特許第6423226号(P6423226)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6423226
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】レンズフード装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20060101AFI20181105BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20181105BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   G03B11/04 C
   G02B7/02 E
   H04N5/225 400
   H04N5/225 430
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-201546(P2014-201546)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-71202(P2016-71202A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】村山 恭二
(72)【発明者】
【氏名】平岡 司
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−155356(JP,A)
【文献】 特開2001−221939(JP,A)
【文献】 特開2006−030750(JP,A)
【文献】 特開2006−064930(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0296221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
G02B 7/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒先端に取り付け可能な環状部材と、
上記環状部材に対して、不使用時にはレンズ鏡筒の外周を覆う格納位置に位置し、使用時にはレンズ鏡筒先端から前方に繰り出されて不要光を遮蔽する使用位置に位置するスライド可能なフード筒部と、
上記フード筒部に配置され、当該フード筒部に対して円弧状部が円周方向に往復回動可能で、かつ当該円弧状部が上記円周方向の一方向に付勢された回動部材と、
上記フード筒部が上記不使用時の位置から上記使用時の位置へ移動させた際に、上記回動部材を上記付勢に抗して回動させ、上記回動部材を上記環状部材に係止させる係止手段と、
を具備し、
上記係止手段は、上記環状部材及び上記回動部材の一方に配置された係合部と他方に配置された被係合部とからなり、
上記使用時に上記係合部と上記被係合部とが係止している状態で、上記フード筒部に所定以上の光軸方向外力が掛けられた際には、上記係合部と上記被係合部との係止が解除され、上記回動部材が上記一方向の付勢に抗して上記円周方向の他方向へ回動することにより上記フード筒部が光軸方向へ移動可能となることを特徴とするレンズフード装置。
【請求項2】
上記係合部は上記環状部材に設けられたリブを含み、
上記被係合部は上記回動部材に設けられた円弧状部と上記円弧状部から突出した爪部とを含み、
上記使用時には上記リブに上記爪部が位置することにより上記回動部材と上記フード筒部とが係止され、この状態で上記フード筒部に所定以上の光軸方向外力が掛けられた際には、上記爪部と上記リブとの係止が解除されて上記フード筒部が光軸方向へ移動可能となることを特徴とする請求項1記載のレンズフード装置。
【請求項3】
上記爪部の先端部には傾斜部が形成され、上記フード筒部に所定以上の光軸方向外力が掛けられた際、上記傾斜部によって上記リブとの係止が解除されることを特徴とした請求項2記載のレンズフード装置。
【請求項4】
上記爪部の先端部は楔状に形成され、上記傾斜部は上記楔状の一部であることを特徴とした請求項3記載のレンズフード装置。
【請求項5】
上記爪部の先端部は半円状に形成され、上記傾斜部は上記半円状の一部であることを特徴とした請求項3記載のレンズフード装置。
【請求項6】
上記リブは光軸方向に複数配置され、上記複数のリブの間に上記爪部の傾斜部が位置することによって上記回動部材と上記フード筒部とを係止することを特徴とした請求項2〜4のいずれか一項に記載のレンズフード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レンズ鏡筒先端部位に配設され、不使用時にはレンズ鏡筒の外周を覆う格納位置に配置され、使用時にはレンズ鏡筒先端から繰り出された使用位置に配置されて不要有害光を遮蔽するスライド格納式のレンズフード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置においては、撮像光学系を含むレンズ鏡筒の先端部位に配設することによって、撮像光学系へ入射する不要有害光を遮蔽するためのレンズフード装置が一般に実用化され広く普及している。
【0003】
この種のレンズフード装置においては、レンズ鏡筒先端部位に取り付けた状態において、レンズ鏡筒の外周面上を光軸に沿う方向に進退自在となるように構成し、不使用時には光軸に沿う後方に移動させた格納位置に配置する一方、使用時には光軸に沿う前方の使用位置へと摺動させることで不要有害光を遮蔽する機能を持たせたスライド格納式のレンズフード装置が、例えば特開2004−170492号公報等によって、種々の形態のものが提案されている。
【0004】
上記特開2004−170492号公報等によって開示されているレンズフード装置は、フード本体とフード操作部材とからなり、フード操作部材を移動させることによりフード本体をレンズ鏡筒に対してロック状態とし、またはそのロック状態を解除する構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−170492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特開2004−170492号公報等によって開示されている従来形態のレンズフード装置は、撮像装置等のレンズ鏡筒先端部位に取り付けて使用中において、例えばフード先端側から落下させたり壁等に衝突させてしまう等、使用者(ユーザ)の意図しない強い衝撃力等がレンズフード装置に加わった場合、その衝撃力等を吸収するといった構造にはなっておらず、レンズフード装置や、これを装着したレンズ鏡筒、撮像装置等を損傷してしまう可能性があるという問題点があった。
【0007】
また、従来形態のスライド格納式のレンズフード装置では、撮像装置等のレンズ鏡筒先端部位に取り付けた状態で、例えばフード先端を下向きにテーブル等の台上に載置した場合に、使用者(ユーザ)の意図に反してレンズフード装置が格納位置にスライド移動してしまうことがある。この場合、使用者(ユーザ)が台上に載置した撮像装置を取り上げて使用を再開する時に、フードを格納位置から使用位置へと引き出す操作を行わなければならない。したがって、迅速な撮影動作を阻害してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レンズ鏡筒先端部位に配設され、不使用時には光軸に沿う後方に摺動してレンズ鏡筒の外周を覆う格納位置に配置され、使用時には光軸に沿う前方に摺動してレンズ鏡筒先端から繰り出された使用位置に配置されてレンズ鏡筒内部に入射する不要有害光を遮蔽するスライド格納式のレンズフード装置において、使用感を損ねること無く、使用時における落下や衝突等に起因する衝撃力等を吸収して装置の損傷を抑止し得る構造を備えたレンズフード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のレンズフード装置は、レンズ鏡筒先端に取り付け可能な環状部材と、上記環状部材に対して、不使用時にはレンズ鏡筒の外周を覆う格納位置に位置し、使用時にはレンズ鏡筒先端から前方に繰り出されて不要光を遮蔽する使用位置に位置するスライド可能なフード筒部と、上記フード筒部に配置され、当該フード筒部に対して円弧状部が円周方向に往復回動可能で、かつ当該円弧状部が上記円周方向の一方向に付勢された回動部材と、上記フード筒部が上記不使用時の位置から上記使用時の位置へ移動させた際に、上記回動部材を上記付勢に抗して回動させ、上記回動部材を上記環状部材に係止させる係止手段と、を具備し、上記係止手段は、上記環状部材及び上記回動部材の一方に配置された係合部と他方に配置された被係合部とからなり、上記使用時に上記係合部と上記被係合部とが係止している状態で、上記フード筒部に所定以上の光軸方向外力が掛けられた際には、上記係合部と上記被係合部との係止が解除され、上記回動部材が上記一方向の付勢に抗して上記円周方向の他方向へ回動することにより上記フード筒部が光軸方向へ移動可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズ鏡筒先端部位に配設され、不使用時には光軸に沿う後方に摺動してレンズ鏡筒先端寄りの外周を覆う格納位置に配置され、使用時には光軸に沿う前方に摺動してレンズ鏡筒先端から繰り出された使用位置に配置されてレンズ鏡筒内部に入射する不要有害光を遮蔽するスライド格納式のレンズフード装置において、使用感を損ねること無く、使用時における落下や衝突等に起因する衝撃力等を吸収して装置の損傷を抑止し得る構造を備えたレンズフード装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のレンズフード装置を分解して示す分解斜視図
図2図1のレンズフード装置をレンズ鏡筒に装着した状態において使用位置に配置した状態の縦断面の一部を示す図
図3図1のレンズフード装置をレンズ鏡筒に装着した状態において不使用時の格納位置に配置した状態の縦断面の一部を示す図
図4図1のレンズフード装置におけるフード本体の一部と係止部材を拡大して示す要部拡大斜視図
図5図1のレンズフード装置における係止手段の配設部位を拡大して示し、係止状態が解除される際の作用を示す図であって、レンズフード装置が係止手段によって係止されている位置ロック状態を示す図
図6図5の状態においてレンズフード装置の前面から光軸に略沿う方向からの外力が加わった時、係止手段による位置ロック状態が解除されつつある途中状態を示す図
図7図6の状態からさらに時間が経過して係止手段による位置ロック状態が解除された状態を示す図
図8図1のレンズフード装置における係止手段の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度に示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を各構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これら各図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率,各構成要素の相対的な位置関係等に関し、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のレンズフード装置を分解して示す分解斜視図である。図2図3は、本実施形態のレンズフード装置をレンズ鏡筒に装着した状態の縦断面の一部を示す図である。このうち、図2はレンズフード装置が使用位置にある状態を示している。図3はレンズフード装置が不使用時の格納位置にある状態を示している。図4は、本実施形態のレンズフード装置におけるフード本体の一部と係止部材を拡大して示す要部拡大斜視図である。図5図6図7は、本実施形態のレンズフード装置における係止手段の配設部位を拡大して示し、係止状態が解除される際の作用を示す図である。このうち、図5は本実施形態のレンズフード装置が係止手段によって係止されている位置ロック状態を示している。図6図5の状態においてレンズフード装置の前面から光軸に略沿う方向からの外力が加わった時、係止手段による位置ロック状態が解除されつつある途中状態を示している。図7図6の状態からさらに時間が経過して係止手段による位置ロック状態が解除された状態を示している。図8は、本実施形態のレンズフード装置における係止手段の変形例を示す図である。
【0014】
本実施形態のレンズフード装置1は、撮像装置等(不図示)におけるレンズ鏡筒(符号50;図2図3参照)の先端部位に配設することで、レンズ鏡筒50の内部に入射する不要有害光を遮蔽するアクセサリ装置である。また、本実施形態のレンズフード装置1は、不使用時にはレンズ鏡筒50の光軸O(図1参照)に沿って後方に摺動して当該レンズ鏡筒50の先端寄りの外周を覆う格納位置に配置される一方、使用時には同光軸Oに沿って前方に摺動して当該レンズ鏡筒50の先端側に向けて繰り出された使用位置に配置される形態の所謂スライド格納式のレンズフード装置である。
【0015】
本実施形態のレンズフード装置1の詳細構成を以下に説明する。図1に示すように、本実施形態のレンズフード装置1は、外装カバー11と、フード筒部12と、当該フード筒部12をレンズ鏡筒50における所定の格納位置と所定の使用位置とにそれぞれ係止するための係止手段(詳細構成は後述する)等の複数の構成部材によって主に構成されている。
【0016】
フード筒部12は、略円筒形状に形成される筒状部材であってフード本体部を構成する。このフード筒部12は、レンズ鏡筒50における所定の使用位置に配置された時に、当該レンズ鏡筒50の内部に入射する不要有害光を遮蔽するための部材である。
【0017】
フード筒部12の後端寄りの部位には、当該レンズフード装置1における上記係止手段が配設されている。また、フード筒部12の外周面のうち後端寄りの一部の領域、即ち上記係止手段が配設されている領域以外の領域を覆うように外装カバー11が固設されている。この外装カバー11は、フード筒部12の外周面に沿って形成された略円筒形状の筒状部材である。
【0018】
上記係止手段は、スライドリング13,操作環14,抜止リング15,係止部材16等の主要構成部材のほか、付勢部材17,抜止ピン18,ボール19,板バネ20等の複数の構成部材によって構成されている。
【0019】
スライドリング13は、略円環形状に形成される環状部材である。このスライドリング13は、フード筒部12に内装され光軸Oに沿う方向に摺動して進退自在に配設されている。このスライドリング13の内周面には、レンズ鏡筒50の先端外周面に設けられたフード取付部であるバヨネット溝(符号50a;図2図3参照)に対してバヨネット嵌合するバヨネット嵌合部13e(図1図3参照)が形成されている。
【0020】
なお、フード装置をレンズ鏡筒先端部にバヨネット嵌合によって取り付けるための構成については、従来より普及している一般的な構造が適用されているものとして、その詳細構成の説明は省略する。
【0021】
つまり、上記スライドリング13は、レンズ鏡筒先端に取り付けられる取付部材であって、フード筒部12に対して光軸Oに沿う方向に相対移動可能に設けられた環状部材である。そして、このスライドリング13は、当該レンズフード装置1の不使用時には、上記フード筒部12を光軸Oに沿って後方へと移動させる第1の位置(格納位置)に配置し、すなわち、スライドリング13自身はフード筒部12の光軸前方に位置する。そして当該レンズフード装置1の使用時には、上記フード筒部12をレンズ鏡筒先端より前方へと繰り出した第2の位置(使用位置)、すなわちスライドリング13自身はフード筒部12の光軸後方に位置する部材である。そのためのスライドリング13の詳細構成を以下に説明する。
【0022】
スライドリング13の外周面上には、複数のボール19及び複数の板バネ20が配設されている。スライドリング13の外周面上には、周溝13aが複数形成されている。そのそれぞれには一つのボール19及び一つの板バネ20が配設されている。この複数の周溝13aは、周方向に延びる有底の凹溝形状に形成されていて、各周溝13aは、当該スライドリング13の周方向に略等間隔となる位置に形成されている。なお、本実施形態において、上記複数の周溝13aは、スライドリング13の周方向に略等間隔を置いて6つ設けた例を示している。これに応じて、本実施形態においては、ボール19及び板バネ20も、それぞれ6個ずつ設けて構成されている。
【0023】
上記複数の周溝13aの内部には、弾性力を有する板バネ20がそれぞれに一枚ずつ収納配置されている。各板バネ20の略中央部近傍であって外周側には、ボール19が一個ずつ配設されている。この場合において、上記各ボール19が配設される部位のそれぞれの近傍であって、上記各周溝13aの周縁部には、上記各ボール19を光軸Oに沿う方向に挟み込む各位置において、外周に向けて突設される凸部であるリブ13b,13c(図5等参照;詳細後述)が形成されている。これらのリブ13b,13cは、ボール19の光軸O方向への移動を抑止して、当該ボール19が当該所定の位置にて転動のみを行い得るように位置規制するための構成部となっている。
【0024】
このような構成により、上記スライドリング13は、上記板バネ20に付勢されたボール19をフード筒部12との間に挟持した状態で、フード筒部12の内周側に内装されている。換言すると、上記各ボール19は、スライドリング13の周溝13a内の板バネ20とフード筒部12の内周面との間で挟持されるように配設されている。そして、このとき、各板バネ20の弾性力は、ボール19をフード筒部12の径方向の内周面に向けて付勢するように構成されている。また、ボール19はリブ13b,13cによって光軸Oに沿う方向への移動が規制され、スライドリング13の光軸O方向への移動に関わらず、その場においての転動のみが許容され、かつ、スライドリング13の径方向への往復移動が可能となるように構成されている。
【0025】
ここで、フード筒部12の内周面において、上記各ボール19が当接する部位には、複数のガイド溝12aの底が形成されている。各ガイド溝12aは、それぞれが各ボール19に対応して設けられ、各ボール19の光軸Oに沿う方向への転動を許容しつつ、各ボール19の転がり方向をガイドする部位である。そのために、各ガイド溝12aは、上記フード筒部12の内周面において、周方向に略等間隔となる各位置に、ボール19と同数だけ、光軸Oに沿う溝状に形成されている。
【0026】
なお、各ガイド溝12aの溝幅は、上記ボール19の直径よりも小となるように、かつボール19がガイド溝12aの底に完全に落ち込まない程度となるように設定されている。また、各ガイド溝12aの先端縁部と後端縁部とにおいては、溝幅が若干幅広となる幅広部位12aa(図1参照;先端縁部のみ図示され後端縁部は図示されていない)が形成されている。この場合において、上記ガイド溝12aの幅広部位12aaは、その溝幅が最先端縁部(最後端縁部も同様)に向けて徐々に広がるように、いわゆるテーパ形状で広がるように形成されている。
【0027】
このような構成によって、各ガイド溝12aの両端部近傍以外の部位(通常の溝幅部位)においては、ボール19は、ガイド溝12aの溝内に完全に落ち込まないように、即ちガイド溝12aの開口エッジ部にボール19の外周面が当接した状態が維持されたままで、光軸Oに沿う方向に転動自在となっている。つまり、ボール19がガイド溝12aにおける通常の溝幅部位にある時には、ボール19は、光軸Oに沿う方向に転動する。これによって、スライドリング13は、光軸Oに沿う方向に摺動し進退移動が自在となっている。
【0028】
一方、ガイド溝12aの両端部近傍の幅広部位12aaにおいては、ボール19は徐々に溝内へと落ち込むことになる。ボール19が幅広部位12aaに落ち込んだ状態になると、スライドリング13は、その位置において係止される構成となっている。このようにスライドリング13が係止状態にある時、即ちガイド溝12aの両端部近傍の幅広部位12aaにボール19が落ち込んだ状態にある時に、例えば使用者(ユーザ)がフード筒部12を光軸Oに沿う方向に向けて移動させたとする。すると、ボール19はガイド溝12aの溝幅が徐々に狭まるのに応じて徐々に幅広部位12aaから脱出してガイド溝12aの通常の溝幅部位へとスムースに移動するように構成されている。これにより、係止状態にあるスライドリング13を容易に摺動自在な状態に移行せしめることができるように構成されている。
【0029】
なお、各ガイド溝12aの最先端部位と最後端部位とには、ボール脱落阻止壁が設けられている。このボール脱落阻止壁は、当該ガイド溝12aの広幅部位にて落ち込んだボール19がフード筒部12の光軸Oに沿う前後方向に脱落するのを防止する部位である。
【0030】
このような構成により、スライドリング13をフード筒部12に内装配置した時には、各周溝13a内の各板バネ20が各ボール19をフード筒部12の各ガイド溝12aへと付勢する。これによって、スライドリング13は、フード筒部12の内周面上においてガイド溝12aの範囲内で光軸Oに沿う方向にスムーズに進退移動するように構成されている。
【0031】
なお、スライドリング13の外周面上において、上記ボール19及び板バネ20が配設される各周溝13aのそれぞれの近傍には、外方に向けて突設される凸形状の凸部である複数のリブ13b,13c,13dが光軸Oに沿う方向に並べて形成されている。これらの複数のリブ13b,13c,13dは、その一部(13b,13c)が上述したようにボール19の光軸O方向への移動を抑止し同時に脱落を防止するサポート部として機能している。また、これら複数のリブ13b,13c,13dの他の一部(13c,13d)は、上記係止手段の係止部材16(の爪部16bb;図5等参照。詳細後述)を係合することによって当該レンズフード装置1の位置ロック状態を保持する係止手段として機能する。
【0032】
ここで、位置ロック状態とは、当該レンズフード装置1を所定の格納位置若しくは所定の使用位置のそれぞれの位置を維持し得ている状態を言う。これら複数のリブ13b,13c,13dの詳細は後述する(図5図7参照)。
【0033】
操作環14は、略円環形状に形成される環状部材である。この操作環14は、使用者(ユーザ)による所定方向への回動操作を受けて当該レンズフード装置1の位置ロック状態を解除するための操作部材である。そのために、この操作環14は、フード筒部12の後端寄りの外周面を覆うように外装配置されており、かつ光軸O周りに所定の回動範囲内で回動自在に配設されている。
【0034】
なお、抜止リング15は、フード筒部12の最後端部に設けられ、略円環形状に形成される環状部材である。この抜止リング15は、上記操作環14が光軸Oに沿う方向においてフード筒部12から後方側へ向けて脱落するのを防止するために設けられる抜け止め防止用の構成部材である。
【0035】
係止部材16は、上記フード筒部12に設けられ、円周方向の一方向に付勢されて上記フード筒部12の該円周方向に相対的に往復回動可能に配設される回動部材である。
【0036】
即ち、係止部材16は、当該レンズフード装置1の各位置における位置ロック状態を維持すると共に、上記操作環14の所定方向への回動操作が行われた時にはこれに連動して当該レンズフード装置1の位置ロック状態を解除する機能を有する構成部材である。そのために、上記操作環14の内周面には、係止部材16の所定の部位(後述する一端16g)が当接するための光軸O方向に延びかつ内径方向に盛り上がった連動部14aと、上記フード筒部12の所定の部位(周方向壁面12f;図4参照)に当接するための光軸O方向に延びかつ内径方向に盛り上がった回動規制部14bと、が円周方向に互いが離間し、係止部材16の円弧状部16aの円周方向の長さより十分に長く形成されている(図1参照)。また、ここで、連動部14aは、操作環14が使用者(ユーザ)によって回動操作されたときに、操作環14の回動を係止部材16へと伝達すると共に、通常状態時には係止部材16の一方向への回転を規制している。また、回動規制部14bは、操作環14が使用者(ユーザ)によって回転操作されたときに、所定範囲以上に回転しないように、上記フード筒部12の周方向壁面12fに当接することによって、その回転を規制する。
【0037】
係止部材16は、フード筒部12の後端寄りの外周面上において、周方向に略等間隔となる各位置に複数配置されている。本実施形態には、3個の係止部材16を周方向に略等間隔(角度約120度間隔)に配設した例を示している(図1参照)。
【0038】
ここで、係止部材16の詳細構成及びフード筒部12に対する係止部材16の配置についての詳細を、主に図4の拡大図を参照しながら説明する。
【0039】
係止部材16は、円弧状部16aと、二つの腕部16bとによって形成されている。上記円弧状部16aは、フード筒部12の外周面に沿う円弧形状に合わせた略円弧状の薄板部材によって形成されている。上記二つの腕部16bは、上記円弧状部16aの周方向両端部位のそれぞれに形成されている。なお、上記二つの腕部16bは、略同形状で略同サイズに形成されている部位である。また、上述したように、本実施形態においては、係止部材16は、周方向に略等間隔に3個設けている。このことから、上記腕部16bは、全部で6個設けられることになる。そして、これら6個の腕部16bは、当該係止部材16がフード筒部12の外周面上に取り付けられた時には、周方向に略等間隔に配設されるように、各腕部16bの係止部材16上における形成位置が設定されている。
【0040】
腕部16bは、図4に示すように、上記円弧状部16aのフード筒部12の円筒中心軸と平行の方向である側方に向けて突出し、かつ同円弧状部16aに対してフード筒12の円筒中心に向かって径方向である下方への段差(図2図3参照)を有して形成されている。さらに、上記腕部16bには、上記円弧状部16aと並行方向に即ち周方向に延びる凸形状の凸部である爪部16bb(被係合部)が形成されている。この爪部16bbの先端部分は、両サイドが傾斜状に切り欠かれた形態、即ち略楔形状に形成されている。
【0041】
このように形成された係止部材16は、フード筒部12の外周面上の所定の部位、即ち図4において符号12b,12dで示す部位に配設される。以降、係止部材16が配設される当該部位(12b,12d)を係止部材配設部位というものとする。
【0042】
ここで、図4に示すように、係止部材配設部位は、係止部材16における円弧状部16aが主に配設される第1部位12bと、係止部材16における腕部16bが主に配設される第2部位12dとを有して形成されている。
【0043】
係止部材配設部位の第1部位12bは、当該フード筒部12の外周面に対して凹状に形成され、かつ周方向に所定の長さを有している。ここで、第1部位12bの凹状の深さは、円弧状部16aの厚さと略同等に設定されている。これにより、当該第1部位12bに係止部材16の円弧状部16aを配設した時、その外表面は、フード筒部12の係止部材配設部位12bよりも前方寄りの外周面とが略同一平面となるように設定されている。
【0044】
また、第1部位12bの周方向の長さは、上記係止部材16の円弧状部16aの周方向の長さよりも十分に大となるように設定されていて、かつ連動部14aの回動規制部14bとの離間距離より十分に大となるように設定されている。この構成により、係止部材16の係止部材配設部位における周方向の所定の範囲における移動が確保されている。なお、図4においては、係止部材配設部位の第1部位12bの周方向における一端を符号12baで示し周方向一端とし、他端を符号12bbで示し周方向他端とする。ここで、係止部材16の円弧状部16aは、係止部材配設部位の第1部位12b内において周方向に移動可能となっている。この場合において、第1部位12bの一端側の符号12hで示す径方向に凹んだ凹状の領域には、上記操作環14の連動部14a(図1参照)が配設されるようになっている。このとき、連動部14aの円周方向における一側面14aaは、上記一端領域12hの周方向一端12baに当接した状態で配置される。この状態で、係止部材16は、その一端16gが上記操作環14の連動部14aの円周方向における他側面14abに当接した状態で配置される。
当該レンズフード装置1の組み立て時には、フード筒部12の外周の所定位置に、係止部材16が配設され、さらにその外周側に操作環14が配設されることになる。このとき、上述したように、操作環14の連動部14aが、第1部位12bの一端領域12h内に配設される。ここで、係止部材16は、その一端16gが、上記操作環14の連動部14aの上記他側面14abに当接した状態で配設される。同時に、連動部14aの上記一側面14aaが周方向一旦2baに当接した状態で配設される。換言すると、操作環14の連動部14aは、第1部位12bの一端領域12hの周方向一端12baと係止部材16の一端16gとの間に挟持された形態で配設される。この構成により、係止部材16は、周方向において、一端16gが、連動部14aを介して周方向一端12baにおいて回転規制されており、回転規制部14bはロック動作時の係止部材16単体が周方向に移動した時にも係止部材16の他端16hに当たらないように充分な距離を保ち、なおかつ操作環14を回動させたときに他端12bbに当たらないように充分な距離を保つ位置に配置されるため係止部材16は、フード筒部12と操作環14とに対し周方向に光軸Oを中心とした相対回動移動が可能となっている。なお、図4に示すように、係止部材16の円弧状部16aの光軸方向の一側面(前側)は、当該フード筒部12の第1部位12bの前側周壁部12gaに沿って配置され、腕部16bの光軸方向の他側面(後側)は、後側周壁部12gbに沿って配置されている。この構成によって、係止部材16は、光軸Oに沿う方向においての位置規制がなされている。したがって、係止部材16は、フード筒部12の外周面上において、周方向の所定の範囲内でのみ摺動自在とされている。
【0045】
さらに、第1部位12bの中程の部位には、当該フード筒部12の外周面に対して凹状で周方向に延びる長溝12cが形成されている。この長溝12cについては、周方向の一端を符号12caで、他端を符号12cbで示している。また、当該長溝12cの他端12cb側には、さらに、同じ周方向に延びる狭幅の凹溝部12ccが形成されている。
【0046】
そして、当該長溝12cには付勢部材17が配設されている。この場合において、付勢部材17は、一端が上記長溝12cの一端12caに、他端が同長溝12cの他端12cbにそれぞれ当接した状態となるように、予め圧縮された状態(蓄勢された状態)で当該長溝12c内に配設されている。そのために、付勢部材17としては、例えばコイルスプリング等が適用される。
【0047】
係止部材16の円弧状部16aを係止部材配設部位の第1部位12bに配置した時、上記円弧状部16aは、上記長溝12cを覆うように配設される。このとき、上記円弧状部16aの裏面側に突設されたフック部16dが、上記長溝12cの狭幅凹溝部12ccに係入配置される(図4参照)。
【0048】
したがって、この構成により、使用者(ユーザ)が操作環14を係止解除動作のために所定の方向へと回動操作すると、これに連動して係止部材16が同方向(図4に示す矢印R1方向)に移動する。このとき、係止部材16の円弧状部16aのフック部16dは、狭幅凹溝部12ccに沿って同方向に移動する。フック部16dは、やがて付勢部材17の一端に当接し、これを、その付勢力に抗して圧縮させるように作用する。ここで、使用者(ユーザ)が操作環14へ与えている回動力量を解除すると、操作環14及び係止部材16は、付勢部材17の付勢力によってフック部16dを介して、所定の方向(図4の矢印R1とは反対方向)へと回動し、所定の位置に戻されるように構成されている。つまり、付勢部材17は、上記係止部材16を所定の係止位置に維持させるために配設されている。
【0049】
一方、係止部材配設部位の第2部位12dは、上述したように、係止部材16における腕部16bが主に配設される部位である。上述したように、係止部材16の腕部16bは、円弧状部16aに対して下方段差となっている。したがって、係止部材配設部位の第2部位12dは、上記第1部位12bの近傍においてフード筒部12の後端縁部に形成されており、かつここに配設される係止部材16の腕部16bに合わせて、上記第1部位12bから径方向である下方への段差を有して形成されている。さらに、第2部位12dには、爪部16bbが嵌入して周方向に延びる内周面に貫通する長孔12eが形成されている。
【0050】
したがって、このような構成により、係止部材16をフード筒部12に取り付ける際には、まず、係止部材16の円弧状部16aを係止部材配設部位の第1部位12bに配設し、同時に、同係止部材16の腕部16bを係止部材配設部位の第2部位12dに配設する。すると、係止部材16の爪部16bbは、長孔12eを介してフード筒部12の内周側に内装配置されているスライドリング13の外周面上の所定の部位(リブ13cとリブ13dとの間に挟まれるよう)に配設される(図5図7参照)。
【0051】
ここで、リブ13c,13dは、上記スライドリング13(環状部材)に設けられた部位であって、係止部材16の爪部16bbを係合する係合部である。また、爪部16bbは、上記係止部材16(回動部材)に設けられた部位であって、スライドリング13(環状部材)が格納位置(第1の位置)と使用位置(第2の位置)とに配置された時に、付勢部材17による付勢力に抗してリブ13c,13d(係合部)間に係合する被係合部である。このように本実施形態のレンズフード装置1における係止手段は、上記係合部であるリブ13c,13dと、被係合部である爪部16bbとによって形成されている。
【0052】
そして、上記係止手段による係合状態は、係止部材16(回動部材)を付勢部材17の付勢力に抗して回動させることで意図的に解除させ得る一方、スライドリング13(環状部材)が使用位置(第2の位置)にある時にフード筒部12に所定以上の外力が光軸O方向に掛けられた時に自動的に解除されるように構成されている。
【0053】
なお、フード筒部12の外周面上において、後端寄りの部位に、操作環14が光軸Oに沿う方向において後方へ抜け落ちてしまうのを抑えるための抜止ピン18が、当該フード筒部12の径方向外方に向けて圧入等の手段によって植設されている。
【0054】
ここで、図5図7は、本レンズフード装置1の係止手段において、係止部材16の爪部16bbが配設される部位近傍を拡大して示している。なお、同図においては、係止部材16の一部(腕部16b,爪部16bb)と、スライドリング13の一部(リブ13b,13c,13d)とを図示している。この場合において、スライドリング13のうちの一部(ボール19,板バネ20の配設部位)が図示されているが、この部分は、実際にはフード筒部12の一部によって覆い隠される部分である。上記図5図7においては、図面の煩雑化を避けるために、フード筒部12の図示を省略している。
【0055】
上述したように、フード筒部12の所定の部位に、係止部材16を配設した状態では、当該係止部材16の爪部16bbは、フード筒部12の長孔12eを介してスライドリング13の外周面上の所定の部位、即ち図5に示すように、リブ13cとリブ13dとの間の部位に配設される。これにより、係止部材16は、リブ13cとリブ13dとによって爪部16bbが挟持されていることから、係止部材16が光軸Oに沿う方向へと移動するのを規制された状態、即ち上述した位置ロック状態となっている。
【0056】
この状態にある時、係止部材16は、円弧状部16aの一端16gが操作環14の連動部14aに当接した状態になる。この連動部14aは、係止部材配設部位の第1部位12bの周方向一端12baに当接した状態にある。そして、係止部材16のフック部16dは狭幅凹溝部12cc内において付勢部材17の一端に当接した状態となっている。したがって、図5に示す状態においては、係止部材16は、図5の矢印R方向への移動は規制されている。同時に、係止部材16は、当該矢印Rとは反対方向(反R方向)には、付勢部材17の付勢力が働いているため、自然状態ではこれ以上の回動が規制されている。
【0057】
この状態において、使用者(ユーザ)が、操作環14を例えば図5の矢印Y1方向(反R方向)へ向けて光軸O周りに回動操作すると、この回動操作に応じて係止部材16は、付勢部材17の付勢力に抗して同方向へと移動する。すると、爪部16bbは矢印Y1方向へと次第に移動し、やがて爪部16bbは、二つのリブ13c,13dの間において光軸Oに沿う方向で挟まれた状態から脱する。つまり、図5の状態から図6の状態を経て図7の状態へと移行する。この状態になったとき、使用者(ユーザ)はフード筒部12を光軸Oに沿う方向へ、所定の範囲(ガイド溝12aの範囲内)で自由に移動させることができる。なお、操作環14は、回動規制部14bが周方向壁面12f(図4参照)に当接することで回転規制されている。したがって、操作環14と共に回動する係止部材16の回転移動も所定の範囲内となるように規制されている。
【0058】
なお、図5に示す位置ロック状態は、レンズフード装置1が所定の格納位置若しくは所定の使用位置のいずれかにあるときの状態である。ここで、当該レンズフード装置1が所定の使用位置にあって位置ロック状態にある時に、例えば図5の矢印Fで示す方向(光軸Oに略沿う方向)からの外力負荷が加わった場合を考えてみる。
【0059】
まず、この状態にあるとき(レンズフード装置1が使用位置で位置ロック状態にあるとき)に、例えばレンズフード装置1のフード筒部12の先端面を机上面に対向させて、当該レンズフード装置1を装着したレンズ鏡筒附きの撮像装置(不図示)を載置したとする。このとき、当該レンズフード装置1の係止部材16(の爪部16bb)には、レンズ鏡筒及び撮像装置(不図示)の重量分の負荷が外力として加わることになる。
【0060】
このような場合には、本レンズフード装置1は、係止部材16による係止状態が維持されるように、付勢部材17の付勢力や係止部材16の爪部16bb等の形状等が設定されている。
【0061】
一方、同状態において、例えば当該レンズフード装置1を装着したレンズ鏡筒附きの撮像装置(不図示)を使用中においてレンズフード装置1の先端面に向けて意図しない外力負荷(例えば落下衝撃,衝突衝撃等に起因する外力等)が加わった場合を想定してみる。
【0062】
このような場合には、上記外力Fは、フード筒部12を介してそのまま係止部材16に対して伝達される。すると、係止部材16は、スライドリング13に対して外力Fと同方向、即ち光軸Oに沿う方向へ移動しようとする。このとき、係止部材16は、爪部16bbとリブ13c,13dとの係止状態によって光軸Oに沿う同方向への移動が規制されている。したがって、外力が弱い場合には、係止部材16は、当該位置ロック状態を維持し得る。
【0063】
一方、このとき受けた外力が充分に大きい場合、例えばその外力をそのまま受け止めたとすると係止部材16の爪部16bbやリブ13d等が損壊してしまうほどの力量である場合には、爪部16bbの傾斜面がリブ13dの端部に沿って移動する。これにより、係止部材16は、付勢部材17の付勢力に抗して図5の矢印Y1方向へと退避するように回動移動する。この時、操作環14の連動部14aと回動規制部14bとの間の周方向の距離は円弧状部16aの周方向長さより充分に大きいので係止部材16の他端16hと回動規制部14bとの間の周方向には充分な空間部が存在している。したがって、係止部材16は単独で周方向に回動移動する。そして、図5の状態から図6の状態を経て図7の状態へと移行する。
【0064】
さらに、図7の状態において、外力が継続して加わっていると、このとき上記爪部16bbによる位置ロック状態(係止状態)は解除されているので、フード筒部12は格納位置へ向けてスライドする。つまり、このとき受けた外力はレンズフード装置1のスライド移動によって吸収される。
【0065】
以上説明したように上記一実施形態のレンズフード装置1によれば、レンズ鏡筒先端部位に配設され、不使用時には光軸Oに沿う後方に摺動してレンズ鏡筒先端寄りの外周を覆う格納位置に配置され、使用時には光軸Oに沿う前方に摺動してレンズ鏡筒先端から繰り出された使用位置に配置されてレンズ鏡筒内部に入射する不要有害光を遮蔽するスライド格納式のレンズフード装置1において、通常時には、係止部材16の爪部16bbがスライドリング13のリブ13c,13d間で係止されていることによって、当該レンズフード装置1の使用位置若しくは格納位置を維持するように構成される。
【0066】
レンズフード装置1が位置ロック状態にあるときには、操作環14を回動操作するのみで、上記位置ロック状態を容易に解除して、レンズフード装置1を使用位置若しくは格納位置へとスライド移動させることができる。
【0067】
さらに、レンズフード装置1が使用位置において位置ロック状態にあるときには、ある程度の外力が加わっても所定の位置ロック状態を維持することができる。具体的には、例えば、レンズフード装置1が使用位置で位置ロック状態にあるときに、例えばレンズフード装置1のフード筒部12の先端面を机上面に対向させて、当該レンズフード装置1を装着したレンズ鏡筒附きの撮像装置(不図示)を載置したような場合でも、位置ロック状態が維持されるので、レンズフード装置1の使用感を損ねてしまうことはない。
【0068】
一方、落下衝撃,衝突衝撃等に起因する大きな外力が加わった場合には、係止部材16は、受けた外力をそのまま受け止めてしまうことなく、位置ロック状態(係止状態)を解除することによって受けた外力を吸収することができる。よって、当該レンズフード装置1を装着したレンズ鏡筒や撮像装置への悪影響を及ぼすこと無く、レンズフード装置1の部品損壊等を抑止することができる。
【0069】
また、使用者(ユーザ)は、操作環14を光軸O周りの所定の回動方向に所定量だけ回動させるだけの極めて容易な操作のみで、係止部材16の爪部16bbによる位置ロック状態(係止状態)を意図的に解除することができる。したがって、極めて操作性の良好な、格納式のレンズフード装置1を提供することができる。
【0070】
上述の一実施形態のレンズフード装置1においては、係止部材16の爪部16bbの先端部分の形状を、両サイドを傾斜状に切り欠いた略楔形状として形成している。この爪部16bbの形態としては、上述した形態に限られることは無い。係止部材16にかかる外力に応じて、所定の力量を受けた時に係止状態を維持しつつ、所定以上の力量を受けた時に係止状態を解除することができるような形状であれば、別の形状であっても構わない。
【0071】
例えば図8に上記一実施形態のレンズフード装置における係止部材の爪部についての別の形態を示す。図8に示すように、当該変形例の係止部材16Aは、爪部16Abbの先端部分の形状は略半円状に形成されている。このような形状としても上記一実施形態と全く同様の効果をうることができる。
【0072】
また同様に、係止部材16の爪部16bbを挟む二つのリブ13c、13dの爪部16bbと対向する部分を略半円状に形成してもよい。
【0073】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1……レンズフード装置,
11……外装カバー,
12……フード筒部,
12a……ガイド溝,
12aa……幅広部位,
12b……係止部材配設部位の第1部位,
12ba……周方向一端,
12bb……周方向他端,
12c……長溝,
12ca……一端,
12cb……他端,
12cc……狭幅凹溝部,
12d……係止部材配設部位の第2部位
12e……長孔,
13……スライドリング,
13a……周溝,
13b,13c,13d……リブ,
13e……バヨネット嵌合部,
14……操作環,
14a……連動部,
15……抜止リング,
16,16A……係止部材,
16a……円弧状部,
16b……腕部,
16bb,16Abb……爪部,
16d……フック部,
16g……一端,
16h…他端,
17……付勢部材,
18……抜止ピン,
19……ボール,
20……板バネ,
50……レンズ鏡筒,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8