特許第6341405号(P6341405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6341405ウレタン組成物及びウレタンエラストマー成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6341405
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】ウレタン組成物及びウレタンエラストマー成形品
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/12 20060101AFI20180604BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C08G18/12
   C08G18/44
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-219179(P2013-219179)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81278(P2015-81278A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】菅原 学
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特表平04−504138(JP,A)
【文献】 特開2000−302835(JP,A)
【文献】 特開平07−240544(JP,A)
【文献】 特開平08−048740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートポリオール(a1)、ポリエーテルポリオール(a2)及びポリイソシアネート(a3)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)と、水酸基を有する化合物(B)を含む硬化剤(ii)とを含有し、
前記ポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量が、800〜1,000の範囲であり、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量が、150〜1,000g/eq.であることを特徴とするウレタン組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、1,6−ヘキサンジオールを原料として得られたものである請求項1記載のウレタン組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート(a3)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1又は2記載のウレタン組成物。
【請求項4】
前記水酸基を有する化合物(B)が、1,4−ブタンジオールである請求項1〜3のいずれか記載のウレタン組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のウレタン組成物を用いて得られたことを特徴とするウレタンエラストマー成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性、強度及び耐水性に優れるウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタンエラストマーは、柔軟性や機械的強度が優れることから各種ロール部材、工業用ベルト、タイヤ等の分野で広く利用されている。
【0003】
ウレタンエラストマーに用いられるウレタン組成物としては、例えば、ポエーテルポリオールとポリイソシアネートとブロック化剤(C)とを反応して得られるウレタンプレポリマーとトリアミン化合物とを含有するウレタン組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
しかしながら、前記ウレタン組成物中のウレタンプレポリマーの原料として、ポリエーテルポリオールを単独で用いた場合には、所望の強度や耐水性が得られない問題があった。また、前記トリアミン化合物により生成するウレア結合は耐水性を更に低下させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−21113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、柔軟性、強度及び耐水性に優れるウレタン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリカーボネートポリオール(a1)、ポリエーテルポリオール(a2)及びポリイソシアネート(a3)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)と、水酸基を有する化合物(B)を含む硬化剤(ii)とを含有することを特徴とするウレタン組成物、及び、それを用いて得られたウレタンエラストマー成形品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウレタン組成物は、柔軟性、強度及び耐水性に優れるものである。また、本発明で用いるウレタンプレポリマー(A)は保存安定性にも優れるものである。従って、本発明のウレタン組成物は、製紙ロール、鉄鋼ロール、印刷ロール等の工業用ロール;搬送用ベルト、製紙シュープレスベルト等の工業用ベルト;ソリッドタイヤ等の工業用タイヤなどの製造に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)としては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、前記2個以上の活性水素を有する化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。
【0010】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いることができる。これらの炭酸エステルは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0011】
前記2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物などを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、柔軟性及び強度を維持し、低粘度性及び耐水性をより一層向上できる点から、脂肪族ポリオールを用いることが好ましく、1,6−ヘキサンジオールを用いることがよりこの好ましい。
【0012】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量としては、柔軟性、強度及び耐水性の点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、800〜4,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0013】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0014】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0015】
前記ポリエーテルポリオール(a2)としては、例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、柔軟性、強度及び耐水性の点から、ポリエチレンポリオール、ポリテトラメチレンポリオールを用いることが好ましい。
【0016】
前記ポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量としては、柔軟性、強度及び耐水性の点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、800〜4,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリエーテルポリオール(a2)の数平均分子量は、前記ポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量と同様に測定した値を示す。
【0017】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)と前記ポリエーテルポリオール(a2)との質量比[(a1)/(a2)]としては、耐水性をより一層向上できる点から、40/60〜80/20の範囲であることが好ましく、50/50〜70/30の範囲がより好ましい。
【0018】
本発明においては、必要に応じて前記ポリカーボネートポリオール(a1)及び前記ポリエーテルポリオール(a2)以外にその他のポリオールを併用してもよい。
【0019】
前記その他のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ダイマージオール、前記2個以上の活性水素を有する化合物等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ポリイソシアネート(a3)としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−体、2,4’−体、又は2,2’−体、若しくはそれらの混合物)、ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ヌレート変性体、ビュレット変性体、ウレタンイミン変性体、ジエチレングリコールやジプロピレングリコール等の数平均分子量1,000以下のポリオールで変性したポリオール変性体等のジフェニルメタンジイソシアネート変性体、トルレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性をより一層向上できる点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0021】
また、前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとその他のポリイソシアネートを併用する場合には、耐水性の点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量が全ポリイソシアネート中80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0022】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)、前記ポリエーテルポリオール(a2)及び前記ポリイソシアネート(a3)の反応は、柔軟性、強度及び耐水性の点から、前記ポリカーボネートポリオール(a1)及び前記ポリエーテルポリオール(a2)が有する水酸基の合計と、前記ポリイソシアネート(a3)が有するイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)が、1.5〜30の範囲で行うことが好ましく、2〜20の範囲がより好ましく、4〜15の範囲が更に好ましい。
【0023】
前記方法により得られるウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基を有するものであり、そのイソシアネート基当量(以下、「NCO当量」と略記する。)としては、耐水性をより一層向上できる点から、150〜1,000g/eq.の範囲であることが好ましく、200〜500g/eq.の範囲がより好ましい。
【0024】
前記水酸基を有する化合物(B)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用することができる。これらの中でも、耐水性をより一層向上できる点から、1,4−ブタンジオールを用いることが好ましい。
【0025】
前記水酸基を有する化合物(B)には、必要に応じて、アミノ基を有する化合物を併用してもよい。
【0026】
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記アミノ基を有する化合物を用いた場合には、得られるウレタンエラストマー成形品中にウレア結合が生成するが、本発明のウレタン組成物中のウレア結合量としては、特に耐水性の点から、2mol/kg以下であることが好ましく、1mol/kg以下がより好ましい。
【0028】
前記ウレタンプレポリマー(A)と前記化合物(B)との反応は、柔軟性、強度及び耐水性の点から、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基と前記化合物(B)が有する水酸基とのモル比(NCO/OH)が、0.9〜1.1の範囲で行うことが好ましい。
【0029】
本発明のウレタン組成物は、前記ウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)と、前記化合物(B)を含む硬化剤(ii)とを必須の成分とするものであるが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0030】
前記その他の添加剤としては、例えば、触媒、整泡剤、砥粒、充填剤、顔料、増粘剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤等を用いることができる。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、単独で又は2種類以上のものが前記主剤(i)及び硬化剤(ii)のいずれに含有されてもよい。
【0031】
次に、ウレタンエラストマー成形品の製造方法について説明する。
【0032】
前記ウレタンエラストマー成形品の製造方法としては、例えば、混合注型機を用いた方法が挙げられる。
【0033】
具体的には、まず、前記主剤(i)と前記硬化剤(ii)を混合注型機のそれぞれのタンクへ入れて混合し、ウレタン組成物を得る。
【0034】
次いで、型内に注入された状態を40〜150℃で30分〜2時間程度加熱保持した後、好ましくは80〜120℃、8〜17時間の条件でアフターキュアを行い、ウレタンエラストマー清家賓を得る方法が挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
[実施例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた4ツ口フラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)389質量部、クルードMDI(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネートMR−200」、以下「クルードMDI」と略記する。)20質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ポリカーボネートポリオール(宇部興産株式会社製「ETERNACOLL UH−200」、1,6−ヘキサンジオールタイプのポリカーボネートポリオール、数平均分子量;2,000、以下「PC−1」と略記する。)295質量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PEG1000」と略記する。)59質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PTMG1000」と略記する。)236質量部を仕込み混合し、窒素気流下80℃で5時間反応を行い、NCO当量;420のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得て、主剤とした。
次いで、硬化剤として1,4−ブタンジオールを用いて、前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と前記1,4−ブタンジオールが有する水酸基とのモル比(NCO/OH)が1.05となるように両者を撹拌混合し、80℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、80℃の乾燥機に1時間放置し、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことで、直径29mm、高さ12.5mmの円柱状ウレタンエラストマー成形品、及びシート状ウレタンエラストマー成形品を得た。
【0037】
実施例1、2、5、参考例3、4、6
用いる材料を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして円柱状ウレタンエラストマー成形品、及びシート状ウレタンエラストマー成形品を得た。
【0038】
[比較例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた4ツ口フラスコに、2,4−トルエンジイソシアネート(以下「TDI」と略記する。)230質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、PC−1を539質量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量;400、以下「PEG400」と略記する。)115質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1,500、以下「PTMG1500」と略記する。)115質量部を仕込み混合し、窒素気流下80℃で5時間反応を行い、NCO当量;730のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得て、主剤とした。
次いで、硬化剤として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と略記する。)を用いて、前記ウレタンプレポリマー(A−1)が有するイソシアネート基と前記MOCAが有する活性水素基とのモル比(NCO/NH)が1.05となるように両者を撹拌混合し、80℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、80℃の乾燥機に1時間放置し、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことで、直径29mm、高さ12.5mmの円柱状ウレタンエラストマー成形品、及び厚さ12.5mmのシート状ウレタンエラストマー成形品を得た。
【0039】
[比較例2〜4]
用いる材料を表2に示す通りに変更した以外は比較例1と同様にして円柱状ウレタンエラストマー成形品、及びシート状ウレタンエラストマー成形品を得た。
【0040】
[柔軟性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた円形状ウレタンエラストマー成形品を、ダンベル状3号型の打抜き刃を用いて加工し、試験片とした。該試験片をJIS−K6301に準拠し、引張試験機「オートグラフAG−I」(株式会社島津製作所製)を用いて、温度23℃、湿度60%の雰囲気下で、クロスヘッドスピード300mm/分で引張り、試験片の100%モジュラス(MPa)を測定し、柔軟性の評価を行った。
【0041】
[強度の評価方法]
前記[柔軟性の評価方法]と同様の引張試験を行い、抗張力(MPa)、伸び(%)、引裂強度(kN/m)を測定し、強度の評価を行った。
【0042】
[耐水性の評価方法]
耐水性の評価は、湿熱膨潤率及び伸び変化量により評価した。
(湿熱膨潤率の測定方法)
実施例及び比較例で得られたシート状ウレタンエラストマー成形品を、20mm×50cm×2mmに裁断し、試験片とした。該試験片を70℃、湿度95%の恒温恒湿機に1ヶ月保管し、取り出した直後にデジタルノギスを用いてその体積を計測した。保管前後の体積値を用いて下記式(1)により湿熱膨潤率(%)を算出した。
湿熱膨潤率(%)=[(保管後の体積/保管前の体積)−1]×100 (1)
(伸び変化量の測定方法)
実施例及び比較例で得られた円形状ウレタンエラストマー成形品を、ダンベル状3号型の打抜き刃を用いて加工し、試験片とした。該試験片を70℃、湿度95%の恒温恒湿機に1ヶ月保管し、取り出した直後に前記[強度の測定方法]と同様に引張り試験にて伸び(%)を測定した。保管前後の伸びの値を用いて下記式(2)により伸び変化量(%)を算出した。
伸び変化量(%)=[(保管後の伸び/保管前の伸び)−1]×100 (2)
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1〜2中の略語について説明する。
「DC−1800」:ポリエーテルポリオール(日油株式会社製「ユニセーフDC−1800」)
「PTMG2000」:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2,000)
「1,4−BG」:1,4−ブタンジオール
【0046】
本発明のウレタン組成物を用いて得られたウレタンエラストマー成形品である実施例1〜6は、柔軟性、強度及び耐水性に優れることが分かった。
【0047】
一方、比較例1〜4は、硬化剤として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いた態様であるが、いずれも耐水性が不良であった。