特許第6404538号(P6404538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6404538-浮遊選鉱機 図000002
  • 特許6404538-浮遊選鉱機 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404538
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】浮遊選鉱機
(51)【国際特許分類】
   B03D 1/14 20060101AFI20181001BHJP
   C22B 7/04 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B03D1/14 120
   C22B7/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-48163(P2012-48163)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-180289(P2013-180289A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年8月18日
【審判番号】不服-1820(P-1820/J1)
【審判請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠二
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮志
(72)【発明者】
【氏名】桃谷 修
【合議体】
【審判長】 菊地 則義
【審判官】 大橋 賢一
【審判官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−182145(JP,U)
【文献】 特開2012−11303(JP,A)
【文献】 米国特許第5687609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03D 1/00-1/26
C22B 7/00-7/04 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物を含有するスラリーが供給される浮選槽と、
前記スラリーに空気を供給する空気供給手段と、
前記スラリーを撹拌する撹拌手段と、
前記浮選槽に設けられた、該浮選槽に前記スラリーを供給するスラリー供給口と、
前記浮選槽の側壁の一部であって、浮鉱をオーバーフローにより排出する浮鉱の排出部と、
前記浮選槽の側壁の他の一部であって、沈鉱をオーバーフローにより沈鉱樋に排出する沈鉱の排出部と、
前記浮鉱が前記沈鉱の排出部に流れないようにスラリー液面をせき止める隔壁と、
前記浮選槽の側壁の底部近傍に設けられた、浮選に適した粒度を超える前記鉱物の粗粒子を前記沈鉱樋とは別の樋に排出する粗粒子排出口と、を備え、
前記粗粒子排出口には、排出量を調整可能な弁が設けられている
ことを特徴とする浮遊選鉱機。
【請求項2】
前記粗粒子排出口は、前記浮選槽において前記撹拌手段を挟んで前記スラリー供給口と対向する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の浮遊選鉱機。
【請求項3】
前記弁の調整により、前記粗粒子の沈積を解消するとともに、前記粗粒子排出口から排出される前記スラリーの量を調整する
ことを特徴とする請求項1または2記載の浮遊選鉱機を用いた浮遊選鉱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊選鉱機に関する。さらに詳しくは、アジテア型浮遊選鉱機に関する。
【背景技術】
【0002】
銅鉱石から金属銅を製錬する製錬工程で産出される転炉カラミには、約6〜10%の銅が含まれている。この転炉カラミは、破砕機で破砕した後、水を加えてスラリー状として磨鉱し、浮遊選鉱工程へ供給される。浮遊選鉱工程では、スラリー状の転炉カラミに起泡剤や捕収剤、pH調整剤などを添加し、浮遊選鉱機に供給する。そして、転炉カラミ中の銅分がカラミ精鉱として回収され、銅鉱石とともに金属銅の原料として処理される。
【0003】
浮遊選鉱機としてアジテア型浮遊選鉱機が知られている(例えば、特許文献1)。
アジテア型浮遊選鉱機では、転炉カラミ中の銅鉱物が捕収剤などにより表面改質され、気泡表面に付着し、気泡とともに浮鉱として回収される。また、気泡に付着しなかった転炉カラミは沈鉱として外部に排出される。
【0004】
浮遊選鉱においては、供給される鉱物の粒度が重要であるため、浮遊選鉱機にはサイクロンなどの分級機により分級された後の転炉カラミが供給される。しかし、分級が不十分な場合など、粒度の粗い粗粒子が浮遊選鉱機に供給される場合がある。
アジテア型浮遊選鉱機に粗粒子が供給されると、粗粒子が浮選槽内に沈積し、不具合が生じるという問題がある。特に、転炉カラミは他の鉱物に比べて比重が重いので、粗粒子が浮選槽内に沈積しやすいという性質がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭47−17129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、粗粒子が供給されても不具合を防止できる浮遊選鉱機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の浮遊選鉱機は、鉱物を含有するスラリーが供給される浮選槽と、前記スラリーに空気を供給する空気供給手段と、前記スラリーを撹拌する撹拌手段と、前記浮選槽に設けられた、該浮選槽に前記スラリーを供給するスラリー供給口と、前記浮選槽の側壁の一部であって、浮鉱をオーバーフローにより排出する浮鉱の排出部と、前記浮選槽の側壁の他の一部であって、沈鉱をオーバーフローにより沈鉱樋に排出する沈鉱の排出部と、前記浮鉱が前記沈鉱の排出部に流れないようにスラリー液面をせき止める隔壁と、前記浮選槽の側壁の底部近傍に設けられた、浮選に適した粒度を超える前記鉱物の粗粒子を前記沈鉱樋とは別の樋に排出する粗粒子排出口と、を備え、前記粗粒子排出口には、排出量を調整可能な弁が設けられていることを特徴とする。
第2発明の浮遊選鉱機は、第1発明において、前記粗粒子排出口は、前記浮選槽において前記撹拌手段を挟んで前記スラリー供給口と対向する位置に設けられていることを特徴とする。
第3発明の浮遊選鉱機を用いた浮遊選鉱方法は、第1または第2発明において、前記弁の調整により、前記粗粒子の沈積を解消するとともに、前記粗粒子排出口から排出される前記スラリーの量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、粗粒子が供給されても粗粒子排出口から排出できるので、浮遊選鉱機の不具合を防止できる。また、粗粒子とともに排出されるスラリーの量を調整できる。さらに、粗粒子と沈鉱とを分離して排出するので、排出した沈鉱と粗粒子とを別系統で処理することができる。
第2発明によれば、浮選槽におけるスラリーの滞留時間を長時間確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る浮遊選鉱機の縦断面図である。
図2図1におけるII-II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る浮遊選鉱機1は、銅鉱石から金属銅を製錬する製錬工程で産出される転炉カラミから銅分を回収するために用いられる浮遊選鉱機である。
図1に示すように、浮遊選鉱機1は、アジテア型浮遊選鉱機であり、転炉カラミを含有するスラリーが供給される浮選槽10と、浮選槽10内のスラリーに空気を導入し撹拌する撹拌機20とを備えている。
【0011】
浮選槽10の一端には、垂直な筒状のスラリー供給口11が設けられており、スラリー供給口11からスラリーが供給されるようになっている。なお、スラリー供給口11から供給されるスラリーは、転炉カラミを破砕機で破砕した後、水を加えてスラリー状として磨鉱し、浮選に必要な起泡剤や捕収剤、pH調整剤などを添加して得られたものである。
【0012】
撹拌機20は、中空の軸部21と、軸部21の下端に設けられた円板22と、円板22の外周に沿って下垂して設けられた複数の羽根23とから構成されている。また、浮選槽10の底面には、羽根23の周囲を囲むように放射状に複数の邪魔板24が立設されている。
【0013】
撹拌機20は、軸部21の上端が図示しないモータに接続されており、そのモータの駆動により回転し、羽根23によりスラリーを撹拌できるようになっている。また、軸部21の内部には空気が圧送されており、軸部21の下端からスラリーに空気を供給できるようになっている。
なお、撹拌機20は、特許請求の範囲に記載の撹拌手段および空気供給手段に相当する。
【0014】
撹拌機20が空気を供給しながら回転することにより、供給された空気が羽根23で分割され、スラリー中に気泡が発生する。また、邪魔板24によりスラリーの無駄な旋回を防ぎ、撹拌を強くしている。これにより、転炉カラミ中の銅分が発生した気泡に付着してスラリー液面に上昇し浮鉱となる。そして、図2に示すように、浮選槽10の側壁12からオーバーフローした浮鉱は浮鉱樋31に受け止められ回収される。
【0015】
浮選槽10には、撹拌機20を挟んでスラリー供給口11と対向する端部に、スラリー界面調整ゲート13が設けられている。スラリー界面調整ゲート13は、図示しないハンドルにより上下位置が調整可能となっている。気泡に付着しなかった転炉カラミは沈鉱としてスラリー界面調整ゲート13の上縁をオーバーフローして沈鉱樋32に排出される。
なお、撹拌機20とスラリー界面調整ゲート13との間には、隔壁14が設けられており、浮鉱がスラリー界面調整ゲート13に流れないようにスラリー液面付近をせき止めている。
【0016】
スラリー界面調整ゲート13が設けられた浮選槽10の側壁には、底部近傍に粗粒子排出口15が設けられている。この粗粒子排出口15は、浮選槽10の内部と沈鉱樋32とを連通している。また、粗粒子排出口15の沈鉱樋32側の端部には、ゲートバルブ16が設けられている。このゲートバルブ16により、粗粒子排出口15の開閉および開閉量を調整できるようになっている。
【0017】
浮遊選鉱機1に供給されるスラリーに粒度の粗い転炉カラミ(粗粒子)が含まれていると、その粗粒子は浮選槽10に沈積する。沈積した粗粒子はスラリーの撹拌の邪魔となったりして、浮選の不具合の原因となる。ここで、例えば、浮選に適した転炉カラミの粒度が数十から数百μmであるのに対して、粗粒子の粒度は数mmである。
そこで、浮選槽10に粗粒子が沈積した場合には、ゲートバルブ16を開き、粗粒子排出口15から沈鉱樋32へ粗粒子を排出する。ここで、粗粒子は、粗粒子排出口15から排出されるスラリーの流れに乗って排出される。
【0018】
このように、浮遊選鉱機1は、粗粒子が供給されても粗粒子排出口15から排出できるので、粗粒子の沈積を解消および防止できるので、不具合を防止できる。そのため、転炉カラミの浮選を安定して効率良く行える。
【0019】
また、ゲートバルブ16により、粗粒子排出口15からの排出量を調整できるので、粗粒子とともに排出されるスラリーの量を調整できる。そのため、浮選の効率の低下を抑制できる。
【0020】
さらに、本実施形態では、浮選槽10においてスラリー供給口11(スラリーの供給位置)から最も遠い位置に粗粒子排出口15が設けられている。このように配置することで、浮選槽10におけるスラリーの滞留時間を長時間確保できる。そのため、浮選の効率の低下を抑制できる。
【0021】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、粗粒子排出口15を沈鉱樋32に連通させ、粗粒子を沈鉱樋32に排出するように構成したが、これに代えて、粗粒子排出口15を別の樋に連通させ、粗粒子と沈鉱とを分離して排出するようにしてもよい。
このようにすれば、排出した沈鉱と粗粒子とを別系統で処理することができる。例えば、粗粒子をミルなどの破砕機で破砕して浮選に適した粒度にした後、再度浮遊選鉱機に供給してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 浮遊選鉱機
10 浮選槽
11 スラリー供給口
12 側壁
13 スラリー界面調整ゲート
14 隔壁
15 粗粒子排出口
16 ゲートバルブ
20 撹拌機
21 軸部
22 円板
23 羽根
24 邪魔板
31 浮鉱樋
32 沈鉱樋
図1
図2