(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
振り子型衝撃試験機を用いた、積層体の衝撃吸収性試験(衝撃子の重さ96g、振り上げ角度30°)において、下記式で定義される衝撃吸収率(%)を発泡体層の厚さ(μm)で割った値Rが0.15以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の積層体。
衝撃吸収率(%)={(F0−F1)/F0}×100
(上記式において、F0は支持板のみに衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことであり、F1は支持板と前記積層体とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことである)
発泡体が、アクリル系ポリマー、ゴム、ウレタン系ポリマー、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択された少なくとも1種の樹脂材料で形成されている請求項1〜6の何れか1項に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の積層体は、発泡体で構成された発泡体層と、熱伝導層とを有している。
【0026】
[発泡体層]
前記発泡体層は、厚さが30〜500μmであり、密度が0.2〜0.7g/cm
3、平均セル径が10〜150μmの発泡体で構成されている。なお、本明細書において、発泡体の密度とは「見掛け密度」を意味する。
【0027】
前記発泡体層の厚さの下限は、好ましくは40μm、より好ましくは50μmであり、上限は、好ましくは400μm、より好ましくは300μm、さらに好ましくは200μmである。本発明では、発泡体層の厚さが30μm以上であるため、気泡を均一に含有することができ、優れた衝撃吸収性を発揮できる。また、発泡体層の厚さが500μm以下であるため、微小クリアランスに対しても容易に追従できる。
【0028】
前記発泡体層を構成する発泡体の密度の下限は、好ましくは0.21g/cm
3、より好ましくは0.22g/cm
3、上限は、好ましくは0.6g/cm
3、より好ましくは0.5g/cm
3、さらに好ましくは0.4g/cm
3である。発泡体の密度が0.2g/cm
3以上であることにより強度を維持でき、0.7g/cm
3以下であることにより高い衝撃吸収性が発揮される。また、発泡体の密度が0.2〜0.4g/cm
3の範囲であることにより、さらにより高い衝撃吸収性が発揮される。
【0029】
前記発泡体の平均セル径の下限は、好ましくは15μm、より好ましくは20μmであり、上限は、好ましくは140μm、より好ましくは130μm、さらに好ましくは100μmである。平均セル径が10μm以上であることにより、優れた衝撃吸収性が発揮される。また、平均セル径が100μm以下であるため、圧縮回復性にも優れる。なお、前記発泡体の最大セル径は、例えば、40〜400μmであり、その下限は、好ましくは60μm、より好ましくは80μm、上限は、好ましくは300μm、より好ましくは220μmである。また、前記発泡体の最小セル径は、例えば、5〜70μmであり、その下限は、好ましくは8μm、より好ましくは10μm、上限は、好ましくは60μm、より好ましくは50μmである。
【0030】
本発明では、衝撃吸収性の観点から、平均セル径(μm)と発泡体層の厚さ(μm)の比(前者/後者)は、0.2〜0.9の範囲にあるのが好ましい。上記平均セル径(μm)と発泡シートの厚さ(μm)の比の下限は、好ましくは0.25、より好ましくは0.3であり、上限は、好ましくは0.85、より好ましくは0.8である。
【0031】
前記発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは−30℃以上30℃以下の範囲にあることが好ましい。前記損失正接のピークトップが存在する温度範囲の下限は、より好ましくは−25℃、さらに好ましくは−20℃、特に好ましくは-10℃であり、上限は、より好ましくは20℃、さらに好ましくは10℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ材料の場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲に入ることが望ましい。ピーク温度が−30℃以上であることにより、優れた圧縮回復性が発揮される。また、ピーク温度が30℃以下であることにより、高い柔軟性を示し、優れた衝撃吸収性が発揮される。
【0032】
−30℃以上30℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)は衝撃吸収性の観点から高い方が好ましく、例えば0.2以上、好ましくは0.3以上である。前記ピークトップ強度(最大値)の上限値は、例えば2.0である。
【0033】
このように、前記損失正接(tanδ)のピーク温度、ピークトップ強度が発泡体の衝撃吸収性に大きく寄与する。発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の範囲に存在すると、発泡体の衝撃吸収性が非常に高くなる理由は必ずしも明らかではないが、衝撃の周波数に合うところに前記損失正接(tanδ)のピークが存在していることによるものと推測される。すなわち、前記損失正接(tanδ)が−30℃以上30℃以下の範囲は、粘弾性測定における温度時間換算則より、構造物の落下衝撃に相当する周波数の範囲に換算されるため、−30℃以上30℃以下の範囲に前記損失正接(tanδ)のピーク温度を有する発泡体ほど、衝撃吸収性が高くなると推測される。また、貯蔵弾性率は、発泡体に加わる衝撃エネルギーに対する反発力であり、貯蔵弾性率が高いと衝撃をそのまま反発する。一方で損失弾性率は、発泡体に加わる衝撃エネルギーを熱に換える物性であり、損失弾性率が高いほど衝撃エネルギーを熱に換えるため、衝撃を吸収し、ひずみを小さくする。このことから、衝撃を多く熱に換え、且つ反発力が小さい、すなわち貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接(tanδ)が大きい発泡体ほど、衝撃吸収率が高いと推測される。
【0034】
前記発泡体の初期弾性率は、衝撃吸収性の観点から低い方が望ましい。該初期弾性率(23℃環境下、引張速度300mm/minでの引張試験における10%歪み時の傾きから算出した値)は、好ましくは5N/mm
2以下であり、より好ましくは3N/mm
2以下である。なお、前記初期弾性率の下限値は、例えば、0.1N/mm
2である。
【0035】
前記発泡体層を構成する発泡体としては、前記特性を有していれば、その組成や気泡構造などは特に制限されない。気泡構造としては、連続気泡構造、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造のいずれであってもよい。衝撃吸収性の観点からは、連続気泡構造、半連続半独立気泡構造が好ましい。
【0036】
本発明の積層体における発泡体層は、薄肉でありながら優れた衝撃吸収性を有する。また、衝撃の大きさによらず、優れた衝撃吸収性を発揮する。
【0037】
例えば、本発明の積層体では、振り子型衝撃試験機を用いた、該積層体の衝撃吸収性試験(衝撃子の重さ96g、振り上げ角度30°)において、下記式で定義される衝撃吸収率(%)を発泡体層の厚さ(μm)で割った値R(単位厚さ当たりの衝撃吸収率)が、例えば0.15以上となり、好ましくは0.17以上、さらに好ましくは0.19以上である。なお、前記Rの上限値は、例えば、0.5程度である。
衝撃吸収率(%)={(F
0−F
1)/F
0}×100
(上記式において、F
0は支持板のみに衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことであり、F
1は支持板と前記積層体とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことである)
【0038】
なお、前記衝撃吸収率は、発泡体層の厚さ等によっても異なるが、通常、5〜70%であり、下限は、好ましくは7%、上限は、好ましくは60%である。
【0039】
本発明の積層体において、該積層体の衝撃吸収率(%)(衝撃子の重さ96g、振り上げ角度30°)は、15%以上が好ましく、より好ましくは17%以上、さらに好ましくは19%以上である。
【0040】
振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)の概略構成について、
図1及び
図2により説明する。
図1及び
図2に示すように、衝撃試験装置1(振り子試験機1)は、試験片2(発泡体又は積層体)を任意の保持力で保持する保持手段としての保持部材3と、試験片2に衝撃応力を負荷する衝撃負荷部材4と、衝撃負荷部材4による試験片2に対する衝撃力を検出する衝撃力検出手段としての圧力センサー5等により構成されている。また、試験片2を任意の保持力で保持する保持部材3は、固定治具11と、固定治具11に対向して試験片2を挟み込んで保持できるようスライド可能な押さえ治具12とで構成されている。さらに、押さえ治具12には押さえ圧力調整手段16が設けられている。さらに、保持部材3によって保持された試験片2に衝撃力を負荷する衝撃負荷部材4は、一端22が支柱20に対して回動可能に軸支され、他端側に衝撃子24を有する支持棒23(シャフト23)と、衝撃子24を所定角度に持ち上げて保持するアーム21とで構成されている。ここで衝撃子24として鋼球を使用しているので、アームの一端に電磁石25を設けることによって衝撃子24を一体に所定角度持ち上げることが可能となっている。さらにまた、衝撃負荷部材4による試験片2に作用する衝撃力を検出する圧力センサー5は、固定治具11の試験片が接する面の反対面側に設けられている。
【0041】
衝撃子24は、鋼球(鉄球)である。また、衝撃子24がアーム21により持ち上げられる角度(
図1中の振り上げ角度a)は、30°〜47°程度である。後述する実施例では、鋼球(鉄球)の重さ96g、振り上げ角度30°の条件で測定している。
【0042】
図2に示すように、試験片2(発泡体又は積層体)は、固定治具11と押さえ治具12間に樹脂性板材(アクリル板、ポリカーボネート板等)や金属製板材等の高弾性な板材で構成される支持板28を介して挟持される。
【0043】
衝撃吸収性は、上記の衝撃試験装置を使用して、固定治具11と支持板28とを密着固定させてから衝撃子24を支持板28に衝突させることにより測定される衝撃力F
0、及び固定治具11と支持板28と間に試験片2を挿入し密着固定させてから衝撃子24を支持板28に衝突させることにより測定される衝撃力F
1を求め、前記式により算出される。なお、衝撃試験装置は、特開2006−47277号公報の実施例1と同様の装置である。
【0044】
発泡体層の厚さがある程度大きい場合には、衝撃吸収性は、平均セル径、密度等を選択することにより調整できるが、発泡体層の厚さが非常に小さい場合(例えば、厚さ30〜500μm)には、これらの特性を調整するだけでは衝撃を十分に吸収できない。発泡体層の厚さが非常に薄い場合には、発泡体中の気泡が衝撃によりすぐに潰れて、気泡による衝撃緩衝機能が消失するからである。上記のように、発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップを−30℃以上30℃以下の範囲に存在するようにすると、気泡が潰れた後でも、発泡体の構成材料が衝撃を緩衝する機能を発揮する。
【0045】
前記発泡体は、樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物により構成することができる。なお、未発泡状態の該樹脂組成物[発泡させない場合の樹脂組成物(固形物)]の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは−30℃以上30℃以下の範囲にあるのが好ましい。前記損失正接のピークトップが存在する温度範囲の下限は、好ましくは−25℃、より好ましくは−20℃、さらに好ましくは-10℃であり、上限は、好ましくは20℃、より好ましくは10℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ材料の場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲に入ることが望ましい。該樹脂組成物(固形物)の−30℃以上30℃以下の範囲での損失正接(tanδ)のピークトップ強度(この値は、前記発泡体における−30℃以上30℃未満の範囲における損失正接(tanδ)のピークトップ強度を発泡体の密度(g/cm
3)で割った値に相当する)は衝撃吸収性の観点から高い方が好ましい。例えば、前記樹脂組成物(固形物)の−30℃以上30℃以下の範囲での損失正接(tanδ)のピークトップ強度は、好ましくは0.9(g/cm
3)
-1以上であり、上限は、例えば、3程度である。
【0046】
また、未発泡状態の該樹脂組成物(固形物)の初期弾性率(23℃、引張速度300mm/min)は、低い方が望ましく、好ましくは50N/mm
2以下、より好ましくは30N/mm
2以下である。なお、前記初期弾性率の下限値は、例えば、0.3N/mm
2である。
【0047】
前記発泡体を構成する樹脂材料(ポリマー)としては、特に限定されず、発泡体を構成する公知乃至周知の樹脂材料を使用できる。該樹脂材料として、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム、ウレタン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、衝撃吸収性の観点から、アクリル系ポリマー、ゴム、ウレタン系ポリマーが好ましい。発泡体を構成する樹脂材料(ポリマー)は1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0048】
なお、前記発泡体の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップを−30℃以上30℃以下の範囲にするためには、前記樹脂材料(ポリマー)のTgを指標あるいは目安とすることができる。例えば、前記樹脂材料(ポリマー)として、Tgが−50℃以上50℃未満(下限は、好ましくは−40℃、より好ましくは−30℃、上限は、好ましくは40℃、より好ましくは30℃)の範囲にある樹脂材料(ポリマー)の中から選択することができる。
【0049】
前記アクリル系ポリマーとしては、ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーと、ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーを用い、前者のモノマーと後者のモノマーの量比を調整することにより、動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップが−30℃以上30℃以下の発泡体を比較的容易に得ることができる。
【0050】
なお、本発明における「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)」(単に「ホモポリマーのTg」と称する場合がある)とは、「当該モノマーの単独重合体のガラス転移温度(Tg)」を意味し、具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley&Sons,Inc、1987年)に数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、例えば、以下の測定方法により得られる値(特開2007−51271号公報参照)をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液をセパレータ上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。なお、上記樹脂材料(ポリマー)のTgもこの方法により測定できる。
【0051】
ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーにおいて、該Tgは、例えば、−10℃〜250℃、好ましくは10〜230℃、さらに好ましくは50〜200℃である。
【0052】
上記のホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーとして、例えば、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のホモポリマーのTgが−10℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル;N−ビニル−2−ピロリドン等の複素環含有ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーなどを例示することができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、特に、(メタ)アクリロニトリル(とりわけ、アクリロニトリル)が好ましい。ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーとして(メタ)アクリロニトリル(とりわけ、アクリロニトリル)を用いると、分子間相互作用が強いためか、発泡体の前記損失正接(tanδ)のピークトップ強度を大きくすることができる。
【0053】
ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーにおいて、該Tgは、例えば、−70℃以上−10℃未満、好ましくは−70℃〜−12℃、さらに好ましくは−65℃〜−15℃である。
【0054】
上記のホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーとして、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のホモポリマーのTgが−10℃未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、特に、アクリル酸C
2-8アルキルエステルが好ましい。
【0055】
上記アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分(モノマー成分全量)に対する、ホモポリマーのTgが−10℃以上のモノマーの含有量は、例えば、2〜30重量%であり、下限は、好ましくは3重量%、より好ましくは4重量%であり、上限は、好ましくは25重量%、より好ましくは20重量%である。また、上記アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分(モノマー成分全量)に対する、ホモポリマーのTgが−10℃未満のモノマーの含有量は、例えば、70〜98重量%であり、下限は、好ましくは75重量%、より好ましくは80重量%であり、上限は、好ましくは97重量%、より好ましくは96重量%である。
【0056】
前記ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれであってもよい。前記ゴムとして、例えば、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(AU)、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、シリコーンゴムが好ましい。
【0057】
前記ウレタン系ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタンなどが挙げられる。
【0058】
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、公知乃至周知のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用できる。
【0059】
前記発泡体層を構成する発泡体は、樹脂材料(ポリマー)のほか、必要に応じて、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、防錆剤、その他の添加物を含んでいてもよい。
【0060】
例えば、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性のために、任意の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれを用いてもよいが、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましく、特にステアリン酸アンモニウム等の脂肪酸アンモニウム系界面活性剤がより好ましい。界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、異種の界面活性剤を併用してもよく、例えば、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用してもよい。
【0061】
界面活性剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、樹脂材料(ポリマー)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は好ましくは0.5重量部、上限は好ましくは8重量部である。
【0062】
また、発泡体の強度、耐熱性、耐湿性を向上させるために、任意の架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は特に制限されず、油溶性、水溶性のいずれを用いてもよい。架橋剤として、例えば、エポキシ系、オキサゾリン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、メラミン系、金属酸化物系などが挙げられる。中でも、オキサゾリン系架橋剤が好ましい。
【0063】
架橋剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、樹脂材料(ポリマー)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は好ましくは0.01重量部、上限は好ましくは9重量部である。
【0064】
さらに、起泡した泡の安定性、成膜性の向上のために、任意の増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては特に制限されず、アクリル酸系、ウレタン系、ポリビニルアルコール系などが挙げられる。中でも、ポリアクリル酸系増粘剤が好ましい。
【0065】
増粘剤の添加量[固形分(不揮発分)]は、例えば、樹脂材料(ポリマー)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、0〜10重量部であり、下限は好ましくは0.1重量部、上限は好ましくは5重量部である。
【0066】
また、発泡体に隣接する金属部材の腐食防止のため、任意の防錆剤を含んでいてもよい。該防錆剤として、アゾール環含有化合物が好ましい。アゾール環含有化合物を用いると、金属に対する腐食防止性と被着体に対する密着性とを高いレベルで両立できる。
【0067】
前記アゾール環含有化合物としては、環内に窒素原子を1個以上含む5員環を有する化合物であればよく、例えば、ジアゾール(イミダゾール、ピラゾール)環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、又はイソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。これらの環はベンゼン環等の芳香環と縮合して縮合環を形成していてもよい。このような縮合環を有する化合物として、例えば、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾイソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。
【0068】
前記アゾール環、前記縮合環(ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環等)は、それぞれ、置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の(モノ又はジ)C
1-10アルキルアミノ基;アミノメチル基、2-アミノエチル基等のアミノ−C
1-6アルキル基;N,N−ジエチルアミノメチル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル基等のモノ又はジ(C
1-10アルキル)アミノ−C
1-6アルキル基;メルカプト基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;カルボキシメチル基等のカルボキシ−C
1-6アルキル基;2−カルボキシエチルチオ基等のカルボキシ−C
1-6アルキルチオ基;N,N−ビス(ヒドロキシメチル)アミノメチル基等のN,N−ビス(ヒドロキシ−C
1-4アルキル)アミノ−C
1-4アルキル基;スルホ基などが挙げられる。また、前記アゾール環含有化合物は、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩を形成していてもよい。
【0069】
金属に対する防錆作用の点から、アゾール環がベンゼン環等の芳香環と縮合環を形成している化合物が好ましく、中でも、ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール環を有する化合物)、ベンゾチアゾール系化合物(ベンゾチアアゾール環を有する化合物)が特に好ましい。
【0070】
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、カルボキシメチルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′−[[(メチル−1H-ベンゾトリアゾール−1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、又はこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0071】
上記ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−(2−(ベンゾチアゾリル)チオ)プロピオン酸、又はこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0072】
アゾール環含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
防錆剤(例えば、前記アゾール環含有化合物)[固形分(不揮発分)]の添加量[固形分(不揮発分)]は、被着体に対する密着性や発泡体本来の特性を損なわない範囲であればよく、例えば、樹脂材料(ポリマー)[固形分(不揮発分)]100重量部に対して、例えば、0.2〜5重量部が好ましい。その下限は、より好ましくは0.3重量部、さらに好ましくは0.4重量部であり、その上限は、より好ましくは3重量部、さらに好ましくは2重量部である。
【0074】
また、衝撃吸収性を損なわない範囲内で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分は、1種のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。該他の成分としては、例えば、前記以外のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料など)、pH調整剤、溶剤(有機溶剤)、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
【0075】
前記充填剤としては、例えば、シリカ、クレー(マイカ、タルク、スメクタイト等)、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、ゼオライト、グラファイト、カーボンナノチューブ、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維等)、有機繊維、金属粉(銀、銅等)などが挙げられる。また、充填剤として、圧電粒子(酸化チタン等)、導電性粒子、熱伝導性粒子(窒化ホウ素等)、有機フィラー(シリコーンパウダー等)などを添加することもできる。
【0076】
本発明の積層体における発泡体層は、発泡体を構成する樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物を発泡成形に付すことにより製造できる。発泡方法(気泡の形成方法)としては、物理的方法、化学的方法等、発泡成形に通常用いられる方法が採用できる。一般的に物理的方法は、空気や窒素などのガス成分をポリマー溶液に分散させて、機械的混合により気泡を形成させるものである。また、化学的方法は、ポリマーベースに添加された発泡剤の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得る方法である。環境問題などの観点から、物理的方法が好ましい。物理的方法により形成される気泡は、連続気泡であることが多い。
【0077】
発泡成形に付す樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物としては、樹脂材料を溶剤に溶解させた樹脂溶液を用いてもよいが、気泡性の観点から、樹脂材料を含むエマルションを用いるのが好ましい。エマルションとしては、2種以上のエマルションをブレンドして用いてもよい。
【0078】
エマルションの固形分濃度は成膜性の観点から高い方が好ましい。エマルションの固形分濃度は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。
【0079】
本発明では、エマルション樹脂組成物を機械的に発泡させて起泡化させる工程(工程A)を経て発泡体を作製する方法が好ましい。起泡装置としては、特に限定されず、例えば、高速せん断方式、振動方式、加圧ガスの吐出方式などの装置が挙げられる。これらの中でも、気泡径の微細化、大容量作製の観点から、高速せん断方式が好ましい。
【0080】
機械的撹拌により起泡した際の気泡は、気体(ガス)がエマルション中に取り込まれたものである。ガスとしては、エマルションに対して不活性であれば特に制限されず、空気、窒素、二酸化炭素などが挙げられる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
【0081】
上記方法により起泡化したエマルション樹脂組成物を基材上に塗工して乾燥する工程(工程B)を経ることで、前記発泡体層を得ることができる。前記基材としては、特に限定されないが、例えば、剥離処理したプラスチックフィルム(剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム等)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、熱伝導層(後述の熱伝導層)などが挙げられる。熱伝導層を基材として塗工した場合には、発泡体層と熱伝導層の密着性を向上でき、また、発泡体層作製時の乾燥工程の効率も向上できる。
【0082】
前記工程Bにおいて、塗工方法、乾燥方法としては、一般的な方法を採用できる。工程Bは、基材上に塗布した気泡含有エマルション樹脂組成物を50℃以上125℃未満で乾燥する予備乾燥工程B1と、その後さらに125℃以上200℃以下で乾燥する本乾燥工程B2を含んでいることが好ましい。
【0083】
予備乾燥工程B1と本乾燥工程B2を設けることにより、急激な温度上昇による気泡の合一化、気泡の破裂を防止できる。特に厚さの小さい発泡体層では温度の急激な上昇により気泡が合一か、破裂するので、予備乾燥工程B1を設ける意義は大きい。予備乾燥工程B1における温度は、好ましくは50℃以上100℃以下である。予備乾燥工程B1の時間は、例えば、0.5分〜30分、好ましくは1分〜15分である。また、本乾燥工程B2における温度は、好ましくは130℃以上180℃以下、より好ましくは130℃以上160℃以下である。本乾燥工程B2の時間は、例えば、0.5分〜30分、好ましくは1分〜15分である。
【0084】
発泡体の平均セル径、最大セル径、及び最小セル径は、界面活性剤の種類や量を調整することや、機械的撹拌時の撹拌速度や撹拌時間を調整することで、10〜150μmの範囲の平均セル径の発泡体を得ることができる。
【0085】
発泡体の密度は、機械的撹拌時のエマルション樹脂組成物中に取り込む気体(ガス)成分量を調整することで、0.2〜0.7g/cm
3の密度の発泡体を得ることができる。
【0086】
発泡体層の少なくとも一方の面はタック性を有することが好ましい。発泡体層の表面がタック性を有する場合は、発泡体層と熱伝導層の間に粘着剤層を設けなくても、本発明の積層体を得ることができる。発泡体層の表面にタック性を付与する方法としては、例えば、前記発泡体を構成する樹脂材料(ポリマー)を構成するモノマーとして、ホモポリマーのTgが−10℃未満(例えば−70℃以上−10℃未満、好ましくは−70℃〜−12℃、さらに好ましくは−65℃〜−15℃)のモノマーを、前記発泡体を構成する樹脂材料(アクリル系ポリマー等のポリマー)を構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)に対して、例えば、70〜98重量%(下限は、好ましくは75重量%、上限は、好ましくは97重量%)用い、他のモノマーを適宜選択して用いる方法が挙げられる。
【0087】
タック性を有する発泡体層と熱伝導層とが直接積層された積層体は、粘接着層を設けなくても両層が剥がれることがなく、高い接着信頼性が得られる。また、粘接着層を設けなくても良いので、粘接着層の厚みの分、熱伝導層の厚みを厚くすることができ、該積層体の熱伝導率を向上させることができる。また、積層体の厚みを小さくでき、取り付けの対象となる電気・電子機器等のさらなる薄型化に寄与できる。また、該積層体の製造効率を向上でき、コストも低減できる。
【0088】
[熱伝導層]
本発明において、前記熱伝導層の熱伝導率は200W/m・K以上である。前記熱伝導率は定常法から測定される値である。熱伝導層の熱伝導率は、好ましくは300W/m・K以上、より好ましくは400W/m・K以上である。熱伝導層の熱伝導率が200W/m・K以上であることにより、優れた熱拡散性(放熱性)が発揮される。熱伝導率の実用的な上限は、例えば1500W/m・Kである。なお、熱伝導層は2層以上積層してもよい。
【0089】
熱伝導層の厚みは、目的に応じて任意の適切な厚みに調整しうる。熱伝導層の厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。熱伝導層の厚みの上限は、例えば、130μm、好ましくは120μm、さらに好ましくは110μmである。
【0090】
熱伝導層としては、例えば、グラファイトシート、金属箔が挙げられる。金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅などが挙げられる。金属箔としては、高い遠赤外線反射率を有し、且つ、プロセスコストの安価なアルミニウム箔、銅箔などが挙げられる。
【0091】
銅箔には、圧延銅箔や電解銅箔等がある。熱伝導層が圧延銅箔の場合は、銅箔の表裏が光沢面と粗面を有している。光沢面に発泡体層を例えば塗工により積層した場合は、ロール状に巻き取る際に、カバーセパレータが無くても巻きズレを防止できる。一方、粗面に発泡体層を例えば塗工により積層した場合は、発泡体層と熱伝導層の密着性を向上させることができる。
【0092】
なお、上述したように熱伝導層は2層以上積層してもよく、例えば、グラファイトシートと金属箔を積層すると、グラファイトシートの異方性により、熱拡散性が向上する。また、金属箔等の導電性を有している熱伝導層は、電磁波遮断層としての機能も有する。
【0093】
前記熱伝導層と発泡体層との積層体を得る方法としては、熱伝導層に発泡シートを転写する(貼り付ける)方法、熱伝導層に起泡化した前記エマルション樹脂組成物を塗布し、乾燥して発泡シート層を形成する方法などが挙げられる。後者の方法で作製した方が前者の方法より高い接着力が発現する。
【0094】
[粘着剤層]
本発明の積層体において、前記発泡体層と熱伝導層は粘着剤層(粘着層)を介して積層されていてもよい。粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等のいずれであってもよい。なお、前述のように、発泡体層の表面がタック性を有する場合は、粘着剤層を設けなくても熱伝導層と密着性よく積層できる。
【0095】
前記粘着剤層の厚みは、例えば、4〜100μmであり、その下限は、好ましくは5μm、その上限は、好ましくは50μmである。
【0096】
本発明の積層体の層構成の例として、例えば、熱伝導層/発泡体層、熱伝導層/粘着剤層/発泡体層、発泡体層/熱伝導層/発泡体層、発泡体層/粘着剤層/熱伝導層/粘着剤層/発泡体層、熱伝導層/発泡体層/熱伝導層、熱伝導層/粘着剤層/発泡体層/粘着剤層/熱伝導層などが挙げられる。
【0097】
また、本発明の積層体は、他の機能層(例えば、電磁波遮断層、電磁波吸収層等)と積層させることができる。
【0098】
本発明の積層体は、ロール状に巻回した巻回体(ロール状物)として市場に流通させてもよい。
【0099】
本発明の積層体は、厚さが小さくても衝撃吸収性及び熱拡散性(放熱性)に優れる。そのため、例えば、電気・電子機器において、各種部材又は部品(例えば、光学部材など)を、所定の部位(例えば、筐体等)に取り付ける(装着する)際に用いられる電気・電子機器用部材、特に、熱拡散衝撃吸収シートとして有用である。
【0100】
本発明の積層体(シート状積層体)を利用して取付(装着)可能な光学部材としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に装着される画像表示部材(特に、小型の画像表示部材)や、いわゆる「携帯電話」、「スマートフォン」や「携帯情報端末」等の移動体通信の装置に装着されるタッチパネル等の表示部材、カメラやレンズ(特に、小型のカメラやレンズ)などが挙げられる。
【0101】
本発明の電気・電子機器は、前記本発明の積層体が用いられている。このような電気・電子機器には、例えば、表示部材を備えた電気・電子機器であって、上記の積層体(シート状積層体)が該電気又は電子機器の筐体と前記表示部材との間に挟持された構造を有している電気・電子機器が含まれる。該電気・電子機器として、例えば、いわゆる「携帯電話」、「スマートフォン」、「携帯情報端末」等の移動体通信の装置などが挙げられる。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、特に言及しない限り、含有量を表す「%」は重量%を意味する。なお、配合部数(重量部)は、全て固形分(不揮発分)換算の値である。
【0103】
実施例1
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)(界面活性剤A)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ120μm、密度0.31g/cm
3、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0104】
実施例2
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ150μm、密度0.31g/cm
3、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0105】
実施例3
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ90μm、密度0.39g/cm
3、平均セル径56μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、アクリル系粘着剤層(日東電工社製の両面粘着テープ(商品名「No.5603」)、厚さ30μm)を形成し、該粘着剤層の上に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/粘着剤層/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0106】
実施例4
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ120μm、密度0.31g/cm
3、最大セル径94μm、最小セル径30μm、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0107】
実施例5
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ120μm、密度0.31g/cm
3、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、アクリル系粘着剤層(日東電工社製の両面粘着テープ(商品名「No.5603」)、厚さ30μm)を形成し、該粘着剤層の上に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/粘着剤層/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0108】
実施例6
アクリルエマルション溶液(「LX−852B」日本ゼオン社製、固形分量45%)100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分33%)3.7重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸の共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分28.7%)0.96重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ150μm、密度0.37g/cm
3、平均セル径43μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0109】
比較例1
ポリプロピレン[メルトフローレート(MFR):0.35g/10min]:45重量部、ポリオレフィン系エラストマーと軟化剤(パラフィン系伸展油)の混合物(MFR
(230℃):6g/10分、JIS A硬度:79°、軟化剤をポリオレフィン系エラストマー100質量部に対して30質量部配合):55重量部、水酸化マグネシウム:10重量部、カーボン(商品名「旭♯35」旭カーボン株式会社製):10重量部、ステアリン酸モノグリセリド:1重量部、及び脂肪酸アミド(ラウリン酸ビスアミド):1.5重量部を、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混練機にて、200℃の温度で混練した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に成形した。このペレットを、日本製鋼所社製
の単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気下、13(注入後12)MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ペレット全量に対して5.6重量%の割合で
注入した。二酸化炭素ガスを十分飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから円筒状に押出して、発泡体の内側表面を冷却するマンドレルと、押出機の環状ダイから押し出された円筒状の発泡体の外側表面を冷却する発泡体冷却用エアリングの間を通過させ、直径の一部を切断してシート状に展開して長尺発泡体原反を得た。この長尺発泡体原反において、平均セル径は55μm、見掛け密度は0.041g/cm
3であった。
この長尺発泡体原反を所定の幅に切断し(スリット加工)、連続スライス装置(スライスライン)を用いて、1面ずつ表面の低発泡層を剥がしとり、樹脂発泡体(厚み0.30mm、幅550mm)を得た。
上記樹脂発泡体を、誘導発熱ロールの温度を160℃、ギャップを0.20mmにセットした上記連続処理装置内を通過させることにより、片面を熱で溶融処理して、
スリット加工し、その後巻き取って、巻回体を得た。なお、引き取り速度は、20m/minとした。
次に、上記巻回体を巻き戻して、誘導発熱ロールの温度を160℃、ギャップを0.10mmにセットした上記連続処理装置内を通過させることにより、
溶融処理がされていない面(未処理面)を熱で溶融処理して、スリット加工し、その後巻き取って、両面が熱溶融処理された樹脂発泡体シートを得た。
なお、引き取り速度は、20m/minとした。
上記発泡体シートの一方の面に、アクリル系粘着剤層(日東電工社製の両面粘着テープ(商品名「No.5603」)、厚さ30μm)を形成し、該粘着剤層の上に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/粘着剤層/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0110】
比較例2
ポリプロピレン[メルトフローレート(MFR):0.35g/10min]:45重量部、ポリオレフィン系エラストマーと軟化剤(パラフィン系伸展油)の混合物(MFR(230℃):6g/10分、JIS A硬度:79°、軟化剤をポリオレフィン系エラストマー100質量部に対して30質量部配合):55重量部、水酸化マグネシウム:10重量部、カーボン(商品名「旭♯35」旭カーボン株式会社製):10重量部、ステアリン酸モノグリセリド:1重量部、及び脂肪酸アミド(ラウリン酸ビスアミド):1.5重量部を、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混練機にて、200℃の温度で混練した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に成形した。このペレットを、日本製鋼所社製の単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気下、13(注入後12)MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ペレット全量に対して5.6重量%の割合で注入した。二酸化炭素ガスを十分飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから円筒状に押出して、発泡体の内側表面を冷却するマンドレルと、押出機の環状ダイから押し出された円筒状の発泡体の外側表面を冷却する発泡体冷却用エアリングの間を通過させ、直径の一部を切断してシート状に展開して長尺発泡体原反を得た。この長尺発泡体原反において、平均セル径は55μm、見掛け密度は0.041g/cm
3であった。
この長尺発泡体原反を所定の幅に切断し(スリット加工)、連続スライス装置(スライスライン)を用いて、1面ずつ表面の低発泡層を剥がしとり、樹脂発泡体(厚み0.30mm、幅550mm)を得た。
上記樹脂発泡体を、誘導発熱ロールの温度を160℃、ギャップを0.20mmにセットした上記連続処理装置内を通過させることにより、片面を熱で溶融処理して、
スリット加工し、その後巻き取って、巻回体を得た。なお、引き取り速度は、20m/minとした。
次に、上記巻回体を巻き戻して、誘導発熱ロールの温度を160℃、ギャップを0.10mmにセットした上記連続処理装置内を通過させることにより、
溶融処理がされていない面(未処理面)を熱で溶融処理して、スリット加工し、その後巻き取って、両面が熱溶融処理された樹脂発泡体シートを得た。
なお、引き取り速度は、20m/minとした。
上記発泡体シートの一方の面に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層しようとした。しかし、銅箔と発泡体層は密着せずすぐに剥がれるため、衝撃吸収性試験はできなかった。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0111】
比較例3
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡体を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ120μm、密度0.31g/cm
3、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シート上に銅箔を積層しなかった。
【0112】
比較例4
アクリルエマルション溶液(固形分量60%、アクリル酸メチル−メチルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル5重量%))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)2.8重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.48重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ150μm、密度0.45g/cm
3、平均セル径69μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ12μmの銅箔を熱伝導層として積層しようとした。しかし銅箔と発泡体層は密着せずすぐに剥がれるため、衝撃吸収性試験はできなかった。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0113】
実施例7
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)(界面活性剤A)1.5重量部、カルボキシベタイン型両性界面活性剤(「アモーゲンCB−H」、第一工業製薬社製)(界面活性剤B)1重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部、ベンゾトリアゾール系防錆剤(「SEETEC BT−NA」、シプロ化成社製)0.5重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、密度0.33g/cm
3、最大セル径110μm、最小セル径20μm、平均セル径45μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0114】
実施例8
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部、ベンゾトリアゾール系防錆剤(「SEETEC BT−NA」、シプロ化成社製)0.5重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、密度0.43g/cm
3、最大セル径160μm、最小セル径41μm、平均セル径101μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0115】
実施例9
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)2重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部、ベンゾトリアゾール系防錆剤(「SEETEC BT−NA」、シプロ化成社製)0.5重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、密度0.24g/cm
3、最大セル径69.5μm、最小セル径15μm、平均セル径34μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0116】
実施例10
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比40:45:15))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.58重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ150μm、密度0.31g/cm
3、最大セル径187μm、最小セル径21μm、平均セル径72μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0117】
実施例11
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部、ベンゾトリアゾール系防錆剤(「SEETEC BT−NA」、シプロ化成社製)0.5重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ450μm、密度0.25g/cm
3、最大セル径199μm、最小セル径24μm、平均セル径84μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0118】
実施例12
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部、ベンゾトリアゾール系防錆剤(「SEETEC BT−NA」、シプロ化成社製)0.5重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ300μm、密度0.25g/cm
3、最大セル径149μm、最小セル径19μm、平均セル径76μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ35μmの銅箔を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0119】
実施例13
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、厚さ35μmの銅箔(熱伝導層)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、最大セル径102μm、最小セル径23μm、平均セル径56μmの連続気泡構造の発泡体層を形成し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記銅箔の熱伝導率は400W/m・Kである。
【0120】
実施例14
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)3重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS−500」日本触媒社製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(アクリル酸20重量%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」プライミクス社製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:38μm、商品名「MRF♯38」三菱樹脂社製)上に塗布し、70℃で4.5分、140℃で4.5分乾燥させ、厚さ130μm、密度0.31g/cm
3、最大セル径94μm、最小セル径30μm、平均セル径57μmの連続気泡構造の発泡体(発泡シート)を得た。
上記発泡シートの一方の面に、厚さ40μmのグラファイトシート(GRAF TECH社製)を熱伝導層として積層し、銅箔/発泡体層からなる積層体を得た。前記グラファイトの熱伝導率は1400W/m・Kである。
【0121】
<評価>
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られた発泡体、積層体について、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。なお、表1に、各実施例、比較例における各成分の配合部数(重量部)[固形分(不揮発分)換算]を示す。「Em」はアクリルエマルション溶液を示す。
【0122】
(平均セル径、最大セル径、最小セル径)
低真空走査電子顕微鏡(「S−3400N型走査電子顕微鏡」日立ハイテクサイエンスシステムズ社製)により、発泡体断面の拡大画像を取り込み、画像解析することにより平均セル径(μm)、最大セル径(μm)、最小セル径(μm)を求めた。なお解析した気泡数は10〜20個程度である。
【0123】
(密度)
100mm×100mmの打抜き刃型にて発泡体(発泡シート)を打抜き、打抜いた試料の寸法を測定する。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚さを測定する。これらの値から発泡体の体積を算出した。
次に、発泡体の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定する。これらの値より発泡体の密度(g/cm
3)を算出した。
【0124】
(動的粘弾性)
粘弾性測定装置(「ARES2KFRTN1−FCO」TA Instruments Japan社製)のフィルム引張り測定モードにて、角振動数1rad/sで温度分散性試験を行った。その際の貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比率である損失正接(tanδ)のピークトップの温度(℃)と強度(最大値)を測定した。
表1の「tanδ温度」の欄に、発泡体の損失正接(tanδ)のピークトップの温度(℃)を記載した。
【0125】
(初期弾性率)
23℃環境下で引張速度300mm/minでの引張試験における10%歪み時の傾きから算出した初期弾性率(N/mm
2)を評価した。
【0126】
(せん断接着力)
作製した発泡体(実施例3、5、比較例1は、発泡体の両面に両面粘着テープ(商品名「No.5603」、日東電工社製、厚さ30μm)を貼り付けたもの)を25mm×25mmに切断し、発泡体の両面にそれぞれSUS304BA板を貼りつけて測定試料とした。水平に置いた測定試料に5kgローラーを一往復させて圧着した。圧着後、常温(23℃)下で30分間放置し、その後測定試料が垂直になるようにテンシロンに固定し、引張速度50mm/分で引張り、その最中のせん断接着力を測定した。測定試料はn=2で測定し、その平均値をせん断接着力(N/100mm
2)とした。
【0127】
(衝撃吸収性試験)
前記の振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)(
図1及び
図2参照)を用いて衝撃吸収性試験を行った。
実施例1〜14及び比較例1,3で得られた積層体(サンプルサイズ:20mm×20mm)について、96gの鉄球を30°傾けた衝撃条件にて衝撃試験を行い、衝撃吸収率(%)を求めた。なお、発泡体側が鉄球が衝突する側となるように設置した。次に、該衝撃吸収率(%)を発泡シートの厚さ(μm)で割って、単位厚さ当たりの衝撃吸収率Rを求めた。なお、衝撃吸収性試験を実施できた実施例および比較例1,3は衝撃吸収試験後も銅箔と発泡体層は積層体構成を維持しており、接着信頼性は良好であった。
【0128】
(熱拡散性試験)
断熱箱中に熱電対付きセラミックヒーターが設置された装置を用いて熱拡散性試験を行った。
図3及び
図4に示すように、セラミックヒーター103(表面の大きさ:横20mm×縦40mm)の上に、実施例又は比較例の積層体(比較例3は発泡体)104(横75mm×縦45mm)を、両面粘着テープ(商品名「No.5603」、日東電工社製、厚さ30μm)102を用いて固定し(銅箔を有するものは銅箔側がヒーター側となるように設置)、発泡体層表面の中心位置の温度(表面温度)測定した。また、ヒーター出力を一定にして10分間経過後のヒーター温度を測定した。
【0129】
(銅密着力)
実施例4の場合:得られた発泡体(発泡シート;片面に剥離シートを積層)の一方の面に、粘着テープ(No.31B、日東電工社製)を貼り合せた。これを20mm×100mmの大きさに切断し、評価サンプルとした。剥離シートを剥がし、発泡体の他方の面を、25℃で被着体である銅箔に貼り付け、5Kgローラーを一往復させて圧着した。これを、80℃で1日放置した後、取り出し、2時間室温で放置した後、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で剥離試験を実施し、粘着力(対銅箔接着力)(N/20mm)を測定した。
実施例13の場合:得られた積層体の発泡シート側に粘着テープ(No.31B、日東電工社製)を貼り合せ、20mm×100mmの大きさに切断し、評価サンプルとした。これを、80℃で1日放置した後、取り出し、2時間室温で放置した後、銅箔側を両面テープでアクリル板に固定した。発泡シートを銅箔から剥離するように、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で剥離試験を実施し、粘着力(対銅箔接着力)(N/20mm)を測定した。
【0130】
【表1】
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】