特許第6343701号(P6343701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6343701凹んでいる又は隆起した外側要素を備える計時器を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343701
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】凹んでいる又は隆起した外側要素を備える計時器を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/06 20060101AFI20180604BHJP
   A44C 27/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   G04B19/06 A
   A44C27/00
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-96238(P2017-96238)
(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公開番号】特開2017-207487(P2017-207487A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】16170379.8
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・グロッセンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】ステュ・ブルバン
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ウィンクレ
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−119163(JP,A)
【文献】 特開昭53−053359(JP,A)
【文献】 特表2012−512385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 − 49/04
A44C 27/00
B44C 1/20
B44C 3/02
G09F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側要素を備える部品(PC)を製造する方法であって、
上側面(SP)があり、クレストが形成されている隆起したパターン(MT)が前記上側面(SP)にある導電性の基材(SB)を用意するステップ(Md_Sub)と、
前記クレスト(ST)と前記上側面(SP)の間の距離以下の厚みまで、前記基材(SB)の上側面(SP)上に前記パターン(MT)のまわりに電気的に絶縁性の絶縁層(CI)を堆積するステップ(Md_Cis)と、
直流電気成長によって前記パターン(MT)の前記クレスト(ST)上に金属層(CM)を堆積して、この堆積の終わりにおいて前記金属層(CM)を前記絶縁層(CI)上に部分的に配置させるステップ(Md_Cga)と、
前記絶縁層(CI)を溶かすステップ(Md_Dis)と、
前記基材(SB)及び前記金属層(CM)を有するアセンブリー(ES)を前記部品(PC)の基礎材料の塊材(VL)で被覆して、前記塊材(VL)に前記アセンブリー(ES)の印を形成させるステップ(Md_Enr)と、
前記基材(SB)から前記塊材(VL)及び前記金属層(CM)を分離して、前記パターン(MT)の印に対応する形であって基礎(FD)が前記金属層(CM)と干渉するような凹部(EV)によって前記塊材(VL)が形成された外側要素を見せるようにするステップ(Md_Dem)と
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記パターン(MT)の前記クレスト(ST)を機械加工して、彫り付けのようなテクスチャを作るステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
外側要素を備える部品(PC’)を製造する方法であって、
上側面(SP’)を有する導電性の基材(SB’)を用意するステップと、
電気的に絶縁性の絶縁層(CI’)を前記基材(SB’)の前記上側面(SP’)上に堆積するステップ(Md’_Cis)と、
前記絶縁層(CI’)と前記基材(SB’)を機械加工して、前記絶縁層(CI’)を通り抜けて前記基材(SB’)の一部にわたるように延在する空欠パターン(MT’)を作るステップ(Md’_Uge)と、
直流電気成長によって前記パターン(MT’)内に金属層(CM’)を堆積して、この堆積の終わりにおいて前記金属層(CM’)を前記絶縁層(CI’)上に部分的に配置させるステップ(Md’_Cga)と、
前記絶縁層(CI’)を溶かすステップ(Md’_Dis)と、
前記基材(SB’)及び前記金属層(CM’)を有するアセンブリー(ES’)を前記部品(PC’)の基礎材料の塊材(VL’)で被覆して、前記塊材(VL’)に前記アセンブリー(ES’)の印を形成させるステップ(Md’_Enr)と、
前記基材(SB’)から前記塊材(VL’)及び前記金属層(CM’)を分離して、前記金属層(CM’)が、前記塊材(VL’)上に前記パターン(MT)の印に対応する形の外側要素(EH)を形成する成長物(EV’)を形成するようにするステップ(Md’_Enr)と
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項4】
前記金属層(CM、CM’)を溶かして、塊材(VL、VL’)に、前記金属層(CM、CM’)の印によって形成されるアンカーアーム(BA)がある空洞(CV)を形成するステップ(Md_Ddr)とを有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記金属層(CM、CM’)を溶かすステップ(Md_Ddr)の後に、
樹脂、ラッカー又は金属のような物質で前記空洞を充填するステップ(Md_Rsl)を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記塊材(VL、VL’)の前記基礎材料は、金属性ではなく、
前記物質(RL)は、金属性であり、
当該方法は、前記金属層(CM、CM’)を溶かすステップ(Md_Ddr)と前記空洞(CV)を物質(RL)で充填するステップ(Md_Rsl)の間に、
物理的気相成長プロセスによって前記空洞(CV)の壁に金属膜を堆積するステップを有し、
前記充填するステップ(Md_Rsl)は、前記物質(RL)を前記金属膜上に直流電気成長させることによって行う
ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ダイヤモンドのような鉱物(MN)を前記空洞(CV)内に、前記空洞(CV)へと開いているトラックによって、挿入して、前記鉱物(MN)を前記アンカーアーム(BA)のレベルにて前記空洞(CV)内にて保持するステップとを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層(CI、CI’)を堆積するステップ(Md_Cis、Md’_Cis)の前に、
前記基材(SB、SB’)の上側面を機械加工して、彫り付けのようなテクスチャを作るステップを有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属層(CM、CM’)を堆積するステップ(Md_Cga、Md’_Cga)の後に、
前記金属層(CM、CM’)を機械加工して、前記金属層(CM、CM’)の寸法(G、P、G’、P’)の少なくとも1つを小さくしたり、かつ/又は前記金属層(CM、CM’)の表面の少なくとも1つを構成する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記基礎材料は、金属、アモルファス又は部分的にアモルファスな金属合金、あるいは高分子であり、
前記被覆するステップ(Md_Enr、MD’_Enr)は、前記基材(SB、SB’)及び前記金属層(CM、CM’)を有するアセンブリー(ES、ES’)上に基礎材料のブロックを押し付けることによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記基礎材料は、金属性であり、前記被覆するステップ(Md_Enr、MD’_Enr)は、前記基材(SB、SB’)及び前記金属層(CM、CM’)を有するアセンブリー(ES、ES’)上に前記基礎材料を直流電気成長させることによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記金属層(CM、CM’)は、金、銀又はニッケルあるいはこれらの金属の合金によって形成される
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁層(CI、CI’)は、樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器又は装飾品のようなものの部品、例えば、腕時計の表盤、ベゼル、バンド、腕輪、を製造する方法に関する。より詳細には、本方法によって、当該部品上に、時間インジケーター、装飾性要素のような外側要素を設けることができる。
【背景技術】
【0002】
時計製造や装飾品製造の分野においては、隆起した外側要素をその支持体上にて取り外しできないように保持されるように作ることが古典的な慣行である。従来技術において、特に、欧州特許出願EP2192454A1が知られている。これは、表盤上にレリーフを形成する外側要素を製造する方法について記載している。この出願に記載されている第3の実施形態によると、T字形の貫通開口が設けられた腕時計の表盤が作られる。そして、マスクが表盤に取り付けられる。マスクには、表盤の開口に接続するように構成している開口がある。そして、開口は、電鋳によって、アモルファス物質を押し込むことによって、又は金属注入によって、充填され、外側要素を形成する。最後に、マスクの充填材の余剰厚みが除去され、マスクが取り除かれる。
【0003】
この方法の課題は、形の制約と開口の深さであり、これによって、外側要素の形と長さが制約されてしまう。例えば、この方法によっては、表盤の一部のみにわたって延在する外側要素を形成することができない。外側要素は、金のような貴重な材料によって作ることができ、したがって、外側から認識できない深さについては表盤において深さを制約することは有利である。別の課題として、この方法では、彫り付けのようなテクスチャが形成されている頭部がある外側要素を製造することができないことがある。別の課題として、この方法では、非金属の材料によって形成された外側要素を製造することができないことがある。別の課題として、この方法によっては、所望の形の凹部、特に、色づけされた基礎がある凹部、を形成している、隆起しておらず凹んでいるような外側要素を作ることができないということがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上で議論されている課題を完全又は部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、第1の実施形態によると、本発明は、外側要素を備える部品を製造する方法に関し、
上側面があり、クレストが形成されている隆起したパターンが前記上側面にある導電性の基材を用意するステップと、
前記クレストと前記上側面の間の距離以下の厚みまで、前記基材の上側面上に前記パターンのまわりに電気的に絶縁性の絶縁層を堆積するステップと、
直流電気成長によって前記パターンの前記クレスト上に金属層を堆積させて、この堆積の終わりにおいて前記金属層を前記絶縁層上に部分的に配置させるステップと、
前記絶縁層を溶かすステップと、
前記基材及び前記金属層を有するアセンブリーを前記部品の基礎材料の塊材で被覆して、前記塊材に前記アセンブリーの印(インプリント)を形成させるステップと、
前記基材から前記塊材及び前記金属層を分離して、前記パターンの印に対応する形であって基礎が前記金属層と干渉するような凹部によって前記塊材が形成された外側要素を見せるようにするステップと

を有する。
【0006】
第1の実施形態に係る方法によって、凹部が形成されている外側要素を有する部品の製造が可能になる。凹部の幾何学的構成は、基材上にある隆起したパターンの幾何学的構成によって決まる。したがって、凹部の形は、所望する任意の形であることができることがわかるであろう。また、凹部は、金属層の色を有する基礎を有する。例えば、金属層が金によって作られていれば金色の基礎である。この金属層は、インサートを形成し、部品を壊さなければ基礎材料の塊材をこのインサートから分離することができない。実際に、本発明は、しばしば欠陥であると考えられる金属の直流電気成長の特徴から利益を得る。この特徴によって、金属が陸の基準点において水平方向に配置された面から垂直に成長するだけではなく、側方にも成長する。この特徴によって、直流電気成長による堆積ステップの終わりにおいて、金属層を絶縁層上に部分的に配置することが可能になる。絶縁層上に配置される金属層の部分は、下記の文章において「側方の端」と呼ぶ。これは、被覆するステップの終わりにおいて、部品の基礎材料の塊材内において、シールされた状態で維持されるフックを形成する。
【0007】
第2の実施形態によると、本発明は、外側要素を備える部品を製造する方法に関し、
上側面を有する導電性の基材を用意するステップと、
電気的に絶縁性の絶縁層を前記基材の前記上側面上に堆積するステップと、
前記絶縁層と前記基材を機械加工して、前記絶縁層を通り抜けて前記基材の一部にわたるように延在する空欠パターンを作るステップと、
直流電気成長によって前記パターン内に金属層を堆積させて、この堆積の終わりにおいて前記金属層を前記絶縁層上に部分的に配置させるステップと、
前記絶縁層を溶かすステップと、
前記基材及び前記金属層を有するアセンブリーを前記部品の基礎材料の塊材で被覆して、前記塊材に前記アセンブリーの印を形成させるステップと、
前記基材から前記塊材及び前記金属層を分離して、前記金属層が、前記塊材上に前記パターンの印に対応する形の外側要素を形成する成長物を形成するようにするステップと
を有する。
【0008】
第2の実施形態に係る方法によって、成長物が形成されている外側要素を有する部品の製造が可能になる。成長物は、基礎材料の塊材から突き出る金属層の部分によって形成され、したがって、この成長物の色は、金属層の色である。成長物の幾何学的構成は、基材上にて機械加工されて形成された空欠パターンの幾何学的構成によって決まる。したがって、成長物は、基材を機械加工することができる範囲内で、所望の任意の形を有することができることがわかるであろう。また、金属層は、インサートを形成し、これは、第1の実施形態と関連して説明した理由と同じ理由で、基礎材料の塊材から分離することができない。
【0009】
また、第1又は第2の実施形態に係る製造方法は、以下の特徴の一又は複数の技術的に可能なすべての組み合わせを有することができる。
【0010】
第1の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)において、前記パターンの前記クレストを機械加工して、彫り付けのようなテクスチャを作るステップを有する。
【0011】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)は、前記金属層を溶かして、塊材に、前記金属層の印によって形成されるアンカーアームがある空洞を形成するステップとを有する。
【0012】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)は、前記金属層を溶かすステップの後に、樹脂、ラッカー又は金属のような物質で前記空洞を充填するステップを有する。
【0013】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)においては、前記塊材の前記基礎材料は、金属性ではなく、前記物質は、金属性であり、当該方法は、前記金属層を溶かすステップと前記空洞を物質で充填するステップの間に、物理的気相成長プロセスによって前記空洞の壁に金属膜を堆積するステップを有し、前記充填するステップは、前記物質を前記金属膜上に直流電気成長させることによって行う。
【0014】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)は、ダイヤモンドのような鉱物を前記空洞内に、前記空洞へと開いているトラックによって、挿入して、前記鉱物を前記アンカーアームにて前記空洞内にて保持するステップを有する。
【0015】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)は、前記絶縁層を堆積するステップの前に、前記基材の上側面を機械加工して、彫り付けのようなテクスチャを作るステップを有する。
【0016】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)は、前記金属層を堆積するステップの後に、前記金属層を機械加工して、前記金属層の寸法の少なくとも1つを小さくしたり、かつ/又は前記金属層の表面の少なくとも1つを構成する。
【0017】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)においては、前記基礎材料は、金属、アモルファス又は部分的にアモルファスな金属合金、あるいは高分子であり、前記被覆するステップは、前記基材及び前記金属層を有するアセンブリー上に基礎材料のブロックを押し付けることによって行われる。
【0018】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)において、前記基礎材料は、金属であり、前記被覆するステップは、前記基材及び前記金属層を有するアセンブリー上に前記基礎材料を直流電気成長させることによって行われる。
【0019】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)においては、前記金属層は、金、銀又はニッケルあるいはこれらの金属の合金によって形成される。
【0020】
第1又は第2の実施形態に係る方法の1つの態様(これに限定されない)において、前記絶縁層は、樹脂によって形成される。
【0021】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の説明(これに限定されない)を読むことによって、他の特別な特徴や利点が明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a図1aは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1b図1bは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1c図1cは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1d図1dは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1e図1eは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1f図1fは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図1g図1gは、本発明の第1の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2a図2aは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2b図2bは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2c図2cは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2d図2dは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2e図2eは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図2f図2fは、本発明の第2の実施形態に係る外側要素を備える部品を製造する方法のいくつかのステップの概略的表現である。
図3図3a〜3cは、第1又は第2の実施形態に係る方法のいくつかの追加のステップの概略的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a〜1gに示す第1の実施形態によると、本発明に係る方法は、下記のいくつかのステップを有する。
【0024】
図1aに示すステップMd_Subによると、成型の分野においてマスターとも呼ばれる導電性の基材SBが設けられる。基材SBは、好ましくは、黄銅によって形成するが、他の材料によって形成することもできる。例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、サーメット複合材、セラミックス又は導電性にされた(例えば、電鋳処理やプラズマ処理による)高分子である。また、基材SBには、パターンMTがあり、これは、レリーフを形成していたり、又は基材SBの上側面SPからの突出を形成している。実施形態の1つにおいて、このパターンMTは、基材SBを機械加工することによって得られる。別の実施形態において、パターンを機械加工によって得るのではなく、例えば、ジルコニウムや白金ベースの、部分的又は全体的にアモルファスの金属合金を、注入又はホットプレスすることによって得る。
【0025】
図1aの例では、パターンMTは、基材SBの上側面SPに平行に延在している平坦なクレスト(crest)STと、及びこのクレストSTに実質的に垂直に延在しているフランクFCとを有する。しかし、この形態に限定されない。例えば、フランクFCを上側面SPに対して90°未満の角度α傾けることができ、クレストSTは上側面SPに正確に平行でなくてもよい。なお、基材SBとクレストSTは、可能性としては、図1aに示すように、当該部品のために望まれる特定のテクスチャ、例えば、彫り付け、を設けるために表面の機械加工が行われていることがある。
【0026】
図1bに示すステップMd_Cisによると、好ましくは樹脂である絶縁層CIを、パターンMTの高さH以下の厚みEまで、上側面SP上に堆積する。この堆積するステップMd_Cisは、例えば、パターンMTのまわりで堆積される粘着性の形態の樹脂を加熱することによって行われる。実際上、絶縁層CIがパターンMTのクレストSTを越えさせる厚みEまで絶縁層CIが堆積される場合、余剰分は表面処理によって取り除かれる。また、この表面処理によって、クレストSPのレベルにおいてテクスチャを作ったり再び作ったりすることが可能になる。
【0027】
図1cに示すステップMd_Cgaによると、直流電気成長によってパターンMTの(導電性の)クレストST上に、金属層CMが堆積される。このようにして、上に絶縁層CIがある基材SBは、比較的厚い層を形成するように堆積することができる金、銀、ニッケル又は他の金属のような金属又は金属合金の堆積に適している直流電気成長用の槽に浸漬される。基材SBに対する絶縁層CIの構成のために、金属の堆積は、クレストSTに垂直に成長するだけではなく、側方、すなわち、絶縁層CIの方向、にも成長する。このようにして、ステップMd_Cgaの終わりに、金属層CMの側方の端ELが絶縁層CI上に配置される。
【0028】
随意的なステップによると、金属層CMを機械加工して、その厚みP及び/又は構造を小さくしたり、その表面を研磨したりする。
【0029】
図1dに示すステップMd_Disによると、絶縁層CIが溶かされる。したがって、残るのは、基材SBと金属層CMによって形成されるアセンブリーESのみとなる。
【0030】
随意的なステップによると、このアセンブリーESの表面処理を行う。例えば、この処理は、離型剤を塗ること又は不動態化処理である。このステップの意義を下の文章で説明する。
【0031】
図1eに示すステップMd_Enrにおいて、このアセンブリーESは、製造される部品の基礎材料の塊材VLで被覆される。これによって、塊材VLは、アセンブリーESの印を形成する。実施形態の1つにおいて、基礎材料は、機械的性質のために、アモルファスである又は部分的にアモルファスである金属によって構成している。別の実施形態において、基礎材料は、高分子である。これらの2つの場合に、アモルファス又は部分的にアモルファスな金属合金又は高分子のブロックが、ペースト状のコンシステンシーを有する温度においてアセンブリーESに押される。このことによって、アセンブリーESの形、特に、金属層CMの側方の端ELの形、に成型されるように変形することができる。別の実施形態において、基礎材料は、他の金属又は金属合金、例えば、ニッケル、金など、であり、被覆は、前記金属の直流電気成長によって行う。なお、ステップMd_Enrの終わりにおいて、金属層CMは、基礎材料の塊材VLに固定される。なぜなら、その側方の端ELが、基礎材料の塊材VL内へとシールされるフックを形成するからである。
【0032】
図1fに示すステップMd_Demによると、基礎材料の塊材VL及び金属層CMは、基材SBから分離される。これを達成するために、例えば、基材SBは選択的な酸の槽に浸漬され、溶かされる。代わりに、この分離は、強制型抜きによって達成される。このように、アセンブリーESがあらかじめ表面処理されていれば、型抜きが促進される。
【0033】
ステップMd_Demの終わりにおいて、基礎材料の塊材VLには、形が基材SBのパターンMTの印に対応している凹部EVがあり、その基礎FDの色は金属層CMの色である。なお、基礎材料の塊材VLと金属層CMの間の遷移領域は、クリーンである。また、印のおかげで、塊材VLは、テクスチャーがある外観を有する。凹部EVの基礎FDは、基材SBのクレストSTの外観と同様に鏡の外観を有し、基材SBの上側面SPに以前に対向していた塊材VLの面SFは、前記上側面SPの外観と同様な鏡の外観を有する。
【0034】
なお、図1fは、ステップMd_Cisにおいて絶縁層CIがパターンMTの高さHにほぼ等しい厚みEまで堆積されるときの基材SBと金属層CMを示している。このとき、金属層CMの側方の端ELが、凹部EVの基礎FDと平行に延在する。対照的に、図1gは、ステップMd_Cisにおいて絶縁層CIがパターンMTの高さHよりも小さい厚みEまで堆積されるときの塊材VLと金属層CMを示している。このとき、金属層CMの側方の端ELが、凹部EVの側壁PLの一部にわたって延在する。
【0035】
このように、第1の実施形態によって、包囲された外側要素を備える部品PCを作ることができる。この外側要素は、金色や銀色のような金属層CMの色を有する基礎FDを有する凹部EVによって形成されている。また、塊材VLと金属層CMの間の界面は、バリがなくクリーンである。また、金属層CMは、この部品の残りから分離することができない。最後に、部品PCの面SFと凹部EVの基礎FDには、テクスチャーが形成されている。
【0036】
図2a〜2fに示す第2の実施形態によると、本発明に係る方法は、下記のいくつかのステップを有する。
【0037】
1つのステップによると、導電性の基材SB’が用意される。この基材SB’は、好ましくは、真鍮によって作られるが、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの他の材料によって作ることもできる。なお、基材SB’の上側面SP’に対して、可能性としては、図2aによって明らかなように、当該部品のために望まれる特定のテクスチャ、例えば、彫り付け、を設けるために表面の機械加工を行うことがある。
【0038】
図2aに示すステップMd’_Cisによると、好ましくは樹脂である、厚みがE’である中間絶縁層CI’が、基材SB’の上側面SP’上に堆積される。この堆積するステップMd’_Cisは、例えば、上側面SP’上に堆積される粘着性の形態の樹脂を加熱することによって行う。
【0039】
図2bに示すステップMd’_Ugeによると、絶縁層CI’と基材SB’を機械加工して、絶縁層CI’を通り抜けて厚みGの基材SB’の一部にわたるように延在する空欠パターンMT’を作る。図2bの例では、パターンMT’は、基材SBの上側面SP’に平行に延在している平坦な基礎STと、及びこの基礎ST’にほぼ垂直に延在しているフランクFC’とを有する。しかし、この形態に限定されない。例えば、フランクFC’を上側面SP’に対して90°未満の角度α’傾けることができ、基礎ST’は上側面SP’に正確に平行でなくてもよい。
【0040】
図2cに示すステップMd’_Cgaによると、金属層CM’がパターンMT’内へと直流電気成長によって堆積される。このようにして、上に絶縁層CI’がある基材SB’は、金、銀、ニッケルのような金属又は比較的厚い層を形成するように堆積することができる他の金属又は金属合金の堆積に適している直流電気成長用の槽に浸漬される。パターンMT’が金属堆積物によって完全に充填されると、この金属堆積物は、パターンMT’の基礎ST’に対して垂直にだけではなく、絶縁層CI’上にも堆積するように側方にも成長する。このようにして、ステップMd’_Cgaの終わりに、金属層CM’は、絶縁層CI’上に安定的に配置される側方の端EL’を有する。
【0041】
随意的なステップによると、金属層CM’が機械加工されて、側方の端EL’の厚みP’を小さくしたり、かつ/又は金属層CM’の表面を構成したり研磨したりする。
【0042】
図2dに示すステップMd’_Disによると、絶縁層CI’が溶かされる。したがって、残るのは、基材SB’と金属層CM’によって形成されるアセンブリーES’のみとなる。
【0043】
随意的なステップによると、このアセンブリーES’の表面処理が行われる。この処理は、例えば、油の塗布又は不動態化である。このステップの意義を下の文章で説明する。
【0044】
図2eに示すステップMd’_Enrにおいて、このアセンブリーES’は、塊材VLがアセンブリーESの印を形成するように、製造される部品の基礎材料の塊材VL’で被覆される。実施形態の1つにおいて、基礎材料は、アモルファス又は部分的にアモルファスな金属合金によって構成する。別の実施形態において、基礎材料は、高分子である。これらの2つの場合に、アモルファス又は部分的にアモルファスな金属又は高分子のブロックが、ペースト状のコンシステンシーを有する温度においてアセンブリーES’上に押される。このことによって、アセンブリーES’の形、特に、金属層CM’の側方の端EL’の形、に成型されるように変形することができる。別の実施形態において、基礎材料は、他のいずれかの金属、例えば、ニッケル、金など、であり、被覆は、前記金属の直流電気成長によって行われる。なお、ステップMd’_Enrの終わりにおいて、金属層CM’は、基礎材料の塊材VL’に固定される。なぜなら、その側方の端EL’が、基礎材料の塊材VL’内へとシールされるフックを形成するからである。
【0045】
図2fに示すステップMd’_Demによると、基礎材料の塊材VL’及び金属層CM’が分離される。これを達成するために、例えば、基材SB’を選択的な酸の槽に浸漬して、基材SB’を溶かす。代わりに、この分離は、強制型抜きによって達成される。前記のように、アセンブリーES’をあらかじめ表面処理すると、型抜きが促進される。
【0046】
ステップMd’_Demの終わりにおいて、金属層CM’は、形が基材SB’におけるパターンMT’の印に対応する塊材VL’上に成長物EV’を形成する。なお、基礎材料の塊材VL’と金属層CM’の間の遷移領域は、クリーンである。また、印のおかげで、塊材VL’は、テクスチャーがある外観を有する。以前に基材SB’の上側面SP’に対向していた塊材VL’の面SF’は、前記上側面SP’の外観と同様な鏡の外観を有する。
【0047】
このようにして、第2の実施形態によると、隆起した外側要素を有する部品PC’の製造が可能になる。この外側要素は、金属層CM’によって形成された成長物EV’によって構成する。また、塊材VL’と金属層CM’の間の界面は、バリがなくクリーンである。また、金属層CM’は、この部品の残りから分離することができない。最後に、部品PCの面SF’にテクスチャーを形成することができる。
【0048】
また、第1又は第2の実施形態に係る方法には、外側要素の外観を変えることを可能にする下記のいくつかの付加的なステップを有することができる。
【0049】
図3aに示す随意的なステップMd_Ddrによると、金属層CM、CM’が化学的に溶かされる。このとき、塊材VL、VL’には、金属層CM、CM’の側方の端EL、EL’の印によって形成されるアンカーアームBAがある空洞CVがある。空洞CVの幾何学的構成は、以下のいくつかのパラメーターに依存する。
図1a及び2bに示すパターンMT、MT’の幅L、L’
図1b及び2bに示すパターンMT、MT’の高さH、E’+G
図1a及び2bに示すパターンMT、MT’のフランクFC、FC’の傾きα、α’
図1c及び2cに示す金属層CM、CM’の側方の端EL、EL’の幅G、G’
図1c及び2cに示す金属層CM、CM’(金属層CM、CM’が機械加工されていなければこれらの幅G、G’と等しい)の前記側方の端EL、EL’の厚みP、P’
図1b及び2bに示すステップMd_Cis又はMd’_Cisにおいて堆積される絶縁層CI、CI’の厚みE、E’
【0050】
アンカーアームBAは、好ましいことに、色づけされた樹脂、蛍光ラッカー、金属、鉱物などの要素を適所に保持するように用いられる。
【0051】
このようにして、実施形態の1つにおいて、本方法は、図3bに示す、色づけされていたり蛍光性であったりすることがある樹脂又はラッカーRLによって、空洞CVを部分的又は完全に充填するステップMd_Rslを有する。この樹脂又はラッカーRLは、例えば、ペースト状の形態で、挿入され、そして、固化するように加熱される。このとき、アンカーアームBAのおかげで、樹脂又はラッカーRLを塊材VL、VL’から分離することができなくなる。
【0052】
代替的実施形態において、本方法は、金属、金属合金又は複合材を空洞CV内に挿入するステップを有する。金属は、例えば、液体の形態で、挿入され、そして、固化するように冷却される。このとき、アンカーアームのおかげで、金属を塊材VL、VL’から分離することができない。代わりに、金属を直流電気成長によって堆積することができる。この場合、塊材VL、VL’を形成している基礎材料が金属性でなければ、あらかじめ物理的気相成長によって少なくとも1つの金属薄膜を空洞CV内に堆積させるステップを行う必要がある。
【0053】
代替的実施形態において、本方法は、図3cに示す、ダイヤモンドのような鉱物を空洞内にセットするステップMd_Minを有する。このとき、鉱物MNは、上にノッチECがある基礎を有しており、このノッチECは、空洞CVにつながっているトラックと連係する。鉱物MNが空洞CV内にあるとき、鉱物MNはアンカーアームBAによってそこに保持される。なお、この場合において、図3cに示すように、空洞CVの側壁PLがアンカーアームBAと鋭角を形成して、側壁PLがノッチEC内に嵌まるようにすると有利である。これは、フランクFC、FC’の傾斜角α、α’が小さいようなパターンMT、MT’に対応している。
【0054】
もちろん、本発明は、図示した例に制限されず、当業者が思い浮かぶ様々な変種及び改変が可能である。
【符号の説明】
【0055】
BA アンカーアーム
CI、CI’ 絶縁層
CI、CI’ 絶縁層
CM、CM’ 金属層
CV 空洞
EH 外側要素
ES、ES’ アセンブリー
EV 凹部
EV’ 成長物
FD 基礎
MN 鉱物
MT、MT’ パターン
PC、PC’ 部品
RL 物質
SB、SB’ 基材
SP、SP’ 上側面
ST クレスト
VL、VL’ 塊材
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3