特許第6388687号(P6388687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6388687差し込み式フィッティングを備えたショックアブソーバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388687
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】差し込み式フィッティングを備えたショックアブソーバー
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/04 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   G04B31/04
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-112468(P2017-112468)
(22)【出願日】2017年6月7日
(62)【分割の表示】特願2016-514392(P2016-514392)の分割
【原出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2017-173341(P2017-173341A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】13169101.6
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】レショー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ツァウク,アラン
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第7609030(DE,U1)
【文献】 仏国特許発明第1008173(FR,A)
【文献】 特開2011−080880(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/161139(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2015147(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 31/00−31/04
G04C 3/14
F16C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周部リム(112)が上に設けられた基礎カップ(111)を有する支持体(110)を有する計時器要素のアーバー用の緩衝デバイス(100)であって、
この周部リム(112)は、前記基礎カップの反対側において、上側面(113)によって限界が定められ、
前記基礎カップと前記周部リムはともに、ハウジング(114)を定め、
当該緩衝デバイスは、さらに、アーバー(D)に垂直な方向に延在する少なくとも1つのピボットシステム(120)を有し、
前記少なくとも1つのピボットシステムは、前記ハウジング内に配置されており、周部に弾性戻し手段(123)を有する、単一部品である基礎(121)によって形成され、この弾性戻し手段(123)は、アーバ―に沿った方向と、アーバーに垂直な方向に反力を有する少なくとも1つの湾曲アーム(124)によって形成されており、軸方向の上下の衝撃又は半径方向の衝撃があった場合に前記アーバーをその初期位置に戻すことができ、
前記基礎には、前記アーバーのシャンクと非貫通又は貫通穴と係合するピボット要素(122)が設けられており、
前記周部リム(112)は、その厚みの範囲内において、前記上側面で開いている少なくとも1つの空欠部(116)を有し、
この空欠部(116)は、前記アーバー(D)と平行に設けられた凹部(117)と、及び前記上側面の反対側において前記凹部の1つと交わる方向に設けられた非貫通溝(118)とによって形成されており、
前記非貫通溝(118)は、前記少なくとも1つのピボットシステムの湾曲アームを差し込み式フィッティングでロックするように用いられ、そして、前記ピボット要素(122)は、セッティング(128)を有し
このセッティング(128)には、前記アーバーのシャンクによって横断されるジュエル穴形成部(129)と、及び受け石(130)とが固定され、
さらに、前記セッティング(128)は前記基礎(121)のオリフィス内に配置され、固定される
ことを特徴とする緩衝デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアームは、自由端を有し、
この自由端は、前記少なくとも1つの溝と係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝デバイス。
【請求項3】
前記溝には、空洞が設けられ、
この空洞には、前記少なくとも1つの湾曲アームの前記自由端に位置するキャッチが挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝デバイス。
【請求項4】
前記ピボット要素は、単一のジュエルを有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【請求項5】
前記ピボット要素と前記基礎どうしで、単一部品となるように作られる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【請求項6】
前記弾性戻し手段は、120°角度的にオフセットされている3つの湾曲アームによって形成され、
前記周部リムは、その厚みの範囲内に3つの空欠部を有する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【請求項7】
当該緩衝デバイスは、さらに、軸方向の衝撃があると、前記アーバーをその初期位置に戻す付加的なばねを有する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【請求項8】
前記付加的なばねは、ヒンジ及び2つのロックタブを有する開いたリングの形態であるリラ形のばねである
ことを特徴とする請求項に記載の緩衝デバイス。
【請求項9】
前記付加的なばねは、前記アーバーの方へ延在する肩部を有する閉じたリングの形態である平坦な環状ばねである
ことを特徴とする請求項に記載の緩衝デバイス。
【請求項10】
当該緩衝デバイスは、各ピボットシステムの1つの湾曲アームを差し込み式フィッティングでロックするために同じ空欠部(116)を用いる2つのピボットシステム(120)を有する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【請求項11】
当該緩衝デバイスは、2つのピボットシステム(120)を有し、これらはそれぞれ、前記ピボットシステムの1つの湾曲アームを差し込み式フィッティングでロックするために空欠部(116)を用いる
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の緩衝デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周部リムが上に設けられた基礎カップを有し中に空洞を有する支持体を有す
る計時器要素のアーバー用の緩衝デバイスに関し、この周部リムは、基礎カップの反対側
において、上側面によって限界が定められ、基礎カップと周部リムはともに、ハウジング
を定め、当該緩衝デバイスは、さらに、アーバーに対応する方向に延在するピボットシス
テムを有し、少なくとも1つのピボットシステムは、ハウジング内に配置されており、基
礎によって形成されており、この基礎の周部に弾性戻し手段を有し、この弾性戻し手段は
、少なくとも1つの湾曲アームによって形成されており、基礎には、アーバーと連係する
ことができるピボット要素が挿入される開口が設けられている。
【背景技術】
【0002】
計時器要素のアーバーのための緩衝デバイスが知られている。例えば、ハウジングが設
けられている支持体を有する歯車を支えるバランス又はアーバーのためのものである。こ
のハウジングは、アーバーシャンクが通り抜ける穴の開いた基礎と、及び内壁とを有する
図1に示すように、このデバイスは、さらに、ハウジング内に設けられたピボットシス
テム1を有し、周部に弾性戻し手段3を有する基礎2を有する。図1に示すように、これ
らの戻し手段は、アーム4の形態であり、第1の端によって基礎2に及び第2の端によっ
て環状の周部5に接続されている。
【0003】
この基礎には、開口6が設けられている。この開口6の中には、アーバーと連係するこ
とができるピボット要素が挿入される。このピボット要素及び基礎は、単一部品を形成す
ることができる。
【0004】
緩衝デバイスのアセンブリー時に、緩衝デバイスは、支持体におけるハウジング内に押
し込められる。
【0005】
これらの既知の緩衝デバイスの課題の1つは、扱いにくいということである。実際に、
それらの性質によって、アームを備えたデバイスの表面積は、リラ(竪琴:lyre)形のば
ねシステムよりも大きい。戻し手段の第2の端が固定されるリング状部の存在によって、
体積がさらに増える。
【0006】
結果的に、この種の緩衝デバイスは、コンパクトな計時器用ムーブメントではなく、大
きな寸法の計時器用ムーブメントにおいてのみ用いることができる。
【0007】
これらのデバイスの別の課題の1つは、弾性戻し手段、すなわち、アーム、と環状の周
部との間の取り付けの剛性についてである。実際に、支持体におけるハウジング内に当該
デバイスを押し込む原理は、環状の周部へのアームの堅固な取り付けがこれらのアームが
支持体に堅固に固定されているかのようにふるまうことを意味する。したがって、このよ
うな取り付けは、アームにおいて応力を発生させる。そのときのアームは、何らかの破損
の危険をも防ぐような大きさを有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、よりコンパクトで、より小さな応力しか発生させないような緩衝デバイスを
提供することを提案することによって、従来技術の課題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを達成するために、本発明は、周部リムが上に設けられた基礎カップを有し中に空
洞を有する支持体を有する計時器要素のアーバー用の緩衝デバイスに関し、この周部リム
は、前記基礎カップの反対側において、上側面によって限界が定められ、前記基礎カップ
と前記周部リムはともに、ハウジングを定め、当該緩衝デバイスは、さらに、アーバーD
に垂直な方向に延在する少なくとも1つのピボットシステムを有し、前記少なくとも1つ
のピボットシステムは、前記ハウジング内に配置されており、基礎121によって形成さ
れており、この基礎の周部に弾性戻し手段123を有し、この弾性戻し手段は、少なくと
も1つの湾曲アーム124によって形成されており、前記基礎には、前記アーバーと連係
することができるピボット要素122が設けられており、前記周部リムは、その厚みの範
囲内において、前記上側面で開いている少なくとも1つの空欠部を有し、この空欠部は、
前記アーバーDと平行に設けられた凹部と、及び前記上側面の反対側において前記凹部の
1つと交わる方向に設けられた非貫通溝とによって形成されており、前記非貫通溝は、前
記少なくとも1つのピボットシステムの湾曲アームを差し込み式フィッティングでロック
するように用いられる。
【0010】
このデバイスの利点は、よりコンパクトであるということであり、したがって、小さな
寸法の計時器用ムーブメントに用いることができる。
【0011】
また、差し込み式フィッティングは、通常用いられる圧入法よりも、単純であって分解
するのが容易であるという利点を有する。
【0012】
第1の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つのアームには、自由端があり、
この自由端は、前記少なくとも1つの溝に係合する。
【0013】
第2の好ましい実施形態においては、溝は、空洞を有し、この空洞に、前記少なくとも
1つの湾曲アームの自由端に位置するキャッチが挿入される。
【0014】
第3の好ましい実施形態において、前記ピボット要素は、単一のジュエルを有する。
【0015】
別の好ましい実施形態において、前記ピボット要素は、セッティングを有し、このセッ
ティングに、前記アーバーシャンクによって横断されるジュエル穴形成部と、及び受け石
とが嵌められる。
【0016】
別の好ましい実施形態において、前記ピボット要素及び前記基礎は、単一部品となるよ
うに作られる。
【0017】
別の好ましい実施形態において、前記弾性戻し手段は、120°角度的にオフセットさ
れた3つの湾曲アームによって形成され、前記リムは、その厚みの範囲内において3つの
空欠部を有する。
【0018】
別の好ましい実施形態において、当該緩衝デバイスは、さらに、軸方向の衝撃があった
場合には、前記アーバーをその初期位置に戻す付加的なばねを有する。
【0019】
別の好ましい実施形態において、前記付加的なばねは、ジョイントないしヒンジ及び2
つのロックタブを有する開いたリングの形態であるリラ形のばねである。
【0020】
別の好ましい実施形態において、前記付加的なばねは、アーバーの方へ延在する肩部を
有する閉じたリングの形態である平坦な環状ばねである。
【0021】
別の好ましい実施形態において、当該デバイスは、各ピボットシステムの1つの湾曲ア
ームを差し込み式フィッティングでロックするために同じ空欠部を用いる2つのピボット
システムを有する。
【0022】
別の好ましい実施形態において、当該デバイスは、ピボットシステムの1つの湾曲アー
ムを差し込み式フィッティングでロックするために空欠部をそれぞれ用いる2つのピボッ
トシステムを有する。
【0023】
例(これに制限されない)としてのみ与えられる添付図面に示した本発明の少なくとも
1つの実施形態についての下記の詳細な説明を読むことで、本発明に係る緩衝デバイスの
目的、利点及び特徴をより明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術による緩衝デバイスの概略図である。
図2】本発明に係る緩衝デバイスの第1の実施形態の概略図である。
図3】本発明に係る緩衝デバイスの概略断面図である。
図4】本発明に係る緩衝デバイスの支持体の概略図である。
図5】本発明の例示的実施形態による緩衝デバイスのピボットシステムを下から見た概略図である。
図6】本発明に係る緩衝デバイスの例示的実施形態の概略図である。
図7】本発明に係る緩衝デバイスの例示的実施形態の概略図である。
図8】本発明に係る緩衝デバイスの第2の実施形態の概略図である。
図9】本発明に係る緩衝デバイスの第2の実施形態の概略図である。
図10】本発明に係る緩衝デバイスの第3の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2及び3は、本発明の第1の実施形態に係る緩衝デバイス100を示している。この
緩衝デバイスを計時器の一部に用いることができる。
【0026】
ショックアブソーバー又は耐衝撃性のデバイス100は、基礎カップ111を有する内
部が空洞状の支持体110を有する。この基礎カップ111の上に、周部リム112がマ
ウントされており、この周部リム112は、カップとは反対側にて、上側面113によっ
て限界が定められている。カップとリムはともに、図3及び4に示すハウジング114の
形を定める。
【0027】
支持体110は、計時器用ムーブメントのフレームに、圧入されたり他の既知の手段に
よって取り付けられたりする独立部品であることができ、又はブリッジやプレートのよう
なムーブメントの別の部品の一部を形成することができる。
【0028】
ピボットシステム120は、アーバーDに沿って延在し、このピボットシステム120
は、カップ111及びリム112によって形が定められるハウジング114の内部に配置
されている。このピボットシステム120は、ディスクの形態の環状基礎121を有する
。この基礎121は、金属、又はケイ素、ルビー、サファイアのような単結晶タイプの材
料、又はセラミックスのような多結晶タイプの材料で作ることができる。
【0029】
図3に示すこの環状基礎121は、ピボット要素122としてはたらく単一部品の要素
127である。すなわち、この環状基礎121には、非貫通穴又は貫通穴12が設けられ
ており、その中にアーバーシャンクが係合する。この穴の直径は、この穴と係合するアー
バーシャンクが、最小のクリアランスで自由に回転することができるように計算される。
【0030】
ピボットシステム120は、さらに、弾性戻し手段123を有する。これらの弾性戻し
手段123は、少なくとも1つの弾性湾曲アーム124によって形成され、その一端によ
って環状基礎121の周部に取り付けられている。これらの弾性戻し手段124は、アー
バーに沿った方向と、アーバーに垂直な方向との両方の反力を有するように選択されてい
る。このことは、軸方向の衝撃又は半径方向の衝撃があった場合にピボットシステム12
0が反作用することができることを意味する。
【0031】
好ましいことに、本発明によると、湾曲アーム124の端は、環状基礎に取り付けられ
ておらず、自由となっている。この特徴によって、従来技術のシステムと比較して、より
コンパクトなピボットシステム120を得ることが可能になる。なぜなら、表面積が小さ
いからである。
【0032】
好ましくは、弾性戻し手段123は、3つの湾曲アーム124によって形成されており
、そのそれぞれは、120°の角度オフセットしている基礎121への取り付け点を有す
る。このような弾性機能を、アーム124の数を変えたり形を変えたりすることで確実に
することができることは明らかである。
【0033】
支持体110にピボットシステム120を固定するために、本発明は、好ましいことに
図4に示すように差し込み式フィッティングシステムを用いることを提案する。
【0034】
これを達成するために、リム112には、その厚みの範囲内において少なくとも1つの
空欠部116が設けられている。この空欠部116は、凹部117と非貫通溝118によ
って形成されている。この凹部117は、アーバーDと平行に設けられ、上側面113で
開いており、非貫通溝118は、上側面113の反対側において、凹部の1つと交わる方
向に設けられている。この溝118は、ピボットシステムの湾曲アーム124を差し込み
式フィッティングでロックするために用いられる。
【0035】
弾性戻し手段113が3つの湾曲アーム124を有する場合には、3つの空欠部116
が設けられる。
【0036】
ピボットシステム120は、湾曲アーム124の自由端を凹部117内に挿入すること
ができるようにハウジング114にマウントされる。このようにして、ピボットシステム
が基礎カップ111の近くになるように、ピボットシステムをハウジングに挿入すること
ができる。ピボットシステムが当接位置に到達すると、湾曲アームを溝118と対向する
ようにしなければならない。結果的に、回転運動が行われて、溝118に湾曲アーム12
4の自由端が挿入され、支持体110内にピボットシステムが固定される。
【0037】
支持ハウジング110にピボットシステム120を固定するこの方法は、小さい応力し
か発生させないという利点を有する。実際に、湾曲アームの端が自由であるので、弾性湾
曲アームどうしは独立している。なぜなら、互いに接続されておらず、単純に変形するこ
とができるためである。
【0038】
溝118又は凹部117の幾何学的構成を変えてもよい。このように、溝118又は凹
部117が、円筒状又は平行六面体又は楕円柱状であってもよいことは明らかである。
【0039】
同様に、必要に応じて、凹部117又は溝118の寸法を適応させることができる。例
えば、凹部117は、リム112の高さの全体又は一部にわたって延在することができる
。凹部がリムの全高さにわたって延在する場合、支持体110におけるアセンブリーの後
に、ピボットシステム120がハウジング114の底に接することになる。すなわち、カ
ップ111に接することになる。しかし、凹部がリム112の全高さにわたって延在しな
い場合、ピボットシステムは、カップ111に接しなくなる。したがって、このことによ
って、凹部117がリム112の全高さにわたって延在する場合と比べて、ピボットシス
テムに大きな運動の自由を与えることができる。
【0040】
好ましい変種の1つにおいて、ハウジング114内におけるピボットシステム120の
ロックが改善される。これを達成するために、図4及び5に示すように、湾曲アーム12
4はそれぞれ、その自由端で、環状基礎121の中央アーバーDに対する半径方向に延在
するキャッチ141を有する。したがって、非貫通溝118はそれぞれ、その溝118よ
りも深さが大きい付加的な空洞140が設けられている。この付加的な空洞によって、そ
こにキャッチ141が係合することが可能になる。
【0041】
結果的に、ピボットシステム120が適所にセットされると、キャッチ141が設けら
れたアーム124は、各凹部117にて係合する。これによって、回転時に、深さの差に
よって、アーム124が弾性変形する。この弾性変形は、環状基礎121の近くに動く湾
曲アーム124によってはっきりと行われる。各アーム124の自由端に位置するキャッ
チ141が溝118の空洞140と対向するように位置していれば、アーム124にかか
る応力が緩和して、アーム124が安静位置に戻る傾向が発生する。このように、各アー
ムのキャッチは、空洞に挿入されて、ピボットシステムの回転を阻止する。
【0042】
凹部及び空洞が同様な深さを有することを思い描くことができる。
【0043】
第2の実施形態において、環状基礎121には、ピボット要素122が収容される中央
オリフィス121a(図示せず)が設けられている。この構成によって、環状基礎121
と弾性戻し手段123を第1の材料で作り、ピボット要素122を第2の材料で作ること
が可能になる。このように、第1及び第2の材料を要求に応じて選択することができる。
例えば、弾性特性がある材料がアーム124に好ましく、ある程度の摩擦及び耐摩耗性を
有する硬い材料が、ピボット要素122のために好ましい。
【0044】
図5及び6に示す第1の例示的実施形態では、ピボット要素122は、単一のジュエル
127の形態である。これは、例えば、ルビーで作られているものである。この単一のジ
ュエル127は、環状基礎121のオリフィス121a内に配置され、非貫通穴又は貫通
穴が設けられており、この中でアーバーシャンクが係合する。この穴の直径は、この穴に
係合するアーバーシャンクが最小のクリアランスで自由に回転することができるように計
算される。この単一のジュエル127は、圧入、接着結合又は溶接又は他の可能性のある
方法によって、環状基礎121のオリフィス121a内に固定される。この実施形態の利
点として、以下の2つの部品のみを有するピボットシステム120を提供することができ
ることが挙げられる。すなわち、ピボット要素としてはたらく単一のジュエル127、及
びアーム124を有する環状基礎121である。
【0045】
図7に示す第2の例示的実施形態において、ピボット要素は、セッティング128を有
する。このセッティング128内において、アーバーシャンクによって横断されるジュエ
ル穴形成部129と、受け石130とが固定される。セッティング128は、外側面と内
側面及び内径D1を有する管状部品の形態である。この内側面には肩部があり、これによ
って、セッティング128が第2の内径D2を有する領域を有する。好ましくは、内径D
2は内径D1よりも大きい。このことによって、ジュエル穴形成部129が内径D1に挿
入され、受け石130が内径D2に挿入され肩部に当接することが可能になる。この場合
において、ジュエル穴形成部129が受け石130よりも小さな直径を有することを想定
することができる。しかし、また、逆の構成も可能である。
【0046】
そのときに、セッティング128は、環状基礎121のオリフィス121a内に配置さ
れ、例えば、圧入、接着結合又は溶接によって固定される。この第2の例示的実施形態は
、伝統的な緩衝デバイスにおいて用いられるセッティング128、ジュエル穴形成部12
9及び受け石130を使用することができるという利点を有する。第2に、この第2の例
によって、潤滑剤の格納が容易になる。
【0047】
この第2の例示的実施形態の変種の1つにおいて、セッティング128及び環状基礎1
21は、ジュエル穴形成部129及び受け石130が環状基礎において直接固定されるよ
うに、単一部品となるように作られる。
【0048】
図8及び9に示す第2の実施形態は、軸方向の衝撃の吸収を改善することを思い描いて
いるものである。これを達成するために、第2の実施形態に係る緩衝デバイスは、さらに
、付加的なばね150を有する。この付加的なばね150は、平坦なリラ形のばねである
。すなわち、この付加的なばね150は、ジョイントないしヒンジ及び2つのロックタブ
を有する開いたリングの形態である。これらのジョイントないしヒンジ及び2つのロック
タブは、直径方向の反対側にある。このようにして、付加的なばねを固定するために、支
持体のリムに固定領域が作られる。この取り付けは、ピボットシステム120に予応力が
与えられるように行われる。軸方向の衝撃があると、アーバーシャンクを介してピボット
システム120に応力が与えられ、その際に、それに応じて湾曲アーム124が変形する
。そのときに、応力が付加的なばね150に与えられ、これは弾性変形する。軸方向の衝
撃に起因する応力が消えていくときに、付加的なばね150は、その初期位置に戻り、ピ
ボットシステム120をその安静位置に戻そうとする。
【0049】
しかし、付加的なばねは、閉じられた平坦な環状ばね151であり、これは、環状ばね
151の中心軸の方へと延在する複数の細長片152を有する。そのときに、図9に示す
ように、この環状ばね151を、リムの上側面に接着又は溶接することができる。
【0050】
図10に示す第3の実施形態において、緩衝デバイス100は、2つのピボットシステ
ム120を有することができる。これらのピボットシステムは、差し込み式フィッティン
グシステムによってハウジング114において支持体110にマウントされることが好ま
しい。これを達成するために、いくつかの可能性を思い描くことができる。
【0051】
第1の可能性は、同じ空欠部116を両方のピボットシステム120に用いることを伴
う。これによって、この空欠部116は、凹部117と2つの非貫通溝118によって形
成され、この凹部117は、アーバーDと平行に設けられ、上側面113で開いており、
この2つの非貫通溝118は、上側面113の反対側において、凹部の1つと交わる方向
に設けられている。これらの2つの溝118どうしは平行であり、それぞれの溝118は
、一方のピボットシステムの一方の湾曲アーム124を差し込み式フィッティングでロッ
クするために用いられる。このようにして、2つのピボットシステム120の間の空間の
形が、2つの溝118の間の空間によって定められる。
【0052】
第2の可能性は、2つの別個の空欠部116を、各ピボットシステム120に対して1
つ有することを伴う。空欠部116はそれぞれ、凹部117と非貫通溝118によって形
成され、この凹部117は、アーバーDと平行に設けられ、上側面113で開いており、
非貫通溝118は、上側面113の反対側において、凹部の1つと交わる方向に設けられ
ている。この溝118は、ピボットシステムの湾曲アーム124を差し込み式フィッティ
ングでロックするために用いられる。2つの空欠部は、これらどうしが角度的にオフセッ
トしており、かつ、異なる平面に位置するように構成する。このように、2つのピボット
システム120のアセンブリーの際には、2つのピボットシステム120の間に空間が発
生することを理解できるであろう。
【0053】
両方の可能性において、図3におけるように、ピボットシステムを完全に単一部品とし
て作ることができ、又はセッティング又は単一のジュエルを基礎121の中央オリフィス
121a内に挿入することかできる。この2つのピボットシステムを備えた構成は、ハウ
ジングにおける最も底側のピボットシステムには、貫通穴が設けられていて、アーバーシ
ャンクが第2のピボットシステムに対して挿入されその上にて支持されることができるこ
とをも意味する。
【0054】
もちろん、2つの空欠部どうしの間のオフセット角は、任意の角度であることができる
【0055】
また、この第3の実施形態は、単に2つのピボットシステム120に制限されているの
ではなく、支持体110のハウジング114内には、多くのピボットシステム120が配
置されていてもよいことを理解できるであろう。
【0056】
本説明において記載した本発明の様々な実施形態に対して、本発明の範囲から逸脱せず
に、当業者に明白な様々な変更及び/又は改良を行うことができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10