(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は実施形態に係るエネルギー管理システムにおいて実現しようとする実空間(以下、対象フロアと称する)に設定される分割エリアごとの人間の状態とタスク・アンビエント制御との関係を説明する模式図である。
【0009】
この対象フロア1は、例えば6つの分割エリアE01〜E06からなる。対象フロア1には、少なくとも人が必要な作業(業務)を行う作業エリアの照明・空調を司るタスク照明・空調2a,2bと、人の歩行通路、最低限の明るさや空調を必要とする非作業エリアの照明・空調を司るアンビエント照明3a及びアンビエント空調3bとが設けられている。タスク照明2a、タスク空調2b、アンビエント照明3a、およびアンビエント空調3bは、実施形態における電気機器の一例である。
【0010】
なお、タスク照明2aについては、分割エリアE01〜E06ごと、あるいは各分割エリアに配置される机ごとに照明設備が設置される。また、タスク空調2bについては、分割エリアE01〜E06ごとに各エリア天井または各エリア床部に空気吹出口を含む空調設備が設置される。
【0011】
さらに、対象フロア1の例えば天井、あるいはフロア内の所要とする個所に対象フロア1全部または複数の分割エリア内の映像を撮影する1台または複数台の画像センサ4が設置されている。以下、説明の便宜上、画像センサ4が1台の例について説明する。
【0012】
実施形態に係るエネルギー管理システムは、対象フロア1が例えば6つのエリアE01〜E06に分割されている場合に、画像センサ4で撮影された画像から各分割エリアE01〜E06の人の状態を検知したとき、各分割エリアの人数や人の状態等に基づいて、タスク・アンビエントによる照明・空調を制御するものである。
【0013】
人の状態とは、例えばエリアE01=歩行者2人、エリアE02=起立者2人、着席者1人、エリアE03=0人、エリアE04=歩行者1人、エリアE05=0人、エリアE06=0人といった情報である。このような情報を人間情報と総称する。
【0014】
例えば分割エリアE01及びE02には何れも人が居るので、アンビエントの照明・空調3a,3bをONとする。さらに、分割エリアE02では人が机に向かって作業をしているので、当該エリアE02のタスク照明・空調2a,2bをONとする。
【0015】
一方、分割エリアE03及びエリアE04には、エリアE04で人が1人歩行しているだけであるので、アンビエント照明・空調3a,3bをONとし、省エネ制御を実現する。分割エリアE05及び分割エリアE06には、何れも人が居ないので、アンビエント照明・空調3a,3bをOFFとする制御を行い、さらなる省エネ制御を実現する。
【0016】
さらに、各分割エリアE01〜E06内の照度を取得できれば、当該照度情報を考慮し、各分割エリア照明としては外光を考慮しつつ例えば調光制御を実施すれば、省エネ制御となる。
【0017】
また、空調においても、日射を考慮しつつ空調制御を行うこともできる。
【0018】
図2は実施形態に係るエネルギー管理システムを示す概略構成図である。
【0019】
エネルギー管理システムは、対象フロア1内に設置される画像センサ4と、画像管理システム5と、エネルギー管理サーバ6とを含む。画像センサ4は、画像管理システム5及びエネルギー管理サーバ6とはLAN、WAN等あるいは無線LAN等の通信ネットワーク7で接続されている。
【0020】
画像センサ4は、広い視野範囲にわたって対象フロア1内を撮影し、この撮影された複数のフレーム画像から対象フロア1内の予め定める分割エリアごとの人間の状態(人間情報)及び照度情報を得る機能を有する。具体的には後記する。なお照度情報を含む、対象フロア1の環境に係わる情報(外光の光量など)を環境情報と総称する。
【0021】
画像管理システム5は、画像管理サーバ51及び画像に関連するデータを蓄積する画像関連データ蓄積用データベース52とを備える。画像管理サーバ51は、画像センサ4から送信されてくる情報のうち必要な情報、例えば対象フロア1内のセキュリティに関係する情報やユーザの要求に応じた情報を取り込み、時刻データとともに画像関連データ蓄積用データベース52に蓄積する機能を有する。
【0022】
また、画像管理サーバ51は、図示されていないが、キーボード・マウスなどの入力部(図示せず)から情報要求指示に基づき、画像センサ4から必要な時間帯における画像情報及び各分割エリアの人間情報等の処理データを収集し、表示する機能を備えている。
【0023】
画像関連データ蓄積用データベース52には、例えばほぼ同じ時刻データのもとに複数の画像センサ4で取得される画像情報や当該画像情報に関連する人間情報及び照度情報が蓄積される。これは、画像管理サーバ51が複数の画像センサ4で取得される画像及び画像関連情報の統合処理を実施したり、セキュリティの確保やユーザの要求に基づき、蓄積された情報を視覚認識可能に編集処理するために必要な情報を蓄積する。
【0024】
エネルギー管理サーバ6は、ビル管理部61と、照明コントローラ62と、空調コントローラ63とを含む。ビル管理部61は、画像センサ4から送信された情報に基づき、所定の制御ルール(例えばIF THEN ルール)又はユーザの要望を取り入れたビル管理用プログラムに従って照明・空調に関する各分割エリアごとのタスク・アンビエント制御を決定する。
【0025】
照明コントローラ62は、ビル管理部61から送信された各分割エリアごとの照明に関するタスク・アンビエント制御指示に従って、タスク・アンビエント照明2a,3aを制御する。
【0026】
空調コントローラ63は、ビル管理部61から送信された各分割エリアごとの空調に関するタスク・アンビエント制御指示に従って、タスク・アンビエント空調2b,3bを制御する。
【0027】
さらに、エネルギー管理サーバ6には監視用表示部64及び必要な制御指示を入力するキーボード・マウスなどの入力部65が設けられている。
【0028】
画像センサ4は、撮影部41と、画像処理部42と、記憶装置43と、所定の出力情報を送信する通信部44とを含む。
【0029】
撮影部41は、
図3に示すように広い視野範囲にわたって対象フロア1内を撮影する。画像処理部42は、所定のフレームレートのもとに撮影される複数のフレーム画像から所望の情報を取り出す画像処理を行う。画像処理はCentral Processing Unit(CPU)などにより実施される。
【0030】
記憶装置43は、撮影されたフレーム画像データその他のデータを記憶する。通信部44は、所定の出力情報を送信する。
【0031】
なお、記憶装置43は、フレーム画像記憶部43aと、分割エリアデータ記憶部43bと、設定データ記憶部43cと、処理データ記憶部43dとを備える。
【0032】
分割エリアデータ記憶部43bは、対象フロア1内に設置されるタスク照明・空調2a,2b及びアンビエント照明・空調3a,3bと作業(業務)エリアとの関係から決定される、分割エリアデータを記憶する。分割エリアデータは例えば
図4に示されるデータである。
【0033】
設定データ記憶部43cは、例えば照度変換式等の設定データを記憶する。処理データ記憶部43dは、画像処理に関する必要なデータを記憶する。
【0034】
撮影部41は、対象フロア1内の二次元の画像データを得る。撮影部41としては、例えば180度程度の画角を有する広角レンズを備える、例えば可視カメラ(例えばCCDカメラ)や赤外カメラが用いられる。なお、カメラとして、赤外カメラを用いて熱画像を取得するようにすれば、さらに熱分布が取得できる。
【0035】
画像処理部42は、画像情報取得部421、動き分布抽出部422、第1反映部423、人間情報取得部424、輝度分布抽出部425、第2反映部426、照度情報取得部427及び出力部428を備える。
【0036】
画像情報取得部421は、撮影部41で撮影された時系列的なフレーム画像を前処理(例えばフィルタ処理、アナログ画像データの場合にはデジタル画像データ変換処理等)することにより、所望のフレーム画像である画像情報を取得し、フレーム画像記憶部43aに記憶する。
【0037】
動き分布抽出部422は、フレーム画像記憶部43aに記憶された時間的に連続した2枚のフレーム画像から映像の動きを伴う累積差分画像情報を抽出する。すなわち、動き分布抽出部422は、時系列的な2枚の画像情報から、複数のフレーム間で差分画像情報を取得する。動き分布抽出部422は、この取得された差分画像情報を予め定めたしきい値を超えるか否かにより2値化処理を行う。動き分布抽出部422は、この2値化処理が行われた差分2値化画像情報を複数毎累積し、人間の累積差分画像情報を抽出する。
【0038】
第1反映部423は、少なくとも撮影部41で撮影された時系列の画像情報から得られる累積差分画像情報から各人間の状態(例えば停止中、着席状態、歩行中)を判断する。第1反映部423は、例えば累積差分画像情報の中に現れる分割エリアE01のx=0,y=0に相当する基点となる位置、撮影倍率及び累積差分画像情報のx・y方向の画素数から、例えば停止中、着席状態、歩行中の状態にある人間の位置座標を求める。その後、第1反映部423は、
図4に示す分割エリアデータを参照し、該当分割エリアE01〜E09に反映させる。
【0039】
人間情報取得部424は、各分割エリアE01〜E09に反映させた人間の状態(例えば停止中、着席状態、歩行中)に基づき、分割エリアE01〜E09ごとに人間の状態を処理データとして処理データ記憶部43dに記憶する機能を有する。
【0040】
輝度分布抽出部425は、画像情報取得部421で取得されたフレーム画像に現れる明度に関する情報から輝度分布を抽出する機能を有する。
【0041】
第2反映部426は、フレーム画像に現れる輝度分布情報に関し、既に決定されている
図4に示す分割エリアデータを参照し、分割エリアE01〜E09に反映させる。
【0042】
照度情報取得部427は、輝度分布情報について、設定データ記憶部43cに設定される照度変換式データに従って照度に変換し、分割エリアE01〜E09ごとの照度を処理データ記憶部43dに記憶する。
【0043】
出力部428は、各分割エリアE01〜E09ごとの人間情報と照度情報とを組合せて出力情報として出力する。
【0044】
通信部44は、出力部428から出力される分割エリアごとの情報、あるいは画像管理システム5等からの要求指示に基づき、時系列的なフレーム画像や処理データ記憶部43dの処理データを読み出し、通信プロトコルに従って通信ネットワーク7へ送信する。
【0045】
次に、以上のようなエネルギー管理システムについて、
図5を参照して説明する。
【0046】
先ず、対象フロア1の所要個所に設置された画像センサ4の撮影部41は、所定の時間ごと(フレームレート)に従って対象フロア1内1を撮影し、時系列的なフレーム画像を取り出し、画像処理部42の画像情報取得部421に送出する。
【0047】
ここで、画像情報取得部421は、一般的なノイズ成分等を除去するフィルタリング処理などの前処理を実施し、画像情報(フレーム画像)(1)を取得する。この画像情報は前述したようにフレーム画像記憶部43aに記憶される。
【0048】
しかる後、画像処理部42は動き分布抽出部422を実行する。動き分布抽出部422は、連続する2枚のフレーム画像情報から差分画像情報を取得し、この取得された差分画像情報を予め定めたしきい値を超えるか否かにより2値化処理を行なう。動き分布抽出部422は、この2値化処理が行われた差分2値化画像情報を複数毎累積し、映像の動きを伴う累積差分画像情報(2)を抽出する。
【0049】
すなわち、動き分布抽出部422により、人間が動かずに起立した状態の場合には例えば頭部に相当する小円形部を有する累積差分画像情報(2)が抽出される。人間が机に座っている状態の場合には人間の頭部に肩及び腕を含む、累積差分のない小楕円形状部を有する累積差分画像情報(2)が抽出される。人間が走行状態にある場合には残像を伴う累積差分をもつ大きな面積の大楕円形状部を有する累積差分画像情報(2)が抽出される。累積差分画像情報(2)は第1反映部423に送出される。
【0050】
第1反映部423は、累積差分画像情報(2)から得られる各人間の位置座標と分割エリアデータ記憶部43bに記憶される分割エリアE01〜E09とに基づき、行動パターンに応じた各人間を対応する分割エリアに反映させた人間エリア反映情報(3)を取得し、人間情報取得部424に送出する。
【0051】
人間情報取得部424は、各分割エリアE01〜E09に反映させた(2)に示す人間パターンの画像から分割エリアE01〜E09ごとに人間の状態、例えば分割エリアE02には歩行者1人、分割エリアE05には机への着席者1人、分割エリアE08には起立者1人、その他の分割エリアでは人間が存在していないとする人間情報(4)を取得し、処理データ記憶部43dに保存するとともに、出力部428に送出する。
【0052】
一方、輝度分布抽出部425は、画像情報取得部421で取得されたフレーム画像に現れる明度に関する情報から輝度分布情報(5)を抽出する。輝度分布抽出部425は、その抽出された輝度分布情報(5)を第2反映部426にて分割エリアE01〜E09に反映させることにより、輝度エリア反映情報(6)を生成する。
【0053】
そして、以上のようにして反映された輝度エリア反映情報(6)に基づき、照度情報取得部427は、設定データ記憶部43cに記憶される一般的な輝度−照度変換式(換算式)を用いて、分割エリアE01〜E09ごとの照度情報(7)に変換し、処理データ記憶部43dに保存するとともに、出力部428に送出する。
【0054】
出力部428は、所定の分割エリア順序に従って出力情報を作成し、通信部44を介して通信ネットワーク7に送信する。出力情報は、例えば分割エリアE01−0人・照度900lux、分割エリアE02−歩行者1人・照度900lux、分割エリアE03−0人・照度900lux、分割エリアE04−0人、照度500lux、分割エリアE05−着席者1人、照度500lux、…といった情報である。
【0055】
出力部428は、人間情報取得部424及び照度情報取得部427で取得された各分割エリアの人間情報及び照度に基づき、あるいは処理データ記憶部43dに一旦保存された各分割エリアの人間情報及び照度を読み出して、出力情報を作成する。
【0056】
なお、このとき、例えば先頭に撮影部41から取り込んだ連続フレーム画像の時刻データ又は連続した後続フレーム画像の時刻データを付加させて送信してもよい。
【0057】
また、
図6に示すように、前述する出力情報とは別に、あるいは出力情報とともに第2反映部426で反映させた輝度エリア反映情報(6)の画像に人間の状態及び人数を含む人間情報を重畳し、画像として出力することもできる。
【0058】
通信部44から通信ネットワーク7上に送信された出力情報は、エネルギー管理サーバ6に送られる。
【0059】
エネルギー管理サーバ6は、ビル管理部61が出力情報を受け取ると、例えば制御ルールとなるIF THEN ルールに従い、分割エリアE05において人が着席して作業を進めていると判断する。そうするとエネルギー管理サーバ6は、該当分割エリアE05に対応するタスク空調2bをONする制御指令を空調コントローラ63に送出し、タスク空調2bをON制御する。
【0060】
また、該当分割エリアE05の照度が500luxで暗いと判断した場合にはタスク照明2aの照度を高めるか、周辺エリアE08のタスク照明2aをONする制御指示を照明コントローラ62に送出し、タスク照明2aをON制御する。
【0061】
さらに、例えば分割エリアE02では1人だけ歩行しているので、アンビエント照明・空調3a,3bをONする制御指令を照明コントローラ62、空調コントローラ63に送出し、アンビエント照明・空調3a,3bを制御する。
【0062】
すなわち、各分割エリアE01〜E09における人間の行動や照度の条件をルール化し、タスク照明・空調2a,2b及びアンビエント照明・空調3a,3bを制御し、省エネ化を実現する。
【0063】
従って、以上のような実施形態によれば、対象フロア1を予め細かく分割し、画像センサ4から得られる人間の状態(歩行中、着席中、起立中等)を判断し、細かく分割された分割エリアごとに人間の状態を反映し、出力情報としてエネルギー管理サーバ6に送信するようにしている。よって、エネルギー管理サーバ6は、各分割エリアの人間の状態や例えば照度情報を考慮しつつ、所定のルールに従って細かくタスク照明・空調2a,2b及びアンビエント照明・空調3a,3bを制御することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図7は実施形態に係るエネルギー管理システムを構成する画像センサ4の他の例を説明する図である。
【0065】
前述したように対象フロア1は、タスク照明・空調2a,2b及びアンビエント照明・空調3a,3bと作業(業務)エリアとの関係から、9つのエリアE01〜E09に分割されているとする。
図7(a)に示す、撮影部41で撮影されたフレーム画像の9つの分割エリアE01〜E09と、
図7(b)に示すフロアマップとは対応付けられる。
【0066】
よって、フレーム画像とフロアマップとの変換テーブルを備えておけば、フレーム画像上に表れる人間の位置座標から実空間のフロアマップ上の位置に変換することが可能である。
【0067】
そこで第2の実施形態では、フレーム画像上の人間の位置座標を実空間のフロアマップ上の正確な位置に変換するために人間の状態に応じたマップ変換テーブルを用いる。例えば、
図8に示すように記憶装置43に歩行者用変換テーブル43e1と着席者用変換テーブル43e2を用意する。
【0068】
前記動き分布抽出部422及び第1反映部423で反映されたエリア反映情報(3)に基づき、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、人間が歩行者であれば歩行者用変換テーブル43e1を選択する。またマップ位置取得部429または人間情報取得部424は、人間が着席者であれば着席者用変換テーブル43e2を選択する。そしてマップ位置取得部429または人間情報取得部424は、各人間のフロアマップ上の位置を決定する。
【0069】
歩行者用変換テーブル43e1は、模式的には
図9(a)に示すように歩行者の通る通路11だけの位置座標データを規定する変換テーブルである。画像上の歩行者の位置座標と通路11の位置座標とから、歩行者の位置座標がフロアマップ上のどの通路11の位置に存在するかを容易に特定できる。
【0070】
一方、着席者用変換テーブル43e2は、模式的には
図9(b)に示すように着席者が着席する例えば机(デスク)のかたまりごとの位置座標データを規定した変換テーブルである。画像上の着席者の位置座標と予め規定される複数の机12のかたまりの位置座標データとから、着席者の位置座標がフロアマップ上の何れの机12の位置に存在するかを容易に特定できる。
【0071】
次に、画像処理部42のマップ位置取得部429または人間情報取得部424にて、人間のマップ上の位置を特定する処理例について
図10を参照して説明する。
【0072】
先ず、動き分布抽出部422で得られた映像の動きを伴う累積差分画像情報(2)または第1反映部423で反映された人間エリア反映情報(3)から、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、何れかの分割エリアE01〜E09に人間が存在するか否かを判断する(S1)。ここで、人間が存在すると判断したとき、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、その人間が歩行者か否かを判断する(S2)。
【0073】
歩行者であれば、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、記憶装置43から歩行者用変換テーブル43e1を選択した後(S3)、第1反映部423にて既に特定されている歩行者の位置座標と歩行者用変換テーブル43e1に規定される通路11の位置座標とを比較する。そしてマップ位置取得部429または人間情報取得部424は、その歩行者の位置座標と通路11の位置座標との差分に相当するx,y方向の画素数、つまり{歩行者の位置座標±(x,y方向の画素数×1画素単位の長さ)}からマップ上の通路位置を決定し(S4)、処理データ記憶部43dに記憶する(S5)。
【0074】
一方、ステップS2から歩行者でないと判断されたとき、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、着席者(起立者を含む)か否かを判断する(S6)。ここで、着席者(起立者を含む)であると判断したとき、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、記憶装置43から着席者用変換テーブル43e2を選択する(S7)。
【0075】
そしてマップ位置取得部429または人間情報取得部424は、第1反映部423にて既に特定されている着席者の位置座標と、着席者用変換テーブル43e2に規定される机12の位置座標とを比較する。そして、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、その着席者の位置座標と通路12の位置座標との差分に相当するx,y方向の画素数からマップ上の机12の位置を決定し(S8)、処理データ記憶部43dに記憶する(S5)。
【0076】
引き続き、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、画像上の同一または他の分割エリアに別の人間が居るか否かを判断する(S9)。そして、マップ位置取得部429または人間情報取得部424は、別の人間が居る場合にはステップS2に戻って一連の処理を繰り返し実行し、別の人間が存在しない場合には処理継続か否かを判断し(S10)、処理継続の場合にはステップS1に戻る。
【0077】
従って、以上のような実施の形態によれば、画面上の人間に対する実空間のマップ位置を特定し、例えば前述する分割エリアE01〜E09ごとの人間情報及び照度情報に併せて当該人間の実空間上の位置情報を送信するようにしている。よって、例えばエネルギー管理サーバ6は、予め備えるフロアマップ上に配置されるタスク空調2b及びアンビエント空調3bのうち、例えば何れの吹出し口を含む何れの空調2b,3bが存在する人間に最も近い位置に存在するかを特定できる。その結果に基づいて空調制御を実施すれば、効率的に空調制御を行うことができる。
【0078】
(第3の実施形態)
この実施の形態は、単位粒度の異なる複数の変換テーブルを用意し、第2の実施形態と同様にマップ位置取得部429を用いて、人間の状態に従って変換テーブルを選択し、実空間の位置を決定する。
【0079】
具体的には、撮影部41は対象フロア1を撮影したとき、画像中の歩行者は累積差分が大きく映っており、大きな領域で位置を識別することになり、一方、画像中の着席者は累積差分が小さく映っており、小さい領域で位置を識別することが可能となる。
【0080】
そこで、マップ変換テーブルの単位粒度を人間の状態によって異なる単位粒度とする。例えば、歩行者用変換テーブル43e1´(
図9の43e1に相当)の単位粒度よりも着席者用変換テーブル43e2´(
図9の43e2に相当)の単位粒度を小さくする。
【0081】
通路者用マップ変換テーブル43e1´は、模式的には歩行者の通る通路11に対応した位置座標データを規定する。画像上の歩行者の位置座標と各通路11の位置座標データとから、歩行者の位置座標からの差分に相当する画素数を考慮すれば、マップテーブルマップ上の通路11の位置を特定することができる。
【0082】
デスク用マップ変換テーブル43e2´は、着席者の位置座標と複数の机のかたまりの位置座標とから、着席者がマップ上の何れの机に着席しているかを特定できる。
【0083】
そして、マップ位置取得部429は、第2の実施形態と同様に画像情報から人間の状態が歩行者であれば、通路者用マップ変換テーブル43e1´を選択する。着席中であれば、マップ位置取得部429は、デスク用マップ変換テーブル43e2´を選択する。そして、マップ位置取得部429は、画像上の歩行者又は着席者の位置座標と変換テーブル43e1´または43e2´に記載される位置座標データとから、人間のフロアマップ上の位置を特定する。
【0084】
エネルギー管理サーバ6のビル管理部61においても、フロアマップ上に配置されるタスク空調2b及びアンビエント空調3bのうち、例えば何れの吹出し口を含む何れの空調2b,3bが画面上に存在する人間に最も近い位置に存在するかを特定することができる。その結果に基づいて空調制御を実施すれば、効率的に空調制御を行うことができる。着席者の位置を歩行者の位置よりも正確に特定することが可能となり、タスク・アンビエント制御においても効率的な制御とすることができる。
【0085】
(第4の実施形態)
この実施形態では、
図11に示すような、人間の状態(歩行中、着席中、起立中)を含む発熱対象の属性(通路、机、PC、ディスプレイ、プリンタPR)等を考慮した発熱量管理テーブル34gを記憶装置43に予め記憶させる。また、第1反映部423の出力側に発熱量演算部430を設ける。
【0086】
図12は、第4の実施形態に係る画像センサ4の一例を示す機能ブロック図である。
図12において、発熱量演算部430は、動き分布抽出部422から得られた映像の動きを伴う累積差分画像情報(2)、または第1反映部423で反映された人間エリア反映情報(3)、から得られる分割エリアE01〜E09ごとの人間の状態、及び発熱対象となる属性から、トータルの発熱量を計算する。この発熱量は、処理データ記憶部43dに記憶される。そして、出力部428から分割エリアE01〜E09ごとに人間情報を送る際に、トータルの発熱量も送信する。
【0087】
因みに、
図13に示す各分割エリアE01〜E09では、発熱量演算部430において、次のようなトータル発熱量を演算によって取得する。すなわち、発熱量演算部430は、分割エリアE01では、PC2台設置されているが当該エリア内に人間がおらず2台のPCがOFF状態にあるので、稼動待機時のPC1台分発熱量×2のトータル発熱量を求める。発熱量演算部430は、分割エリアE05では、人間2人+PC1台であるので、{(人間1人分発熱量×2)+稼動PC1台分の発熱量}からなるトータル発熱量を求める。また、発熱量演算部430は、人間が頻繁に歩行する通路を有する分割エリアでは、歩行中による人間の発熱量×平均歩行人数=トータル発熱量として演算する。発熱量演算部430は、トータル発熱量を処理データ記憶部43dに記憶する。
【0088】
出力部428は、人間情報取得部424で取得された人間情報とともに、あるいは当該人間情報とは別に各分割エリアE01〜E09のトータル発熱量をエネルギー管理サーバ6に送信する。エネルギー管理サーバ6のビル管理部61は、各分割エリアE01〜E09のトータル発熱量を考慮しつつ、タスク空調2b及びアンビエント空調3bの温度制御を補正でき、快適、かつ効率的な空調制御を実施できる。
【0089】
(第5の実施形態)
図14は第5の実施形態を説明する輝度−照度変換テーブルを示す図である。
【0090】
第1の実施形態では、各分割エリアE01〜E09で得られた輝度を設定データ記憶部43cに記憶される照度変換式に従って照度に変換した。この実施形態では、例えば、画像情報取得部421で得られた画像の輝度(明るさ)が、机やOA機器の配置状況を踏まえた各分割エリアE01〜E09でどの程度の照度の値を持っているかを調査する。そして、各分割エリアE01〜E09ごとに最適な照度となるような対応付け変換テーブル43hを記憶装置43に記憶させるようにする。
【0091】
照度情報取得部427は、第2反映部426で取得される各分割エリアE01〜E09の画像から得られる平均輝度を、
図14(a)と
図14(b)に示されるような変換率に従って、各分割エリアE01〜E09の照度に変換する。照度情報取得部427は、各分割エリアE01〜E09ごとの快適な照度分布を計算する。この照度分布は、エリア照度の指標データとして利用することができる。
【0092】
(第6の実施形態)
この実施形態では、例えば画像センサ4で撮影された原画像または動き分布抽出部422にて作成されたフレーム間差分ベースの画像を、処理データ記憶部43dに記憶させる。または、予め設定データ記憶部43cまたは処理データ記憶部43dに対象フロア1の鳥瞰図(フロアマップ)43iを記憶させる。
【0093】
処理データ記憶部43d等に記憶される画像センサ4で撮影された原画像、フレーム間差分ベースの画像、または、
図15に示す鳥瞰
図43iは、センシング情報として遠隔地のエネルギー管理サーバ6に送信される。原画像、フレーム間差分ベースの画像、および、鳥瞰
図43iの少なくともいずれか1つに、人間情報取得部424で得られた人間情報43jを重畳してもよい。
【0094】
以上のような構成とすることにより、例えばエネルギー管理サーバ6の表示64に表示することにより、対象フロア1の人間の状況を即座に把握することができる。
【0095】
(第7の実施形態)
図16は第7の実施形態を説明する図である。すなわち、この実施形態は、複数の画像センサ4−1、4−2を設置した場合、複数の画像センサ4−1、4−2の重複検知エリア13が存在するように設置する場合が多い。
【0096】
その結果、複数の画像センサ4−1、4−2から例えば異なる人間情報が出力されるとき、所定のルールに基づいて当該出力情報を処理しなければならない。
【0097】
出力情報の処理ルールとしては、例えば複数の画像センサ4−1、4−2のうち最も最新の時刻に撮影された画像から取得される出力情報を採用するようにしてもよい。あるいは、人間の事象発生位置(例えば人間の着席位置)から距離が近い側の画像センサ例えば4−1に関係する出力情報を優先するようにしてもよい。あるいは、出力情報の中に照度の値が含まれる場合、その照度の最大値、最小値、および、平均値のいずれかが既定の基準を満たす出力情報を優先するようにしてもよい。
【0098】
以上のような実施形態によれば、複数の画像センサ4−1、4−2の撮影範囲が重複する場合であって、当該重複範囲に基づく出力情報が異なる場合に、所定のルールに従って最適な情報が優先して採用される。この最適な情報をタスク・アンビエント制御に利用することで、より安全な制御を実現することができる。
【0099】
(その他の実施形態)
前述した実施形態では、人間の状態として歩行中、着席中、起立中かを判断した。これに代えて、着衣の色柄から性別を検出したり、あるいは各分割エリアの温度計の測定温度を用いたりしても良い。また、これらの情報を、各分割エリアごと出力情報として出力してもよい。
【0100】
また、上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。