(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物理ディスク上に配置された論理ディスクの空き容量を監視し、前記論理ディスクの空き容量が所定基準値以下であるとき前記論理ディスクの容量を拡大し、前記拡張プラン生成手段を起動するストレージ制御手段を備える請求項1乃至3の何れか1項のストレージ監視装置。
【背景技術】
【0002】
ストレージ装置において、論理ディスク(論理ボリューム、仮想ディスク等とも称される)を追加あるいは拡張しようとするとき、当該論理ディスクを収容する物理ディスクの容量が不足するときがある。この状況への対処に関連して、以下の特許文献が開示されている。
【0003】
特許文献1は、複数のストレージを管理する管理装置を開示する。この管理装置は、要求された機能を備えるストレージシステムから、未割当の論理ボリュームを選択し、その容量をホスト装置に割り当て可能な容量として出力する。この管理装置は、十分な容量の論理ボリュームが無いとき、ストレージシステムに対して、決定されたボリューム種別を満たすようにHDD(Hard Disk Drive)を増設するように通知する。
【0004】
特許文献2は、同一暗号レベルの複数の論理ボリュームを仮想プールとして管理する管理サーバを開示する。この管理サーバは、仮想プールの残容量が足りなくなると、足りなくなった仮想プールに同一暗号レベルの論理ボリュームを検索して追加する。
【0005】
特許文献3は、ストレージ装置内に配置され、当該ストレージ装置のストレージの使用状況を監視し、ユーザに通達する管理モジュールを開示する。この管理モジュールは、ボリュームの使用率が高くなると、ボリュームの増設や拡大を自動的に実行する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態にかかるストレージシステム60の構成図である。ストレージシステム60は、WAN50(Wide Area Network)に接続されたストレージ監視装置10とストレージ管理装置30を包含する。ストレージ監視装置10には、ストレージ装置20とホストコンピュータ40が接続されている。ストレージ管理装置30には、ストレージシステム60の管理者が操作する端末装置33が接続されている。
【0016】
ストレージ装置20には、複数台の物理ディスク21が搭載されている。物理ディスク21は、1以上の論理ディスク22と空き領域23を包含する。論理ディスク22は、複数の物理ディスク21にまたがって存在していてもよい。ホストコンピュータ40は、ストレージ監視装置10を経由して、ストレージ装置20内の論理ディスク22にアクセスする。
【0017】
ストレージシステム60において、ストレージ監視装置10は、論理ディスク22、物理ディスク21の空き容量を監視する。ストレージ監視装置10は、論理ディスク22の空き容量が足りなくなれば、例えば、論理ディスク22の拡張を行う。ストレージ監視装置10は、物理ディスク21の空き容量(空き領域23の容量)が足りなくなれば、物理ディスク21の増設のプランの提案を行う。
【0018】
論理ディスク22の空き容量は、例えば、ホストコンピュータ40が論理ディスク22内に新たなファイルを作成すると減少する。物理ディスク21の空き容量は、例えば、ストレージ監視装置10が論理ディスク22を拡張すると減少する。
【0019】
ストレージシステム60の管理者は、端末装置33及びストレージ管理装置30を経由して、ストレージ監視装置10及びストレージ装置20に指示を与えたり、ストレージ監視装置10及びストレージ装置20から管理に必要な情報を得たりする。
【0020】
ストレージ監視装置10およびストレージ管理装置30は、各々ファイアウォール51を介してWAN50に接続されていてもよい。さらに、ストレージ監視装置10とストレージ管理装置30の間の通信は、暗号化されていてもよい。ストレージシステム60の情報がWAN50に接続されている他者に漏えいしたり、他者からサイバー攻撃を受けたりするのを防止する為である。
【0021】
ストレージ監視装置10は、拡張プラン生成部11、監視データ取得部12、履歴記憶部13、コンポーネント数記憶部14、価格記憶部15、および、ストレージ制御部16を包含する。
【0022】
拡張プラン生成部11は、物理ディスク21の空き容量が不足した時、物理ディスク21の増設プランを作成して管理者に提示する。監視データ取得部12は、ストレージ装置20からストレージシステム60の管理に必要となるデータを取得する。ストレージ制御部16は、ストレージ管理装置30との通信、拡張プラン生成部11の制御、及び、ホストコンピュータ40から、例えば、論理ディスク22の入出力、情報参照の要求を受けて実行する。
【0023】
なお、ストレージ制御部16は、ホストコンピュータ40から、例えば、論理ディスク22の入出力、情報参照の要求を受けて実行する機能を有さず、ストレージ装置20内に、これらの機能を有する部位が存在してもよい。この場合、ホストコンピュータ40は、ストレージ装置20に直接接続され、ストレージ監視装置10を経由せずに論理ディスク22にアクセスしてもよい。
【0024】
拡張プラン生成部11、監視データ取得部12、および、ストレージ制御部16は、論理回路で構成される。拡張プラン生成部11、監視データ取得部12、および、ストレージ制御部16は、コンピュータでもあるストレージ監視装置10のメモリ(図示されず)に格納されて、ストレージ監視装置10のプロセッサ(図示されず)で実行されるプログラムによって実現されてもよい。
【0025】
履歴記憶部13、コンポーネント数記憶部14、及び、価格記憶部15は、半導体メモリ、ディスク装置等の記憶装置である。
【0026】
履歴記憶部13は、物理ディスク21の増設の履歴を格納する。コンポーネント数記憶部14は、物理ディスク21の増設に伴い必要となるその他のコンポーネントの種類と数を記憶する。価格記憶部15は、物理ディスク21、その他のコンポーネントの価格を記憶する。
【0027】
ストレージ管理装置30は、管理部32及びユーザ情報記憶部31を包含する。ユーザ情報記憶部31は、例えば、プロフィール情報、論理ディスク22の使用量、課金情報を含むユーザ情報を格納する。管理部32は、例えば、ストレージ監視装置10との通信、ユーザ情報のメンテナンスを行う。
【0028】
管理部32は、論理回路で構成される。管理部32は、コンピュータでもあるストレージ管理装置30のメモリ(図示されず)に格納されて、ストレージ管理装置30のプロセッサ(図示されず)で実行されるプログラムによって実現されてもよい。
【0029】
ユーザ情報記憶部31は、半導体メモリ、ディスク装置等の記憶装置である。
【0030】
図2は、履歴記憶部13に格納される物理ディスク21の増設の履歴を示す。当該履歴は、増設の日付71と増設台数72を含む履歴レコードを時系列に格納したテーブルである。なお、本説明は、簡単化のため、物理ディスク21はすべて同一機種であるとの前提をおいているが、そうでなくてもよい。異なる機種を包含するときは、履歴レコードは、増設台数72に加え、物理ディスク21のモデル番号、または、1台当たりの容量を格納すればよい。
【0031】
図3は、コンポーネント数記憶部14に格納されるコンポーネント数テーブルを示す。コンポーネント数テーブルは、ディスク総数73と必要コンポーネント数74を含むコンポーネント数レコードの集合である。ディスク総数73は、ストレージ装置20が包含する物理ディスク21の総数を示す。同一レコードの必要コンポーネント数74は、ストレージ装置20がその総数の物理ディスク21を備えるために物理ディスク21以外に必要となるコンポーネントの種別と数を示す。
【0032】
物理ディスク21以外に必要となるコンポーネントは、例えば、コントローラやディスクエンクロージャである。例えば、
図3の上段のレコードは、ストレージ装置20が100台の物理ディスク21を備える場合、コントローラが2個、ディスクエンクロージャが4個必要となることを示す。
【0033】
図4は、価格記憶部15に格納される価格テーブルを示す。価格テーブルは、種別75と価格76を含むレコードの集合である。種別75は、物理ディスク21、それ以外のコンポーネントの種別を示す。価格46は、物理ディスク21、それ以外のコンポーネント一台の価格を示す。
【0034】
図5は、ストレージ監視装置10のストレージ制御部16が行う周期処理のフローチャートである。ストレージ制御部16は、この処理を、例えば、毎日1回行う。
【0035】
まず、ストレージ制御部16は、監視データ取得部12を経由してストレージ装置20のデータを取得する(S1)。ここで取得するデータは、例えば、論理ディスク22の大きさと空き容量、物理ディスク21の台数と各物理ディスク21の使用中容量と空き領域23の容量、各ユーザの論理ディスク22の使用状況を含む課金情報、および、性能情報を包含する。
【0036】
次に、ストレージ制御部16は、論理ディスク22の容量が不足しているか判定する(S2)。判定基準は、例えば、空き容量の絶対値が所定値以下であるか、あるいは、論理ディスク22の容量の所定割合以下であるか、である。判定基準は、別のものでもよい。判定基準は、予め管理者によって設定されているパラメータ値である。
【0037】
論理ディスク22の容量が不足している場合(S2でY)、ストレージ制御部16は、例えば、物理ディスク21の空き領域23を使用して、論理ディスク22を拡張する(S5)。
【0038】
さらに、ストレージ制御部16は、物理ディスク21の容量が不足しているか判定する(S3)。判定基準は、例えば、空き領域23の容量の絶対値が所定値以下であるか、あるいは、物理ディスク21の容量の所定割合以下であるか、である。判定基準は、別のものでもよい。判定基準は、予め管理者によって設定されているパラメータ値である。
【0039】
物理ディスク21の容量が不足している場合(S3でY)、ストレージ制御部16は、拡張プラン生成部11を起動して、拡張プラン生成部11から拡張プランを取得して(S6)、ストレージ管理装置30に出力する(S7)。拡張プランは、物理ディスク21やその他のコンポーネントをどれだけ増設すべきか、その費用はどの程度であるかを示す。拡張プランの作成方法は後述する。
【0040】
最後に、ストレージ制御部16は、ストレージ装置20の課金情報、性能情報をストレージ管理装置30に送信する(S4)。なお、通信負荷を低減させるために、このデータ送信は毎回行わずに、例えば、7回に1度(1週間に1度)とし、その間はバッファにデータ蓄積しておいてもよい。
【0041】
ストレージ監視装置10がストレージ管理装置30に出力した拡張プランは、当該装置の管理部32によって端末装置33に表示される。管理者は、例えば、この拡張プランに従って、物理ディスク21、他のコンポーネントを購入し、ストレージ装置20に取り付けることで増設を行う。その後、管理者は端末装置33からストレージ管理装置30を経由して、ストレージ監視装置10に、増設した物理ディスク21の組み込み処理の実行を指示する。
【0042】
図6は、増設した物理ディスク21の組み込みを指示されたストレージ制御部16が行う増設処理のフローチャートである。物理ディスク21の組み込みの指示は、増設した機器の台数、パスアドレス等の情報を包含する。
【0043】
まず、ストレージ制御部16は、物理ディスク21の組み込み処理要求を端末装置33から取得する(S11)。その後、ストレージ制御部16は、物理ディスク21の組み込み処理を実施する(S12)。組み込み処理は、例えば、ストレージ制御部16が備える管理テーブルに増設された物理ディスク21のパスアドレス、空き容量を登録する処理、当該物理ディスク21上に論理ディスク22を生成してホストコンピュータ40に通知する処理、を包含する。
【0044】
最後に、ストレージ制御部16は、増設の日付71と増設台数72を含む履歴レコードを履歴記憶部13に書き込む(S13)。
【0045】
図7は、拡張プラン生成部11の動作フローチャートである。拡張プラン生成部11は、ストレージ制御部16から起動されると、監視データ取得部12を経由してストレージ装置20のデータを取得する(S21)。ここで取得するデータは、例えば、論理ディスク22の大きさと空き容量、物理ディスク21の台数と各物理ディスク21の使用中容量と空き領域23の容量である。これらのデータが、ストレージ制御部16から引き継がれていれば、本動作は不要である。
【0046】
次に、拡張プラン生成部11は、履歴記憶部13を参照して、過去一定期間の増設台数を算出する(S22)。一定期間は、予め管理者によって設定されているパラメータ値であり、例えば1年間である。拡張プラン生成部11は、例えば、日付71を参照して過去1年分の履歴レコードの増設台数72を合算する。
【0047】
次に、拡張プラン生成部11は、使用予定期間を取得する(S23)。拡張プラン生成部11は、予め管理者によって設定されているストレージ装置20の使用終了予定日付から現在日付を差し引いて、使用予定期間を算出する。使用予定期間は、予め管理者によって固定的に設定されているパラメータ値であり、例えば3年間であってもよい。
【0048】
拡張プラン生成部11は、過去一定期間の増設台数、使用予定期間から、増設台数を算出する(S24)。拡張プラン生成部11は、例えば、過去一定期間の増設台数と使用予定期間(例えば3年)の積を一定期間(例えば1年)で除して、増設台数を算出する。この増設台数は、使用予定期間末に必要と予想される台数である。
【0049】
拡張プラン生成部11は、使用予定期間末でなく、その所定期間前、例えば半年前に必要と予想される台数を算出してもよい。ストレージ装置20の使用終了直前に、使用容量は増加しないかもしれないからである。さらに、拡張プラン生成部11は、余裕率を考慮し多めの増設台数を算出してもよい。
【0050】
ただし、拡張プラン生成部11は、増設後の物理ディスク21の台数がストレージ装置20の最大実装量を超えるときは、増設後の台数が最大実装量以下となるように、増設台数を小さくし、拡張プランにその旨の警告メッセージを含めてもよい。
【0051】
次に、拡張プラン生成部11は、コンポーネント数記憶部14を参照して、増設が必要なその他コンポーネントの種類と数を取得する(S25)。
【0052】
まず、拡張プラン生成部11は、現在の物理ディスク21の台数に対して必要なその他コンポーネントの種類と数Aを取得する。この種類と値Aは、現在の物理ディスク21の台数を上回る最小のディスク台数73を有するコンポーネント数レコードをコンポーネント数記憶部14から検索し、当該レコードの必要コンポーネント数74を取り出すことで得られる。次いで、拡張プラン生成部11は、増設後の物理ディスク21の台数に対して必要なその他コンポーネントの種類と数Bを、同様にして取得する。拡張プラン生成部11は、上記のBとAの差から、増設が必要なその他コンポーネントの種類と数を得る。
【0053】
拡張プラン生成部11は、現在のその他コンポーネントの種類と数Aを、ストレージ装置20からS21で取得しておいてもよい。
【0054】
拡張プラン生成部11は、増設する物理ディスク21、その他コンポーネントの種類と数から、価格記憶部15を参照して、増設に必要な価格を算出する(S26)。具体的には、拡張プラン生成部11は、増設する機器の種別75に対する価格76の総和を算出する。
【0055】
最後に、拡張プラン生成部11は、増設する物理ディスク21の数、増設するその他コンポーネントの種類と数、価格を含む拡張プランをストレージ制御部16に出力する(S27)
図8は、ストレージ管理装置30の管理部32の動作フローチャートである。管理部32は、ストレージ制御部16から拡張プランを受信すれば(S31でY)、拡張プランを端末装置33に出力する(S32)。
【0056】
管理部32は、端末装置33から物理ディスク増設完了通知を取得すれば(S33でY)、ストレージ制御部16に増設処理要求を送信する(S34)。
【0057】
管理部32は、ストレージ制御部16からストレージ装置20の使用状況データを取得すれば(S35でY)、課金データを生成してユーザ情報記憶部31に格納する(S36)。例えば、各ユーザは、論理ディスク22の使用量に応じて課金される。
【0058】
管理部32は、端末装置33から管理者が入力した問い合わせを取得すれば(S37でY)、ストレージ制御部16からストレージ装置20の情報を得て、端末装置33に出力する(S38)。
【0059】
本実施の形態のストレージ監視装置10は、ストレージ装置20の物理的な容量が不足した場合、適切な物理ディスク21の増設案を管理者に提示する。その理由は、拡張プラン生成部11が、履歴記憶部13を参照して、物理ディスク21の適切な増設台数を算出するからである。これにより、管理者のストレージ装置20の運用負担が軽減される。
【0060】
本実施の形態のストレージ監視装置10は、増設に必要な費用の見積もりを管理者に提示する。その理由は、拡張プラン生成部11が、コンポーネント数記憶部14を参照して、コントローラ等の付帯装置の必要台数を見積もり、物理ディスク21に加えてそれらの付帯装置も含めた価格見積もりを提示するからである。これにより、管理者は提示された拡張プランの実現容易性を簡単に判断できる。
【0061】
<第2の実施形態>
図9は、本実施の形態にかかるストレージ監視装置10の構成図である。ストレージ監視装置10は、拡張プラン生成部11、及び、履歴記憶部13を備える。
【0062】
履歴記憶部13は、物理ディスク21の増設の時期及び増設台数の履歴を格納する。拡張プラン生成部11は、履歴記憶部13の履歴と、ストレージ装置20の使用予定期間とから、物理ディスク21の増設台数を算出して出力する。
【0063】
本実施の形態のストレージ監視装置10は、ストレージ装置20の物理的な容量が不足した場合、適切な物理ディスク21の増設案を管理者に提示する。その理由は、拡張プラン生成部11が、履歴記憶部13を参照して、物理ディスク21の適切な増設台数を算出するからである。これにより、管理者のストレージ装置20の運用負担が軽減される。
【0064】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。