【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の多くの態様は、生体分子検出のための半導体電子無標識アッセイ(SELFA)試験ストリップ装置であって、(a)複数の電極を含む基体;(b)電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどが基体上に組み込まれ、または組み立てられかつ電極に接続された複数の電子センサ;および(c)基体上に配置され、および電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置に関する。
【0004】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、感知アームを含む。一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、感知アームの上流に緩衝液貯蔵所をさらに含む。一つの態様において、感知アームは、試料貯蔵所、試料貯蔵所の下流の試料濾過モジュールおよび試料濾過モジュールの下流の試料感知領域を含む。試料感知領域は、電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合することができる。
【0005】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、制御アームをさらに含む。一つの態様において、制御アームは、感知アームの上流の同じ緩衝液貯蔵所に接続される。もう一つの態様において、制御アームは、別々の緩衝液貯蔵所に接続される。一つの態様において、制御アームは、随意の制御貯蔵所、随意の制御貯蔵所の下流の制御濾過モジュールおよび制御濾過モジュールの下流の制御感知領域を含む。制御感知領域は、電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合することができる。
【0006】
一つの態様において、緩衝液貯蔵所は、少なくとも1つの緩衝液を含む。たとえば、緩衝液は、200mMより少ない、または100mMより少ない、または50mMより少ない、または20mMより少ないイオン強度を有することができる。緩衝液を緩衝液貯蔵所から感知アームおよび/または制御アームに放出して電子センサに接触することができる。
【0007】
生物学的試料から細胞/細片を濾過するために適合される任意の濾過モジュールを、試料濾過モジュールとして使用することができる。一つの態様において、試料濾過モジュールは、慣性濾過モジュールである。慣性濾過モジュールは、たとえば濾過される細胞/細片より大きな寸法を有する流路を含むことができる。慣性濾過モジュールは、たとえば拡大していく微少流路を含むことができる。慣性濾過モジュールは、たとえば(i)慣性揚力を提供するように上流の流路より小さな寸法を有する拡大中微少流路、(ii)拡大していく流路壁に沿って前記慣性揚力に供された細胞/細片を導くための拡大中微少流路の下流の拡大していく微少流路および(iii)1つまたは複数の側方流路に細胞/細片を迂回するための、一方で生物学的試料の残りが感知領域に流れ、および入ることができる、拡大していく微少流路の下流の収集モジュールを含むことができる。
【0008】
生物学的試料から細胞/細片を濾過するために適合される任意の濾過モジュールを、制御濾過モジュールとして使用することができる。一つの態様において、また、制御濾過モジュールは、慣性濾過モジュールである。
【0009】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む。廃棄物貯蔵所は、感知アームおよび/または制御アームに接続することができる。一つの態様は、試料感知領域の下流に第1の廃棄物貯蔵所および制御感知領域の下流に第2の廃棄物貯蔵所を含む。もう一つの態様は、試料感知領域および制御感知領域の下流に単一の廃棄物貯蔵所を含む。
【0010】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの標準貯蔵所をさらに含む。標準貯蔵所は、感知アームおよび/または制御アームに接続させることができる。一つの態様は、試料感知領域の上流に第1の標準貯蔵所および制御感知領域の上流に第2の標準貯蔵所を含む。もう一つの態様は、試料感知領域および制御感知領域両方の上流に単一の標準貯蔵所を含む。たとえば、標準貯蔵所を、感知アームおよび/または制御アームの濾過モジュールの下流に配置することができる。たとえば、標準貯蔵所は、少なくとも1つの既知の濃度の参照溶液を含むことができる。
【0011】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、毛管ポンプをさらに含む。
【0012】
一つの態様において、試験ストリップ装置の基体は、少なくとも1つの重合体材料を含む。もう一つの態様において、基体は、少なくとも1つの半導体材料を含む。
【0013】
1つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、基体上に組み込まれる。もう一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、基体上に組み立てられたチップの一部である。試験ストリップ装置は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも12または少なくとも48の基体上に組み込まれ、または組み立てられた電子センサを含むことができる。
【0014】
一つの態様において、試験ストリップ装置は、基体上にパシベーション層およびその上かつ微小流体流路の下に配置された電子センサをさらに含む。パシベーション層は、感知ナノワイヤ領域内部および端部にて電気パッドのみを曝露してもよい。
【0015】
一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むnwFETセンサである。幅方向ナノワイヤFET増幅器は、電源電極に接続された第1の末端およびドレイン電極に接続された第2の末端を有することができる。長手方向感知ナノワイヤは、ノードを形成するように幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された第1の末端およびベース電極に接続された第2の末端を有することができる。
【0016】
一つの態様において、感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するように約10°と170°、40°と140°または70°と110°の間の角度にてナノワイヤFET増幅器に接続される。感知ワイヤーとナノワイヤFET増幅器との間の角度は、約10°、40°、70°、80°、90°、110°、140°または170°、約それより小さい、または約それより大きいことができる。もう一つの態様において、感知ナノワイヤは、ナノワイヤFET増幅器に実質的に直交する。一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器は、鋭角または鈍角の角度を形成する。本明細書において言及される角度は、感知ナノワイヤとナノワイヤFET増幅器との間に形成される2つの角度の一方のであることができる。2つの角度は、補角でもよく、その結果第1および第2の角度の合計は、180°である。あるいは、2つの角度は、補角でなくてもよい。2つの角度は、同等または不等であり得る。たとえば、両方の角度は、約45°であることができ、または一方の角度は、約45°であることができ、他方は、約90°であることができる。
【0017】
一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器は、ほぼ同じ寸法を有する。もう一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器の幅は、それぞれ独立し、約10nm〜約3000nmの範囲内、または約50nm〜約1000nmの範囲内または約100nm〜約500nmの範囲内である。
【0018】
一つの態様において、nwFETセンサは、第1の末端および第2の末端を有する第2の感知ナノワイヤをさらに含み、第2の感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するようにナノワイヤFET増幅器に接続され、および第2の感知ナノワイヤの第2の末端は、第2のベース電極に接続される。一つの態様において、第1の感知ナノワイヤおよび第2の感知ナノワイヤは、同じノードにてナノワイヤFET増幅器に接続される。
【0019】
一つの態様において、nwFETセンサは、第1の末端および第2の末端を有する第3の感知ナノワイヤをさらに含み、第3の感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するようにナノワイヤFET増幅器に接続され、および第3の感知ナノワイヤの第2の末端は、第3のベース電極に接続される。
【0020】
一つの態様において、nwFETセンサは、感知ナノワイヤ表面および任意に感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くを除いて、パシベーションを介して環境から遮蔽することができる。
【0021】
一つの態様において、感知ナノワイヤ表面および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くは、複数の固定化された受容体で誘導体化される。固定化された受容体は、遊離アミノ基、遊離カルボキシル基、遊離ヒドロキシル基またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
一つの態様において、感知ナノワイヤ表面および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くは、その上に固定され、生物マーカーに結合するように適合された受容体を含む。臨床診断適用のために有用な任意の生物マーカーをターゲットすることができる。
【0023】
一つの態様において、受容体は、CD4、CD14、CD25、フォークヘッドボックスタンパク質P3(FoxP3)、グランザイムB、核因子カッパー−Bキナーゼサブユニットベータ(IKKβ)阻害剤、インターフェロンアルファ(IFN−α)、IFN−γ、インターロイキン2(IL−2)、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−17、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、ミエロイド系分化一次応答遺伝子88(MyD88)、核因子カッパーB(NFкB)、パーフォリン、TIR−ドメイン含有アダプタを含むインターフェロン−β(TRIF)、Toll様受容体4(TLR4)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)などの骨髄移植における免疫調節および抑制と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0024】
もう一つの態様において、受容体は、FoxP3、熱ショックタンパク質(HSP)、高移動度グループ1ボックス1タンパク質(HMGB1)、ヒアルロナン、I型IFN、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP−10)、テトラトリコペプチド反復1でインターフェロン誘導されたタンパク質(Ifit1)、Ifit2、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−17、IL−21、IL−23、MCP−1、MyD88、分泌型(RANTES)、TLR4、TRIFおよびTNF−αなどの骨髄細胞のアロ拒絶反応における先天性免疫と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0025】
さらなる態様において、受容体は、クレアチンキナーゼ、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、筋肉トロポニン、ミオグロビンおよびミオシン軽鎖1(MLC−1)などの骨格筋傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、C反応性タンパク質(CRP)、E−セレクチン、細胞間接着分子1(ICAM−1)、ICAM−3、P−セレクチン、血清アミロイドタンパク質A(SAA)、トロンボモジュリンおよび血管細胞接着分子1(VCAM−1)などの血管の傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、CRP、エリスロポイエチン(EPO)、IL−2、IL−2受容体(IL−2R)、IL−8、レプチン、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP−9)、MCP−1、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、リン酸化ニューロフィラメント−H(pNFH)、S100カルシウム結合タンパク質B(S100B)およびTNF−αなどの脊髄障害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、シスタチンC、ビタミンD−結合タンパク質(DBP)、ヒアルロナン、MMP−9、ニューロフィラメント軽サブユニット(NFL)、ノシセプチン、S100、可溶性TNF受容体1(sTNFR1)、テトラネクチンおよびTNF−αなどの脊髄神経根傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0026】
一つの態様において、装置の複数のnwFETセンサを、試料におけるこれらの存在を同時に検出するために、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6または少なくとも12の異なる生物マーカーに結合することができる。
【0027】
一つの態様において、装置は:(a)複数の電極を含む基体;(b)基体上に包埋され、または配置され、かつ電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであって、それぞれのnwFETセンサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、感知ナノワイヤおよびまた任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、その上に固定された受容体を含み、およびナノワイヤFET増幅器は、不動態化されるセンサ;および(c)基体上に配置され、およびnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所;(ii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、感知アームは、試料貯蔵所、少なくとも1つの濾過される細胞より大きな寸法を有する流路を含む試料濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、制御アームは、制御濾過モジュール、少なくとも1つのnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、制御アーム;および(iv)感知アームおよび制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、および微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む。
【0028】
一つの態様において、試験ストリップ装置出力は、電子装置へのインタフェース装置を介してダウンロード可能である。
【0029】
本発明のさらなる態様は、生物マーカーの存在を検出するための方法であって:(A)(a)複数の電極を含む基体、(b)電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどの基体上に組み込まれ、または組み立てされ、かつ電極に接続された複数の電子センサ、および(c)基体上に配置され、および電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および(B)生物学的試料を微少溶液コンポーネントに導入することであって、微少溶液コンポーネントは、電子センサの少なくとも1つを接触するように生物学的試料の流れを向け、および生物マーカーの存在は、電子センサの少なくとも1つにおいて信号変化を生じることを含む。
【0030】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;感知アームは、生物学的試料を受けるための試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび少なくとも1つの電子センサと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および生物学的試料は、緩衝液貯蔵所から流れている緩衝液の流れに接触するように試料貯蔵所に導入される。
【0031】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料を導入する前に緩衝液貯蔵所から緩衝液を放出することをさらに含む。
【0032】
一つの態様において、試料濾過モジュールは、慣性濾過に適合され、および緩衝液と混合された生物学的試料は、試料感知領域に入る前に濾過モジュールによって濾過される。
【0033】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;制御アームは、制御濾過モジュール、少なくとも1つのnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された感知制御領域および任意に制御貯蔵所を含み;および生物学的試料は、制御貯蔵所に導入されない。
【0034】
一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むnwFETセンサであり、および感知ナノワイヤは、生物マーカーに結合するよう適合されたその上に固定された少なくとも1つの受容体を含む。
【0035】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料より低濃度の生物マーカーを含む第1の参照溶液と電子センサの少なくとも1つを接触し、これにより生物学的試料における生物マーカーの定量化のための第1の参照点として役立つ電子センサの少なくとも1つにおける第1の信号変化を生じることをさらに含む。一つの態様において、より低濃度の生物マーカーを含む少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの異なる参照溶液は、生物学的試料における生物マーカーの定量化のための参照点を生成するために使用される。
【0036】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料より高濃度の生物マーカーを含む第2の参照溶液と電子センサの少なくとも1つを接触し、これにより生物学的試料における生物マーカーの定量化のための第2の参照点としての役立つ電子センサの少なくとも1つにおいて第2の信号変化を生じることをさらに含む。一つの態様において、より高濃度の生物マーカーを含む少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの異なる参照溶液は、生物学的試料における生物マーカーの定量化のための参照点を生成するために使用される。
【0037】
一つの態様において、第1および/または第2の参照溶液は、電子センサに接触するように第1および第2の参照溶液の流れを向ける微少溶液コンポーネントに導入される。一つの態様において、第1のおよび/または第2の参照溶液は、感知アームの試料感知領域の上流でおよび/または制御アームの制御感知領域の上流で、1つまたは複数の標準貯蔵所に予めロードされ、それらは、生物学的試料の導入の前および/または後、感知領域を入れるために適合される。
【0038】
一つの態様において、本方法は、(A)(a)複数の電極を含む基体;(b)センサが基体上に包埋され、または配置され、および電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、感知ナノワイヤ、および任意に感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは
、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含み、およびナノワイヤFET増幅器は
、不動態化された、nwFET;および(c)基体の上に配置され、およびnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所を含む少なくとも1つの緩衝液;(ii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの
流路を含む試料濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、制御アームは、制御貯蔵所、光学制御濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含む、制御アーム;および、(iv)感知アームおよび制御アームに接続された一つまたは複数の廃棄物貯蔵所を含み、微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;(B)緩衝液貯蔵所から緩衝液を放出すること;および(C)緩衝液貯蔵所から流れている緩衝液の流れに接触するように生物学的試料を試料貯蔵所に添加することであって;緩衝液と混合される生物学的試料は、感知領域に入る前に試料濾過モジュールによって濾過され;および緩衝液と混合される生物学的試料は、試料感知領域にてnwFETセンサの感知ナノワイヤに接触し、および生物マーカーと感知ナノワイヤ上に固定された受容体との間の結合は、nwFETセンサの少なくとも1つのにて信号変化を生じることを含む。
【0039】
本発明のさらなる態様は、受容体を固定するための方法であって、(A)電極に接続された、電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどの複数の電極および複数の電子センサを含む基体上に微少溶液層を配置することであって、微少溶液層は、電子センサと流体工学的に連通するように適合された複数の流路を含むこと;および(B)少なくとも1つの流路に受容体の溶液を添加することであって、受容体は、少なくとも1つの電子センサに接触する、および結合することを含む。一つの態様において、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも6つまたは少なくとも12の異なる受容体は、複数の電子センサ上に同時におよび選択的に固定される。
【0040】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとも1つの利点は、イメージングのない感知様式のため大きな光学基盤が必要とされないことである。選択された光学的アッセイと比較して、蛍光標識のために必要性、およびしたがって、さらなる試薬および抱合工程を除外することができる。
【0041】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとももう一つの利点は、電気化学的な酵素に基づいた増幅がほとんどまたは全く関与せず、その結果酵素試薬およびこれらの抱合がもはや必要でないことである。したがって、非常に迅速な総処理時間(TAT)が臨床投与のために期待される。
【0042】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとももう一つの利点は、臨床的ELISA試験とは対照的に、試験ストリッププラットフォームを読み出し電子技術と直接連結することができ、その結果熟練した人員が必要でないことである。
【0043】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、扱うのが容易な微少溶液であり、これは、緩衝液溶液をあらかじめ充填すること、および慣性濾過に基づいて細胞/細片を濾過することができる。慣性濾過は、取り出される細胞−細片より大きな流路寸法で作動するので、これは強力かつ障害物耐性である。
【0044】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、第1の工程として生理液における標的検体結合および第2の工程として精製された低イオン強度緩衝液における生体分子−電気的信号伝達を含む、強力な検出手順である。これは、その他のFETに基づいた感知溶液に対して抑制的な電荷スクリーニング問題を軽減し、および同時に干渉する検体との非特異的競合的結合問題を緩和する。
【0045】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、自動参照データ収集プラットフォームである。試験ストリップ二重アーム設計により、標的検体および干渉物質と感知アーム、および実質的に精製された緩衝液のみと制御アームとの間で差動的測定を行うことができる。この設計は、任意の系統的および/または周囲変動で誘導される測定エラーを効率的に抑制することができ、全体の検出信号対雑音比(SNR)を増強することができる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)複数の電極を含む基体;
(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、かつ前記電極に接続された複数の電子センサ;および
(c)前記基体上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネント、
を含む装置。
(項目2)
前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液貯蔵所および前記緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み、前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、項目1の装置。
(項目3)
前記緩衝液貯蔵所は、200mMより少ないイオン強度を有する少なくとも1つの緩衝液を含む、項目2の装置。
(項目4)
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過のために適合される、項目2の装置。
(項目5)
前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み、前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、項目2の装置。
(項目6)
前記微少溶液コンポーネントは、前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む、項目5の装置。
(項目7)
前記基体は、重合体および半導体からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、項目1の装置。
(項目8)
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み込まれる項目1の装置。
(項目9)
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み立てられたチップの一部である、項目1の装置。
(項目10)
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサである、項目1の装置。
(項目11)
前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、項目10の装置。
(項目12)
(a)複数の電極を含む基体;
(b)センサが前記基体上に包埋され、または配置され、および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、前記nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、その上に固定された受容体を含み、および前記ナノワイヤFET増幅器は、不動態化された、nwFET;および、
(c)前記基体の上に配置され、および前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、前記微少溶液コンポーネントは:
(i)少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所;
(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、前記感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む慣性試料濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;
(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、前記制御アームは、慣性制御濾過モジュール、前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、制御アーム;および、
(iv)前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、
前記微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネント、
を含む、装置。
(項目13)
生物マーカーの存在を検出するための方法であって:
(a)複数の電極を含む基体、(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、および前記電極に接続された複数の電子センサ、および(c)前記基体の上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および、
前記微少溶液コンポーネントに生物学的試料を導入することであって、前記微少溶液コンポーネントは、前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記生物学的試料の流れを向け、および前記生物マーカーの存在は、前記電子センサの前記少なくとも1つにおいて信号変化を生じること、
を含む、方法。
(項目14)
前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および
前記生物学的試料は、前記緩衝液から流れている前記緩衝液の流れに接触するように前記試料貯蔵所に導入される、
項目13の方法。
(項目15)
前記生物学的試料を導入する前に、前記緩衝液貯蔵所から前記緩衝液流を放出することをさらに含む、項目14の方法。
(項目16)
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過に対して適合され、および前記緩衝液と混合された前記生物学的試料は、前記試料感知領域に入る前に前記濾過モジュールによって濾過される、項目14の方法。
(項目17)
前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つに流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含み;および、
前記生物学的試料は、前記制御アーム内に導入されない、項目14の方法。
(項目18)
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤ含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであり、および式前記感知ナノワイヤおよび任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、前記生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、項目13の方法
(項目19)
受容体を固定するための方法であって、
複数の電極および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサを含む基体の上に微少溶液層を配置することを含み、前記微少溶液層は、前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された単一または複数の流路を含むこと;および、
前記流路の少なくとも1つ内に前記受容体の溶液を添加することであって、前記受容体は、前記nwFETセンサの少なくとも1つに接触する、および結合すること、
を含む、方法。
(項目20)
前記生物学的試料より低濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第1の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つに接触し、これにより前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第1の参照点として役立つ前記電子センサの少なくとも1つにて少なくとも1つの第1の信号変化を生じること、;および任意に、前記生物学的試料より高濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第2の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つに接触して、これにより前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第2の参照点として役立つ前記電子センサの少なくとも1つにて少なくとも1つの第2の信号変化を生じることをさらに含む、項目13の方法。
(項目21)
前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第1の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記第1の参照溶液の流れを向けること;および任意に、前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第2の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記第2の参照溶液の流れを向けること、を含む項目20の方法。