(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のレンズを通して被写体を撮像素子に結像する第1の撮像領域と前記第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体を前記撮像素子に結像する第2の撮像領域とを有するよう撮像手段を構成し、ヘッドに取り付けられた保持部材により部品を保持し、前記保持部材に保持された部品を前記第1の撮像領域で撮像すると共に前記ヘッドに設けられた基準マークを前記第2の撮像領域で撮像することにより前記部品と前記基準マークとを同時に撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記保持部材に保持された部品の保持状態を検出する部品保持状態検出方法であって、
前記保持状態の判定に先立って、前記第1の撮像領域で、前記第1のレンズのピントが合う高さに設置された歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第1の撮像領域の歪み成分を測定して記憶すると共に、前記第2の撮像領域で、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのピントが合う高さであって前記第1のレンズのピントが合う高さとは異なる高さに設置された歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第2の撮像領域の歪み成分を測定して記憶しておき、
前記保持部材に前記部品が保持されると、前記撮像手段により前記部品と前記基準マークとを同時に撮像し、前記第1の撮像領域で前記部品を撮像して得られた画像を、前記記憶された第1の撮像領域の歪み成分に基づいて補正すると共に、前記第2の撮像領域で前記基準マークを撮像して得られた画像を、前記記憶された第2の撮像領域の歪み成分に基づいて補正し、
該補正された画像に基づいて前記保持部材に保持された部品の保持状態を検出する
ことを特徴とする部品保持状態検出方法。
【発明の概要】
【0004】
ヘッドに取り付けられた吸着ノズルに吸着された部品とヘッドに設けられた基準マークとを同時に撮像する場合、基準マークが吸着ノズルに吸着された部品とは異なる高さに設けられると、吸着ノズルに吸着された部品にピントが合うように設置されたレンズ(第1のレンズ)では基準マークにピントを合わせることができない。この場合、基準マークにピントを合わせるために第1のレンズの視野内に第1のレンズよりも小径のレンズ(第2のレンズ)を設置し、吸着ノズルに吸着された部品を第1のレンズを通して撮像すると共に基準マークを第1のレンズおよび第2のレンズを通して撮像するものを考えることができる。しかしながら、複数のレンズを組み合わせると、レンズ毎に異なる歪み特性により合成歪みが生じ、第1のレンズおよび第2のレンズを通して撮像される基準マークの撮像画像が複雑に歪められてしまう。このため、従来の手法では、部品と基準マークとが同時に撮像された画像から部品と基準マークの双方の位置を正確に認識することができない場合が生じる。
【0005】
本発明の部品保持状態検出方法および部品実装装置は、ヘッドに取り付けられた保持部材に保持された部品とヘッドに設けられた基準マークとを同時に撮像するものにおいて、撮像された画像の歪みの補正精度をより向上させて部品と基準マークの双方の位置をより正確に認識できるようにすることを主目的とする。
【0006】
本発明の部品保持状態検出方法および部品実装装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の部品保持状態検出方法は、
第1のレンズを通して被写体を撮像素子に結像する第1の撮像領域と前記第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体を前記撮像素子に結像する第2の撮像領域とを有するよう撮像手段を構成し、ヘッドに取り付けられた保持部材により部品を保持し、前記保持部材に保持された部品を前記第1の撮像領域で撮像すると共に前記ヘッドに設けられた基準マークを前記第2の撮像領域で撮像することにより前記部品と前記基準マークとを同時に撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記保持部材に保持された部品の保持状態を検出する部品保持状態検出方法であって、
前記保持状態の判定に先立って、前記第1の撮像領域で歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第1の撮像領域の歪み成分を測定して記憶すると共に、前記第2の撮像領域で歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第2の撮像領域の歪み成分を測定して記憶しておき、
前記保持部材に前記部品が保持されると、前記撮像手段により前記部品と前記基準マークとを同時に撮像し、前記第1の撮像領域で前記部品を撮像して得られた画像を、前記記憶された第1の撮像領域の歪み成分に基づいて補正すると共に、前記第2の撮像領域で前記基準マークを撮像して得られた画像を、前記記憶された第2の撮像領域の歪み成分に基づいて補正し、
該補正された画像に基づいて前記保持部材に保持された部品の保持状態を検出する
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の部品保持状態検出方法では、保持状態の判定に先立って、第1のレンズを通して被写体が撮像される第1の撮像領域で歪み測定用被写体を撮像し、撮像により得られた画像に基づいて第1の撮像領域の歪み成分を測定して記憶しておく。また、第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体が撮像される第2の撮像領域で歪み測定用被写体を撮像し、撮像により得られた画像に基づいて第2の撮像領域の歪み成分を測定して記憶しておく。そして、保持部材に部品が保持されると、撮像手段により部品と基準マークとを同時に撮像し、第1の撮像領域で部品を撮像して得られた画像を、記憶された第1の撮像領域の歪み成分に基づいて補正する。また、第2の撮像領域で基準マークを撮像して得られた画像を、記憶された第2の撮像領域の歪み成分に基づいて補正する。このように、第1のレンズを通して被写体が撮像される第1の撮像領域と第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体が撮像される第2の撮像領域のそれぞれで撮像された歪み測定用被写体の画像を用いて歪み成分を予め測定しておくことにより、第1撮像領域で撮像された画像と第2の撮像領域で撮像された画像とを対応する歪み成分を用いて適切に補正することができる。この結果、歪みを効果的に抑制した補正画像を得ることができ、補正した撮像画像に基づいて保持部材に保持された部品の保持状態を検出することで、部品の保持状態をより正確に判定することができる。なお、第1の撮像領域での歪み測定用被写体の撮像と第2の撮像領域での歪み測定用被写体の撮像は同時であってもよいし、別々であってもよい。
【0009】
こうした本発明の部品保持状態検出方法において、前記保持状態の判定に先立って、前記歪み測定用被写体として第1の歪み測定用被写体を設置し、前記第1の撮像領域で前記第1の歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第1の撮像領域の歪み成分を測定して記憶すると共に、前記歪み測定用被写体として前記第1の歪み測定用被写体とは異なる第2の歪み測定用被写体を設置し、前記第2の撮像領域で前記第2の歪み測定用被写体を撮像し、該撮像により得られた画像に基づいて前記第2の撮像領域の歪み成分を測定して記憶しておくものとすることもできる。こうすれば、レンズに合わせて適切な歪み測定用被写体を用いることができるから、歪み成分をより正確に測定することができる。
【0010】
この態様の本発明の部品保持状態検出方法において、前記第1の歪み測定用被写体を、複数の図柄が格子状に配列されたパターンにより構成し、前記第2の歪み測定用被写体を、前記第1の歪み測定用被写体とは異なるピッチで複数の図柄が格子状に配列されたパターンにより構成するものとすることもできる。
【0011】
本発明の部品実装装置は、
部品を基板に実装する部品実装装置であって、
前記部品を保持する保持部材が取り付けられると共に基準マークが設けられたヘッドと、
前記ヘッドを移動させる移動手段と、
第1のレンズを通して被写体を撮像素子に結像する第1の撮像領域と、前記第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体を前記撮像素子に結像する第2の撮像領域とを有し、前記第1の撮像領域で前記保持部材に保持された部品を撮像すると共に前記第2の撮像領域で前記基準マークを撮像することにより、前記部品と前記基準マークとを同時に撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により前記部品と前記基準マークとが同時に撮像されると、前記第1の撮像領域での撮像により得られた画像を該第1の撮像領域に対して予め測定された第1の歪み成分に基づいて補正すると共に、前記第2の撮像領域での撮像により得られた画像を該第2の撮像領域に対して予め測定された第2の歪み成分に基づいて補正し、前記補正された画像に基づいて前記保持部材に保持された部品の保持状態を検出する保持状態検出手段と、
前記判定された部品の保持状態に基づいて該部品が前記基板に実装されるよう前記移動手段と前記保持部材とを制御する実装制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0012】
この本発明の部品実装装置では、第1のレンズを通して被写体を撮像素子に結像する第1の撮像領域と、第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体を撮像素子に結像する第2の撮像領域とを有するよう撮像手段を構成し、保持部材に部品が保持されると、第1の撮像領域で保持部材に保持された部品を撮像すると共にこれと同時に第2の撮像領域で基準マークを撮像する。そして、第1の撮像領域で部品を撮像して得られた画像を、第1の撮像領域に対して予め測定された第1の歪み成分に基づいて補正し、第2の撮像領域で基準マークを撮像して得られた画像を、第2の撮像領域に対して予め測定された第2の歪み成分に基づいて補正する。このように、第1のレンズを通して被写体が撮像される第1の撮像領域で撮像された画像と、第1のレンズおよび第2のレンズを通して被写体が撮像される第2の撮像領域で撮像された画像とをそれぞれ異なる歪み成分を用いて補正するから、歪みを効果的に抑制した補正画像を得ることができる。この結果、補正画像に基づいて部品の保持状態を検出すると共にその判定結果に基づいて部品が基板に実装されるよう制御することで、部品をより正確に基板上に実装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である部品実装装置10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は制御装置90の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【0015】
部品実装装置10は、
図1に示すように、電子部品(以下、単に「部品」という)を供給する部品供給装置20と、回路基板(以下、単に「基板」という)16を搬送する基板搬送装置30と、搬送された基板16をバックアップするバックアップ装置40と、部品供給装置20により供給された部品をバックアップ装置40によりバックアップされた基板16に装着する部品装着装置50と、実装装置全体を制御する制御装置90(
図2参照)とを備え、基板搬送装置30とバックアップ装置40と部品装着装置50が筐体12内に収容されている。なお、
図1には、1台の部品実装機10のみを図示したが、部品実装ラインにおいては複数台の部品実装機が並設され、各部品実装機の制御装置にはこれらを管理するための管理コンピュータ100(
図2参照)が接続されている。
【0016】
部品供給装置20は、
図1に示すように、筐体12の前側に着脱可能に取り付けられたテープフィーダ22を備える。テープフィーダ22は、テープが巻回されたリール22aを備えており、テープ表面には部品が所定間隔で貼り付けられている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されており、リール22aからテープが引き出されると、フィーダ部22bにおいてフィルムが剥がされて露出した状態で供給される。
【0017】
基板搬送装置30は、
図1に示すように、筐体12の下段部に設置された基台14上にY軸方向(
図1の前後方向)に所定間隔隔てて設けられた一対の支持板32a,32bと、支持板32a,32bの互いに対向する面に設けられた一対のコンベアベルト34a,34bとを備える。一対の支持板32a,32bは、長手方向がX軸方向(
図1の左右方向)となる長方形状の部材として構成されており、長手方向の両端には駆動輪および従動輪が設けられている。コンベアベルト34a,34bは、支持板32a,32bに設けられた駆動輪および従動輪に架け渡されており、図示しない駆動モータにより駆動輪が駆動されることにより、基板16を
図1の左から右へと搬送する。
【0018】
バックアップ装置40は、
図1に示すように、図示しない昇降装置により昇降可能に配設されたバックアッププレート42と、バックアッププレート42の上面に装着されたベースプレート44とを備える。ベースプレート44には、基板16を裏側からバックアップするための複数のバックアップピン46が立設されている。
【0019】
部品装着装置50は、
図1に示すように、X軸モータ51(
図2参照)の駆動によりX軸方向(
図1の左右方向)に移動されるX軸スライダ52と、Y軸モータ53(
図2参照)の駆動によりY軸方向(
図1の前後方向)に移動されるY軸スライダ54と、X軸スライダ52に取り付けられたヘッド60と、Z軸方向の移動とZ軸周りの回転とが可能にヘッド60に装着され部品を吸着可能な吸着ノズル62と、基台14に設けられ吸着ノズル62に吸着された部品を撮像するためのパーツカメラ70と、X軸スライダ52に取り付けられ基板16上に設けられた基板位置決め基準マークを撮像するためのマークカメラ80と、ヘッド60に装着可能な複数種類の吸着ノズルをストックするノズルストッカ84とを備える。
【0020】
X軸スライダ52は、Y軸スライダ54の前面にX軸方向に沿って設けられたガイドレール55に取り付けられており、ガイドレール55に案内されつつX軸方向にスライド可能となっている。Y軸スライダ54は、筐体12の上部にY軸方向に沿って設けられたガイドレール56に取り付けられており、ガイドレール56に案内されつつY軸方向にスライド可能となっている。
【0021】
ヘッド60には、
図3に示すように、図示しない内部通路を有する円筒部材として構成され吸着ノズル62を保持するノズルホルダ64と、例えばねじ軸とノズルホルダ64に取り付けられたボールねじナットとを有する直線送りねじ機構として構成されZ軸モータ66aによりねじ軸を回転駆動することによりノズルホルダ64をZ軸方向に移動させるZ軸アクチュエータ66と、例えばノズルホルダ64に連結されたシャフトにスプライン嵌合されたボールスプラインナットを有しθ軸モータ68aによりボールスプラインナットを回転駆動することによりノズルホルダ64をZ軸周りに回転させるθ軸アクチュエータ68とを備える。また、ヘッド60は、X軸スライダ52に対して着脱可能に構成されており、使用する吸着ノズル62の数や種類に適したものに交換できるようになっている。
【0022】
吸着ノズル62は、ノズルホルダ64に対して着脱可能に構成されており、吸着する部品の形状や大きさに適したものに交換できるようになっている。吸着ノズル62の内部通路(図示せず)は、ノズルホルダ64の内部通路(図示せず)と連通しており、ノズルホルダ64の内部通路は、電磁弁86を介して真空ポンプ88およびエア配管89のいずれか一方に選択的に連通するようになっている。したがって、ノズルホルダ64の内部通路と真空ポンプ88とが連通するよう電磁弁86を駆動すると、吸着ノズル62に負圧が作用して、部品を吸着することができ、ノズルホルダ64の内部通路とエア配管89とが連通するよう電磁弁86を駆動すると、吸着ノズル62に正圧が作用して、部品の吸着を解除することができる。
【0023】
図3は、ヘッド60およびパーツカメラ70を側方から見た模式図であり、
図4は、パーツカメラ70を上方から見た平面図である。図示するように、ノズルホルダ64の下端には、複数個の吸着ノズル62が周方向に等間隔で装着されている。なお、実施例では、ノズルホルダ64に装着される吸着ノズル62の数は、複数個としたが、1個であってもよい。また、吸着ノズル62に吸着された部品Pは、パーツカメラ70の上方では、パーツカメラ70の高さ基準面H0に対して所定の高さH1に維持される。
【0024】
また、ヘッド60には、
図3に示すように、パーツカメラ70により吸着ノズル62に吸着された部品Pを撮像する際の基準位置となる位置基準部69が設けられている。位置基準部69の下面には、実施例では、4個の円形の基準マーク69aが同一ピッチで正方形配置されている。勿論、基準マーク69aの形状や個数、配置レイアウトは、実施例に限定されるものではなく、自由に決定することができる。基準マーク69aは、高さ基準面H0に対して所定の高さH1よりも高い高さH2に配置されている。これにより、ヘッド60が基板16上を移動する際に、位置基準部69が実装済みの部品と干渉することがない。なお、基準マーク69aは装着されるヘッド60の種類に応じて異なる位置および高さに配置される。
【0025】
パーツカメラ70は、基板搬送装置30の前方側の基台14上に配置されている。このパーツカメラ70の撮像範囲は、パーツカメラ70の上方である。パーツカメラ70は、部品を吸着した吸着ノズル62がパーツカメラ70の上方を通過する際、吸着された部品の状態を撮像し、その画像を制御装置90へ出力する。制御装置90は、パーツカメラ70によって撮像された画像を予め記憶された正常な吸着状態の画像と比較することにより、部品が正常に吸着されているか否かを判定する。
【0026】
また、パーツカメラ70は、
図4に示すように、複数の受光素子が二次元配列された正方形または矩形の撮像領域71をもつ撮像素子72と、撮像素子72の撮像領域71の全範囲をカバーするよう配置されたメインレンズ74と、撮像素子72の撮像領域71の一部をカバーするようメインレンズ74の上方に所定間隔隔てて配置されたサブレンズ76a〜76dとを備える。なお、撮像素子72は、例えばCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)などが用いることができ、本実施例では、5120×5120の画素から構成されている。勿論、撮像素子72の画素数は幾つであっても構わない。
【0027】
メインレンズ74は、周知の集光用レンズで構成されており、ピント高さが吸着ノズル62に吸着された部品Pの高さH1に対して概ね合うように設定されている。なお、メインレンズ74は、凸レンズおよび凹レンズを複数組み合わせて構成したり、片面または両面が球面でない非球面レンズを用いる等、撮像用レンズとして用いることができるものであれば如何なるタイプのレンズであってもよい。
【0028】
サブレンズ76a〜76dは、メインレンズ74の視野内の4隅にそれぞれ配置されている。メインレンズ74の上方の4隅には外側から内側へ向けて4つの台座78a〜78dが配置されており、4個のサブレンズ76a〜76dは4個の台座78a〜78dに取り付けられている。また、サブレンズ76a〜76dは、吸着ノズル62に吸着された部品Pがメインレンズ74の中央の真上にある場合に、基準マーク69aが4個のサブレンズ76a〜76dのいずれかの真上に位置するように配置されている。これにより、パーツカメラ70は、撮像素子72の撮像領域71の中央を部品Pの撮像に使用し、撮像領域71の4隅を基準マーク69aの撮像に使用することができるから、撮像領域71の全体を有効利用することができる。また、サブレンズ76aは、メインレンズ74およびサブレンズ76aを通して被写体を撮像素子72に結像させたときのピント高さが基準マーク69aの高さH2に概ね合うように設定されている。なお、その他のサブレンズ76b〜76dは、上述のピント高さがレンズ毎に異なるように設定するものとしてもよいし、ピント高さが一部のレンズまたは全部のレンズで一致するように設定するものとしてもよい。ピント高さが異なる複数のサブレンズを配置する場合、ヘッド60毎に基準マーク69aの配置位置および配置高さの組み合わせが異なるパターンにも、サブレンズを交換することなく、対応することができる。また、撮像領域71の全範囲をカバーするメインレンズ74と撮像領域71の一部をカバーするサブレンズ76a〜76dとを備えることにより、ピント高さの異なる部品Pおよび基準マーク69aの双方にピントを合わせた状態で同時に撮像することができる。このため、露光時間(シャッタースピード)を短くすることが可能となり、ヘッド60を移動させながらの撮像(いわゆるオンザフライ方式による撮像)が可能となる。この結果、実装タクトタイムを短縮することができる。
【0029】
ここで、メインレンズ74およびサブレンズ76a〜76dは、レンズ固有の歪曲(糸巻型歪曲や樽型歪曲)が存在する。サブレンズ76a〜76dはメインレンズ74の上方の4隅に配置されるため、撮像素子72に結像される像の4隅は、メインレンズ74とサブレンズ76a〜76dとの組み合わせによって、メインレンズ74単体での歪みとは異なる合成歪みが発生する。また、サブレンズ76a〜76dの組み付け誤差が生じると、上述の合成歪みがさらに変化する。このため、撮像素子72の撮像領域71のうち4隅以外の領域(この領域をメインレンズ部とも呼ぶ)と4隅の領域(この領域をサブレンズ部とも呼ぶ)とで大きく異なる歪み特性によって像が幾何学的に歪められてしまう。そこで、本実施例では、予め、撮像領域71のメインレンズ部とサブレンズ部とで異なるキャリブレーションプレートを設置してこれらをパーツカメラ70でそれぞれ撮像し、撮像して得られた各画像から各領域毎にレンズの歪み補正値を測定し、これらを歪み補正テーブルとして格納するものとしている。これにより、吸着ノズル62で吸着された部品Pと基準マーク69aとを同時に撮像して得られた画像に対して、歪み補正値(歪み補正テーブル)を用いて補正することにより、レンズ歪みに起因する画像内の部品Pの位置とその実位置とのずれや基準マーク69aの位置とその実位置とのずれを修正することができる。
【0030】
マークカメラ80は、X軸スライダ52の下端後方に固定されている。このマークカメラ80の撮像範囲は、マークカメラ80の下方である。マークカメラ80は、基板16上に設けられた基板位置決め基準マークを撮像し、その画像を制御装置90へ出力する。制御装置90は、マークカメラ80によって撮像された画像に基づいてマークの中心位置を認識することにより、基板16の位置を認識する。
【0031】
制御装置90は、
図2に示すように、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM92、各種データを記憶するHDD93、作業領域として用いられるRAM94、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース95などを備えており、これらはバス96を介して接続されている。この制御装置90には、パーツカメラ70やマークカメラ80からの画像信号、吸着ノズル62の内部圧力を検出する圧力センサ82からの検知信号などを入出力インタフェース95を介して入力しており、制御装置90からは、基板搬送装置30やバックアップ装置40、X軸スライダ52のX軸モータ51、Y軸スライダ54のY軸モータ53、Z軸アクチュエータ66のZ軸モータ66a、θ軸アクチュエータ67のθ軸モータ67a、電磁弁86などへの駆動信号を入出力インタフェース95を介して出力している。また、制御装置90は、部品供給装置20と双方向通信可能に接続されている。なお、X軸スライダ52およびY軸スライダ54には図示しない位置センサが装備されており、制御装置90はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、X軸モータ51およびY軸モータ53を駆動制御する。
【0032】
管理コンピュータ100は、
図2に示すように、CPU101を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM102、基板16の生産計画などを記憶するHDD103、作業領域として用いられるRAM104、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース105などを備えており、これらはバス106を介して接続されている。また、管理コンピュータ100は、入出力インタフェース105を介して、マウスやキーボードに代表される入力デバイス112から信号を入力可能であり、ディスプレイ114に種々の画像を出力可能なように接続されている。ここで、基板16の生産計画とは、部品実装機10において基板16にどの部品を実装するか、また、部品を実装した基板16(組立品)を何枚作製するか等を定めた計画をいう。管理コンピュータ100は、作業者から入力デバイス112を介して生産計画を受け付け、受け付けた生産計画に従って組立品が作製されるよう各種指令を部品装着機10に送信する。
【0033】
次に、こうして構成された実施例の部品実装装置10の動作について説明する。
図5は、制御装置90のCPU91により実行される部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理コンピュータ100から指令を受信したときに実行される。
【0034】
部品実装処理が実行されると、制御装置90のCPU91は、まず、部品供給装置20(テープフィーダ22)により供給される部品の真上に吸着ノズル62が移動するようX軸スライダ52(X軸モータ51)およびY軸スライダ54(Y軸モータ53)を駆動制御し(ステップS100)、吸着ノズル62が部品に当接するまで下降するようZ軸アクチュエータ66(Z軸モータ66a)を駆動制御すると共に吸着ノズル62に負圧が作用するよう電磁弁86を駆動制御することにより、吸着ノズル62に部品を吸着させる(ステップS110)。続いて、部品を吸着した吸着ノズル62が上昇するようZ軸アクチュエータ66を制御し、吸着ノズル62がパーツカメラ70の上方を通過しながら基板16上方へ向かうようX軸スライダ52およびY軸スライダ54を制御し、吸着ノズル62がパーツカメラ70の上方に位置するときに、パーツカメラ70で撮像することにより撮像画像を取得する(ステップS120)。
【0035】
撮像画像を取得すると、取得した撮像画像を歪み補正テーブルを用いて補正する(ステップS130)。ここで、歪み補正テーブルは、予めテーブル作成工程によって作成されて、ROM92に記憶されたものが用いられる。以下、テーブル作成工程の詳細について説明する。
【0036】
テーブル作成工程では、まず、撮像素子72の撮像領域71の4隅を除く領域(メインレンズ部)内におけるメインレンズ74の歪み補正値を測定する。
図6は、キャリブレーションプレートCP1を設置した状態でキャリブレーションプレートCP1を通してメインレンズ74を見たときの正面図である。メインレンズ部の歪み補正値の測定は、円形のドットが所定ピッチで格子状に配列されたキャリブレーションプレートCP1を、メインレンズ74のピントが合う高さ(吸着ノズル62に吸着された部品Pをパーツカメラ70で撮像するときの高さH1と略同じ高さ)となるように設置する。なお、キャリブレーションプレートCP1は、ドットを格子状に配列するものに限定されるものではなく、例えば正方形または矩形のパターンを市松模様状に配列するなど、複数の図柄パターンを整列させたものであれば、如何なるパターンを用いるものとしてもよい。また、キャリブレーションプレートCP1は、吸着ノズル62に吸着させることで設置されるものとしてもよいし、別途専用の治具を用いて設置されるものとしてもよい。次に、設置したキャリブレーションプレートCP1をパーツカメラ70で撮像する。
図7に、キャリブレーションプレートCP1をパーツカメラ70で撮像して得られる撮像画像の一例を示す。そして、撮像画像を解析して撮像画像内の各ドットの中心位置を求め、ドット毎にドットの中心位置と予め記憶された正しいドットの中心位置とのずれ量を歪み補正値として計算する。なお、歪み補正値は撮像画像内のドットの中心位置に対して測定されることとなるが、ドットの中心位置から外れる位置の歪み補正値については、その周辺のドットの中心位置に対して測定される歪み補正値から周知の内挿補間法によって求めることができる。
【0037】
次に、撮像領域71の4隅の領域(サブレンズ部)内におけるメインレンズ74およびサブレンズ76a〜76dの歪み補正値を測定する。
図8は、キャリブレーションプレートCP2を設置した状態でキャリブレーションプレートCP2を通してサブレンズ76aを見たときの正面図である。サブレンズ部の歪み補正値の測定は、円形のドットが所定ピッチで格子状に配列されたキャリブレーションプレートCP2を、メインレンズ74およびサブレンズ76aのピントが合う高さ(基準マーク69aの高さH2と略同じ高さ)となるように設置する。ここで、サブレンズ76a〜76dはメインレンズ74に比してレンズ視野が極端に狭くなるため、キャリブレーションプレートCP2は、キャリブレーションプレートCP1よりも狭いピッチでドットが配列されたものを用いる。なお、キャリブレーションプレートCP2として、複数の図柄パターンを整列させたものであれば、如何なるパターンを用いるものとしてもよいことはキャリブレーションプレートCP1と同様である。また、キャリブレーションプレートCP2は、位置基準部69に直接設置されるものとしてもよいし、別途専用の治具を用いて設置されるものとしてもよい。次に、設置したキャリブレーションプレートCP2をパーツカメラ70で撮像する。
図9に、キャリブレーションプレートCP2をパーツカメラ70で撮像して得られる撮像画像の一例を示す。そして、撮像画像を解析して撮像画像内の各ドットの中心位置を求め、ドット毎にドットの中心位置と予め記憶された正しいドットの中心位置とのずれ量を歪み補正値として計算する。なお、サブレンズ部の歪み補正値はメインレンズ部の歪み補正値と同様に撮像画像内のドットの中心位置に対して測定されることとなるが、ドットの中心位置から外れる位置の歪み補正値については、その周辺のドットの中心位置に対して測定される歪み補正値から周知の内挿補間法によって求めることができる。サブレンズ76aの歪み補正値を測定すると、こうした工程を、残りのサブレンズ76b〜76dについても、同様に繰り返す。なお、本実施例では、まず、メインレンズ部の歪み補正値を測定し、その後に、サブレンズ部の歪み補正値を測定するものとしたが、サブレンズ部の歪み補正値を測定し、その後に、メインレンズ部の歪み補正値を測定するものとしてもよい。
【0038】
こうしてメインレンズ部の歪み補正値とサブレンズ部の歪み補正値とを測定すると、測定した各歪み補正値を対応する領域内の画素の座標値と対応付けることで歪み補正テーブルを作成する。
図10および
図11は、歪み補正テーブルの一例を示す説明図である。歪み補正テーブルでは、
図10に示すように、撮像素子72の5120×5120の画素に対してデータ量を削減するために64画素ピッチで抽出した画素についての81×81個の歪み補正値が、対応する画素の座標値が関連付けられた状態で格納されている。また、各歪み補正値は、X方向歪み補正値およびY方向歪み補正値が含まれている。なお、歪み補正値は、64画素ピッチで抽出した画素について格納するものに限定されるものではなく、例えば8画素ピッチや16画素ピッチ等、他の所定画素ピッチで抽出した画素について格納するものとしてもよいし、撮像領域71の全画素についての歪み補正値を格納するものとしてもよい。また、歪み補正テーブルは、
図11に示すように、メインレンズ部(撮像領域71のうちメインレンズ74のみを通して被写体が撮像される領域)では、キャリブレーションプレートCP1を撮像して得られた画像から取得された歪み補正値が格納され、サブレンズ部(撮像領域71のうちメインレンズ74およびサブレンズ76a〜76dを通して被写体が撮像される領域)では、キャリブレーションプレートCP2を撮像して得られた画像から取得された歪み補正値が格納される。
【0039】
図12は、歪み補正の様子を示す説明図である。パーツカメラ70により撮像された画像を歪み補正テーブルを用いて補正する場合、撮像された画像の各画素の座標値に対応付けられた歪み補正値(X方向歪み補正値およびY方向歪み補正置)を歪み補正テーブルから取得し、取得した歪み補正値を像のずれ量として扱い、X方向歪み補正値分だけX方向にずれ且つY方向歪み補正値分だけY方向にずれた位置(座標値)の画素から輝度値を取得し、取得した輝度値を歪み補正後の輝度値として設定することにより行なう。上述したように、歪み補正テーブルは、64画素ピッチで抽出した画素における歪み補正値のみが格納されているため、その間を埋める画素の歪み補正値は、内挿補間法によって求める。
図13は、バイリニア補間法の説明図である。バイリニア補間法を用いて歪み補正値を補間する場合、例えば、図示するように、歪み補正値を求める座標Pの周辺の2×2画素(
図13のQ11,Q12,Q21,Q22)のうち下の2点間(Q11,Q21)および上の2点間(Q12,Q22)についてX方向に補間処理(線形補間処理)を行ない、補間した2点間(
図13のR1,R2)をY方向に補間処理(線形補間処理)を行なう。なお、内挿補間法については、バイリニア補間法に限定されるものではなく、使用するパーツカメラ70やレンズの歪み特性によって適切な方法を用いるものとすればよい。
【0040】
ここで、上述した歪み補正テーブルでは、メインレンズ部の歪み補正値とサブレンズ部の歪み補正値とが同一のテーブルに格納されているため、これらを区別することなく、単に歪み補正テーブルから得られる歪み補正値に従って撮像画像の補正を行なえばよく、歪み補正処理を高速化することができる。また、歪み補正テーブルはメインレンズ部とサブレンズ部とでキャリブレーションプレートを別々に撮像しそれぞれ得られた画像に基づいて測定された歪み補正値が格納されているため、メインレンズ部とサブレンズ部との境界線上では、歪み補正値に連続性がない。このため、メインレンズ部とサブレンズ部との境界線上の歪み補正値を用いて正確な歪み補正を行なうことはできないが、そもそもサブレンズ76a〜76dの外周部分は像の歪みが強く使用できないため、サブレンズ76a〜76dの外周部分よりも内側で被写体(基準マーク69a)を撮像するようにすれば、サブレンズ76a〜76dの外周部分の歪み補正値が使われることはないから、問題は生じない。
【0041】
部品実装処理に戻って、こうして歪み補正テーブルを用いて撮像画像を補正すると、制御装置90のCPU91は、補正画像から部品Pの位置(部品位置)および基準マーク69aの位置(基準マーク位置)を算出し(ステップS140)、算出した基準マーク位置から基準位置(ヘッド60の移動誤差)を算出し(ステップS150)、算出した基準位置と部品位置とに基づいて吸着ノズル62に対する部品の位置ずれ量および回転ずれ量を算出すると共に部品の位置ずれおよび回転ずれが打ち消されるように実装補正値を設定する(ステップS160)。ここで、吸着ノズル62と位置基準部69(基準マーク69a)は、共にヘッド60に設けられており、XY方向の位置関係は不変である。このため、制御装置90は、基準マーク位置から吸着ノズル62の位置(基準位置)を把握することができ、吸着ノズル62に対する部品の位置ずれや回転ずれを算出する際に、基準マークと部品との間の絶対距離を必要としない。したがって、歪み補正テーブルのメインレンズ部とサブレンズ部との境界上で歪み補正値の連続性をもたせる必要がない。なお、実装補正値は、マークカメラ80が基板16上に設けられた基板位置決め基準マークを撮像し、撮像画像から認識される基板16の位置に基づいてさらに調整するものとしてもよい。そして、吸着ノズル62が基板16の実装位置の真上に移動するようX軸スライダ52およびY軸スライダ54を駆動制御し(ステップS170)、吸着ノズル62が下降するようZ軸アクチュエータ66を駆動制御すると共に吸着ノズル62に正圧が作用するよう電磁弁86を駆動制御することにより、部品を基板16上に実装して(ステップS180)、部品実装処理を終了する。こうした部品実装処理を繰り返すことにより、各部品を基板16上に実装していくのである。
【0042】
以上説明した実施例の部品実装装置10によれば、ヘッド60に部品Pを吸着するための吸着ノズル62と位置基準部69(基準マーク69a)とが設けられると共に、メインレンズ74の視野内にサブレンズ76a〜76dを設置し部品Pをメインレンズ74(メインレンズ部)を通して撮像すると共に基準マーク69aをメインレンズ74およびサブレンズ76a〜76d(サブレンズ部)を通して撮像するパーツカメラ70を備えるものにおいて、予め、キャリブレーションプレートCP1をパーツカメラ70のメインレンズ部で撮像し得られた撮像画像からメインレンズ部の歪み補正値を測定すると共に、キャリブレーションプレートCP2をパーツカメラ70のサブレンズ部で撮像し得られた画像からサブレンズ部の歪み補正値を測定して、これらを歪み補正テーブルとして予め記憶しておく。そして、部品実装時に、吸着ノズル62に吸着された部品Pがパーツカメラ70の上方に位置しているときに、パーツカメラ70で撮像し得られた撮像画像を歪み補正テーブルを用いて補正し、補正画像に基づいて吸着ノズル62による部品Pの吸着状態を判定する。これにより、メインレンズ部で撮像された領域かサブレンズ部で撮像された領域かに拘わらず、撮像画像の像の歪みをより正確に補正することができるため、部品Pの吸着状態をより正確に認識することができる。また、認識した部品Pの吸着状態に基づいて部品Pが基板16上に実装されるよう制御することで、実装不良の発生を抑制することができる。
【0043】
また、実施例の部品実装装置10によれば、サブレンズ部の歪み補正値の測定に用いるキャリブレーションプレートCP2を、メインレンズ部の歪み補正値の測定に用いるキャリブレーションプレートCP1に比して、ドット(図柄)のピッチが狭いパターンにより構成したから、視野の狭いサブレンズ76a〜76dについてもより精度の高い歪み補正値を測定することができる。
【0044】
実施例の部品実装装置10では、キャリブレーションプレートCP1をメインレンズ74(メインレンズ部)を通して撮像し得られた画像からメインレンズ部の歪み補正値を測定すると共に、キャリブレーションプレートCP1よりもドット(図柄)のピッチが狭いキャリブレーションプレートCP2をメインレンズ74およびサブレンズ76a〜76d(サブレンズ部)を通して撮像し得られた画像からサブレンズ部の歪み補正値を測定する、即ちメインレンズ部とサブレンズ部とで異なるキャリブレーションプレートを用いて歪み補正値を測定するものとしたが、これに限定されるものではなく、メインレンズ部とサブレンズ部とで同一のキャリブレーションプレートを用いて歪み補正値を測定するものとしてもよい。この場合、同一のキャリブレーションプレートをメインレンズ部とサブレンズ部とで同時に撮像された画像を用いてメインレンズ部の歪み補正値とサブレンズ部の歪み補正値とをそれぞれ測定するものとしてもよい。また、同一のキャリブレーションプレートを用いる場合、例えば、サブレンズ部の歪み補正値の測定に適したキャリブレーションプレートCP2を用いてメインレンズ部の歪み補正値も測定するものとしてもよい。
【0045】
実施例の部品実装装置10では、吸着ノズル62をパーツカメラ70上で移動させながら吸着ノズル62に吸着された部品Pの撮像(オンザフライ方式による撮像)を行なうものとしたが、これに限定されるものではなく、吸着ノズル62をパーツカメラ70上で一旦停止させた状態で吸着ノズル62に吸着された部品Pの撮像(ストップビジョン方式による撮像)を行なうものとしてもよい。
【0046】
実施例の部品実装装置10では、メインレンズ74の視野の4隅に4個のサブレンズ76a〜76dを配置するものとしたが、これに限定されるものではなく、メインレンズ74の視野内に配置するサブレンズの数は幾つであってもよい。また、配置位置も、必ずしも4隅である必要はない。
【0047】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パーツカメラ70が「撮像手段」に相当し、メインレンズ74が「第1のレンズ」に相当し、撮像素子72が「撮像素子」に相当し、メインレンズ74のみを通して被写体を撮像素子72に結像する領域(メインレンズ部)が「第1の撮像領域」に相当し、サブレンズ76a〜76dが「第2のレンズ」に相当し、レンズ76およびサブレンズ76a〜76dを通して被写体を撮像素子72に結像する領域(サブレンズ部)が「第2の撮像領域」に相当し、ヘッド60が「ヘッド」に相当し、吸着ノズル62が「保持部材」に相当し、基準マーク69aが「基準マーク」に相当し、キャリブレーションプレートCP1やキャリブレーションプレートCP2が「歪み測定用被写体」に相当する。また、キャリブレーションプレートCP1が「第1の歪み測定用被写体」に相当し、キャリブレーションプレートCP2が「第2の歪み測定用被写体」に相当する。また、X軸スライダ52やY軸スライダ54が「移動手段」に相当し、
図5の部品実装処理のS130〜S160の処理を実行する制御装置90のCPU91が「保持状態検出手段」に相当し、部品実装処理のS170,S180の処理を実行する制御装置90のCPU91が「実装制御手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。