特許第6371514号(P6371514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371514植物の栽培容器とこの栽培容器を使用する植物の栽培装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371514
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】植物の栽培容器とこの栽培容器を使用する植物の栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20180730BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20180730BHJP
【FI】
   A01G9/02 101G
   A01G31/00 611A
   A01G31/00 604
   A01G9/02 101U
   A01G9/02 101N
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-235343(P2013-235343)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-92869(P2015-92869A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年9月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116404
【氏名又は名称】阿波製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】井筒 香
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 歩美
(72)【発明者】
【氏名】橘 昌利
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−194259(JP,A)
【文献】 特開昭54−035046(JP,A)
【文献】 特開2004−051141(JP,A)
【文献】 特開2003−250351(JP,A)
【文献】 特開2005−013009(JP,A)
【文献】 特開2007−082515(JP,A)
【文献】 米国特許第06276089(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00−9/02
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養液(4)の上に水平姿勢に配置されるプレート(1)の貫通孔(2)に挿入されて、内部に配置される植物の根(5)を養液(4)に成長させて植物を生育させる栽培容器(3)であって、
可撓性のある耐水シートが所定の形状に裁断されたものであって、前記貫通孔(2)に折曲状態で挿入されて貫通孔(2)の内側で容器形状に変形する本体部(3A)と、この本体部(3A)を前記貫通孔(2)に挿入する状態で、前記プレート(1)の上面に係止される係止部(3B)とを有し、
前記本体部(3A)は、前記貫通孔(2)に挿入される状態で貫通孔(2)の底部に配置される折曲ライン(6)を介して連結してなる複数の折曲片(7)を備え、
前記係止部(3B)は、前記折曲片(7)の前記折曲ライン(6)の反対側の端部に、前記折曲片(7)の横方向に突出する形状に前記耐水シートが裁断して設けられ、
さらに、前記本体部(3A)は、前記貫通孔(2)に挿入される状態で、隣接する折曲片(7)の間に、生育する植物の根(5)を通過させる根(5)の通過隙間(8)を設ける形状としており、
前記本体部(3A)が前記プレート(1)の貫通孔(2)に挿入されて、前記折曲片(7)の貫通孔挿入部は、前記貫通孔(2)の内部で前記貫通孔(2)の内面に沿って容器形状に変形され、前記折曲片(7)から横方向に突出する係止部(3B)は、前記貫通(2)の外部において、前記折曲片(7)の貫通(2)に挿入されない突出部分(7A)から同一平面状に前記プレート(1)の上面に沿って横方向に伸びて、前記プレート(1)の上面に立て姿勢で前記貫通(2)の開口部から離れる方向に伸びて下縁を前記プレート(1)の上面に係止し、立て姿勢にあって下縁を前記プレート(1)の上面に係止してなる前記係止部(3B)でもって、本体部(3A)が貫通孔(2)の内部で落下するのを阻止するようにしてなる植物の栽培容器。
【請求項2】
可撓性のある耐水シートが耐水紙である請求項1に記載される植物の栽培容器。
【請求項3】
可撓性のある耐水シートが、天然パルプを抄紙してなる耐水紙である請求項2に記載される植物の栽培容器。
【請求項4】
本体部(3A)が複数の折曲片(7)を折曲ライン(6)で連結してなる形状である請求項1ないし3のいずれかに記載される植物の栽培容器。
【請求項5】
本体部(3A)が2つの折曲片(7)を折曲ライン(6)で連結してなる形状である請求項4に記載される植物の栽培容器。
【請求項6】
前記折曲ライン(6)の端部又は中間に切欠部(15)を設けて、通過隙間(8)の開口部としてなる請求項4又は5のいずれかに記載される植物の栽培容器。
【請求項7】
養液(4)が供給される上方開口の栽培ベッド(9)と、この栽培ベッド(9)の養液(4)の上に水平姿勢に配置されて、所定の間隔で複数の貫通孔(2)を設けてなるプレート(1)と、このプレート(1)の貫通孔(2)に挿入されて、内部に配置される植物の根(5)を養液(4)に成長させて植物を生育させる栽培容器(3)とを備える植物の栽培装置であって、
栽培容器(3)が、可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断したもので、貫通孔(2)に折曲状態で挿入されて貫通孔(2)の内側で容器形状に変形する本体部(3A)と、この本体部(3A)を貫通孔(2)に挿入する状態で、プレート(1)の上面に係止される係止部(3B)とを有し、
前記本体部(3A)は、貫通孔(2)に挿入される状態で貫通孔(2)の底部に配置される折曲ライン(6)を介して連結してなる複数の折曲片(7)を備え、
前記係止部(3B)は、前記折曲片(7)の前記折曲ライン(6)の反対側の端部に、前記折曲片(7)の横方向に突出する形状に前記耐水シートが裁断して設けられ、
さらに、前記本体部(3A)は、貫通孔(2)に挿入される状態で、隣接する折曲片(7)の間に、生育する植物の根(5)を通過させる根(5)の通過隙間(8)を設ける形状としており、
前記本体部(3A)が前記プレート(1)の貫通孔(2)に挿入されて、前記折曲片(7)の貫通孔挿入部は、前記貫通孔(2)の内部で前記貫通孔(2)の内面に沿って容器形状に変形され、前記折曲片(7)から横方向に突出する係止部(3B)は、前記貫通(2)の外部において、前記折曲片(7)の貫通(2)に挿入されない突出部分(7A)から同一平面状に前記プレート(1)の上面に沿って横方向に伸びて、前記プレート(1)の上面に立て姿勢で前記貫通(2)の開口部から離れる方向に伸びて下縁を前記プレート(1)の上面に係止し、立て姿勢にあって下縁を前記プレート(1)の上面に係止してなる前記係止部(3B)でもって、本体部(3A)が貫通孔(2)の内部で落下するのを阻止するようにしてなる植物の栽培装置。
【請求項8】
前記栽培容器(3)が、耐水紙である請求項7に記載される植物の栽培装置。
【請求項9】
前記栽培容器(3)が、天然パルプを抄紙してなる耐水紙である請求項8に記載される植物の栽培装置。
【請求項10】
前記栽培容器(3)の本体部(3A)が、複数の折曲片(7)を折曲ライン(6)で連結してなる形状である請求項7ないし9のいずれかに記載される植物の栽培装置。
【請求項11】
本体部(3A)が2つの折曲片(7)を折曲ライン(6)で連結してなる形状である請求項10に記載される植物の栽培装置。
【請求項12】
前記栽培容器(3)の本体部(3A)が、前記折曲ライン(6)の端部又は中間に切欠部(15)を設けて、通過隙間(8)の開口部としてなる請求項10又は11のいずれかに記載される植物の栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養液の上に配置してなるプレートの貫通孔に挿入されて、内部で植物を生育させる植物の栽培容器と、この栽培容器を使用する植物の栽培装置に関し、とくに、野菜、イチゴ、草花や植林用の苗等の植物を生育させる栽培容器とこれを使用する栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養液の上に配置してなるプレートに複数の貫通孔を設け、この貫通孔に栽培容器を入れて、栽培容器で植物を生育させる装置は開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
この栽培装置は、養液の上に配置しているプレートの植え付け孔に、上下を開口している栽培容器を入れ、この栽培容器の内形に成型された固形培土でトマトを生育させる。この栽培装置は、固形培土に種を蒔き、根が露出した状態で栽培容器に入れて、固形培土の下部をプレートから下方に突き出すようにして、プレートの下に養液を供給し、固形培土から露出した根を養液中に成長させてトマトを生育する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−115129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の栽培装置は、上下を開口する栽培容器に、トマトを生育させる固形培土を入れてトマトを生育させるので、固形培土の製作に手間がかかる。また、固形培土にトマトの苗を植え付けして生育し、根の露出しない特定の時期に栽培容器に移してトマトを生育させるので、固形培土への種の植え付け、固形培土で種の生育、芽が出て根の露出しない固形培土を栽培容器に移し替えるなど、栽培に手間がかかる欠点がある。
【0006】
さらに、以上の栽培装置は、プレートの貫通孔に案内できる形状に成形する栽培容器を使用する。この形状の栽培容器は、たとえばプラスチックを成形して製作されるので、製造コストが高くなる。また、プラスチック製の栽培容器は廃棄コストも高くなる。さらに、成形された栽培容器は植物の根が透過できないので、底を開口する必要がある。底の開口された栽培容器は、植物が抜け落ちないように、固形培土に植え付けして固形培土が落下しないテーパー状に成形するなどの特別な構造を必要とする。すなわち、栽培容器は、植物を抜け落ちないように保持しながら、根を通過させて養液に延びるように成長させる必要がある。以上の栽培装置は、栽培容器から植物が抜け落ちるのを阻止しながら、根を養液に成長させるために複雑な構造とするので、製造コストが高く、栽培に手間がかかり、栽培容器の廃棄に手間がかかるなど種々の欠点がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単かつ容易に、しかも安価に栽培容器を製作でき、さらに、能率よく植物を栽培できる植物の栽培容器とこの栽培容器を使用する植物の栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の栽培容器は、養液4の上に水平姿勢に配置されるプレート1の貫通孔2に挿入されて、内部に配置される植物の根5を養液4に成長させて植物を生育させる。この栽培容器は、可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断したものである。栽培容器は、貫通孔2に折曲状態で挿入されて貫通孔2の内側で容器形状に変形する本体部3Aと、この本体部3Aを貫通孔2に挿入する状態で、プレート1の上面に係止される係止部3Bとを有する。本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で貫通孔2の底部に配置される折曲ライン6を介して連結してなる複数の折曲片7を備える。係止部3Bは、折曲片7の折曲ライン6の反対側の端部に、折曲片7の横方向に突出する形状に耐水シートを裁断して設けている。さらに、本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で、隣接する折曲片7の間に、生育する植物の根5を通過させる根5の通過隙間8を設ける形状としている。栽培容器は、本体部3Aがプレート1の貫通孔2に挿入されて、折曲片7の貫通孔挿入部は、貫通孔2の内部で折曲片7が貫通孔2内面に沿って容器形状に変形され、折曲片7から横方向に突出する係止部3Bは、貫通2の外部において、折曲片7の貫通に挿入されない突出部分7Aから同一平面状にプレート1の上面に沿って横方向に伸びて、プレート1の上面に立て姿勢で貫通2の開口部から離れる方向に伸びて下縁をプレート1の上面に係止し、立て姿勢にあって下縁をプレート1の上面に係止してなる係止部3Bでもって、本体部3Aが貫通孔2の内部で落下するのを阻止する。
【0009】
以上の栽培容器は、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる特徴がある。それは可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断して製作できるからである。さらに、以上の栽培容器は、本体部をプレートの貫通孔に挿入して貫通孔の内側で容器形状に変形され、さらにこの状態で係止部をプレートの上面に係止して、抜け落ちないように案内されるので、プレートの貫通孔に簡単に挿入して、容器の形状となって抜け落ちないように、配置される。このため、プレートの貫通孔に極めて簡単に挿入できる特徴がある。また、それ自体が変形して、貫通孔に挿入されるので、プレートの貫通孔にぴったりと合う形状に成形する必要がなく、種々の形状に裁断しながら、貫通孔に無理なく挿入されて、理想的な形状に変形される。さらに、プレートの貫通孔に挿入された状態では、貫通孔の内形に沿う形状に変形される。
【0010】
さらに、本体部は、貫通孔に挿入される状態で、本体部を構成する複数の折曲片の間に、生育する植物の根を通過させる根の通過隙間ができるので、栽培容器に入れて生育する植物は、通過隙間に根を通過させて養液に向かって成長する。このため、以上の栽培容器は、種を入れ、あるいは別の場所で発芽させた苗を入れて生育させて根を通過隙間に通過させて養液に向かって生育できる。このため、直接に種を入れて生育でき、また苗を入れて生育させることもできる。さらに、栽培容器には隣の折曲片の間に通過隙間を設けるので、ここで生育する植物は抜け落ちることなく、根を通過隙間から養液に生育できる。このため、植物の植え付けを簡単にして、栽培能率を高くできる特徴がある。
【0011】
さらにまた、以上の栽培容器は、可撓性のある耐水シートをプレートの貫通孔に挿入して栽培容器に変形させるので、従来のプラスチック製の栽培容器のように、あらかじめ所定の形状に成形する必要がない。このため、廃棄するときは、プレートの貫通孔から取り出すとシート状となり、また、廃棄に便利な紙などで製作できることから、廃棄コストを低減できる特徴も実現する。
【0012】
本発明の栽培容器は、耐水紙を裁断して製作でき、また、天然パルプを抄紙してなる耐水紙で製作できる。この栽培容器は、とくに安価に多量生産でき、また廃棄をより簡単にできる特徴がある。
【0013】
本発明の栽培容器は、本体部3Aを複数の折曲片7を折曲ライン6で連結してなる形状とすることができる。また、本体部3Aを2つの折曲片7を折曲ライン6で連結してなる形状とすることができる。
【0014】
さらに、本発明の栽培容器は、折曲片7の折曲ライン6の反対側の端部に、折曲片7の横方向に突出する係止部3Bを設けて、この係止部3Bで貫通孔2から抜け落ちない構造としている。この栽培容器は、係止部で確実に抜け落ちないように貫通孔に配置できる。
【0015】
さらに、本発明の栽培容器は、折曲ライン6の端部又は中間に切欠部15を設けて、切欠部15を通過隙間8とすることができる。折曲ライン6に切欠部15を設けて、通過隙間8の開口部とする栽培容器は、根をよりスムーズに通過隙間である切欠部15に案内して養液4に成長できる特徴がある。とくに、折曲ライン6の端部に切欠部15を設ける構造は、V溝状の底縁に沿って延びる根をスムーズに通過隙間の切欠部に案内できる特徴がある。
【0016】
本発明の栽培装置は、養液4が供給される上方開口の栽培ベッド9と、この栽培ベッド9の養液4の上に水平姿勢に配置されて、所定の間隔で複数の貫通孔2を設けてなるプレート1と、このプレート1の貫通孔2に挿入されて、内部に配置される植物の根5を養液4に成長させて植物を生育させる栽培容器3とを備える。栽培容器3は、可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断したもので、貫通孔2に折曲状態で挿入されて貫通孔2の内側で容器形状に変形する本体部3Aと、この本体部3Aを貫通孔2に挿入する状態で、プレート1の上面に係止される係止部3Bとを有し、本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で貫通孔2の底部に配置される折曲ライン6を介して連結してなる複数の折曲片7を備え、さらに、本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で、隣接する折曲片7の間に、生育する植物の根5を通過させる根5の通過隙間8を設ける形状としている。栽培容器は、本体部3Aがプレート1の貫通孔2に挿入されて、折曲片7の貫通孔挿入部は、貫通孔2の内部で折曲片7が貫通孔2の内面に沿って容器形状に変形され、折曲片7から横方向に突出する係止部3Bは、貫通孔2の外部において、折曲片7の貫通孔2に挿入されない突出部分7Aから同一平面状にプレート1の上面に沿って横方向に伸びて、プレート1の上面に立て姿勢で貫通孔2の開口部から離れる方向に伸びて下縁をプレート1の上面に係止し、立て姿勢にあって下縁をプレート1の上面に係止してなる係止部3Bでもって、本体部3Aが貫通孔2の内部で落下するのを阻止する。
【0017】
以上の植物の栽培装置は、栽培容器を、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる特徴がある。それは、可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断して製作できるからである。さらに、以上の栽培装置は、栽培容器の本体部をプレートの貫通孔に挿入して貫通孔の内側で容器形状に変形し、さらにこの状態で係止部をプレートの上面に係止して、栽培容器を貫通孔に抜け落ちないように配置できるので、プレートの貫通孔に簡単に挿入して、容器の形状として抜け落ちないように配置できる。このため、シート状の栽培容器をプレートの貫通孔に簡単に挿入してセットできる特徴がある。また、シート状の栽培容器は、それ自体が変形して、貫通孔に挿入されるので、製造工程においては、プレートの貫通孔にぴったりと合う形状に成形する必要がなく、種々の形状に裁断しながら、貫通孔に無理なく挿入されて、理想的な形状に変形できる。さらに、プレートの貫通孔に挿入された状態では、貫通孔の内形に沿う形状に変形される。
【0018】
また、栽培容器の本体部は、貫通孔に挿入される状態で、本体部を構成する複数の折曲片の間に、生育する植物の根を通過させる通過隙間を設けるので、栽培容器に入れて生育された植物は、通過隙間に根を通過させて養液に向かって成長する。このため、以上の栽培装置は、栽培容器に種を入れ、種を生育させて根を通過隙間に通過させて養液に向かって生育できる。このため、栽培容器に直接に種を入れて生育できる。また、栽培容器には、隣の折曲片の間に通過隙間を設けるので、栽培容器に入れて生育する植物は栽培容器から抜け落ちることがなく、根を通過隙間から養液に生育できる。このため、植物の植え付けを簡単にして、栽培能率を高くできる特徴がある。
【0019】
さらにまた、以上の栽培装置は、可撓性のある耐水シートからなる栽培容器をプレートの貫通孔に挿入して容器の形状に変形させるので、栽培容器を従来のプラスチック製の栽培容器のように、あらかじめ所定の形状に成形する必要がない。このため、廃棄するときに、プレートの貫通孔から取り出すとシート状となり、また、廃棄に便利な紙などで製作できることから、廃棄コストを低減できる特徴も実現する。
【0020】
本発明の植物の栽培装置は、栽培容器3を耐水紙とすることができ、また、栽培容器3を、天然パルプを抄紙してなる耐水紙で製作することができる。
【0021】
さらに、本発明の栽培装置は、栽培容器3の本体部3Aを、複数の折曲片7を折曲ライン6で連結してなる形状とすることができ、また、本体部3Aを2つの折曲片7を折曲ライン6で連結してなる形状とすることができる。
【0022】
本発明の植物の栽培装置は、栽培容器3の本体部3Aを、折曲片7の折曲ライン6の反対側の端部に、折曲片7の横方向に突出する係止部3Bを設けてなる形状とすることができる。
【0023】
さらに、本発明の植物の栽培装置は、栽培容器3の本体部3Aが、折曲ライン6の端部又は中間に切欠部15を設けて、通過隙間8の開口部とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例にかかる栽培装置の垂直断面図である。
図2図1に示す栽培装置に使用するプレートの斜視図である。
図3】耐水シートを裁断して製作される栽培容器の一例を示す斜視図である。
図4図3に示す栽培容器の展開図である。
図5】栽培容器の他の一例を示す展開図である。
図6】裁断された平面状の栽培容器を貫通孔に挿入する挿入具の斜視図である。
図7】挿入具で平面状の栽培容器を貫通孔に挿入する状態を示す断面図である。
図8】複数の栽培容器を設けている耐水シートの平面図である。
図9】複数の栽培容器を複数の貫通孔に一度に挿入する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための植物の栽培容器と栽培装置を例示するものであって、本発明は栽培容器と栽培装置を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0026】
図1は本発明の実施例に係る栽培装置の断面図を示し、図2は複数の貫通孔のあるプレートの斜視図を示している。図1の栽培装置は、養液4を蓄える栽培ベッド9と、この栽培ベッド9の養液4の上に水平姿勢に配置されて、所定の間隔で複数の貫通孔2を設けてなるプレート1と、このプレート1の貫通孔2に挿入されて、内部に配置される植物の根5を養液4に成長させて植物を生育させる栽培容器3とを備える。
【0027】
栽培ベッド9は上方開口の容器である。この栽培ベッド9は、底板の周囲に外周壁を設けた形状である。この栽培ベッド9は、水平姿勢に配置されて養液4が供給される。養液4は、液面レベルが所定の範囲となるように供給される。すなわち、養液4の液面レベルを液面センサ(図示せず)で検出して、養液4の液面レベルを所定の範囲にコントロールしている。
【0028】
プレート1は、養液4の上に配置される。図1の栽培装置は、プレート1を養液4に浮くフロートとしている。このプレート1は、たとえば独立気泡を有するプラスチック発泡体を板状に成形している。この栽培装置は、フロートを養液4の液面に浮かせることで、プレート1を養液4の上に配置できる。この栽培装置は、養液4の液面レベルが変動すると、液面に浮くフロートを上下に移動できるので、フロートを常に養液4の上面に配置できる。したがって、養液4の液面レベルを一定にコントロールする必要がない。ただ、本発明の栽培装置は、プレートを必ずしもフロートには特定しない。プレートを栽培ベッドの定位置に水平に配置し、養液の液面レベルを一定に保持して、養液の上方の所定の位置にプレートを配置できるからである。この栽培装置は、養液の液面に接する位置にプレートを配置し、あるいは養液の液面から一定の間隔離してプレートを配置することができる。プレートを栽培ベッドに固定する栽培装置は、養液の液面レベルを液面センサで検出して、一定の液面レベルをコントロールする。この栽培装置は、養液の液面レベルが設定値よりも低下すると養液を供給し、液面レベルが上昇して設定値になると養液の供給を停止して、養液の液面レベルを一定にコントロールする。
【0029】
栽培容器3は、可撓性のある耐水シートを所定の形状に裁断して製作される。耐水シートは、繊維やパルプを湿式抄紙して製作される耐水紙、繊維を立体的に集合して繊維の交点を結合してシート状に加工している不織布、フィルム、シート状の生分解性素材等が使用できる。
【0030】
耐水紙は、基材の主材料として天然セルロース繊維を使用する。天然セルロース繊維は、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプや、麻パルプ、コットンパルプ、エスパルトパルプなどの草本パルプである非木材パルプを使用する。
【0031】
耐水紙は、化学処理された天然セルロース繊維であるマーセル化パルプ、特殊な製造工程により製造された天然セルロース繊維であるフラッフパルプ、非木材パルプのコットンパルプ、再生繊維のレーヨン、合成繊維のポリエステル繊維やポリオレフィン繊維を添加して、表面積を増加して吸湿性を向上できる。
【0032】
さらに、耐水紙は、非木材パルプの麻パルプやエスパルトパルプ、再生繊維のリヨセル繊維、熱溶融して高強度化できる合成繊維のポリエステル繊維やポリオレフィン繊維を使用して、紙に強度を与えることができる。
【0033】
また、耐水紙は、非木材パルプのエスパルトパルプ、合成繊維のポリエステル繊維やポリオレフィン繊維、無機粉体の粉末状粘土鉱物を添加して、緻密な状態にでき、また、機能性繊維としてセルロース繊維内にゼオライトなどの多孔性鉱物を含有し、銅イオンなどを定着させた高機能繊維、無機粉体のゼオライト粉末、薬剤、合成系および天然系防カビ剤、銅イオンや銀イオン等を含む溶液を添加して抄紙し、また後加工でこれ等を担持させることで、防カビ性を与えることもできる。
【0034】
耐水紙は、以下の工程で製造できる。
(1)原料調整水に、紙の引張強度を出す為の繊維長の長い天然パルプ(NBKP)と、嵩高性を出す為のマーセル化パルプ又は非木材パルプの混合物からなるパルプを投入、離解し、スラリーを作る。
【0035】
(2)パルプスラリーを薬品添加用のチェストに移し、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤、硫酸バンドを順次添加して混合する。この工程で添加される乾燥紙力剤は、乾燥状態での紙力を増強し、後加工を容易にするもので、ポリ(アクリル)アミド系樹脂、澱粉系、マンナンなどの多糖類系、PVAなどを使用する。湿潤紙力増強剤は、栽培容器に使用される状態で水濡れ状態での紙の強度保持に必要な薬剤であって、ポリアミドアミン及びそのエピクロルヒドリン変性体、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、PVAなども使用できる。
【0036】
(3)その後、スラリーを湿式抄紙機で抄紙する。
この工程では、吸湿性保持に影響する密度と培地シートの保形に必要な剛性の調整を行う。
【0037】
(4)最後に乾燥して耐水紙とする。乾燥工程は、乾燥しながら移送される途中に、クレープドクターを設置して、紙にクレープを設けることができる。クレープ紙に加工して、シートとしての扱い易さの向上と共に、発泡スチロールトレーの穴への紙製培地の設置を容易にし、設置時の穴からの跳ね返りを防ぐことができる。また、保湿面積が増えることで、保湿量を増加させることもできる。
【0038】
栽培容器の耐水シートは、耐水紙に限らず不織布、フィルム、シート状の生分解性樹脂等も使用できる。不織布は、ポリエステル、ポリオレフィン、ビニロンなどの繊維を立体的に集合し、繊維の交点をバインダーで結合したものが使用できる。フィルムの材質は限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ塩化ビニリデンなどにより製造されたフィルムが使用できる。
【0039】
さらに、シート状とする生分解性樹脂には、ポリ乳酸、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート系ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン/ブチレンサクシネート、ポリプチレンサクシネート、ポリ(プチレンサクシネート/アジペート)、ポリ (プチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(プチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸等が使用できる。
【0040】
以上の可撓性のある耐水シートを裁断して栽培容器3とする。図3は、プレート1の貫通孔2に挿入された状態の栽培容器3の斜視図を、図4図3に示す栽培容器3の展開図を、図5は他の一例の栽培容器3の展開図をそれぞれ示している。これ等の図に示す栽培容器3は、プレート1の貫通孔2に折曲状態で挿入されて貫通孔2の内側で容器形状に変形する本体部3Aと、この本体部3Aを貫通孔2に挿入する状態で、プレート1の上面に係止される係止部3Bとからなる。
【0041】
本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で貫通孔2の底部に配置される折曲ライン6を介して連結してなる複数の折曲片7を備える。さらに、本体部3Aは、貫通孔2に挿入される状態で、隣接する折曲片7の間に、生育する植物の根5を通過させる根5の通過隙間8を設ける形状としている。以上の栽培容器3は、プレート1の貫通孔2に挿入されて、折曲ライン6で折曲され、貫通孔2の内部で折曲片7を容器形状に変形して、貫通孔2の内部に容器の形状で配置される。この状態で係止部3Bは、プレート1の上面に係止されて、本体部3Aが貫通孔2の内部で落下するのを阻止する。
【0042】
図3図4に示す栽培容器3は、本体部3Aを、ふたつの折曲片7を折曲ライン6で連結する形状とし、図5の展開図に示す栽培容器3は4つの折曲片7を折曲ライン6で底部に連結する形状としている。これらの栽培容器3は、折曲片7の折曲ライン6の反対側の端部に、折曲片7の横方向に突出する係止部3Bを設けて、本体部3Aを貫通孔2に抜け落ちないように配置する。
【0043】
図3図4の栽培容器3の本体部3Aは、ふたつの折曲片7を折曲ライン6の両側に連結する形状であるから、貫通孔2に挿入される状態では、対向する一対の折曲片7を貫通孔2の内面に沿う形状に湾曲変形して、貫通孔2の内部に沿う形状となる。この状態で、折曲片7と隣の折曲片7との間に根5を通過させる通過隙間8ができる。通過隙間8は一対の折曲片7の間に2列に設けられて、折曲ライン6の両端から上方に延長される。この栽培容器3は、プレート1の貫通孔2に挿入される状態で、ふたつの折曲片7が折曲ライン6で折曲される状態となって、底部がV字状となり、V字状に折曲される折曲ライン6の両端部から上方に向かって通過隙間8ができるので、栽培容器3の内部で生育する植物の根5が速やかに通過隙間8に案内されて、養液4に向かって成長する特徴がある。すなわち、根5をスムーズに通過隙間8に案内して養液4に成長できる。とくに、図3に示すように、折曲ライン6に切欠部15を設けて、通過隙間8の開口部とする構造は、根をよりスムーズに通過隙間である切欠部15に案内して養液4に成長できる特徴がある。とくに、図3に示すように、折曲ライン6の両端に切欠部15を設ける構造は、貫通孔に挿入される状態で、V溝状の底縁に沿って延びる根をスムーズに通過隙間の切欠部に案内できる特徴がある。さらに、折曲ラインの途中に切欠部を設けて、この切欠部に生育する根を案内することもできる。
【0044】
図5の栽培容器3の本体部3Aは、4つの折曲片7を、四角形の底部12の各辺に折曲ライン6を介して連結する形状であるから、貫通孔2に挿入される状態では、図示しないが、底部12を水平姿勢として、4つの折曲片7を貫通孔2の内面に沿う形状に湾曲変形して、貫通孔2の内部に沿う形状となる。この状態で、折曲片7と隣の折曲片7との間に根5を通過させる通過隙間ができる。通過隙間は、四角形の底部12の隅部から上方に延長されて4列が設けられる。
【0045】
本体部3Aは、複数の折曲片7を貫通孔2に挿入して、貫通孔2の内面に沿う形状に成形される。プレート1の貫通孔2は、内径と高さとを、例えば2cm〜3cmとする円柱状で、上方に向かって直径を大きくするテーパー状としている。本体部3Aは、複数の折曲片7が貫通孔2に挿入されて、貫通孔2の内面に沿う形状に湾曲される。この状態で、複数の折曲片7が貫通孔2の内面のほぼ全面を被覆するように、折曲片7の横幅は特定される。すなわち、複数の折曲片7の横幅を加算したトータル横幅は、好ましくは、貫通孔2の内周の長さにほぼ等しくする。
【0046】
図4の展開図に示す折曲片7は、テーパー状の貫通孔2に挿入されるので、折曲ライン6から係止部3Bに向かって次第に横幅を広くしている。本体部3Aは、折曲片7の横幅を狭くして、隣の折曲片7との間にできる通過隙間8を広くできる。反対に、本体部3Aは折曲片7の横幅を広くすると、隣の折曲片7との境界で互いに重なり合うラップ部ができる。ラップ部は互いに接着する等の方法では連結されず、単に積層される状態となるので、ラップ部の間には、根5を通過できる通過隙間8ができる。この栽培容器3は、ラップ部の間にできる通過隙間8に通過して根5を成長させる。したがって、本体部3Aは、折曲片7のトータル横幅を貫通孔2の内周長さよりも小さくして、隣の折曲片7との間に、互いに離れた通過隙間8を設ける必要はない。ラップ部を押しのけて、通過隙間8から植物の根5が成長できるからである。
【0047】
本体部3Aは、折曲片7の長さを、好ましくは、貫通孔2の高さよりもわずかに小さくする。この栽培容器3は、養液4の液面に密着するプレート1の貫通孔2に挿入され、係止部3Bをプレート1の上面に係止する状態で、図1に示すように、本体部3Aの底部と液面との間に空気層13を設けることができる。空気層13は、好ましくは1mm〜5mmとする。この栽培容器3は、貫通孔2の栽培容器3に入れられる種の過湿状態を防止して、種をより好ましい栽培環境で生育できる。
【0048】
図4の展開図に示す栽培容器3は、図6に示す挿入具10でスムーズにプレート1の貫通孔2に挿入できる。この図の挿入具10は、栽培容器3を貫通孔2に挿入する挿入プレート部10Aと、この挿入プレート部10Aの後端に設けているグリップ部10Bとからなる。挿入プレート部10Aは、貫通孔2の内径よりもわずかに小さい横幅としている。グリップ部10Bはユーザーが手で握り安く、挿入プレート部10Aの両側に突出する形状としている。
【0049】
この挿入具10は、図7に示すように、挿入プレート部10Aの先端縁10aを折曲ライン6に沿わせる状態で、挿入プレート部10Aを貫通孔2に挿入して、栽培容器3の本体部3Aを貫通孔2に挿入する。挿入プレート部10Aは、本体部3Aの折曲ライン6を先端縁10aで押して本体部3Aを貫通孔2に挿入する。挿入プレート部10Aの先端縁10aで押されて、本体部3Aは折曲ライン6で折曲されながら、貫通孔2に挿入される。貫通孔2に挿入される本体部3Aは、図7の実線で示す平面状から、鎖線位置で示すように、折曲ライン6で折曲されて貫通孔2に挿入される。挿入プレート部10Aはグリップ部10Bをプレート1の上面に接する位置まで、貫通孔2に挿入されて、本体部3Aを貫通孔2に挿入する。挿入プレート部10Aは、本体部3Aを貫通孔2に完全に挿入する長さとしている。すなわち、挿入プレート部10Aがグリップ部10Bをプレート1の上面に接する位置まで挿入されて、栽培容器3の係止部3Bをプレート1の上面に接触させる。このように本体部3Aを貫通孔2に挿入するために、挿入具10は、本体部3Aの係止部3Bをプレート1の上面に接する位置まで、本体部3Aを挿入できる高さとしている。この挿入具10は、図4の展開図に示す栽培容器3を、折曲ライン6で折曲しながら、貫通孔2に挿入できる。
【0050】
さらに、図6の挿入具10は、一枚のシート材や板材を、挿入プレート部10Aの先端縁10aで折り返して、2層構造としている。この挿入具10は、紙などの安価な材料で製作して、平面状の栽培容器3をスムーズに貫通孔2に挿入できる。
【0051】
平面状の栽培容器は、必ずしも専用の挿入具を使用することなく、たとえば、指で貫通孔に挿入でき、また、貫通孔に挿入できるロッドで貫通孔に挿入することもできる。
【0052】
栽培容器3は、耐水シートを裁断して製作されるが、必ずしも完全に切り離すことなく、外形のほぼ全体を裁断しているが、一部を耐水シートに連結する状態として、貫通孔2に挿入することもできる。図8は一枚の耐水シート11に複数の栽培容器3を設けるように裁断して、各々の栽培容器3の一部を複数カ所で連結している。栽培容器3の外周の一部を耐水シート11に連結する連結部14は、栽培容器3が貫通孔2に挿入される状態で切り離される狭い幅としている。耐水シート11は、複数の栽培容器3を一枚に連結して、各々の栽培容器3の位置を、プレート1の貫通孔2と同じ位置に配置している。この構造は、図9に示すように、複数の栽培容器3を一緒に貫通孔2に挿入できる。それは、複数の栽培容器3が裁断された耐水シート11をプレート1の上に配置し、各々の栽培容器3を貫通孔2に押し込みできる複数の挿入プレート部10Aを備える挿入具10で挿入できるからである。図9の挿入具10は、貫通孔2の真上に、複数の挿入プレート部10Aを設けている。この挿入具10は、各々の挿入プレート部10Aで各々の栽培容器3を貫通孔2に挿入する。貫通孔2に挿入されるときに、栽培容器3は連結部14が切り離される。
【0053】
以上の栽培装置は、プレート1の貫通孔2に栽培容器3を挿入し、プレート1を養液4の上に配置して、栽培容器3に植物の種や苗を入れて生育させる。栽培容器3内の種や苗は生育して根5を切欠部15等の通過隙間から養液4に伸長して生育する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の栽培容器と栽培装置は、養液の上に配置するプレートの貫通孔に栽培容器を挿入して、この栽培容器に種を入れて養液で生育することで、野菜、イチゴ、草花、植林用の苗等の植物を好ましい生育環境で養液栽培する。
【符号の説明】
【0055】
1…プレート
2…貫通孔
3…栽培容器
3A…本体部
3B…係止部
4…養液
5…根
6…折曲ライン
7…折曲片
7A…突出部分
8…通過隙間
9…栽培ベッド
10…挿入具
10A…挿入プレート部
10a…先端縁
10B…グリップ部
11…耐水シート
12…底部
13…空気層
14…連結部
15…切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9