特許第6412114号(P6412114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6412114抗体薬物コンジュゲート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412114
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】抗体薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20181015BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20181015BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20181015BHJP
   C07K 5/062 20060101ALI20181015BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20181015BHJP
   C07D 309/32 20060101ALI20181015BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20181015BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20181015BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   A61K47/68
   C07K19/00
   C07K16/00
   C07K5/062
   C07D405/12
   C07D309/32
   A61K39/395 N
   A61K39/395 U
   A61K39/395 D
   A61K39/395 C
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】33
【全頁数】242
(21)【出願番号】特願2016-516199(P2016-516199)
(86)(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公表番号】特表2016-526042(P2016-526042A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】EP2014061392
(87)【国際公開番号】WO2014191578
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】1309807.4
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505404208
【氏名又は名称】ファルマ、マール、ソシエダード、アノニマ
【氏名又は名称原語表記】PHARMA MRS,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カルメン・クエヴァス・マルチャンテ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・マヌエル・ドミンゲス・コリア
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・フランセスク・ソリョーソ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ガランソ・ガルシア−イバローラ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ホセ・ムニョス・アロンソ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・サンチェス・マドリード
(72)【発明者】
【氏名】ファン・マヌエル・ザパタ・エルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】アリシア・ガルシア・アロヨ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・アンヘレス・ウルサ・ペチャロマン
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−539943(JP,A)
【文献】 特表2011−506575(JP,A)
【文献】 特表2009−539820(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/149688(WO,A1)
【文献】 特表2011−506578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00−47/69
9/00− 9/72
31/00−33/44
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物コンジュゲートの残りに共有結合で付着されている薬物部分を含む薬物コンジュゲートであって、前記化合物が、式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Ab [式中:
Dは、以下の式(Ia)及び(Ib):
【化1】
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(式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【化2】
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(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1、R2及びR3の各々は、水素、ORa、OCORa、OCOORa、NRaRb、NRaCORb、NRaC(=NRa)NRaRb、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、COORa、CONRaRb、S(O)Ra、SO2Ra、P(O)(Ra)Rb、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11は、水素、CORa、COORa、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から選択され、又はR11及びR12は、それらが付着されている対応するN原子及びC原子と一緒に、1個又は複数の環を有し、NR11の窒素原子に加えて前記環において酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1種又は複数のさらなるヘテロ原子を任意選択で含む5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基を形成することができ、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R13は、水素、CORa、COORa、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル、置換又は非置換C2〜C12アルキニル及び置換又は非置換C4〜C12アルケニニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C12アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から18個の炭素原子を有し、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されているアリール基、及び1個又は複数の環を有する5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基からなる群から選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R27は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル及びハロゲンから選択され;
Ra及びRbの各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル、置換又は非置換C2〜C12アルキニル、1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有する置換又は非置換アリール基、及び1個又は複数の環を有する5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基からなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
置換基Rxは、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC1〜C12アルキル基、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC2〜C12アルケニル基、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC2〜C12アルキニル基、ハロゲン原子、オキソ基、チオ基、シアノ基、ニトロ基、ORy、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、S(O)Ry、SO2Ry、P(O)(Ry)ORz、NRyRz、NRyCORz、NRyC(=O)NRyRz、NRyC(=NRy)NRyRz、アリール基、アリール基で置換されている1個から12個の炭素原子を有するアルキル基を含むアラルキル基、アリール基で置換されている1個から12個の炭素原子を有するアルコキシ基を含むアラルキルオキシ基、並びに1個又は複数の環を有し、前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む5員から14員の飽和又は不飽和の複素環式基からなる群から選択され、前記複素環式基は、1個又は複数の置換基Ryで任意選択で置換されており、任意の所与の基上に1個より多い任意選択の置換基がある場合、任意選択の置換基Ryは同じ又は異なっていてよく、前記アリール基は、Ry、ORy、OCORy、OCOORy、NRyRz、NRyCORz及びNRyC(=NRy)NRyRzからなる群から選択される同じ又は異なっていてよい1個又は複数の置換基で任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有し;
各Ry及びRzは、水素、C1〜C12アルキル基、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されているC1〜C12アルキル基、1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基で置換されているC1〜C12アルキル基を含むアラルキル基、並びに1個又は複数の環を有し、前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む5員から14員の不飽和又は飽和の複素環式基で置換されているC1〜C12アルキル基を含むヘテロシクロアルキル基からなる群から独立して選択され;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない)
から選択される薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体もしく立体異性体であり;
Lが:
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
波線は、Ab(右への波線)及びあるならば(AA)w、又はあるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-C3〜C8カルボシクロ、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C18アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C18アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C18アリーレン-C1〜C12アルキレン-、-C1〜C12アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(C3〜C8カルボシクロ)-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C14ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C14ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C14ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C6アルキレン-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(CH2CH2O)s-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-CON(H又はC1〜C6アルキル)-C1〜C6アルキレン-、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン、フェニレン部分が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン-C1〜C6アルキレン-、及び-C1〜C6アルキレン-CON(H又はC1〜C6アルキル)C1〜C6アルキレン-からなる群から選択され;
Qは、-N(H又はC1〜C6アルキル)フェニレン-及び-N(H又はC1〜C6アルキル)-(CH2)sからなる群から選択され;
rは、1から10を範囲とする整数であり;
sは、1から10を範囲とする整数である]
からなる群から選択されるリンカー基であり;
(AA)wが、式(II):
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CONH2、-CH2COOH、-CH2CH2CONH2、-CH2CH2COOH、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NHCOCH3、-(CH2)3NHCHO、-(CH2)4NHC(=NH)NH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)4NHCOCH3、-(CH2)4NHCHO、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NHCONH2、-CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
wは、0から12を範囲とする整数である]
であり;
Xが:
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-;
-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-COCH2NH-COCH2-NH-;
-COCH2NH-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)S-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)NH-;及び
-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-
からなる群から選択される伸長基であり;
bは、0又は1の整数であり;
Abは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から20の範囲である]
を有する薬物コンジュゲート。
【請求項2】
Lが:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[式中:
波線は、Ab(右への波線)及びあるならば(AA)w、又はあるならば (X)b、又は薬物部分(左への波線)への共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C12アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C12ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C12ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C12ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C6アルキレン-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、及び1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレンからなる群から選択され;
rは、1〜6を範囲とする整数である]
からなる群から選択されるリンカー基であり;
(AA)wが、式(II):
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CONH2、-CH2COOH、-CH2CH2CONH2、-CH2CH2COOH、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NHCOCH3、-(CH2)3NHCHO、-(CH2)4NHC(=NH)NH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)4NHCOCH3、-(CH2)4NHCHO、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NHCONH2、-CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
wは、0から12を範囲とする整数である]
であり;
ここで、Xが、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-、-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-COCH2-NH-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)S-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)NH-及び-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R2及びR3は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、Raは置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz及びNRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々が、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から12個の炭素原子を有するアリール基から選択され、前記アリール基が、1個又は複数の置換基Rx及び1個又は複数の環を有する5員から10員の不飽和又は飽和の複素環式基で任意選択で置換されており、前記複素環式基が、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており、ここで、置換基Rxは1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、1個から6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、及び1個から6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基からなる群から選択され;
R27は、水素、ハロゲン並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在せず;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、抗体又はその抗原結合断片であり、それが、ヒト抗体、ヒト抗体の抗原結合断片、ヒト化抗体、ヒト化抗体の抗原結合断片、キメラ抗体、キメラ抗体の抗原結合断片、グリコシル化抗体及びグリコシル化抗原結合断片からなる群から選択され;
nが、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から12の範囲である、
請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項3】
式(IV)及び(V):
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
[式中:
R19は、-C1〜C8アルキレン-、-O-(C1〜C8アルキレン)、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C8アルキレン-C6〜C12アリーレン-、及びアリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C8アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C3アルキレン-及び-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-からなる群から選択され;
(AA)wは、式(II)
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドリルメチル、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2及び-(CH2)4NHC(=NH)NH2からなる群から選択され、
wは、0から6の整数である)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換及び非置換メチル、置換及び非置換イソプロピル、並びに置換及び非置換tert-ブチルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz、NRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々が、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び1個又は複数の置換基RXで任意選択で置換されているフェニル基から選択され;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在せず;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、抗体又は抗原結合断片は、癌細胞抗原、ウイルス抗原、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞の抗原、微生物抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体、好ましくは癌細胞抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から8の範囲である]
から選択される、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項4】
式(IV)及び(V):
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
[式中:
R19は、-C1〜C6アルキレン-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-フェニレン-C1〜C6アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、6個から12個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく、好ましくはR19が、C1〜C6アルキレン基であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R22は、メチル、ベンジル、イソプロピル、sec-ブチル及びインドリルメチルから選択され;
R23は、メチル、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHCONH2及び-(CH2)3NHC(=NH)NH2から選択される)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-,-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R5、R7、R8、R9及びR10の各々は、水素であり;
R4及びR6の各々は、メチルであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R12は、イソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素及びC1〜C6アルキル基、好ましくは水素及びメチルからなる群から独立して選択され;
R18は、水素及びフェニルから選択され、好ましくは水素であり;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
1つ又は複数の点線によって連結される炭素の各対は、二重結合を介して結合されており;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、アブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、グレムバツムマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ロルボツズマブ、ミラツズマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ピナツズマブ、リツキシマブ、ボルセツズマブ、トラスツズマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体からなる群から選択されるモノクローナル抗体、又はその免疫学的活性部分であり、好ましくは抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項5】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項4に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項6】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項4に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項7】
式(IV)及び(V):
【化13】
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[式中:
R19は、-C3〜C6アルキレン-であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化14】
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(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、ここで、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、以下の基:
【化15-1】
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【化15-2】
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【化15-3】
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【化15-4】
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【化15-5】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、又はその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項8】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項7に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項9】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項7に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項10】
式(IV)及び(V):
【化16】
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[式中:
R19は、-C3〜C6アルキレン-であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wがで2ある場合、(AA)wは、式(III):
【化17】
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(式中、R22がイソプロピルであり、R23が-(CH2)3NHCONH2であり、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは:
【化18】
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(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項11】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項10に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項12】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項10に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項13】
式(IV):
【化19】
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[式中:
R19は、-C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化20】
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(式中、R22がイソプロピルであり、R23が-(CH2)3NHCONH2であり、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカー(右への波線)への共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-及び-CONH(CH2)3NH-から選択される伸長基である];又は式(V)
【化21】
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[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-CONH(CH2)3-S-及び-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dは:
【化22】
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(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ia)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項14】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項13に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項15】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項13に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項16】
式(IV):
【化23】
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[式中、R19は、-C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化24】
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(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、及び--(CH2)3NH-から選択される伸長基である];又は式(V)
【化25】
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[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-(CH2)3S-及び-(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dは:
【化26】
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(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する、Lが(V)又は(VI)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の、請求項1に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項17】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項16に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項18】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項16に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項19】
【化27】
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[式中、
【化28】
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の各々は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択される]
からなる群から選択される、請求項13に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項20】
【化29】
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[式中、
【化30】
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の各々は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択される]
からなる群から選択される、請求項10に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項21】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体又はその免疫学的活性部分から選択される、請求項19又は20に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項22】
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abがトラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である、請求項19又は20に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項23】
式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-H [式中:
L1は:
【化31】
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(式中、波線の各々は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
Gは、ハロ、-O-メシル及び-O-トシルから選択され;
Jは、ハロ、ヒドロキシ、-N-スクシンイミドキシ、-O-(4-ニトロフェニル)、-O-ペンタフルオロフェニル、-O-テトラフルオロフェニル及び-O-C(O)-OR20から選択され;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-C3〜C8カルボシクロ、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C18アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C18アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C18アリーレン-C1〜C12アルキレン-、-C1〜C12アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(C3〜C8カルボシクロ)-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C14ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C14ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C14ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
R20は、C1〜C12アルキル又は1個若しくは複数の芳香族環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基であり、前記アリール基は、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており;
rは、1〜10を範囲とする整数である)
からなる式の群から選択されるリンカーであり;
D、X、AA及びwの各々は、請求項1から22のいずれか一項に規定の通りである]
の化合物。
【請求項24】
L1が、式:
【化32】
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[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C12アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C12ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C12ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C12ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
rは、1〜6を範囲とする整数である]
のリンカーであり;
D、X、AA及びwの各々が、請求項1から22のいずれか一項に規定の通りである、
請求項23に記載の式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項25】
L1が、式:
【化33】
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[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C8アルキレン-、-O-(C1〜C8アルキレン)、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C8アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C8アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよい]
のリンカーであり;
(AA)wが、式(II):
【化34】
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[式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示し;
式中、R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドリルメチル、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2及び-(CH2)4NHC-(=NH)NH2からなる群から選択され、wは、0から6の整数である]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)-NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体:
【化35】
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[式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、Xへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【化36】
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(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1は、水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R2及びR3は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、Raは置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13の各々は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz、NRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々は、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び1個又は複数の置換基RXで任意選択で置換されているフェニル基から選択され;
R27は、水素、ハロゲン及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない]
である、請求項23に記載の式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項26】
L1が、式:
【化37】
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[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C6アルキレン-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン-C1〜C6アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、6個から12個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく、好ましくは、R19はC1〜C6アルキレン基である]
の基であり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化38】
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[式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示し;
R22は、メチル、ベンジル、イソプロピル、sec-ブチル及びインドリルメチルから選択され;
R23は、メチル、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHCONH2及び-(CH2)3NHC(=NH)NH2から選択される]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、-CONH(C2〜C4アルキレン)NHCOO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO-(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)又は式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体:
【化39】
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[式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、Xへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【化40】
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(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R5、R7、R8、R9及びR10の各々は、水素であり;
R4及びR6の各々は、メチルであり;
R12は、イソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素及びC1〜C6アルキル基、好ましくは水素及びメチルからなる群から独立して選択され;
R18は、水素及びフェニルから選択され、好ましくは水素であり;
R27は、水素又はハロゲンであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない]
である、請求項23に記載の式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項27】
L1が、式:
【化41】
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[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C3〜C6アルキレン-である]
のリンカーであり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化42】
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[R22は、イソプロピルであり、R23は、-(CH2)3NHCONH2であり、式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示す]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dが、以下の基:
【化43-1】
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【化43-2】
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【化43-3】
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【化43-4】
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【化43-5】
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[式中、波線は、Xへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体である、請求項23に記載の式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項28】
L1が、式:
【化44】
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[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C5アルキレン-である]
の基であり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【化45】
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[式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示す]
であり;
Xが、-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、-CONH(CH2)3NH-、-CONH(CH2)3-S-及び-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dが:
【化46】
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[式中、波線は、Xへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(Ia)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体である、
請求項23に記載の式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項29】
【化47】
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から選択される、請求項23から28のいずれか一項に記載の式D-X-(AA)w-L1の化合物。
【請求項30】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される、請求項23から28のいずれか一項に記載の式D-X-(AA)w-Hの化合物。
【請求項31】
医薬としての使用のための、請求項1から22のいずれか一項に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項32】
癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される癌の処置における使用のための、請求項1から22のいずれか一項に記載の薬物コンジュゲート。
【請求項33】
請求項1から22のいずれか一項に記載の薬物コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な薬物コンジュゲート、薬物リンカー化合物、それらの調製のための方法、前記薬物コンジュゲートを含有する医薬組成物、及び抗腫瘍剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第WO-A-2007/144423号及び同第WO-A-2009/080761号は、非常に有望な抗腫瘍活性を実証する新規なジヒドロピラン-2-オン及びテトラヒドロピラン-2-オン誘導体を開示している。WO-A-2007/144423に開示されているPM060184は、現在、固形腫瘍の予防及び処置のためのフェーズI臨床試験中である。
【0003】
癌の処置は、より効果的に癌細胞を標的及び死滅させる医薬実体の開発とともに近年著しく進歩してきた。研究者らは、癌細胞等の標的細胞によって選択的に発現される細胞表面受容体及び抗原を利用することで、腫瘍の例においては腫瘍特異的又は腫瘍関連の抗原に結合する抗体に基づく医薬実体を開発してきた。これを達成するために、細胞毒性分子、例えば化学療法薬、細菌及び植物毒素並びに放射性核種は、腫瘍特異的又は腫瘍関連の細胞表面抗原を結合するモノクローナル抗体に化学的に連結されてきた(例えば、国際特許出願第WO-A-2004/010957号、同WO-A-2006/060533号及び同WO-A-2007/024536号を参照されたい)。こうした化合物は、典型的に、薬物、毒素及び放射性核種の「コンジュゲート」と称される。腫瘍細胞死滅は、腫瘍細胞への薬物コンジュゲートの結合、並びに薬物部分の細胞毒活性の放出又は/及び活性化時に発生する。薬物コンジュゲートによってもたらされる選択性は、正常細胞に対する毒性を最小化し、それによって患者における薬物の耐容性を増強する。販売承認を受けているこの型の薬物抗体コンジュゲートの3つの例は:急性骨髄性白血病のためのゲムツズマブオゾガマイシン、再発及び難治性ホジキンリンパ腫並びに未分化大細胞リンパ腫のためのブレンツキシマブベドチン、並びに乳癌、殊にHER2+のためのado-トラスツズマブエムタンシンである。
【0004】
癌化学療法のための薬物の有効性は、一般に、成長率における差異、生化学的経路、及び癌と正常組織との間の生理的特徴に依拠する。その結果として、大部分の標準的な化学療法薬は、相対的に非特異的であり、最適以下の治療効果に寄与する用量制限毒性を呈する。悪性細胞を選択的に標的にし、健常組織を標的にしない1つの手法は、腫瘍細胞の表面上に発現される腫瘍関連抗原を認識する特異的モノクローナル抗体(mAb)を使用することである[Meyer、D.L. & Senter、P.D. (2003) Recent advances in antibody drug conjugates for cancer therapy. Annu. Rep. Med. Chem.、38、229〜237頁; Chari、R.V. (2008) Targeted cancer therapy: conferring specificity to cytotoxic drugs. Acc. Chem. Res. 41、98〜107頁]。mAb及び誘導体は、現在、治療用分子の最も早く成長するクラスである。30種より多いG型免疫グロブリン(IgG)及び関連薬剤が、主に癌及び炎症性疾患のために過去25年にわたって承認されてきた。腫瘍学において、mAbは、しばしば細胞毒性薬と組み合わせられ、それらの治療的有効性を増強する。代替として、小さい抗新生物性分子は、担体(半減期の増加)及び標的剤(選択性)の両方として使用されるmAbに化学的にコンジュゲートすることができる。かなりの努力が、腫瘍関連抗原へのモノクローナル抗体(mAb)の高い選択性、有利な薬物動態、及び相対的に低い固有の毒性により、標的化薬物送達のためのモノクローナル抗体(mAb)の使用に向けられてきた。mAb-薬物コンジュゲート(ADC)は、通常条件的に安定なリンカー系を介して抗癌薬をmAbに共有結合で連結することによって形成される。細胞表面抗原に結合すると、大部分のADCのために使用されるmAbは、リソソーム又は他の細胞内区画に能動的に輸送され、ここで、酵素、低pH又は還元剤は薬物放出を容易にする。
【0005】
抗原は、毒性及びオフターゲット効果を制限するための高い腫瘍細胞選択性を有しているに違いない。数例を挙げると、B細胞(例えば、CD20、CD22、CD40、CD79)、T細胞(CD25、CD30)、癌腫細胞(HER2、EGFR、EpCAM、EphB2、PSMA)、内皮(エンドグリン)、又はストロマ細胞(線維芽細胞活性化タンパク質)において過剰発現される抗原を含めて、多くの腫瘍関連抗原が前臨床モデル及び臨床試験において調査されてきた[Teicher BA. Antibody-drug conjugate targets. Curr Cancer Drug Targets 9(8):982〜1004頁、2009]。ADC標的についての主要及び決定的な特性は、内部移行されるというそれらの能力であり;これは、それ自体で抗原の固有の特色であり得るか、又はそれは、それの抗原への抗体の結合によって誘導され得る。実際に、ADC内部移行は、薬物ペイロードの細胞外送達に関連する毒性を低減するのに不可欠である。
【0006】
コンジュゲート小分子に関して、及び膨大なさまざまな推定抗原標的とは対照的に、ADCにおいてペイロードとして使用される細胞毒性薬の限られた数のファミリーが、臨床試験において現在盛んに調査されている:カリチアマイシン(Pfizer)、デュオカルマイシン(Synthon)、ピロロベンゾジアゼピン(Spirogen)、イリノテカン(Immunomedics)、メイタンシノイド(DM1及びDM4; ImmunoGen + Genentech/ Roche、Sanofi-Aventis、Biogen Idec、Centocor/Johnson & Johnson、Millennium/Takeda)、及びオーリスタチン(MMAE及びMMAF; Seattle Genetics + Genentech/Roche、MedImmune/AstraZeneca、Bayer-Schering、Celldex、Progenics、Genmab)。カリチアマイシン、デュオカルマイシン及びピロロベンゾジアゼピンはDNA副溝バインダーであり、イリノテカンはトポイソメラーゼI阻害剤であり、一方、メイタンシノイド及びオーリスタチンはチューブリン脱重合薬剤である。それらの共通の特色の1つは、例えば第一世代ADCにおいて使用されるドキソルビシン(10-7M)と比較して、それらの高い遊離薬物効力(10-9から10-11M)である。成功のための別のキー要素は、伝統的なプロドラッグと同様の、活性代謝物の放出を可能にするリンカー付着のための「許容的」位置の明快な知識である。
【0007】
興味深いことに、これらの細胞毒性誘導ADCの3つの代表は、後期段階臨床試験に達している。トラスツズマブエムタンシン(T-DM1)、安定なリンカーによってメイタンシノイド半合成薬物に連結されたトラスツズマブ(進行型HER2陽性乳癌のため、2013年2月22日にFDA認可);イノツズマブオゾガマイシン(CMC-544)、酸不安定性リンカーを用いてカリチアマイシンにコンジュゲートされたヒト化抗CD22 mAb (G5/44、IgG4) (アセチルフェノキシ-ブタン酸) (B細胞非ホジキンリンパ腫);ブレンツキシマブベドチン、マレイミドカプロイル-バリル-シトルリニル-p-アミノベンジルカーバメートリンカーを介してモノメチルオーリスタチンE (MMAE)に連結されたヒト化抗CD30 mAb (未分化大細胞リンパ腫及びホジキンリンパ腫のため、2011年8月19日にFDA認可)。
【0008】
リンカーは、ADC構造のキー構成要素の代表である。酸不安定性ヒドラゾンリンカー(リソソーム) (例えばゲムツズマブ及びイノツズマブオゾガマイシン);ジスルフィド系リンカー(還元的細胞内環境);切断不可能なチオエーテルリンカー(リソソームにおける異化分解) (例えば、トラスツズマブエムタンシン);ペプチドリンカー(例えばシトルリン-バリン) (カテプシンBのようなリソソームプロテアーゼ) (例えばブレンツキシマブベドチン)を含めて、第二世代リンカーのいくつかのクラスが調査されており:例えば、WO-A-2004/010957、WO-A-2006/060533及びWO-A-2007/024536を参照されたい。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による抗体-薬物コンジュゲートの精製も記載された[例えば、Liuら、Proc. Natl. Acad. Set (USA)、93: 8618〜8623頁(1996)、及びChariら、Cancer Research、52: 127〜131頁(1992)を参照されたい]。
【0009】
トラスツズマブ(ハーセプチン)は、HER2/neu受容体に干渉するモノクローナル抗体である。それの主な使用は、ある特定の乳癌を処置することである。HER受容体は、細胞膜に包埋されているタンパク質であり、細胞の外側からの分子シグナル(EGFと呼ばれる分子)を細胞の内側へ伝え、遺伝子をオン及びオフにする。HERタンパク質は、細胞増殖を刺激する。一部の癌、とりわけ特定の型の乳癌において、HER2は過剰発現され、癌細胞を制御不可能に複製させる。
【0010】
HER2遺伝子は、初期段階乳癌の20〜30%において増幅され、このことがそれに、細胞膜において上皮成長因子(EGF)受容体を過剰発現させる。一部の型の癌において、HER2は、成長因子が受容体に到着及び結合することなくシグナルを送ることがあり、細胞におけるそれの効果を恒常的にする;しかしながら、トラスツズマブは、この場合において有効でない。
【0011】
HER2経路は、それが正常に機能している場合には細胞の成長及び分裂を促進する;しかしながら、それが過剰発現される場合、細胞成長は、それの正常限度を超えて加速する。一部の型の癌において、該経路が利用されて、急速な細胞の成長及び増殖並びにそれゆえに腫瘍形成を促進する。癌細胞において、HER2タンパク質は、正常細胞中より最大100倍発現され得る(1細胞当たり2百万対2万)。この過剰発現は、強い及び一定の増殖シグナリング、並びにそれゆえに腫瘍形成に至る。HER2の過剰発現は、チェックポイントの非活性化も引き起こし、増殖の更に大きな増加を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第WO-A-2007/144423号
【特許文献2】国際公開第WO-A-2009/080761号
【特許文献3】国際特許出願第WO-A-2004/010957号
【特許文献4】国際特許出願WO-A-2006/060533号
【特許文献5】国際特許出願WO-A-2007/024536号
【特許文献6】US 4816567
【特許文献7】WO 94/04690
【特許文献8】米国特許第5625126号
【特許文献9】米国特許第5633425号
【特許文献10】米国特許第5569825号
【特許文献11】米国特許第5661016号
【特許文献12】米国特許第5545806号
【特許文献13】WO 97/34631
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Meyer、D.L. & Senter、P.D. (2003) Recent advances in antibody drug conjugates for cancer therapy. Annu. Rep. Med. Chem.、38、229〜237頁
【非特許文献2】Chari、R.V. (2008) Targeted cancer therapy: conferring specificity to cytotoxic drugs. Acc. Chem. Res. 41、98〜107頁
【非特許文献3】[Teicher BA. Antibody-drug conjugate targets. Curr Cancer Drug Targets 9(8):982〜1004頁、2009
【非特許文献4】Liuら、Proc. Natl. Acad. Set (USA)、93: 8618〜8623頁(1996)
【非特許文献5】Chariら、Cancer Research、52: 127〜131頁(1992)
【非特許文献6】Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版 (Donald J. Abraham ed.、2001、Wiley)
【非特許文献7】「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard編集、1985、Harwood Academic Publishers
【非特許文献8】Kohlerら (1975) Nature 256:495
【非特許文献9】(Kozborら、1983、Immunology Today 4: 72
【非特許文献10】Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、Inc.、77〜96頁
【非特許文献11】Clacksonら (1991) Nature、352:624〜628
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【非特許文献13】Holliger & Hudson、Nature Biotechnology、2005、9、23
【非特許文献14】Sureshら、Methods in Enzymology、1986、121:210頁
【非特許文献15】Rodriguesら、1993、J. of Immunology 151:6954〜6961頁
【非特許文献16】Carterら、1992、Bio/Technology 10:163〜167頁
【非特許文献17】Carterら、1995、J. of Hematotherapy 4:463〜470頁
【非特許文献18】Merchantら、1998、Nature Biotechnology 16:677〜681頁
【非特許文献19】Lonberg及びHuszar (1995、Int. Rev. Immunol. 13:65〜93頁)
【非特許文献20】Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、Md
【非特許文献21】Kabat Eら、1980、J. of Immunology 125(3):961〜969頁
【非特許文献22】Trail、P. A.、ら Science (1993) 261、212〜215頁
【非特許文献23】Trail、PAら、Cancer Research (1997) 57、100〜105頁
【非特許文献24】Francisco、J. A.ら、Cancer Res. (2000) 60:3225〜3231頁
【非特許文献25】Bowen、M. A.ら、(1993) J. Immunol.、151:5896〜5906頁
【非特許文献26】Wahlら、2002 Cancer Res. 62(13):3736〜42頁
【非特許文献27】Franke、A. E.ら、Cancer Biother Radiopharm. (2000) 15:459〜76頁
【非特許文献28】Murray、J. L.、(2000) Semin Oncol、27:64〜70頁
【非特許文献29】Breitling、F.、及びDubel、S.、Recombinant Antibodies、John Wiley、and Sons、New York、1998
【非特許文献30】Schecterら、Nature 312:513 (1984)
【非特許文献31】Drebinら、Nature 312:545〜548頁(1984)
【非特許文献32】E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在までペイロードとして使用されてきた細胞毒性薬のファミリーに基づかない新規な活性薬物コンジュゲートの必要がある。本発明はこの必要に取り組む。それは、本発明の薬物コンジュゲートの調製における使用のための新規な薬物リンカー化合物、本発明の新規な薬物コンジュゲートの調製のためのプロセス、前記薬物コンジュゲートを含有する医薬組成物、及び抗腫瘍剤としてのそれらの使用、並びに癌の処置における使用のための本発明の薬物コンジュゲートを含むキットを更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様では、薬物コンジュゲートの残りに共有結合で付着されている薬物部分を含む薬物コンジュゲートであって、前記化合物が、式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Ab [式中:
Dは、以下の式(I):
【0016】
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
【0017】
(式中、Aは、
【0018】
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
【0019】
から選択され;
R1、R2及びR3の各々は、水素、ORa、OCORa、OCOORa、NRaRb、NRaCORb、NRaC(=NRa)NRaRb、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、COORa、CONRaRb、S(O)Ra、SO2Ra、P(O)(Ra)Rb、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11は、水素、CORa、COORa、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から選択され、又はR11及びR12は、それらが付着されている対応するN原子及びC原子と一緒に、1個又は複数の環を有し、NR11の窒素原子に加えて前記環において酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1種又は複数のさらなるヘテロ原子を任意選択で含む5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基を形成することができ、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R13及びR14の各々は、水素、CORa、COORa、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル、置換又は非置換C2〜C12アルキニル及び置換又は非置換C4〜C12アルケニニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
Ra及びRbの各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル、置換又は非置換C2〜C12アルキニル、1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有する置換又は非置換アリール基、及び1個又は複数の環を有する5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基からなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
置換基Rxは、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC1〜C12アルキル基、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC2〜C12アルケニル基、少なくとも1個のRy基で任意選択で置換されていてよいC2〜C12アルキニル基、ハロゲン原子、オキソ基、チオ基、シアノ基、ニトロ基、ORy、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、S(O)Ry、SO2Ry、P(O)(Ry)ORz、NRyRz、NRyCORz、NRyC(=O)NRyRz、NRyC(=NRy)NRyRz、Ry、ORy、OCORy、OCOORy、NRyRz、NRyCORz及びNRyC(=NRy)NRyRzからなる群から選択される同じ又は異なっていてよい1個又は複数の置換基で任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基、上記で定義されている通り任意選択で置換されているアリール基で置換されている1個から12個の炭素原子を有するアルキル基を含むアラルキル基、上記で定義されている通り任意選択で置換されているアリール基で置換されている1個から12個の炭素原子を有するアルコキシ基を含むアラルキルオキシ基、並びに1個又は複数の環を有し、前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む5員から14員の飽和又は不飽和の複素環式基からなる群から選択され、前記複素環式基は、1個又は複数の置換基Ryで任意選択で置換されており、任意の所与の基上に1個より多い任意選択の置換基がある場合、任意選択の置換基Ryは同じ又は異なっていてよく;
各Ry及びRzは、水素、C1〜C12アルキル基、少なくとも1個のハロゲン原子で置換されているC1〜C12アルキル基、1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基で置換されているC1〜C12アルキル基を含むアラルキル基、並びに1個又は複数の環を有し、前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む5員から14員の不飽和又は飽和の複素環式基で置換されているC1〜C12アルキル基を含むヘテロシクロアルキル基からなる群から独立して選択され;
各点線は、任意選択の追加の結合を表し;
各波線は、A基から薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
を有する薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
Xは、伸長基であり;
各AAは、独立して、アミノ酸単位であり;
Lは、リンカー基であり;
wは、0から12を範囲とする整数であり;
bは、0又は1の整数であり;
Abは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から20の範囲である]
を有する薬物コンジュゲートが提供される。
【0020】
より詳細に下記で説明及び例証する通り、本発明の式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲートは、優れた抗腫瘍活性を示す、現在までペイロードとして使用されてきた細胞毒性薬の3つの主なファミリーに基づくものに加えて、更なる薬物コンジュゲートを必要とする上記で概説されている問題に取り組む上で大きな進歩を表す。
【0021】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、Dが式(Ia)及び(Ib):
【0022】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0023】
[式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【0024】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0025】
(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1、R2、R3、R3'、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、Ra、Rb、Rx、Ry及びRzの各々は、本発明の第1の態様で定義されている通りであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル、置換又は非置換C2〜C12アルケニル及び置換又は非置換C2〜C12アルキニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C12アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から18個の炭素原子を有し、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されているアリール基、及び1個又は複数の環を有する5員から14員の置換又は非置換の不飽和又は飽和の複素環式基からなる群から選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R27は、水素、置換又は非置換C1〜C12アルキル及びハロゲンから選択され;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない]
から選択される薬物部分である、請求項1に記載の薬物コンジュゲート、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体が提供される。
【0026】
本発明の第2の態様では、式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-H、[式中:
L1は:
【0027】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0028】
(波線の各々は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
Gは、ハロ、-O-メシル及び-O-トシルから選択され;
Jは、ハロ、ヒドロキシ、-N-スクシンイミドキシ、-O-(4-ニトロフェニル)、-O-ペンタフルオロフェニル、-O-テトラフルオロフェニル及び-O-C(O)-OR20から選択され;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-C3〜C8カルボシクロ、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C18アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C18アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C18アリーレン-C1〜C12アルキレン-、-C1〜C12アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(C3〜C8カルボシクロ)-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C14ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C14ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C14ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
R20は、C1〜C12アルキル、又は1個若しくは複数の芳香族環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基であり、前記アリール基は、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており;
rは、1〜10を範囲とする整数である)
からなる式の群から選択されるリンカーであり;
D、X、AA及びwの各々は、本発明の第1の態様で定義されている通りである]
の化合物が提供される。
【0029】
本発明の第3の態様では、医薬としての使用のための本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートが提供される。
【0030】
本発明の第4の態様では、癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される癌の処置における使用のための本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートが提供される。最も好ましい癌は、結腸直腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫、及び卵巣癌から選択される。
【0031】
本発明の第5の態様では、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0032】
本発明の第6の態様では、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、癌の予防又は処置のための方法が提供される。好ましくは、癌は、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される。最も好ましい癌は、結腸直腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫、及び卵巣癌から選択される。
【0033】
本発明の第7の態様では、癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される癌の処置のための医薬の調製における本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの使用が提供される。最も好ましい癌は、結腸直腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫、及び卵巣癌から選択される。
【0034】
本発明の第8の態様では、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの治療有効量及び薬学的に許容される担体を含むキットが提供される。キットは、癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される癌の処置における使用のためである。最も好ましい癌は、結腸直腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫及び卵巣癌から選択される。
【0035】
本発明の第9の態様では、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Ab及び式(I)、(Ia)又は(Ib)の薬物Dをコンジュゲートすることを含む、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの調製のためのプロセスが提供され、Ab及びDは、本発明の第1の態様で定義されている通りである。
【0036】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の化合物において、R1、R2、R3、R3'、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R17'、R18、R18'、R20、R24、R24'、R25、R26、R27、Ra、Rb、Rx、Ry及びRzの定義におけるアルキル基は、1個から12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル鎖基であってよく、それらは、好ましくは1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基又はi-プロピル基、最も好ましくはメチル基である。M及びQの定義において、それらは、1個から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル鎖基であってよい。
【0037】
本発明の化合物において、R1、R2、R3、R3'、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25、R26、Ra、Rb及びRxの定義におけるアルケニル基は分岐又は非分岐であり、1個又は複数の二重結合及び2個から12個の炭素原子を有してよい。好ましくは、それらは2個から6個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらは2個、3個又は4個の炭素原子を有する分岐又は非分岐のアルケニル基である。
【0038】
本発明の化合物において、R1、R2、R3、R3'、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25、R26、Ra、Rb及びRxの定義におけるアルキニル基は分岐又は非分岐であってよく、1個又は複数の三重結合及び2個から12個の炭素原子を有してよい。好ましくは、それらは2個から6個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらは2個、3個又は4個の炭素原子を有する分岐又は非分岐のアルキニル基である。
【0039】
本発明の化合物において、R13及びR14の定義におけるアルケニニル基は、分岐又は非分岐であり、1個又は複数の二重結合及び1個又は複数の三重結合を有してよい。好ましくは、それらは4個から12個の炭素原子を有し、より好ましくは、それらは6個から10個の炭素原子を有する分岐又は非分岐のアルキニル基である。
【0040】
本発明の化合物において、R27、Rx、Ry及びRzの定義におけるハロゲン置換基としては、F、Cl、Br及びI、好ましくはClが挙げられる。
【0041】
本発明の化合物において、Rx、Ra、Rb、R18の定義における5員から14員の飽和又は不飽和の複素環式基及びR11及びR12によって、それらが付着されている窒素原子及び炭素原子と一緒に形成され得る複素環式基は、1個又は複数の環を有する複素環式基であり、前記環において少なくとも1つの酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む。複素環式基は、複素芳香族基又はヘテロ脂環式基であってよい基であり、これらの後者は部分的不飽和であってよく、芳香族及び脂環式の複素環式基の両方は、1個から3個の分離環又は縮合環を含有する。好ましくは、複素芳香族基及びヘテロ脂環式基は、5個から10個の環原子を含有する。本発明の化合物における適当な複素芳香族基は、N、O又はS原子から選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子を含有し、例えば、8-キノリルを含むキノリル、イソキノリル、8-クマリニルを含むクマリニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリダジニル、トリアジニル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル及びフロピリジルが挙げられる。本発明の化合物における適当なヘテロ脂環式基は、N、O又はS原子から選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子を含有し、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニ
ル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプチル、3H-インドリル及びキノリジニルが挙げられる。
【0042】
本発明の化合物において、R18、R20、Ra、Rb及びRxの定義におけるアリール基は、分離及び/又は縮合アリール基を含有し、6個から18個の環原子を有し、任意選択で置換されている単一又は複数の環化合物である。典型的なアリール基は、1個から3個の分離環又は縮合環を含有する。好ましくは、アリール基は6個から12個の炭素環原子を含有する。特に好ましいアリール基としては、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換ナフチル、置換又は非置換ビフェニル、置換又は非置換フェナントリル及び置換又は非置換アントリル、最も好ましい置換又は非置換フェニルが挙げられ、ここで、置換基は、アリール基が置換基R20、R28、Ra及びRbの1つであるか又はそれが置換基Rxであるかに依存して、上記に示されている通りである。
【0043】
本発明の化合物において、Rx、Ry及びRzの定義におけるアラルキル基は、上記で定義及び例証されている1個又は複数のアリール基で置換されている上記で定義及び例証されているアルキル基を含む。好ましい例としては、任意選択で置換されているベンジル、任意選択で置換されているフェニルエチル及び任意選択で置換されているナフチルメチルが挙げられる。
【0044】
本発明の化合物において、Rxの定義におけるアラルキルオキシ基は、上記で定義及び例証されている1個又は複数のアリール基で置換されている1個から12個の炭素原子を有するアルコキシ基を含む。好ましくは、アルコキシ部分は1個から6個の炭素原子を有し、アリール基は6個から約12個の炭素環原子を含有し、最も好ましくは、アラルキルオキシ基は任意選択で置換されているベンジルオキシ、任意選択で置換されているフェニルエトキシ及び任意選択で置換されているナフチルメトキシである。
【0045】
本発明の化合物において、Ry及びRzの定義におけるヘテロシクロアルキル基は、上記で定義及び例証されている1個又は複数のヘテロシクリル基で置換されている上記で定義及び例証されているアルキル基を含む。好ましくは、ヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の環原子において5個から10個の環原子を有するヘテロシクリル基で置換されている1個から6個の炭素原子を有するアルキル基を含み、芳香族、部分飽和又は完全飽和であってよい。より好ましくは、ヘテロシクロアルキル基は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、オキサニル、チアニル、8-キノリル、イソキノリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル及びベンズイミダゾールからなる群から選択されるヘテロシクリル基で置換されているメチル基又はエチル基を含む。
【0046】
本発明の化合物において、R19の定義におけるアルキレン基は、1個から12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基であり、M及びXの定義におけるアルキレン基は、1個から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基である。好ましくは、R19の定義におけるアルキレン基は、1個から8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基、より好ましくは1個から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基である。Mについて、好ましいのは1個から3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基である。Xの定義において、Xの定義におけるアルキレン基は、好ましくは2個から4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基である。
【0047】
本発明の化合物において、R19及びMの定義におけるカルボシクロ基は、シクロアルキル環上の任意の位置に、前記シクロアルキル基を薬物コンジュゲートの残部に接続する2個の共有結合を有する、3個から8個の炭素原子を有するシクロアルキル基である。好ましくは、R19及びMの定義におけるカルボシクロ基は、3個から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、より好ましくは5個から7個の炭素原子を有するカルボシクロ基である。
【0048】
本発明の化合物において、R19の定義におけるアリーレン基は、前記アリーレン基を薬物コンジュゲートの残部に接続する芳香族環系上の任意の位置に2個の共有結合を有する1個又は複数の環において6個から18個の炭素原子を有するアリール基である。好ましくは、R19の定義におけるアリーレン基は、芳香族環系上の任意の位置に2個の共有結合を有する1個又は複数の環において6個から12個の炭素原子を有するアリール基であり、最も好ましくは、それらはフェニレン基である。
【0049】
本発明の化合物において、R19の定義におけるヘテロシクロ基は、5個から14個の環原子を有するとともに前記環において少なくとも1つの酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む1個から3個の分離環又は縮合環を含有するヘテロシクリル基であり、ここで、前記複素環式基の環系上の任意の位置に2個の共有結合がある。複素環式基は、複素芳香族基又はヘテロ脂環式基であってよい(後者は部分的不飽和であってよい)基である。好ましくは、R19の定義におけるヘテロシクロ基は、5個から12個の環原子を有するとともに前記環において少なくとも1つの酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む1個から3個の分離環又は縮合環を含有するヘテロシクリル基であり、ここで、前記複素環式基の環系上の任意の位置に2個の共有結合がある。
【0050】
置換基上に1個より多い任意選択の置換基Rxがある場合、各置換基Rxは同じ又は異なってよい。
【0051】
本発明の第1の態様による好ましい薬物コンジュゲートとしては、以下が挙げられる:
・ Lが:
【0052】
【化6】
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【0053】
[式中、
波線は、Ab(右への波線)あるならば及び(AA)w、又はあるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への共有結合付着点を示す;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-C3〜C8カルボシクロ、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C18アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C18アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C18アリーレン-C1〜C12アルキレン-、-C1〜C12アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(C3〜C8カルボシクロ)-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C14ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C14ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C14ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C6アルキレン-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、-(CH2CH2O)s-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-CON(H又はC1〜6アルキル)-C1〜C6アルキレン-、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン、フェニレン部分が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン-C1〜C6アルキレン-、及び-C1〜C6アルキレン-CON(H又はC1〜6アルキル)C1〜C6アルキレン-からなる群から選択され;
Qは、-N(H又はC1〜6アルキル)フェニレン-及び-N(H又はC1〜6アルキル)-(CH2)sからなる群から選択され;
rは、1から10を範囲とする整数であり;
sは、1から10を範囲とする整数である]
からなる群から選択されるリンカー基である、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ Lが:
【0054】
【化7】
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【0055】
式中:
波線は、Ab(右への波線)及びあるならば(AA)w、又はあるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C12アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C12ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C12ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C12ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C6アルキレン-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、及び1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレンからなる群から選択され;
rは、1〜6を範囲とする整数である]
からなる群から選択される、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ 式(IV)及び(V):
【0056】
【化8】
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【0057】
[式中:
Xは、本発明の第1の態様で定義されている伸長基であり;
各AAは、独立して、本発明の第1の態様で定義されているアミノ酸単位であり;
wは、0から12を範囲とする整数であり;
bは、0又は1の整数であり;
Dは、薬物部分であり;
Abは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から20の範囲であり;
R19は、-C1〜C8アルキレン-、-O-(C1〜C8アルキレン)、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C8アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C8アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C3アルキレン-及び-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-からなる群から選択される]
から選択される、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ 式(IV)及び(V):
【0058】
【化9】
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【0059】
[式中:
Xは、伸長基であり;
各AAは、独立して、アミノ酸単位であり;
wは、0から12を範囲とする整数であり;
bは、0又は1の整数であり;
Dは、薬物部分であり;
Abは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対する、Lが(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から20の範囲であり;
R19は、-C1〜C6アルキレン-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン-C1〜C6アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、6個から12個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく、好ましくはR19は-C1〜C6アルキレン基であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-である]
から選択される、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ 式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲートの定義において、Lは、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、(AA)wは、式(II):
【0060】
【化10】
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【0061】
[式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカー(右への波線)への共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CONH2、-CH2COOH、-CH2CH2CONH2、-CH2CH2COOH、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NHCOCH3、-(CH2)3NHCHO、-(CH2)4NHC(=NH)NH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)4NHCOCH3、-(CH2)4NHCHO、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NHCONH2、-CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、
【0062】
【化11】
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【0063】
からなる群から選択され;
wは、0から12を範囲とする整数である]
であることが好ましい。
・ Lが、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、(AA)wが、式(II) [式中:
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドリルメチル、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2及び-(CH2)4NHC(=NH)NH2からなる群から選択され;
wは、0から6を範囲とする整数である]
である、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ Lが、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III) [式中:
【0064】
【化12】
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【0065】
波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への及びリンカー(右への波線)への共有結合付着点を示し;
R22は、メチル、ベンジル、イソプロピル、sec-ブチル及びインドリルメチルから選択され;
R23は、メチル、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHCONH2及び-(CH2)3NHC(=NH)NH2から選択される]
である、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ 更に、式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲートの定義において、L及びAAは、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、Xは:
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-;
-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-COCH2NH-COCH2-NH-;
-COCH2NH-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)S-;
-CONH-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)S-;
-(C1〜C6アルキレン)NH-;及び
-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-
からなる群から選択される伸長基であることが好ましい。
・ L及びAAが、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、Xが:
-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-;
フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい、-COO-CH2-フェニレン-NH-;
-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-;
-COCH2NH-COCH2-NH-;
-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-;
-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-;
-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-;
-(C2〜C4アルキレン)S-;
-(C2〜C4アルキレン)NH-;及び
-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-
からなる群から選択される伸長基である、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ L及びAAが、上記の前記基についての好ましい定義において定義されている通りであり、Xが:
-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-;
-CONH(CH2)3NH-;
-CONH(CH2)3-S-;
-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-;
-(CH2)3NHCO(CH2)2S-;
-(CH2)3S-;
-(CH2)3NH-;及び
-(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-
からなる群から選択される伸長基である、本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物コンジュゲート。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R2及びR3は水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくは、R2及びR3の各々は水素であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの別の好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが、式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R1は水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくは、R1は水素又はメトキシであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R3'は水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、Raは置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくは、R3'は水素であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくはR4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換及び非置換メチル、置換及び非置換イソプロピル並びに置換及び非置換tert-ブチルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R5、R7、R8、R9及びR10の各々は水素であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R4及びR6の各々はメチルであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R12はイソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、AA及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R11及びR13の各々は水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくはR11及びR13の各々は水素であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は水素、置換又は非置換C1〜C6アルキル、置換又は非置換C2〜C6アルケニル及び置換又は非置換C2〜C6アルキニルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくはR15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz、及びNRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々は水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、なおより好ましくはR15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、独立して、水素又はC1〜C6アルキル基であり、最も好ましくはR15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は水素又はメチルであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R18は水素、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から12個の炭素原子を有するアリール基から選択され、前記アリール基は、1個又は複数の置換基Rx及び1個又は複数の環を有する5員から10員の不飽和又は飽和の複素環式基で任意選択で置換されており、前記複素環式基は、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており、ここで、置換基Rxは1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、1個から6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、及び1個から6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基からなる群から選択され、より好ましくはR18は水素、少なくとも1つのRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び少なくとも1つのRx基で任意選択で置換されていてよいフェニル基から選択され、最も好ましくはR18は水素又はフェニル基、特に水素であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、R27は水素原子、ハロゲン原子又は置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり、より好ましくはR27は水素原子及び塩素原子から選択されるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで、1つ又は複数の点線によって連結されている炭素原子の各対は、二重結合を介して結合されているものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで:
R1は、水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R2及びR3は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、式中Raが置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz及びNRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々が、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から12個の炭素原子を有するアリール基から選択され、前記アリール基が、1個又は複数の置換基Rx及び1個又は複数の環を有する5員から10員の不飽和又は飽和の複素環式基で任意選択で置換されており、前記複素環式基が、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており、ここで、置換基Rxは、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、1個から6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、及び1個から6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基からなる群から選択され;
R27は、水素、ハロゲン並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない
ものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換又は非置換メチル、置換又は非置換イソプロピル及び置換又は非置換tert-ブチルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz及びNRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々は、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1つのRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び少なくとも1つのRx基で任意選択で置換されていてよいフェニル基から選択され;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない
ものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが式(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、ここで:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R5、R7、R8、R9及びR10の各々は、水素であり;
R4及びR6の各々は、メチルであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R12は、イソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素及びC1〜C6アルキル基、好ましくは水素及びメチルからなる群から独立して選択され;
R18は、水素及びフェニルから選択され、好ましくは水素であり;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
1つ又は複数の点線によって連結されている炭素原子の各対は、二重結合を介して結合されている
ものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが:
【0066】
【化13-1】
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【化13-2】
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【化13-3】
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【化13-4】
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【化13-5】
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【0067】
[式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが:
【0068】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0069】
[式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w及びXが上記で定義されている通りであり、Dが:
【0070】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0071】
[式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(I)、(Ia)若しくは(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが抗原結合ペプチドであるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが抗体、単一ドメイン抗体又はその抗原結合断片であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abがモノクローナル、ポリクローナル抗体又は二重特異的抗体であり、抗体又はその抗原結合断片が任意の種、好ましくはヒト、マウス又はウサギ由来のものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abがヒト抗体、ヒト抗体の抗原結合断片、ヒト化抗体、ヒト化抗体の抗原結合断片、キメラ抗体、キメラ抗体の抗原結合断片、グリコシル化抗体及びグリコシル化抗原結合断片からなる群から選択される抗体又はその抗原結合断片であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、抗体又はその抗原結合断片は、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片及びFv断片からなる群から選択される抗原結合断片であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、抗体又はその抗原結合断片は、癌細胞抗原、ウイルス抗原、自己免疫疾患に関連の自己免疫抗体を産生する細胞の抗原、微生物抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体、好ましくは癌細胞抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体であるものである。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの更に好ましい薬物コンジュゲートは、L、(AA)w、X及びDが上記で定義されている通りであり、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、アブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、グレムバツムマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ロルボツズマブ、ミラツズマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ピナツズマブ、リツキシマブ、ボルセツズマブ、トラスツズマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、又はその免疫学的活性部分からなる群から選択される抗体であるものであり、ここで、好ましくは、抗体はアブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、グレムバツムマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ロルボツズマブ、ミラツズマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ピナツズマブ、リツキシマブ、ボルセツズマブ、トラスツズマブ及び抗CD4抗体、又はその免疫学的活性部分、なおより好ましくは、アブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、リツキシマブ及びトラスツズマブ、又はその免疫学的活性部分から選択される。これらのうち、特に好ましいのは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部であり;又は抗体は、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分、特にトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分から選択され;又は抗体は、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、特に抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択される。
・ 本発明の第1の態様による式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの特に好ましい薬物コンジュゲートとしては、以下が挙げられる:
(a) Lが:
【0072】
【化16】
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【0073】
[式中:
波線は、Ab(右への波線)及びあるならば(AA)w、又はあるならば (X)b、又は薬物部分(左への波線)への共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C12アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C12ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C12ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C12ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C6アルキレン-、-C1〜C6アルキレン-(C3〜C8カルボシクロ)-、及び1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレンからなる群から選択され;
rは、1〜6を範囲とする整数である]
からなる群から選択され;
(AA)wが、式(II):
【0074】
【化17】
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【0075】
[式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CONH2、-CH2COOH、-CH2CH2CONH2、-CH2CH2COOH、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NHCOCH3、-(CH2)3NHCHO、-(CH2)4NHC(=NH)NH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)4NHCOCH3、-(CH2)4NHCHO、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NHCONH2、-CH2CH2CH(OH)CH2NH2、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、
【0076】
【化18】
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【0077】
からなる群から選択される]
であり;
wは、0から12を範囲とする整数である]
であり;
ここで、Xが、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-、-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-COCH2-NH-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)S-、-CONH-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)NHCO(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)S-、-(C1〜C6アルキレン)NH-及び-(C1〜C6アルキレン)NH-COO-CH2-(1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R2及びR3は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、Raは置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz及びNRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々が、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、1個又は複数の芳香族環において6個から12個の炭素原子を有するアリール基から選択され、前記アリール基が、1個又は複数の置換基Rx及び1個又は複数の環を有する5員から10員の不飽和又は飽和の複素環式基で任意選択で置換されており、前記複素環式基が、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されており、ここで、置換基Rxは1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、1個から6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、及び1個から6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基からなる群から選択され;
R27は、水素、ハロゲン並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在せず;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abが、抗体又はその抗原結合断片であり、それが、ヒト抗体、ヒト抗体の抗原結合断片、ヒト化抗体、ヒト化抗体の抗原結合断片、キメラ抗体、キメラ抗体の抗原結合断片、グリコシル化抗体及びグリコシル化抗原結合断片からなる群から選択され;
nが、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、1から12の範囲である、
本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(b)式(IV)及び(V):
【0078】
【化19】
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【0079】
[式中:
R19は、-C1〜C8アルキレン-、-O-(C1〜C8アルキレン)、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C8アルキレン-C6〜C12アリーレン-、及びアリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C8アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
Mは、-C1〜C3アルキレン-及び-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-からなる群から選択され;
(AA)wは、式(II)
【0080】
【化20】
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【0081】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドリルメチル、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2及び-(CH2)4NHC(=NH)NH2からなる群から選択され、
wは、0から6の整数である)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素、置換及び非置換メチル、置換及び非置換イソプロピル、並びに置換及び非置換tert-ブチルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz、NRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々が、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び1個又は複数の置換基RXで任意選択で置換されているフェニル基から選択され;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在せず;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、抗体又は抗原結合断片は、癌細胞抗原、ウイルス抗原、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞の抗原、微生物抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体、好ましくは癌細胞抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から8の範囲である]
から選択される本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(c)式(IV)及び(V):
【0082】
【化21】
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【0083】
[式中:
R19は、-C1〜C6アルキレン-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-フェニレン-C1〜C6アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、6個から12個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく、好ましくはR19が、C1〜C6アルキレン基であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0084】
【化22】
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【0085】
(式中、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示し;
R22は、メチル、ベンジル、イソプロピル、sec-ブチル及びインドリルメチルから選択され;
R23は、メチル、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHCONH2及び-(CH2)3NHC(=NH)NH2から選択される)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-,-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり、式中:
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R5、R7、R8、R9及びR10の各々は、水素であり;
R4及びR6の各々は、メチルであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R12は、イソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素及びC1〜C6アルキル基、好ましくは水素及びメチルからなる群から独立して選択され;
R18は、水素及びフェニルから選択され、好ましくは水素であり;
R27は、水素原子又は塩素原子であり;
1つ又は複数の点線によって連結されている炭素の各対は、二重結合を介して結合されており;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、アブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、グレムバツムマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ロルボツズマブ、ミラツズマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ピナツズマブ、リツキシマブ、ボルセツズマブ、トラスツズマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分からなる群から選択されるモノクローナル抗体であり、好ましくは、それはアブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、グレムバツムマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、ロルボツズマブ、ミラツズマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ピナツズマブ、リツキシマブ、ボルセツズマブ、トラスツズマブ及び抗CD4抗体、又はその免疫学的活性部分、なおより好ましくはアブシキシマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、ニモツズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、リツキシマブ及びトラスツズマブ、又はその免疫学的活性部分からなる群から選択されるモノクローナル抗体である。これらのうち、特に好ましいは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体から選択される抗体若しくはその免疫学的活性部分であり、より好ましくは、抗体は、トラスツズマブ、抗CD13抗体及び抗CD4抗体、抗CD5抗体若しくはその免疫学的活性部分;又はトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体から選択される抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は抗CD5抗体及び抗CD13抗体から選択される抗体若しくはその免疫学的活性部分、特に抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対するLが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される第1の態様による薬物コンジュゲート。
(d)式(IV)及び(V):
【0086】
【化23】
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【0087】
[式中:
R19は、-C3〜C6アルキレン-であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0088】
【化24】
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【0089】
(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、ここで、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは、以下の基:
【0090】
【化25-1】
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【化25-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-3】
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【化25-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化25-5】
[この文献は図面を表示できません]
【0091】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され、より好ましくは、それは、トラスツズマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され、又はそれは、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツマブ若しくはその免疫学的活性部分から選択され;又はそれは、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分、特に抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(e)式(IV)及び(V):
【0092】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
[式中:
R19は、-C3〜C6アルキレン-であり;
Mは、-C1〜C3アルキレン-(C5〜C7カルボシクロ)-であり;
wは、0又は2であり、wがで2ある場合、(AA)wは、式(III):
【0094】
【化27】
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【0095】
(式中、R22がイソプロピルであり、R23が-(CH2)3NHCONH2であり、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dは:
【0096】
【化28】
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【0097】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分から選択され;より好ましくは、それはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体又はその免疫学的活性部分から選択され、最も好ましくは、それはトラスツズマブ又はその免疫学的活性部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分に対するLが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲である]
から選択される本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(f)式(IV):
【0098】
【化29】
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【0099】
[式中:
R19は、C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは式(III):
【0100】
【化30】
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【0101】
(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、及び-CONH(CH2)3NH-から選択される伸長基である];
又は式(V)
【0102】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-CONH(CH2)3S-及び-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dは:
【0104】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される式(Ia)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体又はその免疫学的活性部分であり、より好ましくは、それはトラスツズマブ、抗CD13抗体、抗CD4抗体及び抗CD5抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され;又はそれは、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され、最も好ましくは、それはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分であり;又はそれは、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され、最も好ましくは、それは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分であり;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対するLが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(g)式(IV):
【0106】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0107】
[式中:
R19は、-C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0108】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
(式中、R22がイソプロピルであり、R23が-(CH2)3NHCONH2であり、波線が、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカー(右への波線)への共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-及び-(CH2)3NH-から選択される伸長基である];又は式(V)
【0110】
【化35】
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【0111】
[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-(CH2)3S-及び-(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dは:
【0112】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
から選択される、式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され;より好ましくは、それは、トラスツズマブ、抗CD13抗体、抗CD4抗体及び抗CD5抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され;又はそれは、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され;最も好ましくは、それはトラスツマブ若しくはその免疫学的活性部分であり;又はそれは、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分、特に抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
(h)式(IV):
【0114】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
[式中、R19は、-C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0116】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0117】
(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への、及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、及び-(CH2)3NH-から選択される伸長基である];又は式(V)
【0118】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0119】
[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-(CH2)3S-及び-(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dは:
【0120】
【化40】
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【0121】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され、又はそれは、トラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体、若しくはその免疫学的活性部分から選択され;最も好ましくは、それは、トラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対する、Lが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
i)式(IV):
【0122】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
[式中、R19は、-C5アルキレン-であり;
bは、1であり;
wは、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0124】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
(式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、波線は、あるならば(X)b、又は薬物部分(左への波線)への及びリンカーへの(右への波線)共有結合付着点を示す)
であり;
Xは、-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、及び-CONH(CH2)3NH-から選択される伸長基である]
又は式(V)
【0126】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0127】
[式中、Mは、-メチル-シクロヘキシレン-であり;
bは、1であり;
wは、0であり;
Xは、-CONH(CH2)3S-及び-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり:
Dは、式
【0128】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0129】
(式中、波線は、あるならば(X)b、又はあるならば(AA)w、又はリンカー基Lへの共有結合付着点を示す)
の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体又は立体異性体であり;
少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abは、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択されるか、又はそれはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され;より好ましくは、それはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分から選択され;
nは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Abに対するLが式(IV)又は(V)において定義されている通りである[D-(X)b-(AA)w-(L)-]基の比であり、3から5の範囲、好ましくは4である]
の本発明の第1の態様による薬物コンジュゲート。
j)以下からなる群から選択される、本発明の第1の態様による抗体薬物コンジュゲート
【0130】
【化45-1】
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【化45-2】
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【0131】
[式中、
【0132】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0133】
の各々は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は代替として抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択される]。より好ましくは、抗体薬物コンジュゲートは:
【0134】
【化47】
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【0135】
[式中、
【0136】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0137】
は、トラスツズマブ及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は好ましくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択される]
【0138】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
[式中、
【0140】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0141】
は、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である]
【0142】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
[式中、
【0144】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
は、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である]
【0146】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
[式中、
【0148】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は代替として抗CD5抗体及び抗CD13抗体、若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択される]
【0150】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0151】
[式中、
【0152】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
は、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である]
【0154】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
[式中、
【0156】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は代替として抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、最も好ましくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択される]
【0158】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0159】
[式中、
【0160】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0161】
は、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である]、及び
【0162】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0163】
[式中、
【0164】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0165】
は、トラスツズマブ又はその免疫学的活性部分である]
からなる群から選択される。
【0166】
特に好ましくは、本発明による抗体薬物コンジュゲートは、単離形態又は精製形態であるべきである。
【0167】
本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-(L1)bの好ましい化合物としては、以下が挙げられる:
・ 本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物[式中:
L1が、式:
【0168】
【化63】
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【0169】
[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C12アルキレン-、-O-(C1〜C12アルキレン)、1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環における-C6〜C12アリーレン、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C12アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C12アルキレン-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C5〜C12ヘテロシクロ-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-C1〜C12アルキレン-(C5〜C12ヘテロシクロ)-、ヘテロシクロ基が1個又は複数の環を有し前記環において少なくとも1個の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む飽和又は不飽和基であってよく前記基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されている-(C5〜C12ヘテロシクロ)-C1〜C12アルキレン-、-(OCH2CH2)r-及び-CH2-(OCH2CH2)r-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく;
rは、1〜6を範囲とする整数である]
のリンカーであり;
D、X、AA及びwの各々は、本発明の第1の態様で定義されている通りである]。
・ 本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-L1又はD-X-(AA)w-Hの化合物[式中:
L1が、式:
【0170】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0171】
[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C8アルキレン-、-O-(C1〜C8アルキレン)、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C1〜C8アルキレン-C6〜C12アリーレン-、アリーレン基が1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい1個又は複数の環にある-C6〜C12アリーレン-C1〜C8アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよい]
のリンカーであり;
(AA)wが、式(II):
【0172】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
[式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示し;
式中、R21は、各々の出現において、水素、メチル、イソプロピル、sec-ブチル、ベンジル、インドリルメチル、-(CH2)3NHCONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2及び-(CH2)4NHC-(=NH)NH2からなる群から選択され、wは、0から6の整数である]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-COCH2NH-COCH2-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)-NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体:
【0174】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0175】
[式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、Xへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【0176】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0177】
(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1は、水素、ORa及びOCORaから選択され、ここで、Raは水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R2及びR3は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから各々独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R3'は、水素、CORa、及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、Raは置換又は非置換C1〜C6アルキルであり、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR12の各々は、水素並びに置換及び非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R11及びR13の各々は、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから独立して選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は:
任意選択の置換基が、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、OCORy、OCOORy、CORy、COORy、OCONRyRz、CONRyRz、NRyRz、NRyCORzからなる群から選択され、ここで、Ry及びRzの各々は、水素原子、及び1個から6個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、水素及び置換又は非置換C1〜C6アルキル基
からなる群から独立して選択され;
R18は、水素、少なくとも1個のRx基で任意選択で置換されていてよいC1〜C6アルキル基、及び1個又は複数の置換基RXで任意選択で置換されているフェニル基から選択され;
R27は、水素、ハロゲン及び置換又は非置換C1〜C6アルキルから選択され、ここで、任意選択の置換基は1個又は複数の置換基Rxであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない]。
・ 本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物[式中:
L1が、式:
【0178】
【化68】
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【0179】
[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C1〜C6アルキレン-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン-C1〜C6アルキレン-から選択され、ここで、上記のアルキレン置換基の各々は、単独であろうと又は炭素鎖中の別の部分に付着されていようと、1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、6個から12個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxによって任意選択で置換されていてよく、好ましくは、R19はC1〜C6アルキレン基である]
の基であり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0180】
【化69】
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【0181】
[式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示し;
R22は、メチル、ベンジル、イソプロピル、sec-ブチル及びインドリルメチルから選択され;
R23は、メチル、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHCONH2及び-(CH2)3NHC(=NH)NH2から選択される]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、-CONH(C2〜C4アルキレン)NHCOO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個又は複数の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO-(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-から選択される伸長基であり;
Dが、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体:
【0182】
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
[式中、(Ia)及び(Ib)の波線は、Xへの共有結合付着点を示し;
Aは、
【0184】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
(式中、部分Aの波線は、薬物部分の残りへの共有結合付着点を示す)
から選択され;
R1は、水素又はメトキシであり;
R2及びR3の各々は、水素であり;
R3'は、水素であり;
R5、R7、R8、R9及びR10の各々は、水素であり;
R4及びR6の各々は、メチルであり;
R12は、イソプロピル、tert-ブチル又はベンジルであり;
R11及びR13の各々は、水素であり;
R15、R16、R17、R17'、R18'、R24、R24'、R25及びR26の各々は、水素及びC1〜C6アルキル基、好ましくは水素及びメチルからなる群から独立して選択され;
R18は、水素及びフェニルから選択され、好ましくは水素であり;
R27は、水素又はハロゲンであり;
各点線は、任意選択の追加の結合を表すが、R25が付着されているC原子とR26及びR27が付着されているC原子との間に三重結合が存在する場合、R25及びR26又はR27のいずれかは存在しない]。
・ 本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物[式中:
L1が、式:
【0186】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C3〜C6アルキレン-である]
のリンカーであり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0188】
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
[R22は、イソプロピルであり、R23は、-(CH2)3NHCONH2であり、式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示す]
であり;
Xが、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-、フェニレン基が1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよい-COO-CH2-フェニレン-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)S-、-CONH-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NHCO(C1〜C3アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)S-、-(C2〜C4アルキレン)NH-及び-(C2〜C4アルキレン)NH-COO-CH2-(1個から6個の炭素原子を有するアルキル基、1個から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1個から4個の置換基Rxで任意選択で置換されていてよいフェニレン)-NH-からなる群から選択される伸長基であり;
Dが、以下の基:
【0190】
【化74-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化74-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化74-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化74-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化74-5】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
[式中、波線は、Xへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(Ia)若しくは式(Ib)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体である]。
・ 本発明の第2の態様による式D-X-(AA)w-L1又は式D-X-(AA)w-Hの化合物[式中:
L1が、式:
【0192】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
[式中:
波線は、あるならば(AA)wへの、又はXへの共有結合付着点を示し;
R19は、-C5アルキレン-である]
の基であり;
wが、0又は2であり、wが2である場合、(AA)wは、式(III):
【0194】
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0195】
[式中、R22はイソプロピルであり、R23は-(CH2)3NHCONH2であり、式中、波線は、Xへの(左への波線)、及びL1への、又は水素原子への(右への波線)共有結合付着点を示す]
であり;
Xが、-CONH(CH2)3NHCOOCH2-フェニレン-NH-、及び-CONH(CH2)3NH-、-CONH(CH2)3-S-及び-CONH(CH2)3NHCO(CH2)2S-から選択される伸長基であり;
Dが:
【0196】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0197】
[式中、波線は、Xへの共有結合付着点を示す]
から選択される、式(Ia)の薬物部分、又はその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体若しくは立体異性体である]。
・ 以下から選択される、式D-X-(AA)w-L1の化合物:
【0198】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0199】
・ 以下から選択される、式D-X-(AA)w-Hの化合物:
【0200】
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0201】
本発明の薬物コンジュゲートにおける「薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、互変異性体又は立体異性体」という用語は、患者への投与時に直接的であれ間接的であれ本明細書に記載されている化合物を提供できる任意の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、水和物若しくは立体異性体形態又は任意の他の化合物を指す。しかしながら、非薬学的に許容される塩も、それらが薬学的に許容される塩の調製において有用であり得るので、本発明の範囲内に入ることは理解されよう。塩、プロドラッグ及び誘導体の調製は、当技術分野において知られている方法によって実施することができる。
【0202】
例えば、本明細書において提供される化合物の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって塩基性又は酸性の部分を含有する親化合物から合成される。一般に、こうした塩は、例えば、水中又は有機溶媒中又は該2つの混合物中でこれらの化合物の遊離酸又は塩基の形態と適切な塩基又は酸の化学量論量を反応させることによって調製される。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。酸付加塩の例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸付加塩、並びに例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩等の有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩等の無機塩、並びに例えば、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、N,N-ジアルキレンエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩及び塩基性アミノ酸塩等の有機アルカリ塩が挙げられる。
【0203】
本発明の薬物コンジュゲートは、遊離化合物又は溶媒和物のいずれかとしての結晶性形態であってよく(例えば水和物)、両形態は本発明の範囲内であると意図される。溶媒和の方法は当技術内で一般に知られている。
【0204】
本発明の薬物コンジュゲートのプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲内及び趣旨内である。「プロドラッグ」という用語は、それの最も広い意味で使用され、in vivoで本発明の化合物に変換されるような誘導体を包含する。こうした誘導体は、当業者の念頭に容易に浮かび、例えば、遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体に変換される化合物が挙げられる。多くの適当なプロドラッグは、当業者によく知られており、例えば、Burger「Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版 (Donald J. Abraham ed.、2001、Wiley)及び「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard編集、1985、Harwood Academic Publishers)において見出すことができ、これらの内容を参照により本明細書に組み込む。
【0205】
本発明の化合物に関して、薬理学的に許容されるエステルは特に限定されず、当技術分野における通常の技術者によって選択することができる。前記エステルの場合において、こうしたエステルは、in vivoでの加水分解等の生物学的プロセスによって切断され得ることが好ましい。前記エステルを構成する基(そのエステルが-COORとして表される場合にRとして示される基)は、例えば、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、例えばメトキシエチル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-(イソプロポキシ)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、1,1-ジメチル-1-メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル若しくはt-ブトキシメチル; C1〜C4アルコキシ化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、例えば2-メトキシエトキシメチル; C6〜C10アリールオキシC1〜C4アルキル基、例えばフェノキシメチル;ハロゲン化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、例えば2,2,2-トリクロロエトキシメチル若しくはビス(2-クロロエトキシ)メチル; C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基、例えばメトキシカルボニルメチル;シアノC1〜C4アルキル基、例えばシアノメチル若しくは2-シアノエチル; C1〜C4アルキルチオメチル基、例えばメチルチオメチル若しくはエチルチオメチル; C6〜C10アリールチオメチル基、例えばフェニルチオメチル若しくはナフチルチオメチル;ハロゲン原子で任意選択で置換されていてよいC1〜C4アルキルスルホニルC1〜C4低級アルキル基、例えば2-メタンスルホニルエチル若しくは2-トリフルオロメタンスルホニルエチル; C6〜C10アリールスルホニルC1〜C4アルキル基、例えば2-ベンゼンスルホニルエチル若しくは2-トルエンスルホニルエチル; C1〜C7脂肪族アシルオキシC1〜C4アルキル基、例えばホルミルオキシメチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、1-ホルミルオキシエチル、1-アセトキシエチル、1-プロピオニルオキシエチル、1-ブチリルオキシエチル、1-ピバロイルオキシエチル、1-バレリルオキシエチル、1-イソバレリルオキシエチル、1-ヘキサノイルオキシエチル、2-ホルミルオキシエチル、2-アセトキシエチル、2-プロピオニルオキシエチル、2-ブチリルオキシエチル、2-ピバロイルオキシエチル、2-バレリルオキシエチル、2-イソバレリルオキシエチル、2-ヘキサノイルオキシエチル、1-ホルミルオキシプロピル、1-アセトキシプロピル、1-プロピオニルオキシプロピル、1-ブチリルオキシプロピル、1-ピバロイルオキシプロピル、1-バレリルオキシプロピル、1-イソバレリルオキシプロピル、1-ヘキサノイルオキシプロピル、1-アセトキシブチル、1-プロピオニルオキシブチル、1-ブチリルオキシブチル、1-ピバロイルオキシオキシブチル、1-アセトキシペンチル、1-プロピオニルオキシペンチル、1-ブチリルオキシペンチル、1-ピバロイルオキシペンチル若しくは1-ピバロイルオキシヘキシル; C5〜C6シクロアルキルカルボニルオキシC1〜C4アルキル基、例えばシクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1-シクロペンチルカルボニルオキシエチル、1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1-シクロペンチルカルボニルオキシプロピル、1-シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル、1-シクロペンチルカルボニルオキシブチル若しくは1-シクロヘキシルカルボニルオキシブチル; C6〜C10アリールカルボニルオキシC1〜C4アルキル基、例えばベンゾイルオキシメチル; C1〜C6アルコキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基、例えばメトキシカルボニルオキシメチル、1-(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1-(メトキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(メトキシカルボニルオキシ)ブチル、1-(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1-(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシメチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(エトキシカルボニルオキシ)ブチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1-(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1-(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(プロポキシカルボニルオキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1-(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、1-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1-(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1-(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1-(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1-(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル、t-ブトキシカルボニルオキシメチル、1-(t-ブトキシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル若しくは1-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピル; C5〜C6シクロアルキルオキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基、例えばシクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1-(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1-(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1-(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピル若しくは1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチル;[5-(C1〜C4アルキル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル基、例えば(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(5-エチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(5-プロピル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(5-イソプロピル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル若しくは(5-ブチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル;C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはハロゲン原子で任意選択で置換されていてよい[5-(フェニル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル基、例えば(5-フェニル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、[5-(4-メチルフェニル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル、[5-(4-メトキシフェニル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル、[5-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル若しくは[5-(4-クロロフェニル)-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル]メチル;又はC1〜C4アルキル若しくはC1〜C4アルコキシ基で任意選択で置換されていてよいフタリジル基、例えばフタリジル、ジメチルフタリジル若しくはジメトキシフタリジルであってよく、好ましくはピバロイルオキシメチル基、フタリジル基又は(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル基、より好ましくは(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル基である。
【0206】
本明細書において言及される任意の化合物は、こうした特定の化合物並びにある特定の変化物又は形態を表すと意図される。特に、本明細書において言及される化合物は、不斉中心を有することができ、そのため異なるエナンチオマーの形態で存在することができる。本明細書において言及される化合物の全ての光学異性体及び立体異性体、並びにその混合物は、本発明の範囲内と考えられる。したがって、本明細書において言及される任意の所与化合物は、ラセミ体、1つ又は複数のエナンチオマーの形態、1つ又は複数のジアステレオマーの形態、1つ又は複数のアトロプ異性体の形態、及びその混合物のいずれか1つを表すと意図される。特に、式[D-(X)b-(AA)w-(L)]n-Abの薬物コンジュゲート及び式D-X-(AA)w-L1又はD-X-(AA)w-Hの化合物には、それらの非対称又はジアステレオ異性体に依存してエナンチオマーが含まれる得る。二重結合についての立体異性も可能であり、そのため一部の場合において、該分子は(E)異性体又は(Z)異性体として存在することがある。該分子がいくつかの二重結合を含有するならば、各二重結合は、該分子の他の二重結合の立体異性と同じ又は異なり得るそれの自体の立体異性を有する。該単一異性体及び異性体の混合物は本発明の範囲内に入る。
【0207】
更に、本明細書において言及される化合物は、幾何異性体として(即ち、シス及びトランス異性体)、互変異性体として、又はアトロプ異性体として存在することができる。具体的には、互変異性体という用語は、平衡状態で存在するとともに1種の異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される化合物の2つ以上の構造異性体の1つを指す。共通の互変異性対は、アミン-イミン、アミド-イミド、ケト-エノール、ラクタム-ラクチム等である。追加として、本明細書において言及される任意の化合物は、こうした形態が媒体中に存在するならば、水和物、溶媒和物及び多形体、並びにその混合物を表すと意図される。加えて、本明細書において言及される化合物は、同位体標識形態で存在することができる。本明細書において言及される化合物の全ての幾何異性体、互変異性体、アトロプ異性体、水和物、溶媒和物、多形体及び同位体標識形態、並びにその混合物は、本発明の範囲内と考えられる。
【0208】
本発明の化合物において、Abは、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分である。代替実施形態では、Abは、標的細胞、好ましくは動物細胞より好ましくはヒト細胞に結合できる任意の適当な薬剤であってよい。こうした薬剤の例としては、リンホカイン、ホルモン、成長因子及び栄養素輸送分子(例えばトランスフェリン)が挙げられる。
【0209】
Abが少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分である場合、該部分は、好ましくは、抗原結合のペプチド又はポリペプチドである。好ましい実施形態では、該部分は、抗体又はその抗原結合断片である。
【0210】
本発明の薬物コンジュゲートにおける「抗体」という用語は、任意の免疫グロブリン、好ましくは全長免疫グロブリンを指す。好ましくは、該用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、例えば二重特異的抗体、及びその抗体断片を包含するが、それらが所望の生物学的活性を呈する限りである。抗体は、任意の種に由来し得るが、好ましくは、げっ歯類、例えばラットもしくマウス、ヒト又はウサギ起源である。代替として、該抗体、好ましくはモノクローナル抗体は、そのヒト化、キメラ又は抗体の断片であってよい。「キメラ抗体」という用語は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿等) に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体も含むことができる。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、クラス(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl及びIgA2)、又はサブクラスであってもよい。
【0211】
「モノクローナル抗体」という用語は、B系譜細胞、しばしばハイブリドーマの単一クローンによって生成される、抗体分子の実質的に同種の集団(即ち、該集団を含む個体抗体は、少量で存在し得る可能な自然発生突然変異を除いて同一である)を指す。重要なことに、各モノクローナルは同じ抗原特異性を有し、即ち、それは抗原上の単一決定因子を対象とする。
【0212】
モノクローナル抗体の生成は、当技術分野において知られている方法によって実施することができる。しかしながら、例として、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(Kohlerら (1975) Nature 256:495)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法((Kozborら、1983、Immunology Today 4: 72)、又はEBV-ハイブリドーマ技法(Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、Inc.、77〜96頁)によって作製することができる。代替として、モノクローナル抗体は、組換えDNA方法(US 4816567を参照されたい)を使用して生成するか、又はClacksonら (1991) Nature、352:624〜628; Marksら (1991) J. MoI. Biol.、222:581〜597頁に記載されている技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することができる。
【0213】
ポリクローナル抗体は、異なる決定因子(エピトープ)を対象とする抗体である。抗体のこの異質集団は、当技術分野においてよく知られている様々な手順を使用して免疫化動物の血清に由来し得る。
【0214】
「二重特異的抗体」という用語は、2種の異なるモノクローナル抗体から構成される人工抗体を指す。それらは、単一抗原上の2つの隣接するエピトープに結合し、それによってアビディティー及び特異性の両方を増加させるように設計することができるか、又は多数の用途のためであるが、特に、細胞毒性T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の動員若しくは癌処置のための毒素、放射性核種若しくは細胞毒性薬の再標的化のために、2種の異なる抗原を結合するように設計することができるのいずれかである(Holliger & Hudson、Nature Biotechnology、2005、9、23)。二重特異的抗体は、1つのアームに第1の結合特異性を持つハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)を有することができる。この不斉構造は、非所望の免疫グロブリン鎖組合せからの所望の二重特異的化合物の分離を容易にするが、二重特異的分子の半分だけにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の手軽なやり方を提供するからである(WO 94/04690; Sureshら、Methods in Enzymology、1986、121:210頁; Rodriguesら、1993、J. of Immunology 151:6954〜6961頁; Carterら、1992、Bio/Technology 10:163〜167頁; Carterら、1995、J. of Hematotherapy 4:463〜470頁; Merchantら、1998、Nature Biotechnology 16:677〜681頁)。
【0215】
ハイブリッド又は二重特異的抗体を調製するための方法は、当技術分野において知られている。1つの方法において、二重特異的抗体は、2つの異なるFab又はscFvモジュールの化学的架橋又は遺伝子融合による、単一「クアドローマ」への2つのハイブリドーマの融合によって生成することができる(Holliger & Hudson、Nature Biotechnology、2005、9、23)。
【0216】
「キメラ」抗体という用語は、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体を指す。例えば、キメラ抗体は、マウスからの可変領域及びヒトからの定常領域から由来し得る。対照的に、「ヒト化抗体」は、それが非ヒト部分を含有していても、優勢にはヒトから生じる。具体的には、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残渣によって置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中又はドナー抗体中に見出されない残渣を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応するとともにFRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも1つ及び典型的に2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。
【0217】
キメラ及びヒト化モノクローナル抗体等の組換え抗体は、当技術分野において知られている組換えDNA技術によって生成することができる。完全ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子を発現できないがヒト重鎖及び軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して生成することができる。トランスジェニックマウスは、選択抗原を用いる通常の様式で免疫化される。抗原を対象とするモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ科学技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスによって宿されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再配列し、引き続いて、クラススイッチ及び体細胞突然変異を受ける。したがって、こうした技法を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体を生成するためのこの科学技術の概説についてはLonberg及びHuszar (1995、Int. Rev. Immunol. 13:65〜93頁)を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの科学技術及びこうした抗体を生成するためのプロトコールの詳しい論述については、例えば、米国特許第5625126号;同5633425号;同5569825号;同5661016号;同5545806号を参照されたい;これらの各々は、それらを全体で参照により本明細書に組み込む。他のヒト抗体は、例えば、Abgenix、Inc. (Freemont社、CA)及びGenpharm (SanJose社、CA)から商業的に得ることができる。
【0218】
本発明の薬物コンジュゲートにおける「抗原結合断片」という用語は、抗体のこうした抗原結合断片が、対応する全長抗体の抗原結合機能を保持する全長抗体の一部を指す。抗原結合断片は、抗体の可変領域の一部を含むことがあり、前記部分は、CDR1、CDR2及びCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、好ましくは3つのCDRを含む。抗原結合断片は、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖の一部を含むこともある。抗体断片の例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、di-scFv、及びBiTE(二重特異的T細胞エンゲージャー)、ナノボディを含むFv断片、ダイアボディ、ダイアボディ-Fc融合物、トリアボディ及びテトラボディ;ミニボディ;線状抗体; Fab発現ライブラリーによって生成される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補的決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原若しくは微生物抗原等の標的抗原に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片、重鎖だけの抗体を含む単鎖又は単一ドメイン抗体分子、例えば、ラクダ科VHHドメイン及びサメV-NAR;並びに抗体断片から形成される多重特異的抗体が挙げられる。比較のため、「抗体」と名付けられる全長抗体は、VL及びVHドメイン、並びに完全軽鎖及び重鎖定常ドメインを含むものである。
【0219】
該抗体は、抗体のFc領域(受容体結合を変更するために当技術分野における方法に従って操作された天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因しうる生物学的活性を指す1つ又は複数のエフェクター機能を有することもある。抗体エフェクター機能の例としては、CIq結合;補体依存性細胞傷害; Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体; BCR)の下方調節等が挙げられる。
【0220】
該抗体は、癌細胞抗原、ウイルス抗原若しくは微生物抗原等の標的抗原に免疫特異的に結合する抗体又は腫瘍細胞に結合される他の抗体の機能活性断片、誘導体又は類似体であってもよい。これに関して、機能活性とは、断片、誘導体又は類似体が、該断片、誘導体又は類似体が由来する抗体が認識したのと同じ抗原を認識する抗イディオタイプ抗体を導出できることを意味する。具体的に、例証的な実施形態では、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、抗原を特異的に認識するCDR配列へのC-末端であるフレームワーク及びCDRの配列の欠失によって増強することができる。どのCDR配列が該抗原を結合するのかを決定するため、CDR配列を含有する合成ペプチドが、当技術分野において知られている任意の結合アッセイ方法によって抗原との結合アッセイにおいて使用され得る(例えば、BIAコアアッセイ、例えば、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、Md; Kabat Eら、1980、J. of Immunology 125(3):961〜969頁を参照されたい)。
【0221】
「抗体」という用語には、例えば、抗体が、該抗体ではない別のタンパク質(又はその一部、例えばタンパク質の少なくとも10、20又は50のアミノ酸部分)のアミノ酸配列へのN末端又はC末端のいずれかで共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して融合している、抗体の融合タンパク質、又はその機能活性断片も含まれる。抗体又はその断片は、定常ドメインのN末端で他のタンパク質に共有結合で連結することができる。
【0222】
更に、本発明の抗体又は抗原結合断片としては、分子の任意の型の共有結合付着等によって、こうした共有結合付着が抗体にそれの抗原結合免疫特異性を維持することを可能にする限り、どちらも修飾されている抗体又はその抗原結合断片の類似体及び誘導体が挙げられ得る。修飾の例としては、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク分解的開裂、細胞抗体単位又は他のタンパク質への連結等が挙げられる。多数の化学的修飾のいずれもが、以下に限定されないが特異的化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの存在下における代謝合成等を含める公知の技法によって実施することができる。追加として、該類似体又は誘導体は、1種又は複数の非天然アミノ酸を含有することができる。
【0223】
本発明の抗体又は抗原結合断片は、抗体のFcドメインに修飾(例えば、置換、欠失又は付加)を有することもできる。具体的には、修飾は、Fc-ヒンジ領域にあり、FcRn受容体のための結合の増加をもたらすことができる(WO 97/34631)。
【0224】
一実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートにおける抗体は、任意の抗体又はその抗原結合断片、好ましくは疾患、好ましくは癌の処置において有用であるモノクローナル抗体であってよい。癌は、乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌メラノーマ、白血病、肺癌、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫)、固形腫瘍、例えば肉腫及び癌腫、メラノーマ、中皮腫、骨肉腫、卵巣癌、並びに腎癌であってよい。好ましい実施形態では、癌は、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌である。より好ましい実施形態では、癌は、結腸直腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫及び卵巣癌である。
【0225】
癌の処置において有用であり得る抗体としては、以下の抗原に対する抗体が挙げられるが以下に限定されない: CA125 (卵巣)、CA15-3 (癌腫)、CA19-9 (癌腫)、L6 (癌腫)、ルイスY (癌腫)、ルイスX (癌腫)、アルファフェトプロテイン(癌腫)、CA242 (結腸直腸)、胎盤アルカリホスファターゼ(癌腫)、前立腺特異的抗原(前立腺)、前立腺酸ホスファターゼ(前立腺)、上皮成長因子(癌腫)例えばEGF受容体2タンパク質(乳癌)、MAGE-I (癌腫)、MAGE-2 (癌腫)、MAGE-3 (癌腫)、MAGE-4 (癌腫)、抗トランスフェリン受容体(癌腫)、p97 (メラノーマ)、MUCl-KLH (乳癌)、CEA (結腸直腸)、gplOO (メラノーマ)、MARTl (メラノーマ)、PSA (前立腺)、IL-2受容体(T細胞白血病及びリンパ腫)、CD20 (非ホジキンリンパ腫)、CD52 (白血病)、CD33 (白血病)、CD22 (リンパ腫)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(癌腫)、CD38 (多発性骨髄腫)、CD40 (リンパ腫)、ムチン(癌腫)、P21 (癌腫)、MPG (メラノーマ)、及びNeuオンコジーン生成物(癌腫)。一部の具体的な有用な抗体としては、以下に限定されないが、BR96 mAb (Trail、P. A.、ら Science (1993) 261、212〜215頁)、BR64 (Trail、PAら、Cancer Research (1997) 57、100〜105頁)、CD40抗原に対するmAb、例えばS2C6 mAb (Francisco、J. A.ら、Cancer Res. (2000) 60:3225〜3231頁)、CD70抗原に対するmAb、例えば1F6 mAb、及びCD30抗原に対するmAb、例えばAClO (Bowen、M. A.ら、(1993) J. Immunol.、151:5896〜5906頁; Wahlら、2002 Cancer Res. 62(13):3736〜42頁)が挙げられる。腫瘍関連抗原に結合する多くの他の内部移行する抗体が使用され得、概説されている(Franke、A. E.ら、Cancer Biother Radiopharm. (2000) 15:459〜76頁; Murray、J. L.、(2000) Semin Oncol、27:64〜70頁; Breitling、F.、及びDubel、S.、Recombinant Antibodies、John Wiley、and Sons、New York、1998)。
【0226】
他の腫瘍関連抗原としては、以下に限定されないが、BMPR1B、E16、STEAP1、STEAP2、0772P、MPF、Napi3b、Sema5b、PSCA hlg、ETBR、MSG783、TrpM4、CRIPTO、CD21、CD79b、FcRH2、HER2、NCA、MDP、IL20Rα、ブレビカン、EphB2R、ASLG659、PSCA、GEDA、BAFF-R、CD79A、CXCR5、HLA-DOB、P2X5、CD72、LY64、FCRH1、IRTA2及びTENB2が挙げられる。
【0227】
代替実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートの抗体は、抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、ウイルス抗原、微生物抗原又は自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞の抗原に免疫特異的に結合するモノクローナル抗体であってよい。
【0228】
ウイルス抗原としては、以下に限定されないが、免疫応答を導出できる、任意のウイルス性ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、例えばHIV gpl20、HIV nef、RSV F糖タンパク質、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザウイルスヘマグルチニン、HTLV tax、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(例えば、Gb、Gc、Gd及びGe)及びB型肝炎表面抗原が挙げられ得る。
【0229】
微生物抗原としては、以下に限定されないが、免疫応答を導出できる、任意の微生物性ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖類、多糖類、又は脂質分子(例えば、細菌性、真菌性、病原性原虫又は酵母ポリペプチド、例えば、LPS及び莢膜多糖類を含む)が挙げられ得る。
【0230】
別の実施形態では、抗体は、ウイルス性又は微生物性感染-即ち感染性疾患の処置又は予防のために知られている任意の抗体であり得る。こうした抗体の例としては、以下に限定されないが、HIV感染の処置に有用なCD4融合抗体であるPRO542 (Progenies社); B型肝炎ウイルスの処置に有用なヒト抗体であるOsTAVIR (Protein Design Labs、Inc.社、CA);サイトメガロウイルス(CMV)の処置に有用なヒト化IgG1抗体であるPROTOVIR. (Prote inDesign Labs、Inc.社、CA);及び抗LPS抗体が挙げられる。
【0231】
感染性疾患の処置において有用な他の抗体としては、以下に限定されないが、細菌(ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Hemophilus influenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オツェーナ(Klebsiella ozaenas)、クレブシエラ・リノスクレロマティス(Klebsiella rhinoscleromotis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ビブリオ・コレラ(Vibrio colerae)、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、カンピロバクター(ビブリオ)フィータス(Campylobacter (Vibrio) fetus)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pesti)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテヌエ(Treponema pertenue)、トレポネーマ・カラテネウム(Treponema carateneum)、ボレリア・ビンセンティ(Borrelia vincentii)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レプトスピラ・イクテロヘモラジア(Leptospira icterohernorrhagiae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、マイコプラズマ(Mycoplasma)菌種、リケッチア・プロワツェキイ(Rickettsia prowazeki)、リケッチア・ツツグムシ(Rickettsia tsutsugumushi)、クラミジア(Chlamydia)菌種);病原性真菌(コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum));原虫(エントメーバ・ヒストリチカ(Entomoeba histolytica)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、トリコモナス・テナス(Trichomonas tenas)、トリコモナス・ホミニス(Trichomonas hominis)、トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、トリパノソーマ・ガンビエンス(Tryoanosoma gambiense)、トリパノソーマ・ロデシエンス(Trypanosoma rhodesiense)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)、リーシュマニア・トロピカ(Leishmania tropica)、リーシュマニア・ブラジリエンシス(Leishmania braziliensis)、ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia)、プラスモディウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、プラスモジウム熱帯熱(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリア(Plasmodium malaria));又は蠕虫(エンテロビウス・ベルミクラリス(Enterobius vermicularis)、トリキュリス・トリキウラ(Trichuris trichiura)、アスカリス・ルンブリコイデス(Ascaris lumbricoides)、トリキネラ・スピラリス(Trichinella spiralis)、ストロンギロイデス・ステルコラリス(Strongyloides stercoralis)、シストソーマ・ジャポニクム(Schistosoma japonicum)、シストソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)、シストソーマ・ヘマトビウム(Schistosoma haematobium)、及び鉤虫)の病原性株からの抗原に対する抗体が挙げられる。
【0232】
ウイルス性疾患の処置に有用な他の抗体としては、以下に限定されないが:ポックスウイルス科(Poxviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、アデノウイルス科(Adenoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、エンテロウイルス科(Enteroviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、パルボウイルス科(Parvoviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプス、麻疹、呼吸器合胞体ウイルス、風疹、アルボウイルス科(Arboviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、非A/非Bの肝炎ウイルス、ライノウイルス科(Rhinoviridae)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、ロタウイルス科(Rotoviridae)、及びヒト免疫不全ウイルスを、例として且つ限定によらずに含めて、病原性ウイルスの抗原に対する抗体が挙げられる。
【0233】
代替実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートの抗体は、自己免疫障害、例えば、以下に限定されないが、Th2リンパ球関連障害(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、Omenn症候群、全身性硬化症、及びグラフト対宿主病); Th1リンパ球関連障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、及び結核);活性化Bリンパ球関連障害(例えば、全身性ループスエリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、関節リウマチ、及びI型糖尿病);並びに活性慢性肝炎、アジソン病、アレルギー性肺胞炎、アレルギー反応、アレルギー性鼻炎、アルポート症候群、アナフィラキシー、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、関節炎、回虫症、アスペルギルス症、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、ベーチェット病、愛鳥家肺、気管支喘息、カプラン症候群、心筋症、セリアック病、シャガス疾患、慢性糸球体腎炎、コーガン症候群、寒冷凝集素疾患、先天性風疹感染、CREST症候群、クローン病、クリオグロブリン血症、クッシング症候群、皮膚筋炎、円板状ループス、ドレスラー症候群、イートン・ランバート症候群、エコーウイルス感染、脳脊髄炎、内分泌性眼症、エプスタイン・バーウイルス感染、ウマ肺気腫、エリテマトーシス、エバンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛症、フックス毛様体炎、胃萎縮、消化管アレルギー、巨細胞動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グラフト対宿主疾患、グレーブス疾患、ギラン・バレー疾患、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性副腎萎縮、特発性肺線維症、IgA腎症、炎症性腸疾患、インスリン依存性真性糖尿病、若年性関節炎、若年性真性糖尿病(型I)、ランバート・イートン症候群、蹄葉炎、扁平苔癬、ルポイド肝炎、ループスリンパ球減少症、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、多腺症候群、初老期認知症、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、反復流産、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、Sampter症候群、住血吸虫症、シュミット症候群、強皮症、シュルマン症候群、シェーグレン症候群、スティフ・マン症候群、交感性眼炎、全身性紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺炎、血小板減少症、甲状腺中毒、中毒性表皮壊死融解症、B型インスリン抵抗性、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、尋常性白斑、ワルデンストレームマクログロブリン血症及びウェゲナー肉芽腫症の予防の処置のために知られている任意の抗体であってもよい。
【0234】
自己免疫抗体を生成することを担当する細胞の抗原に免疫特異的な抗体は、例えば、化学合成又は組換え発現技法等、当分野の技術者に知られている任意の方法によって得ることができる。自己免疫抗体の例としては、以下に限定されないが、抗核抗体;抗ds DNA;抗ss DNA、抗カルジオリピン抗体IgM、IgG;抗リン脂質抗体IgM、IgG;抗SM抗体;抗ミトコンドリア抗体;甲状腺抗体;ミクロソーム抗体;チログロブリン抗体;抗SCL-70;抗Jo;抗U1RNP;抗La/SSB;抗SSA;抗SSB;抗壁細胞抗体;抗ヒストン;抗RNP; C-ANCA; P-ANCA;抗セントロメア;抗フィブリラリン及び抗GBM抗体が挙げられる。
【0235】
別の実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートの抗体は、自己免疫疾患に関連するもの等、活性化リンパ球上に発現される受容体又は受容体複合体の両方に結合するものであり得る。該受容体又は受容体複合体は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバー、インテグリン、インターロイキン、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、主要な組織適合性タンパク質、レクチン、又は補体制御タンパク質を含むことができる。適当な免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーの非限定的な例は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD13、CD19、CD22、CD28、CD79、CD90、CD152/CTLA-4、PD-I及びICOSである。適当なTNF受容体スーパーファミリーメンバーの非限定的な例は、CD27、CD40、CD95/Fas、CD134/OX40、CD137/4-1BB、TNF-Rl、TNFR-2、RANK、TACI、BCMA、オステオプロテゲリン、Apo2/TRAEL-Rl、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRABL-R4及びAPO-3である。適当なインテグリンの非限定的な例は、CDlIa、CDlIb、CDlIc、CD18、CD29、CD41、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD103及びCD104である。適当なレクチンの非限定的な例は、C型、S型及びI型レクチンである。
【0236】
分子標的又は目的の抗原、例えば、ErbB2抗原を結合する抗体は、抗体が抗原を発現する細胞を標的にすることにおいて有用であるように充分な親和性でその抗原を結合できるものである。抗体がErbB2を結合するものである場合、それは、他のErbB受容体と対照的にErbB2を通常優先的に結合し、EGFR、ErbB3又はErbB4等の他のタンパク質と有意に交差反応しないものであり得る。こうした実施形態では、これらの非ErbB2タンパク質への抗体の結合(例えば、内因性受容体への細胞表面結合)の程度は、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析又は放射性免疫沈降(RIA)によって決定される場合に10%未満である。時々、抗ErbB2抗体は、例えばSchecterら、Nature 312:513 (1984)及びDrebinら、Nature 312:545〜548頁(1984)に記載されている通り、ラットneuタンパク質と有意に交差反応しない。
【0237】
別の実施形態では、本発明の薬物コンジュゲート又は標的の抗体は、下記表における抗体又は標的から選択することができる。こうした抗体は、標的抗原に免疫特異的であり、商業的に得ることができるか、又は例えば組換え発現技法等の当技術分野において知られている任意の方法によって生成することができる。
【0238】
【表1A】
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【0239】
【表1B】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
【表1C】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
【表1D】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
【表1E】
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
【表1F】
[この文献は図面を表示できません]
【0244】
【表1G】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
【表1H】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
【表1I】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
上記に加えて、本発明の薬物抗体コンジュゲートの抗体は、肉腫の処置のためのヒト化抗体であるVitaxin;非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗HLA-DR抗体であるSmart IDlO;非ホジキンリンパ腫の処置のための放射標識ネズミ抗HLA-DrlO抗体であるOncolym;及びホジキン病又は非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗CD2 mAbであるAllomuneである。
【0248】
本発明の薬物コンジュゲートの抗体は、任意の疾患、好ましくは癌の処置のために知られている任意の抗体-断片であってもよい。かさねて、こうした抗体断片は、標的抗原に免疫特異的であり、商業的に得ることができるか、又は例えば組換え発現技法等、当技術分野において知られている任意の方法によって生成することができる。利用可能なこうした抗体の例としては、下記表からのいずれかが挙げられる。
【0249】
【表2A】
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【0250】
【表2B】
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
(Holliger & Hudson、Nature Biotechnology、2005、9、23)。
【0252】
好ましい実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートにおける抗体は、ErbB遺伝子によってコード化される受容体に結合することができる。該抗体は、具体的には、EGFR、HER2、HER3及びHER4から選択されるErbB受容体に結合することができる。好ましくは、該薬物コンジュゲートにおける抗体は、HER2受容体の細胞外ドメインに特異的に結合し、HER2受容体を過剰発現する腫瘍細胞の成長を阻害することができる。該薬物コンジュゲートの抗体は、モノクローナル抗体、例えばネズミモノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体であってよい。好ましくは、ヒト化抗体は、huMAb4D5-1、huMAb4D5-2、huMAb4D5-3、huMAb4D5-4、huMAb4D5-5、huMAb4D5-6、huMAb4D5-7又はhuMAb4D5-8(トラスツズマブ)、特に好ましくはトラスツズマブであり得る。該抗体は、抗体断片、例えばFab断片であってもよい。
【0253】
他の好ましい抗体としては、以下が挙げられる:
(i)抗CD4抗体。該薬物コンジュゲートの抗体は、モノクローナル抗体、例えばネズミモノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体であってよい;
(ii)抗CD5抗体。該薬物コンジュゲートの抗体は、モノクローナル抗体、例えばネズミモノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体であってよい;
(iii)抗CD13抗体。該薬物コンジュゲートの抗体は、モノクローナル抗体、例えばネズミモノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体であってよい;並びに
(iv)抗CD20抗体。該薬物コンジュゲートの抗体は、モノクローナル抗体、例えばネズミモノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体であってよい。好ましくは、ヒト化抗体は、リツキシマブ又はその抗体断片、例えばFab断片である。
【0254】
薬物抗体コンジュゲートの調製のためのプロセス
本発明の薬物抗体コンジュゲートは、当技術分野においてよく知られている技法に従って調製することができる。異なるプロセスを使用して、抗体等、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分を多数の異なる薬物にコンジュゲートするためのプロセスは、以前に、例えばWO-A-2004/010957、WO-A-2006/060533及びWO-A-2007/024536に記載及び例証されており、これらの内容を本明細書において参照により本明細書に組み込む。これらは、薬物、毒素又は放射性核種を、それが次いで抗体等の部分に付着することができるようなやり方で誘導体化するリンカー基の使用を伴う。抗体等の部分への付着は、典型的に、以下の3つの経路の1つによる:抗体におけるジスルフィド基の部分的還元後にシステイン中の遊離チオール基を介する;抗体におけるリシン中の遊離アミノ基を介する;並びに抗体におけるセリン及び/又はトレオニン中の遊離ヒドロキシル基を介する。付着方法は、抗体等の部分上の付着の部位に依存して変動する。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による抗体-薬物コンジュゲートの精製も記載されている[例えば、Liuら、Proc. Natl. Acad. Set (USA)、93: 8618〜8623頁(1996)、及びChariら、Cancer Research、52: 127〜131頁(1992)を参照されたい]。
【0255】
前に注記されている通り、本発明の薬物コンジュゲートの薬物ペイロードは、ジヒドロピラン-2-オン及びテトラヒドロピラン-2-オンの誘導体であり、これらは開示されているか又は国際公開第WO-A-2007/144423号及び同WO-A-2009/080761号の範囲内に入り、これらの内容を本明細書において参照により本明細書に組み込む。これらの化合物は、これらの国際出願において記載及び例証されているプロセスに従って合成される。
【0256】
先に注記されている通り、本発明の第9の態様では、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分Ab及び式(I)、(Ia)又は(Ib)の薬物Dをコンジュゲートする工程を含む、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの調製のためのプロセスが提供され、Ab及びDは、本発明の第1の態様で定義されている通りである。
【0257】
本発明の薬物コンジュゲートの調製のためのプロセスの1つの例は、以下の通り、本発明の式(G)又は(H)の薬物抗体コンジュゲートの調製を伴う:
【0258】
【化80】
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【0259】
前記プロセスは、以下の工程を含む:
(i)式(Ia)-H:
【0260】
【化81】
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【0261】
[式中、(Ia)の定義における置換基は上記で定義されている通りである]
の薬物(D)を、式X2-C(O)-X1 [式中、X1及びX2が脱離基である]の化合物と反応させることで、式(B):
【0262】
【化82】
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【0263】
の化合物を得る工程であり、-(C=O)X1部分の付着点は、R18'と同じ炭素に付着されている遊離ヒドロキシル基である。
(ii)工程(i)において生成された式(B)の化合物を、式H2N-(CH2)1-6NH2のジアミンと反応させることで、式(C):
【0264】
【化83】
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【0265】
の化合物を得る工程
(iii)工程(ii)において生成された式(C)の化合物を、式(D'):
【0266】
【化84】
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【0267】
の化合物と反応させることで、式(F):
【0268】
【化85】
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【0269】
の化合物を得る工程、
又は
工程(ii)において生成された化合物(C)を、6-マレイミドヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることで、(E):
【0270】
【化86】
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【0271】
を得る工程のいずれか
(iv)コンジュゲートされる抗体における1個又は複数のジスルフィド結合の部分的還元で、遊離チオール基を有する還元抗体Ab-SHを得る工程:
【0272】
【化87】
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【0273】
及び(v)遊離チオール基を有する部分還元抗体Ab-SHと、工程(iv)において生成された式(E)又は(F)の化合物との反応で、それぞれ式(G)又は(H):
【0274】
【化88】
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【0275】
の所望の薬物抗体コンジュゲートを得る工程。
【0276】
好ましくは、工程(i)における薬物(A)と反応させる式X2-C(O)-X1の化合物は、1,1'カルボニルジイミダゾールである。
【0277】
好ましくは、工程(ii)におけるジアミンは、式NH2-(CH2)2-4-NH2を有し、より好ましくは、それはプロピレン-1,3-ジアミンである。
【0278】
このプロセスの好ましい一実施形態では、中間体(C)は、式(D') [式中、R23は-(CH2)3-NH-CO-NH2であり、R22はイソプロピルである]の化合物と反応させる。
【0279】
このプロセスの別の好ましい実施形態では、該抗体は、トラスツズマブ、リツキシマブ、抗CD4抗体、抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択されるか、又はそれはトラスツズマブ、リツキシマブ及び抗CD4抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択されるか、最も好ましくは、それはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分であり;又はそれは抗CD5抗体及び抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分から選択され、最も好ましくは、それは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分である。更に、このモノクローナル抗体の部分的還元は、トリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)を使用して実施される。
【0280】
本発明の薬物抗体コンジュゲートの調製のためのプロセスの別の例は、以下の通りに式(O)又は(P)
【0281】
【化89】
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【0282】
の薬物抗体コンジュゲートの調製を伴う:
前記プロセスは以下の工程を含む:
(i)以下のいずれか:
式(Ia)-H:
【0283】
【化90】
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【0284】
[式中、(Ia)-Hの定義における置換基は、上記で定義されている通りである]
の薬物(D)を、式X2-C(O)-X1 [式中、X1及びX2は脱離基である]の化合物と反応させることで、式(B):
【0285】
【化91】
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【0286】
の化合物を得る工程であり、X1(CO)部分の付着点は、R18'と同じ炭素原子に付着されている遊離ヒドロキシル基である工程、又は
(b)上記で定義されている式(Ia)-Hの前記薬物(A)を、4-ニトロ-クロロギ酸フェニルと反応させることで、式(J):
【0287】
【化92】
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【0288】
の化合物を得る工程であり、(4-ニトロフェニル)-O-CO-基の付着点は、上記の(a)におけるX1(CO)部分についてのものと同じである工程;
(ii)以下のいずれか:
(c)工程(i)において生成された式(B)の化合物を、式H2N-(CH2)1-6NH2のジアミンと反応させることで、式(C):
【0289】
【化93】
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【0290】
の化合物を得、次いで、式(C)の結果として得られた化合物を、式Me-S-S-(CH2)1-3-CO2Hの化合物と反応させることで、式(K)
【0291】
【化94】
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【0292】
の化合物を得る工程
又は
(d)工程(i)において生成された化合物(J)を、式H2N-(CH2)1-3SHのアミノアルキルチオ化合物と反応させることで、式(L):
【0293】
【化95】
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【0294】
の化合物を得る工程
(iii)工程(ii)において生成された(K)又は(L)を、ジチオスレイトールとジスルフィド還元条件下で反応させることで、それぞれ式(M)及び(N):
【0295】
【化96】
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【0296】
の化合物を得る工程
(iv)コンジュゲートされる抗体を、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレートと反応させることで、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボニル基を用いて1個又は複数のリシン基で前記抗体を誘導体化する工程:
【0297】
【化97】
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【0298】
(v)工程(iv)において生成された誘導体化抗体を、工程(iii)において生成された(M)又は(N)のいずれかと反応させることで、式(O)又は(P):
【0299】
【化98】
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【0300】
の所望の薬物抗体コンジュゲートを得る工程。
【0301】
初期のプロセスに関して、式X2-C(O)-X1の化合物は、好ましくは1,1'-カルボニルジイミダゾールである。同様に、式(B)ジアミンの化合物は、好ましくはNH2-(CH2)2-4-NH2、より好ましくはプロピレン-1,3-ジアミンである。
【0302】
この発明の好ましい一実施形態では、式(K)の化合物を得るために式(C)の化合物と反応させる化合物は、3-(メチルジスルファニル)プロパン酸である。
【0303】
別の好ましい実施形態では、式(L)の化合物を得るために式(J)の化合物と反応させるアミノアルキルチオ化合物は、3-アミノプロパン-1-チオールである。
【0304】
薬物リンカー部分への付着が、モノクローナル抗体等の少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分におけるジスルフィド基の部分的還元後のシステインにおける遊離チオール基を介する場合、部分的還元は、典型的に、適当な濃度に最初に希釈し、該溶液を緩衝した後で、トリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)又はジチオスレイトール(DTT)等の適当な還元剤の添加の手段によってジスルフィド結合の部分的還元によって行われる。モノクローナル抗体等、還元される部分及び還元剤の適切な比、反応条件及び還元時間を選択することによって、所望の遊離チオール対部分比、例えば1モノクローナル抗体当たりの4個の遊離チオール基を得ることが可能である。
【0305】
上に記載されている通りに調製された、遊離チオール基を有する部分還元モノクローナル抗体等の部分還元部分は、次いで、式D-X-(AA)w-L1 (式中、こうした化合物におけるL基は、チオール基に自由に反応するマレイミド基である)の本発明の薬物-リンカー化合物と反応させる。結果として得られた薬物抗体コンジュゲートは、当技術分野において知られている任意の適当な手段によって、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製される[例えば、Liuら、Proc. Natl. Acad. Set (USA)、93: 8618〜8623頁(1996)、及びChariら、Cancer Research、52: 127〜131頁(1992)を参照されたい]。
【0306】
この発明の好ましい一実施形態では、部分還元モノクローナル抗体は、トラスツズマブ若しくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分、好ましくはトラスツズマブ若しくはその免疫学的活性部分;又は好ましくは抗CD13抗体若しくはその免疫学的活性部分である。
【0307】
本発明の代替実施形態では、モノクローナル抗体等、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分におけるリシンは、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレートと最初に反応させることができる。抗体上の遊離アミン基は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応することで、マレイミド活性化抗体:
【0308】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0309】
を得ることができる。
【0310】
マレイミド活性化抗体は、次いで、反応性チオール部分を有する式D-X-(AA)w-Hの化合物と反応させることができる。
【0311】
抗体におけるジスルフィド基の部分的還元後のシステインにおける遊離チオール基を介する、及びマレイミド基を用いる活性化に続く抗体におけるリシン中の遊離アミノ基を介する、コンジュゲーションによる本発明の式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abの薬物抗体コンジュゲートの調製のためのプロセスの2つの具体例は、図1及び図2に示されている。
【0312】
本発明の薬物抗体コンジュゲートを含む組成物及びその使用
本発明の第5の態様では、本発明による薬物コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。本発明の一般式[D-(X)b-(AA)w-(L)-]n-Abを有する薬物コンジュゲートの投与形態の例としては、限定せずに、経口、局所的、非経口、舌下、直腸、腟内、眼球及び鼻腔内が挙げられる。非経口投与としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射又は注入技術が挙げられる。好ましくは、該組成物は非経口的に投与される。本発明の医薬組成物は、動物、好ましくはヒトへの該組成物の投与時に本発明の薬物コンジュゲートが生体利用可能であることを可能にするように製剤化することができる。組成物は、1つ又は複数の投与単位の形態をとることができ、ここで例えば、錠剤は単回投与量単位であってよく、エアロゾル形態における本発明の薬物抗体コンジュゲートの容器は、複数の投与単位を保持することができる。
【0313】
薬学的に許容される担体又はビヒクルは、粒子状であり得ることで、該組成物は、例えば錠剤又は粉末の形態である。担体は液体であってよく、該組成物は、例えば、経口シロップ又は注射可能な液体である。加えて、担体は、ガス状であり得ることで、例えば吸入投与において有用なエアロゾル組成物を提供する。「担体」という用語は、希釈剤、アジュバント又は賦形剤を指し、これを用いて本発明の薬物抗体コンジュゲートが投与される。こうした医薬担体は、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱物油及びゴマ油等を含めて、水及び油等の液体であってよい。担体は、生理食塩水、ガムアカシア、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ及び尿素等であってよい。加えて、助剤、安定化剤、増粘化剤、潤滑剤及び着色剤が使用され得る。一実施形態では、動物に投与される場合、本発明の薬物抗体コンジュゲート又は組成物及び薬学的に許容される担体は、滅菌である。本発明の薬物抗体コンジュゲートが静脈内に投与される場合、水は好ましい担体である。生理食塩溶液並びにデキストロース及びグリセロールの水溶液も、特に注射可能な溶液のための液体担体として用いることができる。適当な医薬担体としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水及びエタノール等の賦形剤も挙げられる。本組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤を含有することもできる。
【0314】
経口投与を意図される場合、該組成物は、好ましくは固体又は液状の形態であり、ここで、半固体、半液状、懸濁液及びゲルの形態は、本明細書において固体又は液体のいずれかとして考えられる形態内に含まれる。
【0315】
経口投与のための固体組成物として、該組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、ピル、カプセル、チューインガム又はウェハ等の形態中に製剤化することができる。こうした固体組成物は、1種又は複数の不活性希釈剤を典型的に含有する。加えて、以下の1種又は複数が存在し得る:バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース又はゼラチン;賦形剤、例えばデンプン、ラクトース又はデキストリン、崩壊剤、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びコーンスターチ等;潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリン;香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香味料;及び着色剤。
【0316】
該組成物がカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態である場合、それは、上記の型の材料に加えて、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン又は脂肪油等の液体担体を含有することができる。
【0317】
該組成物は、液体の形態、例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン又は懸濁液であってよい。液体は、経口投与に、又は注射による送達に有用であり得る。経口投与を意図される場合、組成物は、甘味剤、保存料、染料/着色料及び香味増強剤の1種又は複数を含むことができる。注射による投与のための組成物において、界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤の1種又は複数を含むこともできる。
【0318】
好ましい投与経路は、以下に限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、鼻腔内、脳内、脳室内、くも膜下腔内、膣内又は経皮を含めて、非経口投与である。好ましい投与モードは、開業医の裁量に委ねられ、病状の部位(癌の部位等)に一部依存する。より好ましい実施形態では、本発明の本薬物抗体コンジュゲートは、静脈内に投与される。
【0319】
本発明の液体組成物は、それらが溶液、懸濁液又は他の同様の形態であろうと、以下の1種又は複数を含むこともできる:滅菌希釈剤、例えば注射のための水、生理食塩溶液、好ましくは生理的食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、固定油、例えば合成のモノ又はジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン又は他の溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;及び張度の調整のための薬剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。非経口用組成物は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はガラス、プラスチック又は他の材料で作製されている多重用量バイアルに封入することができる。生理的食塩水は、好ましいアジュバントである。
【0320】
特別な障害又は状態の処置において有効である本発明の薬物コンジュゲートの量は、障害又は状態の性質に依存し、標準的臨床技法によって決定することができる。加えて、in vitro又はin vivoアッセイは、最適な投与量範囲を同定するのを助けるために任意選択で用いることができる。組成物中に用いられる正確な用量は、投与の経路、及び疾患又は障害の重症度にも依存し、開業医の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。
【0321】
該組成物は、適当な投与量が得られるような本発明の薬物コンジュゲートの有効量を含む。化合物の妥当な投与量は、特別な製剤化、適用モード、及びそれの特別な部位、宿主、並びに処置されている疾患、例えば癌、及びそうであれば、何型の腫瘍かに従って変動する。年齢、体重、性別、食餌療法、投与時間、排出速度、宿主の状態、薬物組合せ、反応感受性及び疾患の重症度のような他の因子が考慮に入れられるべきである。投与は、最大耐量内で連続的又は周期的に実施することができる。
【0322】
典型的に、この量は、組成物の質量により、本発明の薬物コンジュゲートの少なくとも約0.01%である。経口投与を意図される場合、この量は、組成物の質量により約0.1%から約80%の範囲に変動され得る。好ましい経口用組成物は、組成物の質量により本発明の薬物コンジュゲートの約4%から約50%を含むことができる。
【0323】
本発明の好ましい組成物は、非経口投与単位が、本発明の薬物コンジュゲートの約0.01質量%から約2質量%を含有するように調製される。
【0324】
静脈内投与のため、該組成物は、典型的には、動物の体重の約0.1mg/kgから約250mg/kg、好ましくは、動物の体重の約0.1mg/kgから約20mg/kgの間、より好ましくは、動物の体重の約1mg/kgから約10mg/kgを含むことができる。
【0325】
本発明の薬物コンジュゲート又は組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば注入又はボーラス注射によって、上皮又は粘膜皮膚の裏層を介する吸収によって投与することができる。
【0326】
具体的な実施形態では、処置を必要としている部域に局所性に、本発明の1種又は複数の薬物コンジュゲート又は組成物を投与することが望ましいことがある。一実施形態では、投与は、癌、腫瘍又は新生物組織若しくは前新生物組織の部位(又は前の部位)での直接注射によってでよい。別の実施形態では、投与は、自己免疫疾患の顕在化の部位(又は前の部位)での直接注射によってでよい。
【0327】
肺投与は、例えば吸入器又はネブライザーの使用、及びエアロゾル化剤を用いる製剤化によって、又はフッ化炭素又は合成肺サーファクタントにおける灌流を介して用いることもできる。ある特定の実施形態では、本発明の薬物抗体コンジュゲート又は組成物は、伝統的なバインダー及びトリグリセリド等の担体を用いて坐剤として製剤化することができる。
【0328】
本組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、徐放製剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液の形態、又は使用に適当な任意の他の形態をとることができる。適当な医薬担体の他の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0329】
該医薬組成物は、製薬技術においてよく知られている方法論を使用して調製することができる。例えば、注射によって投与されると意図される組成物は、本発明の薬物コンジュゲートと水とを組み合わせて溶液を形成することによって調製することができる。界面活性剤が添加されることで、均一な溶液又は懸濁液の形成を容易にすることができる。
【0330】
我々は、本発明の薬物コンジュゲート及び組成物が癌の処置において特に有効であることを見出した。
【0331】
したがって、先に記載されている通り、本発明の第6の態様は、それを必要とする患者、とりわけ癌に冒されたヒトを処置する方法であって、冒された個体に、本発明の薬物コンジュゲート又は組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明の第4の態様は、癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫及びリンパ腫から選択される癌の処置における使用のための本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートを提供する。
【0332】
本発明の薬物コンジュゲート及び組成物は、腫瘍細胞又は癌細胞の増殖を阻害すること、又は動物における癌を処置することに有用である。本発明の薬物コンジュゲート及び組成物は、動物癌の処置ためのさまざまな状況において適宜使用することができる。少なくとも1つの抗原結合部位を含む薬物-リンカー部分を含む本発明のコンジュゲートは、薬物又は薬物単位を腫瘍細胞又は癌細胞に送達するために使用することができる。理論によって縛られることなく、一実施形態では、本発明の薬物コンジュゲートの少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分は、癌細胞又は腫瘍細胞関連抗原に結合又は付随し、本発明の薬物コンジュゲートは、受容体媒介エンドサイトーシスを介して腫瘍細胞又は癌細胞の内側で溶かすことができる。抗原は、腫瘍細胞若しくは癌細胞に付着され得るか、又は腫瘍細胞又は癌細胞に関連した細胞外マトリックスタンパク質であり得る。細胞の内側に入ると、リンカー単位内の1つ又は複数の特異的配列は、1つ又は複数の腫瘍細胞又は癌細胞関連のプロテアーゼ又はヒドロラーゼによって加水分解的に切断され、薬物又は薬物-リンカー化合物の放出がもたらされる。放出された薬物又は薬物-リンカー化合物は、次いで、自由に細胞中を移動し、細胞毒性活性を誘導する。代替実施形態では、薬物又は薬物単位は、腫瘍細胞又は癌細胞の外側で本発明の薬物コンジュゲートから切断され、薬物又は薬物-リンカー化合物は引き続いて細胞に浸透する。
【0333】
一実施形態では、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分は、腫瘍細胞又は癌細胞に結合する。別の実施形態では、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分は、腫瘍細胞又は癌細胞の表面上にある腫瘍細胞又は癌細胞の抗原に結合する。なお別の実施形態では、少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分は、腫瘍細胞又は癌細胞に関連の細胞外マトリックスタンパク質である腫瘍細胞又は癌細胞の抗原に結合する。
【0334】
特別な腫瘍細胞又は癌細胞のための少なくとも1つの抗原結合部位を含む部分の特異性は、最も有効に処置されるような腫瘍又は癌を決定するのに重要であり得る。例えば、トラスツズマブ単位を有する本発明の薬物コンジュゲートは、白血病、肺癌、結腸癌、リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、固形腫瘍、例えば肉腫及び癌腫、多発性骨髄腫、腎臓癌及びメラノーマを含めて、抗原陽性癌腫を処置するのに有用であり得る。癌は、好ましくは、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫又は卵巣癌であってよい。例えば、リツキシマブ単位を有する本発明の薬物コンジュゲートは、白血病及びリンパ腫を含めて、血液癌等のCD-20発現腫瘍を処置するのに有用であり得る。例えば、抗CD4抗体単位を有する本発明の薬物コンジュゲートは、リンパ腫を含めて、血液癌等のCD-4発現腫瘍を処置するのに有用であり得る。例えば、抗CD5抗体単位を有する本発明の薬物コンジュゲートは、白血病及びリンパ腫を含めて、血液癌等のCD-5発現腫瘍を処置するのに有用であり得る。例えば、抗CD13抗体単位を有する本発明の薬物コンジュゲートは、白血病及びリンパ腫を含めて、血液癌等のCD-13発現腫瘍を処置するのに有用であり得る。
【0335】
本発明の薬物コンジュゲートで処置することができる癌の他の特別な型としては、以下に限定されないが:白血病の全て形態を含めて、血液由来癌;ホジキン病、非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫等のリンパ腫が挙げられる。
【0336】
特に、本発明の薬物コンジュゲート及び組成物は、肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌等の癌の処置において優れた活性を示す。
【0337】
本発明の薬物コンジュゲート及び組成物は、腫瘍又は癌の標的化に特異的なコンジュゲーションを提供し、したがってこれらのコンジュゲートの一般の毒性を低減する。リンカー単位は、血中で薬物抗体コンジュゲートを安定化し、なお、細胞内で腫瘍特異的なプロテアーゼ及びヒドロラーゼによって切断可能であり、薬物を遊離させる。
【0338】
本発明の薬物コンジュゲート及び組成物は、癌のための処置として外科手術も受けた動物に投与することができる。本発明の一実施形態では、追加の処置方法は放射線治療である。
【0339】
本発明の具体的な実施形態では、本発明の薬物コンジュゲート又は組成物は、化学療法剤又は放射線治療と平行して投与される。別の具体的な実施形態では、化学療法剤又は放射線治療は、本発明の薬物コンジュゲート又は組成物の投与の前又は後で、好ましくは、本発明の薬物抗体コンジュゲート又は組成物の投与の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週、1カ月、より好ましくは数カ月(例えば、最大3カ月まで)前又は後で投与される。
【0340】
化学療法剤は一連のセッションにわたって投与することができ、当技術分野において知られている化学療法剤の任意の1種又は組合せが投与され得る。
【0341】
放射線に関し、任意の放射線治療プロトコールが、処置される癌の型に依存して使用され得る。例えば、しかし限定の目的でなく、X線照射が施行され得;特に、高エネルギーメガ電圧(1MeVを超えるエネルギーの放射)が深部腫瘍のために使用され得、電子ビーム及び正中電圧X線照射が皮膚癌のために使用され得る。ラジウム、コバルト及び他の元素の放射性同位元素等、ガンマ線放出放射性同位体も投与することができる。
【0342】
本発明の第8の態様では、本発明の第1の態様による薬物コンジュゲートの治療有効量及び薬学的に許容される担体を含むキットが提供される。
【0343】
一実施形態では、この態様によるキットは、癌、より好ましくは肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌腫、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫及び卵巣癌から選択される癌の処置における使用のためである。
【0344】
本発明は、例として、添付の図面において図式的に例示されている:
【図面の簡単な説明】
【0345】
図1】抗体へのコンジュゲーションが遊離チオール基を介する、本発明による1つのプロセスの模式例示図である。
図2】抗体へのコンジュゲーションが遊離リシン基を介する、本発明による別のプロセスの模式例示図である。
図3】様々な癌細胞株に対するADC1についての代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図4】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC1を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図5】様々な癌細胞株に対するADC2についての代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図6】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC2を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図7】様々な癌細胞株に対するADC3についての代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図8】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC3を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図9】様々な癌細胞株に対するADC4についての代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図10】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC4を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図11】様々な癌細胞株に対するADC5の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図12】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC5を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図13】様々な癌細胞株に対するADC6の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図14】mAbを単独で(10μg/mL)又はADC6を10μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図15】様々な癌細胞株に対するADC7の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図16】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC7を50μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図17】様々な癌細胞株に対するADC8の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図18】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC8を50μg/mL若しくは10μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図19】様々な癌細胞株に対するADC9の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図20】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC9を50μg/mL若しくは0.1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図21】様々な癌細胞株に対するADC10の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図22】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC10を50μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図23】様々な癌細胞株に対するADC11の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図24】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC11を50μg/mL若しくは1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図25】様々な癌細胞株に対するADC12の代表的な用量応答曲線を示すグラフある。
図26】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC12を1μg/mL若しくは0.1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図27】様々な癌細胞株に対するADC13の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図28】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC13を1μg/mL若しくは0.1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図29】様々な癌細胞株に対するADC14の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図30】mAbを単独で(50μg/mL)又はADC14を1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図31】様々な癌細胞株に対するADC16の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図32】mAb単独で(50μg/mL)又はADC16を1μg/mL及び0.1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図33】様々な癌細胞株に対するADC17の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図34】mAb単独で(50μg/mL)又はADC17を1μg/mL及び0.1μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図35】2つのRaji細胞クローンに対するADC14の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図36】mAb単独で(50μg/mL)又はADC14を10μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
図37】2つのRaji細胞クローンに対するADC15の代表的な用量応答曲線を示すグラフである。
図38】mAb単独で(50μg/mL)又はADC15を10μg/mLで用いる異なる細胞株の処置後の細胞生存の百分率を示すヒストグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0346】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に例証される。実施例において、以下の略語が使用される:
【0347】
CDI、1,1'-カルボニルジイミダゾール
DIPEA、ジイソプロピルエチルアミン
Hex、ヘキサン
EtOAc、酢酸エチル
DCM、ジクロロメタン
NMP、N-メチル-2-ピロリドン
DMF、ジメチルホルムアミド
EDC、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩
EDTA、エチレンジアミン四酢酸
MeOH、メタノール
DTT、ジチオトレイトール
Py、ピリジン
THF、テトラヒドロフラン
TCEP、トリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩
MC、6-マレイミドカプロイル
Fmoc、9-フルオレニルメトキシカルボニル
Cit、シトルリン
Val、バリン
DMSO、ジメチルスルホキシド
Trt、トリフェニルメチル
HOBt、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPCDI、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド
TFA、トリフルオロ酢酸
PABOH、4-アミノベンジルアルコール
bis-PNP、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート
NAC、N-アセチルシステイン
SEC、サイズ排除クロマトグラフィー
HPLC、高性能液体クロマトグラフィー
ADC、抗体薬物コンジュゲート
ATCC、アメリカンタイプカルチャーコレクション
DMEM、ダルベッコ改変イーグル培地
RPMI、ロズウェルパーク記念研究所培地
ITS、インスリン-トランスフェリン-亜セレン酸ナトリウム培地サプリメント
FCS、ウシ胎仔血清
SRB、スルホローダミンB
PBS、リン酸緩衝生理食塩水
DR、用量-応答
UV、紫外線
SMCC、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート
LAR、リンカー対抗体比
【実施例】
【0348】
調製例
【0349】
化合物9:MC-Val-Cit-PABC-PNPの調製
反応スキーム
【0350】
【化100】
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【0351】
(a)化合物10:MC-Val-Cit-OHの調製
【0352】
【化101】
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【0353】
CI-TrtCl-樹脂(20g、1.49mmol/g)(Iris Biotech、Ref.:BR-1065、2-クロロトリチルクロリド樹脂(200〜400メッシュ、1%DVB、1.0〜1.6mmol/g)、CAS42074-68-0)を、フィルタプレートに入れた。この樹脂に100mLのDCMを添加し、この混合物を1時間撹拌した。溶媒を真空下で濾過により除去した。Fmoc-Cit-OH(11.83g、29.78mmol)及びDIPEA(17.15mL、98.45mmol)のDCM(80mL)中溶液を添加し、この混合物を10分間撹拌した。その後、DIPEA(34.82mmol、199.98mmol)を添加し、この混合物を1時間撹拌した。15分間撹拌後、反応をMeOH(30mL)の添加により終わらせた。結果として生成されたFmoc-Cit-O-TrtCl-樹脂に以下の洗浄/処理を施した:DCM(5×50mL×0.5分)、DMF(5×50mL×0.5分)、ピペリジン:DMF(1:4、1×1分、2×10分)、DMF(5×50mL×0.5分)、DCM(5×50mL×0.5分)。最終のピペリジン洗浄により、NH2-Cit-O-TrtCl-樹脂が得られた。負荷を計算した:1.15mmol/g。
【0354】
上で生成されたNH2-Cit-O-TrtCl-樹脂をDMF(5×50mL×0.5分)で洗浄し、NH2-Cit-O-TrtCl-樹脂にFmoc-Val-OH(31.22g、91.98mmol)、HOBt(11.23g、91.98mmol)のDMF(100mL)中溶液を添加し、撹拌し、DIPCDI(14.24mL、91.98mmol)を添加し、この混合物を1.5時間撹拌した。反応をDMF(5×50mL×0.5分)で洗浄することにより終わらせた。このように生成されたFmoc-Val-Cit-O-TrtCl-樹脂をピペリジン:DMF(1:4、1×1分、2×10分)で処理し、DMF(5×50mL×0.5分)で洗浄した。最終のピペリジン洗浄により、NH2-Val-Cit-O-TrtCl-樹脂が得られた。
【0355】
上で生成されたNH2-Val-Cit-O-TrtCl-樹脂に、6-マレイミドカプロン酸(MC-OH)(9.7g、45.92mmol)、HOBt(6.21g、45.92mmol)のDMF(100mL)中溶液を添加し、撹拌し、DIPCDI(7.12mL、45.92mmol)を添加し、この混合物を1.5時間撹拌した。反応をDMF(5×50mL×0.5分)及びDCM(5×50mL×0.5分)で洗浄することにより終わらせた。
【0356】
ペプチドを、TFA:DCM(1:99、5×100mL)での処理により樹脂から切断した。樹脂をDCM(7×50mL×0.5分)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で蒸発乾固させ、得られた固体をEt2Oと一緒に粉砕し、濾過して、白色の固体として化合物10(7.60g、71%)を得た。
【0357】
【数1】
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【0358】
ESI-MS m/z:C21H33N5O7について計算:467.2、実測:468.3(M+H)+
【0359】
(b)化合物11:MC-Val-Cit-PABOHの調製
【0360】
【化102】
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【0361】
化合物10(1.6g、3.42mmol)及び4-アミノベンジルアルコール(PABOH)(0.84g、6.84mmol)のDCM(60mL)中溶液に、HOBt(0.92g、6.84mmol)のDMF(5mL)中溶液を添加した。DIPCDI(1.05mL、6.84mmol)を添加し、反応混合物を23℃で2時間撹拌し、Et2O(150mL)を添加し、得られた固体を真空下でフィルタプレートで濾過して、化合物11(1.31g、67%)を得た。
【0362】
【数2】
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【0363】
ESI-MS m/z:C28H40N6O7について計算:572.3、実測:573.3(M+H)+
【0364】
(c)化合物9:MC-Val-Cit-PAB-PNPの調製
【0365】
【化103】
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【0366】
化合物11(500mg、0.87mmol)及びビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(ビス-PNP)(2.64g、8.72mmol)のDCM:DMF(8:2、25mL)中溶液に、DIPEA(0.45ml、2.61mmol)を添加した。この反応混合物を、23℃で20時間撹拌し、シリカゲルカラム(DCM:CH3OH、50:1から10:1)上に注いで、純粋目標化合物9(364mg、57%)を得た。
Rf=0.40(CH2Cl2:CH3OH、9:1)。
【0367】
【数3】
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【0368】
13C NMR(125MHz,CDCl3/CD3OD)δ174.4、172.4、171.1、170.6、160.5、155.5、152.5、145.3、138.7、134.1、129.9、129.5、125.2、121.8、120.0、70.6、59.0、53.2、37.5、35.8、30.6、29.6、29.3、28.1、26.2、26.2、25.1、19.1、18.1。
ESI-MS m/z:C35H43N7O11について計算:737.3、実測:738.3(M+H)+
【0369】
(実施例1)
化合物1の調製
【0370】
【化104】
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【0371】
(a)化合物3の調製
化合物2(その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007144423号に記載された通りに調製した化合物30a)(1.014g、1.8mmol)のDCM(45mL)中溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(876mg、5.4mmol)を添加した。23℃で一晩撹拌した後、この反応混合物を真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物、99:1から85:15)のためのシステムで精製して、純粋化合物3(1.176g、86%)を得た。
【0372】
【数4】
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【0373】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.5、166.4、161.5、148.7、145.2、140.4、137.6、137.0、134.4、133.9、133.0、130.9、124.2、123.9、121.0、120.5、117.03、110.0、108.1、104.1、81.7、77.8、60.4、55.4、37.2、34.5、26.6、26.3、21.0、17.1、16.6。
ESI-MS m/z:C34H45ClN4O7について計算:656.30、実測:657.3(M+H)+
【0374】
(b)化合物4の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した、化合物3(1.160g、1.78mmol)のDCM(45mL)中溶液に、プロパン1,3-ジアミン(0.19mL、2.22mol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、次いで、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiNH2、DCM:CH3OH、100.0から97.3)のためのシステムで精製して、純粋化合物4(800mg、68%)を得た。
【0375】
【数5】
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【0376】
13C NMR(125MHz,CDCl3):δ168.4、166.1、161.5、156.7、145.2、139.9、137.1、134.0、133.9、131.8、124.3、124.2、122.5、120.9、108.1、105.5、81.8、74.3、60.6、55.4、39.81、39.30、37.2、34.7、33.1、31.5、29.6、26.7、26.2、21.0、17.1、16.6。
ESI-MS m/z:C34H51ClN4O7について計算:662.30、実側:663.3[M+H)+
【0377】
(c)化合物1の調製
上のステップ(b)に記載した通りに調製した、化合物4(52mg、0.078mmol)、及び6-マレイミドヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(27.1mg、0.088mmol)のDCM(2mL)中溶液に、DIPEA(15μL、0.086mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物1(29.7mg、44%)を得た。
【0378】
【数6】
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【0379】
13C-NMR(125MHz、CDCl3):δ173.8、170.8、168.3、166.5、161.6、157.1、145.1、140.4、137.5、134.2、134.1、134.0、131.9、124.2、124.0、122.5、120.6、108.3、106.0、81.8、74.5、60.6、55.4、37.7、37.6、37.2、36.3、36.1、34.7、33.4、31.0、29.8、28.3、26.7、26.3、26.2、25.6、21.0、17.2、16.6。
ESI-MS m/z:C44H62ClN5O10について計算:855.42、実測:856.5(M+H)+
【0380】
(実施例2)
化合物5の調製
【0381】
【化105】
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【0382】
(a)化合物7の調製
化合物6(化合物30b、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007144423号に記載された通りに調製した)(750mg、1.42mmol)のDCM(35.5ml)中溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(691mg、4.26mmol)を添加した。23℃で一晩撹拌後、この反応混合物を真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物7(717mg、81%)を得た。
【0383】
【数7】
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【0384】
(b)化合物8の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物7(1.68g、2.7mmol)のDCM(80mL)中溶液に、プロパン1,3-ジアミン(0.27mL、3.24mmol)を添加した。この反応混合物を、23℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM:CH3OH、100:0から97:3)のためのシステムで精製して、化合物8(854mg、50%)を得た。
【0385】
【数8】
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【0386】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.3、166.2、161.6、157.1、145.1、139.9、137.1、134.0、133.9、126.9、124.9、124.2、123.9、120.9、108.2、106.3、81.8、75.0、60.6、55.4、39.6、37.2、34.7、32.8、31.5、31.1、29.6、26.7、26.2、17.1、16.6、12.9。
ESI-MS m/z:C34H52N4O7について計算:628.4。実測:629.5(M+H)+
【0387】
(c)化合物5の調製
上のステップ(b)に記載した通りに調製した化合物8(150mg、0.24mmol)のDCM(8mL)中溶液に、6-マレイミドヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(88.3g、0.28mmol)を23℃で添加した。この反応混合物を、23℃で18時間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物5(75mg、38%)を得た。
【0388】
【数9】
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【0389】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ173.6、170.8、168.2、166.4、161.6、157.4、145.2、140.2、137.4、134.2、134.1、134.0、127.0、124.9、123.9、120.7、108.3、106.5、81.8、75.3、60.6、55.4、37.7、37.6、37.2、36.3、36.0、34.7、31.8、31.6、31.1、29.9、28.3、26.7、26.4、26.2、25.2、22.6、17.2、16.6。
ESI-MS m/z:C44H63N5O10について計算:821.5。実測:822.4(M+H)+
【0390】
(実施例3)
化合物12の調製
【0391】
【化106】
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【0392】
(a)化合物12の調製
DIPEA(25μL、0.14mmol)を、上の調製例で示した通りに調製した化合物9(94.5mg、0.13mmol)及び上の実施例1(b)に記載した通りに調製した化合物4(85mg、0.13mmol)のNMP(6.5mL)中溶液に23℃で添加した。9時間後、この反応混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM:CH3OH、100:0から90:10)のためのシステムで精製した。最後に、目標化合物12(35.7mg、22%)の精製を半分取HPLC(Symmmetry C18、7μm、19×150mm、勾配H2O+CH3CN、流量15mL/分、UV検出)により行なった。
【0393】
【数10】
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【0394】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ174.1、172.2、171.0、170.3、168.8、166.8、162.1、160.2、157.0、156.9、144.9、140.2、137.7、137.5、134.0、132.4、131.7、128.7、124.0、123.4、122.4、120.4、119.8、111.5、108.6、107.0、81.9、73.8、68.6、66.2、60.3、58.8、55.4、53.0、37.6、37.5、37.1、35.9、34.6、33.2、30.6、29.9、29.2、28.0、26.5、26.2、26.0、25.0、22.6、20.8、19.1、18.2、17.04、16.4。
ESI-MS m/z:C63H89ClN10O15について計算:1260.6。実測:1261.6(M+H)+
【0395】
(実施例4)
化合物13の調製
【0396】
【化107】
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【0397】
(a)化合物14の調製
上の実施例1(b)に記載した通りに調製した化合物4(110mg、0.17mmol)、及び3-(メチルジスルファニル)プロパン酸(34mg、0.22mmol)のDCM(5mL)中溶液に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(47.8mg、0.22mmol)及びN,N'-ジイソプロピルエチルアミン(3.8μL、0.22mmol)を添加した。この反応混合物を、23℃で6時間撹拌し、H2Oで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物14(123mg、93%)を得た。
【0398】
【数11】
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【0399】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ171.6、168.2、166.4、161.6、157.2、145.2、140.3、137.4、134.2、134.0、131.9、124.4、124.1、122.4、120.7、108.3、105.6、81.8、74.8、60.6、60.4、55.5、37.8、37.2、36.2、35.6、34.7、33.1、31.0、29.8、26.7、26.2、23.0、21.0、17.2、16.6。
【0400】
(b)化合物13の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物14(100mg、0.125mmol)のEtOAc(4.3mL)及びCH3OH(4.3mL)の混合物中溶液を、ジチオトレイトール(154.8mg、1.0mmol)の0.05Mリン酸カリウム緩衝液(4.3mL)(pH7.5、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中溶液で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。この反応物を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(13mL)(pH6.0、2mMのEDTAを含む)の溶液で処理し、次いで、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物13(35mg、37%)を得た。
【0401】
【数12】
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【0402】
ESI-MS m/z:C37H55ClN4O8Sについて計算:750.3。実測:773.2(M+Na)+
【0403】
(実施例5)
化合物15の調製
【0404】
【化108】
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【0405】
(a)化合物16の調製
化合物2(化合物30a、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007144423号に記載された通りに調製した)(300mg、0.53mmol)のDCM(5mL)中溶液に、ピリジン(85μL、1.06mmol)及び4-ニトロフェニルクロロホルメート(214.7mg、1.06mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を23℃で1.5時間撹拌し、クエン酸10%で希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物16(307mg、80%)を得た。
【0406】
【数13】
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【0407】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.4、166.1、161.5、155.3、152.5、145.5、145.2、140.4、137.6、134.3、134.0、133.2、125.3、124.4、124.1、121.8、121.2、120.4、108.1、104.6、81.8、79.1、60.4、55.5、37.3、34.7、32.7、30.1、26.6、26.3、21.1、17.2、16.6。
【0408】
(b)化合物17の調製
化合物16(156.3mg、0.21mmol)のDCM(2.5mL)中溶液に、3-アミノプロパン-1-チオール塩酸塩(44.8mg、0.26mmol)のDCM(2.5mL)、トリエチルアミン(58μL、0.34mmol)及びDMF(0.1mL)中懸濁液を23℃で添加した。この反応混合物を23℃で3時間撹拌し、H2Oで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物17(80mg、95%)を得た。
【0409】
【数14】
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【0410】
ESI-MS m/z:C68H98Cl2N6O14S2について計算:1356.6。実測:1357.3(M+H)+
【0411】
(c)化合物15の調製
化合物17(59.4mg、0.044mmol)のEtOAc(1.5mL)及びCH3OH(1.5mL)の混合物中溶液を、0.05Mリン酸カリウム緩衝液(1.5mL)(pH7.5、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中溶液ジチオトレイトール(0.35mL、0.35mmol)で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。この反応物を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0、2mMのEDTAを含む)の溶液で処理し、次いで、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物15(31mg、59%)を得た。
【0412】
【数15】
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【0413】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.2、166.2、161.5、156.7、145.2、140.2、137.3、134.2、134.0、132.0、124.4、124.2、122.3、120.8、108.1、105.5、81.8、74.5、60.6、55.4、39.6、37.3、34.6、33.9、33.3、30.8、26.7、26.3、21.8、21.1、17.2、16.7。
ESI-MS m/z:C34H50ClN3O7Sについて計算:679.3。実測:702.4(M+Na)+
【0414】
(実施例6)
化合物18の調製
【0415】
【化109】
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【0416】
(a)化合物19の調製
上の実施例2(b)に記載した通りに調製した化合物8(280mg、0.45mmol)、及び3-(メチルジスルファニル)プロパン酸(88mg、0.58mmol)のDCM(7.5mL)中溶液に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(126mg、0.58mmol)及びN,N'-ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.58mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で3時間撹拌し、H2Oで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物19(240mg、71%)を得た。
【0417】
【数16】
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【0418】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ171.5、168.1、166.3、157.4、145.2、140.3、137.4、134.2、134.0、127.0、124.9、124.0、120.8、108.3、106.3、81.8、75.5、60.6、55.4、53.4、37.8、37.2、36.2、35.9、34.7、33.1、31.8、31.2、29.8、26.7、26.2、23.0、17.2、16.6、13.0。
ESI-MS m/z:C38H58N4O8S2について計算:763.4。実測:762.4(M+H)+
【0419】
(b)化合物18の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物19(240mg、0.31mmol)のEtOAc(15mL)及びCH3OH(22mL)の混合物中溶液を、0.05Mリン酸カリウム緩衝液(17.4mL)(pH7.5、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中溶液ジチオトレイトール(1.0M溶液0.79mL、0.79mmol)で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。この反応物を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(21mL)(pH6.0、2mMのEDTAを含む)の溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物18(105mg、47%)を得た。
【0420】
【数17】
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【0421】
ESI-MS m/z:C37H56N4O8Sについて計算:716.4。実測:717.3(M+H)+
【0422】
(実施例7)
化合物25の調製
【0423】
【化110】
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【0424】
(a)化合物23の調製
化合物22(333mg、0.63mmol)(化合物71、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2009080761号に記載された通りに調製された)のCH2Cl2(12.5mL)中溶液に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(308mg、1.90mmol)を添加した。23℃で一晩撹拌後、この反応混合物を真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物23(344mg、88%)を得た。
【0425】
【数18】
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【0426】
ESI-MS m/z:C34H44N4O7について計算:620.32。実測:621.3(M+H)+
【0427】
(b)化合物24の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物23(0.130g、0.21mmol)のCH2Cl2(3.5mL)中溶液に、プロパン1,3-ジアミン(0.022mL、0.26mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で6時間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM:CH3OH、100:0から97:3)のためのシステムで精製して、化合物24(120mg、91%)を得た。
【0428】
【数19】
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【0429】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.3、166.1、161.6、156.5、145.2、140.0、137.2、134.1、134.0、124.3、124.2、120.9、108.1、106.0、81.8、78.4、74.5、73.2、60.6、55.4、39.8、39.2、37.3、34.8、33.0、30.9、30.2、26.7、26.3、17.2、16.7、3.6。
ESI-MS m/z:C34H50N4O7について計算:626.37。実測:627.3(M+H)+
【0430】
(c)化合物25の調製
上のステップ(b)に記載した通りに調製した化合物24(40mg、0.064mmol)のCH2Cl2(2mL)中溶液に、6-マレイミドヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(21.6mg、0.07mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物25(33.5mg、64%)を得た。
【0431】
【数20】
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【0432】
13C NMR(100MHz,CDCl3):δ173.4、170.8、168.1、166.4、161.6、157.0、145.2、140.3、137.5、134.3、134.1、133.9、124.2、120.7、108.2、106.2、81.8、78.4、74.3、73.5、60.7、55.4、37.7、37.6、37.3、36.4、35.9,34.6、32.8、30.3、29.9、28.3、26.7、26.4、26.2、25.4、25.2、24.4、17.2、16.6、3.6。
ESI-MS m/z:C44H61ClN5O10について計算:819.44。実測:820.4(M+H)+
【0433】
(実施例8)
化合物27の調製
【0434】
【化111】
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【0435】
(a)化合物26の調製
上の実施例7(b)に記載した通りに調製した化合物24(70mg、0.11mmol)のCH2Cl2(2mL)中溶液に、3-(メチルジスルファニル)プロパン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(36.2mg、0.12mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で16時間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、白色の固体として純粋化合物26(46.3mg、61%)を得た。
【0436】
【数21】
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【0437】
13C NMR(100MHz、CDCl3):δ171.5、168.1、166.4、165.2、157.0、145.1、140.4、137.5、134.3、134.0、124.20、124.0、120.7、108.2、106.2、81.8、78.4、74.2、73.6、60.7、55.4、37.8、37.3、35.9、34.6、33.1、30.3、29.8、26.7、26.2、24.4、23.0、17.2、16.6、3.6。
【0438】
(b)化合物27の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物26(44.3mg、0.064mmol)のEtOAc(3.6mL)及びCH3OH(3.6mL)の混合物中溶液を、ジチオトレイトール(1.0M溶液の0.19mL、0.19mmol)の0.05Mリン酸カリウム緩衝液(3.6mL)(pH7.5、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中溶液(1.0M溶液0.19mL、0.19mmol)で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。反応物を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0、2mMのEDTAを含む)の溶液(21mL)で処理し、次いで、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、白色の固体として純粋な目標化合物27(33.6mg、74%)を得た。
【0439】
【数22】
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【0440】
ESI-MS m/z:C37H54N4O8Sについて計算:714.37。実測:737.3(M+Na)+
【0441】
(実施例9)
トラスツズマブ及び化合物1による抗体薬物コンジュゲートADC1の調製
【0442】
(a)部分還元トラスツズマブ(化合物20)を与えるためのトラスツズマブの部分還元
トラスツズマブ(輸液用濃縮溶液の調製のための、白色溶解粉末としてRocheから購入したトラスツズマブ)溶液(9.52mL、200mg、1.38μmol)を、20mMのヒスチジン/酢酸緩衝液(pH5.5、30.5mL)で5mg/mLの濃度に希釈し、続いて、リン酸/EDTA緩衝液(pH8.4、13mL)でpH調整した。抗体中のジスルフィド結合の部分還元を、5.17mMのトリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)溶液(689μL、3.562μmol、2.6当量)の添加により行なった。還元反応をそのままにさせて、20℃で90分間撹拌した。還元直後に、Ellmanアッセイを行なって、計画どおりに、4.0の値に非常に近い、4.1の遊離チオールと抗体の比(FTAR)を得た。
【0443】
(b)ADC1の調整
上の実施例7(a)に記載した通りに調製した部分還元トラスツズマブ化合物20(24.98mL、93.0mg、0.64μmol)の溶液に、DMSOを添加し(1.25mL)、続いて、実施例1に記載した通りに調製した化合物1の新鮮調製溶液(DMSO中10mM、366μL、3.66μmol、5.7当量)を添加した。化合物1の添加後、溶液は非常に濁ったので、DMSO(1mL)を更に添加した。このコンジュゲーション反応物を20℃で30分間撹拌し、コンジュゲーション反応の間に濁りは消えた。過剰の薬物をN-アセチルシステイン(NAC)(10mM、366μL、3.66μmol)の添加によりクエンチし、続いて、この溶液を20分間撹拌した。クエンチしたコンジュゲーション反応物を、Vivaspin遠心分離により精製し、緩衝液を最終PBS処方緩衝液と交換した。最終目標生成物ADC1を、UVにより決定して8.56mg/mLの最終濃度に濃縮し、7.4mL(63.3mg、0.43μmol、68.0%)のADC溶液を得た。SEC HPLC実験を行なって、生成物の純度(61.4%)を決定した。
【0444】
高い量の凝集体の存在のために、HiLoad16/600superdex200カラムを使用してAkta浄化装置システム上で分取ゲル濾過クロマトグラフィーにより、ADC1を更に精製した。プールした後、最終濃度(1.6mg/mL)をUVにより決定し、最終薬物生成物の純度(90.9%)をSEC HPLCにより決定して、8.65mL(13.7mg、0.09μmol、14.7%)のADC溶液(ADC1)を得た。
【0445】
(実施例10)
トラスツズマブ及び化合物5による抗体薬物コンジュゲートADC2の調製
【0446】
(a) 部分還元トラスツズマブ(化合物20)を与えるためのトラスツズマブの部分還元
トラスツズマブ溶液(14.29mL、300mg、2.06μmol)を、20mMのヒスチジン/酢酸緩衝液(pH5.5、45.74mL)で5mg/mLの濃度に希釈し、続いて、リン酸/EDTA緩衝液(pH8.4、14.4mL)でpH調整した。抗体中のジスルフィド結合の部分還元を、5mMのトリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩(TCEP)溶液(1.07mL、5.36μmol、2.6当量)の添加により行なった。還元反応をそのままにさせて、20℃で90分間撹拌した。還元直後に、Ellmanアッセイを行なって、計画どおりに、4.0の値に非常に近い、4.1の遊離チオールと抗体の比(FTAR)を得た。
【0447】
(b)ADC2の調製
上の実施例8(a)に記載した通りに調製した部分還元トラスツズマブ化合物20(23.6mL、93.8mg、0.645μmol)の溶液に、DMSOを添加し(1.18mL)、続いて、実施例2に記載した通りに調製した化合物5の新鮮調製溶液(DMSO中10mM、368μL、3.68μmol、5.7当量)を添加した。薬物-リンカーを10回に分けて慎重に添加した。6回分の後、溶液はわずかに濁り、その濁りは、コンジュゲーション反応及びクエンチの間に消えなかった。コンジュゲーション反応物を20℃で30分間撹拌した。過剰の薬物を、溶液を46分間撹拌することによって、N-アセチルシステイン(NAC)(10mM、368μL、3.68μmol)の添加によりクエンチした。この溶液を0.2μmシリンジフィルタで濾過した。クエンチしたコンジュゲーション反応物をVivaspin遠心分離により16.5mg/mLに濃縮し、NAP-25カラム上で精製した。SEC HPLC実験を行なって、生成物の純度(36.1%)を決定した。
【0448】
高い量の凝集体の存在のために、HiLoad16/600superdex200カラムを使用してAkta浄化装置システム上で分取ゲル濾過クロマトグラフィーにより、ADC2を更に精製した。プールした後、最終濃度(3.7mg/mL)をUVにより決定し、最終標的ADCの純度(78.3%)をSEC HPLCにより決定して、5.3mL(19.4mg、19.4%)のADC溶液(ADC2)を得た。
【0449】
(実施例11)
トラスツズマブ及び化合物12による抗体薬物コンジュゲートADC3の調製
【0450】
(a)ADC3の調製
上の実施例10(a)に記載した通りに調製した部分還元トラスツズマブ化合物20(23.6mL、93.8mg、0.645μmol)の溶液に、DMSOを添加し(1.18mL)、続いて、実施例3に記載した通りに調製した化合物12の新鮮調製溶液(DMSO中10mM、369μL、3.69μmol、5.7当量)を添加した。薬物-リンカーを10回に分けて慎重に添加し、それにも拘わらず、溶液は3回分後に濁り始めた。最後の2回分の添加中に高濁度が観察された。溶液は濾過ステップまで透明にならなかった。このコンジュゲーション反応物を20℃で31分間撹拌した。反応混合物を50分間撹拌することにより、過剰の薬物をN-アセチルシステイン(NAC)(10mM、369μL、3.69μmol)の添加によりクエンチした。クエンチしたコンジュゲーション反応溶液を0.2μmシリンジフィルタで濾過し、Vivaspin遠心分離により14.2mg/mLに濃縮した。次いで、それをNAP-25カラム上で精製した。SEC HPLC実験を行なって、生成物の純度(34.2%)を決定した。
【0451】
高い量の凝集体の存在のために、HiLoad16/600superdex200カラムを使用してAkta浄化装置システム上で分取ゲル濾過クロマトグラフィーにより、ADC3を更に精製した。プールした後、最終濃度(2.3mg/mL)をUVにより決定し、最終薬物生成物の純度(78.6%)をSEC HPLCにより決定して、7.3mL(16.6mg、16.6%)のADC溶液(ADC3)を得た。
【0452】
(実施例12)
それぞれ、トラスツズマブ並びに化合物13、化合物15及び化合物18による抗体薬物コンジュゲートADC4、ADC5及びADC6の調製
【0453】
(a) トラスツズマブへのSMCCコンジュゲーション(化合物21)
NAP-25カラムを使用して、トラスツズマブ溶液(262mg、1.8μmol)の緩衝液をリン酸緩衝液(50mMリン酸、2mMEDTA、pH6.5)により交換した。ガラス製反応器中にプールしたトラスツズマブ溶液(16〜17g/L)に、DMSOを添加した(5%)。トラスツズマブ溶液にSMCC(20.0mM、8.0当量)を添加することにより、リンカーコンジュゲーションを開始させた。この反応物を18℃で3時間撹拌した。次いで、この反応混合物をNAP-25カラム上で精製して、化合物21を得た。逆Ellmanアッセイを行なって、3.7のLARを決定した。
【0454】
(b) トラスツズマブ-MCCへの化合物13、化合物15及び化合物18のコンジュゲーション:ADC4、ADC5及びADC6の調製
コンジュゲーション反応のために、第1のステップにおいて抗体コンジュゲート溶液化合物21をリン酸緩衝液(50mMリン酸、2mM EDTA、pH6.5)で10g/Lの濃度に希釈した。次いで、DMSO(5%)を化合物21溶液に添加した。化合物13、化合物15及び化合物18とのコンジュゲーション反応を、薬物(10mM、6.3〜6.6当量)を化合物21溶液にゆっくりと添加し、18℃で4時間撹拌することによって行なった。コンジュゲーション反応が完了した後、反応混合物を0.2μmで濾過し、1×PBS緩衝液中への緩衝液交換とともにNAP-25カラム上で再度精製した。SEC HPLC実験を行なって、生成物の純度を決定し、最終生成物の濃度をUVにより測定した。
【0455】
化合物15による試料調製からのADCを良好な純度(74.5%)で単離し、56%(49mg)の収率を得、更なる精製を必要としなかった。ADC5溶液(87mL)の最終濃度(5.7mg/mL)をUVにより決定した。
【0456】
しかしながら、化合物13及び化合物18による2つの試料調製では、低分子種が存在した。これらの種は、生成物ピークに対して非常に類似した保持時間を有し、SECカラム上で十分に分離できなかった。溶液中になお存在する薬物の可能な残物を除去するために、溶液を再度NAP-25カラム上に通した。第1及び第2のNAP-25精製後のクロマトグラムは、同一であり、したがって、種は、溶液中になお存在する遊離薬物から生じず、より大きな起源のものでなければならない。次いで、試料をサイズ排除カラム上でゲル濾過クロマトグラフィーにより更に精製した。
【0457】
プールした後、最終濃度(2.8及び3.9mg/mL)をUVにより決定し、最終薬物生成物の純度(62.3%及び50.9%)をSEC HPLCにより決定して、それぞれ、6.7mL(19.3mg、22.0%)のADC4溶液及び6.8mL(26.7mg、30.5%)のADC6溶液を得た。
【0458】
(実施例13)
トラスツズマブ並びに化合物25及び化合物27による抗体薬物コンジュゲートADC7及びADC8の調製
(a)一般手順
抗体濃度は、2.18E5M-1cm-1のモル吸光係数及び150kDaの分子量を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で検査した。これらのプロセスで使用した緩衝液は、緩衝液A(2mM(EDTA)を含む50mMリン酸ナトリウムpH6.5)又は緩衝液B(50mMリン酸ナトリウムpH8.0)又はリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)のいずれかであった。薬物と抗体の比(「DAR」)は、Lysを介してのコンジュゲーションの場合、リンカーと抗体の比(「LAR」)から、又はCys標的コンジュゲーションの場合、薬物-リンカーのマレイミドコネクタ若しくは遊離Cysへのコンジュゲーション反応が定量的であると仮定して、抗体1モル当たりの遊離Cysの比から推定した。両決定は、着色チオニトロベンゾエート付加体を形成するための5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(「DTNB」)と遊離チオール基との熱量測定反応に基づいた。LAR決定について、付加体は、DTNBの緩衝液B中200μM溶液とN-アセチル-システインの同じ緩衝液中200μM溶液の等容量を混合することにより前形成した。次いで、75μLのこの混合物を75μLの試験試料と混合し、1時間インキュベーション後、412nmでの吸光度を分光光度法で決定し、得られた値を、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(「SMCC」)の既知濃度を使用して標準曲線から得られたものと比較して、試料中マレイミドの濃度を得た。次いで、この濃度を抗体濃度に当てはめて、LARを計算する。同様に、遊離Cysは、緩衝液B中50μLの試験試料と150μLの133μM DTNBとを混合し、412nmでの吸光度をモニターし、得られた値を、Cysの既知濃度を使用して標準曲線から得たものと比較することにより決定し;次いで、試験試料中の遊離Cysの推定濃度を抗体濃度に当てはめて、比を計算する。
【0459】
(b)抗体薬物コンジュゲートの調製
細胞毒性ペイロードがCys残基とコンジュゲートされていた場合(ADC7の調製のための化合物25と同様に)、抗体はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(「TCEP」)で前もって還元した。簡潔には、抗体の緩衝液B中70μM(10.5mg/mL)溶液を、TCEPの水中5mM溶液の適当量と混合して、還元剤を抗体に対して2.5倍過剰に維持した。この混合物を20℃で60分間インキュベート及び撹拌し、その後、得られた還元抗体の少量アリコートを除去して、遊離Cysと抗体の比を計算し、一方で、残存試料を適当容量の化合物25のDMSO中10mM溶液と混合して、抗体に対する化合物を6倍過剰に到達させた:還元抗体が通常はタンパク質1分子当たり6未満の遊離Cysを示すことを考慮すると、化合物と接近可能な遊離Cysとのモル比は、1を決して下回らない。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)に維持し、この混合物を20℃で30分間インキュベートした。その後、薬物-リンカーの濃度に一致するように適当容量の水中10mM溶液を使用して、N-アセチル-システインを添加して、反応をクエンチした。得られたコンジュゲートを、GE Healthcare製のPD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により試薬の残部から最終的に精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が2mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記のとりに再度決定した。
【0460】
細胞毒性ペイロードがLys残基とコンジュゲートされていた場合(ADC8の調製のための化合物27と同様に)、抗体をSMCCで前もって活性化した。簡潔には、抗体の緩衝液A中70μM(10.5mg/mL)溶液をSMCCのDMSO中20mM溶液の適当量と混合して、活性化剤を抗体に対して8倍過剰に維持した。必要に応じてDMSOを添加して、5%(V/V)の最終DMSO濃度に到達させた。この混合物を18℃で3時間インキュベート及び撹拌し、次いで、過剰のSMCCを、GE Healthcare製PD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過クロマトグラフィーにより除去した。得られた活性化抗体の少量アリコートを除去して、LARを計算し、残存試料を適当容量の化合物27のDMSO中10mM溶液と混合して、抗体に対する化合物を8倍過剰に到達させた:LAR値が8を決して超えないことを考慮すると、これは、化合物と接近可能な反応性部位のモル比が1を決して下回らないことを保証する。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)で維持した。この混合物を18℃で4時間インキュベートし、得られたコンジュゲートを試薬の残部から、GE Healthcare製PD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が2mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0461】
(実施例14)
抗CD4、抗CD5及び抗CD13モノクローナル抗体の調製
抗CD4、抗CD5及び抗CD13モノクローナル抗体を、当技術分野で一般的に使用される以下の周知の手順に従って得た。簡潔には、BALB/cマウスを、HPB-ALL細胞(抗CD4抗体の最終産生のための)、又はCebrianら(1988年、J. Exp. Med. 168:1621〜1637頁)により記載された通りの、ホルボール12-ミリステート13-アセテートと市販の抗CD3モノクロナール抗体との混合物で活性化したヒトT細胞(抗CD5抗体の最終産生のための)、又は臍帯から分離されたヒト内皮細胞(抗CD13抗体の最終産生のための)によって免疫化した。そのために、1.5E7の対応する細胞をマウスに-45日及び-30日目に腹腔内に、-3日目に静脈内に注射した。0日目に、これらの動物から脾臓を取り出し、対応するハイブリドーマを産生する標準手法に従って脾臓細胞をSPマウス骨髄腫細胞と4:1の比で融合させ、96-ウェル組織培養プレート(Costar Corp.、Cambridge、MA)上に分布させた。2週後、ハイブリドーマ培養液上清を収集し、免疫化ステップで使用した細胞株に対するそれらの反応性をフローサイトメトリにより試験した。陽性上清を、抗原として使用した対応する細胞を免疫蛍光染色することによりアッセイした。特異的な染色、免疫沈降パターン及び細胞分布を示すハイブリドーマを選別し、クローニングし、限界希釈法によりサブクローニングした。
【0462】
クローンを選別したら直ぐに、細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mLペニリシリン及び100μg/mLステレプトマイシンで補充したRPMI-1640培地で、培地が淡黄色に変わるまで37℃で3〜4日の間培養した。その時点で、培地容量の3分の2を除去し、1,000×gで10分間遠心分離して、細胞をペレット化し、その上清を更なる清浄のために3,000×gで10分間再度遠心分離したか、又は22μm細孔膜を通して濾過した。浄化した上清を55%飽和硫酸アンモニウムによる沈降に供し、得られたペレットを100mMトリス-HCl pH7.8(元の浄化上清の100mL当たり1mL)に再懸濁させ、少なくとも3回透析溶液を交換して、150mM NaClを含む5Lの100mMトリス-HCl pH7.8に対して4℃で16〜24時間透析した。透析した材料を最終的にProtein A-Sepharoseカラム上に負荷し、対応するモノクローナル抗体を、100mMクエン酸ナトリウムpH3.0又は代わりに、1MグリシンpH3.0で溶出させた。抗体を含有する画分を2Mトリス-HCl pH9.0で中和し、最終的にPBSに対して透析し、その使用まで-80℃で保存した。
【0463】
(実施例15)
抗CD13並びに化合物1、化合物12及び化合物13による抗体薬物コンジュゲートADC9、ADC10及びADC11の調製
(a)一般手順
本明細書で報告した方法のすべてにおいて、抗体濃度は、2.25E5M-1cm-1のモル吸光係数及び150kDaの分子量を使用して280nmでのその吸光度をモニターすることにより分光光度法で検査した。これらのプロセスで使用した緩衝液は、緩衝液A(2mM(EDTA)を含む50mMリン酸ナトリウムpH6.5)又は緩衝液B(50mMリン酸ナトリウムpH8.0)又はリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)のいずれかであった。薬物と抗体の比(「DAR」)は、Lysを介してのコンジュゲーションの場合、リンカーと抗体の比(「LAR」)から、又はCys標的コンジュゲーションの場合、薬物-リンカーのマレイミドコネクタ若しくは遊離Cysへのコンジュゲーション反応が定量的であると仮定して、抗体1モル当たりの遊離Cysの比から推定した。両決定は、着色チオニトロベンゾエート付加体を形成するための5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(「DTNB」)と遊離チオール基との熱量測定反応に基づいた。LAR決定について、付加体は、DTNBの緩衝液B中200μM溶液とN-アセチル-システインの同じ緩衝液中200μM溶液の等容量を混合することにより前形成した。次いで、75μLのこの混合物を75μLの試験試料と混合し、1時間インキュベーション後、412nmでの吸光度を分光光度法で決定し、得られた値を、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(「SMCC」)の既知濃度を使用して標準曲線から得られたものと比較して、試料中マレイミドの濃度を得た。次いで、この濃度を抗体濃度に当てはめて、LARを計算する。同様に、遊離Cysは、緩衝液B中50μLの試験試料と150μLの133μM DTNBとを混合し、412nmでの吸光度をモニターし、得られた値を、既知濃度のCysを使用して標準曲線から得たものと比較することにより決定し;次いで、試験試料中の遊離Cysの推定濃度を抗体濃度に当てはめて、比を計算する。
【0464】
(b)抗体薬物コンジュゲートの調製
細胞毒性ペイロードがCys残基とコンジュゲートされていた場合(ADC9の調製のための化合物1又はADC10の調製のための化合物12と同様に)、抗体はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(「TCEP」)で前もって還元した。簡潔には、抗体の緩衝液B中70μM(10.5mg/mL)溶液を、TCEPの水中5mM溶液の適当量と混合して、還元剤を抗体に対して2.5倍過剰に維持した。この混合物を20℃で60分間インキュベート及び撹拌し、その後、得られた還元抗体の少量アリコートを除去して、遊離Cysと抗体の比を計算し、一方で、残存試料を適当容量の薬物リンカー(ADC9のための化合物1又はADC10のための化合物12)のDMSO中10mM溶液と混合して、抗体に対して化合物を6倍過剰に到達させた:還元抗体が通常はタンパク質1分子当たり6未満の遊離Cysを示すことを考慮すると、化合物と接近可能な遊離Cysとのモル比は、1を決して下回らない。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)に維持し、この混合物を20℃で30分間インキュベートした。その後、薬物-リンカーの濃度に一致するように適当容量の水中10mM溶液を使用して、N-アセチル-システインを添加して、反応をクエンチした。得られたコンジュゲートを、GE Healthcare製のPD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により試薬の残部から最終的に精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が2mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0465】
細胞毒性ペイロードがLys残基とコンジュゲートされていた場合(ADC11の調製のための化合物13と同様に)、抗体をSMCCで前もって活性化した。簡潔には、抗体の緩衝液A中70μM(10.5mg/mL)溶液をSMCCのDMSO中20mM溶液の適当量と混合して、活性化試薬を抗体に対して8倍過剰に維持した。必要に応じてDMSOを添加して、5%(V/V)の最終DMSO濃度に到達させた。この混合物を18℃で3時間インキュベート及び撹拌し、次いで、過剰のSMCCを、GE Healthcare製PD-10カラムを使用してSpephadex G-25でゲル濾過クロマトグラフィーにより除去した。得られた活性化抗体の少量アリコートを除去して、LARを計算し、残存試料を適当容量の化合物13のDMSO中10mM溶液と混合して、抗体に対する化合物を8倍過剰に到達させた:LAR値が8を決して超えないことを考慮すると、これは、化合物と接近可能な反応性部位のモル比が1を決して下回らないことを保証する。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)で維持した。この混合物を18℃で4時間インキュベートし、得られたコンジュゲートを試薬の残部から、GE Healthcare製PD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が2mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0466】
(実施例16)
リツキシマブ並びに化合物1及び化合物12による抗体薬物コンジュゲートADC12及びADC13の調製
【0467】
(a)一般手順
抗体濃度は、2.45E5M-1cm-1のモル吸光係数及び150kDaの分子量を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で検査した。これらのプロセスで使用した緩衝液は、緩衝液B(50mMリン酸ナトリウムpH8.0)又はリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)のいずれかであった。薬物と抗体の比(「DAR」)は、薬物-リンカーの遊離Cysへのコンジュゲーション反応が定量的であると仮定して、抗体1モル当たりの遊離Cysの比から推定した。決定は、着色チオニトロベンゾエート付加体を形成するための5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(「DTNB」)と遊離チオール基との熱量測定反応に基づいた。緩衝液B中で50μLの試験試料を150μlの133μM DTNBと混合し、次いで、412nmでの吸光度を測定し、得られた値を、Cysの既知濃度を使用して標準曲線から得たものと比較した。次いで、試験試料中遊離Cysの推定濃度を抗体濃度に当てはめて、比を計算する。
【0468】
(b)抗体薬物コンジュゲートの調製
薬物リンカーへのCysを介してのコンジュゲーション前に、抗体をトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(「TCEP」)で還元した。簡潔には、抗体の緩衝液B中70μM(10.5mg/mL)溶液を、TCEPの水中5mM溶液の適当量と混合して、還元剤を抗体に対して2.5倍過剰に維持した。この混合物を20℃で60分間インキュベート及び撹拌し、その後、得られた還元抗体の少量アリコートを除去して、遊離Cysと抗体の比を計算し、一方で、残存試料を薬物リンカー(ADC12のための化合物1又はADC13のための化合物12)のDMSO中10mM溶液の適当容量と混合して、抗体に対する化合物を6倍過剰に到達させた:還元抗体が通常はタンパク質1分子当たり6未満の遊離Cysを示すことを考慮すると、化合物と接近可能な遊離Cysとのモル比は、1を決して下回らない。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)に維持し、この混合物を20℃で30分間インキュベートした。その後、薬物-リンカーの濃度に一致するように適当容量の水中10mM溶液を使用して、N-アセチル-システインを添加して、反応をクエンチした。得られたコンジュゲートを、GE Healthcare製のPD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により試薬の残部から最終的に精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が1mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0469】
(実施例17)
抗CD5並びに化合物1及び化合物12による抗体薬物コンジュゲートADC14及びADC15の調製
【0470】
(a)一般手順
抗体濃度は、2.25E5M-1cm-1のモル吸光係数及び150kDaの分子量を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で検査した。これらのプロセスで使用した緩衝液は、緩衝液B(50mMリン酸ナトリウムpH8.0)又はリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)のいずれかであった。薬物と抗体の比(「DAR」)は、薬物-リンカーの遊離Cysへのコンジュゲーション反応が定量的であると仮定して、抗体1モル当たりの遊離Cysの比から推定した。決定は、着色チオニトロベンゾエート付加体を形成するための5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(「DTNB」)と遊離チオール基との熱量測定反応に基づいた。緩衝液B中で50μLの試験試料を150μLの133μM DTNBと混合し、次いで、412nmでの吸光度を測定し、得られた値を、Cysの既知濃度を使用して標準曲線から得たものと比較した。次いで、試験試料中遊離Cysの推定濃度を抗体濃度に当てはめて、比を計算する。
【0471】
(b)抗体薬物コンジュゲートの調製
薬物リンカーへのCysを介してのコンジュゲーション前に、抗体をトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(「TCEP」)で還元した。簡潔には、抗体の緩衝液B中70μM(10.5mg/mL)溶液を、TCEPの水中5mM溶液の適当量と混合して、還元剤を抗体に対して2.5倍過剰に維持した。この混合物を20℃で60分間インキュベート及び撹拌し、その後、得られた還元抗体の少量アリコートを除去して、遊離Cysと抗体の比を計算し、一方で、残存試料を薬物リンカー(ADC14のための化合物1又はADC15のための化合物12)のDMSO中10mM溶液の適当容量と混合して、抗体に対する化合物を6倍過剰に到達させた:還元抗体が通常はタンパク質1分子当たり6未満の遊離Cysを示すことを考慮すると、化合物と接近可能な遊離Cysとのモル比は、1を決して下回らない。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)に維持し、この混合物を20℃で30分間インキュベートした。その後、薬物-リンカーの濃度に一致するように適当容量の水中10mM溶液を使用して、N-アセチル-システインを添加して、反応をクエンチした。得られたコンジュゲートを、GE Healthcare製のPD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により試薬の残部から最終的に精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が1mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0472】
(実施例18)
抗CD4並びに化合物1及び化合物12による抗体薬物コンジュゲートADC16及びADC17の調製
【0473】
(a)一般手順
抗体濃度は、2.25E5M-1cm-1のモル吸光係数及び150kDaの分子量を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で検査した。これらのプロセスで使用した緩衝液は、緩衝液B(50mMリン酸ナトリウムpH8.0)又はリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)のいずれかであった。薬物と抗体の比(「DAR」)は、薬物-リンカーの遊離Cysへのコンジュゲーション反応が定量的であると仮定して、抗体1モル当たりの遊離Cysの比から推定した。決定は、着色チオニトロベンゾエート付加体を形成するための5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(「DTNB」)と遊離チオール基との熱量測定反応に基づいた。緩衝液B中で50μLの試験試料を133μM DTNB150μLと混合し、次いで、412nmでの吸光度を測定し、得られた値を、Cysの既知濃度を使用して標準曲線から得たものと比較した。次いで、試験試料中遊離Cysの推定濃度を抗体濃度に当てはめて、比を計算する。
【0474】
(b)抗体薬物コンジュゲートの調製
薬物-リンカーへのCysを介してのコンジュゲーション前に、抗体をトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(「TCEP」)で還元した。簡潔には、抗体の緩衝液B中70μM(10.5mg/mL)溶液を、TCEPの水中5mM溶液の適当量と混合して、還元剤を抗体に対して2.5倍過剰に維持した。この混合物を20℃で60分間インキュベート及び撹拌し、その後、得られた還元抗体の少量アリコートを除去して、遊離Cysと抗体の比を計算し、一方で、残存試料を薬物リンカー(ADC16のための化合物1又はADC17のための化合物12)のDMSO中10mM溶液の適当容量と混合して、抗体に対する化合物を6倍過剰に到達させた:還元抗体が通常はタンパク質1分子当たり6未満の遊離Cysを示すことを考慮すると、化合物と接近可能な遊離Cysとのモル比は、1を決して下回らない。必要に応じてDMSOを添加して、その濃度を5%(V/V)に維持し、この混合物を20℃で30分間インキュベートした。その後、薬物-リンカーの濃度に一致するように適当容量の水中10mM溶液を使用して、N-アセチル-システインを添加して、反応をクエンチした。得られたコンジュゲートを、GE Healthcare製のPD-10カラムを使用してSephadex G-25でゲル濾過により試薬の残部から最終的に精製した。凝集体の存在は、1ml/分でPBSによるイソクラティックメソッドを実行するSuperdex-100 10/300カラムを備えたAkta FPLCシステムを使用して分析用サイズ排除クロマトグラフィーで検査した:凝集体に相当するピークの面積が合計ピーク面積の10%を超えた場合、上記の同じメソッドを実行するSuperdex 200 16/600分取カラムを備えた同じクロマトグラフィーシステムを使用してモノマーを精製した。最終ADC濃度は、親抗体のものと同じモル吸光係数を使用して280nmでその吸光度をモニターすることにより分光光度法で決定した:ADC濃度が1mg/mLを下回った場合、GE Healthcare製Vivaspin装置を使用して濃縮し、新たな濃度を上記の通りに再度決定した。
【0475】
(実施例19)
式D-X-(AA)w-L1の化合物の合成
【0476】
化合物28の調製
【0477】
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
【0478】
(a)化合物28の調製
DIPEA(10μL、0.06mmol)を、上の調製例に示した通りに調製した化合物9(13mg、0.02mmol)及び上の実施例2に記載した通りに調製した化合物8(20mg、0.02mmol)のNMP(6.5mL)中溶液に23℃で添加した。9時間後、この反応混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM:CH3OH、100:0から90:10)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物28(9mg、38%)を得た。
【0479】
【数23】
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【0480】
13C NMR(100MHz、CDCl3):δ173.0、172.1、171.0、170.2、168.5、167.1、162.0、161.3、157.2、157.0、145.0、140.2、137.7、137.5、137.1、134.0、132.4、128.8、126.9、124.9、124.4、124.3、124.0、120.5、119.8、108.6、107.3、81.9、74.8、66.1、60.4、58.8、55.4、37.6、37.2、36.0、34.8、31.9、31.6、30.9、30.7、30.0、29.7、29.3、28.1、26.5、26.2、26.1、25.1、19.2、18.3、17.1、16.5、12.9。
ESI-MS m/z:C63H90N10O15について計算:1226.7。実測:1267.4(M+H)+
【0481】
(実施例20)
式D-X-(AA)w-Hの化合物の合成
【0482】
化合物36の調製
【0483】
【化113】
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【0484】
(a)化合物29の調製
化合物6(1.01g、1.91mmol)(化合物30b、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007144423号に記載された通りに調製した)のDCM(40mL)中溶液に、ピリジン(0.31mL、3.82mmol)及び4-ニトロフェニルクロロホルメート(769.7mg、3.82mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を23℃で1.5時間撹拌し、クエン酸10%で希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物29(783mg、59%)を得た。
【0485】
【数24】
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【0486】
(b)化合物33の調製
【0487】
【化114】
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【0488】
化合物30の調製
3-ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩(1.22g、2.98mmol)のCH2Cl2(30mL)中溶液に、4-メトキシトリフェニルメチルクロリド(5.89g、19.1mmol)及びDIPEA(6.3mL、36.38mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、H2Oで希釈し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、白色の固体として純粋化合物30(8.16g、100%)を得た。
【0489】
【数25】
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【0490】
化合物31の調製
化合物30(1.49g、3.63mmol)のエタノール(36mL)中溶液に、エチルキサントゲン酸カリウム(1.46g、9.08mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、次いで、この溶液から沈殿臭化カリウムを濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた後、固体残渣をヘキサンと一緒に粉砕した。得られた固体を濾過により除去し、濾液を蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex/EtOAc混合物)により精製して、化合物31(1.31g、80%)を得た。
【0491】
【数26】
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【0492】
化合物32の調製
化合物31(3g、6.64mmol)のDCM(10mL)中溶液に、1-プロピルアミン(4.4mL、66.4mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で10分間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣を更に精製することなく次のステップで使用した。それを乾燥メタノール(50mL)に溶解させ、0℃に冷却した。メチルメタンチオスルホネート(9.7mL、7.97mmol)を添加し、この溶液を23℃で16時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残留油をジクロロメタンに溶解させ、pH7緩衝液及びブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、化合物32(1.6g、59%)を得た。
【0493】
【数27】
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【0494】
化合物33の調製
化合物32(1.22g、2.98mmol)のCH2Cl2(30mL)中溶液に、ジクロロ酢酸(0.9mL、10.9mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で20分間撹拌し、水で希釈した。有機層を抽出し、水相をKOH10%で塩基性化した。次いで、それをジクロロメタン(3×)で完全に抽出し、合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物33(409mg、100%)を得た。
【0495】
【数28】
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【0496】
(c)化合物34の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物29(230.2mg、0.33mmol)のCH2Cl2(10mL)中溶液に、化合物33(50mg、0.36mmol)及びDIPEA(0.06mL、0.36mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で3時間撹拌し、H2Oで希釈し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物34(150mg、66%)を得た。
【0497】
【数29】
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【0498】
ESI-MS m/z:C35H53N3O7S2について計算:691.33。実測:692.4[M+H]+
【0499】
(d)化合物35の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した化合物29(121.3mg、0.17mmol)のDCM(2.5mL)中溶液に、3-アミノプロパン-1-チオール塩酸塩(37.2mg、0.29mmol)のDCM(2.5mL)、DIPEA(59μL、0.34mmol)及びDMF(0.1mL)中懸濁液を23℃で添加した。この反応混合物を23℃で7時間撹拌し、H2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物35(40.5mg、37%)を得た。
【0500】
【数30】
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【0501】
ESI-MS m/z:C68H100N6O14S2について計算:1288.67。実測:1289.4(M+H)+
【0502】
(e)化合物36の調製
化合物35(40.5mg、0.03mmol)のEtOAc(1.5mL)及びCH3OH(1.5mL)の混合物中溶液を、0.05Mリン酸カリウム緩衝液(1.2mL)(pH7.5、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中溶液ジチオトレイトール(0.36mL、0.36mmol)で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。この反応物を、0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0、2mM EDTAを含む)の溶液で処理し、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をHPLC(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、化合物36(15mg、38%)を得た。
【0503】
【数31】
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【0504】
ESI-MS m/z:C34H51N3O7Sについて計算:645.85。実測:668.4(M+Na)+
【0505】
(実施例21)
化合物14の代替合成
【0506】
【化115】
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【0507】
(a)化合物37の調製
N-Fmoc-1,3-プロパンジアミン臭化水素酸塩(377mg、1mmol)のCH2Cl2(15mL)中溶液に、DIPEA(0.52mL、3mmol)及び6-マレイミドヘキサン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(323.7mg、1.1mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、白色の固体として純粋化合物37(430mg、100%)を得た。
【0508】
【数32】
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【0509】
(b)化合物38の調製
上のステップ(a)に記載した通りに調製した37(430mg、1mmol)のCH2Cl2(8mL)中溶液に、ジエチルアミン(1.4mL、13.5mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で6時間撹拌し、真空下で濃縮した。得られた残渣をEt2Oと一緒に粉砕し、濾過し、白色の固体として化合物38(148mg、71%)を得た。
【0510】
【数33】
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【0511】
(c)化合物14の調製
上の実施例5(a)に記載した通りに調製した化合物16(60mg、0.08mmol)のCH2Cl2(2mL)中溶液に、上のステップ(b)に記載した通りに調製した化合物38(58mg、0.28mmol)、及びDIPEA(0.1mL、0.56mmol)のCH2Cl2(2mL)中溶液を添加した。この反応混合物を23℃で3時間撹拌し、H2Oで希釈し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物14(60.5mg、95%)を得た。
【0512】
【数34】
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【0513】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ171.6、168.2、166.4、161.7、157.2、145.2、140.3、137.4、134.2、134.0、131.9、124.4、124.1、122.4、120.7、108.3、105.6、81.8、74.8、60.6、60.4、55.5、37.8、37.2、36.2、35.6、34.7、33.1、31.0、29.8、26.7、26.2、23.0、21.0、17.2、16.6。
【0514】
(実施例22)
化合物15の代替合成
【0515】
【化116】
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【0516】
(a)化合物39の調製
上の実施例5(a)に記載した通りに調製した化合物16(178.7mg、0.25mmol)のCH2Cl2(2.5mL)中溶液に、上の実施例20(b)に記載した通りに調製した化合物33(120mg、0.88mmol)及びDIPEA(0.05mL、0.25mmol)を添加した。この反応混合物を23℃で2時間撹拌し、H2Oで希釈し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋化合物39(100mg、56%)を得た。
【0517】
【数35】
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【0518】
ESI-MS m/z:C35H52ClN3O7S2について計算:725.9。実測:748.3(M+Na)+
【0519】
(b)化合物15の調製
上の実施例5(a)に記載した通りに調製した化合物39(90mg、0.12mmol)のEtOAc(6.7mL)及びCH3OH(6.7mL)の混合物中溶液を、0.05Mリン酸カリウム緩衝液(6.7mL)(pH7.5、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む)中ジチオトレイトール溶液(0.36mL、0.36mmol)で処理した。この混合物を23℃で4時間撹拌した。この反応物を0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0、2mM EDTAを含む)の溶液で処理し、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、Hex:EtOAc混合物)のためのシステムで精製して、純粋な目標化合物15(40.2mg、46%)を得た。
【0520】
【数36】
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【0521】
13C NMR(125MHz、CDCl3):δ168.2、166.2、161.5、156.7、145.2、140.2、137.3、134.2、134.0、132.0、124.4、124.2、122.3、120.8、108.1、105.5、81.8、74.5、60.6、55.4、39.6、37.3、34.6、33.9、33.3、30.8、26.7、26.3、21.8、21.1、17.2、16.7。
ESI-MS m/z:C34H50ClN3O7Sについて計算:679.3。実測:702.4(M+Na)+
【0522】
本発明の抗体薬物コンジュゲートの細胞毒性を実証する実施例
抗腫瘍活性の検出のためのバイオアッセイ
アッセイの目的は、試験される試料のin vitro細胞増殖抑制(腫瘍細胞増殖を遅延又は停止させる能力)又は細胞毒性(腫瘍細胞を死滅させる能力)活性を評価することであった。
【0523】
細胞株及び細胞培養
この研究に使用した腫瘍細胞株のすべては、特に断らない限り、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手した:BT-474(ATCC HTB-20、乳管癌)、SK-BR-3(ATCC HTB-30、乳腺癌)及びHCC-1954(ATCC CRL-2338、乳管癌)、すべてHER2+;MDA-MB-231(ATCC HTB-26、乳腺癌)及びMCF-7(ATCC HTB-22、乳腺癌、胸膜滲出)、すべてHER2-;SK-OV-3(ATCC HTB-77、卵巣腺癌)、HER2+;NB-4(急性前骨髄球性白血病、APL、CD13+、M.Lanottleら(1991年)NB4、a maturation inducible cell line with t(15,17)marker isolated from a humna acute promyelocytic leukemia(M3)、Blood 77、1080〜1086頁)、(CD13+)及びU937(ATCC CRL-1593.2、組織球性リンパ腫、CD13+及びCD4+);Raji(ATCC CCL-86、バーキットリンパ腫)(CD13-、CD20+、CD5-、及びCD4-);RPMI-8226(ATCC CRM-CCL-155、多発性骨髄腫)(CD13-、CD20-、CD5-、及びCD4-);Karpas-299(DSMZ ACC-31、非ホジキンリンパ腫)(CD20-、CD5+、及びCD4+);MOLT-4(ATCC CRL-1582、急性リンパ芽急性白血病、CD5+)。更に、この研究で使用した2種のRaji細胞(ATCC CCL-86、バーキットリンパ腫)クローン、Raji-クローン#10(高CD5発現)及びRaji-クローン18(ヌルCD5発現)は、Dr. Juan M. Zapata(Instituto de Investigaciones Biomedicas「Alberto Sols」、CSIC-UAM、Madrid、スペイン国)により提供された。細胞は、培地のすべてを10%ウシ胎仔血清(FCS)及び100単位/mLペニシリン及びストレプトマイシンで補充した、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(MCF及びMDA-MB-231細胞のために)、RPMI-1640(SK-BR-3、HCC-
1954、NB-4、U937、Raji、RPMI-8226、Karpas-299、MOLT-4、Raji-クローン#10及びRaji-クローン#18細胞のために)、RPMI-1640+1%ITS(BT-474細胞のために)又はMcCOyS(SK-OV-3細胞のために)中37℃、5%CO2及び95%湿度で維持した。
【0524】
細胞毒性アッセイ
付着細胞の場合:スルホローダミンB(SRB)を使用する熱量測定アッセイを、V. Vichai及びK. Kirtikara(2006年)「Suforhodamine B colorimetric assay for cytotoxicity screening」、Nature Protocols、1、1112〜1116頁に記載された通りに、細胞増殖及び細胞毒性の定量的測定に適合させた。簡潔には、細胞を96-ウェルマイクロタイタープレートに播種し、薬物不含培地に24時間放置させ、その後、ビヒクル単独又は指示化合物で72時間処理した。定量化のために、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、1%グルタルアルデヒド溶液中で15分間固定し、PBSで2回すすぎ洗いし、0.4%SRB-1%酢酸溶液中で30分間染色し、1%酢酸溶液で数回すすぎ洗いし、空気乾燥させた。次いで、SRBを10mMトリズマベース溶液中で抽出し、光学密度をマイクロプレート分光光度計において490nmで測定した。細胞生存は、対照、未処置細胞生存のパーセンテージとして表した。
【0525】
懸濁細胞の場合:MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を使用する標準代謝アッセイを、T. Mosmann(1983年)「Rapid colorimetric assay for cellular growth and survival: Application to proliferation and cytotoxicity assays」、J. Immunol. Meth.、65、55〜63頁に記載された通りに、細胞増殖及び細胞毒性の定量的測定に適合させた。簡潔には、MTT溶液を細胞培養液に0.5mg/mLの最終濃度で添加し、ホルマザン結晶が形成されるまで37℃で1〜4時間インキュベートした。培養培地を細胞培養液から注意深く除去し、ホルマザン結晶を100μL DMSOに再懸濁させた。可溶化を確保するために混合後、プレート読取分光光度計を使用して570nmでの吸光度の変化を記録することにより、ホルマザンの量(恐らく生存細胞の数に直接比例する)を測定する。細胞生存は、対照細胞生存、未処置細胞生存のパーセンテージとして表される。
【0526】
IC50値は、対照細胞生存と比較して50%の細胞死を誘導する化合物の濃度を指す。
【0527】
(生物活性実施例1)-HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC1及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1及び化合物4並びにトラスツズマブとともに、ADC1のin vitro細胞毒性を、BT-474、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER陰性細胞)を含めた、HER2受容体を過剰発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。SK-OV-3(HER2+卵巣がん細胞株)も、非乳房組織細胞モデルとして研究に含めた。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0528】
トラスツズマブの細胞毒性
まず第一に、トラスツズマブのin vitro細胞毒性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。2つの独立した実験で、5.0E01〜2.6E-03μg/mL(3.4E-0.7〜1.8E-11M)の範囲の三通りのDR曲線において、トラスツズマブは、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのHER2状態と関わりなく、IC50に到達することなく、完全に不活性であった(Table 3(表3)参照)。
【0529】
【表3】
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【0530】
化合物4の細胞毒性
中間体化合物4の細胞毒性を、1E-01〜2.6E-05μg/mL(1.5E-07〜3.9E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。
【0531】
この化合物の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、8.9E-05〜1.7E-03μg/mL(1.34E-10〜2.6E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、5.69E-04μg/mL(8.57E-10M)であった。更に、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 4(表4)参照)。
【0532】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0533】
化合物1の細胞毒性
親化合物1の活性を、上と同じ条件、1E-01〜2.6E-05μg/mL(1.1E-07〜3.0E-11M)を使用してアッセイした。この化合物の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、8.9E-04〜6.4E-03μg/mL(1.04E-09〜7.47E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、3.41E-03μ/mL(3.98E-09M)であった。マレイミドリンカーは、化合物の細胞毒性効果をわずかに低下させるように思われた。やはり、化合物1の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 5(表5)参照)。
【0534】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0535】
ADC1の細胞毒性
ADC1の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1、0.1、0.01及び0.001μg/mL(3.3E-07、6.6E-08、6.6E-09、6.6E-10、6.6E-11及び6.6E-12モル濃度に等しい)から出発して6つの異なる三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)でアッセイした。
【0536】
代表的DR曲線を図3に示す。
【0537】
異なるDR曲線を調整後、種々の細胞株に対するADC1について計算した平均IC50値を以下のTable 6(表6)に示す。ADC1は、親化合物の化合物1単独のものと比較的同様の細胞毒性、及び重要なことに、HER2+発現細胞に対して明らかな特異性を示した。したがって、本発明者らは、コンジュゲートが、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって実際に作用していたと推測する。HER2陽性細胞株のうちで、ADC1に対する感受性に有意差があった。最も感受性の細胞株は、HCC-1954及びSK-BR-3であり、3.88E-02及び2.45E-02μg/mL(2.581E-10及び1.63E-10Mに等しい)のIC50を示し、BT-474細胞が続き、これは、7.4E-01μg/mL(4.93E-09Mに等しい)の有意により高いIC50値を示した。卵巣細胞株SK-OV-3は、7.0E+00μg/mL(4.67E-08Mに等しい)の更により高いIC50値を示した。2種のHER陰性細胞は、2.0E+01μg/mL(ほぼ1.0E-07Mに等しい)のオーダーの同様の感受性を示した(Table 6(表6)参照)。
【0538】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0539】
したがって、最も応答性のHER2陽性細胞株は、HER陰性細胞株よりもほぼ300〜800倍より感受性であり、HER2発現細胞に対するコンジュゲートの特異性を示した。
【0540】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性をコンジュゲートADC1のものとグラフで比較するために、mAb単独(10μg/mL)又はADC (10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図4に示す。図4からわかるように、10μg/mLの等濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性をあまり又はまったく示さなかった(<20%最大)。対照的に、ADC1は、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して強力な、及びBT-474及びSK-OV-3に対してより少ない程度に、細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、88%、82%、52%及び47%の細胞生存の平均阻害をもたらした。この濃度で、ADC1は、HER陰性細胞MCF-7及びMDA-MB-231に対していくらかの細胞毒性を示し、それぞれ、38%及び32%の細胞生存阻害の平均パーセンテージであった。1μg/mLの濃度で、ADC1コンジュゲートは、HER2陽性細胞に対して、10μg/mLで観察されたものといくらか同様の細胞毒性を示したが、この場合、HER2陰性細胞に対する検出可能な効果はなかった(図4参照)。
【0541】
これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC1コンジュゲートの顕著な細胞毒性及び特異性が明らかに実証された。
【0542】
(生物活性実施例2)-HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC2及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物5及び化合物8並びにmAbトラスツズマブとともに、ADC2(トラスツズマブ-化合物5ADC)のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0543】
化合物8の細胞毒性
中間体化合物8の細胞毒性を、01E+00〜2.6E-04μg/mL(1.6E-06〜4.0E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。
【0544】
この化合物の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、3.40E-03〜6.75E-03μg/mL(5.4E-09〜1.0E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、5.53E-03μg/mL(8.79E-09Mに等しい)であった。更に、化合物8の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 7(表7))。
【0545】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0546】
化合物5の細胞毒性
化合物5(マレイミドリンカーを持つ改変化合物8)の活性を、上と同じ条件、01E+00〜2.6E-04μg/mL(1.2E-06〜3.1E-10M)でアッセイした。
【0547】
この化合物の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、1.9E-02〜7.7E-02μg/mL(2.32E-08〜9.41E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、4.33E-02μg/mL(5.26E-08M)であった。化合物5中のマレイミドリンカーの存在は、化合物8と比較して、化合物の細胞毒性をわずかに低下させた。やはり、化合物5の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係ないように思われた(Table8(表8))。
【0548】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0549】
ADC2の細胞毒性
ADC2の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。単に適切な範囲の濃度を確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1、0.1、及び0.01μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、5つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線を図5に示す。異なるDR曲線のすべてを調整後、種々の細胞株に対するADC2について計算した平均IC50値をTable 9(表9)に示す。コンジュゲートADC2は、HER2+発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物5のものと同様の細胞毒性が実証され、平均IC50値は、それぞれ、5.8E+00及び2.2E-01μg/mL(4.0E-08及び1.5E-09Mに等しい)であった。2種のHER-細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、試験した濃度の範囲でADC2に対して実質的に非応答性であり、IC50値(>5.0E+0.1μg/mL)に到達しなかった(図5及びTable 9(表9)参照)。
【0550】
したがって、本発明者らは、コンジュゲートが、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって実際に作用していたと推測する。
【0551】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0552】
トラスツズマブ単独の細胞毒性をコンジュゲートADC2のものとグラフで比較するために、トラスツズマブ単独(10μg/mL)又はADC2(10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図6に示す。10μg/mLの濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性をまったく示さなかった。対照的に、ADC2コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して有意で特異的な細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、57%及び78%の細胞生存の平均阻害をもたらした。
【0553】
1μg/mLの濃度で、ADC2コンジュゲートは、HER2陽性細胞に対して、10μg/mLで観察されたものといくらか同様の細胞毒性を示したが、やはり、HER2陰性細胞に対する検出可能な効果はなかった(図6)。
【0554】
これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC2コンジュゲートの顕著な細胞毒性及び特異性が明らかに実証された。
【0555】
(生物活性実施例3)-HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC3及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物12及び化合物4並びにmAbトラスツズマブとともに、ADC3のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0556】
化合物4の細胞毒性
親化合物4の細胞毒性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-07〜3.9E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。
【0557】
化合物4の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って同質であり、ピコモル範囲のIC50値は、1.16E-04〜2.80E-04μg/mL(1.75E-10〜4.23E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.97E-04μg/mL(2.96E-10Mに等しい)であった。更に、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 10(表10))。
【0558】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0559】
化合物12の細胞毒性
化合物12(切断可能なペプチドリンカーを持つ改変化合物4)の活性を、上と同じ実験条件、01E+01〜2.6E-03μg/mL(7.9E-06〜2.0E-09M)の濃度の範囲でアッセイした。
【0560】
化合物12の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、7.60E-03〜3.05E-02μg/mL(6.02E-09〜2.42E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.63E-02μg/mL(1.29E-08M)であった(Table 11(表11))。化合物12中のペプチドリンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性に対して陰性効果を示した。化合物12の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態とむしろ関係なかった。
【0561】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0562】
ADC3の細胞毒性
最後に、ADC3の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1、0.1、0.01及び0.001μg/mL(3.33E-07、6.64E-08、6.64E-09、6.64E-10、6.64E-11及び6.64E-12モル濃度に等しい)から出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、6つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線を図7に示す。試験した種々の細胞株に対するADC3について計算した平均IC50値をTable 12(表12)に示す。
【0563】
コンジュゲートADC3は、HER2+発現細胞に対する有意な特異性を明らかに示し、ここで、化合物により、親化合物4のものと同様の、強力な(ペプチドリンカーを持つ中間体化合物12よりも約1ログより活性な)細胞毒性が実証された。HER2+細胞株、HCC-1954及びSK-BR-3は両方とも、ADC3に対して同等の感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、8.83E-02及び6.77E-02μg/mL(5.86E-10及び4.49E-10Mに等しい)であった。2種のHER陰性細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、ADC3に対して有意により低い感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、9.40E+00及び>5.0E+01μg/mL(ほぼ6.24E-08M及び>3.32E-07Mに等しい)であった。
【0564】
図8は、HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC3の細胞毒性のプロットである。HER2+細胞株(平均IC50 7.80E-02μg/mL)は、HER2陰性MCF-7細胞(平均IC50 9.40E+00μg/mL)よりもADC3に対して少なくとも>120倍より感受性であり、MDA-MB-231細胞よりもはるかに感受性であり、HER2発現細胞に対するADC3の特異性を明らかに示すことがわかった(図7及びTable 12(表12))。したがって、本発明者らは、コンジュゲートが、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって実際に作用していたと推測する。
【0565】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0566】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性をコンジュゲートADC3のものとグラフで比較するために、mAb単独(10μg/mL)又はADC3(10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図8に示し、これは、種々のヒト乳がん細胞株に対するトラスツズマブ対ADC3の細胞毒性活性を示す。
【0567】
10μg/mLの等濃度で、トラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性をまったく示さなかった。対照的に、ADC3コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して強力な細胞毒性を示した。これらの細胞株では、ADC3は、対照細胞と比較して、それぞれ、83%及び84%の細胞生存の阻害をも発揮した。この濃度で、ADC3は、HER2陰性細胞、MCF-7及びMDA-MB-231に対してもいくらかの効果を示し、それぞれ、33%及び20%の細胞生存のわずかな阻害をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC3コンジュゲートは、10μg/mlで観察されたものとHER2陽性細胞に対して同様の細胞毒性を示したが、HER2陰性細胞に対する検出可能な効果はなかった(図8)。これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC3の顕著な細胞毒性及び特異性が明らかに実証された。
【0568】
(生物活性実施例4)-HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC4及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物13及び化合物4並びにmAbトラスツズマブとともに、ADC4のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER2陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0569】
化合物4の細胞毒性
親化合物4の細胞毒性を、1E-01〜2.6E-05μg/mL(1.5E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。
【0570】
化合物4の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、2.43E-04〜4.45E-04μg/mL(3.6E-10〜6.7E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、3.3E-04μg/mL(4.98E-10Mに等しい)であった。したがって、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 13(表13))。
【0571】
【表13】
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【0572】
化合物13の細胞毒性
化合物13(チオール含有基を持つ改変化合物4)の活性を、上と同じ条件、1E-01〜2.6E-05μg/mL(1.3E-07〜2.0E-11M)でアッセイした。
【0573】
化合物13の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って比較的同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、7.95E-04〜2.63E-03μg/mL(1.0E-09〜3.5E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.83E-03μ/mL(2.44E-09M)であった(Table 14(表14))。化合物13中のチオール含有尾部の存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性をわずかに低下させた(約5倍)。やはり、化合物13の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係ないと思われた(Table 14(表14))。
【0574】
【表14】
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【0575】
ADC4の細胞毒性
ADC4の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を単に確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0. 1μg/mLから出発して、それぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線を図9に示す。異なるDR曲線のすべてを調整後、試験した種々の細胞株に対するADC4について計算した平均IC50値を、Table15(表15)に示す。
【0576】
コンジュゲートADC4は、HER2+発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対する特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物4及び化合物13のものと同様の強力な細胞毒性が実証され、平均IC50値は、それぞれ、1.17E-01及び4.80E-02μg/mLであった。2種のHER陰性細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、ADC4に対して有意により低い感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、5.35E+00及び6.50E+00μg/mLであった。コンジュゲートは、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的細胞中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって優先的に作用していると思われた。
【0577】
【表15】
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【0578】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性をコンジュゲートADC4のものとグラフで比較するために、mAb単独(10μg/mL)又はADC4(10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図10に示す。10μg/mLの濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性をまったく示さなかった。対照的に、ADC4コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して有意で特異的な細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、80%及び75%の細胞生存の平均阻害をもたらした。この濃度で、ADC4は、HER2陰性細胞、MCF-7及びMDA-MB-231に対しても効果を示し、それぞれ、53%及び40%の細胞生存の阻害をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC4コンジュゲートは、HER2陽性細胞に対して、10μg/mLで観察されたものといくらか同様の細胞毒性を示したが、HER2陰性細胞に対する検出可能な効果はなかった(図10)。これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC4コンジュゲートの顕著な細胞毒性及び特異性が明らかに実証された。
【0579】
(生物活性実施例5)- HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC5及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物15及び化合物40とともに、ADC5のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER2陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。
【0580】
化合物40の細胞毒性
【0581】
【化117】
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【0582】
化合物40は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2007144423号(このような特許出願における化合物1)に記載された通りに調製した。
【0583】
親化合物40の細胞毒性を、1E-02〜2.6E-06μg/mL(1.65E-08〜4.29E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。
【0584】
化合物40の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って非常に同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、4.90E-05〜1.73E-04μg/mL(8.10E-11〜2.84E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.06E-04μg/mL(1.75E-10Mに等しい)であった。したがって、化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 16(表16))。
【0585】
【表16】
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【0586】
化合物15の細胞毒性
化合物15(チオール含有基を持つ改変化合物40)の活性を、上と同じ条件、1E-01〜2.6E-05μg/mL(1.47E-07〜3.82E-11M)でアッセイした。
【0587】
化合物15の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株に沿って極めて同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、4.80E-04〜1.49E-03μg/mL(7.06E-10〜2.19E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.03E-03μg/mL(1.51E-09M)であった。化合物15中のチオール含有尾部の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性をわずかに低下させた(約8倍)。やはり、化合物15の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 17(表17))。
【0588】
【表17】
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【0589】
ADC5の細胞毒性
ADC5の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を単に確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図11に示す。異なるDR曲線のすべてを調整後、試験した種々の細胞株に対するADC5について計算した平均IC50値をTable 18(表18)に示す。
【0590】
コンジュゲートADC5は、HER2+発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物40及び化合物15のものと同様の細胞毒性活性が実証され、平均IC50値は、それぞれ、1.13E-01及び4.61E-02μg/mLであった。2種のHER陰性細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、ADC5に対して有意により低い感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、1.23E+00及び1.45E+00μg/mLであった。
【0591】
コンジュゲートADC5は、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって優先的に作用していると思われた。
【0592】
【表18】
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【0593】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC5のものとグラフで比較するために、mAb単独(10μg/mL)又はADC5(10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図12に示す。10μg/mLの濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性活性をまったく示さなかった。対照的に、ADC5コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して有意で特異的な細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、82%及び72%の細胞生存の平均阻害をもたらした。この濃度で、ADC5は、HER2陰性細胞、MCF-7及びMDA-MB-231に対しても効果を示し、それぞれ、58%及び54%の細胞生存阻害をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC5コンジュゲートは、HER2陽性細胞に対して、10μg/mLで観察されたものと比較的同様の細胞毒性活性(それぞれ、77%及び75%)を示したが、HER2陰性細胞に対してそれほど多くない活性を示し、細胞生存の阻害は、それぞれ、24%及び15%であった(図12)。これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC5コンジュゲートの顕著な細胞毒性活性及び相対的特異性が実証された。
【0594】
(生物活性実施例6)- HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC6及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物18及び化合物8とともに、ADC6のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER2陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0595】
化合物8の細胞毒性
親化合物8の細胞毒性を、1E+00〜2.6E-04μg/mL(1.59E-06〜4.13E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。この化合物の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって比較的同質(SK-BR-3細胞に対してわずかにより活性)であり、低ナノモル範囲のIC50値は、1.85E-03〜9.50E-03μg/mL(2.94E-09〜1.51E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、5.45E-03μg/mL(8.67E-09Mに等しい)であった。したがって、化合物8の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係ないと思われた(Table 19(表19))。
【0596】
【表19】
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【0597】
化合物18の細胞毒性
化合物18(チオール含有基を持つ改変化合物8)の活性を、上と同じ条件、1E+00〜2.6E-04μg/mL(1.39E-06〜3.63E-10M)でアッセイした。この化合物の細胞毒性も、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって極めて同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、4.40E-03〜1.85E-02μg/mL(6.14E-09〜2.58E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.06E-02μg/mL(1.48E-08M)であった。化合物18中のチオール含有尾部の存在は、化合物8と比較して、化合物の活性にあまり効果を示さなかった。やはり、化合物18の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態とあまり関係ないと思われた(Table 20(表20))。
【0598】
【表20】
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【0599】
ADC6の細胞毒性
ADC6の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を単に確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DRを図13に示す。異なるDR曲線のすべてを調整後、試験した種々の細胞株に対するADC6について計算した平均IC50値をTable 21(表21)に示す。
【0600】
コンジュゲートADC6は、制限はあるが、HER2+発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対していくらかの特異性を示した。これらの細胞株では、コンジュゲートは、親化合物8及び化合物18単独よりもわずかに少ない細胞毒性であり(それぞれ、5.6倍及び3.2倍)、平均IC50値は、それぞれ、1.04E+01及び3.80E+00μg/mLであった。2種のHER陰性細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、ADC6に対してわずかにより低い感受性を示し(5倍未満)、平均IC50値は、それぞれ、3.50E+01及び4.40E+01μg/mLであった。コンジュゲートADC6は、mAbと腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的細胞中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用して、HER2発現細胞に対していくらかの優先を有すると思われた。
【0601】
【表21】
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【0602】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC6のものとグラフで比較するために、mAb単独(10μg/mL)又はADC6(10又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図14に示す。10μg/mLの濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、細胞毒性活性をまったく示さなかった。対照的に、ADC6コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して特異的な細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、57%及び70%の細胞生存の平均阻害をもたらした。この濃度で、ADC6は、HER2陰性細胞、MCF-7及びMDA-MB-231に対しても残存効果を示し、それぞれ、9%及び7%の細胞生存の阻害をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC6コンジュゲートは、HER2陽性細胞に対して細胞毒性活性をなお示したが、10μg/mLで観察されたものよりは少なかった(それぞれ、19%及び38%)。この濃度で、ADC6は、HER2陰性細胞に対して完全に不活性であった(図14)。これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC6コンジュゲートの優先的な細胞毒性活性が実証された。
【0603】
(生物活性実施例7)-HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC7及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物24、化合物25及び化合物41とともに、ADC7のin vitro細胞毒性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER2陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0604】
化合物41の細胞毒性
【0605】
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【0606】
化合物41は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/080761号(このような特許出願の化合物72)に記載された通りに調製した。
【0607】
親化合物41の細胞毒性を、1E-02〜2.6E-06μg/mL(1.8E-08〜4.6E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。この化合物の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、1.0E-04〜2.6E-04μg/mL(1.8E-10〜4.6E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.6E-04μg/mL(2.9E-10Mに等しい)であった。したがって、化合物41の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 22(表22))。
【0608】
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0609】
化合物24の細胞毒性
化合物24の活性を、上と同じ条件、1E+00〜2.6E-04μg/mL(1.6E-06〜4.1E-10M)でアッセイした。この化合物の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、9.0E-03〜1.8E-02μg/mL(1.4E-08〜2.8E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.5E-02μg/mL(2.4E-08M)であった。化合物24中の1,3-プロピレンジアミン基の存在は、化合物41と比較して、化合物の細胞毒性活性に有意に低下させた(約2ログ)。やはり、化合物24の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係いように思われた(Table 23(表23))。
【0610】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0611】
化合物25の細胞毒性
化合物25(MCリンカーを持つ改変化合物24)の活性を、上と同じ条件、1E+01〜2.6E-05μg/mL(1.2E-07〜3.2E-11M)でアッセイした。この化合物の細胞毒性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、2.5E-02〜5.3E-02μg/mL(3.1E-08〜6.5E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、4.1E-02μg/mL(4.9E-08M)であった。化合物25中のMCリンカーの存在は、特にMDA-MB-231細胞において、化合物24と比較して、化合物の細胞毒性活性をわずかに低下させた。化合物25の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係ないように思われた(Table 24(表24))。
【0612】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
【0613】
ADC7の細胞毒性
ADC7の細胞毒性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を単に確保するために、コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度10μg/mL)を図15に示す。異なるDR曲線のすべてを調整後、試験した種々の細胞株に対するADC7について計算した平均IC50値をTable 25(表25)に示す。
【0614】
コンジュゲートADC7は、HER2+発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物41のものとほとんど同様の細胞毒性活性が実証され、平均IC50値は、それぞれ、3.7E-01及び8.9E-02μg/mLであった。2種のHER陰性細胞株、MCF-7及びMDA-MB-231は、ADC7に対して実質的に無応答であった。コンジュゲートは、mAbと陽性腫瘍細胞上の膜関連HER2受容体との相互作用、及びその後の標的細胞中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用していると思われた。
【0615】
【表25】
[この文献は図面を表示できません]
【0616】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC7のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC7(50又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図16に示す。50μg/mLの濃度で、mAbトラスツズマブ単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのHER2状態と関係なく、有意な細胞毒性活性をまったく示さなかった。対照的に、ADC7コンジュゲートは、HER2発現細胞、HCC-1954及びSK-BR-3に対して有意で特異的な細胞毒性を示し、対照細胞と比較して、それぞれ、77%及び76%の細胞生存の平均阻害をもたらした。この濃度で、ADC7は、HER2陰性細胞、MCF-7及びMDA-MB-231に対して残留効果を示しただけであり、それぞれ、13%及び15%の細胞生存阻害をもたらした。同様の活性及び特異性が、HCC-1954及びSK-BR-3細胞においてADC7に比較的低い濃度(1μg/mL程度に低い)で検出され、それぞれ、68%及び79%の細胞生存の阻害をもたらした(図16)。総合して、これらの結果により、in vitroでHER2発現ヒト腫瘍細胞に対するADC7コンジュゲートの顕著な細胞毒性活性及び特異性が明らかに実証された。
【0617】
(生物活性実施例8)- HER2陽性及び陰性乳がん細胞に対するADC8及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物24、化合物27及び化合物41とともに、ADC8のin vitro細胞毒性活性を、HCC-1954及びSK-BR-3(HER2陽性細胞)並びにMDA-MB-231及びMCF-7(HER陰性細胞)を含めた、HER2受容体を発現するか又はしない種々のヒト乳がん細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0618】
化合物41の細胞毒性
親化合物41の細胞毒性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.8E-08〜4.6E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。この化合物の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、7.5E-05〜1.4E-04μg/mL(1.3E-10〜2.4E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.1E-04μg/mL(1.9E-10Mに等しい)であった。したがって、化合物41の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 26(表26))。
【0619】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
【0620】
化合物24の細胞毒性
化合物24の活性を、上と同じ条件、01E+00〜2.6E-04μg/mL(1.6E-06〜4.1E-10M)でアッセイした。この化合物の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、9.0E-03〜1.8E-02μg/mL(1.4E-08〜2.9E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.5E-02μg/mL(2.4E-08M)であった。化合物24中の1,3-プロピレンジアミン基の存在は、化合物41と比較して、化合物の細胞毒性活性に有意に低下させた(約2ログ)。化合物24の細胞毒性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係ないように思われた(Table 27(表27))。
【0621】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
【0622】
化合物27の細胞毒性
化合物27の活性を、01E+00〜2.6E-04μg/mL(1.4E-06〜3.6E-10M)の10連続希釈(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物27の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、マイクロモル範囲のIC50値は、1.05E-02〜3.9E-02μg/mL(1.5E-08〜5.5E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、2.5E-02μg/mL(3.5E-08M)であった。化合物27中のMPAリンカーの存在は、化合物24と比較して、化合物の細胞毒性活性に有意な効果をまったく示さなかった。化合物27の活性は、腫瘍細胞株のHER2状態と関係なかった(Table 28(表28))。
【0623】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
【0624】
ADC8の細胞毒性
ADC8の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。適切な範囲の濃度を単に確保するために、このコンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(最大濃度10μg/mL)を図17に示す。ADC8は、HER2+発現細胞、特に最も感受性の細胞株であるSK-BR-3において、いくらかの特異性を示した。HER2陰性細胞よりもほぼ4倍より感受性であるこれらの細胞を除いて(IC50 2.3E-09M)、ADC8は、ナノモル範囲のIC50値とともに、HER2と関係なく、親化合物27と同様の細胞毒性活性を示した(Table 29(表29))。
【0625】
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
【0626】
mAbトラスツズマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC8のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC8(50又は10μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図18に示す。50μg/mLで、mAb単独は、SK-BR-3を除いて、試験した細胞株のいずれにおいても、活性をまったく示さず、ここで、それは、20%未満の細胞生存の阻害をもたらした。そして次に、ADC8は、HER2+細胞株に対して有意な特異性をまったく示さず、分析した細胞のすべてで、60%を超える細胞生存の強い阻害をもたらした。10μg/mLの濃度で、ADC8は、HER2+細胞に対していくらかの、しかし小さい特異性を示し、両方ともHER2陽性である、HCC-1954及びSK-BR-3細胞において細胞生存の78%阻害をもたらしたが、HER2陰性細胞に対して、MCF7及びMDA-MB-231において、それぞれ、59%及び41%の、より小さい効果を示した。HER2陽性細胞は、HER2陰性細胞よりも、ADC8に対して、おおよそ、1.5〜2倍より感受性であった。
【0627】
(生物活性実施例9)-CD13陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC9及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1及び化合物4とともにADC9のin vitro細胞毒性活性を、NB4及びU937(CD13陽性細胞)並びにRaji及びRPMI-8226(CD13陰性細胞)を含めた、CD13受容体を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0628】
抗CD13マウスモノクローナル抗体の細胞毒性
まず第一に、抗CD13マウスmAb単独のin vitro細胞毒性活性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。5.0E+01〜1.3E-02μg/mL(3.3E-07〜8.7E-11M)の範囲の三通りのDR曲線において、2つの独立した実験で、抗体は実質的に不活性であり、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのCD13状態に関係なく、IC50に到達しなかった(Table 30(表30))。
【0629】
【表30】
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【0630】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、7.9E-05〜2.65E-03μg/mL(1.2E-10〜4.0E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、8.4E-04μg/mL(1.2E-09Mに等しい)であった。したがって、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13状態とむしろ関係なかった(Table 31(表31))。
【0631】
【表31】
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【0632】
化合物1の細胞毒性
化合物1の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.1E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物1の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたっていくらか同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、8.0E-04〜6.3E-03μg/mL(9.4E-10〜7.3E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、2.8E-03μg/mL(3.3E-09Mに等しい)であった。化合物1中のマレイミドリンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性を非常に有意には変えなかった。更に、化合物の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13状態と関係しなかった(Table 32(表32))。
【0633】
【表32】
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【0634】
ADC9の細胞毒性
ADC9の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(最大濃度0.1μg/mL)を図19に示す。
【0635】
コンジュゲートADC9は、CD13+発現細胞に対して有意な特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物4及び化合物1のものと同様の、又はわずかにより高い細胞毒性活性が実証された。両方のCD13+細胞株、NB4及びU937は、ADC9に対して同等の感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、8.7E-03及び2.4E-02μg/mLであった。2種のCD13陰性細胞株、Raji及びRPMI-8226は、ADC9に対して有意により低い感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、1.6E+00及び5.9E-01μg/mLであった。平均して、CD13+細胞株(平均IC50 1.66E-02μg/mL)は、CD13-細胞(平均IC50 1.08E+00μg/mL)よりもADC9に対してほぼ65倍より感受性であった。NB4細胞(最も大きい感受性)対Raji細胞(最も小さい感受性)におけるADC9の活性を比較すると;ほぼ180倍の差とわかった。これらの結果により、CD13発現細胞に対するコンジュゲートの特異性が明らかに示された(Table 33(表33))。したがって、本発明者らは、ADC9は、少なくとも部分的に、mAbと腫瘍細胞上の膜関連CD13受容体との相互作用、及びその後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用していたと推測する。
【0636】
【表33】
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【0637】
mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC9のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC(50又は0.1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図20に示す。50μg/mLの等濃度で、抗CD13抗体単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのCD13状態と関係なく、細胞毒性活性をまったく示さなかった。対照的に、ADC9コンジュゲートは、細胞株のすべてに対して強力な細胞毒性活性を示し、80%を超える細胞生存の阻害をもたらした。0.1μg/mLの濃度で、コンジュゲートADC9は、50μg/mLで観察されたものと同様のCD13陽性細胞に対する細胞毒性活性を示したが、CD13陰性細胞に対する検出可能な効果はまったくなかった。これらの結果により、in vitroでCD13発現ヒト腫瘍細胞に対するADC9の顕著な細胞毒性活性及び特異性が更に実証された。
【0638】
(生物活性実施例10)-CD13陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC10及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物12及び化合物4とともにADC10のin vitro細胞毒性活性を、NB4及びU937(CD13陽性細胞)並びにRaji及びRPMI-8226(CD13陰性細胞)を含めた、CD13受容体を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0639】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、低ナノモル範囲のIC50値は、7.9E-05〜2.65E-03μg/mL(1.2E-10〜4.0E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、8.4E-04μg/mL(1.2E-09Mに等しい)であった。したがって、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13状態とむしろ関係なかった(Table 34(表34))。
【0640】
【表34】
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【0641】
化合物12の細胞毒性
化合物12の活性を、01E+00〜2.6E-04μg/mL(7.9E-07〜2.0E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物12の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたっていくらか同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、4.4E-03〜4.8E-02μg/mL(3.5E-09〜3.8E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、2.0E-02μg/mL(1.6E-08M)であった。化合物12中の長いリンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた(およそ1ログ)。更に、化合物の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13状態と関係しなかった(Table 35(表35))。
【0642】
【表35】
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【0643】
ADC10の細胞毒性
ADC10の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(最大濃度1μg/mL)を図21に示す。
【0644】
コンジュゲートADC10は、CD13+発現細胞に対して有意な特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物4及び化合物12のものと同様の、又はわずかにより高い細胞毒性活性が実証された。両方のCD13+細胞株、NB4及びU937は、ADC10に対して同等の感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、7.2E-03及び9.8E-03μg/mLであった。2種のCD13陰性細胞株、Raji及びRPMI-8226は、ADC10に対して有意により低い感受性を示し、平均IC50値は、それぞれ、1.0E+01及び5.3E+00μg/mLであった。平均して、CD13+細胞株(平均IC50 8.50E-03μg/mL)は、CD13-細胞(平均IC50 7.83E+00μg/mL)よりもADC10に対してほぼ900倍より感受性であった。NB4細胞(最も大きい感受性)対Raji細胞(最も小さい感受性)におけるADC10の活性を比較すると;ほぼ1440倍の差とわかった。これらの結果により、CD13発現細胞に対するADC10の特異性が明らかに示された(Table 36(表36))。したがって、本発明者らは、ADC10は、少なくとも部分的に、mAbと腫瘍細胞上の膜関連CD13受容体との相互作用、及びその後の標的細胞中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用していたと推測する。
【0645】
【表36】
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【0646】
mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC10のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC10(50又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図22に示す。50μg/mLの等濃度で、抗CD13抗体単独は、試験した細胞株のいずれに対しても、それらのCD13状態と関係なく、細胞毒性活性をまったく示さなかった。対照的に、ADC10コンジュゲートは、より低いが、ほぼ70%のなお重要な阻害をもたらしたRaji細胞を除いて、細胞株のすべてに対して強力な細胞毒性活性を示し、80%を超える細胞生存の阻害をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC10は、50μg/mLで観察されたものと同様のCD13陽性細胞に対する細胞毒性活性を示したが、CD13陰性細胞に対する検出可能な効果はまったくなかった。これらの結果により、in vitroでCD13発現ヒト腫瘍細胞に対するADC10の顕著な細胞毒性活性及び特異性が更に実証された。
【0647】
(生物活性実施例11)-CD13陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC11及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物13及び化合物40とともにADC11のin vitro細胞毒性活性を、NB4及びU937(CD13陽性細胞)並びにRaji及びRPMI-8226(CD13陰性細胞)を含めた、CD13受容体を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0648】
化合物40の細胞毒性
化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、低ピコモル範囲のIC50値は、3.1E-05〜1.7E-04μg/mL(5.2E-11〜2.8E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、8.6E-05μg/mL(1.4E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13発現レベルと関係なかった(Table 37(表37))。
【0649】
【表37】
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【0650】
化合物13の細胞毒性
化合物13の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.3E-07〜3.4E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物13の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたっていくらか同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、1.7E-03〜1.0E-02μg/mL(2.7E-09〜1.4E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、4.3E-03μg/mL(5.7E-09M)であった。化合物13中のチオール含有尾部の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた(1ログ未満)。化合物の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD13状態とむしろ関係しなかった(Table 38(表38))。
【0651】
【表38】
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【0652】
ADC11の細胞毒性
ADC11の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、2つの独立した実験で、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(最大濃度1μg/mL)を図23に示す。ADC11は、試験した細胞株のすべてにおいて、CD13発現細胞に対していくらか、しかし小さい特異性を示した。コンジュゲートは、わずかにより少ない感受性であるRaji細胞を除いて、むしろ同様の細胞毒性活性を示した。ADC11の活性は、親化合物13のものと同等であり、IC50値は、低ナノモル範囲であった(Table 39(表39))。
【0653】
【表39】
[この文献は図面を表示できません]
【0654】
抗CD13mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC11のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC11(50又は1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図24に示す。50μg/mLの濃度で、抗CD13抗体単独は、CD13+細胞株に対するいくらかの細胞毒性活性を示し、ほぼ30%の生存細胞の阻害をもたらした。CD13-細胞では、抗体は実質的に不活性であった。同じ濃度で、ADC11コンジュゲートは、CD13発現細胞に対するいくらかの、しかし非常に小さい特異性とともに、細胞株のすべてに対して強力な細胞毒性活性を示し、ここで、それは、ほとんど100%の細胞生存の低下をもたらした。CD13-細胞において、ADC11は、細胞生存における80%を超える低下をもたらした。1μg/mLの濃度で、ADC11は、CD13+細胞、NB-4及びU937に対してより大きい特異性を示し、ここで、それは、それぞれ、99%及び85%の細胞生存の低下をもたらした。CD13-細胞、Raji及びRPM18226において、コンジュゲートは、それぞれ、38%及び60%の細胞生存の低下をもたらした。
【0655】
(生物活性実施例12)-CD20陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC12及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1、化合物4、及び化合物40とともにADC12のin vitro細胞毒性活性を、Raji(CD20陽性細胞);RAMI-8226及びKarpas-299(CD20陰性細胞)を含めた、CD20抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0656】
リツキシマブの細胞毒性
まず第一に、mAb単独リツキシマブのin vitro細胞毒性活性を、Raji(CD20陽性細胞);RAMI-8226及びKarpas-299(CD20陰性細胞)を含めた、CD20抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対してアッセイした。5.0E+01〜2.62E-05μg/mL(3.4E-07〜1.7E-11M)にわたって三通りのDR曲線において、抗体はむしろ不活性であり、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのCD20状態に関係なく、IC50に到達しなかった(Table 40(表40))。
【0657】
【表40】
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【0658】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、低サブナノモル範囲のIC50値は、8.6E-05〜1.1E-04μg/mL(1.4E-10〜1.9E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、9.6E-05μg/mL(1.6E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 41(表41))。
【0659】
【表41】
[この文献は図面を表示できません]
【0660】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、5.7E-04〜1.4E-03μg/mL(8.6E-10〜2.1E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、9.7E-04μg/mL(1.5E-09M)であった。化合物4中のアミン含有基の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性をわずかに低下させた。化合物4の細胞毒性活性も、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 42(表42))。
【0661】
【表42】
[この文献は図面を表示できません]
【0662】
化合物1の細胞毒性
化合物1の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.2E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物1の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、1.6E-03〜2.8E-03μg/mL(1.9E-09〜3.3E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、2.1E-03μg/mL(2.5E-09M)であった。化合物1中のマレイミドリンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞活性を有意には変えなかった。更に、化合物の細胞毒性も、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 43(表43))。
【0663】
【表43】
[この文献は図面を表示できません]
【0664】
ADC12の細胞毒性
ADC12の細胞毒性活性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図25に示す。CD20陽性Raji細胞で比較的高いが、ADC12は、試験した細胞株のすべてで、ナノモル範囲で比較的同様の細胞毒性活性を示した。Raji細胞(CD20+)は、9.5E-02μg/mLの平均IC50値を示したが、RPMI-8226及びKarpas-299細胞(両方ともCD20-)についてのそれぞれの値は、それぞれ、4.0E-01及び4.1E-01μg/mLであった(Table 44(表44))。したがって、CD20陽性細胞は、CD20陰性細胞よりもADC12に対してわずかにより感受性であった(4倍)。
【0665】
【表44】
[この文献は図面を表示できません]
【0666】
mAbリツキシマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC12のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC12(1及び0.1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図26に示す。リツキシマブ単独は、50μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてにおいて、それらのCD20状態と関係なく、実質的に不活性であった。対照的に、ADC12は、1μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてで強力な細胞毒性活性を示し、処置後72時間に細胞生存の70%を超える低下をもたらした。より低い濃度0.1μg/mLで、ADC12コンジュゲートは、いくらかの特異性を示し、CD20陽性細胞(Raji)でほぼ60%の細胞生存の低下をもたらしたが、CD20陰性細胞(RPMI-8226及びKarpas-299)では実質的に不活性であった。
【0667】
(生物活性実施例13)- -CD20陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC13及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1、化合物4、及び化合物40とともにADC13のin vitro細胞毒性活性を、Raji(CD20陽性細胞);RPMI-8226及びKarpas-299(CD20陰性細胞)を含めた、CD20抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0668】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、低サブナノモル範囲のIC50値は、8.6E-05〜1.1E-04μg/mL(1.4E-10〜1.9E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、9.6E-05μg/mL(1.6E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 45(表45))。
【0669】
【表45】
[この文献は図面を表示できません]
【0670】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、5.7E-04〜1.4E-03μg/mL(8.6E-10〜2.1E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、9.7E-04μg/mL(1.5E-09M)であった。化合物4中のアミン含有基の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性をわずかに低下させた。化合物4の細胞毒性活性も、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 46(表46))。
【0671】
【表46】
[この文献は図面を表示できません]
【0672】
化合物12の細胞毒性
化合物12の活性を、01E+00〜2.6E-04μg/mL(7.9E-07〜2.1E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物12の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、2.2E-02〜6.7E-02μg/mL(1.8E-08〜5.5E-08M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、3.9E-02μg/mL(3.1E-08M)であった。化合物12中のマレイミドリンカーの存在は、化合物4及び化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた。更に、化合物の細胞毒性も、腫瘍細胞株のCD20状態と関係なかった(Table 47(表47))。
【0673】
【表47】
[この文献は図面を表示できません]
【0674】
ADC13の細胞毒性
ADC13の細胞毒性活性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図27に示す。CD20陽性Raji細胞で比較的高いが、ADC13は、試験した細胞株のすべてで、ナノモル範囲でむしろ同様の細胞毒性活性を示した。Raji細胞(CD20+)は、2.5E-01μg/mLの平均IC50値を示したが、RPMI-8226及びKarpas-299細胞(両方ともCD20-)についてのそれぞれの値は、それぞれ、1.1E+00μg/mLであった(Table 48(表48))。したがって、CD20陽性細胞は、CD20陰性細胞よりもADC13に対してわずかにより感受性であった(約5倍)。
【0675】
【表48】
[この文献は図面を表示できません]
【0676】
mAbリツキシマブ単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC13のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC13(1及び0.1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図28に示す。リツキシマブ単独は、50μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてにおいて、それらのCD20状態と関係なく、実質的に不活性であった。対照的に、ADC13は、1及び0.1μg/mLの両方の濃度で、CD20発現Raji細胞に対するいくらかの特異性とともに、細胞毒性活性を示した。1μg/mLで、ADC13は、処置後72時間に、Raji細胞(CD20+)の細胞生存において65%を超える低下をもたらしたが、それぞれ、RPMI-8226及びKarpas-299細胞(CD20-)においては35〜45%の低下をもたらした。0.1μg/mLで、ADC13コンジュゲートは、より明らかな特異性を示し、CD20+細胞でほぼ50%の細胞生存の低下をもたらしたが、CD20-細胞では不活性であった。
【0677】
(生物活性実施例14)- -CD5陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC14及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1、化合物4、及び化合物40とともにADC14のin vitro細胞毒性活性を、Karpas-299及びMOLT-4(両方ともCD5+);Raji及びRPMI-8226(両方ともCD5-)を含めた、CD5抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0678】
抗CD5mAbの細胞毒性
まず第一に、抗CD5マウスmAB単独のin vitro細胞毒性活性を、Karpas-299及びMOLT-4(両方ともCD5+);Raji及びRPMI-8226(両方ともCD5-)を含めた、CD5抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対してアッセイした。5.0E+01〜1.3E-02μg/mL(3.3E-07〜8.7E-11M)にわたる三通りのDR曲線において、2つの独立した実験で、抗体は実質的に不活性であり、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのCD5状態に関係なく、IC50に到達しなかった(Table 49(表49))。
【0679】
【表49】
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【0680】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって非常に同質であり、低サブナノモル範囲のIC50値は、7.5E-05〜3.6E-04μg/mL(1.2E-10〜5.9E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.6E-04μg/mL(2.6E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルと関係なかった(Table 50(表50))。
【0681】
【表50】
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【0682】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、6.3E-04〜2.7E-03μg/mL(9.5E-10〜4.1E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.3E-03μg/mL(1.9E-09M)であった。化合物4中のアミン含有基の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた(約1ログ)。化合物4の細胞毒性活性も、腫瘍細胞株のCD5発現レベルと関係なかった(Table 51(表51))。
【0683】
【表51】
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【0684】
化合物1の細胞毒性
化合物1の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.2E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物1の細胞毒性活性は、化合物があまり活性でないRaji細胞を除いて、試験した種々の細胞株にわたってほとんど均質であり、ナノモル範囲のIC50値は、1.8E-03〜1.1E-02μg/mL(2.2E-09〜1.3E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、4.6E-03μg/mL(5.3E-09M)であった。化合物1中のマレイミド含有リンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性を変えなかった。化合物の細胞毒性も、腫瘍細胞株のCD5発現レベルと関係なかった(Table 52(表52))。
【0685】
【表52】
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【0686】
ADC14の細胞毒性
ADC14の細胞毒性活性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図29に示す。ADC14は、CD5陽性細胞に対して選択性のいくらかの傾向を示したが、平均IC50値は、中程度のナノモル範囲で、試験した細胞株のすべてに対して、CD5状態と関係なく、比較的同様であった(Table 53(表53))。
【0687】
【表53】
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【0688】
抗CD5mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC14のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC14(1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図30に示す。抗CD5mAb単独は、50μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてにおいて実質的に不活性であった。ADC14は、1μg/mLの濃度で、CD5陽性細胞、Karpas-299及びMOLT-4に対して特異的な細胞毒性活性を示し、それぞれ、ほぼ84%及び70%の細胞生存の阻害をもたらしたが、CD5陰性細胞に対しては実質的に不活性であった(図30)。
【0689】
(生物活性実施例15)- -CD4陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC16及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1、化合物4、及び化合物40とともにADC16のin vitro細胞毒性活性を、Karpas-299及びU937(両方ともCD4+);Raji及びRPMI-8226(両方ともCD4-)を含めた、CD4抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0690】
抗CD4mAbの細胞毒性
まず第一に、抗CD4マウスmAB単独のin vitro細胞毒性活性を、Karpas-299及びU937(両方ともCD4+);Raji及びRPMI-8226(両方ともCD4-)を含めた、CD4抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対してアッセイした。5.0E+01〜1.3E-02μg/mL(3.3E-07〜8.7E-11M)にわたる三通りのDR曲線において、2つの独立した実験で、抗体は実質的に不活性であり、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのCD4状態に関係なく、IC50に到達しなかった(Table 54(表54))。
【0691】
【表54】
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【0692】
化合物40の細胞毒性
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、低サブナノモル範囲のIC50値は、7.9E-05〜2.8E-04μg/mL(1.3E-10〜4.7E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.5E-04μg/mL(2.5E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 55(表55))。
【0693】
【表55】
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【0694】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性も、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、6.1E-04〜2.7E-03μg/mL(9.5E-10〜4.1E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.2E-03μg/mL(1.8E-09M)であった。化合物4中のアミン含有基の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた。化合物4の細胞毒性活性も、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 56(表56))。
【0695】
【表56】
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【0696】
化合物1の細胞毒性
化合物1の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.2E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物1の細胞毒性活性も、試験した種々の細胞株にわたって均質であり、ナノモル範囲のIC50値は、1.5E-03〜7.3E-03μg/mL(1.7E-09〜8.6E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、3.4E-03μg/mL(3.9E-09M)であった。化合物1中のマレイミド含有リンカーの存在は、化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性を変えなかった。化合物の細胞毒性も、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 57(表57))。
【0697】
【表57】
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【0698】
ADC16の細胞毒性
ADC16の細胞毒性活性を種々の腫瘍細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図31に示す。ADC16は、CD4陽性細胞に対していくらかの特異性を示したが、CD4陰性細胞に対する感受性の平均差は、比較的低く、およそ7倍であった(より小さい感受性と最も大きい感受性細胞株との間の最大差である、Raji及びKarpas-299は、それぞれ、ほぼ14倍であった)(Table 58(表58))。小さい治療枠を示したが、観察されたADC16の細胞毒性の少なくとも一部は、腫瘍細胞の細胞膜におけるmAbとCD4糖タンパク質との相互作用によって媒介されるように思われた。
【0699】
【表58】
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【0700】
抗CD4mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC16のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC16(1及び0.1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図32に示す。抗CD4mAb単独は、50μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてで実質的に不活性であった。対照的に、ADC16は、1μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてにおいて、それらのCD4状態と関係なく、強力な細胞毒性活性を示し、処置後72時間に細胞生存における60%を超える低下(範囲60〜90%)をもたらした。0.1μg/mLの濃度でさえも、ADC16は、CD4陽性細胞、Karpas-299及びU937に対して特異的な細胞毒性活性を示し、それぞれ、ほぼ80%及び70%の細胞生存における阻害をもたらしたが、CD4陰性細胞に対しては不活性であった(図32)。
【0701】
(生物活性実施例16)- -CD4陽性及び陰性ヒト腫瘍細胞に対するADC17及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物12、化合物4、及び化合物40とともにADC17のin vitro細胞毒性活性を、Karpas-299及びU937(両方ともCD4+);Raji及びRPMI-8226(両方ともCD4-)を含めた、CD4抗原を発現するか又はしない種々のヒト腫瘍細胞株に対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0702】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、低サブナノモル範囲のIC50値は、7.9E-05〜2.8E-04μg/mL(1.3E-10〜4.7E-10M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.5E-04μg/mL(2.5E-10Mに等しい)であった。化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 59(表59))。
【0703】
【表59】
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【0704】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性も、試験した種々の細胞株にわたって同質であり、ナノモル範囲のIC50値は、6.1E-04〜2.7E-03μg/mL(9.5E-10〜4.1E-09M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.2E-03μg/mL(1.8E-09M)であった。化合物4中のアミン含有基の存在は、化合物40と比較して、化合物の細胞毒性活性を低下させた。化合物4の細胞毒性活性も、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 60(表60))。
【0705】
【表60】
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【0706】
化合物12の細胞毒性
化合物12の活性を、01E+00〜2.6E-04μg/mL(7.9E-07〜2.1E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物12の細胞毒性活性は、2つの独立した実験で、試験した種々の細胞株にわたって比較的均質であり、ナノモル範囲のIC50値は、7.3E-02〜4.1E-01μg/mL(5.8E-08〜3.2E-07M)であり、細胞パネル全体にわたっての平均IC50値は、1.7E-01μg/mL(1.3E-07M)であった。化合物12中の長いマレイミド含有リンカーの存在は、化合物40及び化合物4と比較して、化合物の細胞毒性活性を強く低下させた(それぞれ、ほとんど3ログ、ほとんど2ログ)。更に、化合物の細胞毒性も、腫瘍細胞株のCD4発現レベルと関係なかった(Table 61(表61))。
【0707】
【表61】
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【0708】
ADC17の細胞毒性
ADC17の細胞毒性活性を種々の細胞株に対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、50、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、4つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度1μg/mL)を図33に示す。ADC17は、CD4陽性細胞に対して特異性を示したが、CD4陰性細胞に対する感受性の平均差は、ほぼ40倍であった(11〜64倍の間の範囲)(Table 62(表62))。観察されたADC17の細胞毒性活性の大部分は、腫瘍細胞の細胞膜におけるmAbとCD4糖タンパク質との相互作用によって媒介されるように思われた。
【0709】
【表62】
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【0710】
抗CD4mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC17のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC17(1及び0.1μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図34に示す。抗CD4mAb単独は、50μg/mLの濃度で、試験した細胞株のすべてで実質的に不活性であった。対照的に、ADC17は、1μg/mLの濃度で、試験した4つの細胞株の3つにおいて(Raji細胞を除く)、強力な細胞毒性活性を示し、処置後72時間に細胞生存における70%を超える低下(範囲72〜95%)をもたらした。0.1μg/mLの濃度でさえも、ADC17は、CD4陽性細胞、Karpas-299及びU937に対して特異的な細胞毒性活性を示し、それぞれ、ほぼ70%及び75%の細胞生存における阻害をもたらしたが、CD4陰性細胞に対しては極めて不活性であった(図34)。
【0711】
(生物活性実施例17)-高又はヌルCD5発現を有するRaji細胞クローンに対するADC14及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物1、化合物4、及び化合物40とともにADC14のin vitro細胞毒性活性を、CD5抗原を発現するか又はしないRaji細胞クローンに対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0712】
抗CD5mAbの細胞毒性
抗CD5マウスmAB単独のin vitro細胞毒性活性を、CD5抗原を発現する(C#10)か又はしない(C#18)Raji細胞クローンに対してアッセイした。5.0E+01〜1.3E-02μg/mL(3.3E-07〜8.7E-11M)にわたる三通りのDR曲線において、2つの独立した実験で、抗体は実質的に不活性であり、試験した細胞株のいずれにおいても、それらのCD5状態に関係なく、IC50に到達しなかった(Table 63(表63))。
【0713】
【表63】
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【0714】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、CD5発現(クローン#10)Raji細胞と非発現(クローン#18)Raji細胞との間で比較的同様であり、サブナノモル範囲の平均IC50値は、それぞれ、4.95E-04及び8.90E-04μg/mL(8.17E-10及び1.47E-09Mに等しい)であった。CD5陽性細胞においてわずかにより高かったが、化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルとむしろ関係ないように思われた(Table 64(表64))。
【0715】
【表64】
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【0716】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDRの応答曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、CD5発現(クローン#10)Raji細胞と非発現(クローン#18)Raji細胞との間で比較的同様であったが、ヌル細胞では化合物はIC50値に到達しなかった。CD5陽性細胞において、化合物は9.9E-03μg/mL(1.57E-08Mに等しい)の平均IC50値を示した。CD5陽性細胞においてわずかにより高かったが、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルとむしろ関係ないように思われた(参考としてTable 65(表65)中のIC20値を参照)。
【0717】
【表65】
[この文献は図面を表示できません]
【0718】
化合物1の細胞毒性
化合物1の活性を、01E-01〜2.6E-05μg/mL(1.2E-07〜3.0E-11M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物1の細胞毒性活性は、2種のRaji細胞クローン間で異なり、CD5ヌル細胞(クローン#18)におけるよりもCD5過剰発現細胞(クローン#10)においてより活性であり、平均IC50値は、それぞれ、2.9E-03及び3.8E-02μg/mL(3.4E-09及び4.4E-08Mに等しい)であった(Table 66(表66))。この場合、化合物1の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5状態と関係なくはないように思われた。
【0719】
【表66】
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【0720】
ADC14の細胞毒性
ADC14の細胞毒性活性を2種のRajiクローンに対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、3つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度10μg/mL)を図35に示す。ADC14は、CD5過剰発現細胞(クローン#10)に対して特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物1、化合物4及び化合物40のものと同様の、又は更にはより高い細胞毒性活性が実証された。CD5発現Raji細胞において、コンジュゲートは、1.6E-01μg/mLの平均IC50値を示した。CD5ヌル細胞において、コンジュゲートは、CD5陽性細胞におけるよりも50倍を超えてより小さい活性であり、9.0E+00μg/mLの平均IC50値を示した。いくらかの留保とともにではあるが、一部の親化合物に対して2種のRaji細胞クローン間で観察されたいくらかの感受性差のために、これらの結果は、ADC14がCD5発現細胞に対して特異性を有することを示した(Table 67(表67))。したがって、本発明者らは、ADC14が、少なくとも部分的に、mAbと腫瘍細胞上の膜関連CD5受容体との相互作用、その後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用していたと推測する。
【0721】
【表67】
[この文献は図面を表示できません]
【0722】
抗CD5mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC14のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC14(10μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図36に示す。抗CD5mAb単独は、50μg/mLの濃度で、2種のRaji細胞クローンに対して、それらのCD5状態に関係なく、不活性であった。対照的に、ADC14は、10μg/mLの濃度で、CD5陽性Raji細胞(クローン#10)に対して強力で、いくらか選択的な細胞毒性活性を示し、処置後72時間にそれらの細胞生存におけるほとんど90%の低下をもたらした。同じ条件下で、ADC14は、CD5ヌル細胞(クローン#18)の細胞生存において30%の低下をもたらした(図36)。
【0723】
(生物活性実施例18)-高又はヌルCD5発現を有するRaji細胞クローンに対するADC15及び関連試薬の細胞毒性
親細胞毒性化合物12、化合物4、及び化合物40とともに、ADC15のin vitro細胞毒性活性を、CD5抗原を発現するか又はしないRaji細胞クローンに対して評価した。標準的な72時間用量-応答(DR)曲線を行なった。
【0724】
化合物40の細胞毒性
親化合物40の細胞毒性活性を、01E-03〜2.6E-07μg/mL(1.7E-09〜4.3E-13M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物40の細胞毒性活性は、CD5発現(クローン#10)Raji細胞と非発現(クローン#18)Raji細胞との間で比較的同様であり、サブナノモル範囲の平均IC50値は、それぞれ、4.95E-04及び8.90E-04μg/mL(8.17E-10及び1.47E-09Mに等しい)であった。CD5陽性細胞においてわずかにより高かったが、化合物40の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルとむしろ関係ないように思われた(Table 68(表68))。
【0725】
【表68】
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【0726】
化合物4の細胞毒性
化合物4の細胞毒性活性を、01E-02〜2.6E-06μg/mL(1.5E-08〜4.0E-12M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDRの応答曲線でアッセイした。化合物4の細胞毒性活性は、CD5発現(クローン#10)Raji細胞と非発現(クローン#18)Raji細胞との間で比較的同様であったが、ヌル細胞では化合物はIC50値に到達しなかった。CD5陽性細胞において、化合物は9.9E-03μg/mL(1.57E-08Mに等しい)の平均IC50値を示した。CD5陽性細胞においてわずかにより高かったが、化合物4の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルとむしろ関係ないように思われた(参考としてTable 69(表69)中のIC20を参照)。
【0727】
【表69】
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【0728】
化合物12の細胞毒性
化合物12の活性を、01E+00〜2.6E-4μg/mL(7.9E-07〜2.1E-10M)の10連続希釈法(1/2.5比)を使用してDR曲線でアッセイした。化合物12の細胞毒性活性は、CD5発現(クローン#10)Raji細胞と非発現(クローン#18)Raji細胞との間で比較的同様であったが、ヌル細胞では化合物はIC50値に到達しなかった。CD5陽性細胞において、化合物は2.7E-01μg/mL(2.15E-07Mに等しい)の平均IC50値を示した。CD5陽性細胞においてわずかにより高かったが、化合物12の細胞毒性は、腫瘍細胞株のCD5発現レベルとむしろ関係ないように思われた(参考としてTable 70(表70)中のIC20値を参照)。
【0729】
【表70】
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【0730】
ADC15の細胞毒性
ADC15の細胞毒性活性を2種のRajiクローンに対してアッセイした。コンジュゲートを、それぞれ、10、1及び0.1μg/mLから出発してそれぞれ三通りのDR曲線(10連続希釈法、1/2.5比)で、3つの異なる濃度範囲でアッセイした。代表的DR曲線(出発濃度10μg/mL)を図37に示す。ADC15は、CD5過剰発現細胞(クローン#10)に対して有意な特異性を示し、ここで、化合物により、親化合物40のものと同様の、並びに化合物4及び化合物12のものより更により高い細胞毒性活性が実証された。CD5発現Raji細胞において、コンジュゲートは、9.3E-01μg/mLの平均IC50値を示した。CD5ヌル細胞において、コンジュゲートは、CD5陽性細胞におけるよりも10倍をはるかに超えてより小さい活性であり、IC50値に到達しなかった。留保とともにではあるが、親化合物4及び化合物12に対して2種のRaji細胞クローン間で観察された潜在的感受性のために、これらの結果は、ADC15がCD5発現細胞に対して特異性を有することを示す(Table 71(表71))。本発明者らは、ADC15が、少なくとも部分的に、mAbと腫瘍細胞上の膜関連CD5受容体との相互作用、その後の標的組織中への細胞毒性薬物の細胞間送達によって作用していたと推測する。
【0731】
【表71】
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【0732】
抗CD5mAb単独の細胞毒性活性をコンジュゲートADC15のものとグラフで比較するために、mAb単独(50μg/mL)又はADC15(10μg/mL)による種々の細胞株の処理後の細胞生存のパーセンテージを示すヒストグラムを図38に示す。抗CD5mAb単独は、50μg/mLの濃度で、2種のRaji細胞クローンに対して、それらのCD5状態に関係なく、不活性であった。対照的に、10μg/mLの濃度でのADC15は、CD5陽性Raji細胞(クローン#10)に対して強力で、選択的な細胞毒性活性を示し、処置後72時間にそれらの細胞生存における80%の低下をもたらした。同じ条件下で、ADC15は、CD5ヌル細胞(クローン#18)に対して不活性であった(図38)。
図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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