特許第6347780号(P6347780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6347780
(24)【登録日】2018年6月8日
(45)【発行日】2018年6月27日
(54)【発明の名称】生体分子検出試験ストリップ設計
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/414 20060101AFI20180618BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20180618BHJP
【FI】
   G01N27/414 301N
   G01N27/414 301Y
   G01N37/00 101
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-525518(P2015-525518)
(86)(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公表番号】特表2015-523582(P2015-523582A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】US2013052764
(87)【国際公開番号】WO2014022422
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】61/677,368
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チュイ, チ オン
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/075445(WO,A1)
【文献】 特開2005−274574(JP,A)
【文献】 特開2002−239317(JP,A)
【文献】 特開2007−255912(JP,A)
【文献】 特開平07−198676(JP,A)
【文献】 特開2010−127931(JP,A)
【文献】 特表2006−517652(JP,A)
【文献】 特表2004−515782(JP,A)
【文献】 特表2010−510502(JP,A)
【文献】 特表2010−523976(JP,A)
【文献】 特表2010−539503(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/025481(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0215002(US,A1)
【文献】 特開2014−6086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の電極を含む基体;
(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、かつ前記電極に接続された複数の電子センサ;および
(c)前記基体上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネント、
を含み、前記微少溶液コンポーネントは、(i)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所、(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アーム、および(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームを含み、前記感知アームは、試料貯蔵所、および前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み、前記制御アームは、前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含み、
前記微少溶液コンポーネントは、前記試料貯蔵所内に導入された生物学的試料の流れを前記試料感知領域に向けるように適合されており、前記生物学的試料は、前記制御アーム内に導入されない、装置。
【請求項2】
記感知アームは、試料濾過モジュールを含む、請求項1の装置。
【請求項3】
前記緩衝液貯蔵所は、200mMより少ないイオン強度を有する少なくとも1つの緩衝液を含む、請求項2の装置。
【請求項4】
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過のために適合される、請求項2の装置。
【請求項5】
記制御アームは、制御濾過モジュールを含む、請求項2の装置。
【請求項6】
前記微少溶液コンポーネントは、前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む、請求項5の装置。
【請求項7】
前記基体は、重合体および半導体からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1の装置。
【請求項8】
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み込まれる請求項1の装置。
【請求項9】
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み立てられたチップの一部である、請求項1の装置。
【請求項10】
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサである、請求項1の装置。
【請求項11】
前記感知ナノワイヤは、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、請求項10の装置。
【請求項12】
(a)複数の電極を含む基体;
(b)前記基体上に包埋され、または配置され、および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであって、前記nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、前記感知ナノワイヤは、その上に固定された受容体を含み、および前記ナノワイヤFET増幅器は、不態化された、nwFET;および、
(c)前記基体の上に配置され、および前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、前記微少溶液コンポーネントは:
(i)少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所;
(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、前記感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む慣性試料濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;
(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、前記制御アームは、慣性制御濾過モジュール、および前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含む、制御アーム;および、
(iv)前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、
前記微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネント、
を含む、装置。
【請求項13】
生物マーカーの存在を検出するための方法であって:
(a)複数の電極を含む基体、(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、および前記電極に接続された複数の電子センサ、および(c)前記基体の上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および、
前記微少溶液コンポーネントに生物学的試料を導入することであって、前記微少溶液コンポーネントは、前記電子センサの少なくとも1つ接触するように前記生物学的試料の流れを向け、および前記生物マーカーの存在は、前記電子センサの前記少なくとも1つにおいて信号変化を生じること、
を含み、
前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第1の参照点を確立することであって、前記第1の参照点は、前記生物学的試料より低い第1の濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第1の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つの接触から生じる少なくとも1つの第1の信号変化である、確立すること;および、
前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第2の参照点を確立することであって、前記第2の参照点は、前記生物学的試料より低い第2の濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第2の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つの接触から生じる少なくとも1つの第2の信号変化である、確立すること
をさらに含む、方法。
【請求項14】
前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および
前記生物学的試料は、記緩衝液貯蔵所から流れている前記緩衝液の流れに接触するように前記試料貯蔵所に導入される、
請求項13の方法。
【請求項15】
前記生物学的試料を導入する前に、前記緩衝液貯蔵所から前記緩衝液を放出することをさらに含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過に対して適合され、および前記緩衝液と混合された前記生物学的試料は、前記試料感知領域に入る前に前記濾過モジュールによって濾過される、請求項14の方法。
【請求項17】
前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;前記制御アームは、制御濾過モジュール、および前記電子センサの少なくとも1つに流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含み;および、
前記生物学的試料は、前記制御アーム内に導入されない、請求項14の方法。
【請求項18】
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤ含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであり、および前記感知ナノワイヤは、前記生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、請求項13の方法
【請求項19】
前記微少溶液コンポーネント内に前記受容体の溶液を添加することであって、前記受容体は、前記nwFETセンサに接触する、および結合すること、
さらに含む、請求項18の方法。
【請求項20】
前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第1の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つ接触するように前記第1の参照溶液の流れを向けること;および、前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第2の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つ接触するように前記第2の参照溶液の流れを向けること、を含み、前記第1の参照点および前記第2の参照点に基づいた補間法を介して前記生物学的試料中の前記生物マーカーの濃度を定量化することをさらに含む、請求項13の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
この出願は、2012年7月30日に出願の米国仮出願番号第61/677,368号の利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、研究室ベースのインビトロ診断(IVD)ツールおよび生物検体における抗原または抗体などの標的タンパク質の存在を検出する臨床的な優れた標準である。この検出方法は、定量的または定性的いずれかの結果を提供することができる。この方法は、高い感度であるが、これは典型的には複数の処理工程を必要とするので、かなりの資本設備および訓練された技術者が操作することを必要とする。したがって、ELISAは、持ち運びできず、および結果を生じるためにかなりの時間がかかる。これらの限界は、臨床的診断法の費用効果および治療結果を改善するために、より安価で、より高頻繁およびより感度のよい診断法を可能にする新たなIVD技術をひとまとめにして強く要望する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の多くの態様は、生体分子検出のための半導体電子無標識アッセイ(SELFA)試験ストリップ装置であって、(a)複数の電極を含む基体;(b)電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどが基体上に組み込まれ、または組み立てられかつ電極に接続された複数の電子センサ;および(c)基体上に配置され、および電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置に関する。
【0004】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、感知アームを含む。一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、感知アームの上流に緩衝液貯蔵所をさらに含む。一つの態様において、感知アームは、試料貯蔵所、試料貯蔵所の下流の試料濾過モジュールおよび試料濾過モジュールの下流の試料感知領域を含む。試料感知領域は、電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合することができる。
【0005】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、制御アームをさらに含む。一つの態様において、制御アームは、感知アームの上流の同じ緩衝液貯蔵所に接続される。もう一つの態様において、制御アームは、別々の緩衝液貯蔵所に接続される。一つの態様において、制御アームは、随意の制御貯蔵所、随意の制御貯蔵所の下流の制御濾過モジュールおよび制御濾過モジュールの下流の制御感知領域を含む。制御感知領域は、電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合することができる。
【0006】
一つの態様において、緩衝液貯蔵所は、少なくとも1つの緩衝液を含む。たとえば、緩衝液は、200mMより少ない、または100mMより少ない、または50mMより少ない、または20mMより少ないイオン強度を有することができる。緩衝液を緩衝液貯蔵所から感知アームおよび/または制御アームに放出して電子センサに接触することができる。
【0007】
生物学的試料から細胞/細片を濾過するために適合される任意の濾過モジュールを、試料濾過モジュールとして使用することができる。一つの態様において、試料濾過モジュールは、慣性濾過モジュールである。慣性濾過モジュールは、たとえば濾過される細胞/細片より大きな寸法を有する流路を含むことができる。慣性濾過モジュールは、たとえば拡大していく微少流路を含むことができる。慣性濾過モジュールは、たとえば(i)慣性揚力を提供するように上流の流路より小さな寸法を有する拡大中微少流路、(ii)拡大していく流路壁に沿って前記慣性揚力に供された細胞/細片を導くための拡大中微少流路の下流の拡大していく微少流路および(iii)1つまたは複数の側方流路に細胞/細片を迂回するための、一方で生物学的試料の残りが感知領域に流れ、および入ることができる、拡大していく微少流路の下流の収集モジュールを含むことができる。
【0008】
生物学的試料から細胞/細片を濾過するために適合される任意の濾過モジュールを、制御濾過モジュールとして使用することができる。一つの態様において、また、制御濾過モジュールは、慣性濾過モジュールである。
【0009】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む。廃棄物貯蔵所は、感知アームおよび/または制御アームに接続することができる。一つの態様は、試料感知領域の下流に第1の廃棄物貯蔵所および制御感知領域の下流に第2の廃棄物貯蔵所を含む。もう一つの態様は、試料感知領域および制御感知領域の下流に単一の廃棄物貯蔵所を含む。
【0010】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの標準貯蔵所をさらに含む。標準貯蔵所は、感知アームおよび/または制御アームに接続させることができる。一つの態様は、試料感知領域の上流に第1の標準貯蔵所および制御感知領域の上流に第2の標準貯蔵所を含む。もう一つの態様は、試料感知領域および制御感知領域両方の上流に単一の標準貯蔵所を含む。たとえば、標準貯蔵所を、感知アームおよび/または制御アームの濾過モジュールの下流に配置することができる。たとえば、標準貯蔵所は、少なくとも1つの既知の濃度の参照溶液を含むことができる。
【0011】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、毛管ポンプをさらに含む。
【0012】
一つの態様において、試験ストリップ装置の基体は、少なくとも1つの重合体材料を含む。もう一つの態様において、基体は、少なくとも1つの半導体材料を含む。
【0013】
1つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、基体上に組み込まれる。もう一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、基体上に組み立てられたチップの一部である。試験ストリップ装置は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも12または少なくとも48の基体上に組み込まれ、または組み立てられた電子センサを含むことができる。
【0014】
一つの態様において、試験ストリップ装置は、基体上にパシベーション層およびその上かつ微小流体流路の下に配置された電子センサをさらに含む。パシベーション層は、感知ナノワイヤ領域内部および端部にて電気パッドのみを曝露してもよい。
【0015】
一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むnwFETセンサである。幅方向ナノワイヤFET増幅器は、電源電極に接続された第1の末端およびドレイン電極に接続された第2の末端を有することができる。長手方向感知ナノワイヤは、ノードを形成するように幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された第1の末端およびベース電極に接続された第2の末端を有することができる。
【0016】
一つの態様において、感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するように約10°と170°、40°と140°または70°と110°の間の角度にてナノワイヤFET増幅器に接続される。感知ワイヤーとナノワイヤFET増幅器との間の角度は、約10°、40°、70°、80°、90°、110°、140°または170°、約それより小さい、または約それより大きいことができる。もう一つの態様において、感知ナノワイヤは、ナノワイヤFET増幅器に実質的に直交する。一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器は、鋭角または鈍角の角度を形成する。本明細書において言及される角度は、感知ナノワイヤとナノワイヤFET増幅器との間に形成される2つの角度の一方のであることができる。2つの角度は、補角でもよく、その結果第1および第2の角度の合計は、180°である。あるいは、2つの角度は、補角でなくてもよい。2つの角度は、同等または不等であり得る。たとえば、両方の角度は、約45°であることができ、または一方の角度は、約45°であることができ、他方は、約90°であることができる。
【0017】
一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器は、ほぼ同じ寸法を有する。もう一つの態様において、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器の幅は、それぞれ独立し、約10nm〜約3000nmの範囲内、または約50nm〜約1000nmの範囲内または約100nm〜約500nmの範囲内である。
【0018】
一つの態様において、nwFETセンサは、第1の末端および第2の末端を有する第2の感知ナノワイヤをさらに含み、第2の感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するようにナノワイヤFET増幅器に接続され、および第2の感知ナノワイヤの第2の末端は、第2のベース電極に接続される。一つの態様において、第1の感知ナノワイヤおよび第2の感知ナノワイヤは、同じノードにてナノワイヤFET増幅器に接続される。
【0019】
一つの態様において、nwFETセンサは、第1の末端および第2の末端を有する第3の感知ナノワイヤをさらに含み、第3の感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するようにナノワイヤFET増幅器に接続され、および第3の感知ナノワイヤの第2の末端は、第3のベース電極に接続される。
【0020】
一つの態様において、nwFETセンサは、感知ナノワイヤ表面および任意に感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くを除いて、パシベーションを介して環境から遮蔽することができる。
【0021】
一つの態様において、感知ナノワイヤ表面および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くは、複数の固定化された受容体で誘導体化される。固定化された受容体は、遊離アミノ基、遊離カルボキシル基、遊離ヒドロキシル基またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
一つの態様において、感知ナノワイヤ表面および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードの表面および近くは、その上に固定され、生物マーカーに結合するように適合された受容体を含む。臨床診断適用のために有用な任意の生物マーカーをターゲットすることができる。
【0023】
一つの態様において、受容体は、CD4、CD14、CD25、フォークヘッドボックスタンパク質P3(FoxP3)、グランザイムB、核因子カッパー−Bキナーゼサブユニットベータ(IKKβ)阻害剤、インターフェロンアルファ(IFN−α)、IFN−γ、インターロイキン2(IL−2)、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−17、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、ミエロイド系分化一次応答遺伝子88(MyD88)、核因子カッパーB(NFкB)、パーフォリン、TIR−ドメイン含有アダプタを含むインターフェロン−β(TRIF)、Toll様受容体4(TLR4)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)などの骨髄移植における免疫調節および抑制と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0024】
もう一つの態様において、受容体は、FoxP3、熱ショックタンパク質(HSP)、高移動度グループ1ボックス1タンパク質(HMGB1)、ヒアルロナン、I型IFN、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP−10)、テトラトリコペプチド反復1でインターフェロン誘導されたタンパク質(Ifit1)、Ifit2、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−17、IL−21、IL−23、MCP−1、MyD88、分泌型(RANTES)、TLR4、TRIFおよびTNF−αなどの骨髄細胞のアロ拒絶反応における先天性免疫と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0025】
さらなる態様において、受容体は、クレアチンキナーゼ、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、筋肉トロポニン、ミオグロビンおよびミオシン軽鎖1(MLC−1)などの骨格筋傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、C反応性タンパク質(CRP)、E−セレクチン、細胞間接着分子1(ICAM−1)、ICAM−3、P−セレクチン、血清アミロイドタンパク質A(SAA)、トロンボモジュリンおよび血管細胞接着分子1(VCAM−1)などの血管の傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、CRP、エリスロポイエチン(EPO)、IL−2、IL−2受容体(IL−2R)、IL−8、レプチン、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP−9)、MCP−1、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、リン酸化ニューロフィラメント−H(pNFH)、S100カルシウム結合タンパク質B(S100B)およびTNF−αなどの脊髄障害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。さらなる態様において、受容体は、シスタチンC、ビタミンD−結合タンパク質(DBP)、ヒアルロナン、MMP−9、ニューロフィラメント軽サブユニット(NFL)、ノシセプチン、S100、可溶性TNF受容体1(sTNFR1)、テトラネクチンおよびTNF−αなどの脊髄神経根傷害および再生と関連する生物マーカーに結合することができる。
【0026】
一つの態様において、装置の複数のnwFETセンサを、試料におけるこれらの存在を同時に検出するために、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6または少なくとも12の異なる生物マーカーに結合することができる。
【0027】
一つの態様において、装置は:(a)複数の電極を含む基体;(b)基体上に包埋され、または配置され、かつ電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであって、それぞれのnwFETセンサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、感知ナノワイヤおよびまた任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、その上に固定された受容体を含み、およびナノワイヤFET増幅器は、不動態化されるセンサ;および(c)基体上に配置され、およびnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所;(ii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、感知アームは、試料貯蔵所、少なくとも1つの濾過される細胞より大きな寸法を有する流路を含む試料濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、制御アームは、制御濾過モジュール、少なくとも1つのnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、制御アーム;および(iv)感知アームおよび制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、および微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む。
【0028】
一つの態様において、試験ストリップ装置出力は、電子装置へのインタフェース装置を介してダウンロード可能である。
【0029】
本発明のさらなる態様は、生物マーカーの存在を検出するための方法であって:(A)(a)複数の電極を含む基体、(b)電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどの基体上に組み込まれ、または組み立てされ、かつ電極に接続された複数の電子センサ、および(c)基体上に配置され、および電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および(B)生物学的試料を微少溶液コンポーネントに導入することであって、微少溶液コンポーネントは、電子センサの少なくとも1つを接触するように生物学的試料の流れを向け、および生物マーカーの存在は、電子センサの少なくとも1つにおいて信号変化を生じることを含む。
【0030】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;感知アームは、生物学的試料を受けるための試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび少なくとも1つの電子センサと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および生物学的試料は、緩衝液貯蔵所から流れている緩衝液の流れに接触するように試料貯蔵所に導入される。
【0031】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料を導入する前に緩衝液貯蔵所から緩衝液を放出することをさらに含む。
【0032】
一つの態様において、試料濾過モジュールは、慣性濾過に適合され、および緩衝液と混合された生物学的試料は、試料感知領域に入る前に濾過モジュールによって濾過される。
【0033】
一つの態様において、微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;制御アームは、制御濾過モジュール、少なくとも1つのnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された感知制御領域および任意に制御貯蔵所を含み;および生物学的試料は、制御貯蔵所に導入されない。
【0034】
一つの態様において、少なくとも1つの電子センサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むnwFETセンサであり、および感知ナノワイヤは、生物マーカーに結合するよう適合されたその上に固定された少なくとも1つの受容体を含む。
【0035】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料より低濃度の生物マーカーを含む第1の参照溶液と電子センサの少なくとも1つを接触し、これにより生物学的試料における生物マーカーの定量化のための第1の参照点として役立つ電子センサの少なくとも1つにおける第1の信号変化を生じることをさらに含む。一つの態様において、より低濃度の生物マーカーを含む少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの異なる参照溶液は、生物学的試料における生物マーカーの定量化のための参照点を生成するために使用される。
【0036】
一つの態様において、本方法は、生物学的試料より高濃度の生物マーカーを含む第2の参照溶液と電子センサの少なくとも1つを接触し、これにより生物学的試料における生物マーカーの定量化のための第2の参照点としての役立つ電子センサの少なくとも1つにおいて第2の信号変化を生じることをさらに含む。一つの態様において、より高濃度の生物マーカーを含む少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの異なる参照溶液は、生物学的試料における生物マーカーの定量化のための参照点を生成するために使用される。
【0037】
一つの態様において、第1および/または第2の参照溶液は、電子センサに接触するように第1および第2の参照溶液の流れを向ける微少溶液コンポーネントに導入される。一つの態様において、第1のおよび/または第2の参照溶液は、感知アームの試料感知領域の上流でおよび/または制御アームの制御感知領域の上流で、1つまたは複数の標準貯蔵所に予めロードされ、それらは、生物学的試料の導入の前および/または後、感知領域を入れるために適合される。
【0038】
一つの態様において、本方法は、(A)(a)複数の電極を含む基体;(b)センサが基体上に包埋され、または配置され、および電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、感知ナノワイヤ、および任意に感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含み、およびナノワイヤFET増幅器は不動態化された、nwFET;および(c)基体の上に配置され、およびnwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所を含む少なくとも1つの緩衝液;(ii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む試料濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、制御アームは、制御貯蔵所、光学制御濾過モジュールおよびnwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含む、制御アーム;および、(iv)感知アームおよび制御アームに接続された一つまたは複数の廃棄物貯蔵所を含み、微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;(B)緩衝液貯蔵所から緩衝液を放出すること;および(C)緩衝液貯蔵所から流れている緩衝液の流れに接触するように生物学的試料を試料貯蔵所に添加することであって;緩衝液と混合される生物学的試料は、感知領域に入る前に試料濾過モジュールによって濾過され;および緩衝液と混合される生物学的試料は、試料感知領域にてnwFETセンサの感知ナノワイヤに接触し、および生物マーカーと感知ナノワイヤ上に固定された受容体との間の結合は、nwFETセンサの少なくとも1つのにて信号変化を生じることを含む。
【0039】
本発明のさらなる態様は、受容体を固定するための方法であって、(A)電極に接続された、電界効果トランジスタ(FET)センサまたはナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサなどの複数の電極および複数の電子センサを含む基体上に微少溶液層を配置することであって、微少溶液層は、電子センサと流体工学的に連通するように適合された複数の流路を含むこと;および(B)少なくとも1つの流路に受容体の溶液を添加することであって、受容体は、少なくとも1つの電子センサに接触する、および結合することを含む。一つの態様において、少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも6つまたは少なくとも12の異なる受容体は、複数の電子センサ上に同時におよび選択的に固定される。
【0040】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとも1つの利点は、イメージングのない感知様式のため大きな光学基盤が必要とされないことである。選択された光学的アッセイと比較して、蛍光標識のために必要性、およびしたがって、さらなる試薬および抱合工程を除外することができる。
【0041】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとももう一つの利点は、電気化学的な酵素に基づいた増幅がほとんどまたは全く関与せず、その結果酵素試薬およびこれらの抱合がもはや必要でないことである。したがって、非常に迅速な総処理時間(TAT)が臨床投与のために期待される。
【0042】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくとももう一つの利点は、臨床的ELISA試験とは対照的に、試験ストリッププラットフォームを読み出し電子技術と直接連結することができ、その結果熟練した人員が必要でないことである。
【0043】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、扱うのが容易な微少溶液であり、これは、緩衝液溶液をあらかじめ充填すること、および慣性濾過に基づいて細胞/細片を濾過することができる。慣性濾過は、取り出される細胞−細片より大きな流路寸法で作動するので、これは強力かつ障害物耐性である。
【0044】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、第1の工程として生理液における標的検体結合および第2の工程として精製された低イオン強度緩衝液における生体分子−電気的信号伝達を含む、強力な検出手順である。これは、その他のFETに基づいた感知溶液に対して抑制的な電荷スクリーニング問題を軽減し、および同時に干渉する検体との非特異的競合的結合問題を緩和する。
【0045】
本明細書において記述した少なくともいくつかの態様の少なくともさらなる利点は、自動参照データ収集プラットフォームである。試験ストリップ二重アーム設計により、標的検体および干渉物質と感知アーム、および実質的に精製された緩衝液のみと制御アームとの間で差動的測定を行うことができる。この設計は、任意の系統的および/または周囲変動で誘導される測定エラーを効率的に抑制することができ、全体の検出信号対雑音比(SNR)を増強することができる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)複数の電極を含む基体;
(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、かつ前記電極に接続された複数の電子センサ;および
(c)前記基体上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネント、
を含む装置。
(項目2)
前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液貯蔵所および前記緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み、前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、項目1の装置。
(項目3)
前記緩衝液貯蔵所は、200mMより少ないイオン強度を有する少なくとも1つの緩衝液を含む、項目2の装置。
(項目4)
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過のために適合される、項目2の装置。
(項目5)
前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み、前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、項目2の装置。
(項目6)
前記微少溶液コンポーネントは、前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む、項目5の装置。
(項目7)
前記基体は、重合体および半導体からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、項目1の装置。
(項目8)
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み込まれる項目1の装置。
(項目9)
前記電子センサの少なくとも1つは、前記基体上に組み立てられたチップの一部である、項目1の装置。
(項目10)
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサである、項目1の装置。
(項目11)
前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、項目10の装置。
(項目12)
(a)複数の電極を含む基体;
(b)センサが前記基体上に包埋され、または配置され、および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、前記nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、その上に固定された受容体を含み、および前記ナノワイヤFET増幅器は、不動態化された、nwFET;および、
(c)前記基体の上に配置され、および前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、前記微少溶液コンポーネントは:
(i)少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所;
(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、前記感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む慣性試料濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;
(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、前記制御アームは、慣性制御濾過モジュール、前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、制御アーム;および、
(iv)前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、
前記微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネント、
を含む、装置。
(項目13)
生物マーカーの存在を検出するための方法であって:
(a)複数の電極を含む基体、(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てられ、および前記電極に接続された複数の電子センサ、および(c)前記基体の上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および、
前記微少溶液コンポーネントに生物学的試料を導入することであって、前記微少溶液コンポーネントは、前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記生物学的試料の流れを向け、および前記生物マーカーの存在は、前記電子センサの前記少なくとも1つにおいて信号変化を生じること、
を含む、方法。
(項目14)
前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および
前記生物学的試料は、前記緩衝液から流れている前記緩衝液の流れに接触するように前記試料貯蔵所に導入される、
項目13の方法。
(項目15)
前記生物学的試料を導入する前に、前記緩衝液貯蔵所から前記緩衝液流を放出することをさらに含む、項目14の方法。
(項目16)
前記試料濾過モジュールは、慣性濾過に対して適合され、および前記緩衝液と混合された前記生物学的試料は、前記試料感知領域に入る前に前記濾過モジュールによって濾過される、項目14の方法。
(項目17)
前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つに流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含み;および、
前記生物学的試料は、前記制御アーム内に導入されない、項目14の方法。
(項目18)
前記センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤ含むT字状の構造を含むナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサであり、および式前記感知ナノワイヤおよび任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、前記生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、項目13の方法
(項目19)
受容体を固定するための方法であって、
複数の電極および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサを含む基体の上に微少溶液層を配置することを含み、前記微少溶液層は、前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された単一または複数の流路を含むこと;および、
前記流路の少なくとも1つ内に前記受容体の溶液を添加することであって、前記受容体は、前記nwFETセンサの少なくとも1つに接触する、および結合すること、
を含む、方法。
(項目20)
前記生物学的試料より低濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第1の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つに接触し、これにより前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第1の参照点として役立つ前記電子センサの少なくとも1つにて少なくとも1つの第1の信号変化を生じること、;および任意に、前記生物学的試料より高濃度の前記生物マーカーを含む少なくとも1つの第2の参照溶液と前記電子センサの少なくとも1つに接触して、これにより前記生物学的試料における前記生物マーカーの定量化のための少なくとも1つの第2の参照点として役立つ前記電子センサの少なくとも1つにて少なくとも1つの第2の信号変化を生じることをさらに含む、項目13の方法。
(項目21)
前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第1の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記第1の参照溶液の流れを向けること;および任意に、前記微少溶液コンポーネントに前記少なくとも1つの第2の参照溶液を導入し、これにより前記電子センサの少なくとも1つに接触するように前記第2の参照溶液の流れを向けること、を含む項目20の方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】上面図および側面図を含む半導体電子無標識アッセイ(SELFA)試験ストリップ構造の例を示す。これは、多重化センサ半導体(または重合体)チップ上に組み立てられた微少溶液を扱う重合体を含む。電極は、SELFAインタフェース接触のために上部から到達可能である。
図2】(A)設計スケッチおよび(B)SELFA試験ストリップの例のチップ写真を示し、これは、移植後免疫評価および傷害生物マーカーパネルなどの臨床診断適用のための多重インビトロ診断法を行うことができる。
図3】高い感度を持つT−nwFETセンサの例の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
図4】T−nwFETセンサの例の等価回路を示す。
図5】T−nwFETセンサの例を使用するPSA(A)およびcTnI(B)の高感度検出を示す。
図6】市販のELISAキットおよびT−nwFET LOCセンサの例を使用するサイトカイン(IL−1β)検出における並べての比較を示す。T−nwFETセンサは、ELISAを上回っておよそ2倍低い検出限界(LOD)(およびI−nwFETセンサ対照を上回る約10×より低いLOD)を示す。
図7】試験ストリップ基体配置の例を示す。(A)イメージは、同じ強固なシリコンウエハプラットフォーム(茶色)上の統合された多重化nwFETバイオセンサアレイおよび電気的相互接続を示す全体スケッチの例である。透明層頂上は、感知ナノワイヤ領域(図3を参照されたい)内部および末端において接触パッドのみを曝露するパシベーション層である。(B)イメージは、試験ストリップの多重化バイオセンサアレイ部分の組み立てられた例の装置のナノファブリケーションレイアウトおよびチップ写真である。
図8】同時的および選択的な受容体固定スキームの例を示す。試験ストリップ表面上に付着されて、平行して、および分離された入口、流路および出口をもつ微少溶液層は、多重化アレイ内のそれぞれの個々のnwFETバイオセンサーに特異的な受容体(たとえば、IFN−γ、IL−2、FoxP3、TNF−αに対する抗体)の同時的および選択的な固定を容易にする。
図9】異なった、および別々の受容体固定(たとえば、IFN−γ、IL−2、FoxP3、TNF−αに対する抗体)で、単一の重合体基体プラットフォームへの、あらかじめ作製したnwFETバイオセンサーチップの組みたての例を示す。電気的相互接続は、組み立てる後に形成された。
図10】SELFA試験ストリップの全体スケッチ例を示す。この配置は、受容体をあらかじめ固定化したnwFETバイオセンサーチップのアレイをその上に包埋した重合体基体を有する。簡便処理微少溶液が上部表面上に付着する。
図11】既知の濃度である参照溶液を使用して実行時自動較正スキームを実行する実施例手順を示す。
図12】実施例自動較正結果を示す。黒い正方形は、既知の濃度の標的検体参照溶液由来である。赤い三角形は、盲検検体試料由来である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
本明細書において引用された全ての参照は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0048】
一定の条件および基準が本明細書において特定されるが、これらの条件および基準を開示のいくつかの態様に適用すること、およびこれらの条件および基準を緩和すること、または代わりに開示のその他の態様のために改変することができることを理解すべきである。
【0049】
本発明は、その具体的態様に関して記述したが、当業者により種々の変更を行ってもよいこと、および均等物を添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの発明の真の趣旨および範囲を逸脱することなく置換してもよいことが理解されるべきである。加えて、多くの改変を、本発明の目的、精神および範囲に対して特定の状況、材料、材料の組成、方法、操作または操作群を適合するために行ってもよい。全てのこのような改変は、本明細書に添付した特許請求項の範囲内であることが意図される。特に、一定の方法が特定の順序で行われる特定の操作に関して記述され得ると共に、これらの操作を本発明の教示を逸脱することなく均等な方法を形成するために組み合わせて、再分割して、または再整理してもよいことが理解されるだろう。したがって、具体的に本明細書において示されない限り、操作の順序およびグループ化は、本発明の限定ではない。
【0050】
試験ストリップ装置
【0051】
図1に示したように、本明細書において記述したSELFA試験ストリップ装置は、それぞれの特異的受容体であらかじめ固定されたnwFETバイオセンサー(41)などの多重化電子センサがその上に包埋された試験ストリップ基体(11)上に組み立てるされた微少溶液コンポーネント(17)を含むことができる。試験ストリップ基体は、たとえば統合された電子センサをもつ強固なシリコンウエハまたは小さなセンサチップ組み立てのための屈曲可能な重合体であることができる。簡易処理微少溶液コンポーネントは、最小の使用者の行為および嵩張らずに機械化されたポンプを伴うシステムを介して継ぎ目のなく試料調製および移動をすることができる。
【0052】
基体(11)は、たとえば複数の電極(13)を含むことができる。電子センサ(41)および電極(13)は、電気的相互接続(15)を介して接続することができる。
【0053】
微少溶液コンポーネント(17)は、たとえば緩衝液を保つための緩衝液貯蔵所(19)および感知アーム(21)および制御アーム(31)を緩衝液貯蔵所(19)の下流に含むことができる。たとえば、感知アーム(21)は、生物学的試料を受けるための試料貯蔵所(23)、試料濾過モジュール(25)および少なくとも1つの電子センサと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域(27)を含むことができる。制御アーム(31)は、たとえば随意の制御貯蔵所(33)またはダミー貯蔵所、制御濾過モジュール(35)および少なくとも1つの電子センサと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域(37)を含むことができる。微少溶液コンポーネントは、たとえば感知アーム(21)および制御アーム(31)の下流に1つまたは複数の廃棄物貯蔵所(29、39)を含むことができる。
【0054】
SELFA試験ストリップ装置は、大部分の必要な試薬をあらかじめ充填することができ、その結果、生物学的試料または生物試料以外に、さらなる試薬がエンドユーザーによって導入される必要が全くないか、または最小限とされる。新規のナノ電子バイオセンサ、低塩制御緩衝液におけるデータ収集および一体型の制御に対する差動的測定の独特の組み合わせは、高い検出感度をもたらすことができる。また、「緩衝液中の感知」手順は、交さ反応干渉物質、並びにあらかじめ結合した干渉物質の迅速な脱離動態の実質的欠如のために高い検出特異性を生じ得る。サンプリング後、SELFA試験ストリップ装置は、使用者のコンピュータまたはスマートフォンを介した読み出しのために共通のインタフェース(たとえば、USB)に挿入することができる。SELFA試験ストリップ装置は、装置それ自体で生物学的に危険な材料を含まないが、衛生的な理由のために使い捨て可能であり得るし、および適当な再収集を介して再利用することができる。SELFA試験ストリップ装置は、ワンステップまたは複数段階による試験手順によって作動することができ、これは実行するための訓練された人員または生物試料を研究室を中心に輸送し戻すことを必要としない。その上、SELFA試験ストリップ装置は、<100μLの使用者の血清または体液から20分より少ないTATで複数の生物マーカー濃度の同時的な定量化を可能にする。
【0055】
本明細書において記述したSELFA試験ストリップ装置の革新的かつ独特の特徴は、以下を含む:(I)新規のナノ電子バイオセンサー:革新的なnwFETセンサ構造物は、感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器をその中にシームレスに組み込む(図3)。センサ最前部にて、生体分子検出および伝達された電気信号の低ノイズ増幅を生じることにより、センサ−レベル感度を実質的に増強することができ、そして今度は検出限界(LOD)および定量限界(LOQ)の両方を下げることができる。その上、感度およびイナミックレンジ(DR)特性は、必要に応じて実行時にて電気的に調整可能である。(II)単純な取扱い微少溶液:革新的な流体設計では、細胞/細片の慣性濾過と順次プログラムされた毛管流を組み合わせる。この独特の組み合わせは、解析するための試料の充填の後に単純な作動を提供することができ、ほとんどまたは全くさらなる力を必要し得ず、および取り出される細胞/細片より大きな流路寸法で慣性濾過が作動するので、強力かつ障害物抵抗性であり得る。(III)強力な検出手順:手順は、第1の工程として生理液における標的検体結合および第2の工程として精製した低イオン強度緩衝液における生体分子−電気信号伝達を含む。これは、その他のFETに基づいた感知溶液に対して抑制的な電荷スクリーニング問題を緩和することができ、一方で同時に干渉する検体との非特異的競合的結合問題を軽減する。(iv)自動参照されたデータ収集プラットフォーム:SELFA試験ストリップ二重アーム設計により、標的検体および干渉物質と感知アーム、および実質的に精製された緩衝液のみと制御アームとの間で差動的測定を行うことができる(図2)。この設計は、系統的および/または周囲変動で誘導される測定エラーを効率的に抑制することができ、およびしたがって、全体の検出信号対雑音比(SNR)を増強することができる。随意の工程を最後に付加して、試料感知領域および/または制御感知領域の上流の1つまたは複数のあらかじめ充填した標準貯蔵所から既知の濃度の参照溶液を導入して、定量化性能を改善することができる。
【0056】
ナノワイヤ電界効果トランジスタセンサ
【0057】
基体上に組み込まれ、または組み立てれたいずれかの、本明細書において記述したnwFETセンサは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器(T−nwFETと現してある)に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むことができる。いくつかの態様において、T−nwFETは、WO2012/075445号において詳細に記載されているように実行することができ、これはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0058】
nwFETセンサは、一つの態様において、第1の末端および第2の末端を有する少なくとも1つの感知ナノワイヤを含む。感知ナノワイヤの第1の末端は、ノードを形成するようにナノワイヤFETと接続され、および感知ナノワイヤの第2の末端は、ベース電極に接続される。少なくとも1つの感知ナノワイヤおよびナノワイヤFETは、それぞれ少なくとも1つの半導体材料を含む。少なくとも1つの感知ナノワイヤは、一つの態様において、直線ナノワイヤ、湾曲ナノワイヤ、蛇行ナノワイヤまたは「L」の形状である。nwFETセンサの種々の構造を使用することができる。一つの態様において、本発明の装置は、少なくとも2つの感知ナノワイヤを含み、および2つの感知ナノワイヤは、同じノードにてnwFETに接続される。もう一つの態様において、本発明の装置は、少なくとも2つの感知ナノワイヤを含み、および2つの感知ナノワイヤは、異なるノードにてnwFETに接続される。
【0059】
いくつかの態様において、Y形状nwFETセンサをT形状nwFETセンサの代わりに、または加えて使用することができる。直線ナノワイヤであるよりはむしろ、また、本明細書において記述したナノワイヤFETは、湾曲ナノワイヤ、蛇行ナノワイヤ、「L」の形状である、「V」の形状である、またはその他であることができる。感知ナノワイヤは、ナノワイヤFETに沿って、および0〜180の範囲を越えることができる任意の可能角度にて、任意の場所に接続することができる。ナノワイヤFETが「L」または「V」の形状を有する場合、感知ナノワイヤは、「L」または「V」の角に、またはノードを形成するようにナノワイヤFETに沿ってその他のどこにでも、および0〜180の範囲を越えることができる任意の可能角度にて接続することができる。
【0060】
この革新的なセンサ構造物は、後述するように低寄生振動で非常に近接した信号増幅を提供すると共に、大きな容積に対する表面領域対容積比の利点を包含する。全てのセンサは、感知ナノワイヤ表面を除いて、パシベーションを介して環境から遮蔽することができる。特異的受容体は、感知ナノワイヤ表面上にのみ固定することができる。試料溶液に存在する生物マーカーは、高い特異性で受容体に結合することができる。次いで、結合した検体電荷から発せれる電界が感知ナノワイヤコンダクタンスを調節するように接続することができる。生じる信号変化は、高感度を達成するように一体型の、直交ナノワイヤFET増幅器によって最小の寄生振動で増幅し、および次いで電子的に読みだすことができる。
【0061】
このT−nwFETセンサにおける固有の信号変換および増幅メカニズムは、図4において図示した等価回路の助けを借りて理解することができる。交点におけるノード電位は、Vnと表示してあり、およびこのノードからそれぞれの電極へのそれぞれのナノワイヤセグメントは、理想的なショットキーダイオード(Dx)での一連のナノワイヤ抵抗(Rx)として表してある。感知ナノワイヤおよびFETドレイン電流は、以下による電極電位(たとえば、VおよびV)にそれぞれ関連する。
【0062】
【数1】
【0063】
同一のショットキー接触子は、図4で表されるので、増幅比(dI/dI)は、主にナノワイヤ抵抗RおよびR外部印加電位VおよびVによって決定することができる。感知操作の間、ドレイン(V)およびベース(V)接触の両方は、電源接触子に対して明らかにバイアスがかかり得る。標的検体の特異的結合による感知ナノワイヤコンダクタンスの変調は、ゼロ以外のΔR値を得ることができ、およびしたがって、式1に従ってIを変化し得る。次いでこれが、電位Vを変化させ、および電源とドレイン接触子の間の半導体エネルギー帯プロフィールを修飾し得る。生じる電圧差(V=V)の変化は、Iにおける指数関数的な変化を生じ得るし、その結果、検出されたシグナルの増幅を達成することができる。
【0064】
基体およびセンサ配置。
【0065】
nwFETセンサを試験片基体上に配置することができる少なくとも2つの配置がある。第1の配置において、多重化nwFETバイオセンサーのアレイは、電気的相互接続と共に、図7Aに示すように、ケイ素に基づいたウエハなどの強固なウエハプラットフォーム上に同時に製造することができる。図7Bは、試験片の多重化nwFETバイオセンサーアレイ部分のナノファブリケーション配置、並びに製造された原型のチップフォトを示す。試験ストリップチップ表面は、パシベーション層で覆って、感知ナノワイヤ領域内部および端部にて電気的パッドのみを曝露することによって電気的短絡を防ぐことができる(図7A)。多重化アレイ内のそれぞれの個々のnwFETバイオセンサーに対する特異的受容体の同時的および選択的な固定については、平行した入口、流路および出口をもつ微少溶液構造は、試薬導入前に、図8に示すように、試験片表面上に付着することができる。この微少溶液層は、受容体固定工程の後に表面から剥ぎ取ることができる。
【0066】
第2の配置において、あらかじめ作製し、および受容体をあらかじめ固定化したnwFETバイオセンサーチップのアレイを試験片基体上に組み立てることができ、これは重合体基体であることができる。たとえば、図9は、異なる受容体であらかじめ固定したいくつかのnwFETバイオセンサーチップのアセンブリーを示す。組み立てられたnwFETバイオセンサーと端部パッドとの間の電気的な相互接続をその後に形成し、続いて表面パシベーション層の合成を行うことができる。第1の配置と比較して、受容体を固定化したnwFETバイオセンサーで組み立てられた第2の配置のる基体は、サイズをより小さくすることができる。また、第2の配置は、図8にて図示するように、微少溶液によって援助された受容体固定を必要としない。一方、第1の配置と比較して、第2の配置は、組み立てされたnwFETバイオセンサーチップに対するストリップ上の電気的相互接続のための製造工学をさら含んでいてもよい。
【0067】
受容体固定
【0068】
本明細書において記述したSELFA試験ストリップ装置は、多用途であり、および抗原または抗体かに関わらず、感知ナノワイヤ上の表面特異的受容体分子の同定および最適な固定に応じて、広く多様な生物マーカーの同時的な多重化検出を行うことができる(図3)。市販のELISAキットにおいて使用される抗体または抗原受容体を採用することができる。nwFETバイオセンサー表面上のこれらの固定については、ケイ素ナノワイヤ表面上のヒドロキシル末端を最初に、たとえば3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)官能基化を介してアミン末端に変換することができる。アミン末端は、たとえばその後の抗体固定のためのグルタルアルデヒド官能基化を伴ってアルデヒド末端にさらに変換することができる。上述した架橋剤組み合わせを、実際に動作する例1において示した標識のないPSA、cTnIおよびIL−1β検出データを生成するために採用した。しかし、N−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)架橋剤などの当該技術分野において公知のその他の架橋剤を、また使用することができる。
【0069】
微少溶液コンポーネント
【0070】
本明細書において記述したSELFA試験片装置の微少溶液コンポーネントは、画期的なことに順次操作される毛管流を細胞および細片の慣性濾過と組み合わせる。この独特の組み合わせは、解析される試料の充填後の操作を提供することができ、さらなる力を必要とし得ることがはないし、および慣性濾過を取り出される細胞/細片より大きな流路寸法で作動することができるので、強く、かつ障害物に抵抗性であり得る。
【0071】
システムの操作は、3つの部分:(i)洗浄緩衝液フローを開始する操作、(ii)試料充填、および(iii)試料フローに分類することができる。カートリッジまたは貯蔵所は、膜に結合したカプセルにおいて低イオン強度で予め充填された洗浄緩衝液を有するだろう。いくつかの態様において、アッセイを実行する際の第1の工程は、このカプセルを穿刺し、および穿刺ボタンを除去することである。あるいは、緩衝液は、緩衝液貯蔵所の下流の弁を取り除くことによって放出することができる。
【0072】
この作動動作は、(a)大気圧にベントさせること、および(b)流路を介して流動経路を提供することにより、親水性であり得る1つまたは複数の微小流体流路を介して毛管流を始動することができる。生物学的試料(たとえば、体液または血液の液滴)は、洗浄緩衝液が試料貯蔵所に到達した後に導入することができる。洗浄緩衝液で希釈される生物学的試料は、濾過モジュールの狭い微少流路を介して引き抜くことができ、ここで慣性および変形性で誘導される揚力が細胞およびより大きな粒子を流路壁および中心線から押し出すことができる。次いで、微粒子を伴わない希釈された生物学的試料の流れは、nwFETセンサに接触するように感知領域の上を流すために利用できる。下流の大容量のキャピラリーポンプによって駆動される洗浄緩衝液の連続流は、測定のために低伝導率緩衝液によってふさがれている感知領域を洗浄することができる。キャピラリーの容積は、約100μLまたはそれより少なくまたはそれより多くの試料、続く約2mLまたはそれより少なくまたはそれより多くの洗浄緩衝液のサンプリングを可能にするように最適化することができる。感知アームおよび制御アームを平行して洗浄して差動的測定を得ることができる(図1を参照されたい)。
【0073】
緩衝液
【0074】
生理液における高イオン強度は、電荷遮蔽のために実用的なFETに基づいた感知に対して抑制的であり得るので、感知溶液を低塩緩衝液に変えると有効な溶液になり得る。その上、一方が標的検体捕獲のため、および他方が洗浄緩衝液フローのみのための、2本の平行した解析アームにわたる差動的測定は(図1、感知アームおよび制御アーム)、高い忠実度の信号変換を生じさせることができ、系統的および/または周囲変動によって生じるエラーが抑制される。緩衝液塩濃度は、たとえば200mMより少なく、または100mMより少なく、または50mMより少なく、または20mMより少なくすることができる。
【0075】
同時に、高い検出選択性を同じ「緩衝液中の感知」手順で達成することができる。感知溶液が、濾過した血清(またはその他の体液)から精製した緩衝液に変えられると、多くの非特異的干渉物質が実質的になく、これによって競合的非特異的結合が避けられる。定置の代わりに、ポリエチレングリコール(PEG)パシベーション層と共に緩衝液を流すことを使用することにより、感知面上のランダムな生物汚損および非特異的表面吸着をさらに抑制することができる。したがって、全体の検出特異性の増強を達成することができる。
【0076】
さらなる態様
【0077】
態様1−(a)複数の電極を含む基体;(b)前記基体上に組み込まれ、または組み立てるし、かつ前記電極に接続にされた複数の電子センサ;および(c)前記基体上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置。
【0078】
態様2−前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液貯蔵所および前記緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み、前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、態様1の装置。
【0079】
態様3−前記緩衝液貯蔵所は、少なくとも1つの緩衝液を含む、態様2の装置。
【0080】
態様4−前記感知アームは、前記試料感知領域の上流に参照貯蔵所をさらに含み、任意に前記参照貯蔵所は、参照溶液があらかじめ充填される、態様2〜3のいずれかの装置。
【0081】
態様5−前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み、前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、態様2〜4のいずれかの装置。
【0082】
態様6−前記微少溶液コンポーネントは、前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所をさらに含む、態様2〜5のいずれかの装置。
【0083】
態様7−前記基体は、重合体および半導体からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、態様1〜6のいずれかの装置。
【0084】
態様8−前記nwFETセンサの少なくとも1つは、前記基体上に組み込まれる、態様1〜7のいずれかの装置。
【0085】
態様9−前記nwFETセンサの少なくとも1つは、前記基体上に組み立てられたチップの一部である、態様1〜7のいずれかの装置。
【0086】
態様10−前記電子センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含むnwFETセンサである、態様1〜9のいずれかの装置。
【0087】
態様11−前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、態様10の装置。
【0088】
態様12−(a)複数の電極を含む基体;(b)センサが前記基体上に包埋され、または配置され、および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、前記nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、その上に固定された受容体を含み、および前記ナノワイヤFET増幅器は、不態化された、nwFET;および、(c)前記基体の上に配置され、および前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、前記微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所を含む少なくとも1つの緩衝液;(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、前記感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む慣性試料濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、前記制御アームは、慣性制御濾過モジュールを含む、前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含む、制御アーム;および(iv)前記感知アームおよび前記制御アームに接続された少なくとも1つの廃棄物貯蔵所を含み、前記微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む、装置。

【0089】
態様13−生物マーカーの存在を検出するための方法であって:(A)(a)複数の電極を含む基体、(b)前記基体上に構組み込まれ、または組み立てられ、および前記電極に被接続にされた複数の電子センサ、および(c)前記基体の上に配置され、および前記電子センサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;および(B)前記微少溶液コンポーネントに生物学的試料を導入することであって、前記微少溶液コンポーネントは、前記電子センサの少なくとも1つを接触するように前記生物学的試料の流れを向け、および前記生物マーカーの存在は、前記電子センサの前記少なくとも1つにおいて信号変化を生じることを含む方法。
【0090】
態様14−前記微少溶液コンポーネントは、少なくとも1つの緩衝液を含む少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームを含み;前記感知アームは、試料貯蔵所、試料濾過モジュールおよび前記電子センサの少なくとも1つに流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含み;および前記生物学的試料は、記緩衝液から流れている前記緩衝液の流れに接触するように前記試料貯蔵所に導入される、態様13の方法。
【0091】
態様15−前記生物学的試料を導入する前に、前記緩衝液貯蔵所から前記緩衝液流を放出することをさらに含む、態様14の方法。
【0092】
態様16−前記試料濾過モジュールは、慣性濾過に対して適合され、および前記緩衝液と混合された前記生物学的試料は、前記試料感知領域に入る前に前記濾過モジュールによって濾過される、態様14〜15のいずれかの方法。
【0093】
態様17−前記微少溶液コンポーネントは、前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームをさらに含み;前記制御アームは、制御濾過モジュール、前記電子センサの少なくとも1つに流体工学的に連通するように適合された制御感知領域および任意に制御貯蔵所を含み;および、前記生物学的試料は、前記制御貯蔵所内に導入されない、態様14〜16のいずれかの方法。
【0094】
態様18−前記電子センサの少なくとも1つは、幅方向ナノワイヤFET増幅器および前記幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤ含むT字状の構造を含むnwFETセンサであり、および前記感知ナノワイヤは、前記生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含む、態様13〜17のいずれかの方法。
【0095】
態様19−(A)(a)複数の電極を含む基体;(b)センサが前記基体上に包埋され、または配置され、および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)であって、前記nwFETセンサのそれぞれは、幅方向ナノワイヤFET増幅器に接続された長手方向感知ナノワイヤを含むT字状の構造を含み、前記感知ナノワイヤ、および任意に前記感知ナノワイヤおよびナノワイヤFET増幅器を接続するノードは、前記生物マーカーに結合するように適合されたその上に固定された受容体を含み、および前記ナノワイヤFET増幅器は、不態化された、nwFET;および(c)前記基体の上に配置され、および前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された微少溶液コンポーネントであって、前記微少溶液コンポーネントは:(i)少なくとも1つの緩衝液貯蔵所を含む少なくとも1つの緩衝液;(ii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの感知アームであって、前記感知アームは、試料貯蔵所、濾過される細胞より大きな寸法を有する少なくとも1つの流路を含む慣性試料濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された試料感知領域を含む、感知アーム;(iii)前記少なくとも1つの緩衝液貯蔵所に接続された少なくとも1つの制御アームであって、前記制御アームは、制御貯蔵所、慣性制御濾過モジュールおよび前記nwFETセンサの少なくとも1つと流体工学的に連通するように適合された制御感知領域を含む、制御アーム;および、(iv)前記感知アームおよび前記制御アームに接続された一つまたは複数の廃棄物貯蔵所を含み、前記微少溶液コンポーネントは、(i)から(iv)へ流れ方向を定義する、微少溶液コンポーネントを含む装置を提供すること;(B)前記緩衝液貯蔵所から前記緩衝液を放出すること;および(C)前記緩衝液貯蔵所から流れている前記緩衝液の流れに接触するように生物学的試料を前記試料貯蔵所に導入することであって;前記緩衝液と混合される前記生物学的試料は、前記感知領域に入る前に前記試料濾過モジュールによって濾過され;および前記緩衝液と混合される前記生物学的試料は、前記感知領域にて前記nwFETセンサの前記感知ナノワイヤに接触し、および前記生物マーカーと前記感知ナノワイヤ上に固定された前記受容体との間の結合は、前記nwFETセンサの前記少なくとも1つにて信号変化を生じることを含む方法。
【0096】
態様20−受容体を固定するための方法であって、複数の電極および前記電極に接続された複数のナノワイヤ電界効果トランジスタ(nwFET)センサを含む基体の上に微少溶液層を配置することを含み、前記微少溶液層は、前記nwFETセンサと流体工学的に連通するように適合された複数の流路を含むこと;および前記流路の少なくとも1つ内に前記受容体の溶液を添加することであって、前記受容体は、前記nwFETセンサの少なくとも1つに接触する、および結合することを含む方法。
【0097】
態様21−ラップトップまたはスマートフォンなどの電子装置に接続するためのインタフェースをさらに備える、態様1〜12のいずれかの装置。
【0098】
態様22−試験結果にアクセスするためにインタフェースを介してラップトップまたはスマートフォンなどの電子装置と試験装置を接続することをさらに含む、態様例13〜19のいずれかの方法。
【実施例】
【0099】
実際に動作する例
【0100】
実施例1。
【0101】
図3に示したT−nwFETセンサを標準的な集積回路製造工程を使用してシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハ基体上に組み立てた。最初に、SOI層を50nmまで薄くし、および電子ビームリソグラフィーを使用して50nmから3μの範囲の幅でT−形状ナノワイヤ構造にパターン化した。次に、電源、ドレインおよび卑金属電極をスパッタしたチタン上の白金二重層のフォトレジストリフトオフによって形成した。最後に、全ての組み立てられたセンサを、感知ナノワイヤ表面の上を除いて窒化ケイ素の層で覆って、検出測定の間の分析溶液とのあらゆる相互作用からこれらを不動態化した。
ちょうど同じ幅および長さのI形状感知ナノワイヤ流路を持つ一般的なFETセンサ(I−nwFETとして示してある)を制御目的のために同時に組み立てた。
【0102】
最初に確認したことは、組み立てたT−nwFETセンサの許容されるベースライン電気特性であった。感知ナノワイヤ表面上のそれぞれの特異的モノクローナル抗体受容体の固定の後、前立腺特異的抗原(PSA)および心臓トロポニンI(cTnI)の事前に標識がなく、かつリアルタイムの免疫検出を低塩緩衝液において行った。
【0103】
図に5Aおよび5Bに示したように、事前に最適化されたT−nwFET LOCセンサは、一般的なI−nwFETセンサを上回って数pMのより低いLOD(実際には高電流レベルで)および〜32−75×感度上昇を示した。T−nwFETセンサの感度およびDRは、目的に合わせた多重化適用のための必要に応じて、実行時にて構造設計および/またはバイアス電圧を介して調整することができる。
【0104】
加えて、新規T−nwFET LOCセンサと市販のELISAキットとの間での並べての比較をサイトカイン検出について行った。インターロイキン1β(IL−1β)の特異的検出のために、ヒト抗IL−1βモノクローナル抗体を感知ナノワイヤ上へ固定し、続いて濃度を増大して検体を導入した。図6に示したように、市販のELISAキットは、光学濃度を介して約0.9pMのLODの抽出を示した。対照的に、T−nwFETセンサは、約7fMのLOD(C15と示してある)を送達し、これはELISAよりおよそ2桁大きい。また、T−nwFETセンサのLODは、図6に示したように、I−nwFET制御より約10×低い点に留意されたい。
【0105】
実施例2
【0106】
感度が高く、および強力な検知プラットホームハードウェアの他に、固有の装置変動の存在下での信頼できるアッセイ操作のために、実行時較正スキームを開発した。使用したスキームは、暗試料と共に濃度が既知である複数の入力参照溶液を含むカーブフィットに基づいたアプローチであり−参照溶液および試料を、濃度の桁数を上げていき、暗試料の真の濃度を補間するために同じバイオセンサーに順次導入した。
【0107】
参照溶液の濃度は、予想される試料の濃度のいくぶん下(および上)であった;このような高度に特異的な抗原−抗体免疫反応における解離よりも非常に強力な平衡結合を考慮して、これらの溶液を、濃度の上り順に、および試料導入の前(および後)に同じバイオセンサーに導入した。この点において、T−nwFETバイオセンサーの100×低い検出限界により、より低い参照の検出が唯一可能になる。また、このような複数の溶液導入および同じ検出表面上への結合は、おそらく大部分の標識化に基づいたアッセイ法では非実用的である。
【0108】
提唱した実行時自動較正スキームを実行するための手順を図11に示してある。それぞれの受容体を事前に固定化したT−nwFETバイオセンサーに、PBS緩衝液を最初に導入してベースライン出力信号レベルを確立した。次いで、より低い既知の濃度の標的検体基準溶液を順次導入し、続いて実際の試料を導入した。これらの参照濃度は、予想される試料よりいくらか低濃度であるので、定量化プロセスを妨げるような任意の結合競合はないはずである。選択肢として、予想される試料濃度より高い既知の標的分析物濃度であるさらなる基準溶液を上の参照を確立するために導入した。真の試料濃度を、平衡状態での可逆的結合反応モデルに基づいた補間法を介して定量化した。フィッティングパラメーターは、上で言及した全ての実用的な変動を処理するためのものであり、この値は、より低い、およびより高い既知の濃度参照から推論した。標識がない光学機器がないT−nwFETバイオセンサーでの独自の実行時自動較正スキームを確認する例示的なフィッティング結果を図12に示してある。

図1
図2(A)】
図2(B)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12