特許第6370865号(P6370865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6370865再配置可能なホットメルト接着剤を使用して組み立てられた、時計用部品の組立体、ならびにそのような部品を組み立て、再配置するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370865
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】再配置可能なホットメルト接着剤を使用して組み立てられた、時計用部品の組立体、ならびにそのような部品を組み立て、再配置するための方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 15/14 20060101AFI20180730BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20180730BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20180730BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20180730BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20180730BHJP
   C08F 220/26 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G04B15/14 A
   C09J201/00
   C09J153/00
   C09J5/06
   C08F293/00
   C08F220/26
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-233866(P2016-233866)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-111128(P2017-111128A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】15201235.7
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】クレア・ラヌー
(72)【発明者】
【氏名】マリア・フェルナンデス チュルレオ
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−543038(JP,A)
【文献】 特公昭49−36425(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0116272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 15/14
C08F 220/26
C08F 293/00
C09J 5/06
C09J 153/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤が温度TAにあるときに該接着剤を用いて一緒に組み立てられ、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる、少なくとも2つの時計用部品の組立体であって、該接着剤は、
・温度TCで、少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有し、ここで、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
・温度TAで、前記ポリマー鎖がディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により相互に連結されている三次元網目構造の形態を有し、
この場合、TA<TRDA≦TC
この場合、温度TDAは0℃〜100℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い
少なくとも1つの配合物を含むことを特徴とし、
前記ポリマー鎖は、40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第1のポリマーブロックと、少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつTDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第2のポリマーブロックとを含むブロックコポリマーであることを特徴とする、組立体。
【請求項2】
温度TDAは25℃〜70℃の間の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
温度TRDAは80℃〜150℃の間の範囲であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項4】
前記ポリマー鎖は、TDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記ポリマー鎖は、−50℃〜80℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項に記載の組立体。
【請求項6】
前記第1のポリマーブロックは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項7】
少なくともペンダントジエン単位Xを含む前記第2のポリマーブロックは、−50℃〜60℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項8】
前記ポリマー鎖は、その末端のそれぞれに、40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有するポリマーブロックと、少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつTDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する中央ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項9】
前記ブロックコポリマーの末端の前記ポリマーブロックは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項に記載の組立体。
【請求項10】
少なくともペンダントジエン単位Xを含む前記中央ポリマーブロックは、−50℃〜60℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有することを特徴とする、請求項8または9に記載の組立体。
【請求項11】
40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する前記ポリマーブロックは、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリスチレンおよびポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項12】
前記第2のポリマーブロックは、前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置されたペンダント単位を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項13】
前記第2のポリマーブロックは、前記第2のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを調整するように配置されたペンダント単位を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項14】
前記ペンダントジエン単位Xは、フラン、シクロペンタジエンおよびアントラセンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項15】
前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置される前記ペンダント単位は、チオール、チオエーテル、チオエステル、硫化物、チオアミド、ヒドロキシル、カテコール、アミン、アンモニウム、窒素化複素環、カルボン酸、エステルおよび無水物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の組立体。
【請求項16】
記第2のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを調整するように配置される前記ペンダント単位は、官能化されていてよいアルキル鎖およびフェニル誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の組立体。
【請求項17】
前記ジエノフィル基Yは、マレイミドおよび無水マレイン酸からなる群から選択される化合物の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項18】
再配置可能なホットメルト接着剤を用いて、該接着剤が温度TAにあるときに組立位置に一緒に保持され、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる少なくとも2つの時計用部品を組み立て、再配置するための方法であって、
a)40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第1のポリマーブロック、および少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつ温度TDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第2のポリマーブロックを含むブロックコポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有する少なくとも1つの配合物を含む接着剤の溶液を調製する工程であって、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
この場合、TA<TRDA≦TC、ここで、温度TDAは0℃〜100℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低く、温度TCは前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfより高い、工程、
b)前記接着剤の前記溶液を前記時計用部品に適用する工程、
c)乾燥させる工程、
d)前記時計用部品を再配置するために前記時計用部品を前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以上の温度で置く工程、
e)前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以下の温度に冷却する工程、
f)前記接着剤が三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により前記ブロックコポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度で置く工程、
g)逆ディールス・アルダー反応によってブロックコポリマー鎖とカップリング分子との前記混合物を再生するために前記時計用部品を温度TCに加熱する工程、
h)前記時計用部品を再配置する工程、
i)工程e)〜f)を2反復する工程、
j)必要に応じて、再び前記時計用部品を再配置するために必要なだけ何回でも工程g)〜i)を繰り返す工程
を含む、方法。
【請求項19】
温度TDAは25℃〜70℃の間の範囲であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
温度TRDAは80℃〜150℃の間の範囲であることを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の、再配置可能なホットメルト接着剤を用いて一緒に組み立てられた2つの時計用部品の組立体を含む、時計用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学の分野、特に、時計製造および宝石類製作の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、接着剤を加熱したときに時計用部品の再配置を可能にする再配置可能なホットメルト接着剤を用いて一緒に組み立てられた、少なくとも2つの時計用部品の組立体に関する。本発明はまた、そのような時計用部品を組み立て、再配置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時計製造の分野では、時計用部品はグルーまたは接着剤を用いて一緒に組み立てられる。手動操作で熱を使用してそれらを再加工することを可能にしかつ組立中またはアフターサービスの一環としてそれらの部品の維持もしくは修復中のいずれかに最適な方法で接着部品の再配置を可能にするように、再配置可能なホットメルト接着剤を用いて接着点を形成しなければならない。さらに、この接着剤はまた、特に、アフターサービスの際に行われる時計洗浄操作に耐えるように、化学洗浄操作に対して耐性を有していなければならない。
【0003】
例として、ルビーのアンクル石は、一般的に、セラックを用いて、接着することによりアンクルに固定される。セラックは、熱溶融性の天然樹脂である、すなわち、セラックはその溶融温度(Tf)より高い温度で蜂蜜様のコンシステンシーを有し、その溶融温度(Tf)またはそのガラス転移温度(Tg)より下では固体である。従って、作業者は、アンクル石がアンクル上で数ミクロン変位し得るように熱を使用してセラックを軟化させることができる。しかしながら、任意のホットメルト化合物と同様に、セラックは溶媒に可溶性である。従って、セラックを使用して組み立てられた部品は、時計洗浄操作に対する耐性は低い。
【0004】
別の例は、樹脂エピコート(Epikote)(商標)などの熱硬化性グルーを用いてそのスタッドに接着されたヒゲゼンマイに関する。熱硬化性グルーは良好な耐薬品性を有する。しかしながら、それらは熱を使用して再加工することができず、そのため、熱硬化性グルーを使用して組み立てられた部品は、必要に応じて分離し、再配置することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に、時計用部品を組み立てるためにこれまでに使用されている既知グルーの種々の欠点を改善することである。
【0006】
より正確には、本発明の目的は、依然として時計洗浄操作に対して好適に耐性がありながら前記時計用部品の再配置を可能にするために熱を使用して再加工することができる、時計用部品の組立体の形成を可能にする接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は、該接着剤が温度TAにあるときに接着剤を用いて一緒に組み立てられ、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる、少なくとも2つの時計用部品の組立体に関する。
【0008】
本発明によれば、前記接着剤は、
・温度TCで、少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有し、ここで、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
・温度TAで、前記ポリマー鎖がディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により相互に連結されている三次元網目構造の形態を有し、
この場合、TA<TRDA≦TC
この場合、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い、
少なくとも1つの配合物を含む。
【0009】
本発明はまた、再配置可能なホットメルト接着剤を用いて、該接着剤が温度TAにあるときに組立位置に一緒に保持され、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる少なくとも2つの時計用部品を組み立て、再配置するための方法であって、
a)少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有する少なくとも1つの配合物を含む接着剤の溶液を調製する工程であって、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
この場合、TA<TRDA≦TC、ここで、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い、工程、
b)前記接着剤の前記溶液を前記時計用部品に適用する工程、
c)乾燥させる工程、
d)前記接着剤が三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により前記ポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度で置く工程、
e)逆ディールス・アルダー反応によってポリマー鎖とカップリング分子との前記混合物を再生するために前記時計用部品を温度TCに加熱する工程、
f)前記時計用部品を再配置する工程、
g)前記接着剤がもう1度三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により再び前記ポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度に冷却する工程、
h)必要に応じて、再び前記時計用部品を再配置するために必要なだけ何回でも工程e)〜g)を繰り返す工程
を含む方法に関する。
【0010】
本発明はまた、再配置可能なホットメルト接着剤を用いて、該接着剤が温度TAにあるときに組立位置に一緒に保持され、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる少なくとも2つの時計用部品を組み立て、再配置するための方法であって、
a)40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第1のポリマーブロック、および少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつ温度TDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第2のポリマーブロックを含むブロックコポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有する少なくとも1つの配合物を含む接着剤の溶液を調製する工程であって、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
この場合、TA<TRDA≦TC、ここで、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低く、温度TCは前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfより高い、工程、
b)前記接着剤の前記溶液を前記時計用部品に適用する工程、
c)乾燥させる工程、
d)前記時計用部品を再配置するために前記時計用部品を前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以上の温度で置く工程、
e)前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以下の温度に冷却する工程、
f)前記接着剤が三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により前記ブロックコポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度で置く工程、
g)逆ディールス・アルダー反応によってブロックコポリマー鎖とカップリング分子との前記混合物を再生するために前記時計用部品を温度TCに加熱する工程、
h)前記時計用部品を再配置する工程、
i)工程e)〜f)を2反復する工程、
j)必要に応じて、再び前記時計用部品を再配置するために必要なだけ何回でも工程g)〜i)を繰り返す工程
を含む方法に関する。
【0011】
得られた組立体は、その後、前記時計用部品を分離し、それらを再配置するために熱間加工することができ、時計洗浄操作に対して耐性がある。
【0012】
本発明はまた、該接着剤が温度TAにあるときに少なくとも2つの時計用部品を組立位置に一緒に保持し、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連してそれらを再配置するための再配置可能なホットメルト接着剤の使用であって、該接着剤は、
・温度TCで、少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有し、ここで、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
・温度TAで、前記ポリマー鎖がディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により相互に連結されている三次元網目構造の形態を有し、
この場合、TA<TRDA≦TC
この場合、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い、
少なくとも1つの配合物を含む使用に関する。
【0013】
本発明はまた、上記に定義した再配置可能なホットメルト接着剤を用いて一緒に組み立てられた2つの時計用部品の組立体を含む時計用部品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、該接着剤が温度TAにあるときに接着剤を用いて一緒に組み立てられ、該接着剤が温度TCに加熱されたときに相互に関連して再配置することができる、少なくとも2つの時計用部品の組立体に関する。
【0015】
前記時計用部品は、接着により別の要素の上に組み立てる必要がある時計機構に使用される任意の要素であり得、アフターサービスの際に、例えば、最適な方法で再配置するために、分離可能でなければならない。時計用部品の組立体は、例えば、ルビーのアンクル石/アンクル組立体またはヒゲゼンマイ/スタッド組立体または指針/文字盤組立体である。
【0016】
本発明によれば、使用される接着剤は、
・温度TCで、少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有し、ここで、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
・温度TAで、前記ポリマー鎖がディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により相互に連結されている三次元網目構造の形態を有し、
この場合、TA<TRDA≦TC
この場合、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い、
少なくとも1つの配合物を含む。
【0017】
ディールス・アルダー反応の温度TDAおよび逆ディールス・アルダー反応の温度TRDAは前記ポリマー鎖のX単位および前記カップリング分子に依存する。後者は、ディールス・アルダー反応の温度TDAが、有利には、0℃〜100℃の間の範囲であり、25℃〜70℃の間がより好ましく、逆ディールス・アルダー反応の温度TRDAが50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であるように選択される。
【0018】
前記ペンダントジエン単位Xは、好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは、末端の、ジエン官能基Xを含むペンダント単位であり、フラン、シクロペンタジエンおよびアントラセンからなる群から選択される。
【0019】
従って、ペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖の形成に特に好適なモノマーの例は
【0020】
【化1】
【0021】
である。
【0022】
これらの分子は、市販されており、または例えば、1段階で合成することもできる(刊行物Organic Letters,4(14),2365−2368;2002に記載されている合成)。
【0023】
本発明の第1の実施形態によれば、前記ポリマー鎖は、所望の特性が得られることを可能にする種々のモノマーから得られた統計コポリマーである。
【0024】
有利には、前記ポリマー鎖は、TDAより低い、好ましくは、−50℃〜80℃の間の範囲であり、−20℃〜50℃の間がより好ましいガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する。
【0025】
従って、前記ポリマー鎖は、温度TDAで、ディールス・アルダー反応が前記ポリマー鎖と前記カップリング分子との間で容易に起こるために十分に移動性がある。
【0026】
有利には、前記ポリマー鎖は、例えば、前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置されたペンダント単位を含むことができる。これらのペンダント単位はまた、前記時計用部品が受ける温度サイクルでも安定している。
【0027】
前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置されるペンダント単位は、好ましくは、チオール、チオエーテル、チオエステル、硫化物、チオアミド、ヒドロキシル、カテコール、アミン、アンモニウム、窒素化複素環、例えば、イミダゾールまたはピリジンなど、カルボン酸、エステルおよび無水物からなる群から選択される。
【0028】
従って、前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置されるペンダント単位を、ペンダント単位Xをすでに含んでいる前記ポリマー鎖に導入するための特に好適なモノマー例は以下である:
【0029】
【化2】
【0030】
これらの分子は市販されている。
【0031】
有利には、前記ポリマー鎖はまた、前記ポリマー鎖のガラス転移温度Tgまたは溶融温度TfをTDAより下に調整するように配置されたペンダント単位を含むことができる。
【0032】
前記ポリマー鎖のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを調整するように配置されるペンダント単位は、好ましくは、官能化されていてよいアルキル鎖およびフェニル誘導体からなる群から選択される。従って、前記ポリマーのTgまたはTfを調整するように配置されたペンダント単位を形成するための好適な市販モノマー例は、メタクリル酸またはアクリル酸エステル、スチレン誘導体である。例として、以下のものを挙げることができる:ブチルメタクリレート(ホモ−ブチルメタクリレート=20℃)、シクロヘキシルアクリレート(ホモ−シクロヘキシルアクリレート=19℃)、tert−ブチルメタクリレート(Tg ホモ−tert−ブチルメタクリレート=118℃)、ドデシルメタクリレート(Tf ホモドデシルメタクリレート=−65℃)、2−エトキシエチルアクリレート(Tg ホモ2−エトキシエチルアクリレート=−50℃)、エチルアクリレート(Tg ホモエチルアクリレート=−24℃)、ヘキシルアクリレート(Tg ヘキシルアクリレート=59℃)、スチレン(Tg スチレンホモポリマー=100℃)。
【0033】
また、前記時計用部品との好適な親和性を提供するように配置されたペンダント単位のいくつかはまた、前記ポリマー鎖のTgまたはTfを調整するように働くことができることは容易に理解されるであろう。
【0034】
有利には、前記コポリマー鎖は、1〜50%の間、好ましくは、1〜30%の間のペンダント単位Xと、1〜50%の間、好ましくは、1〜30%の間の、前記時計用部品との好適な親和性を提供するように配置されたペンダント単位と、1〜90%の間、好ましくは、20〜70%の間の、前記鎖のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを調整するように配置されたペンダント単位とを含む。
【0035】
統計的重合の技術は、当業者に周知であり、詳細に記載する必要はない。特に好適な重合方法は溶液またはエマルジョン中でのフリーラジカル共重合である。
【0036】
前記カップリング分子に関して、それらのジエノフィル基Yは、好ましくは、マレイミドおよび無水マレイン酸からなる群から選択される化合物の誘導体である。
【0037】
Yは、好ましくは、マレイミドの誘導体である。
【0038】
従って、前記カップリング分子は、下式(I)の構造を有することができる:
【0039】
【化3】
【0040】
[式中、R1は、アルキル鎖、好ましくは、1<n<35の、少なくとも1つのヒドロキシ基によってもしくはN−メチルマレイミド基によって置換されているもしくは非置換の(CH2n鎖、アリール鎖、好ましくは、フェニル、もしくはPDMS(ポリジメチルシロキサン)鎖または下記形態の構造である
【0041】
【化4】
【0042】
(式中、Y=−O−、−S−、−CH2−、−C(CH32−またはPDMS鎖またはPEG(ポリエチレングリコール)鎖)]。
【0043】
市販されている特に好適なカップリング分子の例は
【0044】
【化5】
【0045】
である。
【0046】
少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態で提供される配合物では、カップリング分子の量は、カップリング分子の数とペンダントジエン官能基Xの数との比が0.5:2〜1.2:2の間の範囲、好ましくは、1:2に等しくなるようなものである。
【0047】
前記2つの時計用部品は、組立・再配置法を用いて組み立てられ、再配置することができ、その方法は、
a)溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランなど)中で、少なくともペンダントジエン単位Xを含むポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有する少なくとも1つの配合物を含む接着剤の溶液を調製する工程であって、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
この場合、TA<TRDA≦TC、ここで、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低い、工程、
b)組み立てる前記時計用部品に前記接着剤の前記溶液を適用する工程、
c)前記溶媒を除去するために真空中で乾燥させる工程、
d)前記接着剤が三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により前記ポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度で置く工程、
e)前記時計用部品を再配置する必要がある場合には、逆ディールス・アルダー反応によってポリマー鎖とカップリング分子との前記混合物を再生するために前記時計用部品を温度TCに加熱する工程、
f)前記時計用部品を再配置する工程、
g)前記接着剤がもう1度三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により再び前記ポリマー鎖を相互に連結するために前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度に冷却する工程、
h)必要に応じて、再び前記時計用部品を再配置するために必要なだけ何回でも工程e)〜g)を繰り返す工程
を含む。
【0048】
従って、前記時計用部品の通常の使用状態での周囲温度で、前記ポリマー鎖によって三次元網目構造が形成されることから時計洗浄操作に対して耐性がある接着剤を用いて前記時計用部品は接着される。より高い温度、すなわち、少なくとも逆ディールス・アルダー反応の温度TRDAで、前記カップリング分子により前記ポリマー鎖間に形成された架橋は壊れ、三次元網目構造は破壊される。前記接着剤の粘度は低下し、その後、前記部品を細心の注意を払って再配置することができるようになる。組立体は、三次元網目構造を再形成し、前記部品をそれらの新しい位置に固定するために、冷却され、前記ポリマー鎖と前記カップリング分子との間でのディールス・アルダー反応の誘発を可能にする温度で置かれる。
【0049】
本発明の第2の実施形態によれば、前記ポリマー鎖は、40℃〜200℃の間、好ましくは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第1のポリマーブロックと、少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつTDAより低い、好ましくは、−50℃〜60℃の間の範囲であり、−50℃〜20℃の間がより好ましいガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第2のポリマーブロックとを含むブロックコポリマーである。
【0050】
本発明の第3の実施形態によれば、前記ポリマー鎖は、その末端のそれぞれに、40℃〜200℃の間、好ましくは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有するポリマーブロックと、少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつTDAより低い、好ましくは、−50℃〜60℃の間の範囲であり、−50℃〜20℃の間がより好ましいガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する中央ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーである。
【0051】
これらの第2および第3の実施形態によれば、前記ポリマー鎖は、40℃〜200℃の間、好ましくは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する前記ポリマーブロックにより形成された少なくとも1つの「ハード」ブロックと、少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつTDAより低い、好ましくは、−50℃〜60℃の間の範囲であり、−50℃〜20℃の間がより好ましいガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する前記ポリマーブロックにより形成された「ソフト」ブロックとを含む。
【0052】
ブロック各々がそれら固有のガラス転移温度または溶融温度を有するこのソフトブロック/ハードブロック構造は、有利には、前記接着剤が2つの特性:迅速な再配置/固定と、洗浄操作に対する耐性とを有することを可能にする。
【0053】
実際には、ハードブロック(より高いTgまたはTfを有する)は、確実に、前記接着剤が周囲温度(≦25℃)で固化するようにし、ハードブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfより高い温度での前記時計用部品の精巧かつ迅速な再配置を保証する。ハードブロックはホットメルト接着剤と同じ役割を果たす。
【0054】
前記カップリング分子によりカップリングされるソフトブロック(より低いTgまたはTfを有する)は、ブロックコポリマー間に熱可逆性三次元網目構造が形成されることを可能にし、それによって、時計洗浄操作に対する耐性を確保する。上記のように、三次元網目構造は、再配置されハードブロックにより固定された組立体を、前記ソフトブロックと前記カップリング分子との間でディールス・アルダー反応を行うために必要な温度で数時間置くことにより形成される。TDAより低いこのソフトブロックの低いTgまたはTfは、前記鎖の高い移動性を可能にし、それによって、ディールス・アルダー反応によるカップリングを保証する。
【0055】
有利には、40℃〜200℃の間、好ましくは、60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する「ハード」ポリマーブロックは、アクリル系、メタクリル系、アクリルアミド、スチレンメタクリルアミドまたはビニルモノマーから形成されたホモポリマーまたはコポリマーである。60℃〜150℃の間の範囲のガラス転移温度または溶融温度Tfを有するブロックを得るために特に好適なモノマーの例は、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、イソプロピルメタクリレート、メタクリル酸、無水メタクリル酸、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ビニルアルコール、ビニルベンゾエート、ビニルシクロヘキサノエートである。
【0056】
前記「ソフト」ポリマーブロックでは、ペンダントジエン単位Xは上に定義したものと同じである。
【0057】
前記「ソフト」ポリマーブロックは、有利には、所望の特性が得られることを可能にする種々のモノマーから得られたコポリマーであり得る。
【0058】
従って、前記「ソフト」ポリマーブロックは、前記時計用部品と適当な親和性を有するように配置されたペンダント単位を含むことができる。これらのペンダント単位は統計コポリマーについて上に定義したものと同じである。
【0059】
さらに、前記「ソフト」ポリマーブロックは、前記「ソフト」ポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度TfをTDAより下に調整するように配置されたペンダント単位を含むことができる。これらの単位は統計コポリマーについて上に定義したものと同じである。
【0060】
ブロック共重合の技術は、当業者に周知であり、詳細に記載する必要はない。
【0061】
ブロックコポリマーを得るために2つの合成経路を、好ましくは、用いることができる。第1の可能な経路はブロックの逐次合成である。この経路は、例えば、以下の工程:
・前記ハードポリマーブロックを得るためのアニオンスチレン重合
・マクロ開始剤を得るための前記スチレンの鎖末端官能化
・前記マクロ開始剤(=官能性ポリスチレン)からソフトポリマーブロックを得るためのフルフリルメタクリレート/ブチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートの原子移動ラジカル重合(atom−transfer radical polymerisation)(ATRP)
またはさらに:
・二官能性ソフトブロックを得るための二官能性開始剤(例えば、PhCOCHCl2)からのフルフリルメタクリレート/ブチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートの制御ラジカル重合
・制御ラジカル重合による前記マクロ開始剤(=二官能性ソフトブロック)からのスチレンブロックの成長
を含むことができる。
【0062】
第2の可能な経路は、2つのハードブロックおよびソフトブロックの間の「クリックケミストリー」による合成である。この経路は、例えば、以下の工程:
・フルフリルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/ブチルメタクリレートのアルキン官能性コポリマーのATRPによる合成
・下に示す市販のアジド官能性ポリスチレンとのフルフリルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/ブチルメタクリレートのアルキン官能性コポリマーのクリックケミストリーカップリング:
【0063】
【化6】
【0064】
を含むことができる。
【0065】
ハードブロックおよびソフトブロックを含むブロックコポリマーの例を下に示す。
【0066】
【化7】
【0067】
前記2つの時計用部品は、組立・再配置法を用いて組み立てられ、再配置することができ、その方法は、
a)溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランなど)中で、40℃〜200℃の間の範囲のガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第1のポリマーブロック、および少なくともペンダントジエン単位Xを含みかつ温度TDAより低いガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfを有する少なくとも1つの第2のポリマーブロックを含むブロックコポリマー鎖と、少なくとも2つのジエノフィル末端基Yを含むカップリング分子との混合物の形態を有する少なくとも1つの配合物を含む接着剤の溶液を調製する工程であって、前記X単位および前記Y基は、相互に反応することができかつ温度TDAでディールス・アルダー反応によって一緒に結合しかつ温度TRDAで逆ディールス・アルダー反応によって再生することができるように配置され、
この場合、TA<TRDA≦TC、ここで、温度TDAは0℃〜100℃の間、好ましくは、25℃〜70℃の間の範囲であり、温度TRDAは50℃〜200℃の間、好ましくは、80℃〜150℃の間の範囲であり、TDAはTRDAよりも厳密に低く、温度TCは前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tfより高い、工程、
b)組み立てる前記時計用部品に前記接着剤の前記溶液を適用する工程、
c)前記溶媒を除去するために、例えば、真空中で、乾燥させる工程、
d)前記時計用部品を精巧に再配置するために前記時計用部品を前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以上の温度で置く工程、
e)接着した組立体を固定するために前記第1のポリマーブロックのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tf以下の温度に冷却する工程、
f)前記接着剤が三次元網目構造の形態となるようにディールス・アルダー反応によって前記カップリング分子により前記ブロックコポリマー鎖を相互に連結するために、例えば、炉内に置くことにより、数時間、前記時計用部品を温度TDA以上TRDAより低い温度で置く工程、
g)前記時計用部品を再配置する必要がある場合には、逆ディールス・アルダー反応によってブロックコポリマー鎖とカップリング分子との前記混合物を再生するために前記時計用部品を温度TCに加熱する工程、
h)前記時計用部品を再配置する工程、
i)工程e)〜f)を2反復する工程と
j)必要に応じて、再び前記時計用部品を再配置するために必要なだけ何回でも工程g)〜i)を繰り返す工程
を含む。
【0068】
ブロック構造の利点は、時計用部品の組立体を、熱を使用して再配置することができ、前記ハードブロックのガラス転移温度または(of)溶融温度Tfより低い温度で前記カップリング分子とのディールス・アルダー反応によって反応することができるのに十分な移動性をそれらが有するように前記ソフトブロックの柔軟性を保持しながら前記ハードブロックを冷却することにより迅速に固定することができることである。
【実施例】
【0069】
ポリマー鎖の合成例:
実施例1
ポリマー鎖を、以下:
a)フルフリルメタクリレート
b)2−カルボキシエチルアクリレート
c)ヒドロキシエチルアクリレート
d)ドデシルメタクリレート、
のラジカル重合により統計コポリマーの形態で合成し、以下の操作方法を用いる:
フルフリルメタクリレート(1.06mL、6.9mmol)、2−カルボキシエチルアクリレート(0.41mL、3.5mmol)、ヒドロキシエチルアクリレート(0.39mL、3.5mmol)、ドデシルメタクリレート(2.70mL、9.2mmol)を、窒素で予め脱気したトルエン(3mL)が入ったシュレンクフラスコに入れる。反応媒体を窒素で5分間バブリングする。0.228mol/Lアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)溶液0.5mLを加える。反応媒体を撹拌し、80℃に24時間加熱する。ポリマーを、冷メタノール中で凝固させ、ゲルの形態で得る(収率=75%)。
【0070】
以下の統計コポリマーが得られる。
【0071】
【化8】
【0072】
再配置可能なホットメルト接着剤を形成するために、上記のポリマー鎖をトルエン中の溶液に入れ、次いで、カップリング剤である4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミド(3.4mmol、1.2g)と混合する。
【0073】
この溶液を、次いで、上記のプロトコールに従って組み立てる時計用部品上に付着させる。
【0074】
実施例2
ポリマー鎖を、以下の操作方法を用いてA−B−Aブロックコポリマーの形態で合成する:
フルフリルメタクリレート(3mL、19.2mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレート(1.6mL、12.8mmol)、ドデシルメタクリレート(5.6mL、19.2mmol)、触媒Ru(Ind)Cl/PPh3)2(10mg)、二官能性開始剤であるCHCl2(COPh)の溶液(400mmol/Lトルエン溶液0.32mL)およびn−Bu3Nのトルエン溶液(0.27mmol/L溶液0.64mL)を、窒素で予め脱気したトルエン(6mL)が入ったシュレンクフラスコに入れる。反応媒体を窒素で5分間バブリングし、その後、撹拌し、80℃に24時間加熱する。反応媒体をアセトン中で沈殿させる。沈殿物を、遠心分離により分離し、トルエンに可溶化し、次いで、メタノール中で凝固させる。ポリマーを真空乾燥させ、その後、以下の工程のためのマクロ開始剤として使用する。このために、マクロ開始剤であるポリマーのトルエン溶液(2mM)を調製する。次いで、2Mポリマーマクロ開始剤溶液(7.1mL、0.0142mmol)、触媒Ru(Ind)Cl/PPh3)2(10mg)およびメチルメタクリレート(0.76mL、7.1mmol)をシュレンクフラスコ(a Schenk flask)に入れる。混合物を加熱し、80℃で24時間撹拌する。反応媒体をアセトン中で沈殿させる。沈殿物を、遠心分離により分離し、トルエンに可溶化し、次いで、メタノール中で凝固させる。ポリマーを真空乾燥させ、その後、以下の工程のためのマクロ開始剤として使用する。
【0075】
以下のブロックコポリマーが得られる。
【0076】
【化9】
【0077】
再配置可能なホットメルト接着剤を形成するために、前述のポリマー鎖をトルエン中の溶液に入れ、次いで、カップリング剤である4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミド(134mg、0.375mmol)と混合する。
【0078】
この溶液を、次いで、上記のプロトコールに従って組み立てる時計用部品上に付着させる。