特許第6412115号(P6412115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6412115-オレオゲルを調製するための方法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412115
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】オレオゲルを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20181015BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20181015BHJP
【FI】
   A23D9/00
   A23L5/00 L
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-516687(P2016-516687)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公表番号】特表2016-519956(P2016-519956A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】US2014038383
(87)【国際公開番号】WO2014193667
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】61/829,582
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ロジャ・エルグン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ビー・アッペル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エル・マロトキー
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/143066(WO,A1)
【文献】 特開昭52−057357(JP,A)
【文献】 特開昭51−032756(JP,A)
【文献】 特開昭56−131365(JP,A)
【文献】 特表2010−530240(JP,A)
【文献】 特開2011−240334(JP,A)
【文献】 特開平06−271892(JP,A)
【文献】 Food Res. Int., 2012, Vol. 48, pp. 578-583
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
A23L 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)押出器の供給区域へエチルセルロースを供給することであって、前記押出器がその長さに沿って複数の給油ポートを有する、供給することと、
(b)油および脂肪から選択される少なくとも1つの油性供給物質を、前記給油ポートのうちの少なくとも1つへ供給することと、
(c)前記油性供給物質を前記エチルセルロースと混合して、実質的に均一な混合物を形成することと、
(d)前記混合物を冷却してオレオゲルを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記混合物中の油性供給物質とエチルセルロースとの重量比が、99:1から75:25である、請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
前記油性供給物質が食用である、請求項1または2に記載の前記方法。
【請求項4】
前記方法が連続的である、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項5】
前記油性供給物質が、少なくとも1つのトリアシルグリセロール油またはトリアシルグリセロール脂肪を含む、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項6】
前記押出器の溶融区域内の温度が、100〜200℃の範囲内である、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項7】
前記オレオゲルが食用である、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項8】
総油性供給物質の一部分が、第1の給油ポートへ供給され、前記総油性供給物質の第2の部分が、前記第1の供給ポートから下流に位置する第2の給油ポートへ供給される、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項9】
前記オレオゲルが抗酸化剤を含む、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年5月31日に出願された仮出願第61/829,582号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、オレオゲルを調製するための方法に関する。
【0003】
固形脂肪含有の食品製品内の構造は、トリアシルグリセロール結晶ネットワークによって提供されている。しかしながら、これらのトリアシルグリセロールは、高度の飽和脂肪酸を含有する。自然に高度飽和した固形脂肪を使用する代わりに、高度の不飽和脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含む油はまた、水素化または部分水素化によって、より固形の生成物へ転換される。トランス異性体を有する不飽和脂肪である「トランス脂肪」は、不可避的に不飽和油の部分水素化から生じる。ヒトの健康における脂肪及び油の役割についての研究は、飽和脂肪酸、特にトランス脂肪酸の消費が高いコレステロール値及び心血管疾患に関連することを示している。
【0004】
したがって、飽和または部分水素化脂肪酸を含有するトリアシルグリセロールの、より健康的な代替物を開発することが望ましいだろう。トランス脂肪及び飽和脂肪の健康的な代替物に対する需要は、食品製造業界にとって技術的な障害を生み出している。食品製品の触感及び外観を向上させるため、室温で液状であるより健康的な不飽和油を、室温で「固形」である脂肪へ転換することが目的である食品配合から、トランス及び飽和脂肪を排除することは難しい。
【0005】
食品業界では、動物性及び植物性脂肪または水素化油で通常見出される、触感、構造化、安定性、及び味の所望の特徴を提供できる代替成分を見出すための多くの試みがなされてきた。1つの代替物であるオルガノゲル(オレオゲル)は、多成分食品における油移行を低減し、バターまたはマーガリンの代替物としての役割を果たすために使用されるその潜在能力が認識されている。オレオゲルを使用して、食用油の構造を提供することにより、飽和及びトランス脂肪酸の必要性を低減することができる。
【0006】
エチルセルロースオレオゲルはまた、組成物によって残された膜をより疎水性に、かつ擦り落ちることに強くする化粧品組成物の材料として有用であり得る。エチルセルロースオレオゲルはまた、化粧製品または薬用化粧製品の担体相であり得る。エチルセルロースオレオゲルはまた、化粧製品または薬用化粧製品に活性物質を送達するために使用され得る。
【0007】
US−B−6,187,323は、オレオゲル及び水性ゲルの混合物を含む、薬学的及び化粧品組成物の非せん断条件下での調製を説明する。実施例では、プロピレングリコールイソステアリン酸の存在下で、均一のオレオゲルが形成されるまで140℃で成分を攪拌することによって、半合成トリグリセリドをエチルセルロースでゲル化する。
【0008】
「Influence of the Concentration of a Gelling Agent and the Types of Surfactant on the Rheological Characteristics of Oleogel」(Il farmaco 58(2003)1289−1294)の中で、M.A.RuiMartinezらは、オリーブ油、エチルセルロース、ならびにOlivem300、700、及び900から選択される界面活性剤を含むオレオゲルについて報告している。オレオゲルは、エチルセルロース及び界面活性剤を油相へ添加し、次いで、100℃まで加熱しながら成分を攪拌することによって、調製された。
【0009】
US−A−4,098,913は、植物性タンパク質食肉類似製品に組み込むための食用の油粒子を説明する。食用脂肪製品は、トリアシルグリセリド脂肪または油を、エチルセルロースでゲル化することによって製造される。実施例では、部分的水素化した綿実油を、180℃でのエチルセルロースとの高速攪拌下で混合する。
【0010】
WO2010/143066は、油、エチルセルロース、及び界面活性剤を含む、食用のオレオゲルに関する。オレオゲルは、油中でエチルセルロース及び界面活性剤を、エチルセルロースと一定の混合とのガラス転移温度(Tg)を上回る温度まで加熱することによって得られる。好適には、混合物を最大で少なくとも130℃から約160℃まで加熱して、数分後に透明の非常に粘度の高い溶液を形成する。
【0011】
本発明の根本にある課題は、オレオゲルのような、固形または半固形の脂肪製品を調製する新しい方法を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、
(a)押出器の供給区域へエチルセルロースを供給することであって、この押出器が、その長さに沿って複数の給油ポートを有する、供給することと、
(b)少なくとも1つの油性供給物質を、給油ポートのうちの少なくとも1つへ供給することと、
(c)油性供給物質をエチルセルロースと混合して、実質的に均一な混合物を形成することと、
(d)この混合物を冷却してオレオゲルを形成することと、を含む、方法である。
【0013】
驚くべきことに、本発明の方法は、当該技術分野のものよりも優れたオレオゲルを提供することができる。
【0014】
本発明のオレオゲルは、その調製に使用される材料によって、料理、薬学、獣医学、及び化粧品の用途で使用され得る。例えば、本発明の方法は、機能性または食感を犠牲にすることなく、食品中の固形脂肪の健康的な代替物としての役目となり得る油でゲル化した、エチルセルロースのオレオゲルを形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1のオレオゲルを形成するために使用される、押出器方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、 互換的に使用される。用語「含む(comprises)」、「含む(includes)」、及びそれらの変形は、それらの用語が本明細書及び請求項に出現する場合、制限する意味を有さない。したがって、例えば、「1つの」疎水性ポリマーの粒子を含む水性組成物は、その組成物が「1つ以上の」疎水性ポリマーの粒子を含むことを意味すると解釈され得る。
【0017】
本明細書ではまた、終止点ごとの数字の範囲の詳述は、その範囲に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。本発明の目的として、当業者が理解するであろうことと一貫して、数字の範囲は、その範囲に含まれる全ての可能な部分範囲を含む、及び維持することが意図される。例えば、1〜100の範囲は、1.01〜100、1〜99.99、1.01〜99.99、40〜60、1〜55等を伝達すると意図される。
【0018】
本明細書ではまた、そのような請求項内の詳述を含む、数字の範囲及び/または数値の詳述を、用語「約」を含むように読解することができる。そのような例では、用語「約」は、実質的に本明細書で詳述されるものと同一である、数字の範囲及び/または数値を指す。
【0019】
文脈からの反対または暗示を述べない限り、全ての部分及び百分率は重量に基づき、全ての試験手段は本出願の出願日現在のものである。米国特許実務の目的として、いずれの参照となる特許、特許出願、または刊行物の内容は、それらの全体が参照により組み込まれ(またはその同等の米国版が参照によってそのように組み込まれる)、特に定義の開示に関しては、(本開示で具体的に提供されるいずれの定義にも矛盾しない程度で)当該技術分野において一般的な知識である。
【0020】
本発明の方法は、油性供給物質及びエチルセルロースを採用する。
【0021】
油性供給物質は天然の、合成の、または半合成の油または脂肪、もしくはそれらの混合物であり得る。本発明の一実施形態において、油性供給物質はトリアシルグリセロール油または脂肪である。好ましい実施形態において、油性供給物質は、植物性または動物性油もしくは植物性または動物性脂肪といった、天然由来の脂肪または油であって、典型的には、トリアシルグリセロールは、植物性油または脂肪である。MIGLYOL 810 AND 812及びLABRAFIL M 1944 CSは、それぞれ、合成及び半合成トリグリセリドの例である。
【0022】
本発明の一実施形態において、トリアシルグリセロール油または脂肪は、食用である。用語「トリアシルグリセロール油」は、20℃で、気圧(1013.25hPa)において液状である、トリアシルグリセロールを指し示す一方で、用語「トリアシルグリセロール脂肪」は、20℃で、気圧(1013.25hPa)において固形である、トリアシルグリセロールを指し示す。トリアシルグリセロール油の液状特性は、 結晶構造内の配列を妨げるより健康的な一価また多価不飽和脂肪酸の、より高い含量によるものである。本発明のオレオゲルは、好ましくは、トリアシルグリセロール油を含有する。好ましい一実施形態において、トリアシルグリセロール油または脂肪は、少なくとも30、より好ましくは少なくとも70、及びある実施形態では少なくとも80のヨウ素価を有する。ヨウ素価は、AOCS Official Method Cd 1−25法(ウイス法)に従って決定される。
【0023】
オレオゲルに採用され得る例示的なトリアシルグリセロール油としては、菜種油 、ひまわり油、コーン油、亜麻仁油、オリーブ油、大豆油、紅花油、落花生油、ブドウ種子油、ゴマ油、アルガン油、米ぬか油、藻類油、及びシャゼンムラサキ油が挙げられる。本発明で使用するための例示的なトリアシルグリセロール脂肪は、ココアバター及びパーム油である。動物性油の例としては、イカ油、及び鮭油ならびにカレイ油といった魚油が挙げられる。(少なくとも2つの異なる油の混合物、少なくとも2つの異なる脂肪の混合物、及び少なくとも1つの油ならびに少なくとも1つの脂肪の混合物を含む)多様なトリアシルグリセロール油及び脂肪ならびにフラクションの混合物、及びトリアシルグリセロール油及び脂肪のフラクションの混合物もまた、採用され得る。さらに好ましい実施形態において、オレオゲルは、菜種油、オリーブ油、パーム油、ココアバター、亜麻仁油、及びひまわり油のうちの少なくとも1つを含有する。
【0024】
好ましくは、本発明で使用するためのエチルセルロースは、2〜3、好ましくは2.42〜2.80、より好ましくは2.43〜2.70、さらにより好ましくは2.44〜2.65、なおより好ましくは2.45〜2.60、及び最も好ましくは2.46〜2.57の置換度(DS)を有する。典型的な実施形態において、前述の好ましいDSを有するエチルセルロースを含むエチルセルロースは、3〜110mPa・sの、好ましくは16〜76mPa・sの、及びより好ましくは18〜50mPa・sの5%溶液粘度を有する。用語「5%溶液粘度」は、80容量パーセントのトルエンと20容量パーセントのエタノールとの混合物中で、25℃で測定されるエチルセルロースの5重量パーセント溶液の粘度を指す。エチルセルロース濃度はトルエン、エタノール、及びエチルセルロースの総重量に基づく。粘度は、ASTM D914−00にて要約されるように、及びASTM D914−00にて参照されるASTM D446−04にてさらに説明されるように、ウベローデチューブを使用して測定される。
【0025】
典型的な粘度分析は、次のように実施される:57gの80/20w/wトルエン/エタノール混合物は、乾燥した8オンスの瓶の中で計量され、3g(乾燥重量)のエチルセルロースが添加される。瓶は、機械的な加振器の上に設置され、全ての物質が溶液となるまで(およそ20分)振盪させる。結果として得られた溶液は、調製の24時間以内に分析される。粘度測定において、溶液は、ウベローデ粘度計内に充填され、次いで、その溶液が25℃へ平衡するまで25℃の水槽内に設置される。ウベローデ粘度計用の手順に従って、溶液は、流量較正チューブを通じて吸い上げられ、次いで、排水させられる。粘度は、測定に使用される特定の毛細管を考慮した手順に従って、溶液が上方と下方との較正目盛りの間を流れるのにかかった時間に基づいて、計算される。5%溶液粘度の値は、エチルセルロースの分子量を反映する。
【0026】
本発明の方法で使用され得る例示的なエチルセルロースとして、ETHOCEL(商標)Std.4、ETHOCEL(商標)Std.7、ETHOCEL(商標)Std.10、ETHOCEL(商標)Std.14、ETHOCEL(商標)Std.20、及びETHOCEL(商標)Std.45が挙げられ、これらは全てDow Chemical Company,Midland,U.S.Aより市販されている。ETHOCEL(商標)Std.20(DS=2.46〜2.57、5%溶液粘度=18〜22mPa・s)及びETHOCEL(商標)Std.45(DS=2.46〜2.57、5%溶液粘度=41〜49mPa・s)が、最も好ましい。例示的なエチルセルロースの組み合わせもまた、使用され得る。オレオゲル内のエチルセルロースによって提供されるゲル化の水準は、当業者に既知であるように、採用されるエチルセルロースの割合、ならびにエチルセルロースの度合の関数である。
【0027】
油性供給物質及びエチルセルロースは、99:1〜75:25、好ましくは95:5〜85:15、より好ましくは92:8〜87:13の重量比で、及び最も好ましくは約90:10の重量比で採用される。
【0028】
典型的に、オレオゲルは、70〜99重量%、好ましくは75〜95重量%、より好ましくは80〜92重量%、及び最も好ましくは85〜90重量%の油性供給物質を含む。
【0029】
本発明の方法において、油性供給物質及びエチルセルロースは、押出器へ供給される。押出は、平滑さ、実質的には均質の触感を有するオレオゲル生成物を提供する方法条件の設定下において、有利に実行される。
【0030】
本発明の一実施形態において、エチルセルロースは、押出器の後端空気添加ポートへ供給され、油性供給物質は、その押出器の長さに沿って設置された1つ以上の入力ポートへ供給される。本発明の一実施形態において、エチルセルロースは、エチルセルロース供給点で、押出器へのみ供給される。本発明の多様な実施形態において、油性供給物質は、少なくとも2つの異なる入力ポート、少なくとも3つのポート、少なくとも5つのポート、または6つ以上のポートへ供給される。本発明の一実施形態において、油性供給物質のための第1の供給ポートは、エチルセルロースが少なくとも部分的に、及び好ましくは全体的に融解した押出器の地点に設置される。
【0031】
システムへ添加される総油性供給物質は、優先的に、 押出器の複数の処置段階に添加されて、次第に組成物中のエチルセルロースの濃度を低減させて、油性供給物質とエチルセルロース融体との間のスリップ及び乏しい混合を引き起こし得る、大量の取り込まれない液体を回避する。
【0032】
有利に、エチルセルロースは、エチルセルロースを融解する、及び/またはその温度をエチルセルロースのTgを上回る温度に上昇させるのに十分な、押出器内の時間及び温度条件に供される。加えて、押出器内の物質は、オレオゲル、好ましくは、平滑ならびに粒状/砂質の触感がない実質的に均質なオレオゲルを生産するのに十分な時間及び温度条件に供される。
【0033】
押出器内の温度は、有利に、押出器の長さに沿って変形する。本発明の一実施形態において、押出器は、エチルセルロース供給区域、エチルセルロース軟化区域、溶融区域、及び冷却区域を提供するように設定される。温度は、区域間で変形し得、1つの区域内でさえ変形し得る。エチルセルロースは、 供給区域内で押出器に入るため、追加の加熱は不要であり、好ましくは追加の加熱は配給されない。軟化区域内の温度は、エチルセルロースを軟化させるため、比較的低い。エチルセルロースは、押出器の長さを下方へ進行して、エチルセルロースを融解してエチルセルロース及び油の良好な混合を提供するために、より高い温度が融解区域で採用される。最大で100%の、油の大部分は、融解区域内に添加される。冷却区域の温度は、有利に、融解区域よりも低く、押出器を離れる前に混合物の温度を低下させる。
【0034】
有利に、供給区域の温度は、例えば、15〜75℃といった、周囲温度に近しい。軟化区域の温度は、有利に、25〜130℃、好ましくは75〜130℃である。融解区域の温度は、有利に、100〜200℃、好ましくは130〜180℃である。当業者に既知であるように、エチルセルロースのTgは、可塑剤の点かによって低下され得る。冷却区域の温度は、有利に、90〜160℃である。有利に、油が添加される区域では、温度は少なくとも135℃である。
【0035】
一般的に、結果として得られるオレオゲルの酸化の総合的な水準を低減するために、押出器内の混合物の熱履歴を最小限にすることが有利である。例えば、融解区域内のより低いピーク温度は、より低いオレオゲル酸化水準をもたらし得る。
【0036】
より高い温度が短い保持時間のみを必要とする一方で、より低い温度がより長い保持時間を必要とすることは、当業者に既知である。エチルセルロースの形式、(例えば、その分子量)及び油または脂肪の形式、及び連続的な方法での実際の滞留時間によって必要となる特定の温度及び滞留時間は、オレオゲル材料の押出器への供給速度による。いくつかの実施形態において、オレオゲル材料は加熱されて、せん断条件下で押出器を通って通過させて、そこでの融解区域内の温度は、1〜5分間で、145〜160℃の温度といった、1分未満〜最大10分間で、130〜200℃である。オレオゲル内のトリアシルグリセロール油/脂肪中のエチルセルロースの可溶化の段階は、典型的に、触手検査を用いた感覚によって決定される。結果として得られたオレオゲルが、23℃で粒状/ 砂質の触感を有する場合、エチルセルロースは完全に可溶性ではない。オレオゲルのゲルが、23℃で平滑な触感を有する場合、エチルセルロースは加工温度で可溶性であると考えられる。
【0037】
押出器は、当業者に既知であるように、多様な温度制御手段を有するように構成され得る。温度制御手法の例としては、例えば、供給流、ジャケット及び/またはシャフトの加熱もしくは冷却、及び低減された圧力下での蒸発冷却が挙げられる。押出器は、複数の温度制御区域を有し得る。
【0038】
当該技術分野で既知の、いずれの溶融混練手段及び設備も使用され得る。いくつかの実施形態において、一軸式押出器、または例えば二軸式押出器などの多軸式押出器が使用される。本発明に従った、エチルセルロースオレオゲルを生産するための方法は、特に限定されない。例えば、押出器は、ある実施形態において、例えば二軸式押出器は、押出器出口で、蒸発圧力調整弁、融解ポンプ、またはギアポンプへ結合されて、押出器内のオレオゲルの充填を得る。例示的な実施形態はまた、押出器の長さに沿った油注入位置の数に等しい、油のための貯蔵器及び複数の油ポンプを提供する。いずれの公的なポンプも使用され得るが、いくつかの実施形態において、例えば、240バールの圧力で約150cc/分の流量を提供するポンプが、第1、第2、第3の油添加を提供することに使用される。他の実施形態において、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分、または133バールで600cc/分の流量を提供する。いくつかの実施形態において、液状油供給物は予熱器内で予熱される。油の流速は、押出器の寸法及び滞留時間に基づいて、ある程度まで変化するだろう。
【0039】
ペレット、粉末、またはフレークの形態である、1つ以上のエチルセルロースの度合は、 供給器から、樹脂が融解または調合される押出器の入口へ供給される。樹脂の融解は次いで、融解及び伝達区域から液体混合区域へ送達されて、油の第1の添加が、入口を通じて添加される。いくつかの実施形態において、油は、成分のブレンドであり得る。いくつかの実施形態において、さらなる油の添加は、後に、第2及び第3の油の添加区域の胴部で発生する。油及び他の液状材料は、オレオゲルの所望の濃度を達成するまで任意の回数で融解されたエチルセルロースへ添加され得る。いくつかの実施形態において、オレオゲルが二軸押出器内にある間、全ての油が添加されるわけではないが、むしろより濃縮されたオレオゲルを、このオレオゲルが押出器から出た後に含有する流に添加される。このようにして、動静翼混合器といった、より効率的な液体−液体混合装置を使用して、最終オレオゲルを形成し得る。
【0040】
本発明の目的は、不活性ガス雰囲気下、または周囲空気内といった、押出器の入口及び出口での不活性雰囲気下において実行され得る。本発明の一実施形態において、方法は、本質的に酸素が押出器の胴体内にないような様式で動作される。有利に、押出器内の不活性または低減された酸素雰囲気の使用は、最終オレオゲル中の酸化度数を低減させ得る。本発明に従って使用され得る不活性ガスの例としては、窒素及び、例えばアルゴンといった希ガスが挙げられる。窒素ガスの不活性性質、入手しやすさ、及び比較的低コストであることにより、窒素ガス雰囲気下の押出器内で方法を実行することが好ましい。不活性雰囲気下での加工は、酸素の存在を低減させる、好ましくは最小限にする、及び最も好ましくは実質的に除外するように適用される。しかしながら、実際には、不活性雰囲気は依然として微量の酸素を含有する。
【0041】
空気を吐き出して、空気がシステムへ再導入されないことを確実にするために、トリアシルグリセロール油または脂肪及びエチルセルロースと、窒素といった不活性ガスと、例えば連続的なガス流などとの混合物を含有するシステムを連続的にパージすることを含む 、不活性ガス雰囲気を形成するためのいずれの技術も、本発明に適用され得る。不活性ガスがシステムに導入される前に、システムを空にして空気を除去することも可能である。
【0042】
押出器を出る混合物は、活発に、不活発に、または両方で冷却される。例えば、混合物は収集されて、所望の温度まで冷却される、または押出器を離れながら、例えば、混合物を冷却槽または冷却した表面と接触させることによって、活発に冷却され得る。一実施形態において、混合物は不活発に、例えば典型的に、例えば30℃未満の温度まで、または25℃以下の温度まで、または23℃以下の温度まで、または20℃以下の温度までといった、周囲温度まで冷却されるように、冷却される。冷却は、窒素雰囲気下といった不活性雰囲気下で実行されることが好ましい。好ましい実施形態において、不活性ガスのパージ、すなわちシステムを通じた不活性ガス流は、冷却の間継続される。
【0043】
エチルセルロースが、そのガラス転移温度以上に加熱される場合、エチルセルロースは油または脂肪に可溶化されて、冷却のときに立体の熱可逆性ゲルネットワークを形成する。ポリマーネットワーク内部の油/脂肪の、制限された流動性及び移動性により、本発明の方法によって生成されるオレオゲルは、高度の飽和脂肪酸を使用することなく、結晶トリアシルグリセロールの固形状の特徴を提供する。結晶/固形脂肪の構造的な特徴を維持しながら、飽和トリアシルグリセロールを健康的な油/脂肪と交換することは、様々な食品用途にとって非常に望ましい。
【0044】
本発明の一実施形態において、エチルセルロース融体は、優先的に複数の段階で液状の油と直接混合されるため、融体を早急に油に組み込ませる粘性のエチルセルロース融体への混合エネルギーの効率的な転移が存在する。先行の技術分野において、混合は、エチルセルロースが早急に油へ組み込まれることを避ける油滴中の粘性のエチルセルロースへ、効率的にエネルギーを転移できない。
【0045】
安定剤は、オレオゲルを調製するのに必要ではないが、ある実施形態では安定剤が添加されて、硬度を高めるといったオレオゲルの特徴を変化させ得る。安定剤は、オレオゲルの所望の最終使用によっては、食品の調製での使用にとって好適または好適ではないものである。本方法で使用され得る安定剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80またはPolysorbate 80);ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(Tween 65またはPolysorbate 65);ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60またはPolysorbate 60);ソルビタンモノオレート(SMOまたはSpan 80);ソルビタンモノステアレート(SMSまたはSpan 60);グリセリルモノオレート(GMO);グリセリルモノステアレート(GMS);グリセリルモノパルミテート(GMP);ラウリン酸ポリグリセリルポリラウレート(PGPL)のポリグリセリルエステル、ステアリン酸ポリグリセリルポリステアレート(PGPS)のポリグリセリルエステル、オレイン酸ポリグリセリルポリオレート(PGPO)のポリグリセリルエステル、及びリシノール酸ポリグリセリルポリリシノレート(PGPR)のポリグリセリルエステルといったポリグリセロールエステル;ジグリセリド;サクシニル化モノグリセリド、ラクテート化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、リン酸モノグリセリド、クエン酸ステアリルモノグリセリド、及びモノグリセリドのジアセチル酒石酸エステルといったモノグリセリド;ステアロイル乳酸カルシウム;ステアロイル乳酸ナトリウム;ショ糖エステル;レシチン;及びクエン酸トリエチルといった、食品等級の界面活性剤及び乳化剤が挙げられる。添加する場合、安定剤は、好ましくは1:3〜4:1のエチルセルロース/安定剤の重量比、または1:2〜2:1の重量比をもたらす量で存在する。
【0046】
一実施形態において、オレオゲルは乳化剤または界面活性剤のいずれも含有しない、すなわち、調製の間乳化剤または界面活性剤は全く添加されない。
【0047】
本発明のオレオゲルは、さらに酸化を低減するために、抗酸化剤といった追加の任意の材料を含有し得る。オレオゲルが食用である場合、抗酸化剤は食品等級であるべきであって、本明細書で使用するための例示的な抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシアニゾール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、β−カロテン、トコフェロール、クロロゲン酸類、ガレート類、及びフラバノール類が挙げられる。食品等級ではない抗酸化剤の例としては、オクチル化ブチル化ジフェニルアミン、及びtert−ブチル化フェノール誘導体が挙げられる。使用する場合、抗酸化剤は、典型的に、トリアシルグリセロール油及び脂肪の総量に基づいて、最大10,000重量ppm、 好ましくは50〜1000重量ppmの範囲内、及びより好ましくは100〜500重量ppmの範囲内の量で添加される。
【0048】
本発明のオレオゲルは、例えば食用の油性供給物質を使用して調製する場合、食用であり得る。これらは、構造化した固形状または半固形状の脂肪を必要とする任意の食品製品へ調剤され得る。したがって、さらなる態様では、本発明は、本発明に従ってオレオゲルを含む食品製品を提供する。食品製品は、本発明に従って食品成分をオレオゲルと混合することによって作製され得る。混合は、ゲル化された状態のオレオゲル、または冷却後の融解状態のオレオゲル組成物を使用して実施され得る。
【0049】
本明細における用語「食品製品」とは、炭水化物(例えば、糖及びデンプン)、タンパク質、食物繊維、水、塩などの香味料、着色剤、及びビタミンから選択されるような、好適に1つ以上の材料もまた含有する食用製品を指す。典型的に、食品製品は、例えば少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%のオレオゲルといった、少なくとも約1重量%のオレオゲルを含有する。いくつかの実施形態において、食品製品は、例えば約90重量%未満のオレオゲルといった、95重量%未満のオレオゲルを含有する。オレオゲルを使用して調製される食品製品の例としては、クッキー及びケーキといった焼成品、マーガリン及びチョコレートスプレッドといったスプレッド、「耐熱」チョコレートを含むチョコレート、及び餡が挙げられる。
【0050】
ある実施形態において、本発明に従う食品製品は肉製品である。例えば、ハンバーガーといった挽肉製品、もしくはボローニャ、モルタデラ、フランクフルトソーセージ、または他のソーセージ製品といった肉エマルジョン製品である。典型的に、本発明の肉製品は、10〜25重量%のタンパク質、5〜35重量%の脂肪(油及びオレオゲルを含む)、及び40〜60重量%の総水分を含む。油、好ましくは植物性油によるそのような製品中に存在する動物性脂肪のフラクションの交換は、調理した場合に容認できないほど硬く、歯ごたえのある、及び/または粘着性の触感を有する肉製品をもたらす。しかしながら、本発明に従ったオレオゲルによる動物性脂肪のフラクションの交換は、これらの欠点を提示しない肉製品をもたらすことが見出されている。
【0051】
本発明の特定の実施形態
次の実施例は、本発明を例示するために示されており、その範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0052】
実施例1−精製した菜種油を使用するETHOCEL(商標)Std.45(様々な比率)。
【0053】
オメガ9菜種油(Dow AgroSciences Indianapolis,IN,USAから入手可能)を、菜種油として採用する。このオメガ9菜種油の典型的なトリアシル組成物は、7%の飽和脂肪、74%のオレイン酸、17%のリノール酸、及び2%のリノレン酸である。
【0054】
ETHOCEL(商標)Std.45ブランドのエチルセルロースを、押出器内で様々な比率の精製した菜種油と組み合わせる。使用される方法の概略図は、図1に示される。押出器は、定量固形物供給器を備えた、直径25mmの36L/D二軸式押出器である。この押出器は、8つの区域を有する。区域1〜7及び押出器の排出部のヘッドフランジは、温度制御手段を備えている。区域2、4、及び6は、液体注入器ポートを給油手段として備えている。押出器は、押出器の胴体が確実に満たされるように、定常状態の押出条件で50〜150psigの圧力に設定される、0〜1,000psigの背圧調整器が備えられている。エチルセルロースは、定量固形物供給器を介して、区域0へ導入される。生成物は、区域7から押出器を出て、135℃の温度で、500mlの断熱ガラスジャーに収集される。
【0055】
エチルセルロースオレオゲルは、次の手順に従って作製される。ETHOCEL(商標)Std.45を押出器へ供給する。油は、表1(添加速度)及び表2(添加位置)に表されるように、様々な速度で液体注入器ポートを通じて押出器内へ計量されて、複数の異なるオレオゲルを形成する。任意の界面活性剤が、動作のうちの1つで添加される。表1はまた、それぞれの油の添加後の、エチルセルロースの重量百分率を表す。これらのオレオゲルの生成の間の、それぞれの胴体部分または区域のための押出器の温度設定点もまた、表2に示される。
【0056】
一連のオレオゲルは、異なる方法の流速及び温度設定を使用して生み出される。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
実施例2−ETHOCEL(商標)Std.45オメガ9菜種油ゲル試料の、酸化水準における加工効果。
【0060】
10.6%のETHOCEL(商標)St 45−オメガ9菜種油ゲル試料が、実施例1Eの押出方法、流速、及び温度プロファイルを使用して調製される。試料のPV及びp−アニシジン(p−AV)値が測定されて、これらの酸化水準を決定する。結果は、表3で報告される。
【0061】
比較実験A−ETHOCEL(商標)Std.45オメガ9菜種油ゲル試料の、酸化水準における加工効果(本発明の実施形態ではない)。
【0062】
ゲルは、オーバーヘッドの機械的な撹拌器で攪拌しながら、ベンチトップ熱板上の開口ガラス容器内のオメガ9菜種油中の10.6%のETHOCEL(商標)Std.45を含む混合物を加熱することによって、調製される。高せん断輻流インペラを装着した長いシャフトの攪拌棒が、加熱工程の間に一定の速度で混合物を攪拌するために使用される。混合物は、155℃まで加熱され、35分間その温度で保持される。生成物ゲルは試験されて、PV及びp−AV値は表3で報告される。p−AV値は、米国油化学協会(American Oil Chemist’s Society)(A.O.C.S.)によって公開される、Cd 18−90法を使用して決定される。PV値は、A.O.C.S.を使用して決定される。0.01Nのチオ硫酸ナトリウムを除き、公式方法Cd 8b−90は、本方法に提案されるように0.1Nのチオ硫酸ナトリウムの代わりに使用される。
【0063】
【表3】
【0064】
油及びエチルセルロースのいくつかの酸化は、加工中に発生する。酸化方法は、2つの工程に分割され得る:第1の工程では、脂肪酸が酸素と反応して、無臭の過酸化化合物を生み出す一方で、第2の工程では、過酸化物は不快な臭気または臭いの原因となる多様な物体へ退化する。PV試験は、一次酸化生成物を決定するために使用される一方で、p−AV試験は、二次生成物を測定するために使用され得る。これらの2つの値は、試料の酸化水準を評価するために、生成物のPV酸化状況と組み合わせられる一方で、P−AV値と組み合わせられて、生成物の酸化履歴が決定され得る。
【0065】
表3で表されるように、加工の前に、オメガ9菜種油のPVとp−AV値の両方が、2.5及び2.7という低さである。これらの低い値は、菜種油の酸化履歴が低いことを提案する。従来のオーバーヘッド攪拌方法が、比較実験Aのゲル試料を生成するために使用され、PVは0.3である一方でp−AV値は13.69となるまで上昇する。高いp−AV値は、従来の方法の間に発生する酸化によって、試料が高度の酸化履歴を有することを提案する。しかしながら、押出方法は、ゲル試料を生成するために使用されて、p−AV値は5.7を下回る一方で、PVはまた、2.5を下回ったままである。したがって、押出方法を使用することによって、従来の方法で調製された試料と比較して、試料のp−AV値は58%以上減少する。押出または押出の前に油を窒素で散布する間の抗酸化剤の添加はさらに、比較実験Aの従来の方法で調製された試料と比較して、結果として得られる試料のp−AV水準を、それぞれ75%及び70%減少させる。
【0066】
実施例3−ETHOCEL(商標)Std.45ひまわり油ゲル試料の、酸化水準における加工効果。
【0067】
実施例2は、菜種油がひまわり油に交換されることを除いて、繰り返される。試料のPV及びp−AV値が測定されて、これらの酸化水準を決定する。結果は、表4で総括される。
【0068】
比較実験B−ETHOCEL(商標)Std.45ひまわり油ゲル試料の、酸化水準における加工効果(本発明の実施形態ではない)。
【0069】
比較実験Aは、菜種油がひまわり油に交換されることを除いて、繰り返される。結果は、表4で総括される。3Eと分類された試料は、熱交換器を通過させ、加熱された断熱ガラスジャー内に収集されるのとは対照的に、室温のガラスジャー内に収集される。熱交換器は、屋内で晒した19フィートの直径1/2インチのステンレススチール管からなる。熱交換器からの出口温度は60℃未満である。
【0070】
【表4】
【0071】
HEは、上述のように、収集の前にETHOCEL(商標)/ひまわり油ブレンドが熱交換器を通じて通過されることを指す。
【0072】
実施例2のオメガ9菜種油とは異なり、ひまわり油は加工前に、8.12の高いPV値、及び1.95の低いp−AV値を有した(表4)。高いPVは、ひまわり油が酸化されて、まだ酸化が初期段階であることを提案する。従来のオーバーヘッド攪拌方法が、エチルセルロースひまわり油ゲル試料の生成に使用される場合、PVは1.86である一方で、p−AV値は32.13になるまで上昇する。
【0073】
高いPVは、ひまわり油が、より酸化したアルデヒドのための先駆体である過酸化物へ酸化すること、及び開始物質の酸化は準備段階であることを提案する。従来のオーバーヘッド加熱方法が、エチルセルロースひまわり試料を生成するために使用される場合、PVは1.86である一方で、p−AV値は32.13になるまで上昇する。非常に高いp−AV値は、従来の方法が過酸化物をアルデヒドへ変換し、さらに追加のアルデヒドを添加することを提案する。試料は、開始物質よりも著しく酸化される。
【0074】
エチルセルロースひまわり油ゲルが、押出方法によって生成される場合、たとえPV値が18.4と高く到達しても、p−AV値は7.3を下回る。高いPV値は、高温での生成中に、押出試料さえもさらに酸化したことを提案する。しかしながら、押出で調製されたゲルのp−AV値は、従来の方法で調製されたそれよりも77%低い。低水準のp−AV値は、押出方法を使用することによって、エチルセルロースひまわり油ゲル試料の酸化履歴は著しく低減されることを表す。
【0075】
前述の実施例は、オレオゲルが、本発明の押出方法によって製造されて、オレオゲルの酸化水準において、驚くべき低減をもたらし得ることを表す。油を融解エチルセルロースへ、または任意に融解界面活性剤を加えた融解エチルセルロースへ直接組み込むことによって、優れたオレオゲルが結果として生ずる。
本開示は以下も包含する。
[1] (a)押出器の供給区域へエチルセルロースを供給することであって、前記押出器がその長さに沿って複数の給油ポートを有する、供給することと、
(b)少なくとも1つの油性供給物質を、前記給油ポートのうちの少なくとも1つへ供給することと、
(c)前記油性供給物質を前記エチルセルロースと混合して、実質的に均一な混合物を形成することと、
(d)前記混合物を冷却してオレオゲルを形成することと、を含む、方法。
[2] 前記油性供給物質が、少なくとも1つの油または脂肪を含む、上記態様1に記載の前記方法。
[3] 油性供給物質とエチルセルロースとの重量比が、99:1から75:25である、上記態様1または2のいずれかに記載の前記方法。
[4] 前記油性供給物質が食用である、上記態様1〜3のいずれかに記載の前記方法。
[5] 前記方法が連続的である、上記態様1〜4のいずれかに記載の前記方法。
[6] 前記油性供給物質が、少なくとも1つのトリアシルグリセロール油またはトリアシルグリセロール脂肪を含む、上記態様1〜5のいずれかに記載の前記方法。
[7] 前記押出器の溶融区域内の温度が、100〜200℃の範囲内である、上記態様1〜6のいずれかに記載の前記方法。
[8] 前記オレオゲルが食用である、上記態様1〜7のいずれかに記載の前記方法。
[9] 総油性供給物質の一部分が、第1の給油ポートへ供給され、前記総油性供給物質の第2の部分が、前記第1の供給ポートから下流に位置する第2の給油ポートへ供給される、上記態様1〜8のいずれかに記載の前記方法。
[10] 前記オレオゲルが抗酸化剤を含む、上記態様1〜9のいずれかに記載の前記方法。
図1