特許第6423245号(P6423245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6423245
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20181105BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20181105BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A61B1/045 610
   A61B1/06 612
   G02B23/24 B
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-219674(P2014-219674)
(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公開番号】特開2016-83300(P2016-83300A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 佑一
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 美沙
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−327466(JP,A)
【文献】 特開2012−152314(JP,A)
【文献】 特開平04−069615(JP,A)
【文献】 特開2011−143131(JP,A)
【文献】 特開2012−125289(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0147166(US,A1)
【文献】 特開2012−115514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明するための照明光として白色光を供給するように構成された光源装置と、
前記光源装置から供給される前記白色光を前記被写体へ出射するように構成された光出射部と、
前記光出射部を経て出射された前記白色光が前記被写体において反射及び/または散乱することにより発生する光である戻り光と、前記光出射部を経て出射された前記白色光以外の外的要因により発生する光である外光と、が入射されるように構成された光入射部と、
前記光入射部から入射した光に応じて形成される光学像を撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、
前記撮像信号に応じて生成された画像のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランスゲイン値を算出するように構成されたゲイン値算出部と、
前記画像のホワイトバランス調整を行わせるための指示がなされたことを検知した際に、前記白色光の光量を複数の設定光量に段階的に変化させるための制御を前記光源装置に対して行うとともに、前記複数の設定光量に対応するホワイトバランスゲイン値をサンプリング値としてそれぞれ算出させるための制御を前記ゲイン値算出部に対して行うように構成された制御部と、
前記サンプリング値に基づき、前記ゲイン値算出部により算出されるホワイトバランスゲイン値の、前記白色光の前記設定光量の変化に伴う変動が所定の許容範囲内に収まる設定光量におけるホワイトバランスゲイン値を設定値として取得するための処理を行うように構成された設定値取得部と、
前記設定値を用いて前記画像のホワイトバランス調整を行うように構成されたホワイトバランス調整部と、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記設定値取得部は、前記処理として、前記サンプリング値に基づき、前記光入射部に前記戻り光のみが入射されると仮定した場合のホワイトバランスゲイン値を基準値として算出し、さらに、当該算出した基準値に対する差異が所定の許容範囲内に収まる各サンプリング値に基づき、前記設定値を取得する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記設定値取得部は、前記処理として、前記サンプリング値に基づき、前記ゲイン値算出部において算出されるホワイトバランスゲイン値が所定の許容範囲内に収まる設定光量を特定し、さらに、当該特定した設定光量の前記白色光が実際に前記光源装置から出射された際に前記ゲイン値算出部において算出されるホワイトバランスゲイン値を前記設定値として取得する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記撮像部は、前記光入射部から入射した光に応じて形成される光学像を、赤色、緑色及び青色の波長帯域毎に分離して撮像するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記撮像部は、前記光入射部から入射した光に応じて形成される光学像を、シアン、マゼンタ、黄色及び緑色の波長帯域毎に分離して撮像するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、被写体を照明するための照明光として白色光を用いる内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡等の撮像装置においては、例えば、被写体を撮像して得られる画像の色合いを、当該被写体を肉眼で見た場合と同様の自然な色合いに近づけるためのホワイトバランス調整が従来行われている。
【0003】
内視鏡のホワイトバランス調整においては、例えば、特許文献1に開示されたホワイトバランス調整用補助具等のような、内視鏡の照明光学系を経て出射された照明光以外の外的要因により発生する光(以降、単に外光とも称する)を遮断した環境下で白色の被写体を撮像することが可能な専用の器具を用いた作業が一般的に行われている。また、内視鏡のホワイトバランス調整においては、前述の専用の器具を用いた作業が実質的に困難な場合に、例えば、ガーゼまたは白色の紙等の代用の被写体を用いた作業が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前述の代用の被写体を用いてホワイトバランス調整を行う場合においては、外光の遮断が不十分な環境下で当該被写体が撮像されることに起因し、ホワイトバランス調整の調整結果を適用した画像の色再現性が低下してしまう、という問題点が生じている。
【0005】
しかし、特許文献1には、前述の問題点を解消可能な手法等について特に言及されておらず、すなわち、前述の問題点に応じた課題が依然として存在している。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、外光の遮断が不十分な環境下でホワイトバランス調整を行った場合であっても、色再現性の高い画像を得ることが可能な内視鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の内視鏡システムは、被写体を照明するための照明光として白色光を供給するように構成された光源装置と、前記光源装置から供給される前記白色光を前記被写体へ出射するように構成された光出射部と、前記光出射部を経て出射された前記白色光が前記被写体において反射及び/または散乱することにより発生する光である戻り光と、前記光出射部を経て出射された前記白色光以外の外的要因により発生する光である外光と、が入射されるように構成された光入射部と、前記光入射部から入射した光に応じて形成される光学像を撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、前記撮像信号に応じて生成された画像のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランスゲイン値を算出するように構成されたゲイン値算出部と、前記画像のホワイトバランス調整を行わせるための指示がなされたことを検知した際に、前記白色光の光量を複数の設定光量に段階的に変化させるための制御を前記光源装置に対して行うとともに、前記複数の設定光量に対応するホワイトバランスゲイン値をサンプリング値としてそれぞれ算出させるための制御を前記ゲイン値算出部に対して行うように構成された制御部と、前記サンプリング値に基づき、前記ゲイン値算出部により算出されるホワイトバランスゲイン値の、前記白色光の前記設定光量の変化に伴う変動が所定の許容範囲内に収まる設定光量におけるホワイトバランスゲイン値を設定値として取得するための処理を行うように構成された設定値取得部と、前記設定値を用いて前記画像のホワイトバランス調整を行うように構成されたホワイトバランス調整部と、を有する
【発明の効果】
【0008】
本発明における内視鏡システムによれば、外光の遮断が不十分な環境下でホワイトバランス調整を行った場合であっても、色再現性の高い画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】実施例に係る内視鏡システムの内部構成の一例を説明するための図。
図3】実施例に係る内視鏡システムにおいて行われる処理の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
図1から図3は、本発明の実施例に係るものである。
【0012】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検体内に挿入されるとともに、当該被検体内における生体組織等の被写体を撮像して撮像信号として出力するように構成された内視鏡2と、当該被写体を照明するための照明光として白色光を内視鏡2に供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2から出力される撮像信号に対して信号処理を施すことにより映像信号を生成して出力するように構成されたビデオプロセッサ4と、ビデオプロセッサ4から出力される映像信号に応じた画像等を画面上に表示するように構成されたモニタ5と、を有している。図1は、実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0013】
内視鏡2は、細長の挿入部6を備えた光学視管2Aと、光学視管2Aの接眼部7に対して着脱可能なカメラユニット2Bと、を有して構成されている。
【0014】
光学視管2Aは、被検体内に挿入される細長の挿入部6と、挿入部6の基端部に設けられた把持部8と、把持部8の基端部に設けられた接眼部7と、を有して構成されている。
【0015】
挿入部6の内部には、図2に示すように、ケーブル13aを介して供給される照明光を伝送するためのライトガイド11が挿通されている。図2は、実施例に係る内視鏡システムの内部構成の一例を説明するための図である。
【0016】
ライトガイド11の出射端部は、図2に示すように、挿入部6の先端部における照明レンズ15の近傍に配置されている。また、ライトガイド11の入射端部は、把持部8に設けられたライトガイド口金12に配置されている。
【0017】
ケーブル13aの内部には、図2に示すように、光源装置3から供給される照明光を伝送するためのライトガイド13が挿通されている。また、ケーブル13aの一方の端部には、ライトガイド口金12に対して着脱可能な接続部材(不図示)が設けられている。また、ケーブル13aの他方の端部には、光源装置3に対して着脱可能なライトガイドコネクタ14が設けられている。
【0018】
挿入部6の先端面には、ライトガイド11により伝送された照明光を外部へ出射するための照明レンズ15が配置された照明窓(不図示)と、外部から入射される光に応じた光学像を得るための対物レンズ17が配置された対物窓(不図示)と、が相互に隣接して設けられている。
【0019】
挿入部6の内部には、図2に示すように、対物レンズ17により得られた光学像を接眼部7へ伝送するためのリレーレンズ18が設けられている。
【0020】
接眼部7の内部には、図2に示すように、リレーレンズ18により伝送された光学像を肉眼で観察可能とするための接眼レンズ19が設けられている。
【0021】
カメラユニット2Bは、図2に示すように、接眼レンズ19を経て形成された光学像を結像するための結像レンズ21と、結像レンズ21の結像位置に撮像面が配置されたCCDイメージセンサ(以降、CCDと略記する)22と、を有して構成されている。また、カメラユニット2Bは、ビデオプロセッサ4に対して着脱可能な信号コネクタ28を端部に設けた信号ケーブル27を有して構成されている。
【0022】
CCD22は、信号ケーブル27内の信号線を介してビデオプロセッサ4に接続されるように構成されている。また、CCD22は、結像レンズ21により結像された光学像を光電変換するための複数の画素(不図示)と、当該複数の画素を2次元状に配置した撮像面上に設けられた原色カラーフィルタ24と、を具備して構成されている。また、CCD22は、ビデオプロセッサ4から出力されるCCD駆動信号に応じ、結像レンズ21により結像された光学像を撮像する際の露光期間及び読出期間を設定するように構成されている。また、CCD22は、結像レンズ21により結像された(撮像面において受光された)光学像を撮像することにより撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号を信号ケーブル27が接続されたビデオプロセッサ4へ出力するように構成されている。
【0023】
原色カラーフィルタ24は、例えば、赤色域の光を透過するRフィルタと、緑色域の光を透過するGフィルタと、青色域の光を透過するBフィルタと、をCCD22の各画素に対応する位置にベイヤ配列で(市松状に)配置することにより形成されている。
【0024】
すなわち、CCD22は、結像レンズ21により結像された光学像を、赤色、緑色及び青色の波長帯域毎に分離して撮像するための原色カラーフィルタ24を撮像面上に具備して構成されている。
【0025】
光源装置3は、白色光を発生する白色LED31と、白色LED31から発せられた白色光を集光してライトガイド13へ出射する集光レンズ32と、ビデオプロセッサ4の制御に応じて白色LED31を駆動するLEDドライバ33と、を有して構成されている。
【0026】
LEDドライバ33は、ビデオプロセッサ4の制御に応じ、白色LED31の動作状態をオン状態またはオフ状態のいずれかに切り替えるように構成されている。また、LEDドライバ33は、オン状態の白色LED31から発せられる白色光の光量を、ビデオプロセッサ4の制御に応じた設定光量に変化させることができるように構成されている。
【0027】
なお、本実施例においては、白色LED31の代わりに、例えば、キセノンランプ等の他の光源を用いて光源装置3を構成してもよい。
【0028】
ビデオプロセッサ4は、CCDドライバ41と、アンプ42と、プリプロセス回路43と、A/D変換回路44と、色分離回路45と、ホワイトバランス調整回路46と、画像処理回路47と、映像信号生成回路48と、ゲイン値算出回路51と、操作パネル52と、CPU53と、メモリ54と、を有して構成されている。
【0029】
CCDドライバ41は、CCD22における露光期間及び読出期間を設定するためのCCD駆動信号を生成して出力するように構成されている。
【0030】
アンプ42は、信号ケーブル27を介して出力される撮像信号を増幅してプリプロセス回路43へ出力するように構成されている。
【0031】
プリプロセス回路43は、アンプ42から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理等の信号処理を施すことにより当該撮像信号に含まれる信号成分を抽出し、さらに、当該抽出した信号成分に応じた画像信号を生成してA/D変換回路44へ出力するように構成されている。
【0032】
A/D変換回路44は、プリプロセス回路43から出力されるアナログの画像信号に対してA/D変換処理を施すことによりデジタルの画像信号を生成し、当該生成したデジタルの画像信号を色分離回路45へ出力するように構成されている。
【0033】
色分離回路45は、A/D変換回路44から出力される画像信号を、原色カラーフィルタ24のRフィルタを透過した光を撮像して得られる赤色の色成分の輝度値Rs、原色カラーフィルタ24のGフィルタを透過した光を撮像して得られる緑色の色成分の輝度値Gs、及び、原色カラーフィルタ24のBフィルタを透過した光を撮像して得られる青色の色成分の輝度値Bsに分離するための色分離処理を行うように構成されている。また、色分離回路45は、前述の色分離処理より得られた各色成分の輝度値に対応する画像信号を生成し、当該生成した画像信号をホワイトバランス調整回路46及びゲイン値算出回路51へ出力するように構成されている。
【0034】
ホワイトバランス調整回路46は、アンプ46a、46b及び46cの3つのアンプを具備し、当該3つのアンプにおけるゲイン値をCPU53の制御に応じて個別に設定することができるように構成されている。
【0035】
アンプ46aは、色分離回路45から出力される赤色の色成分の画像信号に対し、ゲイン値Rgを乗じて画像処理回路47及びCPU53へ出力するように構成されている。
【0036】
アンプ46bは、色分離回路45から出力される緑色の色成分の画像信号に対し、ゲイン値Ggを乗じて画像処理回路47及びCPU53へ出力するように構成されている。
【0037】
アンプ46cは、色分離回路45から出力される青色の色成分の画像信号に対し、ゲイン値Bgを乗じて画像処理回路47及びCPU53へ出力するように構成されている。
【0038】
すなわち、ホワイトバランス調整回路46は、CPU53の制御に応じて設定される設定値であるゲイン値Rg、Gg及びBgを用い、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行うように構成されている。
【0039】
画像処理回路47は、CPU53の制御に応じ、ホワイトバランス調整回路46から出力される各色成分の画像信号に対し、例えば、ガンマ補正処理及び強調処理等の所定の画像処理を施して映像信号生成回路48へ出力するように構成されている。
【0040】
映像信号生成回路48は、画像処理回路47から出力される各色成分の画像信号に基づき、赤色の色成分の画像信号をモニタ5のR(赤色)チャンネルに割り当て、緑色の色成分の画像信号をモニタ5のG(緑色)チャンネルに割り当て、青色の色成分の画像信号をモニタ5のB(青色)チャンネルに割り当てるための処理を行うことにより映像信号を生成し、当該生成した映像信号をモニタ5へ出力するように構成されている。
【0041】
ゲイン値算出回路51は、CPU53の制御に応じ、色分離回路45から出力される各色成分の画像信号により示される輝度値Rs、Gs及びBsの比を1:1:1にするようなホワイトバランスゲイン値を算出し、当該算出したホワイトバランスゲイン値をCPU53へ出力するように構成されている。すなわち、ゲイン値算出回路51は、CPU53の制御に応じ、色分離回路45から出力される各色成分の画像信号のホワイトバランスを調整するためのホワイトバランスゲイン値を算出するように構成されている。
【0042】
操作パネル52は、ユーザの操作に応じた指示を行うことが可能な1以上の入力装置を具備して構成されている。具体的には、操作パネル52は、例えば、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行わせるための指示を行うことが可能なホワイトバランススイッチ(不図示)等のスイッチを具備して構成されている。
【0043】
CPU53は、操作パネル52の操作に応じてなされた指示に基づき、画像処理回路47の画像処理に用いられるパラメータを変更するための制御を行うように構成されている。
【0044】
CPU53は、操作パネル52において、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行わせるための指示がなされたことを検知した際に、白色LED31から発せられる白色光の光量を複数の設定光量に段階的に増加させるための制御をLEDドライバ33に対して行うとともに、当該複数の設定光量に対応するホワイトバランスゲイン値をサンプリング値としてそれぞれ算出させるための制御をゲイン値算出回路51に対して行うように構成されている。また、CPU53は、ゲイン値算出回路51から出力されるホワイトバランスゲイン値を、白色LED31から発せられる白色光の現在の設定光量に関連付けてメモリ54に格納するとともに、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)に基づいてゲイン値Rg、Gg及びBgをそれぞれ設定するための処理を行うように構成されている。
【0045】
CPU53は、ホワイトバランス調整回路46から出力される各色成分の画像信号に基づき、白色LED31から発せられる白色光の光量を観察に適した光量に調整するための制御をLEDドライバ33に対して行うように構成されている。
【0046】
なお、本実施例のカメラユニット2Bは、1つのCCDを具備する単板のカメラユニットとして構成されたものに限らず、例えば、結像レンズ21を通過した光をRGBの色毎に分光するためのダイクロイックプリズム等の分光光学系と、当該分光光学系を経て出射されるR光の光学像を撮像するための第1のCCDと、当該分光光学系を経て出射されるG光の光学像を撮像するための第2のCCDと、当該分光光学系を経て出射されるB光の光学像を撮像するための第3のCCDと、を具備する3板のカメラユニットとして構成されたものであってもよい。また、カメラユニット2Bが3板のカメラユニットとして構成されている場合には、色分離回路45が不要となるため、例えば、A/D変換回路44から出力される画像信号がホワイトバランス調整回路46及びゲイン値算出回路51へ出力されるようにすればよい。
【0047】
一方、本実施例のCCD22は、原色カラーフィルタ24を撮像面上に具備する原色CCDとして構成されたものに限らず、例えば、結像レンズ21により結像された光学像を、シアン、マゼンタ、黄色及び緑色の波長帯域毎に分離して撮像するための補色カラーフィルタを撮像面上に具備する補色CCDとして構成されたものであってもよい。また、CCD22が補色CCDとして構成されている場合には、例えば、A/D変換回路44から出力される画像信号に応じた輝度信号Y、色差信号Cb及び色差信号Crが色分離回路45において生成され、当該輝度信号Y、色差信号Cb及び色差信号Crに応じた赤、緑及び青の色成分の画像信号がRGB変換回路において生成され、当該画像信号がホワイトバランス調整回路46及びゲイン値算出回路51へ出力されるようにすればよい。
【0048】
続いて、本実施例に係る内視鏡システム1の作用について説明する。なお、以降においては、簡単のため、ゲイン値Gg=1としてゲイン値Rg及びBgを設定する場合を例に挙げて説明する。
【0049】
ユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、挿入部6の先端面をガーゼ等の白色の被写体に対向する位置に配置した状態において、操作パネル52のホワイトバランススイッチを操作することにより、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行わせるための指示を行う。
【0050】
CPU53は、操作パネル52において、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行わせるための指示がなされたことを検知すると、白色LED31から発せられる白色光の光量を複数の設定光量に段階的に増加させるための制御をLEDドライバ33に対して行うとともに、当該複数の設定光量に対応するホワイトバランスゲイン値をサンプリング値としてそれぞれ算出させるための制御をゲイン値算出回路51に対して行う。
【0051】
ゲイン値算出回路51は、CPU53の制御に応じ、色分離回路45から出力される各色成分の画像信号により示される輝度値Rs、Gs及びBsの比を1:1:1にするようなホワイトバランスゲイン値を算出し、当該算出したホワイトバランスゲイン値をCPU53へ出力する。
【0052】
CPU53は、ゲイン値算出回路51から出力されるホワイトバランスゲイン値を、白色LED31から発せられる白色光の現在の設定光量に関連付けてメモリ54に格納する。
【0053】
ところで、前述のような、外光の遮断が不十分な環境下においては、当該外光と、照明レンズ15を経て出射された白色光の反射及び/または散乱により発生する光(以降、単に戻り光とも称する)と、を混合した混合光が対物レンズ17に入射される。そのため、例えば、外光を撮像して得られた画像信号に含まれる赤色、緑色及び青色の色成分の輝度値をRa、Ga及びBaとし、戻り光を撮像して得られた画像信号に含まれる赤色、緑色及び青色の色成分の輝度値をRb、Gb及びBbとし、白色LED31から発せられる白色光の光量を0以外の所定の設定光量LPに設定した際に対物レンズ17に入射される外光の光量と戻り光の光量との比の値をαとし、当該白色光の現在の設定光量の所定の設定光量LPに対する倍率をkとした場合、輝度値Rs、Gs及びBsを下記数式(1)のように表すことができる。
【0054】


従って、上記数式(1)に基づき、ゲイン値算出回路51において算出されるゲイン値Rg(k)及びBg(k)を、下記数式(2)及び(3)のように表すことができる。
【0055】


ところで、上記数式(2)及び(3)によれば、対物レンズ17に入射される外光の光量及び/または分光特性が、ゲイン値算出回路51において算出されるゲイン値Rg(k)及びBg(k)に影響を及ぼすものと考えられる。そのため、例えば、ゲイン値算出回路51において算出したRg(k)をそのままアンプ46aに適用し、かつ、ゲイン値算出回路51において算出したBg(k)をそのままアンプ46cに適用した場合には、モニタ5に表示される画像の色再現性が劣化してしまう、という問題点が生じる。そして、本実施例においては、前述の問題点の解決を図るための処理として、以降に述べるような処理が行われる。
【0056】
ここで、ゲイン値Rg及びBgの設定に係る処理の具体例について説明する。なお、本実施例においては、ゲイン値Rg及びBgを設定するための処理として、共通の処理を利用することができる。そのため、以降においては、ゲイン値Rgを設定する場合の処理を代表例として挙げつつ説明を行う。
【0057】
対物レンズ17に戻り光のみが入射されると仮定した場合、すなわち、対物レンズ17に外光が入射されないと仮定した場合、上記数式(2)を下記数式(4)のように変形することができる。
【0058】


上記数式(4)により算出されるゲイン値Rg(k)をZとした場合、上記数式(4)を下記数式(5)のように変形することができる。
【0059】


そして、上記数式(5)を上記数式(2)に代入することにより、下記数式(6)に示すような関係式を得ることができる。
【0060】


ここで、白色LED31から発せられる白色光の光量が0に設定されている場合には、k=0となるため、上記数式(6)を下記数式(7)のように変形することができる。
【0061】


そして、上記数式(7)を上記数式(6)に代入することにより、下記数式(8)に示すような関係式を得ることができる。
【0062】


一方、白色LED31から発せられる白色光の光量が所定の設定光量LPに設定されている場合には、k=1となるため、上記数式(8)を下記数式(9)のように変形することができる。
【0063】


また、上記数式(9)を変形することにより、輝度値Raを下記数式(10)のように規定することができる。
【0064】


そして、上記数式(10)を上記数式(8)に代入して変形することにより、下記数式(11)に示すような関係式を得ることができる。
【0065】


CPU53は、上記数式(11)に示した関係式と、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値と、に基づき、対物レンズ17に入射される光が戻り光のみであると仮定した場合、すなわち、対物レンズ17に外光が入射されないと仮定した場合のホワイトバランスゲイン値Zを取得する。
【0066】
具体的には、CPU53は、上記数式(11)に示した関係式と、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値と、に基づき、例えば、白色LED31から発せられる白色光の光量が0に設定されている場合に算出されたホワイトバランスゲイン値をRg(0)に代入し、当該白色光の光量が所定の設定光量LPに設定されている場合に算出されたホワイトバランスゲイン値をRg(1)に代入し、当該白色光の設定光量LQの所定の設定光量LPに対する倍率Qをkに代入し、当該白色光の光量が当該設定光量LQに設定されている場合に算出されたホワイトバランスゲイン値Rg(Q)を上記数式(11)のRg(1)に代入することにより、ホワイトバランスゲイン値Zを算出する。
【0067】
なお、上記数式(11)に示した関係式は、例えば、メモリ54または他の図示しない記憶装置に格納された、CPU53の動作を規定するためのプログラム内に予め組み込まれているものとする。また、設定光量LQは、0及び所定の設定光量LP以外の光量であるものとする。
【0068】
一方、CPU53は、上記数式(11)により算出した基準値であるホワイトバランスゲイン値Zと、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)と、に基づき、アンプ46aのゲイン値Rgを設定するための処理を行う。
【0069】
具体的には、CPU53は、例えば、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)を設定光量の昇順にソートすることにより、連続する3つの(3段階分の)設定光量においてそれぞれ算出され、かつ、ホワイトバランスゲイン値Zに対する差異がそれぞれ所定の許容範囲内に収まる、という条件に最初に合致する3つのホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)を特定し、さらに、当該特定した3つのホワイトバランスゲイン値の中で最も大きな設定光量LMにおいて算出された1つのホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)GMをアンプ46aのゲイン値Rgとして設定する(図3参照)。図3は、実施例に係る内視鏡システムにおいて行われる処理の一例を説明するための図である。
【0070】
すなわち、CPU53は、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)に基づき、ゲイン値算出回路51において算出されるホワイトバランスゲイン値の変動が収束すると推定される設定光量LMにおけるホワイトバランスゲイン値GMをアンプ46aのゲイン値Rgの設定値として取得するための処理を行う。
【0071】
なお、本実施例によれば、例えば、色分離回路45の色分離処理において用いられるマトリクスが一般的なRGB分離用のパラメータを具備して設計されている場合には、ホワイトバランスゲイン値Zの±5%程度を上限として前述の所定の許容範囲を設定することにより、ホワイトバランス調整に好適なゲイン値Rgを設定することができる。また、本実施例によれば、例えば、色分離回路45の色分離処理において用いられるマトリクスが特殊なパラメータを具備して設計されている場合には、当該パラメータを考慮しつつ前述の所定の許容範囲を設定するようにしてもよい。
【0072】
一方、本実施例によれば、以上に述べた処理に限らず、例えば、以降に述べるような処理を行うことによりゲイン値Rgを設定してもよい。
【0073】
白色LED31から発せられる白色光の光量が所定の設定光量LPに設定されている場合には、k=1となるため、上記数式(6)を下記数式(12)のように変形することができる。
【0074】


そして、上記数式(12)を上記数式(6)に代入することにより、下記数式(13)に示すような関係式を得ることができる。
【0075】


一方、設定光量LNにおけるkの値をNとした場合、上記数式(13)を下記数式(14)のように変形することができる。なお、設定光量LNは、0及び所定の設定光量LP以外の光量であるものとする。
【0076】


そして、上記数式(14)を上記数式(13)に代入することにより、下記数式(15)に示すような関係式を得ることができる。
【0077】


ここで、定数項をA、B、C及びDとした場合、上記数式(15)を下記数式(16)のように簡略化して表すことができる。
【0078】


CPU53は、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値に応じたカーブフィッティング処理を上記数式(16)に対して施すことにより、下記数式(17)に示すような、当該カーブフィッティング処理により最適化された定数項Af、Bf、Cf及びDfを具備する関係式(近似関数)を取得する。なお、上記数式(16)に示した関係式は、例えば、メモリ54または他の図示しない記憶装置に格納された、CPU53の動作を規定するためのプログラム内に予め組み込まれているものとする。
【0079】


ところで、対物レンズ17に入射される外光を無視可能な程度まで白色LED31から発せられる白色光の光量を増加させるような場合、すなわち、kの値が無限大に近づく場合においては、対物レンズ17に戻り光のみが入射されるものと仮定することができるため、下記数式(18)に示すような関係式が成立する。そのため、CPU53は、上記数式(17)を用いて下記数式(18)に示す演算を行うことにより、ホワイトバランスゲイン値Zを算出する。
【0080】


そして、CPU53は、上記数式(18)により算出した基準値であるホワイトバランスゲイン値Zと、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値と、に基づき、図3に例示した処理と同様の処理を行うことにより、アンプ46aのゲイン値Rgを設定する。
【0081】
なお、本実施例においては、以上に述べた処理に限らず、例えば、上記数式(17)を用いて以下のような処理を行うことによりゲイン値Rgを設定してもよい。
【0082】
CPU53は、上記数式(17)を微分することにより、ゲイン値Rg(k)の変化率を示す関数を取得する。
【0083】
CPU53は、前述のように取得したゲイン値Rg(k)の変化率を示す関数に基づき、当該関数が0に最も近づくkの値、すなわち、ゲイン値Rg(k)が収束すると推定されるkの値を特定し、当該特定したkの値を所定の設定光量LPに乗じることにより設定光量LSを算出する。
【0084】
CPU53は、設定光量LSの白色光を発生させるための制御をLEDドライバ33に対して行うとともに、当該設定光量LSに対応するホワイトバランスゲイン値GLSを算出させるための制御をゲイン値算出回路51に対して行う。そして、CPU53は、前述の制御に応じてゲイン値算出回路51において算出されたホワイトバランスゲイン値GLSをゲイン値Rgとして設定する。
【0085】
すなわち、CPU53は、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)に基づき、ゲイン値算出回路51において算出されるホワイトバランスゲイン値の変動が収束すると推定される設定光量LSを特定し、さらに、当該設定光量LSの白色光が実際に光源装置3から出射された際にゲイン値算出部51において算出されるホワイトバランスゲイン値GLSをアンプ46aのゲイン値Rgの設定値として取得するための処理を行う。
【0086】
また、本実施例においては、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値の中から選択した1つのホワイトバランスゲイン値をゲイン値Rgとして設定するものに限らず、例えば、上記数式(18)により取得した基準値であるホワイトバランスゲイン値Zに対する差異が±5%以内に収まるようなゲイン値Rg(k)の算出結果の中から選択した1つのホワイトバランスゲイン値をゲイン値Rgとして設定するようにしてもよい。
【0087】
また、本実施例においては、以上に述べた処理に限らず、例えば、以降に述べるような処理を行うことによりゲイン値Rgを設定してもよい。
【0088】
CPU53は、操作パネル52において、色分離回路45から出力される画像信号のホワイトバランス調整を行わせるための指示がなされたことを検知すると、白色LED31から発せられる白色光の光量を複数の設定光量に段階的に増加させるための制御をLEDドライバ33に対して行うとともに、当該複数の設定光量に対応するホワイトバランスゲイン値をN回(N≧3)ずつ算出させるための制御をゲイン値算出回路51に対して行う。
【0089】
ゲイン値算出回路51は、CPU53の制御に応じ、色分離回路45から出力される各色成分の画像信号により示される輝度値Rs、Gs及びBsの比を1:1:1にするようなホワイトバランスゲイン値を算出し、当該算出したホワイトバランスゲイン値をCPU53へ出力する。
【0090】
CPU53は、ゲイン値算出回路51から出力されるホワイトバランスゲイン値を、白色LED31から発せられる白色光の現在の設定光量に関連付けてメモリ54に格納する。
【0091】
CPU53は、例えば、メモリ54に格納された複数のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)を設定光量の昇順にソートすることにより、設定光量LD1におけるN個のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)の平均値である平均値AD1と、設定光量LD1よりも大きくかつ設定光量LD1に連続する設定光量LD2におけるN個のホワイトバランスゲイン値(サンプリング値)の平均値である平均値AD2と、を用いて算出される検定統計量であるp値が0.1未満になる、という条件に最初に合致する設定光量LD1及びLD2を特定し、さらに、当該特定した設定光量LD2における平均値AD2をアンプ46aのゲイン値Rgとして設定する。
【0092】
以上に述べた処理によれば、外光の遮断が不十分な環境下であっても、アンプ46a、46b及び46cのゲイン値を、対物レンズ17に入射される戻り光に含まれる色成分に対するホワイトバランス調整に適したゲイン値に設定することができる。すなわち、本実施例によれば、外光の遮断が不十分な環境下でホワイトバランス調整を行った場合であっても、色再現性の高い画像を得ることができる。
【0093】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0094】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
2A 光学視管
2B カメラユニット
3 光源装置
4 ビデオプロセッサ
5 モニタ
6 挿入部
15 照明レンズ
17 対物レンズ
22 CCD
24 原色カラーフィルタ
31 白色LED
33 LEDドライバ
45 色分離回路
46 ホワイトバランス調整回路
46a,46b,46c アンプ
51 ゲイン値算出回路
52 操作パネル
53 CPU
54 メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】日本国特開2004−49708号公報
図1
図2
図3