特許第6357429号(P6357429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6357429-吐出容器 図000002
  • 特許6357429-吐出容器 図000003
  • 特許6357429-吐出容器 図000004
  • 特許6357429-吐出容器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357429
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B65D47/06 400
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-16700(P2015-16700)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141407(P2016-141407A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−149244(JP,U)
【文献】 特開2011−157082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される内容器および前記内容器が内装される外容器を有するとともに、前記外容器に、前記内容器との間に外気を吸気する吸気孔が形成された容器本体と、
前記容器本体から内容物を吐出する吐出キャップと、を備える吐出容器であって、
前記吐出キャップは、
前記容器本体に装着されたキャップ本体と、
前記キャップ本体から、容器軸方向に沿う反容器本体側である上側に向けて突出し、内部に、上側に向けて開口して内容物を吐出する吐出孔が設けられた吐出筒と、
前記吐出孔に対して、容器軸方向に沿う容器本体側である下側に配置され、前記吐出孔よりも大径に形成された保持部と、
前記吐出筒の周方向に複数配置され、前記吐出筒の内周面と前記保持部の外周面とを連結する連結部と、
前記周方向に隣り合う前記連結部同士の間に各別に設けられ、前記内容器内と前記吐出孔とを連通する複数の分岐路と、を備えていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記保持部は、前記吐出筒内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
前記吐出筒は、前記吐出筒から下側に向けて開口する連通孔を通して前記内容器内に連通し、
前記連通孔は、前記吐出孔よりも大径であり、かつ、前記保持部は、前記連通孔内に配置されていることを特徴とする請求項2記載の吐出容器。
【請求項4】
前記吐出筒内において、容器軸方向に沿って、前記吐出孔と前記保持部との間に位置する部分には、前記吐出筒の径方向の外側から内側に向けて延びるとともに下側を向く案内壁が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の吐出容器。
【請求項5】
前記吐出孔は、下側から上側に向けて漸次縮径していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1記載の吐出容器が知られている。この吐出容器は、内容物が収容される内容器および内容器が内装される外容器を有するとともに、外容器に、内容器との間に外気を吸気する吸気孔が形成された容器本体と、容器本体から内容物を吐出する吐出キャップと、を備えている。吐出キャップには、容器本体の口部を閉塞するとともに、吐出キャップの吐出孔と内容器の内部とを連通する連通孔が形成された閉塞板と、連通孔を開閉する吐出弁と、が備えられている。
この吐出容器では、操作前の状態で逆止弁が連通孔を閉塞している。吐出容器を使用するときには、内容器の内圧を逆止弁に作用させ、逆止弁を作動させることで連通孔を開放し、内容器内の内容物を吐出する。その後、逆止弁が復元変位すると、連通孔が閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−133116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、例えば、10mPa・s以上の粘度を具備する高粘度の内容物に用いた場合、吐出後の逆止弁の復元動作が内容物により阻害されて開放された状態が保持されることから、内容物の吐出後における内容器内の気密性を確保することが困難である上、低コスト化を図ることについて改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、低コスト化を図りつつ、高粘度の内容物であっても吐出後の気密性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される内容器および前記内容器が内装される外容器を有するとともに、前記外容器に、前記内容器との間に外気を吸気する吸気孔が形成された容器本体と、前記容器本体から内容物を吐出する吐出キャップと、を備える吐出容器であって、前記吐出キャップは、前記容器本体に装着されたキャップ本体と、前記キャップ本体から、容器軸方向に沿う反容器本体側である上側に向けて突出し、内部に、上側に向けて開口して内容物を吐出する吐出孔が設けられた吐出筒と、前記吐出孔に対して、容器軸方向に沿う容器本体側である下側に配置され、前記吐出孔よりも大径に形成された保持部と、前記吐出筒の周方向に複数配置され、前記吐出筒の内周面と前記保持部の外周面とを連結する連結部と、前記周方向に隣り合う前記連結部同士の間に各別に設けられ、前記内容器内と前記吐出孔とを連通する複数の分岐路と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この吐出容器では、内容器内の内容物を吐出筒内に流入させて吐出孔に到達させるときに、内容物を、分岐路を通過させて一旦、分岐させる。ここで保持部が、吐出孔よりも大径なので、分岐路を通して分岐された内容物は、吐出筒内で吐出孔に至るまでに径方向の内側に集約されて合流し、その後、吐出される。
内容物の吐出を停止すると、吸気孔を通して内容器と外容器との間に外気が吸入される。このとき保持部が、吐出筒内で集約された内容物の内容器への逆流を規制し、内容物を吐出筒内に留まらせる。その結果、内容物が吐出筒内に隙間少なく密に集約された状態で保持される。
以上のように、内容物の吐出後に、内容物が吐出筒内に集約された状態で保持されるので、外気が吐出筒内を通して内容器内に流入することを、吐出筒内の内容物を利用することで規制することができる。これにより、内容物の吐出後において、内容器内の気密性を確保することができる。しかも弁体を採用せずに、内容器内の気密性を確保することができるので、低コスト化を図ることもできる。
【0008】
前記保持部は、前記吐出筒内に配置されていてもよい。
【0009】
この場合、保持部が吐出筒内に配置されているので、例えば保持部が、吐出筒よりも下側に配置されている場合に比べて、分岐路を通過した内容物を吐出筒内で密に集約させ易くすることが可能になり、内容器内の気密性を高めることができる。
【0010】
前記吐出筒は、前記吐出筒から下側に向けて開口する連通孔を通して前記内容器内に連通し、前記連通孔は、前記吐出孔よりも大径であり、かつ、前記保持部は、前記連通孔内に配置されていてもよい。
【0011】
この場合、連通孔が吐出孔よりも大径であり、かつ、保持部が連通孔内に設けられているので、分岐路を通過した内容物を吐出筒内の全体で効果的に集約させ易くすることが可能になり、内容器内の気密性を高めることができる。
【0012】
前記吐出筒内において、容器軸方向に沿って、前記吐出孔と前記保持部との間に位置する部分には、前記吐出筒の径方向の外側から内側に向けて延びるとともに下側を向く案内壁が設けられていてもよい。
【0013】
この場合、吐出筒内に案内壁が設けられているので、分岐路を通過した内容物を吐出筒内で案内壁に沿って流動させ、内容物を径方向の内側に集約させ易くすることが可能になり、内容器内の気密性を一層高めることができる。
【0014】
前記吐出孔は、下側から上側に向けて漸次縮径していてもよい。
【0015】
この場合、吐出孔が下側から上側に向けて漸次縮径しているので、内容物が吐出孔を通過するときに、内容物を径方向の内側に集約させることができる。これにより、内容物を吐出筒における上部で密に集約させる可能になり、内容器内の気密性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コスト化を図りつつ、高粘度の内容物であっても吐出後の気密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の要部を示す縦断面図である。
図2図1に示す吐出容器におけるキャップ本体の天壁部において、吐出筒が設けられた部分を下側から見た図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る吐出容器の要部を示す縦断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る吐出容器の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出容器を説明する。この吐出容器は、例えば、10mPa・s以上の粘度を具備する高粘度の内容物(半流動体)に用いることが可能である。内容物としては、例えば、ねりわさび等の食品や、ハンドクリーム等の化粧品などが挙げられる。
【0019】
図1に示すように、吐出容器10は、図示しない内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内容器(内層)11、および内容器11が内装される外容器(外層)12を有する容器本体13と、容器本体13に装着され内容物を吐出する吐出キャップ20と、を備えている。
【0020】
なお、内容器11および外容器12は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。そして、この共通軸と同軸に吐出キャップ20が配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿った吐出キャップ20側を上側、容器本体13側を下側という。容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向(吐出筒の径方向)といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向(吐出筒の周方向)という。
【0021】
容器本体13は、ブロー成形により形成され、外容器12の内面に内容器11が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。内容器11および外容器12の材質は樹脂材料とされ、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂材料の中から、外容器12と内容器11とは剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
なお容器本体13の内容器11は、減容可能な構造となっていればよく、外容器12に対して積層されていない二重容器構成としてもよい。
【0022】
容器本体13は、口部13A、図示しない胴部および底部が上側から順に連設された有底筒状に形成されている。胴部は、例えば横断面視円形状に形成されている。
なお、容器本体13を構成する外容器12はスクイズ変形可能とされ、この外容器12のスクイズ変形に伴って内容器11は減容変形する。外容器12のうち少なくとも胴部に位置する部分は、容器内側に向けて弾性変形可能とされている。
【0023】
容器本体13の口部13Aは、内容器11の口部11Aと外容器12の口部12Aとが積層された構成とされている。内容器11の口部11Aの上端部には、径方向の外側に突出する環状の折り返し部が形成されている。この折り返し部は、外容器12の口部12Aの開口端を上方側から塞いでおり、外容器12の口部12Aは、内容器11によって閉塞されている。外容器12の口部12Aには、外容器12と内容器11との間に外気を導入させる吸気孔14が形成されている。
【0024】
吐出キャップ20は、キャップ本体21と、吐出筒22と、保持部23と、蓋部24と、を備えている。
キャップ本体21は、容器本体13の口部13Aに装着される。キャップ本体21は、吸気孔14を外部から覆っていて、吸気孔14と外部との連通を遮断する。キャップ本体21は、容器軸Oと同軸に配置されていて、周壁部が口部13Aに径方向の外側から装着された有頂筒状に形成されている。キャップ本体21の天壁部は、口部13Aの開口端縁に上側から気密に密接され、周壁部は、口部13Aに着脱可能に螺着されている。
【0025】
キャップ本体21には、吸気孔14と外部とを連通可能な空気孔25が形成されている。空気孔25は、キャップ本体21の天壁部に形成されている。空気孔25は、天壁部において、容器本体13の口部13Aの開口端縁が密接する部分よりも径方向の外側に設けられていて、口部13Aの外周面とキャップ本体21の内周面との間を通して、吸気孔14と外部とを連通している。
【0026】
吐出筒22は、容器軸Oと同軸に配置されていて、キャップ本体21と一体に形成されている。吐出筒22は、キャップ本体21の天壁部から上側に向けて突出している。吐出筒22は、下側から上側に向かうに従い漸次縮径しており、図示の例では、多段筒状に形成されて段状に縮径している。吐出筒22は、大径の下筒部26と、小径の上筒部27と、下筒部26と上筒部27とを連結する段部28と、を備えている。
【0027】
下筒部26内は、吐出筒22から下側に向けて開口する連通孔29とされている。上筒部27の上端部(吐出筒22の上端部)は、下側から上側に向けて漸次、薄肉になりながら縮径している。上筒部27の上端部内は、上側に向けて開口して内容物を吐出する吐出孔30とされており、吐出孔30は、下側から上側に向けて漸次縮径している。吐出孔30のうち、最も内径が小さい部分は、連通孔29よりも小径であり、連通孔29は、吐出孔30よりも大径となっている。段部28は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、上側に向けて延びる環状に形成されている。
【0028】
保持部23は、吐出孔30に対して下側に配置されている。図1および図2に示すように、保持部23は、容器軸O上に配置された板状に形成され、図示の例では、容器軸Oと同軸の円板状に形成されている。保持部23は、吐出孔30よりも大径に形成されていて、つまり、吐出孔30のうち、最も内径が小さい部分よりも大径に形成されている。保持部23は、吐出筒22の下筒部26よりは小径に形成されている。
【0029】
図1に示すように、保持部23は、吐出筒22内に配置されていて、本実施形態では、連通孔29内(下筒部26内)に配置されている。保持部23の外周面は、連通孔29の内周面から径方向の内側に離間している。保持部23の下面は、キャップ本体21の天壁部の下面と容器軸O方向に同等の位置に配置されている。保持部23の上面は、吐出筒22の段部28よりも下側に位置している。
【0030】
吐出筒22内には、案内壁31が設けられている。案内壁31は、吐出筒22内において、容器軸O方向に沿って、吐出孔30と保持部23との間に位置する部分に配置されている。案内壁31は、径方向の外側から内側に向けて延びるとともに下側を向いている。本実施形態では、案内壁31は、吐出筒22の内周面により形成されていて、連通孔29の内周面の上端縁から径方向の内側に向けて延びている。
【0031】
案内壁31は、吐出筒22の段部28の内面により形成された第1案内壁31aと、吐出筒22の上筒部27の下端面により形成された第2案内壁31bと、を備えている。第1案内壁31aは、この吐出容器10の縦断面視において、容器軸Oに対して傾斜する直線状に形成され、第2案内壁31bは、縦断面視において、容器軸Oに対して直交する直線状に形成されている。第1案内壁31aは、第2案内壁31bよりも径方向に大きく形成されている。
【0032】
図1および図2に示すように、保持部23は、連結部32を介して吐出筒22に連結されている。連結部32は、周方向に複数配置され、吐出筒22の内周面と保持部23の外周面とを連結している。連結部32は、吐出筒22の内周面に縦リブ状に形成されていて、連通孔29の内周面から案内壁31に至るまでの全長にわたって延びている。連結部32において径方向の内側を向く内面は、吐出筒22の上筒部27の内周面と面一に形成されていて、この内面の下端部に、保持部23が連結されている。吐出筒22、保持部23および連結部32は、一体に形成されている。
【0033】
周方向に隣り合う連結部32同士の間には、複数の分岐路33が各別に設けられている。分岐路33は、周方向に隣り合う一対の連結部32と、吐出筒22の内周面と、保持部23の外周面と、の間に形成されている。分岐路33は、内容器11内と吐出孔30とを連通していて、分岐路33を通過した内容器11内の内容物は、吐出筒22内を通って吐出孔30に到達する。なお分岐路33は、2〜4箇所設けることが好ましい。
【0034】
図1に示すように、蓋部24は、有頂筒状に形成され、吐出筒22および空気孔25を開放可能に上側から覆っている。蓋部24の下端部は、キャップ本体21の上端部に、径方向の外側から着脱可能に嵌合している。
蓋部24は、ヒンジ部34を介してキャップ本体21に連結されている。キャップ本体21および蓋部24は、ヒンジ部34を介して一体に形成されている。
【0035】
蓋部24には、シール筒部35と、進入部36と、が設けられている。シール筒部35および進入部36は、いずれも蓋部24の天壁部から下側に向けて突出している。シール筒部35は、容器軸Oと同軸に配置され、吐出筒22に外側に嵌合しており、図示の例では、吐出筒22の上筒部27に気密に嵌合している。進入部36は、シール筒部35よりも小径の環状に形成され、シール筒部35よりも容器軸O方向に小さい。進入部36は、吐出孔30内に上側から進入している。
【0036】
次に、前記吐出容器10の作用について説明する。
【0037】
内容物を吐出する場合には、まず吐出キャップの蓋部24をヒンジ部34回りに回動させ、蓋部24の下端部をキャップ本体21から離脱させる。
その後、容器本体13の外容器12の胴部を容器内側(径方向の内側)にスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器11が外容器12とともに容器内側に変形して減容し、内容器11内で内容物が押し上げられ、吐出筒22内に流入して吐出孔30に到達し外部に吐出される。なお本実施形態では、吐出筒22の上端部が下側から上側に向けて漸次縮径しているので、吐出筒22から外部に吐出された内容物と吐出筒22内に留まっている内容物とを、吐出筒22の上端部を利用して切り離し易くなっている。
【0038】
ところで、内容器11内の内容物を吐出筒22内に流入させて吐出孔30に到達させるときに、内容物は、分岐路33を通過することで一旦、分岐し、その後、吐出筒22内において保持部23よりも上側に位置する集約空間37を通過して吐出孔30に到達する。ここで保持部23が、吐出孔30よりも大径なので、分岐路33を通して分岐された内容物は、吐出筒22内で吐出孔30に至るまでに径方向の内側に集約されて合流し、その後、吐出される。すなわち、分岐路33を通過する内容物は、案内壁31により径方向の内側に向けて流動させられる。また本実施形態では更に、吐出孔30を通過するときにおいても、吐出孔30の内周面により径方向の内側に向けて流動させられる。
【0039】
内容物の吐出後、容器本体13のスクイズ変形を停止又は解除することで、内容器11の内圧の上昇が停止又は低下すると、吐出孔30からの内容物の流出が停止される。
容器本体13のスクイズ変形を解除することで外容器12が復元変形すると、外容器12と内容器11との間に負圧が生じる。すると外気が、空気孔25、容器本体13の口部13Aとキャップ本体21の周壁部との間および吸気孔14を通して、内容器11と外容器12との間に吸入される。これにより、内容器11の減容変形が保持されたまま、外容器12が復元変形する。そしてこのとき、保持部23が、吐出筒22内で集約された内容物の内容器11への逆流を規制し、内容物を吐出筒22内に留まらせる。その結果、内容物が吐出筒22内に隙間少なく密に集約された状態で保持される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、内容物の吐出後に、内容物が吐出筒22内に集約された状態で保持されるので、外気が吐出筒22内を通して内容器11内に流入することを、吐出筒22内の内容物を利用することで規制することができる。これにより、内容物の吐出後において、内容器11内の気密性を確保することができる。しかも弁体を採用せずに、内容器11内の気密性を確保することができるので、低コスト化を図ることもできる。
【0041】
また、保持部23が吐出筒22内に配置されているので、例えば保持部23が、吐出筒22よりも下側に配置されている場合に比べて、分岐路33を通過した内容物を吐出筒22内で密に集約させ易くすることが可能になり、内容器11内の気密性を高めることができる。
さらに、連通孔29が吐出孔30よりも大径であり、かつ、保持部23が連通孔29内に設けられているので、分岐路33を通過した内容物を吐出筒22内の全体で効果的に集約させ易くすることが可能になり、内容器11内の気密性を高めることができる。
【0042】
また、吐出筒22内に案内壁31が設けられているので、分岐路33を通過した内容物を吐出筒22内で案内壁31に沿って流動させ、内容物を径方向の内側に集約させ易くすることが可能になり、内容器11内の気密性を一層高めることができる。
さらに、吐出孔30が下側から上側に向けて漸次縮径しているので、内容物が吐出孔30を通過するときに、内容物を径方向の内側に集約させることができる。これにより、内容物を吐出筒22における上部で密に集約させる可能になり、内容器11内の気密性を一層高めることができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の吐出容器を、図3を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0044】
本実施形態の吐出容器40では、吐出筒22および保持部23を一体に形成するのに代えて、別体に形成している。保持部23は、連結部32と一体に形成され、連結部32とともに装着部材41を構成している。装着部材41は、吐出筒22内に下側から装着されていて、図示の例では、装着部材41のうち、複数の連結部32が、吐出筒22のうち、下筒部26内に嵌合されている。なお吐出孔30は、容器軸O方向の全長にわたって同径とされている。
本実施形態では、連結部32が吐出筒22とが別体に形成されていることで、キャップ本体21および吐出筒22を一体に成形する際、金型を容器軸O方向に脱型し易くなっている。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の吐出容器を、図4を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0046】
本実施形態の吐出容器50では、吐出筒22が2パーツにより構成されている。吐出筒22は、キャップ本体21と一体に形成された本体部材51と、本体部材51に装着された吐出部材52と、を備えている。本体部材51は、下筒部26、上筒部27および段部28を備えている。上筒部27の内径は、保持部23の外径と同等または保持部23の外径よりも大きくなっている。
【0047】
吐出部材52は、本体部材51に上側から装着されていて、図示の例では、上筒部27内に嵌合されている。吐出部材52の内部は、保持部23の外径よりも小さく形成されていて、吐出孔30とされている。吐出孔30は、容器軸O方向の全長にわたって同径とされている。
このように、吐出部材52が本体部材51とは別体に形成されていることで、キャップ本体21および本体部材51を一体に成形する際、金型を容器軸O方向に脱型し易くなっている。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、蓋部24はなくてもよい。
前記実施形態では、保持部23が、容器軸O上に配置された平板状に形成されているが、本発明はこれに限られない。保持部23の形状として、下方に向けて突出する椀状(縦断面視におけるU字状)等、他の形状も適宜採用することが可能である。なお、このような椀状(U字状)の形状を採用した場合、内容物を吐出する際、内容物を保持部23の下面に沿って分岐路33に導き易くなるので、内容物の流れがスムーズになり吐出し易い。この場合であっても、内容物を吐出筒22内に留まらせることが可能となる。
【0050】
前記実施形態では、保持部23が、吐出筒22内に配置されているが、本発明はこれに限られない。例えば保持部23が、吐出筒22よりも下側に配置されていてもよい。
前記実施形態では、吸気孔14が容器本体13の口部13Aに形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、吸気孔14が容器本体13の胴部や底部に設けられていてもよく、キャップ本体21に空気孔25がない構成を採用することも可能である。
【0051】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10、40、50 吐出容器
11 内容器
12 外容器
13 容器本体
14 吸気孔
20 吐出キャップ
21 キャップ本体
22 吐出筒
23 保持部
29 連通孔
30 吐出孔
31 案内壁
32 連結部
33 分岐路
O 容器軸
図1
図2
図3
図4