(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
格子状の第1遮光部、および前記第1遮光部により二次元マトリクス状に区画されたセル内にそれぞれ充填され、入射したX線のうち低エネルギーのX線を光に変換する第1のシンチレータ素子からなる第1のシンチレータパネルと、
格子状の第2遮光部、および前記第2遮光部により二次元マトリクス状に区画されたセル内にそれぞれ充填され、入射したX線のうち前記低エネルギーのX線よりエネルギーの高い高エネルギーのX線を光に変換する第2のシンチレータ素子からなる第2のシンチレータパネルと、
前記第1のシンチレータ素子が変換した光を電荷に変換する光電変換素子が二次元マトリクス状に配列された第1の光検出パネルと、
前記第2のシンチレータ素子が変換した光を電荷に変換する光電変換素子が二次元マトリクス状に配列された第2の光検出パネルとを備え、
前記第1のシンチレータパネル、前記第2のシンチレータパネル、前記第1の光検出パネル、および前記第2の光検出パネルはそれぞれ前記X線の入射方向に積層されており、
前記第1遮光部の格子パターンと前記第2遮光部の格子パターンとは、前記X線の入射面に沿ってずれており、前記第2のシンチレータパネルを構成するシンチレータ素子が前記第1のシンチレータパネルを構成するシンチレータ素子に連接する位置からずらされて配置されていることを特徴とするX線検出器。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用X線画像の撮影装置として、X線撮影装置が用いられる。そして、X線撮影装置に使用されるX線検出器として、例えばフラットパネル型のX線検出器(以下、FPDと略記する)が知られている。
【0003】
従来のFPD101は
図24(a)に示すように、板状の基材103と、シンチレータパネル105と、光検出パネル107とが上述の順番に積層された構造を有している。シンチレータパネル105はX線を吸収して光に変換するシンチレータ素子によって構成される。光検出パネル107は基板109と、二次元マトリクス状に配列された画素111とを備えている。画素111の各々は、図示しない光電変換素子と出力素子とを備えている。
【0004】
図24(a)において符号Rで示す方向からFPD101へ入射するX線は、シンチレータパネル105に設けられているシンチレータ素子において光に変換され、シンチレータ光として発光する。シンチレータパネル105において発光したシンチレータ光は画素111に伝送される。そして画素111に設けられる光電変換素子においてシンチレータ光の光電変換が行われ、電気信号であるX線検出信号が出力素子から出力される。そして出力されたX線検出信号に基づいてX線画像が生成される。
【0005】
近年の医療現場では、被検体の同一部位を異なる管電圧で撮影する、いわゆるデュアルエナジー撮影が行われる。デュアルエナジー撮影では異なるエネルギー分布を持つX線に基づくX線画像をそれぞれ生成することにより、被検体の構成元素の違いを映像化できる。一例として、低エネルギーX線に基づくX線画像と高エネルギーX線に基づくX線画像との差分をとることにより、骨を例とする硬部組織のX線像と、筋肉を例とする軟部組織のX線像とを分離できる。
【0006】
デュアルエナジー撮影において管電圧を変えて撮影する場合、X線照射回数が2回になる。そのため被検体の体動などによってX線画像の診断能が低下する。そこで被検体に対してX線を1回照射し、照射されたX線のうち低エネルギーのX線に基づくX線画像と、高エネルギーのX線に基づくX線画像との2つのX線画像を取得できるX線検出器について提案されている(例えば、特許文献1)。このような、1回のX線照射によって低エネルギーのX線に基づくX線画像と、高エネルギーのX線に基づくX線画像とを取得できるX線検出器を以下、「デュアルエナジー型」のX線検出器とする。そしてデュアルエナジー型のX線検出器以外のX線検出器については、「通常型」のX線検出器として区別する。
【0007】
このようなデュアルエナジー型のX線検出器201は、
図24(a)に示すようなFPD101を2つ重ねる構成を有している。すなわち
図24(b)に示すように、比較的低エネルギーのX線を検出する第1のFPD203と、比較的高エネルギーのX線を検出する第2のFPD205とが符号Rで示すX線の照射方向に積層する構成となっている。低エネルギーのX線P1は、FPD203に設けられるシンチレータ素子207によってシンチレータ光Q1に変換され、さらに画素209において電気信号に変換される。
【0008】
一方、高エネルギーのX線P2はシンチレータ素子207を通過し、FPD205に設けられるシンチレータ素子211においてシンチレータ光Q2に変換される。シンチレータ光Q2は画素213において電気信号に変換される。FPD203とFPD205とは、それぞれに設けられている基材A同士を対向させた状態で積層されている。なお、高エネルギーのX線を吸収して検出するためにはシンチレータ素子の厚さを比較的厚くする必要がある。すなわちシンチレータ素子207と比べて、シンチレータ素子211は厚くすることが一般的である。
【0009】
ここでデュアルエナジー型のX線検出器と別に、通常型のFPDにおいてシンチレータ素子を隔壁で区画する構成について提案されている(例えば、特許文献2参照)。以下、隔壁で区画する構成を有する通常型のFPD301について、
図25の各々を用いて説明する。FPD301は
図24(a)に示すFPD101と同様に、基材303と、シンチレータパネル305と、光検出パネル307とが積層され、光検出パネルは基板309および画素311を備えている(
図25(a))。
【0010】
シンチレータパネル305は
図25(b)に示すように、格子状の遮光壁313とシンチレータ素子315とを備えている。シンチレータ素子315は、遮光壁313によって仕切られたセル空間の内部にそれぞれ充填されている。一般的に、遮光壁313のピッチは、画素311のピッチと略同じ(または整数倍)となるように構成される。
【0011】
このように、シンチレータパネル305は二次元マトリクス状に配列されたシンチレータ素子315が遮光壁313によって仕切られた形状を有している。散乱したシンチレータ光は遮光壁313によって遮断されるので、シンチレータ素子315において発生する散乱光が、隣接するシンチレータ素子315へ到達することを防止できる。従って、シンチレータ素子315を遮光壁313で仕切ることによって、シンチレータ素子315を厚くした場合であっても、X線画像の解像度の低下を回避できる。このような構成は特に高エネルギーのX線を検出するX線検出器において有用である。
【0012】
なお特許文献2に係る構成では、隔壁のピッチを60〜150μm程度の短い距離にすることができる。そのため特許文献2に係るX線検出器を用いることにより、X線CT撮影など、画素のピッチがより細かいX線画像が要求される場合であっても、X線画像の解像度の低下を回避できる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0044】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るX線検出器の全体構成を説明する断面図である。なお実施例1に係るX線検出器として、フラットパネル型検出器(FPD)を例にとって説明する。
【0045】
<全体構成の説明>
実施例1に係るX線検出器1は
図1に示すように、シンチレータブロック3と、光検出パネル5と、光検出パネル7とを備えている。シンチレータブロック3は二次元方向に広い板状の構造を有している。光検出パネル5はシンチレータブロック3の一方の面に設けられており、光検出パネル7はシンチレータブロック3の他方の面に設けられている。すなわちX線検出器1は、光検出パネル5、シンチレータブロック3、および光検出パネル7が上述の順に積層された構造を備えている。
【0046】
シンチレータブロック3は
図1(b)に示すように、シンチレータパネル9と、基板11と、シンチレータパネル13とが上述の順に積層された構造を備えている。シンチレータパネル9は基板11の一方の面に設けられており、二次元マトリクス状に配列されたシンチレータ素子15が、格子状の遮光壁17によって仕切られた形状を有している。シンチレータパネル13は基板11の他方の面に設けられており、二次元マトリクス状に配列されたシンチレータ素子19が、格子状の遮光壁21によって仕切られた形状を有している。遮光壁17は本発明における第1遮光部に相当し、遮光壁21は本発明における第2遮光部に相当する。
【0047】
すなわちX線検出器1において、シンチレータブロック3は基板11、シンチレータパネル9、およびシンチレータパネル13が一体となった構造を有している。なおシンチレータ素子19は、シンチレータ素子15よりz方向に厚いことが好ましい。遮光壁17および遮光壁21の材料としては、一例としてアルカリ金属酸化物を含有するガラス粉末などが用いられる。シンチレータ素子15およびシンチレータ素子19は照射されたX線を吸収し、照射されたX線に応じて蛍光などの光をシンチレータ光として発光する。シンチレータ素子15およびシンチレータ素子19を構成する材料としては、ヨウ化セシウムなどのX線蛍光体が挙げられる。また、その他の公知の材料を適宜用いてもよい。
【0048】
また、基板11とシンチレータパネル9の間、および基板11とシンチレータパネル13の間にはそれぞれシンチレータ光を反射する光反射膜が設けられていることが好ましい。光反射膜の材料としては薄膜状のアルミニウムなど、公知の光反射材を適宜用いることができる。さらにシンチレータパネル9およびシンチレータパネル13の外周全体は、それぞれシンチレータ光を反射する光反射膜に覆われていることがより好ましい。
【0049】
光検出パネル5は基板23と、二次元マトリクス状に配列された画素25とを備えている。画素25の各々は光を電荷に変換する光電変換素子と、変換された電荷に基づいてX線検出信号を出力する出力素子とを備えており、シンチレータ素子15において発光するシンチレータ光をX線検出信号に変換して出力する。
図1(a)に示すように、画素25のピッチは、遮光壁17のピッチと略同じとなるように構成されることが好ましい。
【0050】
シンチレータ素子15は比較的低エネルギーのX線を吸収してシンチレータ光に変換する。そのため光検出パネル5が出力するX線検出信号に対して各種画像処理を施すことにより、低エネルギーのX線に基づくX線画像が生成される。光検出パネル5は本発明における第1の光検出パネルに相当する。シンチレータ素子15は本発明における第1のシンチレータ素子に相当する。シンチレータパネル9は本発明における第1のシンチレータパネルに相当する。
【0051】
光検出パネル7は基板27と、二次元マトリクス状に配列された画素29とを備えている。画素29の各々は光電変換素子と出力素子とを備えており、シンチレータ素子19において発光するシンチレータ光をX線検出信号に変換して出力する。画素29のピッチは、遮光壁21のピッチと略同じとなるように構成されることが好ましい。光検出パネル7は本発明における第2の光検出パネルに相当する。シンチレータパネル13は本発明における第2のシンチレータパネルに相当する。
【0052】
シンチレータ素子19は比較的高エネルギーのX線を吸収してシンチレータ光に変換する。そのため光検出パネル7が出力するX線検出信号に対して各種画像処理を施すことにより、高エネルギーのX線に基づくX線画像が生成される。すなわちX線検出器1はデュアルエナジー型のX線検出器であり、X線検出器1を用いることにより、1回のX線照射によって、低エネルギーのX線に基づくX線画像と、高エネルギーのX線に基づくX線画像とを取得できる。シンチレータ素子19は本発明における第2のシンチレータ素子に相当する。
【0053】
本発明の特徴として、シンチレータパネル9に設けられる遮光壁17と、シンチレータパネル13に設けられる遮光壁21とは、符号Rで示すX線の入射方向に一致しないように構成されている。すなわち実施例1において、
図2の平面図で示すように、実線で示す遮光壁17の格子パターンと点線で示す遮光壁21の格子パターンとは、X線の入射面(xy平面)に沿ってずれるように構成される。これにより、シンチレータ素子19は、シンチレータ素子15に連接する位置からずらされて配置されることになる。実施例1に係る構成では各格子パターンはxy平面に沿ってずれるように構成されるので、
図3で示すように、遮光壁17および遮光壁21は互い違いに並ぶように形成される。すなわち実施例1に係る構成において、符号Rで示す方向からX線検出器1に入射されるX線Pは、シンチレータ素子15およびシンチレータ素子19のうち、少なくとも一方には必ず入射することとなる。そのためX線Pはより確実にシンチレータ光に変換され、画素25または画素29において検出される。従って、X線Pが検出されることなくX線検出器1を透過することをより確実に回避できるので、X線検出器のX線感度を向上できる。
【0054】
実施例1に係るX線検出器1は、光検出パネル5、シンチレータパネル9、基板11、シンチレータパネル13、および光検出パネル7がX線の照射方向において上述の順に積層される構造を有している。なお実施例1において、上述の積層構造、および遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとがX線の入射面に沿ってずれている構造を有していれば、各構成を組み合わせてX線検出器1を製造する工程については特に限定されない。但し、X線検出器1は以下に説明する工程で製造されることが好ましい。
【0055】
まず平面状の基板11を用意する(
図4(a))。そして基板11の一方の面に遮光壁17を格子状に形成させ(ステップS1)、基板11の他方の面に遮光壁21を格子状に形成させる(ステップ2、
図4(b))。なお、基板11に遮光壁17および遮光壁21を形成する工程の詳細については前記特許文献2などに詳述されているので、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0056】
ステップS1およびS2の工程により、遮光壁17および遮光壁21はそれぞれ基板11を介して一体として形成される。そのため、基板11上における想定通りの位置に、遮光壁17および遮光壁21の各々を正確に形成できる。従って、想定される位置へ正確に、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとをxy平面に沿ってずらして形成できる。
【0057】
格子状の遮光壁17および遮光壁21の各々によって、二次元マトリクス状に区画されたセルが基板11の両面に形成される。その後、遮光壁17によって区画されたセル内にシンチレータ素子15を充填する(ステップS3)。シンチレータ素子15の充填により、シンチレータパネル9が形成される。そして遮光壁21によって区画されたセル内にシンチレータ素子19を充填し、シンチレータパネル13を形成させる(ステップS4)。基板11の両面にシンチレータパネル9およびシンチレータパネル13がそれぞれ形成されることにより、シンチレータブロック3が形成される(
図4(c))。
【0058】
シンチレータブロック3が形成された後、シンチレータパネル9に光検出パネル5を貼り合わせる(ステップS5)。そしてシンチレータパネル13に光検出パネル7を貼り合わせる(ステップS6)。シンチレータブロック3に対して光検出パネル5および光検出パネル7をそれぞれ組み合わせることにより、デュアルエナジー型のX線検出器である、X線検出器1が製造される(
図4(d))。
【0059】
なお、シンチレータパネルの各々に遮光壁を設けることにより、シンチレータパネルの各々に光検出パネルの各々を組み合わせる際に、遮光壁の厚さに応じた所定の範囲について、光検出パネルの位置ずれが許容される。そのため光検出パネルを組み合わせる際に、光検出パネルのポジショニングミスに起因するX線検出器1の不具合の発生をより好適に回避できる。光検出パネルの位置合わせにおける位置ずれの許容範囲の詳細については後述する。
【0060】
ここで実施例1に係るX線検出器1を用いてデュアルエナジー撮影を行う場合の動作について、
図5を用いて説明する。X線撮影において、符号Rで示す方向からX線が照射される。X線はまず光検出パネル5を透過し、シンチレータパネル9に入射される。シンチレータパネル9に入射されるX線のうち、高エネルギーのX線P2はシンチレータ素子15に吸収されることなくシンチレータパネル9を通過する。そして高エネルギーのX線P2はシンチレータパネル13に入射した後、シンチレータ素子19によって吸収されてシンチレータ光Q2に変換される。シンチレータ光Q2は画素29によって電気信号である電荷に変換され、X線検出信号として出力される。
【0061】
X線P2よりエネルギーの低いX線である、低エネルギーのX線P1のうち、シンチレータパネル9においてシンチレータ素子15に入射するX線P1aは、シンチレータ素子15によってシンチレータ光Q1aに変換される。シンチレータ光Q1aは画素25によって電気信号に変換され、X線検出信号として出力される。
【0062】
一方、低エネルギーのX線P1のうち、シンチレータパネル9において遮光壁17に入射するX線P1bは、シンチレータ素子15に吸収されることなくシンチレータパネル9を通過する。しかし、格子パターンがxy平面に沿ってずれているので、遮光壁17と遮光壁21とは、X線照射方向であるz方向において一直線上に並ばないように構成されている。そのため低エネルギーのX線P1bはシンチレータパネル13において遮光壁21に入射することはなく、シンチレータ素子19に入射する。そしてX線P1bはシンチレータ素子19においてシンチレータ光Q1bに変換され、画素においてX線検出信号として出力されることとなる。
【0063】
このようにxy平面において、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとをずらすことにより、X線検出器1に入射されるX線は少なくともいずれか一方のシンチレータパネルにおいてシンチレータ光に変換される。従って、X線検出器においてX線を検出できない領域を大幅に低減できるので、デュアルエナジー型X線検出器のX線感度を大きく向上させることができる。
【0064】
<実施例1の構成による効果>
このように実施例1に係るデュアルエナジー型のX線検出器1は、遮光壁17によって区画され、低エネルギーのX線を光に変換するシンチレータ素子15と、遮光壁21によって区画され、高エネルギーのX線を光に変換するシンチレータ素子19とを備えている。そして遮光壁17と遮光壁21とは、それぞれxy平面における格子状のパターンの位置がずれるように形成される。この場合、X線の入射する方向から見て、遮光壁17と遮光壁21とが重複する領域が大幅に低減される。すなわちX線の入射する方向において、遮光壁17と遮光壁21とは一直線上に並ばないように構成される。
【0065】
実施例1に係る構成では
図3に示すように、遮光壁17と遮光壁21とは互い違いに並ぶので、X線Pは少なくともいずれか一方のシンチレータ素子によって光に変換され、最終的にX線検出信号として出力される。すなわちX線検出器1に遮光壁を形成した場合であっても、X線を検出できない領域を大幅に低減できる。従って、遮光壁によってX線画像の解像度を上げつつ、X線検出器のX線感度を向上させることが可能となる。
【0066】
また、従来例に係るデュアルエナジー型のX線検出器では、低エネルギー検出用のシンチレータパネルが形成された第1の基板と、高エネルギー検出用のシンチレータパネルが形成された第2の基板とを貼り合わせた構成を有する。この場合、貼り合わせる際に位置がずれるので、シンチレータパネルの各々を正確に位置合わせすることは困難である。従ってシンチレータ素子を遮光壁で区画する構成を、従来におけるデュアルエナジー型のX線検出器に採用した場合、各シンチレータパネルに設けられる遮光壁の位置は想定される位置から容易にずれる。その結果、デュアルエナジー撮影によって得られる各X線画像に映る像の位置が一致しないので、X線画像の診断能が大きく低下する。また想定上では遮光壁同士の格子パターンをずらすように構成するにも関わらず、遮光壁の位置ズレに起因して、遮光壁同士の格子パターンがxy平面に沿って一致する事態の発生も懸念される。
【0067】
一方、実施例1に係るX線検出器1は基板11の一方の面にシンチレータパネル9が形成され、基板11の他方の面にシンチレータパネル13が形成された構成を有する。すなわち遮光壁17および遮光壁21は単一の基板上に格子パターンが形成される。従って、遮光壁17および遮光壁21の各々を想定される位置通りに、より精度良く形成できる。その結果、X線検出器1のX線感度を想定通りに向上できるので、X線検出器1を用いることによって、より診断能の高いデュアルエナジー撮影を行うことができる。
【0068】
実施例1に係るデュアルエナジー用X線検出器において、遮光壁17および遮光壁21のピッチは、60〜150μm程度の短い距離に設定することができる。そのためX線CT撮影など、画素のピッチを短くすることが要求されるX線撮影方法について、デュアルエナジー撮影を適用できる。そしてデュアルエナジー撮影において、より解像度の高いX線画像を取得することが可能となる。
【0069】
また実施例1に係るX線検出器1では単一の基板11が用いられる。すなわち2枚の基板を貼り合わせる従来の構成と比べて、実施例1に係る構成ではX線検出器の厚さを低減できる。従って、実施例1に係るデュアルエナジー型X線検出器の互換性および汎用性が低下することを、より好適に回避できる。
【0070】
さらに実施例1に係るX線検出器1において、シンチレータパネルの各々はシンチレータ素子が遮光壁によって区画された構成を有している。そのため、X線検出器1の製造工程において、シンチレータブロック3に光検出パネル5および光検出パネル7を組み合わせる際に、光検出パネルの位置ずれに起因する不具合の発生をより好適に回避できる。以下、
図6の各々を用いて光検出パネルの位置ずれを許容する範囲について説明する。
【0071】
X線画像の診断能を向上するには、単一のシンチレータ素子から発光されるシンチレータ光は全て同じ画素に入射されることが理想的である。すなわちシンチレータブロック3に光検出パネル5を組み合わせる際に、画素25の各々の位置がシンチレータ素子15の位置と正確に一致するように、正確な位置合わせが行われることが理想的である。
【0072】
シンチレータパネルに遮光壁が設けられない構成において、正確な位置合わせによって製造されるX線検出器1の構造を
図6(a)に例として示す。この場合、画素25のx方向の長さは、シンチレータ素子15のx方向の長さに略等しい。そのため、シンチレータ素子15aから発光されるシンチレータ光は全て画素25aに入射される。なお、画素25aの右端の位置についてアスタリスクを付して示す。
【0073】
ここでシンチレータブロック3に光検出パネル5を組み合わせる際に、光検出パネル5の位置がずれる場合がある。従来のデュアルエナジー型X線検出器に係る、遮光壁17が存在しない構成では、矢印で示すように光検出パネル5がx方向へずれることにより、シンチレータ素子15aから発光されるシンチレータ光Q1は画素25aおよび画素25bによって検出される(
図6(b))。
【0074】
すなわちシンチレータパネルに遮光壁が設けられない構成では、光検出パネル5がx方向にわずかにずれただけでも、単一のシンチレータ素子から発光されるシンチレータ光Q1が、複数の画素によって検出される事態が容易に発生する。すなわちがシンチレータパネルに遮光壁が設けられない従来の構成では、光検出パネル5の位置合わせを行う際における位置ズレの許容範囲が非常に狭い。
【0075】
一方、実施例1において、正確な位置合わせによって製造されるX線検出器1の構造を
図6(c)に例として示す。この場合、画素25のx方向の長さは、遮光壁17の厚さNとシンチレータ素子15のx方向の長さとを合わせた長さに略等しい。そのため、シンチレータ素子15aから発光されるシンチレータ光は全て画素25aに入射される。
【0076】
遮光壁17を備える実施例1の構成では、光検出パネル5の位置がx方向に遮光壁17の厚さNの距離の分ずれた場合であっても、シンチレータ素子15aから発光されるシンチレータ光Q1は全て画素25aに入射される(
図6(d))。すなわち実施例1に係るX線検出器1では、光検出パネル5の位置合わせを行う際に、遮光壁17の厚さNの値に応じて、光検出パネル5の位置ズレに対する許容範囲が存在する。
【0077】
このような位置ズレに対する許容範囲は、y方向について光検出パネル5の位置合わせを行う場合、および光検出パネル7とシンチレータブロック3との位置合わせを行う場合においても存在する。従って、実施例1ではシンチレータ素子を遮光壁で区画する構成を有することにより、光検出パネルの位置ズレに起因するX線検出器1の不具合が発生することをより好適に回避できる。
【実施例2】
【0078】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図7(a)は、実施例2に係るデュアルエナジー型のX線検出器1Aの構成を説明する断面図である。なお、実施例1と共通する構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
実施例2に係るX線検出器1Aは、実施例1と同様に光検出パネル5と、シンチレータブロック3と、光検出パネル7とがz方向について上述の順に積層された構造を有している。但し実施例2に係るシンチレータブロック3は、基板11を有しない点で実施例1と相違する。すなわち実施例2では、シンチレータパネル9とシンチレータパネル13とが直に接するように積層された構造となっている。なお実施例1と同様、シンチレータパネル9とシンチレータパネル13とは、それぞれアルミなどを材料とする光反射膜で被覆されていることが好ましい。この場合X線検出器1Aにおいて、光反射膜で被覆されたシンチレータパネル9とシンチレータパネル13とが直接積層された構成となる。
【0080】
そして実施例1と同様に、シンチレータパネル9に設けられる遮光壁17と、シンチレータパネル13に設けられる遮光壁21とは、符号Rで示すX線の入射方向に一致しないように構成されている。すなわちX線の入射面(xy平面)における遮光壁17の格子パターンは、xy平面における遮光壁21の格子パターンとずれている(
図2参照)。従って、遮光壁17と遮光壁21とはz方向について一直線上に並ばず、互い違いに並ぶように構成されている。
【0081】
実施例2に係るX線検出器1Aは、光検出パネル5、シンチレータパネル9、シンチレータパネル13、および光検出パネル7がX線の照射方向において上述の順に積層される構造を有している。なお実施例2において、上述の積層構造、および遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとがX線の入射面に沿ってずれている構造を有していれば、各構成を組み合わせてX線検出器1Aを製造する工程については特に限定されない。但し、X線検出器1Aは以下に説明する工程で製造されることが好ましい。
【0082】
まず、画素25が配列された平面状の基板23からなる光検出パネル5を用意する(
図8(a))。そして基板11の一方の面に遮光壁17を格子状に形成させる(ステップS1、
図8(b))。その後、遮光壁17によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子15を充填する(ステップS2)。シンチレータ素子15の充填により、シンチレータパネル9が形成される。シンチレータパネル9と光検出パネル5とが積層された複合体を、パネル複合体31とする(
図7(b)、
図8(c))。
【0083】
そしてパネル複合体31と同様の工程で、光検出パネル7の一方の面にシンチレータパネル13が形成された、パネル複合体33を作成する。すなわち画素29が配列された平面状の基板27からなる光検出パネル7の一方の面に遮光壁21を格子状に形成させる(ステップ3)。その後、遮光壁21によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子19を充填する(ステップS4)。シンチレータ素子19の充填により、シンチレータパネル13が形成される。ステップS3およびステップS4の工程により、シンチレータパネル13と光検出パネル7とが積層された複合体である、パネル複合体33が作成される。なおステップS1〜S4の順番は必要に応じて適宜変更してよい。
【0084】
パネル複合体31およびパネル複合体33が形成された後、シンチレータパネル9とシンチレータパネル13とを対面させた状態で、パネル複合体31とパネル複合体33とを組み合わせる(ステップS5、
図8(d))。ステップS5において、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとが、xy平面に沿ってずれるようにシンチレータパネル9とシンチレータパネル13とを組み合わせる。
【0085】
パネル複合体31およびパネル複合体33を組み合わせることにより、シンチレータパネル9とシンチレータパネル13とが直接積層されたX線検出器1Aが製造される。X線検出器1Aでは実施例1と異なり、基板11を省略する構造を有する。そのため実施例2ではX線検出器1Aの厚さをより低減できるので、X線検出器1Aの互換性および汎用性を向上できる。
【0086】
またこのような製造方法では、光検出パネルとシンチレータパネルとを貼り合わせるのではなく、光検出パネルの上に直接シンチレータパネルを形成させる。従って、貼り合わせの際に発生するポジショニングミスを回避できるので、画素と遮光壁との位置が想定された位置からずれることをより好適に回避できる。
【0087】
X線検出器1Aを用いてデュアルエナジー撮影を行う工程は実施例1と同様である。すなわち
図7(a)で示すように、符号Rで示す方向から照射されるX線は、まず光検出パネル5を通過してシンチレータパネル9に入射する。そしてシンチレータパネル9に入射するX線のうち、高エネルギーのX線P2はシンチレータ素子15を通過し、シンチレータ素子19において吸収される。低エネルギーのX線P1のうち、シンチレータ素子15に入射されるX線P1aはシンチレータ素子15において吸収される。
【0088】
一方、遮光壁17に入射されるX線P1bはシンチレータパネル9を通過する。しかし遮光壁17と遮光壁21とはz方向について一直線上に並ばないので、シンチレータパネル13に入射するX線P1bは、シンチレータ素子19によって好適に吸収される。従って実施例1と同様に、X線検出器1AにおいてX線を検出されない領域を大幅に低減できる。
【0089】
このように実施例2におけるX線検出器1Aは、実施例1と同様に、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとをX線の入射面に沿ってずらすように構成される。そのためX線を検出できない領域を大きく低減できるので、X線検出器1AのX線感度を大きく向上できる。さらにX線検出器1Aは、シンチレータパネル9とシンチレータパネル13とが直接接合される構成となっている。すなわち実施例1に係るX線検出器1と比べて、基板11を省略している分だけX線検出器1Aの厚さを低減できる。そのため、X線検出器1Aの互換性・汎用性をより高めることができる。さらにX線検出器の厚さが低減されるので、シンチレータ光の拡散はより好適に回避される。従って、X線検出器1Aによって取得されるX線画像の解像度を向上できる。
【実施例3】
【0090】
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
図9(a)は、実施例3に係るX線検出器1Bの構成を説明する断面図である。
【0091】
実施例3では実施例2と同様に、基板11を有しない構成となっている。但し光検出パネル5およびシンチレータパネル9が積層される順が逆であるという点で実施例3は実施例2と相違する。すなわち、実施例3に係るX線検出器1Bでは、シンチレータパネル9、光検出パネル5、シンチレータパネル13、および光検出パネル7が上述の順で積層されている。
【0092】
X線検出器1Bは他の実施例と同様に、シンチレータパネル9に設けられる遮光壁17と、シンチレータパネル13に設けられる遮光壁21とは、格子パターンがxy平面に沿ってずれるように構成されている(
図2参照)。従って、遮光壁17と遮光壁21とはz方向について一直線上に並ばず、互い違いに並ぶように構成されている。そのため、X線検出器1Bに入射されるX線はエネルギーの高低に関わらず、確実にシンチレータ素子15またはシンチレータ素子19に入射される。その結果、X線検出器1BにおいてX線を検出されない領域が大幅に低減されるので、X線検出器1BのX線感度を向上できる。
【0093】
各構成を組み合わせてX線検出器1Bを製造する工程については特に限定されない。但し、X線検出器1Bは以下に説明する工程で製造されることが好ましい。
【0094】
まず、画素25が一方の面に配列された、平面状の基板23からなる光検出パネル5を用意する(
図10(a))。そして光検出パネル5のうち一方の面、すなわち画素25が配列された面に遮光壁17を格子状に形成させ(ステップS1)、光検出パネル5の他方の面に遮光壁21を格子状に形成させる(ステップ2、
図10(b))。
【0095】
ステップS1およびS2の工程により、遮光壁17および遮光壁21はそれぞれ光検出パネル5を介して一体として形成される。そのため、基板11上における想定通りの位置に、遮光壁17および遮光壁21の各々を正確に形成できる。従って、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとがxy平面に沿ってずれている構成をより確実に形成できる。
【0096】
格子状の遮光壁17および遮光壁21の各々によって、二次元マトリクス状に区画されたセルが光検出パネル5の両面に形成される。その後、遮光壁17によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子15を充填する(ステップS3)。シンチレータ素子15の充填により、シンチレータパネル9が形成される。そして遮光壁21によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子19を充填し、シンチレータパネル13を形成させる(ステップS4)。光検出パネル5の両面にシンチレータパネル9およびシンチレータパネル13がそれぞれ形成されることにより、シンチレータ複合体35が形成される(
図9(b)、
図10(c))。
【0097】
シンチレータ複合体35が形成された後、シンチレータパネル13に光検出パネル7を貼り合わせることにより、シンチレータ複合体35と光検出パネル7とを組み合わせる(ステップS5)。シンチレータ複合体35と光検出パネル7とを組み合わせることにより、デュアルエナジー型のX線検出器1Bが製造される(
図10(d))。X線検出器1Bでは実施例2と同様、基板11を省略する構造を有する。そのため実施例3ではX線検出器1Bの厚さをより低減できるので、X線検出器1Bの互換性および汎用性を向上できる。
【0098】
実施例1および実施例2においてデュアルエナジー撮影を行う場合、X線はまず光検出パネル5に入射される。このような構成では光検出パネル5に直接X線が入射されるので、光検出パネル5が比較的劣化しやすい。一方、X線検出器1Bを用いてデュアルエナジー撮影を行う場合、符号Rで示す方向から照射されるX線は、まずシンチレータパネル9に入射する。このような構成では光検出パネル5に直接X線が入射しないので、実施例1および実施例2と比べて、実施例3では光検出パネル5の劣化速度を低減することが可能となる。
【0099】
また実施例3に係るX線検出器1Bにおいて、シンチレータパネル9、13はシンチレータ複合体35として一体となっている。すなわち、光検出パネル5の一方の面にシンチレータパネル9を形成され、光検出パネル5の他方の面にシンチレータパネル13を形成された構成を有する。この場合、遮光壁17および遮光壁21は単一の光検出パネル5の上にパターン形成される。従って、遮光壁17および遮光壁21の各々を想定される位置通りに、より精度良く形成できる。その結果、X線検出器1Bを用いることによって、より診断能の高いデュアルエナジー撮影を行うことができる。
【実施例4】
【0100】
図11は、実施例4に係るX線検出器について説明している。実施例4に係るX線検出器は、説明の便宜上、
図7で説明した実施例2に係るX線検出器に対応しているが、他の実施例1,3の構成についても適応することができる。
【0101】
実施例4の特徴として、シンチレータパネル9に設けられる遮光壁17と、シンチレータパネル13に設けられる遮光壁21とは、X線の入射方向に一致するように構成されている。すなわち実施例4において、
図11の平面図で示すように、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとは、X線の入射面(xy平面)に沿って一致するように構成される。したがって、シンチレータパネル13の遮光壁21は、シンチレータパネル9の遮光壁17を延伸したようになっている。遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとを一致させることにより、シンチレータ素子19がシンチレータ素子15に連接するように配置されている。実施例4の構成においても実施例1で説明したとおり、シンチレータ素子を遮光壁で区画する構成を有することにより、光検出パネルの位置ズレに起因するX線検出器の不具合が発生することをより好適に回避できる。
【0102】
図12は、実施例4に係る構成の特有の効果を説明している。デュアルエナジー撮影を行う場合、X線源からは高エネルギーのX線P2と低エネルギーのX線P1との両方が放出される。
図12に示すように低エネルギーのX線P1は、X線源にとっての手前側のパネル複合体31を透過できずここで検出される。高エネルギーのX線P2は、パネル複合体31を透過してX線源にとっての奥側のパネル複合体32で検出される。本発明に係るX線検出器では、パネル複合体31で検出されたX線が低エネルギーのX線であるものとして取り扱い、パネル複合体32で検出されたX線が高エネルギーのX線であるものとして取り扱うものとする。したがって、検出したX線のエネルギーを正確に区別するには、低エネルギーのX線の全てがパネル複合体31で検出され、高エネルギーのX線の全てがパネル複合体32で検出されることが理想的である。
【0103】
実施例2に示すように格子パターンが互いに異なる場合、検出されるX線のエネルギーの区別が正確でなくなる。
図13はこの事情について説明している。
図13は、実施例2におけるX線検出器におけるシンチレータパネル9とシンチレータパネル13とのつなぎ目を拡大したときの図である。シンチレータパネル9に備えられた遮光壁17は、薄いとはいえある程度の厚みを持っている。この遮光壁17は、蛍光を反射する反射材で構成されているわけであるから、X線自体を遮蔽する能力はさほど強くはない。したがって、シンチレータパネル9の遮光壁17に入射した低エネルギーのX線は、遮光壁17をすり抜けてシンチレータパネル13に向かうことになる。実施例2の構成によれば、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとが互いにずれているので、遮光壁17は、シンチレータパネル13のシンチレータ素子19に面している。したがって、シンチレータパネル9の遮光壁17をすり抜けた低エネルギーのX線は、シンチレータパネル13のシンチレータ素子19に入射しそこで蛍光に変換される。この蛍光はパネル複合体32により感知されることになる。パネル複合体32は、高エネルギーのX線のみを感知するのが理想であるのに、低エネルギーのX線の一部も感知してしまうのである。
【0104】
図14は、実施例4に係るX線検出器を説明している。実施例4の構成によれば、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとが一致しているので、遮光壁17は、シンチレータパネル13の遮光壁21に面している。したがって、シンチレータパネル9の遮光壁17をすり抜けた低エネルギーのX線は、シンチレータパネル13の遮光壁21に入射しそのままシンチレータパネル13をすり抜ける。このX線はパネル複合体32により感知されることがない。パネル複合体32は、高エネルギーのX線のみを感知する理想通りの動作をすることになる。このように、実施例4の構成によれば、エネルギー分解能が高いX線検出器を提供することができる。
【0105】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0106】
(1)上述した実施例1において、単一の基板11の両面にシンチレータパネル9とシンチレータ13とを一体に形成する製造工程を記載したが、基板11は2枚の基板11aと基板11bとを貼り合わせる構成であってもよい。このような実施例1の変形例に係るX線検出器1Cを製造する工程を、
図15の各図を用いて以下に説明する。
【0107】
まず、平面状の基板11aの一方の面に遮光壁17を格子状に形成させる(ステップS1、
図15(a))。一方で、平面状の基板11bの一方の面に遮光壁21を格子状に形成させる(ステップS2、
図15(a))。その後、遮光壁17によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子15を充填する(ステップS3)。シンチレータ素子15の充填により、シンチレータパネル9が形成される(
図15(b))。そして遮光壁21によって区画されたセルの空間内にシンチレータ素子19を充填する(ステップS4)。シンチレータ素子19の充填により、シンチレータパネル13が形成される(
図15(b))。
【0108】
次に、シンチレータパネル9が形成された基板11aと、シンチレータパネル13が形成された基板11bとを貼り合わせ、シンチレータブロック3を作成する(ステップS5、
図15(c))。ステップS5において、基板11aの他方の面と、基板11bの他方の面とを対面させ、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとがxy平面に沿ってずれるように位置合わせを行い、基板11aおよび基板11bの各々を貼り合わせる。
【0109】
シンチレータブロック3が形成された後、シンチレータパネル9に光検出パネル5を貼り合わせる(ステップS6)。そしてシンチレータパネル13に光検出パネル7を貼り合わせる(ステップS7)。シンチレータブロック3に対して光検出パネル5および光検出パネル7をそれぞれ組み合わせることにより、デュアルエナジー型のX線検出器1Cが製造される(
図4(d))。
【0110】
このような実施例1の変形例である、変形例(1)に係る構成では、基板とシンチレータパネルと光検出パネルが積層された複合体を2組作成し、その後基板同士を貼り合わせることによって2組の複合体を組み合わせる。この場合、2枚の基板の各々について、一方の面に格子状の遮光壁を形成させる。すなわち基板の両面に遮光壁を形成する工程が不要である。従って、実施例1の変形例に係る製造工程を採用する場合、X線検出器の製造工程が複雑になることを回避できる。そのため、遮光壁を備えるデュアルエナジー型のX線検出器である、X線検出器1の製造コストを低減できる。
【0111】
(2)上述した各実施例では、格子状の遮光壁17(または遮光壁21)によってシンチレータ素子が正方形に区画された構成を有するが、区画する形状は正方形に限られない。すなわち遮光壁17によって区画されるセルの形状の他の例として、長方形、平行四辺形。台形、正六角形などの形状を適宜選択してよい。
【0112】
(3)上述した各実施例において、低エネルギーのX線に基づくシンチレータ光を検知する画素25のピッチと、高エネルギーのX線に基づくシンチレータ光を検知する画素29のピッチとが略同じとなるように記載しているが、これに限られない。すなわち画素25のピッチと画素29のピッチとが異なるように構成してもよい。特にX線検出器1のX線入射面に対して斜め方向から入射するX線の存在を考慮した場合、画素25のピッチより画素29のピッチを大きくする構成が好ましい。
【0113】
(4)上述した各実施例において、
図2などに示すように遮光壁17のピッチと遮光壁21のピッチとは一致するように記載しているがこれに限られない。すなわち遮光壁17のピッチと遮光壁21のピッチとは異なってもよい。特に
図16(a)に示すように、遮光壁21のピッチを遮光壁17のピッチより大きくした状態で、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンとをxy平面に沿ってずらすことが好ましい。
図16(a)では、遮光壁21のピッチを遮光壁17のピッチの2倍とする構成を例として示している。
【0114】
このような変形例(4)に係るX線検出器1Dの断面図を
図16(b)に示す。変形例に係る構成では、遮光壁21の数が遮光壁17の数より少なくなる。X線検出器に入射する高エネルギーのX線P2のうち、シンチレータ素子19に入射するX線P2aは比較的厚いシンチレータ素子19によって好適にシンチレータ光Q2に変換される。そしてシンチレータ光Q2は画素29によって電荷に変換されて検出される。
【0115】
一方、高エネルギーのX線P2のうち、遮光壁21に入射するX線P2bはシンチレータパネル13においてシンチレータ光に変換されない。また、シンチレータ素子15では高エネルギーのX線P2を変換できない。そのため、遮光壁21が形成される領域において、X線検出器は低エネルギーのX線P1を検出できる一方、高エネルギーのX線P2bを検出することは困難である。
【0116】
そこで変形例(4)に係るX線検出器1Dでは、遮光壁21のピッチを大きくするなどの方法により、遮光壁21を遮光壁17より少なくする。このような構成では遮光壁21に入射する高エネルギーのX線P2bをより低減できる。そのため、高エネルギーのX線を検出できない領域を低減できる。
【0117】
なおシンチレータパネル9において遮光壁17に入射されるX線は、シンチレータパネル13において確実にシンチレータ素子19に入射される。従って、遮光壁17が形成される領域において、X線検出器はエネルギーの高低に関わらずX線を検出できる。その結果、遮光壁21を遮光壁17より少なくすることによって、エネルギーの高低に関わらずX線を検出できる領域がより広くなるので、X線検出器のX線感度をより向上させることが可能となる。
【0118】
(5)上述した各実施例では、シンチレータ素子はシンチレータ光を遮蔽する遮光壁によって区画される構成を備えているが、シンチレータ素子を区画する構成は遮光壁に限られない。すなわち
図17に示すように、シンチレータ素子15に対して格子状の溝をz方向へ掘ることによってシンチレータ素子15を区画する構成であってもよい。シンチレータ素子15において発光したシンチレータ光は、溝Fによって散乱が妨げられる。従って、遮光壁を形成させる構成と同様、シンチレータ素子に溝Fを形成させる構成においても、周囲のシンチレータ素子15に対するシンチレータ光の散乱を回避する効果が得られる。このような変形例(5)に係るX線検出器1Eにおいて、溝Fは本発明における遮光部に相当する。
【0119】
そしてシンチレータ素子15に形成される溝Fと、シンチレータ素子19に形成される溝Fとを、X線の入射される方向(z方向)において一直線上に並ばないように構成させる。このようにシンチレータ素子15の溝Fとシンチレータ素子19の溝Fとを、X線の入射面に対して互い違いに並ぶように形成させることによって、X線検出器に入射されるX線は、シンチレータ素子15またはシンチレータ19によって確実に光に変換される。従って、X線検出器においてX線を検出できない領域を低減し、X線感度を向上することができる。
【0120】
(6)上述した各実施例では、X線をシンチレータ素子などで光に変換し、さらに光を電気信号に変換する間接変換型のX線検出器を例として説明したが、本発明に係る構成はX線を直接電気信号に変換する、直接変換型のX線検出器においても適用できる。すなわち各実施例に係る構成において、シンチレータ素子の代わりに、a−Se(アモルファス・セレン)などで構成され、X線を電荷に変換するX線変換素子を用いる。そして遮光壁の代わりに、電荷の散乱を遮蔽する遮蔽壁(または溝)を格子状に形成させることによって、直接変換型のX線検出器においても本発明の効果を得ることができる。このような変形例(6)に係る直接変換型のデュアルエナジー型X線検出器において、遮蔽壁(または溝)は、本発明における遮蔽部に相当する。
【0121】
変形例(6)に係る、直接変換型のデュアルエナジー型X線検出器1Fの構成を
図18に示す。X線検出器1Fは実施例1に係る間接変換型のデュアルエナジー型X線検出器1について、直接変換型の構成を採用したものである。またX線検出器1と同じ構成については同符号を付して説明する。
【0122】
X線検出器1Fは、X線検出パネル37と、X線変換層39と、基板11と、X線変換層41と、X線検出パネル43とが上述の順に積層された構成を備えている。X線検出パネル37は基板23と、二次元マトリクス状に配列された画素25Aとを備えている。X線検出パネル37は本発明における第1のX線検出パネルに相当し、X線検出パネル43は本発明における第2のX線検出パネルに相当する。
【0123】
X線変換層41は基板27と、二次元マトリクス状に配列された画素29Aとを備えている。X線変換層39は、二次元マトリクス状に配列されたX線変換素子45が、格子状の遮蔽壁47によって仕切られた形状を有している。X線変換層41は、二次元マトリクス状に配列されたX線変換素子49が、格子状の遮蔽壁51によって仕切られた形状を有している。X線変換層39は本発明における第1のX線変換層に相当し、X線変換層41は本発明における第2のX線変換層に相当する。X線変換素子45は本発明における第1のX線変換素子に相当し、X線変換素子49は本発明における第2のX線変換素子に相当する。
【0124】
X線変換素子45および49の各々は、a−Seなどで構成され、入射するX線を電荷に変換する。遮蔽壁47および51の各々は電荷の移動を遮蔽する材料で構成され、電荷の拡散を防止する。遮蔽壁47の格子パターンと遮蔽壁51の格子パターンとは、X線の入射面に沿ってずれるように構成される。遮蔽壁47および51は電荷の拡散を妨げる溝部であってもよい。遮蔽壁47は本発明における第1遮蔽部に相当し、遮蔽壁51は本発明における第2遮蔽部に相当する。
【0125】
画素25Aおよび29Aは、画素25および29と異なり、光電変換素子が省略された構成を有する。すなわち画素25Aおよび画素29Aは、X線変換素子において変換された電荷を検出し、X線検出信号として出力する。X線変換素子45は比較的低エネルギーのX線を電荷に変換する。そのためX線検出パネル37において画素25Aが出力するX線検出信号に対して各種画像処理を施すことにより、低エネルギーのX線に基づくX線画像が生成される。
【0126】
一方、X線変換素子49は比較的高エネルギーのX線を電荷に変換する。そのためX線検出パネル43において画素25Aが出力するX線検出信号に対して各種画像処理を施すことにより、高エネルギーのX線に基づくX線画像が生成される。なお、変形例(6)に係る直接変換型の構成は、他の実施例および変形例に係る間接変換型のデュアルエナジー型X線検出器に適用可能である。
【0127】
(7)上述した各実施例では、遮光壁17(または遮光壁21)のピッチは画素25(または画素29)のピッチと略同じとなるように構成されることが好ましいがこれに限られない。他の好ましい構成として、遮光壁のピッチは画素のピッチの整数倍である構成などが挙げられる。また、遮光壁17の格子パターンと遮光壁21の格子パターンがxy平面に沿ってずれていれば、各遮光壁のピッチは画素のピッチの整数倍でなくともよい。
【0128】
(8)上述の実施例の構成では、シンチレータパネル13に遮光壁21が設けられた構成となっていたが、本発明はこの構成限られない。
図19に示すようにシンチレータパネル13の遮光壁21を省いた構成とすることもできる。本変形例に係るX線検出器は、説明の便宜上、
図11で説明した実施例4に係るX線検出器に対応しているが、他の実施例1,2,3の構成についても適応することができる。また、シンチレータパネル13に遮光壁21が設けられた構成のままシンチレータパネル9の遮光壁17を省くような構成とすることもできる。このような構成とすることで、装置構成を単純にし、より安価なX線検出器を提供することができる。
【0129】
(9)上述の実施例の構成では、シンチレータパネル9に設けられる遮光壁17の配列ピッチと、シンチレータパネル13に設けられる遮光壁21の配列ピッチとが同一となっていたが、本発明はこの構成に限られない。
図20に示すように遮光壁17の配列ピッチと遮光壁21の配列ピッチとを違えるようにしてもよい。この場合、シンチレータ素子15の配列ピッチおよび画素25の配列ピッチは、遮光壁17の配列ピッチと同一となる。同様に、シンチレータ素子19の配列ピッチおよび画素29の配列ピッチは、遮光壁21の配列ピッチと同一となる。従って、画素25の配列ピッチと画素29の配列ピッチは、互いに異なることになる。
【0130】
特に、遮光壁21の配列ピッチを遮光壁17の配列ピッチよりも大きくすれば、
図20に示すように、X線源が有するX線焦点pと遮光壁17とを結ぶ直線上に遮光壁21を配置することができる。X線が放射状に広がる場合、シンチレータパネル13を透過するX線の広がりは、シンチレータパネル9を透過したときの広がりよりも広くなる。したがって、
図20は、この事情に即して、X線のビーム幅に合わせて手前側のシンチレータパネル9の幅を狭く、奥側のシンチレータパネル13の幅を広くしている。遮光壁の配列ピッチもX線ビーム幅に即して遮光壁17の配列ピッチを狭く、遮光壁21の配列ピッチを広くしている。
図20は、本変形例を実施例2の構成に適応させたときの場合を示している。したがって、放射状に広がるX線ビームからすれば、シンチレータパネル13の遮光壁21は、シンチレータパネル9の遮光壁17を延伸したように配列されていることになる。本変形例に係るX線検出器は、説明の便宜上、
図11で説明した実施例4に係るX線検出器に対応しているが、他の実施例1,2,3の構成についても適応することができる。
【0131】
(10)上述の変形例9の構成では、画素25の配列ピッチと画素29の配列ピッチは、互いに違えていたが、配列ピッチを同一にすることもできる。画素の配列ピッチを一定にしながら、遮光壁の配列ピッチを変えるようにすることもできるのである。
図21は、遮光壁21の配列ピッチを変更させる様子を示している。
図21上段は、上述の実施例通り遮光壁21が配列されている様子を示している。
図21中段は、遮光壁21を右側にずらした状態を表している。
【0132】
このとき、遮光壁21は、
図21上段の状態から右側に遮光壁21の厚さの半分未満の移動量だけずれた位置にある。遮光壁21の移動量を自身の厚さの半分未満にすることで、遮光壁21近傍の2つの画素29の光学的絶縁性が保たれる。すなわち、
図21中段のように遮光壁21を移動させたとしても、移動させた遮光壁21の左側に位置するシンチレータ素子15で発生した蛍光は、遮光壁21に阻まれて遮光壁21の右側に位置する画素29に入射しない。また、移動させた遮光壁21の右側に位置するシンチレータ素子15で発生した蛍光は、遮光壁21に阻まれて遮光壁21の左側に位置する画素29に入射しない。なお、この遮光壁21の移動に伴い、遮光壁21の両隣に位置するシンチレータ素子15の幅が変化する。
【0133】
すなわち、移動させた遮光壁21の右側に位置するシンチレータ素子15は、より幅狭となり、移動させた遮光壁21の左側に位置するシンチレータ素子15は、より幅広となる。このように、本変形例のシンチレータ素子15は、同じ幅をしていない。なお、シンチレータ素子15の配列ピッチはシンチレータパネル13に亘って一定である。本変形例に係る遮光壁17のピッチと遮光壁21のピッチとの比は、放射線源から発せられた放射状に広がる放射線ビームが遮光壁17に到達したときの広がり幅と放射線ビームが遮光壁21に到達したときの広がり幅の比に等しい。
【0134】
図21下段は、遮光壁21を左側にずらした状態を表している。このとき、遮光壁21は、
図21上段の状態から左側に遮光壁21の厚さの半分未満の移動量だけずれた位置にある。遮光壁21の移動量を自身の厚さの半分未満にすることで、遮光壁21近傍の2つの画素29の光学的絶縁性が保たれる点は、
図21中段の場合と同様である。なお、この遮光壁21の移動に伴い、遮光壁21の両隣に位置するシンチレータ素子15の幅が変化する。すなわち、移動させた遮光壁21の右側に位置するシンチレータ素子15は、より幅広となり、移動させた遮光壁21の左側に位置するシンチレータ素子15は、より幅狭となる。
【0135】
図21は、シンチレータパネル13の遮光壁21を遮光壁21の配列方向にシフトさせる例について説明したが、シンチレータパネル9の遮光壁17についても同様に遮光壁17の配列方向にシフトさせる構成とすることができる。
【0136】
本変形例によれば、シンチレータパネル9の画素25の配列ピッチとシンチレータパネル13の画素29の配列ピッチとを同一としながらも、遮光壁17の配列ピッチと遮光壁19の配列ピッチを互いに違えることができる。これにより、
図20で説明したようにX線が放射状に広がるという事情が考慮されたX線検出器が提供できる。本変形例に係る遮光壁21のピッチは、シンチレータパネル13の位置によって異なっている。
【0137】
(11)本発明の遮光壁17,21は、X線リゾグラフィー(LIGA)で製造してもよい。
【0138】
(12)上述の各実施例では、隣り合う画素は端部が接した構成となっていたが、本発明はこの構成に限られない。
図22に示すように、遮光壁21が画素29の側面まで延伸した構成とすることもできる。このようにすることで、互いに隣り合う画素29を確実に光学的に隔絶することができる。
図22は、シンチレータパネル13の遮光壁21が画素29の側面まで延伸した例について説明したが、シンチレータパネル9の遮光壁17についても同様に画素25の側面まで延伸させる構成とすることができる。本発明の画素は、遮光壁21の格子により形成されるセルの内部に位置している。なお、本変形例に係るX線検出器は、説明の便宜上、
図11で説明した実施例4に係るX線検出器に対応しているが、他の実施例1,2,3の構成についても適応することができる。
【0139】
(13)上述の実施例では、遮光壁が互いに平行に配置された構成となっていたが、本発明はこの構成に限られない。
図23に示すように、シンチレータパネル9の中心から端部に向かうに従って次第に傾斜するように遮光壁を構成するようにしても良い。
図23の場合、X線源の焦点pを通過する直線に沿うように遮光壁17および遮光壁21が伸びた構成をしている。これにより、X線が隣接する画素の両方で検出されることがなくなり、空間分解能が高いX線検出器が提供できる。なお、
図23の装置は、遮光壁21が遮光壁17を延伸するように配置された実施例4に相当する構成となっている。本変形例は、他の実施例1,2,3の構成についても適応することができる。本発明に係る遮光壁17,21は、格子の中央部から端部に向かうに従って次第に傾斜するように構成されている。
【0140】
(14)本発明のX線検出器は、デュアルエナジー撮影用途に限られない。非破壊検査など他の撮影にも使用できる鮮明なX線画像を得るには、X線グリッドをX線検出器の検出面に配置し、検査対象から発生する散乱X線や、検査対象に含まれる結晶による回折現象の影響を除去した方が良い。しかし、非破壊検査の場合、X線焦点とX線検出器との距離が撮影の度に変動することが多く、X線グリッドを配置することができない。そこで、本発明のX線検出器のうち一層目に当たるシンチレータパネル9をX線グリッドの代わりとして用い、X線画像の生成には、二層目に当たるシンチレータパネル13を用いれば、鮮明なX線画像を得ることができる。この場合、散乱X線や回折現象の影響を除去したX線画像は、二層目に当たるシンチレータパネル13の検出結果より取得可能で、一層目と二層目を合成すれば、従来同様の感度の画像を同時に取得可能である。
【0141】
(15)本発明のX線検出器は、高エネルギーのX線照射と低エネルギーのX線照射を交互に繰り返すことにより実行されるデュアルエナジー撮影にも適応することもできるし、高エネルギーX線と低エネルギーX線を同時に照射することにより実行されるデュアルエナジー撮影にも適応することができる。