平07−069233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者が緊張状態になる状態として、外的要因によって受動的に運転を行わざるを得ないことから(意思にそぐわない運転を行っていることから)、運転への外的集中が高くなって緊張状態になる場合がある。このような緊張状態は、いわば強いられた運転となるので好ましくなく、極力低減することが望まれるものである。これに対して、運転者が能動的な運転を行う(自らの意思で積極的に運転を行う)場合は、運転者の内的な集中が高まるものの、緊張状態とはならないものである。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、受動的に運転を行うことにより運転への外的集中が高くなっている緊張状態を低減できるようにした運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
運転者が受動的に運転を行うことにより運転への外的集中が高くなっている緊張状態であるか否かを判定する緊張状態判定手段と、
前記緊張状態判定手段によって運転者が緊張状態であると判定されたときに、運転への外的集中が低減される方向に運転支援を行う運転支援手段と、
を備え、
前記運転支援手段は、あらかじめ設定された条件に応じて、運転への外的集中が低減される方向への運転支援の内容を変更するようにされ、
前記運転支援手段による運転支援の内容の変更が、運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援と、運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援と、外的集中の要因に対する運転者の認識を低減させる運転支援と、の3種類の運転支援の中から選択される、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、運転支援を行うことにより、外的集中が高くなっている緊張状態を低減することができる。また、緊張状態を低減するための運転支援の内容を変更することにより、種々の状況に応じて適切に緊張状態を低減することができる。
【0008】
【0009】
以上に加えて、前記運転支援手段による運転支援の内容の変更が、運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援と、運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援と、外的集中の要因に対する運転者の認識を低減させる運転支援と、の3種類の運転支援の中から選択される、ようにしてあるので、状況に応じて、緊張状態を低減するための運転支援をより適切に行うことができる。
【0010】
上記第1の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2〜請求項6に記載のとおりである。すなわち、
前記あらかじめ設定された条件が、運転者の体調状態、渋滞の有無、運転スキルのうち少なくとも1つに関するものとされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、運転者の体調状態、渋滞の有無あるいは運転スキルを加味した適切な運転支援を選択して、緊張状態を効果的に低減することができる。
【0011】
運転者の運転スキルを判定する運転スキル判定手段をさらに備え、
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが高いと判定されたときは、運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援を行い、
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが低いと判定されたときは、外的集中の要因に対する運転者の認識を低減させる運転支援を行う、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、運転スキルに対応して最適な運転支援を選択して、緊張状態を効果的に低減することができる。
【0012】
前記運転支援手段は、前記運転スキル判定手段によって運転スキルが高いと判定されたときは、運転者の体調が良いときおよび渋滞以外のときを条件として、運転への内的集中を高めて運転意欲を向上させる方向への運転支援を行う、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、運転意欲向上が難しい状況でないことを前提として、内的な集中を高めるための運転支援を行うので、運転支援により緊張状態の低減を極めて効果的に行うことができる。
【0013】
前記運転支援手段は、運転者の体調が悪いときまたは渋滞のときは、運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援を行う、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、緊張状態の低減と共に、安全運転確保の上でも好ましいものとなる。
【0014】
運転操作に関して運転者の負担を軽減させる方向への運転支援が、追従式の定速走行装置を自動的に作動させることとされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、広く普及している追従式の定速走行装置を有効に利用して、運転操作への負担を大幅に低減して、緊張状態を効果的に低減することができる。
【0015】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項7に記載のように、
運転者が受動的に運転を行うことにより運転への外的集中が高くなっている緊張状態であるか否かを判定する緊張状態判定手段と、
前記緊張状態判定手段によって運転者が緊張状態であると判定されたときに、運転への外的集中が低減される方向に運転支援を行う運転支援手段と、
を備え、
前記運転支援手段は、あらかじめ設定された条件に応じて、運転への外的集中が低減される方向への運転支援の内容を変更するようにされ、
運転者の状態を検出する運転者状態検出手段と、
運転者による運転操作状態を検出する運転状態検出手段と、
運転者による運転操作とは無関係な車載機器の操作状態を検出する機器操作状態検出手段と、
前記各検出手段での検出結果に基づいて、運転者の運転に対する集中度合いと運転に対する余裕度合いとをパラメータとする複数の類型に分類する分類手段と、
さらに備え、
前記分類手段は、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低くなって運転以外への集中度合いが高くなる第1類型と、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転に対する余裕が十分にある第2類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低くて外的要因によって運転への外的集中が高くなっている第3類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転への内的な集中が高くなっている第4類型と、に分類し、
前記緊張状態判定手段は、前記分類手段によって前記第3類型であると分類されたときに運転者が緊張状態であると判定する、
ようにしてある。上記解決手法によれば、運転支援を行うことにより、外的集中が高くなっている緊張状態を低減することができる。また、緊張状態を低減するための運転支援の内容を変更することにより、種々の状況に応じて適切に緊張状態を低減することができる。また、運転者状態について、運転への集中度合いと運転への余裕度合いとをパラメータとして4種類の類型に分類して、外的な集中による緊張状態であることを精度よく判定できるようにして、運転支援による緊張状態の低減を効果的に行う上で極めて好ましいものとなる。
【0016】
上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項8以下に記載のとおりである。すなわち、
運転者が能動的に運転を行っていることによる内的な集中度合いを判定する内的集中度合い判定手段と、
運転者が受動的に運転を行っていることによる外的な集中度合いを判定する外的集中度合い判定手段と、
運転者が、運転操作以外のことに集中している運転外集中度合いを判定する運転外集中度合い判定手段と、
運転者がなにも集中していないスペア余裕の度合いを判定するスペア余裕度合い判定手段と、
をさらに備え、
前記類型手段は、前記内的集中度合い判定手段と前記外的集中度合い判定手段と前記運転外集中度合い判定手段と前記スペア余裕度合い判定手段との各判定結果に基づいて、前記類型に関する分類を行う、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、各集中度合いおよびスペア余裕度合いを個別に判定することにより4種類の類型を精度よく分類することができ、緊張状態の低減を効果的に行う上で好ましいものとなる。
【0017】
前記類型判定手段は、前記内的集中度合いと前記スペア余裕度合いとがそれぞれ運転者の余裕度合いに関する値とし、前記内的集中度合いと前記外的集中度合いとがそれぞれ運転者の集中度合いに関する値として、前記類型についての分類を行う、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、運転に対する集中度合いと余裕度合いとを適切に設定して、4種類の類型への分類を精度よく行う上で好ましいものとなる。
【0018】
前記運転者状態検出手段が、少なくとも運転者の顔面を含む画像を取得する撮像手段を含むものとされ、
前記運転状態検出手段が、少なくともアクセルペダルとブレーキペダルとの操作状況を検出するセンサを含むものとされている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、各集中度合いおよびスペア余裕度合を判定するために用いる機器類として一般的なものを用いつつ、各集中度合いおよびスペア余裕度合を精度よく判定する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、運転への外的集中が高くなっている緊張状態を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の制御系統例を示す図。
図2】4つの類型の内容をまとめて示す図。
図3】4つの類型を判定するための各種パラメータの例を示す図。
図4】本発明の制御例を示す図。
図5図4におけるドライバ状態を判定するためのフローチャート。
図6図5の続きを示すフローチャート。
図7図6の続きを示すフローチャート。
図8】運転スキル判定の制御例を示すフローチャート。
図9】運転スキルを判定するための具体例を示す図。
図10】運転意欲向上のための制御例を図式的に示す図。
図11】運転者が楽しいと感じるときの道路特徴を記憶する制御例を示すフローチャート。
図12】スロットル特性を変更例を図式的に示す図。
図13】運転者の運転負担を軽減させるための制御例を示すフローチャート。
図14】外的集中の要因に対する認識を低減させるための制御例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の制御系統例を示すもので、図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUには、各種センサあるいは機器類S1〜S7からの信号が入力される。S1は、アクセル開度を検出するアクセルセンサである。S2は、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサである。S3は、舵角を検出するステアリングセンサである。S4は、運転者の顔部分を撮像する撮像手段としての車室内カメラである。S5は、車両外部の状況、特に自車両の前方の状況を撮像するための車外カメラである。S6は、自車両前方の障害物等までの距離を検出するレーダである。S7は、ナビゲーション装置であり、地図情報と自車両の現在位置情報とが取得される。
【0022】
コントローラUは、後述する運転支援のために、各種機器類S11〜S16を制御する。S11は、運転席の前方に設けられたヘッドアップディスプレイである。S12は、車室内に向けて音声を発するスピーカである。S13は、追従式の定速走行装置(オートクルーズ装置)であり、実施形態では全車速域(0km/hを超える極低車速から最高車速の範囲)でもって作動されるものとなっている。S14は、パワーステアリング装置であり、特に自動操舵を行うためのものとなっている。S15は、スロットルアクチュエータであり、スロットル特性を変更するためのものとなっている(アクセル開度に対するスロットル開度の特性を変更するためのもの)。S16は、ルームミラーであり、例えば液晶表示方式によって反射率が変更可能となっていて、運転者が目視したときの後方の状況(特に後続車両)の見え方を変更するためのものとなっている。
【0023】
コントローラUは、後述する各種の運転支援のために、3種類のデータベース(DB)D1〜D3を有する。このデータベースD1〜D3は、実際には、外部接続された大容量の記憶手段により構成されている。データベースD1は、エキスパート(ベテラン)ドライバが運転したときに行われる模範の運転操作(アクセルペダルの踏み込み具合、ブレーキペダルの踏み込み具合、ステアリングハンドルの操作タイミングや操作量等)を記憶しているもので、各種の走行状況に対応した模範の運転操作が記憶している。データベースD2は、運転者が楽しいと感じたときの道路特徴を記憶するものである。データベースD3は、運転者により行われが実際の運転操作を記憶しておくものであり、実施形態ではアクセルペダルおよびブレーキペダルについての操作状況を記憶するものとなっている。
【0024】
次に、図2を参照しつつ、運転者の状態がどのような状態であるかを、4種類の類型に分類する点について説明する。この類型への分類を行う前提として、運転者の運転に対する集中度合いと余裕度合いの点についてまず説明する。
【0025】
運転に対する集中としては、その内容に応じて、以下のような第1〜第4の4種類の集中が設定される。すなわち、第1に、運転への外的な(受動的な)集中であり、外的要因によって運転操作を強いられるような状況であり、運転意欲が低い状態となる。第2に、内的な(能動的な)集中であり、運転者自らが積極的な意思をもって運転操作している状態で、運転意欲が高くて好ましい状態となる。第3に、運転以外の集中が設定される(例えば、ナビゲーション装置の画面操作や、電話による対話等への集中)。第4に、集中に対する余裕分で、何に対しても集中していない状態である(運転の集中に対するスペアの余裕分で、図面中の記載においてスペアキャパと称することもある)。
【0026】
上記4種類の各集中度合いの合計を100%としたとき、運転への集中度合いが、外的な集中と内的な集中との加算値分の割合とされる。また、運転者の運転に対する余裕度合いが、内的な集中とスペアの余裕分との加算値分の割合とされる。
【0027】
4種類の類型として、第1類型〜第4類型が設定される。第1類型は、運転への集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低い場合であり、具体的には脇見運転しているようなときが想定される。第2類型は、運転への集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高い場合で、具体的には自動運転や漫然状態のときが想定される。第3類型は、運転への集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低い場合とされる。この第3類型に該当するときは、例えば、後続車両に接近されているようなときで、運転者が緊張状態であると判定されるようになっている。第4類型は、運転への集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高い場合であり、理想的な運転状態とされる。
【0028】
図3は、車内カメラS4によって撮像された画像から得られる運転者状態、つまり運転者の顔表情や視線方向、瞳孔状態等と、アクセルペダル(Aペダル)やブレーキペダル(Bペダル)の操作状況とに基づいて、外的な集中度合い、内的な集中度合い、運転以外への集中度合いおよびスペアの余裕度合いがそれぞれ判定される。そして、各判定結果を総合して、前述した4種類の類型のうち現在どの類型に該当するかが判定される。
【0029】
コントローラUは、運転者が第3類型に該当する場合、つまり緊張状態にあると判定したときに、運転支援によって外的な集中度合いを低減するための制御を行う。以下、図4図7のフローチャートを参照しつつ、コントローラUによる制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。
【0030】
まず、図4のQ1において、後述するように、ドライバ状態の判定が行われる。このQ1での判定は、4種類の類型のうち運転者が現在どの類型に該当するかを判定するものである。Q2では、運転者が緊張状態であるか否か、つまり前述した第3類型に該当するか否かが判別される。このQ2の判別でNOのときは、運転支援は行わないということで、Q1に戻る。
【0031】
Q2の判別でYESのときは、Q3において、運転者の体調が良いか否かが判別される。運転者の体調としては、高熱等の病的な体調の他、正常な運転を阻害する眠気等をも含むものである。車内カメラS4で得られた情報に基づいて判定することもできるが、この他、例えば、運転者の心拍(例えばシートクッションに設けた心拍センサの利用)、皮膚抵抗や皮膚温度(例えばステアリングハンドルに設けた抵抗センサや温度センサの利用)、運転者の体表面温度(例えば赤外線センサの利用)等をも加味して判定することができる。
【0032】
このQ3の判別でYESのときは、Q4において、渋滞以外であるか否かが判別される。渋滞であるか否かは、例えば、車外カメラS5で検出される前方の状況、ナビゲーション装置S7から取得される渋滞情報、サービスセンタとの通信を利用した渋滞情報等を考慮して判定することができる。
【0033】
上記Q4の判別でYESのとき、つまり渋滞していないときは、Q5において、後述するように、運転スキルが高いか否かが判別される。このQ5の判別でYESのときは、後述するように運転に対する内的な集中を高めような運転支援を行うことにより、運転に対する外的な集中が低減される。Q5の判別でNOのときは、後述するように、外的な要因の運転者への認識レベルを低減させるような運転支援を行うことにより、運転に対する外的な集中が低減される。
【0034】
前記Q3の判別でNOのとき(つまり体調が悪いとき)、あるいはQ4の判別でNOのとき(つまり渋滞のとき)は、それぞれQ8に移行される。Q8では、後述するように、運転操作の負担が低減されるような運転支援を行って、運転に対する外的な集中が低減される。
【0035】
図5図7は、図4のQ1の詳細を示すものである。すなわち、図5のQ11において、データ入力された後、Q12において、運転者の顔向きオフセット(脇見対応)が大きいか否かが判別される。このQ12の判別でYESのときは、Q13において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
【0036】
Q13の後、あるいはQ12の判別でNOのときは、それぞれQ14において、主運転操作(例えばアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の車両の挙動を変化させるための運転操作)以外の操作頻度が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判別される。このQ14の判別でYESのときは、Q15において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
【0037】
Q15の後、あるいはQ14の判別でNOのときは、それぞれQ16において、主運転操作以外の操作時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ16の判別でYESのときは、Q17において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
【0038】
Q17の後、あるいはQ16の判別でNOのときは、それぞれQ18において、運転者の頭部の揺れが大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ18の判別でYESのときは、Q19において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
【0039】
Q19の後、あるいはQ18の判別でNOのときは、それぞれQ20において、アクセルペダルとブレーキペダルとの間での踏み替え遅れ時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ20の判別でYESのときは、Q21において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
【0040】
Q21の後、あるいはQ20の判別でNOのときは、それぞれQ22において、運転者の視線移動速度が低いか否か(あらかじめ設定されたしきい値以下であるか否か)が判定される。このQ22の判別でYESのときは、Q23において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
【0041】
Q23の後、あるいはQ22の判別でNOのときは、それぞれ、図6のQ31において、運転者の顔向き方向と視線方向との一致度が高いか否か(一致度があらかじめ設定されたしきい値範囲内であるか否か)が判定される。このQ31の判別でYESのときは、Q32において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
【0042】
Q32の後、あるいはQ31の判別でNOのときは、それぞれQ33において、アクセル開度の保持時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)
が判定される。このQ33の判別でYESのときは、Q34において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
【0043】
Q34の後、あるいはQ33の判別でNOのときは、それぞれQ35において、アクセルペダルとブレーキペダルとの間での踏み替え時間のばらつき(標準偏差)が小であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以下であるか否か)が判定される。このQ35の判別でYESのときは、Q36において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
【0044】
Q35の判別でNOのときは、Q37において、受動的な(外的な)運転集中量について加点される(例えば50点)。
【0045】
Q37の後は、図7におけるQ41において、運転以外の集中量(の合計点)が0よりも大きいか否かが判別される。このQ41の判別でYESのときは、Q42において、運転者が脇見状態、つまり第1類型に該当すると判定される。
【0046】
Q41の判別でNOのときは、Q43において、スペア余裕量(の合計値)が、受動的運転集中量(の合計値)と能動的運転集中量(の合計値)との加算値よりも大きいか否かが判別される。このQ43の判別でYESのときは、Q44において、運転者が漫然状態、つまり第2類型に該当すると判定される。
【0047】
Q43の判別でNOのときは、Q45において、能動的集中量(の合計値)が受動的集中量(の合計値)よりも大きいか否かが判別される。このQ45の判別でYESのときは、Q46において、運転者が理想状態(第4類型)であると判定される。一方、Q45の判別でNOのときは、Q47において、運転者が、緊張状態(第3類型)であると判定される。
【0048】
次に、図4のQ5に対応した運転スキルの判定手法について、図8のフローチャートおよび図9を参照しつつ説明する。まず、図8のQ51において、運転評価の実行指令が行われる(運転評価のためのデータ取得に要する所定時間を設定)。この後、Q52において、一定時間分について、アクセルペダルとブレーキペダルの操作状況が蓄積される(実操作データベースD3への記憶)。この後Q53において、データベースD1から読み出されたエキスパートドライバによる操作状況と、データベースD3に記憶されている運転者の操作状況とを比較して、運転評価点が算出される。そして、Q54において、運転評価点に基づいて、運転スキルが高いか低いかの判定が行われる。
【0049】
上記Q53での運転評価点の算出は、例えば図9に示すように行われる。すなわち、アクセルペダルについて開度保持時間と踏み込み遅れ時間、およびアクセルペダルとブレーキペダルとの間での踏み替え時間との3つの要素について、エキスパートドライバとの時間差分(実施形態では3段階の時間差を設定)に応じて評価点が付与される。そして、Q54での運転スキルの判定は、上記3つの要素についての各評価点の合計点が所定のしきい値以上であれば高スキルであると判定され、当該所定のしきい値未満であれば低スキルであると判定される。
【0050】
次に、図4におけるQ6での内的集中を向上させる手法例について、図10図12を参照しつつ説明する。まず、図10は、運転者に対して、模範となる運転操作を画面表示するようにした例を示す。すなわち、例えば、コーナリングを走行しようとする際に、表示された道路中に、減速領域と加速領域とを示す他(例えば各領域の色分け表示)、操舵開始タイミングを示す操舵ポイントを表示する(例えば操舵ポイントに点滅表示)。これにより、運転者は、運転意欲が向上されると共に、運転スキルが向上されることになる。図10は、コーナリングについて示したが、例えば高速道路における模範運転操作を目標表示したり、駐車を行う際の模範運転操作を目標表示する等、道路状況に応じた適切な模範運転操作を目標表示することができる。特に、操舵タイミングや、アクセルペダル、ブレーキペダルの踏み込みタイミングを目標表示するのが好ましく、このタイミングを音声ガイドすることもできる。
【0051】
図11は、運転者が楽しいと感じる特徴を有する道路へと誘導するために用いられる制御例となっている。すなわち、Q61において、例えば車内カメラS4により取得された運転者の顔表情等に基づいて、運転者の感情が推定される。Q62では、Q61での推定結果として、運転者が楽しいという感情を抱いているか否かが判別される。このQ62の判別でYESのときは、楽しいと感じているときの道路の特徴が、データベースD2に記憶される。なお、Q62の判別でNOのときは、そのままリターンされる。そして、図4におけるQ6では、現在走行している道路とほぼ同方向に向かう道路のうち、データベースD2に記憶されている特徴を有する道路を選択して、この選択された道路へ誘導するような案内を行う(例えばナビゲーション画面での案内表示)。
【0052】
図12は、アクセル操作に対するエンジン出力の感度を上げることにより、運転意欲を向上させる場合の例が示される。図12中、実線がノーマル(基本)なスロットル特性線であり、破線が感度アップさせたスロットル特性線であり(アクセル開度に対するスロットル開度がノーマルの場合よりも大となる特性)、一点鎖線が感度を低下させたスロットル特性線を示す(アクセル開度に対するスロットル開度がノーマルの場合よりも小となる特性)。図4のQ6では、図12における感度アップさせた破線で示すスロットル特性線が選択されて、この選択されたスロットル特性に基づいてスロットルアクチュエータS15が制御されることになる。なお、図10図12に示す制御の任意の2つあるいは全てを行うこともできる。勿論、内的な集中を向上させる運転支援は、上記以外にも適宜選択できるものである。
【0053】
図13は、図4のQ8における制御例、つまり運転操作の負担を低減させる制御例を示すものである。すなわち、Q71において、現在オートクルーズ制御中であるか否かが判別される。このQ71の判別でNOのときは、Q72において、オートクルーズの制御を実行することの予告警報(例えば音声による予告警報やヘッドアップディスプレイでの予告表示)が行われる。この後、Q73において、オートクルーズ制御が実行(開始)される。上記Q71の判別でNOのときは、Q74において、エンジン出力の感度を低下させる制御が行われる(例えば図12の一点鎖線で示すスロットル特性線の選択)。上述したオートクルーズ制御に代えて、あるいは加えて、自動操舵の制御を実行するようにしてもよい。すなわち、現在走行している走行車線を維持するように自動操舵を行うことによって、運転操作への負担を低減することができる。
【0054】
図14は、図4のQ7における制御例、つまり外的な集中の要因に対する認識レベルを低減させる制御例を示す。実施形態では、後続車両が接近して緊張状態にあることを前提としており、実施形態ではルームミラーS16の反射率を低減させて、運転者に対して後続車両を認識しずらくするようにしてある。
【0055】
具体的には、Q81において、後続車両との車間距離が短いか否か(車速に応じてあらかじめ設定されたしきい値以下であるか否か)が判別される。このQ81の判別でNOのときは、そのままリターンされる。Q81の判別でYESのときは、Q82において、過剰緊張状態であると判定された後、Q83において、コントローラUのうちルームミラー制御部に対して指示が行われて、Q84においてルームミラーの反射率が低下される。この後、Q85〜Q87の処理によって運転評価が行われるが、これは図8におけるQ51〜Q54の制御に対応しているので、その重複した説明は省略する。そして、Q88において、評価結果が例えばヘッドアップディスプレイS11に表示される(運転スキル向上に役立てるための情報表示)。
【0056】
図14の制御例の他、サイドミラーでの表示形態を変更することにより、外的要因に対する認識レベルを低下させるようにすることもできる。すなわち、離合シーン(例えば壁寄せ)では、自車両の直側方に障害物(固定物あるいは他車両)が位置して緊張状態とされることもあるが、この場合、サイドミラーに映る側方障害物の表示面積(表示領域)を通常時に比して小さくなるようにして、接近感を低減することもできる。
【0057】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。運転支援の内容変更は、図4のQ6、Q7、Q8のように3種類の中から選択させる他、この3種類の運転支援のうち任意の2種類の中から選択させるようにしてもよい。図2に示す4種類の類型を行うために用いるパラメータとしては、図3に示すもののうち一部であってもよく、またステアリング操作状態等の適宜のパラメータをさらに含めることもできる。スピーカS12からエンジン音(疑似音も可)を出力させて、図4のQ6ではエンジン音を強調して出力し、Q7ではエンジン音を弱めて出力するようにしてもよい。フローチャートに示す各ステップあるいはステップ群は、コントローラUの有する機能を示すもので、この機能を示す名称に手段あるいは部の文字を付して、コントローラUの有する構成要件として把握することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、運転者の緊張状態を低減する上で好ましいものとなる。
【符号の説明】
【0059】
U:コントローラ
S1:アクセルセンサ
S2:ブレーキセンサ
S3:舵角センサ
S4:車内カメラ(運転集中度合い、楽しさの感情検出等)
S5:車外カメラ(周囲状況検出)
S6:レーダ
S7:ナビゲーション装置
S11:ヘッドアップディスプレイ
S12:スピーカ
S13:オートクルーズ
S14:パワーステアリング装置
S15:スロットルアクチュエータ
S16:ルームミラー(反射率可変)
D1:第1データベース
D2:第2データベース
D3:第3データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14