特許第6421217号(P6421217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6421217架橋性高分子組成物、それを作製する方法、およびそれから作製される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6421217
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】架橋性高分子組成物、それを作製する方法、およびそれから作製される物品
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20181029BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20181029BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20181029BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C08J3/20 DCES
   C08J3/24 Z
   C08L23/04
   C08K5/00
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-112660(P2017-112660)
(22)【出願日】2017年6月7日
(62)【分割の表示】特願2015-549929(P2015-549929)の分割
【原出願日】2012年12月29日
(65)【公開番号】特開2017-222852(P2017-222852A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヤビン・サン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェイ・パーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エム・コーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ネイル・ダブリュ・ダンチュス
(72)【発明者】
【氏名】ハオミン・ツ
【審査官】 久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−092924(JP,A)
【文献】 特開昭52−145800(JP,A)
【文献】 特開平03−247640(JP,A)
【文献】 特開2001−131351(JP,A)
【文献】 特開平06−321895(JP,A)
【文献】 特開2002−363351(JP,A)
【文献】 特表2010−506985(JP,A)
【文献】 特開2012−007111(JP,A)
【文献】 特開平02−069541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性高分子組成物を調製する方法であって、
有機過酸化物と酸化防止剤とを予混合し、それにより混合物を形成すること、および
エチレン系ポリマーを前記混合物と合わせ、それにより前記架橋性高分子組成物を形成することを含み、
前記合わせるステップが、前記エチレン系ポリマーを前記混合物に少なくとも部分的に浸漬させるかまたはコーティングすること、ならびに、前記有機過酸化物の少なくとも一部および前記酸化防止剤の少なくとも一部を前記エチレン系ポリマーに吸収させることを含み、
前記吸収させることは、95〜110℃の範囲の温度で行われる、方法。
【請求項2】
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシド;tert−ブチルペルオキシベンゾア−ト;ジ−tert−アミルペルオキシド;ビス(α−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン;イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオキシド;ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート;ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド;およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択され、前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール、レスヒンダードフェノール、チオ化合物、シロキサン、アミン、またはこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシドであり;前記酸化防止剤が、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−チオジ−2,1−エタンジイル(ehtanediyl)エステル、ステアリル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含み;前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレン(「LDPE」)である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記混合物が、少なくとも120℃の初期発熱温度を有する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が架橋助剤をさらに含み、前記架橋助剤の少なくとも一部が、前記エチレン系ポリマーに吸収される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて50〜99重量パーセントの範囲の量で存在し;前記有機過酸化物が、前記架橋性紺分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0.1〜5重量パーセントの範囲の量で存在し;前記架橋助剤が、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量基づいて0.1〜3重量パーセントの範囲の量で存在し;前記酸化防止剤が、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0.01〜1重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部を加熱硬化ゾーン内で処理し、それにより架橋高分子生成物を形成することを含み、前記架橋高分子組成物が、少なくとも2.5dN・mの架橋密度(「MH−ML」)を有する、方法。
【請求項8】
コーティングされた導体を製造するための方法であって、
(a)有機過酸化物と酸化防止剤とを予混合し、それにより初期混合物を形成することと、
(b)エチレン系ポリマーを前記初期混合物に少なくとも部分的に浸漬するかまたはコーティングし、前記エチレン系ポリマーに前記初期混合物を少なくとも部分的に吸収させ、それにより前記エチレン系ポリマー、前記有機過酸化物の少なくとも一部、および前記酸化防止剤の少なくとも一部を含む架橋性高分子組成物を形成することと、ここで、前記吸収させることは、95〜110℃の範囲の温度で行われ、
(c)導体を前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部でコーティングすることと、
(d)前記導体上に前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部を硬化させるか、または硬化し、それにより前記コーティングされた導体を形成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシドであり;前記酸化防止剤が、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−チオジ−2,1−エタンジイル(ehtanediyl)エステル、ステアリル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含み;ステップ(b)の前記吸収が、前記初期混合物の溶融温度より高い温度から前記エチレン系ポリマーの溶融温度未満の範囲の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施形態は、架橋性高分子組成物およびそれを作製する方法に関する。
本発明の他の態様は、架橋エチレン系高分子組成物およびそれから作製された物品に関す
る。
【0002】
序論
中電圧、高電圧、および超高電圧(「MV」、「HV」、および「EHV」)ケーブル
は、典型的には、絶縁層として過酸化物架橋エチレン系ポリマー材料を含む。架橋は、材
料の熱機械的特性に有益な改善を与えるが、架橋に使用される過酸化物は、絶縁層に形成
された後であるが、絶縁層の上に外被層が配置される前に、材料から除去する(例えば、
脱気によって)必要のある副生成物を生成する。ジクミルペルオキシドの場合、これらの
副生成物は、メタン、アセトフェノン、アルファメチルスチレン、およびクミルアルコー
ルを含む。副生成物の量を減少させるために、架橋に用いられる過酸化物の量を低減する
ために使用することができる架橋助剤の使用が検討されている。この分野では進歩が達成
されたが、依然として改善が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、架橋性高分子組成を調製するためのプロセスであり、このプロセスは、
エチレン系ポリマーを有機過酸化物および酸化防止剤と合わせ、それにより架橋性高分
子組成を形成することを含み、
合わせるステップは、有機過酸化物の少なくとも一部および酸化防止剤の少なくとも一
部をエチレン系ポリマーに吸収させることを含む。
【0004】
別の実施形態は、コーティングされた導体を製造するためのプロセスであり、このプロ
セスは、
(a)有機過酸化物と酸化防止剤とを予混合し、それにより初期混合物を形成すること
と、
(b)エチレン系ポリマーを初期混合物に少なくとも部分的に浸漬するか、またはコー
ティングし、エチレン系ポリマーに初期混合物を少なくとも部分的に吸収させ、それによ
りエチレン系ポリマー、有機過酸化物の少なくとも一部、および酸化防止剤の少なくとも
一部を含む架橋性高分子組成物を形成することと、
(c)導体を架橋性高分子組成物の少なくとも一部でコーティングすることと、
(d)導体上に架橋性高分子組成物の少なくとも一部を硬化するか、または硬化させ、
それによりコーティングされた導体を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面について言及する。
【0006】
図1】過酸化物架橋ポリエチレンのスコーチ時間と架橋密度との間の関係を決定するために使用される、MH−ML(180℃)対ts1’(140℃)のプロットである。
図2】実施例1で調製された、サンプルS1、S5〜S8、およびCS Aの熱流量対温度の示差走査熱量測定(「DSC」)曲線である。
図3】実施例1で調製された、サンプルS2およびCS Bの熱流量対温度のDSC曲線である。
図4】実施例1で調製された、サンプルS3およびCS Cの熱流量対温度のDSC曲線である。
図5】実施例1で調製された、サンプルS4およびCS Dの熱流量対温度のDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の様々な実施形態は、エチレン系ポリマー、有機過酸化物、および酸化防止剤を
含む架橋性高分子組成物を調製する方法に関する。さらなる実施形態は、そのような架橋
性高分子組成物から調製される架橋高分子組成物に関する。さらなる実施形態は、架橋性
高分子組成物を使用してコーティングされた導体を製造するためのプロセスに関する。
【0008】
架橋性高分子組成物
上述のように、本明細書に記載の架橋性高分子組成物の1つの成分は、エチレン系ポリ
マーである。本明細書で使用される場合、「エチレン系」ポリマーは、主な(すなわち、
50重量パーセント(「重量%」)より大きい)モノマー成分としてのエチレンモノマー
から調製されるポリマーであるが、他のコモノマーも用いることができる。「ポリマー」
は、同じまたは異なるタイプのモノマーを反応させて(すなわち、重合させて)調製され
る高分子化合物を意味し、ホモポリマーおよびインターポリマーを含む。「インターポリ
マー」は、少なくとも2つの異なるモノマータイプの重合によって調製されるポリマーを
意味する。一般的な用語は、コポリマー(通常、2つの異なるモノマータイプから調製さ
れたポリマーを指すときに用いられる)、および3つ以上の異なるモノマータイプから調
製されるポリマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマータイプ)およびテトラ
ポリマー(4つの異なるモノマータイプ))を含む。
【0009】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマーであり得る。本明
細書で使用される場合、「ホモポリマー」は、単一のモノマータイプから誘導される繰り
返し単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤のようなホモポリマーを調製する際に
使用される他の成分の残留量を排除しない。
【0010】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、αオレフィンの含有量がインターポリマーの
全重量に基づいて少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少
なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%であるエチレ
ン/アルファオレフィン(「αオレフィン」)インターポリマーであり得る。これらのイ
ンターポリマーは、αオレフィンの含有量がインターポリマーの全重量に基づいて50重
量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%未満であり得る。αオレ
フィンを用いる場合、αオレフィンは、C3〜20(すなわち、3〜20個の炭素原子を
有する)の直鎖状、分岐状、または環状のαオレフィンであり得る。C3〜20のαオレ
フィンの実施例は、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、およ
び1−オクタデセンを含む。αオレフィンはまた、3−シクロヘキシル−1−プロペン(
アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのαオレフィンを生じるシクロ
ヘキサンまたはシクロペンタンのような環状構造を有することができる。例示のエチレン
/αオレフィンインターポリマーは、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エ
チレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−オクテン
、エチレン/プロピレン/1−ブテン、およびエチレン/1ブテン/1−オクテンを含む
【0011】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、単独で、または1つ以上の他のタイプの
エチレン系ポリマーと組み合わせられて(例えば、モノマー成分および含有量、触媒調製
方法などの点で、互いに異なる2つ以上のエチレン系ポリマーの混合)、使用することが
できる。エチレン系ポリマーの混合が用いられる場合、ポリマーは、任意の反応器内また
は反応器後プロセスによって混合することができる。
【0012】
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、
直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、超低密度ポリエチレン(「VLDPE」
)、およびこれらのうちの2つ以上の組合せからなる群から選択することができる。
【0013】
実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEであり得る。LDPEは、一般に、高
度に分岐したエチレンホモポリマーであり、高圧プロセスによって調製することができる
(すなわち、HP−LDPE)。本明細書での使用に適するLDPEは、0.91〜0.
94g/cmの範囲の密度を有することができる。様々な実施形態では、エチレン系ポ
リマーは、少なくとも0.915g/cmであるが、0.94g/cm未満または0
.93g/cm未満の密度を有する高圧LDPEである。本明細書に示されるポリマー
密度は、ASTM International(“ASTM”)method D79
2に従って決定される。本明細書での使用に適するLDPEは、20g/10分未満、ま
たは0.1〜10g/10分、0.5〜5g/10分、1〜3g/10分の範囲のメルト
インデックス(I)、もしくは2g/10分のIを有することができる。本明細書で
示されるメルトインデックスは、ASTM method D1238に従って決定され
る。特に明記しない限り、メルトインデックスは、190℃かつ2.16Kg(すなわち
、I)で決定される。一般に、LDPEは、比較的高い多分散指数(「PDI」、数平
均分子量に対する重量平均分子量の比)をもたらす広範の分子量分布(「MWD」)を有
する。
【0014】
実施形態では、エチレン系ポリマーは、LLDPEであり得る。LLDPEは、一般に
、コモノマーの不均質な分布を有するエチレン系ポリマーであり、短鎖分岐によって特徴
付けられる。例えば、LLDPEは、上述のような、エチレンとαオレフィンモノマーと
のコポリマーであり得る。本明細書での使用に適するLLDPEは、0.916〜0.9
25g/cmの範囲の密度を有することができる。本明細書での使用に適するLLDP
Eは、1〜20g/10分、または3〜8g/10分の範囲のメルトインデックス(I
)を有することができる。
【0015】
実施形態では、エチレン系ポリマーは、VLDPEであり得る。VLDPEはまた、超
低密度ポリエチレンまたはULDPEとして当技術分野で公知である。VLDPEは、一
般に、コモノマー(例えば、αオレフィンモノマー)の不均質な分布を有するエチレン系
ポリマーであり、短鎖分岐によって特徴付けられる。例えば、VLDPEは、エチレンと
、上述のαオレフィンモノマーのうちの1つ以上のようなαオレフィンモノマーと、のコ
ポリマーであり得る。本明細書での使用に適するVLDPEは、0.87〜0.915g
/cmの範囲の密度を有することができる。本明細書での使用に適するVLDPEは、
0.1〜20g/10分、または0.3〜5g/10分の範囲のメルトインデックス(I
)を有することができる。
【0016】
実施形態では、エチレン系ポリマーは、上述のエチレン系ポリマーの任意の2つ以上の
組合せを含むことができる。
【0017】
エチレン系ポリマーを調製するために使用される製造プロセスは、幅広く、多様であり
、当技術分野で公知である。上述の特性を有するエチレン系ポリマーを製造するための従
来の、またはこれ以後に発見される任意の製造プロセスは、本明細書に記載されたエチレ
ン系ポリマーを調製するために用いることができる。概して、重合は、Ziegler−
NattaまたはKaminsky−Sinn型重合反応で公知である条件で行うことが
でき、すなわち、0〜250℃または30〜200℃の温度、および大気圧から10,0
00気圧(1,013メガパスカル(「MPa」)である。ほとんどの重合反応では、用
いられる重合性化合物に対する触媒のモル比は、10−12:1〜10−1:1または1
−9:1〜10−5:1である。
【0018】
本明細書での使用に適する市販のエチレン系ポリマーの実施例は、The Dow C
hemical Company,Midland,MI,USAによって製造される、
DXM−446低密度ポリエチレンである。
【0019】
上述のように、上述のエチレン系ポリマーは、有機過酸化物と合わせられる。本明細書
で使用される場合、「有機過酸化物」は、R−O−O−R、またはR−O−O−R
−O−O−R、の構造を有する過酸化物を表し、RおよびRのそれぞれがヒドロカ
ルビル部分であり、そしてRは、ヒドロカルビレン部分である。本明細書で使用される場
合、「ヒドロカルビル」は、任意で1つ以上のヘテロ原子を有する炭化水素(例えば、エ
チル、フェニル)から1つの水素を除去することによって形成される一価の基を表す。本
明細書で使用される場合、「ヒドロカルビレン」は、任意で1つ以上のヘテロ原子を有す
る炭化水素から2つの水素原子を除去することによって形成される二価の基を表す。有機
過酸化物は、同じまたは異なるアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル部
分を有する、任意のジアルキル、ジアリール、ジアルカリール、またはジアラルキルペル
オキシドであり得る。実施形態では、RおよびRのそれぞれは、個別にC〜C20
またはC〜C12のアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル部分である
。実施形態では、Rは、C〜C20またはC〜C12のアルキレン、アリーレン、ア
ルカリーレン、またはアラルキレン部分であり得る。様々な実施形態では、R、R、お
よびRは、同じまたは異なる数の炭素原子および構造を有することができ、またはR、
、およびRのうちの任意の2つが同じ数の炭素原子を有することができ、第3のも
のが異なる数の炭素原子および構造を有する。
【0020】
本明細書での使用に適する有機過酸化物は、単官能性過酸化物および二官能性過酸化物
を含む。本明細書で使用される場合、「単官能性過酸化物」は、共有結合した酸素原子の
単一の対を有する過酸化物を表す(例えば、構造R−O−O−Rを有する)。本明細書で
使用される場合、「二官能性過酸化物」は、共有結合した酸素原子の2対を有する過酸化
物を表す(例えば、構造R−O−O−R−O−O−Rを有する)。実施形態では、有機過
酸化物は、単官能性過酸化物である。
【0021】
例示的な有機過酸化物は、ジクミルペルオキシド(「DCP」)、tert−ブチルペ
ルオキシベンゾアート、ジ−tert−アミルペルオキシド(「DTAP」)、ビス(ア
ルファ−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」)、イソプロピ
ルクミル−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペ
ルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,
5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルク
ミルペルオキシド、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ(
イソプロピルクミル)ペルオキシド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物を含む。様
々な実施形態では、単一のタイプの有機過酸化物のみが用いられる。実施形態では、有機
過酸化物はジクミルペルオキシドである。
【0022】
上述のように、酸化防止剤が架橋性高分子組成物に用いられる。例示的な酸化防止剤は
、ヒンダードフェノール類(例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン)、レスヒンダードフェノール類、および
セミヒンダードフェノール類、ホスフェート、ホスファイト、およびホスホナイト(例え
ば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート)、チオ化合物(例えば、
ジラウリルチオジプロピオネート)、様々なシロキサン、および様々なアミン(例えば、
重合した2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、を含む。様々な実施形
態では、酸化防止剤は、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオ
ネート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、
ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−チオ
ジ−2,1−エタンジイル(ehtanediyl)エステル、ステアリル3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3
,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビ
ス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、4,4’−チオビス(6−tert
−ブチル−m−クレゾール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、
1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジ
ル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタ
エリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート)、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、およびこれらのうちの2つ以
上の混合物からなる群から選択される。
【0023】
様々な実施形態では、架橋性高分子組成物は、任意で架橋助剤を含むことができる。こ
のような架橋助剤は、ポリアリル架橋助剤と、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレ
ートと、α−メチルスチレンダイマー(「AMSD」)と、トリメチロールプロパントリ
アクリレート(「TMPTA」)、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート(「
TMPTMA」)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2−ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、およびプロポキシル化グリセリルトリア
クリレートなどのアクリレート系助剤と、高い1,2−ビニル含有量を有するポリブタジ
エン、およびトリビニルシクロヘキサン(「TVCH」)などのビニル系助剤と、米国特
許第5,346,961号および同第4,018,852号に記載されているような他の
助剤と、を含む。
【0024】
実施形態では、架橋助剤は、存在する場合、ポリアリル架橋助剤であり得る。本明細書
で使用される場合、「ポリアリル」は、少なくとも2つのペンダントアリル官能基を有す
る化合物を表す。様々な実施形態において、架橋助剤は、トリアリル化合物であり得る。
或る実施形態では、架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリア
リルシアヌレート(「TAC」)、トリアリルトリメリテート(「TATM」)、オルト
ギ酸トリアリル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリアリルシトレート、ア
コニチン酸トリアリル、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択され
る。実施形態では、架橋助剤はTAICである。様々な実施形態では、ポリアリル架橋助
剤は、架橋助剤を用いる場合、架橋性高分子組成物中に存在する架橋助剤の全てまたは実
質的に全てを構成する。
【0025】
様々な実施形態では、架橋助剤、存在する場合、と有機過酸化物は、少なくとも1.0
、少なくとも1.2、少なくとも1.5、または少なくとも2.0、かつ10.0までの
架橋助剤/有機過酸化物の重量比で存在する。
【0026】
様々な実施形態では、ポリアリル架橋助剤が用いられるとき、ポリアリル架橋助剤およ
び有機過酸化物は、活性酸素原子に対するアリール基のモル比が少なくとも1.6、少な
くとも1.9、少なくとも2.5、または少なくとも3.0、かつ5まで、7.5まで、
10まで、12まで、または16までのアリール基/活性酸素原子を得ることができる十
分な量が存在する。この比を決定する際に、有機過酸化物内の2つの共有結合した酸素原
子のうちの1つとして存在する酸素原子だけが、「活性酸素原子」と考えられる。例えば
、単官能性過酸化物は、2つの活性酸素原子を有する。有機過酸化物またはポリアリル架
橋助剤に存在する他方の酸素原子に共有結合していない酸素原子は、活性酸素原子として
考えられない。さらに、ポリアリル架橋助剤に見出されるペンダントアリル基のみが、ア
リール基/活性酸素原子のモル比に含まれる。アリール対活性酸素のモル比は、次のよう
に計算される、
【0027】
【数1】
【0028】
様々な実施形態では、架橋性高分子組成物は、架橋性高分子組成物の全重量に基づいて
50〜99重量%、80〜99重量%、または95〜99重量%の範囲の量のエチレン系
ポリマーを含むことができる。さらに、架橋性高分子組成物は、架橋性高分子組成物の全
重量に基づいて0.1〜5重量%、0.1〜3重量%、0.4〜2重量%、0.4〜1.
7重量%、0.5〜1.4重量%、または0.7〜1.0重量%未満の範囲の量の有機過
酸化物を含むことができる。酸化防止剤は、架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0.
01〜5重量%、0.01〜1重量%、0.1〜5重量%、0.1〜1重量%、または0
.1〜0.5重量%の範囲の量で使用することができる。さらに、架橋性高分子組成物は
、架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0〜3重量%、0.1〜3重量%、0.5〜3
重量%、0.7〜3重量%、1.0〜3重量%、または1.5〜3重量%の範囲の量の任
意の架橋助剤を含むことができる。
【0029】
架橋性高分子組成物はまた、限定されないが、加工助剤、充填剤、カップリング剤、紫
外線吸収剤または安定剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度調
整剤、粘着付与剤、抗ブロッキング剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸捕捉剤、難燃
剤、および金属不活性化剤、を含む他の添加剤を含むことができる。充填剤以外の添加物
は、通常、組成物の全重量に基づいて0.01〜10重量%未満またはそれ以上の範囲の
量で使用される。充填剤は、概して、比較的多くの量で添加されるが、その量は、組成物
の全重量に基づいて0.01の低い値から65重量%未満またはそれ以上にわたる範囲で
ある。充填剤の例示の実施例は、粘土、沈降シリカおよびシリケート、フュームドシリカ
、炭酸カルシウム、粉砕鉱物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および通常の
算術平均粒径が15ナノメートルよりも大きいカーボンブラックを含む。
【0030】
架橋性高分子組成物の調製
架橋性高分子組成物の調製は、上述のエチレン系ポリマーを、有機過酸化物、任意の架
橋助剤、および酸化防止剤と合わせることを含む。これらの成分を合わせるプロセスは、
有機過酸化物の少なくとも一部および酸化防止剤の少なくとも一部をエチレン系ポリマー
に吸収させることを含む。架橋助剤またはその少なくとも一部もまた、用いられる場合、
エチレン系熱可塑性ポリマーに吸収させることができる。本明細書で使用される場合、「
吸収」は、有機過酸化物の少なくとも一部、酸化防止剤の少なくとも一部、および、存在
する場合は、架橋助剤の少なくとも一部のエチレン系ポリマーによる吸収を表し、吸収は
、エチレン系ポリマーと、有機過酸化物、任意の架橋助剤、および酸化防止剤との間の物
理的接触(例えば、コーティング)によって達成される。実施形態では、有機過酸化物、
任意の架橋助剤、および酸化防止剤は、40〜90℃の温度で予混合することができる。
いくつかの酸化防止剤は、非常に高い溶融温度(例えば、150℃)を有しているが、よ
り低い融点を有する他の成分によって融解して酸化防止剤の融点よりも下で液体混合物を
形成するので、このプロセスでは溶融させる必要がない。その後、エチレン系ポリマーの
少なくとも一部は、そのような吸収をもたらすのに十分な時間および温度で、得られた過
酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物に、浸漬またはコーティングすることがで
きる。
【0031】
様々な実施形態では、過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物は、エチレン系
ポリマーの導入の前に、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃
、または少なくとも150℃の初期発熱温度を有する。さらに、過酸化物/任意の架橋助
剤/酸化防止剤の混合物は、120〜300℃、130〜250℃、140〜200℃、
または140〜160℃の範囲の初期発熱温度を有する。本明細書で使用される場合、「
初期発熱温度」の語句は、過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物が1つ以上の
発熱反応を介して分解し始める温度を表す。このような初期発熱温度は、後述の試験方法
の項で説明されるが、示差走査熱量測定(「DSC」)によって測定され、DSCプロッ
トの傾斜がグラム℃当たり0.02ワット(「W/g・℃」)を超える80℃より上の点
として定義され、発熱反応の初期段階を示す。過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の
混合物の初期発熱温度を高くすることは、後述するが、エチレン系ポリマーの浸漬を11
0℃までの温度で行うことができるので、重要であり得る。120℃未満の初期発熱温度
を得ることは、作業ウィンドウが著しく縮小されるので、安全上の問題となり得る。
【0032】
浸漬を用いて上述の吸収ステップを行う場合、エチレン系ポリマーのペレットを上述の
過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物に部分的に浸漬することができる。他の
実施形態では、エチレン系ポリマーのペレットを過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤
の混合物でコーティングして吸収をもたらすことができる。
【0033】
上述の吸収は、30〜110℃、50〜108℃、80〜104℃、90〜102℃、
または95〜100℃の、過酸化物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物の溶融温度か
らポリマーの溶融温度または初期発熱温度の低い方までの範囲の温度で行うことができる
。さらに、吸収は、1〜168時間、1〜24時間、または3〜12時間の範囲の期間に
わたって行うことができる。
【0034】
実施形態では、用いられる合わせるステップのみが、上述の吸収プロセスを含む。言い
換えれば、様々な実施形態では、有機過酸化物、任意の架橋助剤、または酸化防止剤の任
意の部分をエチレン系ポリマーと合わせるために、調合手順を用いない。
【0035】
得られる架橋性高分子組成物は、概して、エチレン系ポリマー、酸化防止剤、過酸化物
、およびそれらの成分の任意の2つまたは3つの反応生成物からなる。理論に束縛される
ものではないが、これらの成分の反応生成物は、硫黄、フェノールおよびその誘導体、お
よび/またはペルオキシ基などの基を含む可能性があると考えられている。これは、これ
らの成分間の反応がラジカル反応である可能性があり、酸素の存在下で起こり得ると考え
られている。さらに、再び理論に束縛されるものではないが、架橋高分子組成物は、チオ
エーテル系酸化防止剤の酸化生成物を含む可能性があり、その濃度は、前処理プロセスに
よって増強される。これらの反応生成物の任意の1つ以上は、ラジカルと相互作用する能
力を有することができる。吸収の間に形成されたこのような反応生成物は、ラジカルのた
めの「ストレージ」として作用できることが理論付けされている。このような場合では、
より少ないラジカルがその処理温度で解放され、早期の架橋(例えば、スコーチ)を防ぐ
ことができ、より多くのラジカルが硬化温度で解放されて架橋(後述する)を促進する。
あるいは、吸収中に形成されるこのような反応生成物は、ラジカル捕捉剤として作用する
ことができ、処理中に発生するラジカルを「捕捉」する傾向を有するが、架橋に用いられ
る温度ではラジカルを捕捉する傾向が低くなる。
【0036】
架橋高分子組成物
上述の架橋性高分子組成物は、硬化させて、または硬化することを可能にして、架橋エ
チレン系ポリマーを形成することができる。このような硬化は、架橋性高分子組成物を1
75〜260℃の範囲内の温度に維持することができる加熱硬化ゾーン内の高い温度に曝
すことによって行うことができる。加熱硬化ゾーンは、加圧されたストリームによって加
熱する、または加圧された窒素ガスによって誘導的に加熱する、ことができる。その後、
架橋高分子組成物を冷却することができる(例えば、周囲温度まで)。
【0037】
架橋プロセスは、架橋高分子組成物中に揮発性分解副生成物を作成することができる。
「揮発性分解副生成物」の用語は、有機過酸化物の開始によって、硬化ステップ中に、お
よびおそらく冷却ステップ中にも、形成される副生成物を表す。このような副生成物は、
メタンなどのアルカンを含むことができる。架橋に続いて、架橋高分子組成物は、脱気が
施され、揮発性分解副生成部分の少なくとも一部が除去される。脱気は、脱気温度、脱気
圧力で、および脱気期間にわたって行われ、脱気された高分子組成物を生成することがで
きる。様々な実施形態では、脱気温度は、50〜150℃、または60〜80℃の範囲に
わたることができる。実施形態では、脱気温度は65〜75℃である。脱気は、標準の大
気圧(すなわち、101,325Pa)で行うことができる。
【0038】
架橋高分子組成物における架橋の程度は、ASTM D5289に従って、180℃の
移動ダイレオメーター(「MDR」)での分析によって決定することができる。分析時、
最大トルク(「MH」)と最小トルク(「ML」)との間の差、(「MH−ML」)によ
って示されるトルクの増加は、架橋の程度がより大きいことを示す。得られる架橋高分子
組成物は、6dN・mを実用的な上限として、少なくとも2.5dN・m、少なくとも2
.75dN・m、少なくとも3dN・m、少なくとも3.25dN・m、少なくとも3.
5dN・m、または少なくとも3.75dN・mである。実施形態では、架橋高分子組成
物は、2.5〜6dN・m、2.75〜6dN・m、3〜6dN・m、3.25〜6dN
・m、3.5〜6dN・m、または3.75〜6dN・mの範囲のMH−MLを有するこ
とができる。
【0039】
様々な実施形態では、架橋高分子組成物は、少なくとも10分間のスコーチ改善(「S
I」)を有することができる。スコーチ改善は、以下の試験方法の項目に記載される手順
に従って決定される。
【0040】
コーティングされた導体
導体および絶縁層を含むケーブルは、上述の架橋性高分子組成物を用いて調製すること
ができる。「ケーブル」および「電源ケーブル」は、例えば、絶縁被覆および/または保
護外側ジャケットなどのシース内の少なくとも1つの電線または光ファイバーを意味する
。典型的には、ケーブルは、典型的には共通の絶縁被覆および/または保護ジャケット内
で、共に結合した2つ以上の電線または光ファイバーである。シース内部の個別の電線ま
たはファイバーは、剥き出しのままである、被覆されている、または絶縁されている。組
合せケーブルは、電気配線および光ファイバーの両方を含むことができる。典型的なケー
ブルの設計は、米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号および同第
6,714,707号に示されている。「導体」は、熱、光、および/または電気を伝導
する1つ以上の電線またはファイバーを表す。導体は、単一の電線/ファイバーまたは多
重の電線/ファイバーであることができ、ストランド形状または管形状であり得る。適切
な導体の非限定的な実施例は、銀、金、銅、カーボン、およびアルミニウムなどの金属を
含む。導体はまた、ガラスか、またはプラスチックかのいずれかから作られた光ファイバ
ーであってもよい。
【0041】
このようなケーブルは、様々なタイプの押出機(例えば、1軸または2軸のスクリュー
タイプ)を使用し、架橋性高分子組成物を導体上に直接、または仲介層上に、のいずれか
に押し出すことによって調製することができる。従来の押出機の説明は、米国特許第4,
857,600号に記載されている。したがって、共押出および押出機の実施例は、米国
特許第5,575,965号に記載されている。
【0042】
押し出し後、押し出されたケーブルを押出ダイの下流側の加熱硬化ゾーン内を通過させ
て架橋性高分子組成物の架橋を促進し、それにより架橋高分子組成物を製造する。加熱硬
化ゾーンは、175〜260℃の範囲内の温度に維持することができる。実施形態では、
加熱硬化ゾーンは、連続加硫(「CV」)チューブである。様々な実施形態では、架橋高
分子組成物は、次に上述のように冷却し、脱気することができる。
【0043】
交流用ケーブルは、低電圧、中電圧、高電圧、または超高電圧用ケーブルであることが
でき、本開示に従って調製することができる。さらに、直流用ケーブルは、高電圧または
超高電圧用ケーブルであることができ、本開示に従って調製することができる。
【0044】
試験方法
サンプル調製(配合)
ポリエチレン(「PE」)のペレットを、ローター速度が30rpmである120℃の
ブラベンダーミキサーに供給し、PEが溶融後、酸化防止剤を混合し、続いて架橋助剤(
用いる場合)を添加し、最後に有機過酸化物を添加する。架橋助剤および有機過酸化物の
添加後の混合時間は、5分間である。用いたPEは、the Dow Chemical
Company、Midland、MI、USAが製造する低密度ポリエチレン、DX
M−446であり、0.92g/cmの密度および2.35g/10分のメルトインデ
ックス(I)を有する。残りの成分は、以下に記載する。
【0045】
サンプル調製(吸収)
規定の重量(約50g)のポリエチレンのペレットを容器に入れる。有機過酸化物、架
橋助剤(用いる場合)、および酸化防止剤を、40〜90℃の範囲の温度で、別の容器内
で合わせ、溶融する。得られた混合物の以下の実施例で規定された量を、ポリエチレンを
保持する容器内にシリンジによって注入する。注入中の混合物の結晶化を回避するために
、シリンジは加熱しておく必要がある。容器を密閉後、手で約1分間振り動かし、過酸化
物/任意の架橋助剤/酸化防止剤の混合物がポリエチレンのペレット間に均一に分散する
ことを確実にする。容器を規定された温度のオーブン内に置く。
【0046】
圧縮成形
Lab Tech LP−S−50/ASTMの実験室用油圧プレスを使用し、両側が
2つのポリエチレンテレフタレート(「PET」)の膜によって覆われたサンプルを、1
30℃の鋳型内で5分間にわたって予備加熱する。プレートを8回開閉することにより、
サンプル内に捕捉された空気を解放する。プレートの温度を182℃まで5分間にわたっ
て上昇させる。15分間にわたる100kNの圧力下でサンプルを硬化させる。プレート
の温度を45℃まで5分間にわたって下降させる。
【0047】
移動ダイレオメーター
圧縮成形によって調製されたシートから切断したサンプルを使用し、Alpha Te
chnologies MDR2000で、ASTM D5289に規定された方法に従
って、移動ダイレオメーター(「MDR」)試験を180℃および140℃でそれぞれ行
う。
【0048】
機械的(引張)特性
圧縮成形され、硬化されたサンプルを使用し、Instron model 5565
で、ASTMD638に従って機械的特性を決定する。
【0049】
示差走査熱量測定/初期発熱温度
示差走査熱量測定(「DSC」)を、TA Instrumentsによって製造され
たDSC Q2000で行う。温度を室温から150℃まで10℃/分の割合で上昇させ
てDSCを行う。0.02W/g・℃より大きい傾斜を有する80℃より高いDSC曲線
上の第1の点を識別することにより、初期発熱温度を決定する。
【0050】
熱エージング
圧縮成形され、硬化されたサンプルを使用し、136℃の温度の熱エージングを168
時間にわたって行う。
【0051】
スコーチ改善
サンプルXのスコーチ改善は、以下の式を使用して計算される、
SI=ts1(140℃)−ts1’(140℃)
SIは、スコーチ改善であり、ts1(140℃)は、140℃でMDRによって測定
されたサンプルXのスコーチ時間であり、ts1’(140℃)は、硬化剤としてDCP
のみを使用する従来の調合プロセスによって調製されたサンプルのts1(140℃)と
MH−ML(180℃)との間の関係である以下の式(1)によって計算される予測スコ
ーチ時間である、
(1)ts1’(140℃)=−7.97+(167.91/(MH−ML(180℃
)))
MH−ML(180℃)は、180℃でMDRによって測定されたサンプルXの架橋密
度である。SIは、同じ架橋密度の条件下でスコーチ性能を比較する方法を提供する。式
(1)は、硬化剤としてDCPを使用する従来の調合プロセスによって調製された8個の
サンプルの比較に基づいて決定される。サンプルは、表1の式に従ってサンプル調製の項
で上述されたように調製され、上述の方法に従ってMDRによって分析される。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に提供されたデータを、MH−ML(180℃)とts1(140℃)を対比させ
てプロットすると、式(1)が得られる。JMP(商標)統計的検出ソフトウェアを用い
て表1のデータを適合させると式(1)が得られる。MH−MLおよびts1(140℃
)は、反比例の関係にある(少なくともDCP負荷の共通の範囲内で)。したがって、M
H−MLは、最初にその逆数の形、1/(MH−ML)に変換され、次にts1(140
℃)と1/(MH−ML)との間のラインに適合される。これにより、ts1(140℃
)とMH−MLとの間の数式(式(1))が得られる。式(1)を生成するためにJMP
(商標)統計的検出ソフトウェアを用いるステップは、以下に記載する、
1.Analyze/Fit Y by Xをクリックする、
2.MH−MLをX,factorに、ts1(140℃)をY,responseに
取り込み、
3.上部左側の赤色の三角をクリックし、「fit special」を選択する、
4.X変換欄で逆数:1/xを選択後、OKボタンをクリックする。
【0054】
この分析の結果は、図1に示す。
【0055】
スコーチ改善についての値に関して、負のSIは悪化した抗スコーチ性を示し、正のS
Iは、改善された抗スコーチ性を示し、より高い正のSI値は、優れた最終用途の性能に
好適である。
【0056】
密度
密度をASTM D792に従って決定する。
【0057】
メルトインデックス
ASTM D1238に従って、190℃/2.16kgの条件で、メルトインデック
ス、またはIを測定し、10分間当たりの溶出したグラム数で報告する。ASTM D
1238に従って、190℃/10kgの条件で、I10を測定し、10分間当たりの溶
出したグラム数で報告する。
【実施例】
【0058】
実施例1−初期発熱の評価
以下の表2に示された配合に従って、上述の試験方法の項の「吸収」のプロセスの第1
のステップに記載された手順を使用し、有機過酸化物および架橋助剤を溶融し、混合する
ことにより、4つの比較サンプル(CS A〜CS D)を調製する。以下の表2に示さ
れた配合に従って、上述の試験方法の項の「吸収」のプロセスの第1のステップに記載さ
れた手順を使用し、有機過酸化物、架橋助剤、および酸化防止剤を溶融し、混合すること
により、8つのサンプル(S1〜S8)を調製する。この実施例では、ジクミルペルオキ
シド(「DCP」)は、中国のベンダーのFang Rui Daから入手可能な有機過
酸化物である。ビス(アルファ−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「B
IPB」)は、中国のベンダーのFang Rui Daから入手可能な有機過酸化物で
ある。トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)は、中国のベンダーのFang R
ui Daから入手可能な架橋助剤である。トリアリルトリメリテート(「TATM」)
は、中国のベンダーのFang Rui Daから入手可能な架橋助剤である。予混合物
Aは、61重量%のジステアリルチオジプロピオネート(「DSTDP」)(Reage
nsから)、38重量%のCYANOX(商標)1790(これは、1,3,5−トリス
(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−
トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンであり、Cytec Indu
striesから入手可能)、および1重量%のCYASORB(商標)UV3346(
これは、オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマ
ートであり、Cytec Industriesから入手可能)からなる酸化防止剤の混
合物である。IRGANOX(商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)であり
、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能である。4,4’−
チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)(「Lowinox TBM−6」
)は、Chemturaから入手可能な酸化防止剤である。IRGANOX(商標)PS
802は、ジステアリルチオジプロピオネートであり、Ciba Specialty
Chemicalsから入手可能な熱安定剤である。IRGANOX245は、Ciba
Specialty Chemicalsから入手可能なエチレンビス(オキシエチレ
ン)ビス−(3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)−プロピオネ
ート)である。IRGANOX1726は、Ciba Specialty Chemi
calsから入手可能な2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノールで
ある。
【0059】
【表2】
【0060】
上述の試験方法に記載されたように、表2に示される各サンプルをDSCにより分析し
、それらのそれぞれの初期発熱温度を決定する。上記の表2のサンプル1〜8の増加した
初期発熱温度に見られるように、酸化防止剤の存在は、CS A〜Dと比較すると、別の
架橋助剤、過酸化物、および酸化防止剤のパッケージを使用しても、サンプルの安定性を
飛躍的に向上させる。S1〜8およびCS A〜DのDSCプロットは、図2〜5に示す
【0061】
実施例2−スコーチ改善に関する吸収の効果
上述の試験方法の項に記載された吸収手順を使用し、以下の表3に示す様々な時間およ
び温度パラメータを使用して、12個のサンプル(S9〜S20)を調製し、それぞれが
97.94重量%のDXM−446、0.85重量%のDCP、0.85重量%のTAI
C、および0.36重量%の予混合物Aを有する。上述の試験方法に従って、各サンプル
を分析する。結果は、以下の表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
実施例3−機械的特性および架橋密度に関する吸収の効果
上述の試験方法の項に記載した調合手順を使用し、以下の表4に示す配合に従って、比
較サンプル(CS E)を調製する。
【0064】
【表4】
【0065】
上述の試験方法に従って、CS Eを分析する。結果を以下の表5にS16との比較と
共に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
表5に示されるように、102℃で12時間の吸収によって調製されたサンプルS16
は、架橋密度(MH−ML)、機械的特性、および熱エージング性能を過度に犠牲にする
ことなく、非常に高いスコーチ時間を達成した。
【0068】
実施例4−吸収中の窒素環境の効果
吸収の前に容器に窒素を充填し、吸収の間容器を密閉することを除いて、上述の試験方
法の項に記載された吸収手順に従って、別のサンプル(S21)を調製する。102℃の
温度で12時間にわたって吸収を行う。結果は、以下の表6にS16との比較とともに示
す。
【0069】
【表6】
【0070】
表6の結果は、窒素の条件下で行われた吸収は、スコーチに関してあまり有意な改善を
示さないことを示唆する。理論に束縛されるものではないが、これは、吸収中の酸素の存
在がスコーチを改善するために関与し得ることを示唆する。
【0071】
実施例5−サンプル調製の調合に対する吸収の比較
102℃の温度で12時間の期間にわたり、以下の表7に示された配合に従って、上述
の試験方法の項に記載された吸収の手順を使用し、15個のサンプル(S22〜S36)
を調製する。S22〜S36と同じそれぞれの組成を有するが、上述の調合の手順で、1
5個の比較サンプル(CS F〜CS T)を調製する。BIPB、DCP、TAIC、
TATM、予混合物A、IRGANOX(商標)1076、IRGANOX(商標)10
10、PS802、およびTBM−6は、前の実施例に記載されたものと同じである。ト
リアリルシアヌレート(「TAC」)は、Fluka AGから入手可能な架橋助剤であ
る。CYANOX(商標)1790は、Cytec Industriesから入手可能
な1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベン
ジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンである。
IRGANOX(商標)1035は、Ciba Specialty Chemical
sから入手可能なベンゼンプロピオン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4
−ヒドロキシ−チオジ−2,1−エタンジイルエステルである。IRGANOX(商標)1
726は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な2,4−
ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノールである。IRGANOX(商標)1
135は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なオクタデ
シル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネー
トである。IRGANOX(商標)1024は、Ciba Specialty Che
micalsから入手可能な2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジドである。サンプルのそ
れぞれを上述の試験方法に従って分析する。その結果は、以下の表8に示す。
【0072】
表8に示された結果からわかるように、表7の吸収プロセスによって調製された各サン
プルのSIは、調合プロセスによって調製されたものよりも高い。これは、吸収プロセス
を用いることによって、硬化とスコーチとの間のバランスに関して著しい改善が達成され
たことを示唆する。
【0073】
実施例6−架橋助剤を使用しないサンプル調製の調合に対する吸収の比較
102℃の温度でそれぞれ6時間および9時間の3つの異なる期間にわたって、以下の
表9に示された配合に従って、上述の試験方法の項に記載された吸収の手順を使用し、1
1個のサンプル(S37〜S46)の3セットを調製する。S37〜S46と同じそれぞ
れの組成を有するが、上述の調合の手順によって調製される10個の比較サンプル(CS
U〜CS DD)を調製する。全ての成分は、前の実施例で上述したものと同じである
。上述の試験方法に従って、サンプルのそれぞれを分析する。その結果は、以下の表10
に示す。
【0074】
表10に示された結果からわかるように、表9の吸収プロセスによって調製された各サ
ンプルのSIは、調合プロセスによって調製されたものよりも高い。これは、架橋助剤が
なくても、吸収プロセスを用いることにより、硬化およびスコーチとの間のバランスに関
して著しい改善が達成されたことを示唆する。
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
実施例7−架橋助剤を使用しない吸収中の窒素環境の効果
上述の試験方法に記載した吸収の手順、および表10の配合に従って、97.94%の
DXM−446、1.7%のDCP、および0.36%の酸化防止剤、予混合物Aを有す
るサンプルS47を調製する。吸収の前に容器に窒素を充填し、吸収の間容器を密閉する
ことを除いて、上述の試験方法の項に記載した吸収の手順、およびS47と同じ配合に従
って、サンプルS48を調製する。吸収は、102℃の温度で7.5時間にわたって実行
する。S47と同じ組成を有するが、上述の調合の手順によって調製される比較サンプル
(CS EE)を調製する。その結果は、表11に示す。
【0080】
【表11】
【0081】
表11の結果は、窒素下で行われる吸収は、スコーチに関してあまり有意な改善を示さ
ないことを示唆する。理論に束縛されるものではないが、これは、吸収中の酸素の存在が
、スコーチを改善するために関与し得ることを示唆する。
なお、本発明には以下が含まれることを付記する。
〔1〕
架橋性高分子組成物を調製する方法であって、
エチレン系ポリマーを有機過酸化物および酸化防止剤と合わせ、それにより前記架橋性高分子組成物を形成することを含み、
前記合わせるステップが、前記有機過酸化物の少なくとも一部および前記酸化防止剤の少なくとも一部を前記エチレン系ポリマーに吸収させることを含む、方法。
〔2〕
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾア−ト、ジ−tert−アミルペルオキシド、ビス(α−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルクミルペルオキシド、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択され、前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール、レスヒンダードフェノール、チオ化合物、シロキサン、アミン、またはこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、〔1〕に記載の方法。
〔3〕
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシドであり、前記酸化防止剤が、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−チオジ−2,1−エタンジイル(ehtanediyl)エステル、ステアリル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含み、前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレン(「LDPE」)である、〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の方法。
〔4〕
前記有機過酸化物と前記酸化防止剤とを予混合し、それにより混合物を形成し、その後、前記エチレン系ポリマーを前記混合物に少なくとも部分的に浸漬するか、またはコーティングして前記吸収を生じさせることをさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕
前記混合物が、少なくとも120℃の初期発熱温度を有する、〔4〕に記載の方法。
〔6〕
架橋助剤を、前記エチレン系ポリマー、前記有機過酸化物、および前記酸化防止剤と合わせることをさらに含み、前記架橋助剤の少なくとも一部が、前記エチレン系ポリマーに吸収される、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕
前記エチレン系ポリマーが、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて50〜99重量パーセントの範囲の量で存在し、前記有機過酸化物が、前記架橋性紺分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0.1〜5重量パーセントの範囲の量で存在し、前記架橋助剤が、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量基づいて0.1〜3重量パーセントの範囲の量で存在し、前記酸化防止剤が、前記架橋性高分子組成物中に、前記架橋性高分子組成物の全重量に基づいて0.01〜1重量パーセントの範囲の量で存在する、〔6〕に記載の方法。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部を加熱硬化ゾーン内で処理し、それにより架橋高分子生成物を形成することを含み、前記架橋高分子組成物が、少なくとも2.5dN・mの架橋密度(「MH−ML」)を有する、方法。
〔9〕
コーティングされた導体を製造するための方法であって、
(a)有機過酸化物と酸化防止剤とを予混合し、それにより初期混合物を形成することと、
(b)エチレン系ポリマーを前記初期混合物に少なくとも部分的に浸漬するか、またはコーティングし、前記エチレン系ポリマーに前記初期混合物を少なくとも部分的に吸収させ、それにより前記エチレン系ポリマー、前記有機過酸化物の少なくとも一部、および前記酸化防止剤の少なくとも一部を含む架橋性高分子組成物を形成することと、
(c)導体を前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部でコーティングすることと、
(d)前記導体上に前記架橋性高分子組成物の少なくとも一部を硬化させるか、または硬化し、それにより前記コーティングされた導体を形成することと、を含む、方法。
〔10〕
前記有機過酸化物が、ジクミルペルオキシドであり、前記酸化防止剤が、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−チオジ−2,1−エタンジイル(ehtanediyl)エステル、ステアリル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含み、ステップ(b)の前記吸収が、前記初期混合物の溶融温度より高い温度から前記エチレン系ポリマーの溶融温度未満の範囲の温度で行われる、〔9〕に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5