特許第6339031号(P6339031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000002
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000003
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000004
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000005
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000006
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000007
  • 特許6339031-料金処理システム、及び料金処理方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6339031
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】料金処理システム、及び料金処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20180528BHJP
【FI】
   G07B15/00 P
   G07B15/00 510
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-30071(P2015-30071)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151969(P2016-151969A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼 杏子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】額田 直
(72)【発明者】
【氏名】村上 瑛
(72)【発明者】
【氏名】宮川 英之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 英樹
(72)【発明者】
【氏名】出来 康造
(72)【発明者】
【氏名】松永 敬輔
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−275261(JP,A)
【文献】 特開2003−317125(JP,A)
【文献】 特開2000−207597(JP,A)
【文献】 特開2000−113248(JP,A)
【文献】 特開2013−140430(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0012309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B15/00−15/06
G08G 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路上に設けられた第1の無線通信装置から、前記有料道路を走行している第1の車両を識別する第1の識別情報を受信する受信部と、
前記第1の車両を識別する第1の識別情報と、当該第1の車両が前記第1の無線通信装置が設けられた第1の位置まで前記有料道路を走行したことで生じた第1の料金情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
前記受信部が前記第1の識別情報を受信した場合に、前記第1の無線通信装置と、前記第1の車両が前記有料道路を走行し続けた場合に前記第1の無線通信装置の後に通信可能となる第2の無線通信装置と、の間に設けられた第1の出口から、前記第1の車両が通過した場合の第1の合計料金を、前記第1の識別情報と前記記憶部で対応付けられている前記第1の料金情報と、前記第1の位置から前記第1の出口までの料金と、に基づいて算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記第1の合計料金と前記第1の識別情報とを対応付けて、前記第1の出口に設けられた装置に送信する送信部と、
を備えた料金処理システム。
【請求項2】
らに、前記受信部前記第2の無線通信装置から前記第1の識別情報を受信た場合に、前記第1の識別情報と対応付けられて前記記憶部に記憶された前記第1の料金情報を、前記第1の車両が前記第2の無線通信装置が設けられた第2の位置まで前記有料道路を走行したことで生じた第2の料金情報に更新する更新部を備え
前記算出部は、さらに、前記第2の無線通信装置と、前記第1の車両が前記有料道路を走行し続けた場合に前記第2の無線通信装置の後に通信可能となる第3の無線通信装置と、の間に設けられた第2の出口から、前記第1の車両が通過した場合の第2の合計料金を、前記第1の識別情報と前記記憶部で対応付けられている前記第2の料金情報と、前記第2の位置から前記第2の出口までの料金と、に基づいて算出し、
前記送信部は、さらに、前記算出部により算出された前記第2の合計料金と前記第1の識別情報とを対応付けて、前記第2の出口に設けられた装置に送信する、
請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項3】
前記受信部は、前記第1の無線通信装置としてITS(Intelligent Transport Systems)スポットから、前記第1の識別情報として、前記第1の車両に搭載された、前記ITSスポットと無線通信可能なDSRC(Dedicated Short Range Communication)用車載器を識別する車載器識別情報を受信する、
請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項4】
前記算出部は、さらに、前記第1の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置と、の間に前記第1の出口が複数設けられている場合に、前記第1の出口毎に、前記第1の合計料金を算出し、
前記送信部は、さらに、前記算出部により前記第1の出口毎に算出された前記第1の合計料金を、前記第1の識別情報と対応付けて、前記第1の出口毎に送信する、
請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項5】
前記受信部は、さらに、前記第1の出口毎に設けられた装置のうちいずれか一つから、前記第1の車両を識別する前記第1の識別情報を受信し、
前記送信部は、前記第1の出口毎に設けられた装置のうちいずれか他方に対して、前記第1の識別情報と対応付けられた前記第1の合計料金の削除要求を送信する、
請求項4に記載の料金処理システム。
【請求項6】
料金処理システムで実行される料金処理方法であって、
有料道路上に設けられた第1の無線通信装置から、前記有料道路を走行している第1の車両を識別する第1の識別情報を受信し、
前記第1の車両を識別する第1の識別情報と、当該第1の車両が前記第1の無線通信装置が設けられた第1の位置まで前記有料道路を走行したことで生じた第1の料金情報と、を対応付けて記憶部に記憶し、
前記第1の識別情報を受信した場合に、前記第1の無線通信装置と、前記第1の車両が前記有料道路を走行し続けた場合に前記第1の無線通信装置の後に通信可能となる第2の無線通信装置と、の間に設けられた第1の出口から、前記第1の車両が通過した場合の第1の合計料金を、前記第1の識別情報と前記記憶部で対応付けられている前記第1の料金情報と、前記第1の位置から前記第1の出口までの料金と、に基づいて算出し、
前記第1の合計料金を、前記第1の識別情報と対応付けて、前記第1の出口に設けられた装置に送信する、
料金処理方法。
【請求項7】
前記第2の無線通信装置から前記第1の識別情報を受信した場合に、前記第1の識別情報と前記記憶部に対応付けられた前記第1の料金情報を、前記第1の車両が前記第2の無線通信装置が設けられた第2の位置まで前記有料道路を走行したことで生じた第2の料金情報に更新し、
前記第2の無線通信装置と、前記第1の車両が前記有料道路を走行し続けた場合に前記第2の無線通信装置の後に通信可能となる第3の無線通信装置と、の間に設けられた第2の出口から、前記第1の車両が通過した場合の第2の合計料金を、前記第1の識別情報と前記記憶部で対応付けられている前記第2の料金情報と、前記第2の位置から前記第2の出口までの料金と、に基づいて算出し、
前記第2の合計料金を、前記第1の識別情報と対応付けて、前記第2の出口に設けられた装置に送信する、
請求項6に記載の料金処理方法。
【請求項8】
前記第1の無線通信装置としてITS(Intelligent Transport Systems)スポットから、前記第1の識別情報として、前記第1の車両に搭載された、前記ITSスポットと無線通信可能なDSRC用車載器を識別する車載器識別情報を受信する、
請求項6に記載の料金処理方法。
【請求項9】
前記第1の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置と、の間に前記第1の出口が複数設けられている場合に、前記第1の出口毎に、前記第1の合計料金を算出し、
前記第1の出口毎に算出された前記第1の合計料金を、前記第1の識別情報と対応付けて、前記第1の出口毎に送信する、
請求項6に記載の料金処理方法。
【請求項10】
前記第1の出口毎に設けられた装置のうちいずれか一つから、前記第1の車両を識別する前記第1の識別情報を受信し、
前記第1の出口毎に設けられた装置のうちいずれか他方に対して、前記第1の識別情報と対応付けられた前記第1の合計料金の削除要求を送信する、
請求項9に記載の料金処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、料金処理システム、及び料金処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有料道路向けの料金収受システム(例えば、ETC(Electronic Toll Collection、登録商標)システム)では、入口ゲート(入口料金所に設けられたゲート)及び出口ゲート(出口料金所に設けられたゲート)を通過した際に、車両に搭載したETC車載器と通信を行うことで、車両が有料道路に流入した入口ゲートと、車両が有料道路から流出した出口ゲートとを特定できる。そして、料金収受システムは、車両が流入した入口ゲートから、車両が流出した出口ゲートまでの料金を算出し、当該料金を収受するよう制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−026777号公報
【特許文献2】特開平10−275261号公報
【特許文献3】特開2003−337966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、特定された入口ゲート及び出口ゲートに基づいて料金を算出しているので、入口ゲートから出口ゲートまでに複数の経路が存在する場合に、経路に応じた料金の請求が難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の料金処理システムは、受信部と、記憶部と、算出部と、送信部と、を備える。受信部は、有料道路上に設けられた第1の無線通信装置から、有料道路を走行している第1の車両を識別する第1の識別情報を受信する。記憶部は、第1の車両を識別する第1の識別情報と、当該第1の車両が第1の無線通信装置が設けられた第1の位置まで有料道路を走行したことで生じた第1の料金情報と、を対応付けて記憶する。算出部は、受信部が第1の識別情報を受信した場合に、第1の無線通信装置と、第1の車両が有料道路を走行し続けた場合に第1の無線通信装置の後に通信可能となる第2の無線通信装置と、の間に設けられた第1の出口から、第1の車両が通過した場合の第1の合計料金を、第1の識別情報と記憶部で対応付けられている第1の料金情報と、第1の位置から第1の出口までの料金と、に基づいて算出する。送信部は、算出部により算出された第1の合計料金を、第1の識別情報と対応付けて、第1の出口に設けられた装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の料金処理システムの構成例を示した図である。
図2図2は、実施形態の路側送受信制御部が、入口ゲートから受信した、有料道路に流入した車両に関する流入車両情報を例示した図である。
図3図3は、実施形態の車両情報データベースのテーブル構造を例示した図である。
図4図4は、実施形態の車両が、第2のITSスポットを通過する際に行われる処理の流れを例示した図である。
図5図5は、実施形態の車両が、第3の出口ゲートを通過する際に行われる処理の流れを例示した図である。
図6図6は、実施形態の有料道路の第Nのゾーンを例示した図である。
図7図7は、実施形態の料金処理システムにおける車両の料金処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、実施形態の料金処理システム1の構成例を示した図である。図1の料金処理システム1は、料金収受システム100と、経路予想システム120と、経路料金算出システム140と、で構成されている。
【0008】
図1に示される、実施形態の料金処理システム1で管理対象となる有料道路について説明する。有料道路は、当該有料道路に流入するための第1の入口ゲート171が設けられている。また、有料道路は、当該有料道路から流出するための第1の出口ゲート181、第2の出口ゲート182、第3の出口ゲート183、及び第4の出口ゲート184が設けられている。
【0009】
第1の入口ゲート171は、入口に設けられた、車両に搭載されたETC用車載器と無線通信可能な装置の例とする。第1の出口ゲート181、第2の出口ゲート182、第3の出口ゲート183、及び第4の出口ゲート184は、出口に設けられた、ETC用車載器と無線通信可能な装置の例とする。
【0010】
さらに、有料道路は、走路に沿ってITSスポット(例えば、第1のITSスポット161、第2のITSスポット162、第3のITSスポット163)が設けられている。
【0011】
また、本実施形態では、有料道路に設けられたITSスポットと無線通信を行うためには、車両にDSRC(Dedicated Short Range Communication:“専用狭域通信”)用車載器を搭載する必要がある。そして、ITSスポットは、車両に搭載されたDSRC用車載器との間で無線通信を行う。
【0012】
ITSスポットは、車両の運転者に対して、多様な情報サービスを行うために設けられたスポットである。ITSスポットからの提供される情報サービスにより、車両の運転者は、広範囲の渋滞データで適切なルート選択するためのダイナミックルートガイダンスや、運転中に注意喚起する安全運転支援等のサービスの提供を受けることができる。
【0013】
本実施形態では、ITSスポットとDSRC用車載器との間の無線通信として、例えばDSRCを用いる。これにより、ITSスポットと、DSRC用車載器との間で双方向通信を可能とする。また、双方向通信に使用する周波数帯を制限するものではないが、例えば5.8GHzを用いることが考えられる。
【0014】
入口ゲート及び出口ゲートと、ETC用車載器との間の無線通信として、ETCを用いる。これにより、入口ゲート及び出口ゲートと、ETC用車載器との間で通信を可能とする。
【0015】
本実施形態の有料道路は、ITSスポットの間の有料道路を、ゾーンとして区切っている。図1に示される例では、第1のITSスポット161及び第2のITSスポット162の間を第1のゾーンとし、第2のITSスポット162及び第3のITSスポット163の間を第2のゾーンとし、第3のITSスポット163及び(図示しない)第4のITSスポットの間を第3のゾーンとする。
【0016】
本実施形態の料金処理システム1は、ETC用車載器が入口ゲートと通信を行った際に、当該車載器が搭載された車両が有料道路の走行を開始するものとして処理し、ETC用車載器が出口ゲートと通信を行った際に、当該車載器が搭載された車両が有料道路の走行を終了したものとして処理する。
【0017】
従来の料金処理システムでは、ETCにより入口と出口の情報を元に課金をしているため、入口から出口まで、複数の経路がある場合も一定の料金で課金を行っていた。この場合、入口及び出口が同一であっても、短い経路を選択した車両と、長い距離を選択した車両と、で生じる料金が同じになるため、不公平が生じる。そこで、本実施形態の料金処理システム1は、ITSスポットを利用して経路に応じて料金を設定する手法を提案する。より詳細な例としては、車両が、ITSスポット間の走路をゾーンとして定義し、車両が走行したゾーンに応じた料金を収受することとした。
【0018】
次に、本実施形態の料金収受システム100について説明する。本実施形態の料金収受システム100は、第1のネットワークI/F101と、第2のネットワークI/F102と、制御部103と、ゾーン保持データベース104と、を備えている。
【0019】
第1のネットワークI/F101は、料金処理システム1内に設けられたシステム間で通信を行うためのネットワークであって、例えば、経路予想システム120、及び経路料金算出システム140との間でデータの送受信を可能とする。
【0020】
第2のネットワークI/F102は、有料道路に沿って設けられた施設及び装置と通信を行うためのネットワークであって、例えば、第1のITSスポット161、第2のITSスポット162、及び第3のITSスポット163の間でデータの送受信を可能とする。また、第2のネットワークI/F102は、第1の入口ゲート171、第1の出口ゲート181、第2の出口ゲート182、第3の出口ゲート183、及び第4の出口ゲート184の間でデータの送受信を可能とする。
【0021】
ゾーン保持データベース104は、HDDなどの記憶媒体上に設けられたデータベースであって、ゾーン毎に、当該ゾーンの開始位置となるITSスポットと、当該ゾーンの終了位置となるITSスポットと、当該ゾーンに含まれている出口ゲートと、を対応付けて記憶している。
【0022】
制御部103は、料金収受システム100全体を制御する構成であって、(図示しない)CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。制御部103は、(図示しない)CPUがROMやHDDに格納されたプログラムを実行することで、路側送受信制御部105と、送受信制御部106と、を実現する。
【0023】
路側送受信制御部105は、第2のネットワークI/F102を介して、ITSスポット、入口ゲート、及び出口ゲートの間で行われるデータの送受信を制御する。
【0024】
送受信制御部106は、第1のネットワークI/F101を介して、経路予想システム120、及び経路料金算出システム140の間で行われるデータの送受信を制御する。
【0025】
そして、路側送受信制御部105が、ITSスポット、入口ゲート又は出口ゲートから、走行している車両を識別する識別情報を受信した場合に、送受信制御部106は、経路予想システム120及び経路料金算出システム140のうちいずれか一つ以上に対して、受信した情報に対応する命令等を送信する。
【0026】
本実施形態では、車両を識別する情報として、車両に搭載されたETC用車載器またはDSRC用車載器の車載器IDを用いる例について説明する。なお、本実施形態では、車載器IDを用いるが、車両を識別する情報であれば、どのような情報でも良い。
【0027】
例えば、第1の入口ゲート171から車両190が流入する場合に、路側送受信制御部105は、第1の入口ゲート171から、車両190の車載器IDを含む流入車両情報を受信する。
【0028】
図2は、本実施形態の路側送受信制御部105が、第1の入口ゲート171から受信した、有料道路に流入した車両190に関する流入車両情報を例示した図である。図2に示されるように、受信した流入車両情報としては、流入した車両に搭載されている車載器の車載器ID、当該車両が流入した第1の入口ゲート171を示す入口ゲートID、及び当該車載器が第1の入口ゲート171と通信を開始した、換言すれば車両が第1の入口ゲート171を通過した時刻を含んでいる。
【0029】
そして、路側送受信制御部105が、第1の入口ゲート171から、流入車両情報を受信した場合に、送受信制御部106は、当該流入車両情報を、車両情報データベース142に登録する旨の命令を、経路料金算出システム140に送信する。このように、経路料金算出システム140は、有料道路を走行している車両毎の情報を管理する。
【0030】
また、路側送受信制御部105が、ITSスポットから、ITSスポットを通過した車両に搭載されている車載器ID、及び当該ITSスポットの識別情報(以下、ITSスポットIDとも称す)を含んだ通過車両情報を受信した場合に、送受信制御部106は、当該通過車両情報を、経路予想システム120に送信する。これにより、経路予想システム120が、ITSスポットを通過した車両が流出可能な出口ゲートを特定する。
【0031】
本実施形態の経路予想システム120は、経路データベース121と、制御部122と、ネットワークI/F123と、を備えている。
【0032】
ネットワークI/F123は、料金処理システム1内に設けられたシステム間で通信を行うためのネットワークであって、例えば、料金収受システム100、及び経路料金算出システム140との間でデータの送受信を可能とする。
【0033】
経路データベース121は、HDDなどの記憶媒体上に設けられたデータベースであって、有料道路の経路と、当該経路上に設けられたITSスポットの識別情報と、当該ITSスポットの位置情報と、当該経路上に設けられた入口ゲート、及び出口ゲートを記憶している。例えば、ITSスポットの識別情報を用いて、経路データベース121を参照することで、当該ITSスポットの位置、当該ITSスポットから開始されるゾーン、及び当該ゾーン(換言すれば当該ITSスポットを通過した車両が次に通過するITSスポットまでの間)に存在する出口ゲートを特定できる。
【0034】
制御部122は、経路予想システム120全体を制御する構成であって、(図示しない)CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。制御部122は、(図示しない)CPUがROMやHDDに格納されたプログラムを実行することで、出口特定部124と、送受信制御部125と、を実現する。
【0035】
送受信制御部125は、ネットワークI/F123を介して、料金収受システム100、及び経路料金算出システム140の間で行われるデータの送受信を制御する。
【0036】
出口特定部124は、送受信制御部125が、料金収受システム100から、通過車両情報(車載器ID及びITSスポットの識別情報(例えば、ITSスポットID)を含む)を受信した場合に、経路データベース121を参照し、当該ITSスポットの識別情報で識別されるITSスポットから開始されるゾーンを特定する。さらに、出口特定部124は、当該ゾーンに含まれている出口ゲートを特定する。
【0037】
そして、送受信制御部125は、受信した車載器ID及びITSスポットの識別情報の他に、出口特定部124により特定されたゾーン及び出口ゲートの識別情報(以下、出口ゲートIDとも称す)を対応付けて、経路料金算出システム140に送信する。これにより、経路料金算出システム140は、当該車両に関する料金の算出が可能となる。
【0038】
本実施形態の経路料金算出システム140は、料金情報データベース141と、車両情報データベース142と、制御部143と、ネットワークI/F144と、を備えている。
【0039】
ネットワークI/F144は、料金処理システム1内に設けられたシステム間で通信を行うためのネットワークであって、例えば、料金収受システム100、及び経路予想システム120との間でデータの送受信を可能とする。
【0040】
料金情報データベース141、及び車両情報データベース142は、HDDなどの記憶媒体上に設けられたデータベースとする。
【0041】
料金情報データベース141は、車両が有料道路を走行したときに生じる料金を算出するために用いるデータベースとする。本実施形態の料金情報データベース141は、各ゾーンの通行料金を記憶している。さらに、料金情報データベース141は、ゾーン毎に、当該ゾーンの開始位置から、有料道路から流出するための出口までの通行料金を記憶している。なお、必要に応じて、車種毎に異なる通行料金を設定しても良い。
【0042】
車両情報データベース142は、有料道路を走行している車両に関する情報を記憶するデータベースとする。
【0043】
図3は、本実施形態の車両情報データベース142のテーブル構造を例示した図である。図3に示されるように、車両情報データベース142は、車載器IDと、入口ゲートIDと、時刻と、ゾーン料金と、確定料金と、出口ゲート毎料金と、を対応付けて記憶する。車載器IDは、車両に搭載されたETC用車載器やDSRC用車載器を識別する情報であって、入口ゲートやITSスポットと無線通信を行った車両の識別情報として用いる。入口ゲートIDは、車両が有料道路に流入した際に利用した入口ゲートの識別情報とする。時刻は、車両が有料道路に流入した時刻とする。ゾーン料金は、車両がこれから走行するゾーンの料金とする。確定料金は、車両が今まで通過したゾーンに基づいた合計料金であって、最後に通信を行ったITSスポットが設けられた位置まで有料道路を走行したことで生じた料金情報とする。
【0044】
出口ゲート毎料金は、車両が現在走行しているゾーン内に設けられた出口ゲート毎に設定された料金であって、当該ゾーンの開始位置から当該出口ゲートまでの料金とする。本実施形態では、今まで走行してきたゾーンの“確定料金”に、当該ゾーンの開始位置から出口ゲートまでの料金である“出口ゲート毎料金”を加算することで、合計料金を算出できる。
【0045】
制御部143は、経路料金算出システム140全体を制御する構成であって、(図示しない)CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。制御部143は、(図示しない)CPUがROMやHDDに格納されたプログラムを実行することで、更新部145と、算出部146と、送受信制御部147と、を実現する。
【0046】
送受信制御部147は、ネットワークI/F144を介して、料金収受システム100、及び経路予想システム120の間で行われるデータの送受信を制御する。
【0047】
算出部146は、送受信制御部147が経路予想システム120から、車載器ID、ITSスポットの識別情報、ゾーン、及び出口ゲートIDを受信する毎に、既に車両情報データベース142に登録されている“確定料金”に、新しいゾーンに入る前まで走行していたゾーンの通行料金として、既に車両情報データベース142に登録されている“ゾーン料金”を加算した料金を、次の“確定料金”として算出する。
【0048】
更新部145は、車両情報データベース142に対して、車両の進行状況に応じて、車両に関する情報の登録、更新を行う。
【0049】
本実施形態の更新部145は、車両情報データベース142の“ゾーン料金”、“確定料金”、及び“出口ゲート毎料金”を、車両が走行しているゾーンが切り替わる毎、換言すれば送受信制御部147が経路予想システム120から、車載器ID、ITSスポットの識別情報、ゾーン、及び出口ゲートIDを対応付けた情報を受信する毎に更新する。
【0050】
例えば、更新部145は、“確定料金”を、車両が走行しているゾーンが切り替わる毎に、算出部146により算出された“確定料金”、換言すれば既に登録されている“確定料金”に、切り替わる前まで走行していたゾーンの通行料金である“ゾーン料金”を加算した料金で更新する。つまり、ゾーンが切り替わる毎に、車両情報データベース142の“確定料金”に対して、今回走行していたゾーンの通行料金を示した“ゾーン料金”が加算される。また、更新部145は、“出口ゲート毎料金”を、新しいゾーンに含まれている出口ゲート毎の料金に切り替える。
【0051】
その後、更新部145は、料金情報データベース141を参照し、新しいゾーンに対応する通行料金を取得し、取得した通行料金を“ゾーン料金”として更新する。更新された“ゾーン料金”は、上述したように、当該新しいゾーンを通過した後に、“確定料金”を更新するために使用される。
【0052】
また、“出口ゲート毎料金”は、料金情報データベース141に登録されているものとする。更新部145は、料金情報データベース141を参照して、“出口ゲート毎料金”を更新する。
【0053】
算出部146は、送受信制御部147が経路予想システム120から、車載器ID、ITSスポットの識別情報、ゾーン、及び出口ゲートIDを受信する毎に、新しいゾーン(車両が現在通過したITSスポットと、車両が有料道路を走行し続けた場合に次に通信可能となるITSスポットと、の間)に設けられた出口から、当該車両が通過した場合の合計料金を、車載器IDと車両情報データベース142で対応付けられている“確定料金”と、出口までの料金“出口ゲート毎料金”と、に基づいて算出する。
【0054】
そして、送受信制御部147が、料金収受システム100に対して、算出部146により算出された、出口ゲート毎に算出された合計料金を、車載器IDと対応付けて送信するよう指示する。
【0055】
これにより、料金収受システム100の路側送受信制御部105が、合計料金と車載器IDとを対応付けて、出口ゲートに送信する。これにより、出口ゲート毎に、車両毎の合計料金が設定される。
【0056】
図1に示された、車両190が第1のITSスポット161を通過する例について説明する。なお、車両190が、第1の入口ゲート171を通過した際に、車両情報データベース142に、当該車両190の車載器ID、第1の入口ゲート171の入口ゲートID、時刻、及び“確定料金”の初期値が既に設定されているものとする。
【0057】
料金収受システム100の路側送受信制御部105が、第1のITSスポット161から、当該車両を識別するための車載器ID、第1のITSスポット161の識別情報を受信する。これにより、料金収受システム100は、車両190が第1のゾーンに入ったことを認識できる。
【0058】
料金収受システム100の送受信制御部106は、経路予想システム120に対して、車載器ID、第1のITSスポット161の識別情報を送信する。
【0059】
経路予想システム120の送受信制御部125が、車載器ID、及び第1のITSスポット161の識別情報を受信した場合に、出口特定部124が、車両190が、第1のITSスポット161から開始される第1のゾーンに入ったことを特定する。さらに、出口特定部124は、第1のゾーンに含まれている出口ゲートとして、第1の出口ゲート181を特定する。そして、送受信制御部125が、車載器ID、第1のITSスポット161の識別情報、第1のゾーン、及び第1の出口ゲートIDを、経路料金算出システム140に送信する。
【0060】
そして、経路料金算出システム140の送受信制御部147が、車載器ID、第1のITSスポット161の識別情報、第1のゾーンに入った旨、及び第1の出口ゲートIDを受信した場合に、更新部145が、車両情報データベース142に車両190に関する情報を更新する。本実施形態では、“ゾーン料金”に第1のゾーンの通行料金を更新し、“出口ゲート毎の料金”に第1の出口ゲート181までの料金を更新する。
【0061】
算出部146は、第1のゾーン(第1のITSスポット161と、車両190が有料道路を走行し続けた場合に第1のITSスポット161の後に通信可能となる第2のITSスポット162と、の間)に設けられた第1の出口ゲート181を、車両190が通過した場合の合計料金を算出する。例えば、“確定料金”の初期値に、“出口ゲート毎の料金”に設定された第1の出口ゲート181までの料金を加算する。
【0062】
そして、送受信制御部147が、料金収受システム100に対して、車両190の車載器ID、第1の出口ゲートID、及び、第1の出口ゲート181までの合計料金を送信する。そして、料金収受システム100の路側送受信制御部105が、第1の出口ゲート181に対して、車両190の車載器ID、及び車両190が通過した場合の合計料金を対応付けて送信する。
【0063】
第1の出口ゲート181は、車両190の車載器ID、及び合計料金を対応付けて保持し、車両190が通過する際に、車両190のETC用車載器と無線通信して、車載器IDを確認する。そして、第1の出口ゲート181は、確認した車載器IDと対応付けられた合計料金を表示する。
【0064】
また、料金収受システム100の路側送受信制御部105は、第2のITSスポット162に対して、これから通過する予定の車両190に関する情報として、車載器IDを送信しても良い。車両190に関する情報としては、車両190の車載器IDの他に、第2のITSスポット162を通過した際の確定料金を含めても良い。当該確定料金は、上述した構成で算出可能なため説明を省略する。これにより、第2のITSスポット162を車両190が通過する際にこれまで走行してきた経路に基づく確定料金を、車両190のDSRC用車載器へ通知が可能となる。
【0065】
図4は、実施形態の車両190が、第2のITSスポット162を通過する際に行われる処理の流れを例示した図である。
【0066】
料金収受システム100の路側送受信制御部105が、第2のITSスポット162から、第2のITSスポット162を通過する車両190を識別するための車載器ID、第2のITSスポット162の識別情報を受信する(S401)。
【0067】
料金収受システム100の送受信制御部106は、経路予想システム120に対して、車載器ID、第2のITSスポット162の識別情報を送信する。
【0068】
経路予想システム120の出口特定部124が、車両190が、第2のITSスポット162から開始される第2のゾーンに入ったことを特定する。さらに、出口特定部124は、第2のゾーンに含まれている出口ゲートとして、第2の出口ゲート182、及び第3の出口ゲート183を特定する。そして、送受信制御部125が、車載器ID、第2のITSスポット162の識別情報、第2のゾーンに入った旨、第2の出口ゲートID、及び第3の出口ゲートIDを、経路料金算出システム140に送信する。
【0069】
そして、経路料金算出システム140の送受信制御部147が、車載器ID、第2のITSスポット162の識別情報、第2のゾーンに入った旨、第2の出口ゲートID、及び第3の出口ゲートIDを受信した場合に、更新部145が、車両情報データベース142に車両190に関する情報を更新する。本実施形態では、更新部145は、“確定料金”の初期値に、“ゾーン料金”に格納されている第1のゾーンの通行料金を加算した金額で、“確定料金”を更新する。さらに、更新部145は、“出口ゲート毎料金”を、第2のITSスポット162からITS第2の出口ゲート182までの料金と、第2のITSスポット162から第3の出口ゲート183までの料金とで更新する。さらに、更新部145は、料金情報データベース141に基づいて、“ゾーン料金”を、第2のゾーンの通行料金で更新する。
【0070】
算出部146は、ゾーンの間に複数の出口が設けられている場合、出口毎に、合計料金を算出する。図4に示す例では、算出部146は、第2の出口ゲート182を車両190が通過した場合の合計料金、及び第3の出口ゲート183を車両190が通過した場合の合計料金を算出する。例えば、算出部146は、更新後の“確定料金”に、“出口ゲート毎の料金”に設定された第2の出口ゲート182までの料金を加算すると共に、更新後の“確定料金”に、“出口ゲート毎料金”に設定された第3の出口ゲート183までの料金を加算する。
【0071】
そして、送受信制御部147が、料金収受システム100に対して、車両190の車載器ID、第2の出口ゲートID、第2の出口ゲート182までの合計料金、第3の出口ゲートID、及び第3の出口ゲート183までの合計料金を送信する。
【0072】
料金収受システム100の路側送受信制御部105が、車両190が通過した第1のゾーンに含まれている第1の出口ゲート181に対して、車両190の車載器ID、及び車両190が通過した場合の合計料金の削除要求を送信する(S402)。なお、車両190が通過した第1のゾーン、及び当該第1のゾーンに含まれている第1の出口ゲート181の特定は、ゾーン保持データベース104に基づいて行われる。
【0073】
料金収受システム100の路側送受信制御部105は、経路料金算出システム140により出口毎に算出された合計料金を、車載器IDと対応付けて出口毎に送信する。図4に示す例では、料金収受システム100の路側送受信制御部105が、第2の出口ゲートIDで識別される第2の出口ゲート182に対して、車両190の車載器ID、及び車両190が第2の出口ゲート182を通過した場合の合計料金を送信する(S403)。また、路側送受信制御部105が、第3の出口ゲートIDで識別される第3の出口ゲート183に対して、車両190の車載器ID、及び車両190が第3の出口ゲート183を通過した場合の合計料金を送信する(S404)。
【0074】
また、料金収受システム100の路側送受信制御部105は、第3のITSスポット163に対して、これから通過する予定の車両190に関する情報を送信する(S405)。車両190に関する情報としては、車両190の車載器IDの他に、当該第3のITSスポット163を通過した際の“確定料金”を含める。当該確定料金は、上述した構成で算出可能なため説明を省略する。これにより、第3のITSスポット163を車両190が通過する際に、走行経路に基づく確定料金を、車両190のDSRC用車載器のディスプレイに表示可能となる。
【0075】
図4に示される制御は、ITSスポットが車両190から車載器IDを受信する毎に、換言すれば車両190が新しいゾーンに入る毎に行われる。当該制御が、車両190が新しいゾーンに入る毎に行われることで、車両190の経路に応じた料金の算出と、当該ゾーンに存在する出口毎に料金の設定と、が可能となる。
【0076】
図5は、本実施形態の車両190が、第3の出口ゲート183を通過する際に行われる処理の流れを例示した図である。
【0077】
本実施形態の料金収受システム100の路側送受信制御部105は、ゾーン内の出口ゲートのうちいずれか一つから、車載器IDを受信した場合に、当該ゾーン内の出口ゲートのうちいずれか他方に対して、受信した車載器IDと対応付けられた合計料金の削除要求を送信する。
【0078】
図5に示す例では、料金収受システム100の路側送受信制御部105が、第3の出口ゲート183から、第3の出口ゲート183を通過する車両190を識別するための車載器ID、第3の出口ゲートID、及び車両190の合計料金を受信する(S501)。
【0079】
料金収受システム100の送受信制御部106は、第3の出口ゲート183と同じゾーンに設けられた、第2の出口ゲート182に対して、第3の出口ゲート183を通過する車両190を識別するための車載器IDと共に当該車載器IDと対応付けられた合計料金の削除要求を送信する(S502)。なお、第3の出口ゲート183と同じゾーンに設けられた、第2の出口ゲート182の特定は、ゾーン保持データベース104を参照して行われる。
【0080】
そして、料金収受システム100は、受信した車載器ID、及び車両190の合計料金に基づいて料金を収受するための処理を行う。当該処理は、従来と同様の処理でもよく、説明を省略する。
【0081】
また、ゾーンは、ITSスポットで区切られた有料道路の区間であればよく、合流や分岐が含まれていても良い。
【0082】
図6は、本実施形態の有料道路の第Nのゾーンを例示した図である。図6に示されるように、第Nのゾーンは、分岐601を含んだ区間であって、ITSスポット661から、ITSスポット662及びITSスポット663までの区間とする。換言すれば、ITSスポット661を通過した車両が、ITSスポット662及びITSスポット663のうちいずれか一方を通過するまでが、第Nのゾーンとなる。
【0083】
そして、料金収受システム100の路側送受信制御部105は、車両が第Nのゾーンに流入した際に、第Nのゾーンに含まれている出口ゾーン681、682、683に対して、当該車両の合計料金を送信している。また、図6では、分岐の場合について説明したが、合流の場合についても同様の制御が行われるものとする。
【0084】
次に、本実施形態の料金処理システム1における車両の料金処理について説明する。
図7は、本実施形態の料金処理システム1における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
料金収受システム100の路側送受信制御部105は、入口ゲートから、流入車両情報(車載器ID、入口ゲートを識別する入口ゲートID、及び入口ゲートを通過した時刻)を受信する(ステップS701)。
【0086】
次に、送受信制御部106は、流入車両情報(車載器ID、入口ゲートを識別する入口ゲートID、及び入口ゲートを通過した時刻)を、経路料金算出システム140に送信する(ステップS702)。
【0087】
そして、経路料金算出システム140の送受信制御部147は、料金収受システム100から、流入車両情報を受信する(ステップS741)。そして、更新部145が、流入車両情報に基づいて、車両情報データベース142に、入口ゲートから流入した車両に関する情報(車載器ID、入口ゲートID、及び時刻)を登録する(ステップS742)。
【0088】
その後、料金収受システム100の路側送受信制御部105は、ITSスポットから、通過車両情報(車載器ID、及び車両が通過したITSスポットID)を受信したか否かを判定する(ステップS703)。受信しなかった場合(ステップS703:No)、ステップS708に遷移する。
【0089】
一方、路側送受信制御部105は、ITSスポットから、通過車両情報を受信したと判定した場合(ステップS703:Yes)、ITSスポットから受信した通過車両情報を、経路予想システム120に送信する(ステップS704)。
【0090】
経路予想システム120の送受信制御部125は、料金収受システム100から、通過車両情報を受信する(ステップS721)。経路予想システム120の出口特定部124が、経路データベース121を参照して、ITSスポットIDから、車載器IDで識別される車両が走行するゾーンを特定する(ステップS722)。経路予想システム120の出口特定部124が、経路データベース121を参照して、特定したゾーンに含まれている出口ゲートを特定する(ステップS723)。なお、特定された出口ゲートの識別情報を出口ゲートIDとする。
【0091】
経路予想システム120の送受信制御部125は、経路料金算出システム140に対して、ITSスポットID、ゾーン、特定された出口ゲートID、及び車載器IDを、経路料金算出システム140に送信する(ステップS724)。
【0092】
経路料金算出システム140の送受信制御部147は、経路予想システム120から、ITSスポットID、ゾーン、特定された出口ゲートID、及び車載器IDを、経路料金算出システム140を受信したか否かを判定する(ステップS743)。受信していないと判定した場合(ステップS743:No)、ステップS743の処理を繰り返す。
【0093】
一方、送受信制御部147が、経路予想システム120から、ITSスポットID、ゾーン、特定された出口ゲートID、及び車載器IDを、経路料金算出システム140を受信したと判定した場合(ステップS743:Yes)、算出部146が、受信したゾーンに入る前まで走行していたゾーンまでの“確定料金”を算出する(ステップS744)。そして、更新部145が、“ゾーン料金”、“確定料金”及び出口ゲートIDで識別される出口までの“出口ゲート毎料金”を、車載器IDと対応付けて、車両情報データベース142を更新する(ステップS745)。
【0094】
算出部146が、“確定料金”及び“出口ゲート毎料金”に基づいて、車両が出口ゲートから流出した場合の合計料金を算出する(ステップS746)。また、算出部146は、車両が走行を開始したゾーンを走行し終えた場合の合計料金を算出する。
【0095】
そして、送受信制御部147が、料金収受システム100に対して、ゾーン内の出口ゲート毎に合計料金の送信指示を行う(ステップS747)。なお、送信指示を行う際に、合計料金は車載器IDと対応付けておく。また、送受信制御部147が、料金収受システム100に対して、車両が走行を開始したゾーンを走行し終えた場合の合計料金も送信する。
【0096】
そして、料金収受システム100の送受信制御部106が、ゾーン内の出口ゲート毎の合計料金を受信した場合に、路側送受信制御部105が、出口ゲート毎に、車載器IDと合計料金とを対応付けて送信する(ステップS705)。
【0097】
そして、料金収受システム100の制御部103は、受信した車載器IDで識別される車両の進行方向にITSスポットが存在するか否かを判定する(ステップS706)。ITSスポットが存在しないと判定した場合(ステップS706:No)、ステップS708に遷移する。
【0098】
受信した車載器IDで識別される車両の進行方向にITSスポットが存在すると判定した場合(ステップS706:Yes)、路側送受信制御部105が、進行方向で車両に最も近いITSスポットに対して車載器IDと、車載器IDで識別される車両が走行を開始したゾーンを走行し終えた場合の合計料金と、を送信する(ステップS707)。ITSスポットは、これから通過すると予想される車両に関する情報を保持する。ITSスポットは、当該ITSスポットを通過した際に、当該ITSスポットまで走行した経路に基づく料金の情報を、車両に受け渡すことができる。これにより、当該車両のDSRC用車載器には、ITSスポットまでの合計料金を表示できる。
【0099】
その後、路側送受信制御部105は、出口ゲートから、流出した車両の情報(車載器ID、出口ゲートID、及び合計料金)を受信したか否かを判定する(ステップS708)。受信していないと判定した場合(ステップS708:No)、ステップS703から処理を開始する。
【0100】
一方、路側送受信制御部105は、出口ゲートから、流出した車両の情報(車載器ID、出口ゲートID、及び合計料金)を受信した場合(ステップS708:Yes)、流出した車両の合計料金を確定するための制御を行う(ステップS709)。
【0101】
そして、路側送受信制御部105は、他の出口ゲートに対して、流出した車両に関する、送信済みの合計料金の情報(流出した車両の車載器IDと対応付けられた合計料金)を削除する旨を送信する(ステップS710)。
【0102】
上述した処理手順を行うことで、車両が入口から出口ゲートまでの経路に沿った合計料金の収受が可能となる。
【0103】
なお、本実施形態では、車両の識別情報として、車載器IDを用いる例について説明したが、車両を識別する情報であればよく、例えば、撮像部により撮像されたナンバープレートをOCR処理して抽出された登録番号を用いても良い。
【0104】
上述した実施形態においては、上述した構成を備えることで、車両毎に通過した経路に応じた料金の収受が可能となる。これにより、車両が通過した経路の違いによる料金の違いを抑えることができるため、公平な料金収受を実現できる。
【0105】
さらに、上述した実施形態においては、料金収受システム100から、各出口ゲートに対して、車両毎の合計料金が送信されるため、出口ゲート毎に料金表となるデータベースを保持しなくてもよい。これにより、出口ゲートが有する記憶容量を削減できる。さらには、料金が改定された際に、経路料金算出システム140の料金情報データベース141の情報を更新すれば良く、出口ゲート毎に更新を行わなくても良くなる。これにより、処理負担を軽減できる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
100…料金収受システム、101…第1のネットワークI/F、102…第2のネットワークI/F、103…制御部、104…ゾーン保持データベース、105…路側送受信制御部、106…送受信制御部、120…経路予想システム、121…経路データベース、122…制御部、123…ネットワークI/F、124…出口特定部、125…送受信制御部、140…経路料金算出システム、141…料金情報データベース、142…車両情報データベース、143…制御部、145…更新部、146…算出部、147…送受信制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7