特許第6424681号(P6424681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6424681
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】発泡樹脂成形用ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/22 20060101AFI20181112BHJP
   B29C 47/02 20060101ALI20181112BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20181112BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20181112BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20181112BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20181112BHJP
【FI】
   C08J9/22CEW
   B29C47/02
   H01B7/02 G
   H01B3/44 C
   H01B3/30 C
   B29K105:04
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-43788(P2015-43788)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-160416(P2016-160416A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】阿部 正浩
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−058625(JP,A)
【文献】 特開平01−093317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
C09K 3/00
C09K 3/20−3/32
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C08J 3/00−3/28
C08J 99/00
B32B 1/00−43/00
B29C 47/02
H01B 3/30
H01B 3/44
H01B 7/02
B29K 105/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高融点樹脂及び化学発泡剤を含有する内層と、前記内層を被覆し、前記化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を含有する外層とを備えた発泡樹脂成形用ペレットの製造方法であって、
前記外層用の前記高融点樹脂の粉末を打錠機の第1のホッパに投入する工程と、
前記高融点樹脂の粉末及び前記化学発泡剤の粉末を混合してペレット状に成形した内層用原料を前記打錠機の第2のホッパに投入する工程と、
前記第1のホッパ内の前記高融点樹脂の粉末を臼内に秤量する第1の秤量工程と、
前記第2のホッパ内の前記内層用原料を前記臼内の前記高融点樹脂の粉末の上に供給する工程と、
前記第1のホッパ内の前記高融点樹脂の粉末を前記臼内の前記内層用原料を覆うように前記臼内に秤量する第2の秤量工程と、
前記臼内の前記内層用原料及び前記高融点樹脂の粉末を上杵と下杵にて加圧してペレット化する加圧工程と、
を備える発泡樹脂成形用ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂成形用ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁体にフッ素樹脂を用いた電線(いわゆるフッ素樹脂電線)は、融点が高く、ハンダ耐熱性に優れるため、ケーブルと端子・コネクタとのハンダ接続に用いられている。また、フッ素樹脂電線は、耐薬品性等の環境劣化に対する耐久性に優れるため、コンピュータ等の電子機器の内部配線、及び携帯電話や計測機器等の高周波機器の配線に用いられている。更に、フッ素樹脂電線は、耐熱性や耐寒性に優れるため、高温機器の配線や低温環境中での口出し線に用いられている。
【0003】
従来のフッ素樹脂電線は、絶縁体の材料としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が用いられている。これらは、耐熱性、耐寒性及び耐薬品性に優れており、比誘電率も2.0〜2.1と非常に低い。
【0004】
しかし、最近の電子機器の高速化(伝送速度:10Gbps/秒以上)や通信機器の高周波化(GHz帯域)に伴い、更に誘電率を下げる必要性が生じている。そのため、発泡若しくは延伸によりフッ素樹脂組成物を繊維状化(フィブリル化)し、多孔質化を図ることで、低誘電率化が行われている。
【0005】
多孔質化は主にPTFEで行われている。例えば、延伸により多孔質化したテープ状のPTFEを絶縁体として内部導体の外周に巻きつけることで、低誘電率化を図っている(特許文献1参照)。多孔質化したPTFEテープは、主に細径高速伝送ケーブルに用いられている。
【0006】
しかし、内部導体との密着性が悪化すること等から、特性が悪化してしまう。また、PTFEテープを何層にも巻いて絶縁層厚を厚くするので、その分、生産速度が遅くなり、高コストである。
【0007】
また、PTFEは溶融押出が出来ないため、PTFE粉末にソルベントナフサ等の溶剤を含浸させ、ペースト状にしてからペースト押出機を用いてこれを内部導体に被覆し、その後、焼成炉で溶剤分を気化及びPTFEを焼結することにより、絶縁電線を製造する方法がある。ペースト押出による発泡絶縁体は、主に高周波同軸ケーブルに用いられている。
【0008】
ペースト押出機を用いる方法としては、例えば、PTFE粉末と一緒にジカルボン酸等の造孔剤を一緒に練りこみ、焼結時にこの造孔剤を気化させることで発泡絶縁電線を製造する方法がある(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、造孔剤による発泡では発泡度が低く、低損失ケーブルには使用できないという問題がある。
【0010】
一方、溶融押出可能なPFAやFEPの場合は、押出を行っている最中に、押出機のシリンダ中に発泡剤としてフロンガス、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスを注入し、材料吐出時の圧力差を利用して発泡させる物理発泡方式が用いられている(特許文献3参照)。
【0011】
しかし、物理発泡方式を用いた場合、発泡剤として使用するガス量のコントロールが難しく、その結果として、気泡の大きさをコントロールすることが出来ない。細径の発泡絶縁電線では気泡が大きくなりすぎると外径変動が大きくなり、静電容量や特性インピーダンスの悪化という問題を生じてしまう。また、太径の同軸ケーブルでは、外径異常と共に内部導体と発泡絶縁体の間に巨大な気泡(鬆)が発生し、ケーブルの長さ方向の指標となる電圧定在波比(VSWR)が悪化するという問題が生じる。
【0012】
さらに、溶融押出時の加熱により発泡する化学発泡剤を樹脂コンパウンド中に添加して発泡させる化学発泡方式も用いられている。
【0013】
化学発泡剤は、大別すると無機系と有機系の2種類がある。
無機系化学発泡剤の主なものとしては重炭酸ナトリウムなどがあり、これらは分解時にポリマーへの溶解度が大きい炭酸ガスを発生する。しかし、分解生成物として誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)の大きな金属塩が生成されるため、低誘電率化が求められる高速伝送ケーブルや高周波ケーブルに使用することは難しい。そのため、主に有機系の化学発泡剤が用いられている。
【0014】
有機系化学発泡剤としては、例えば、ビステトラゾール・ジアンモニウム、ビステトラゾール・ピペラジン、ビステトラゾール・ジアグアニジン等のビステトラゾール系の化合物がある。有機系化学発泡剤を用いて発泡絶縁体を製造する方法としては、マスターバッチ(MB)方式とフルコンパウンド(FC)方式がある。MB方式では、有機系化学発泡剤の分散性向上のため、樹脂に化学発泡剤を使用量の10倍程度の濃度に濃縮した発泡剤マスターバッチ(MB)を作製し、これをベース樹脂で使用量に薄めて樹脂発泡体を成形する。一方、FC方式では、化学発泡剤と樹脂全量とを一気に混練りし、発泡性コンパウンドを作製し、これを成形機へ供給して、樹脂発泡体を成形する。
【0015】
しかし、前述した絶縁体の材料に用いられるフッ素樹脂のうち、FEPの融点はおよそ270℃であり、PFAの融点はおよそ310℃である。そのため、溶融押出時の押出温度は、FEPの場合が300℃であり、PFAの場合が330℃である。これに対し、化学発泡剤として最も一般的に用いられているアゾ化合物であるアゾジカルボンアミド(ADCA)の分解温度は200℃であり、最も分解温度の高いテトラゾール系化学発泡剤の分解開始温度が300℃以下である。ゆえに、フッ素樹脂との混練により化学発泡剤が分解してしまうため、MB方式及びFC方式のいずれもPFAやFEPの溶融押出に適用できないという問題があった。
【0016】
上記問題を解決する方法として、特許文献4に記載の方法がある。特許文献4には、粉末状のPFAやFEP等のフッ素樹脂及び粉末状の化学発泡剤を加熱溶融することなく混合し、固めて成形したペレットを押出成形により混練りし、発泡させて得られる発泡樹脂成形体からなる絶縁層を有する発泡絶縁電線・ケーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実公平2−34735号公報
【特許文献2】特開2011−76860号公報
【特許文献3】特許4879613号公報
【特許文献4】特開2014−58625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記ペレットを押出機に投入する際、フッ素樹脂は高融点樹脂であるため、押出機のシリンダ・スクリュの温度は化学発泡剤の分解温度よりも高い温度に設定される。そのため、押出機内で溶融樹脂が充満する前に化学発泡剤の一部が分解し、分解ガスがペレット投入口から揮散(外部へ放出)されてしまうことにより、溶融樹脂へのガス溶解量が減り、樹脂成形体において充分な発泡度が効率的に得られないことがあり得る。これは、フッ素樹脂に限らず、化学発泡剤の分解温度よりも融点が高いその他の高融点樹脂を用いる場合においても同様である。
【0019】
そこで、本発明の目的は、化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を用いた場合における化学発泡剤の分解ガスを効率的に利用可能な発泡樹脂成形用ペレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の発泡樹脂成形用ペレットの製造方法を提供する。
【0021】
高融点樹脂及び化学発泡剤を含有する内層と、前記内層を被覆し、前記化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を含有する外層とを備えた発泡樹脂成形用ペレットの製造方法であって、
前記外層用の前記高融点樹脂の粉末を打錠機の第1のホッパに投入する工程と、
前記高融点樹脂の粉末及び前記化学発泡剤の粉末を混合してペレット状に成形した内層用原料を前記打錠機の第2のホッパに投入する工程と、
前記第1のホッパ内の前記高融点樹脂の粉末を臼内に秤量する第1の秤量工程と、
前記第2のホッパ内の前記内層用原料を前記臼内の前記高融点樹脂の粉末の上に供給する工程と、
前記第1のホッパ内の前記高融点樹脂の粉末を前記臼内の前記内層用原料を覆うように前記臼内に秤量する第2の秤量工程と、
前記臼内の前記内層用原料及び前記高融点樹脂の粉末を上杵と下杵にて加圧してペレット化する加圧工程と、
を備える発泡樹脂成形用ペレットの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を用いた場合における化学発泡剤の分解ガスを効率的に利用可能なペレット、発泡樹脂成形体、発泡絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係るペレットの断面図である。
図2A】本発明の実施の形態に係るペレットの内層の作製工程を説明するための概略図である。
図2B】本発明の実施の形態に係るペレットの内層の作製工程を説明するための概略図である。
図3A】本発明の実施の形態に係るペレットの作製工程を説明するための概略図である。
図3B】本発明の実施の形態に係るペレットの作製工程を説明するための概略図である。
図4】本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体の製造工程を説明するための概略図である。
図5】本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体の製造工程を説明するための概略図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図7図6の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。
図11図10の変形例に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。
図12】本発明の第3の実施の形態に係るケーブルの断面構造を示す断面図である。
図13図12の変形例に係るケーブルの断面構造を示す断面図である。
図14】本発明の第4の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図15図14の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図16】本発明の第5の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
図17図16の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔ペレット〕
図1は、本発明の実施の形態に係るペレットの断面図である。
本発明の実施の形態に係るペレット90dは、化学発泡剤を含有する内層90bと、内層90bを被覆し、上記化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を含有する外層90Dとを備える。
【0025】
ここで、ペレットとは、所定形状に固めて成形したものをいう。形状は特に限定されるものではないが、円筒形状、球形状、多角柱形状、環形状等の種々の形状を採り得る。医薬品の錠剤のような形状が特に好ましい。
【0026】
ペレット90dとしては、その内層90bが粉末状の化学発泡剤を含む粉末を加熱溶融することなく固めて成形したものであり、外層90Dが粉末状の高融点樹脂を含む粉末を加熱溶融することなく固めて成形したものを好適に用いることができる。
【0027】
内層90bは、化学発泡剤のみから構成してもよいが、上記高融点樹脂を含有することが好ましく、外層90Dを構成する高融点樹脂と同一の高融点樹脂を含有することがより好ましい。また、内層90bは、上記高融点樹脂及び化学発泡剤のみから構成してもよいが、後述する発泡核剤等を含んでいてもよい。当該ペレットの内層90bにおいては、高融点樹脂中に化学発泡剤がほぼ均一に分散され、かつ化学発泡剤が加熱分解されていないことから、これを押出成形に使用することで、優れた特性の発泡成形体が得られる。
【0028】
外層90Dは、上記高融点樹脂のみから構成してもよいが、後述する発泡核剤等を含んでいてもよい。
【0029】
(化学発泡剤)
本発明の実施形態においては、加熱することなく、粉体同士の混合物を打錠機等により圧縮成形してペレット化するだけなので、分解温度の高低にかかわらずあらゆる化学発泡剤を使用できる。
【0030】
本発明の実施形態で使用する化学発泡剤は、有機系化学発泡剤であることが好ましい。有機系化学発泡剤は、アゾ化合物、ヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、セミカルバジド化合物、ヒドラゾ化合物、テトラゾール化合物、トリアジン化合物、エステル化合物、ヒドラゾン化合物、及びジアジノン化合物から選ばれる1種以上であることが好ましい。アゾ化合物、ヒドラジド化合物及びテトラゾール化合物から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
【0031】
より具体的には、アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾジカルボン酸バリウム(Ba−ADC)が挙げられる。ヒドラジド化合物としては、例えば、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジドが挙げられる。ニトロソ化合物としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)が挙げられる。セミカルバジド化合物としては、例えば、p−トルエンスルホニルセミカルバジド(TSSC)が挙げられる。ヒドラゾ化合物としては、例えば、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)が挙げられる。テトラゾール化合物としては、例えば、ビステトラゾール・ジアンモニウム、ビステトラゾール・ピペラジン、ビステトラゾール・ジグアニジン、5−フェニールテトラゾール、アゾビステトラゾール・グアニジン、アゾビステトラゾールジアミノグアニジンが挙げられる。トリアジン化合物としては、例えば、トリヒドラジノトリアジン(THT)が挙げられる。エステル化合物としては、例えば、ヒドラゾカルボン酸エステル(HDC−ESTER)、アゾジカルボン酸エステル(ADC−ESTER)、クエン酸エステルが挙げられる。ヒドラゾン化合物としては、例えば、スルホニルヒドラジドが挙げられる。ジアジノン化合物としては、例えば、5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2オンが挙げられる。これらのうちの2種以上を併用してもよい。
【0032】
化学発泡剤は、成形される発泡樹脂成形体の全量に対して0.1〜3質量%、ペレットに添加されることが好ましい。より好ましくは、0.3〜3質量%であり、さらに好ましくは、0.5〜2質量%である。化学発泡剤の添加量は、化学発泡剤の分解時のガス発生量と、押出機からの樹脂吐出量から、所望の発泡度を得るのに必要な量が導かれる。化学発泡剤の含有量が上記範囲内であれば、化学発泡剤の分解残渣の影響が小さいので、電線の電気特性が良い発泡樹脂成形体が得られる。また、気泡径のバラツキが小さい発泡樹脂成形体が得られる。
【0033】
(高融点樹脂)
本発明の実施形態において好適な高融点樹脂としては、例えばフッ素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンから選ばれる1種以上である。フッ素樹脂が特に好ましい。上記以外のスーパーエンジニアリングプラスチックないしエンジニアリングプラスチックも用いることができる。例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。
【0034】
本発明の効果がより顕著に現れるものとしては、融点が240℃以上の樹脂が好ましく、260℃以上の樹脂がより好ましく、300℃以上の樹脂がさらに好ましい。
【0035】
高融点樹脂は、フルコンパウンド方式で押出成形を行なう場合、発泡樹脂成形体中に97〜99.9質量%含有されるように、ペレットに添加されることが好ましい。より好ましくは、97〜99.7質量%であり、さらに好ましくは、98〜99.5質量%である。
【0036】
フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これらは併用してもよいが、PFA及びFEPをそれぞれ単独で用いることが好ましい。PFAの融点は、およそ300〜315℃であり、FEPの融点は、およそ260〜270℃である。
【0037】
PFAやFEPのほか、比較的低融点であるエチレン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)又はエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用いることもできる。
【0038】
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これらは併用してもよいが、ナイロン6又はナイロン66をそれぞれ単独で用いることが好ましい。ナイロン6の融点は、およそ225℃であり、ナイロン66の融点は、およそ265℃である。
【0039】
ペレットの原料として使用する高融点樹脂は、粉末状のものを使用することが最も好ましいが、顆粒状のものも使用できる。また、市販のペレット状フッ素樹脂も、粉末状や顆粒状に崩壊してから原料として用いることができる。
【0040】
ペレットの大きさは、押出機に投入できる大きさであれば特に限定されるものではないが、例えば、図1に示す円筒形状の場合、直径(W)2〜10mm程度、高さ(H)2〜10mm程度の大きさとすることが好ましい。この場合の内層90bの直径(W)は1〜7mm程度、高さ(H)は1〜7mm程度とすることが好ましい。より具体的には、例えば、円柱状の内層90bの直径(W)=2mm、高さ(H)=1.5mmであり、ペレット90dの直径(W)=3mm、高さ(H)=2.5mmである。内層90bは、全体が外層90Dで被覆され、ペレット90dの中央部に配置されていることが好ましい。
【0041】
内層90bと外層90Dの体積比(内層:外層)は、1:1〜1:5であることが好ましく、1:2〜1:4であることがより好ましい。
【0042】
ペレットの成形方法は、圧縮成形が好ましく、医薬品等の錠剤を成形するための打錠機等を用いて圧縮成形することができる。ペレットの成形に際しては、結合剤として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やワックス等を添加しても良い。
【0043】
ペレット化することにより、ペレットが押出機内でスクリュに均一にフィードされることで、押出機内の樹脂圧力が化学発泡剤に均一に加わることよって、化学発泡剤の分解ガスが溶融フッ素樹脂内に均一に分散溶解できる。ペレット化せずに混合粉末をそのまま押出機に投入するとスクリュで均一にフィードされず、樹脂圧力にバラツキを生じる。押出発泡の場合は押出機のシリンダ内で溶融樹脂と発泡剤(分解ガス)とを高樹脂圧力下で溶解させる必要があるので、シリンダでの樹脂圧力のバラツキが生じると一度溶融樹脂に溶解したガスが過飽和により分離してしまう現象が発生し、均一な発泡電線の製造ができない。
【0044】
(その他の成分)
本発明の実施形態で使用するペレットは、内層及び/又は外層に、さらに発泡核剤を含んでいてもよい。発泡核剤を併用することにより、発生する気泡の径を微細にできる。発泡核剤としては、溶融フッ素樹脂中で分解せず、かつ分散性が良いものを使用することができる。例えば、窒化ホウ素、タルク、ゼオライト、シリカ、活性炭、シリカゲルなどを好適に使用できる。発泡核剤は、後述するベース樹脂に添加してもよい。或いは、これらとは別に発泡核剤を含有するペレットを作製してもよい。
【0045】
本発明の実施形態で使用するペレットは、絶縁電線の絶縁層に通常、配合される酸化防止剤、滑剤、銅害防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、充填剤、光安定剤、架橋剤などがさらに添加されていても良い。これらは、後述するベース樹脂に添加してもよい。
【0046】
〔発泡樹脂成形体〕
本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体は、本発明の実施の形態に係る上記ペレットを押出成形により混練りし、発泡させて得られる発泡樹脂成形体である。また、本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体は、本発明の実施の形態に係る上記ペレットがマスターバッチである場合には、当該ペレットを、当該ペレットに含まれる高融点樹脂を含むベースの樹脂とともに押出成形により混練りし、発泡させて得られる発泡樹脂成形体である。
【0047】
(マスターバッチ)
本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体は、フルコンパウンド方式のみならず、マスターバッチ方式で押出成形により製造することもできる。この場合、前述のペレットをマスターバッチとして使用することが好ましい。マスターバッチとしてのペレット中の化学発泡剤の含有量は、マスターバッチの全量に対して1〜30質量%とすることが好ましく、5〜20質量%とすることがより好ましく、10質量%程度とすることが更に好ましい。マスターバッチとしてのペレットは、後述する高融点樹脂を1種以上含むベースの樹脂とともに押出成形により混練りされる。この場合、押出成形時にマスターバッチとしてのペレットとベースの樹脂としての高融点樹脂のペレットとをドライブレンドして押出ができる。
【0048】
(ベースの樹脂)
本発明の実施形態において、マスターバッチ方式で押出成形する場合に使用するベースの樹脂としては、前述したペレット中に含有される高融点樹脂と同じものを使用できる。特に、フッ素樹脂、中でもPFA及び/又はFEPを使用することが好ましい。
【0049】
ベースの樹脂も、ペレットの形態で押出成形に用いることが好ましい。ペレットの形状、大きさは、前述の化学発泡剤を含有するペレットの場合と同様である。市販のペレット状のPFA及び/又はFEP等を好適に使用できる。
【0050】
(発泡樹脂成形体の特性・形状・用途)
得られた発泡樹脂成形体は、化学発泡剤の分解残渣を含む。除去可能な分解残渣は除去することが好ましい。分解残渣の一例を挙げると、アゾ化合物の分解残渣としては、例えばシアヌル酸、ウラゾール、ビウレア、ヒドラジド化合物の分解残渣としては、例えばポリジチオフェニルエーテル、ポリチオフェニルベンゼンスルホニルエーテル、ニトロソ化合物の分解残渣としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、ヒドラゾ化合物の分解残渣としては、例えばウラゾールがある。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、発泡樹脂成形体は、200μm以下の平均気泡径(円相当径)を有する。発泡樹脂成形体を細径絶縁電線の絶縁体に用いる場合の平均気泡径(円相当径)は、100μm以下、好ましくは65μm以下にする。発泡樹脂成形体を太径絶縁電線の絶縁体に用いる場合の平均気泡径(円相当径)は、200μm以下、好ましくは160μm以下にする。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、発泡樹脂成形体は、30%以上の発泡度を有する。より好ましい実施形態における発泡度は35%以上であり、さらに好ましい実施形態における発泡度は40%以上である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、発泡樹脂成形体は、48〜52Ωの特性インピーダンスを有する。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、発泡樹脂成形体は、ハンダ耐熱性、変形率、引き抜き力、電圧定在波比等の特性において優れている。
【0055】
本発明の実施形態に係る発泡樹脂成形体は、種々の形状とすることが可能であり、例えば、ひも形状、板形状、フィルム形状、パイプ形状にすることができる。
【0056】
本発明の実施形態に係る発泡樹脂成形体は、絶縁電線及びケーブルの絶縁層に好適に使用できる。例えば、10Gbpsクラス以上の高速伝送が可能な差動信号伝送用ケーブルの絶縁層にも好適に使用できる。また、超音波診断用のプローブケーブル等の医療用薄肉細径同軸ケーブルの絶縁層にも好適に使用できる。
【0057】
〔ペレット・発泡樹脂成形体の製造方法〕
本発明の実施形態に係る発泡樹脂成形体の製造方法は、本発明の実施形態に係る上記ペレットを作製する工程と、当該ペレットを押出成形により混練し発泡させる工程とを有する。
【0058】
本発明の実施形態に係るペレットを作製する工程を打錠機を使用して圧縮成形する方法を例に挙げて以下に説明する。
【0059】
(ペレットの内層90bの作製)
図2A及び図2Bは、本発明の実施の形態に係るペレットの内層90bの作製工程を説明するための概略図である。図2Aは、ペレットの内層90bを成形するための打錠機を上から見た概略図であり、図2Bは、図2Aに示す(1)〜(5)の位置における打錠工程を説明するための図である。
【0060】
先ず、打錠機90のホッパ91に投入するための原料90aを準備する。高融点樹脂の粉末、化学発泡剤の粉末、及び必要に応じてその他の添加剤を秤量後、これらを混合装置を用いてよく混合することで原料90aを得る。混合装置への投入は一括でも良いし、高融点樹脂の粉末及び化学発泡剤の粉末を先ず混合した後にその他の添加剤を追加で添加してさらに混合してもよい。混合装置としては、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、シェーカーなどの粉体用の混合ミキサー全般を用いることができる。
【0061】
フルコンパウンド方式で押出成形を行なう場合には、高融点樹脂の粉末、化学発泡剤の粉末、及びその他の添加剤の全量を混合し、打錠機によりペレット化する。一方、マスターバッチ方式で押出成形を行なう場合には、化学発泡剤濃度を高くしたマスターバッチとしてのペレット用の高融点樹脂の粉末、化学発泡剤の粉末、及びその他の添加剤を混合し、打錠機によりペレット化するとともに、ベースの樹脂としての高融点樹脂の粉末及び必要に応じてその他の添加剤を混合し、打錠機によりペレット化する。
【0062】
打錠方法には混合した粉体をそのまま打錠する直接打錠法と、混合した粉体を顆粒にしてから打錠する顆粒打錠法があるが、本発明の実施形態ではどちらの方法も用いることができる。
【0063】
打錠工程は、(1)ホッパ91内の原料90aを臼93内に秤量する秤量工程、(2)上杵94と下杵95にて原料90aを低圧力で1次加圧する1次加圧工程、(3)上杵94と下杵95にて原料90aを数十MPaで2次加圧を行ない成形する2次加圧工程(X,Xは加圧方向を示す)、(4)ペレット90bをスクレーパ96により臼93から抜き取り打錠機90の外へスライダー97に沿って排出する排出工程(Yはペレット抜き取り方向を示し、Yはペレット排出方向を示す)、(5)臼93内を清掃する清掃工程の5工程からなる。(1)〜(5)は、それぞれ図2A及び2Bに示す(1)〜(5)に対応している。これら5工程を一組にして、円周状に3組〜15組を並べて回転させることで連続して打錠作業を行なうことができる。これにより、ペレット数で100000粒/hr以上(重量換算で10kg/hr以上)のペレットを製造できる。
【0064】
打錠工程では、打錠圧力及び打錠速度(打錠機回転数)の最適化を行なう必要がある。打錠圧力が高すぎる場合はペレットが割れてしまうことがあり、或いは、硬すぎて押出成形機の押出機モータへの負荷が大きくなりすぎ負荷異常で押出成形機が停止してしまうことがある。一方、打錠圧力が低すぎるとペレットの強度が弱く、押出成形機内に投入した時に崩れてしまい、スクリュでフィードできなくなることがある。例えば、高融点樹脂の粉末と化学発泡剤の粉末とからなる原料90aを用いた場合、打錠圧力を30〜40kPa、打錠速度(回転数)を50〜60rpmとすることが好適である。
【0065】
(ペレット90dの作製:外層90Dの被覆)
図3A及び図3Bは、本発明の実施の形態に係るペレット90dの作製工程を説明するための概略図である。図3Aは、ペレット90dを成形するための打錠機を上から見た概略図であり、図3Bは、図3Aに示す(1)〜(7)の位置における打錠工程を説明するための図である。
【0066】
次に、作製した内層90bの周囲を外層90Dにて被覆する工程を説明する。
先ず、打錠機900のホッパ91に投入するための原料90cを準備する。高融点樹脂の粉末及び必要に応じてその他の添加剤を秤量後、これらを混合装置を用いてよく混合することで原料90cを得る。混合装置としては、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、シェーカーなどの粉体用の混合ミキサー全般を用いることができる。
【0067】
フルコンパウンド方式で押出成形を行なう場合には、内層90bの周囲に原料90cを供給し打錠機によりペレット化して、ペレット90dを得る。一方、マスターバッチ方式で押出成形を行なう場合には、化学発泡剤濃度を高くしたマスターバッチとしてのペレット用の内層90bの周囲に原料90cを供給し打錠機によりペレット化して、ペレット90dを得るとともに、ベースの樹脂としての高融点樹脂の粉末及び必要に応じてその他の添加剤を混合し、打錠機によりペレット化して、図4に示されるペレット90eを作製する。
【0068】
打錠方法は前述した直接打錠法であっても顆粒打錠法であってもよい。
【0069】
打錠工程は、(1)ホッパ91内の原料90cを臼93内に秤量する1次秤量工程、(2)ホッパ91A内のペレット(内層)90bをスライダー98に沿って臼93内の原料90c上に供給する内層供給工程、(3)ホッパ91内の原料90cを臼93内に秤量する2次秤量工程、(4)上杵94と下杵95にて原料90cを低圧力で1次加圧する1次加圧工程、(5)上杵94と下杵95にて原料90cを数十MPaで2次加圧を行ない成形する2次加圧工程(X,Xは加圧方向を示す)、(6)ペレット90dをスクレーパ96により臼93から抜き取り打錠機900の外へスライダー97に沿って排出する排出工程(Yはペレット抜き取り方向を示し、Yはペレット排出方向を示す)、(7)臼93内を清掃する清掃工程の7工程からなる。(1)〜(7)は、それぞれ図3A及び3Bに示す(1)〜(7)に対応している。これら7工程を一組にして、円周状に3組〜15組を並べて回転させることで連続して打錠作業を行なうことができる。
【0070】
打錠工程では、打錠圧力及び打錠速度(打錠機回転数)の最適化を行なう必要がある。打錠圧力が高すぎる場合はペレットが割れてしまうことがあり、或いは、硬すぎて押出成形機の押出機モータへの負荷が大きくなりすぎ負荷異常で押出成形機が停止してしまうことがある。一方、打錠圧力が低すぎるとペレットの強度が弱く、押出成形機内に投入した時に崩れてしまい、スクリュでフィードできなくなることがある。例えば、高融点樹脂の粉末からなる原料90cを用いた場合、打錠圧力を30〜40kPa、打錠速度(回転数)を50〜60rpmとすることが好適である。
【0071】
最適条件で打錠されたペレット90dは、押出機のスクリュの供給部でフィードが可能である。更に、スクリュの圧縮部で充分に高融点樹脂が溶融し、化学発泡剤が分解することで発生するガスが溶融樹脂と充分に混練りされ、樹脂中にガスを溶解させることができる。
【0072】
より具体的には、例えば、下記の条件にて製造できる。
(1)高融点樹脂と化学発泡剤の粉体の混合
kawata製スーパミキサピッコロを使用
<作業条件>
粉体量:500g
撹拌上羽根:SI型
撹拌羽根回転数:300rpm
撹拌下羽根:SL型
撹拌時間:10分
(2)ペレット90bの作製
打錠圧力:0.5KN〜3KN
充填高さ:7.5mm、臼径:φ2.0mm
仕上がりペレット:φ2.0、高さ3.0mm
打錠機回転数:15rpm
(3)ペレット90dの製造(外層90Dの被覆)
打錠圧力:0.5KN〜3KN
充填高さ:7.5mm、臼径:φ3.0mm
仕上がりペレット:φ3.0、高さ4.0mm
打錠機回転数:15rpm
【0073】
(発泡樹脂成形体の製造)
押出成形により混練し発泡させる工程では、例えば、絶縁電線の絶縁層としての発泡樹脂成形体を製造する場合、押出機は耐食仕様の押出機であれば良い。
【0074】
図4及び図5は、本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体の製造工程を説明するための概略図であり、マスターバッチ方式で押出成形を行なう場合の製造工程を説明するための概略図である。図5は、図4におけるペレット90dの状態をより分かりやすく説明するための模式図である。
【0075】
図4に示されるように、押出機80のペレット投入口81から、マスターバッチとしてのペレット90d及びベース樹脂からなるペレット90eが投入され、押出機シリンダ82の内壁と押出機スクリュ83との間に供給される。押出機スクリュ83の動きに従い、ペレット90d及びペレット90eは押出機シリンダ82内を移動する(図4及び図5の右方向へ)。
【0076】
図4及び図5のA領域ではペレットはほとんど溶融せず圧縮され、A領域にてペレット90dの外層90D及びペレット90eは徐々に溶融し始め、かつ更にペレットが圧縮を受ける。B領域では、ペレット90dの外層90D及びペレット90eはほぼ溶融し半溶融樹脂84となり、内層90b中の化学発泡剤が分解し始め、分解ガスが発生する。B領域では、ほぼ完全に溶融した溶融樹脂85中に分解ガスが溶解する。これにより、効率的に発泡樹脂成形体を得ることができる。
【0077】
本発明の実施の形態に係る2層構造のペレット90dを用いない場合、A領域にて化学発泡剤の一部が分解し始め、分解ガスが発生し、ペレット挿入口81から揮散(外部へ放出)されてしまうことがあり得る(図4の矢印G)。一方、本発明の実施の形態に係る2層構造のペレット90dを用いた場合、高温下の押出機内でも外層90Dの部分が断熱材の役目を果たし、押出機80のシリンダ82を進む際、外層90Dが溶融後、内層90bの混合粉末内の化学発泡剤が分解する。この分解時には押出機シリンダ82内では半溶融樹脂又は溶融樹脂により充満されているため、押出機80の樹脂圧力により加圧されガスシールされることにより、分解ガスがペレット挿入口81の方向に揮散せず、分解ガスが溶融樹脂中に溶解し、分解ガスのほぼ全量が発泡に用いられるため、効率的に発泡樹脂成形体を得ることができる。
【0078】
発泡絶縁電線の押出では押出機温度が重要であり、例えば、高融点樹脂としてFEPを用いる場合の押出機温度は、シリンダ温度230℃〜320℃(図4のA領域にて230℃程度、B領域にて300℃程度)、ヘッド温度320℃程度、口金温度320℃程度とすることが好ましい。また、高融点樹脂としてPFAを用いる場合の押出機温度は、シリンダ温度260℃〜350℃(図4のA領域にて260℃程度、B領域にて340℃程度)、ヘッド温度350℃程度、口金温度340℃程度とすることが好ましい。
【0079】
〔発泡絶縁電線・ケーブル〕
本発明の実施形態に係る発泡絶縁電線は、前述の本発明の実施形態に係る発泡樹脂成形体からなる絶縁層を有する。
また、本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る発泡絶縁電線を有する。
【0080】
(本発明の第1の実施の形態)
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。図7は、図6の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。また、図8は、本発明の第1の実施の形態に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。
【0081】
発泡絶縁電線10は、内部導体(撚り線)1の外周に前述の本発明の実施形態に係る発泡樹脂成形体からなる発泡絶縁層2が被覆されて構成されている。図6に示されるように、必要に応じて発泡絶縁層2の外側に外部充実層3を設けることができる。また、図7に示される発泡絶縁電線20のように、必要に応じて発泡絶縁層2の内側に内部充実層4を設けることもできる。
【0082】
内部導体1としては、銅線、銀メッキ線を用いることができる。図6に示されるような撚り線に限らず、単線を用いることもできる。
【0083】
外部充実層3及び内部充実層4の材料としては、例えば、FEP、PFA、ETFEを用いることができる。
【0084】
同軸ケーブル100は、発泡絶縁電線10の外部充実層3の外周に外部導体101を設け、さらにその外周にシース102を被覆した構成を有する。
【0085】
外部導体101は、例えば、銅テープ、又はアルミ/ナイロンラミネートテープを縦添え巻き(いわゆるシガレット巻き)して設けることができる。縦添え巻きではなく、螺旋巻きとしてもよい。また、テープ状のもの以外に、銅コルゲート管、アルミストレート管、アルミコルゲート管、銅線編組、錫メッキ銅線編組、銀メッキ銅線編組等を用いることもできる。
【0086】
シース102としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、難燃ポリエチレンを用いることができる。
【0087】
図8では、発泡絶縁電線10を1本のみ用いてケーブルを構成しているが、発泡絶縁電線10複数本を集合したものに外部導体及びシースを被覆してケーブルを構成することもできる。
【0088】
(本発明の第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。図10は、本発明の第2の実施の形態に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。また、図11は、図10の変形例に係る同軸ケーブルの長手方向の側面図である。
【0089】
図9に示される発泡絶縁電線30は、内部導体(撚り線)1に替えて内部導体(単線)11を使用している点においてのみ、第1の実施の形態に係る発泡絶縁電線と相違する。
【0090】
図10に示される同軸ケーブル200は、発泡絶縁電線30の外部充実層3の外周に外部導体201を設け、さらにその外周にシース102を被覆した構成を有する。図10では、外部導体201は、銅コルゲート管を使用した形態を示したが、第1の実施の形態(図8)と同様に、図11に示す同軸ケーブル300のように、銅テープ等を縦添え巻きする形態としてもよい。
【0091】
(本発明の第3の実施の形態)
図12は、本発明の第3の実施の形態に係るケーブルの断面構造を示す断面図である。図13は、図12の変形例に係るケーブルの断面構造を示す断面図である。
【0092】
図12に示されるケーブル400は、発泡絶縁電線10を2本、並列させ、その間にドレインワイヤ402をケーブル長手方向に沿わせて、これらの外周を一括してシールドテープ401で被覆した構成を有する。
【0093】
図13に示されるケーブル500は、ドレインワイヤ402を設けない点において、ケーブル400と相違する。
【0094】
シールドテープ401の材料としては、ケーブルに一般的に使用されるものを使用できる。
【0095】
(本発明の第4の実施の形態)
図14は、本発明の第4の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。図15は、図14の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
【0096】
図14に示される発泡絶縁電線40は、内部導体(撚り線)1を2本、並列させ、2本の内部導体1の並び方向に長い楕円形の断面形状を有する発泡絶縁層2で一括被覆している点において第1の実施の形態に係る発泡絶縁電線(図6)と相違する。
【0097】
また、図15に示される発泡絶縁電線50は、楕円形の断面形状ではなく、2本の内部導体1の並び方向に対して平行な平坦部を有する扁平楕円形の断面形状を有する。
【0098】
(本発明の第5の実施の形態)
図16は、本発明の第5の実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。図17は、図16の変形例に係る発泡絶縁電線の断面構造を示す断面図である。
【0099】
図16に示される発泡絶縁電線60は、内部導体(単線)11を2本、並列させ、2本の内部導体11の並び方向に長い楕円形の断面形状を有する発泡絶縁層2で一括被覆している点において第2の実施の形態に係る発泡絶縁電線(図9)と相違する。
【0100】
また、図17に示される発泡絶縁電線70は、楕円形の断面形状ではなく、2本の内部導体11の並び方向に対して平行な平坦部を有する扁平楕円形の断面形状を有する。
【0101】
〔発泡絶縁電線・ケーブルの製造方法〕
本発明の実施の形態に係る発泡絶縁電線及びケーブルは、絶縁電線の絶縁層としての本発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体を用いる以外は、公知の発泡絶縁電線及びケーブルの製造方法により製造できる。この際、外部充実層の押出機は、シリンダ温度230℃〜350℃、ヘッド温度310℃〜350℃であることが好ましい。押出方式は、発泡絶縁層と外部充実層とを同時に押し出す2層同時押出方式で行なってもよいし、別々に押し出す2層コモン押出方式で行なってもよい。
【0102】
(本発明の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、化学発泡剤の分解温度よりも融点が高い高融点樹脂を用いた場合における化学発泡剤の分解ガスを効率的に利用可能なペレット、発泡樹脂成形体、発泡絶縁電線及びケーブルを提供することができる。さらには、以下の効果を奏する。
【0103】
(1)本実施の形態に係る発泡樹脂成形体からなる絶縁層を有する発泡絶縁電線及びケーブルによれば、特性インピーダンス、ハンダ耐熱性、変形率、引き抜き力といった特性に優れる細径の発泡絶縁電線及びケーブルが得られる。
【0104】
(2)本実施の形態に係る発泡樹脂成形体からなる絶縁層を有する発泡絶縁電線及びケーブルによれば、減衰量、VSWR、特性インピーダンス、ハンダ耐熱性、変形率、引き抜き力といった特性に優れる太径の発泡絶縁電線及びケーブルが得られる。
【0105】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々に変形実施が可能である。例えば、2層構造のペレットについて説明したが、内層90bと外層90Dの間に更に中間層を有する3層構造としてもよい。
【実施例】
【0106】
(ペレット90dの製造)
本発明のペレット90dを下記の配合にしたがって製造した。使用した材料は下記の通りである。
【0107】
<フッ素樹脂>
FEP:商品名NP21、ダイキン工業株式会社製
PFA:商品名AP210)、ダイキン工業株式会社製
【0108】
<化学発泡剤>
アゾ化合物:アゾジカルボンアミド(ADCA):商品名ビニホールAC#3、永和化成工業株式会社製
【0109】
<発泡核剤>
窒化ホウ素:商品名ボロンナイトライド(BN)グレード名(SP2)、電気化学工業株式会社製
【0110】
具体的には、FEP又はPFAの粉末に化学発泡剤及び発泡核剤の粉末を添加し、高速流動型混合機スーパーミキサー(商品名:ピッコロSMP−2、株式会社カワタ製)にてミキシングブレードの回転数50rpmで5分間混合した。その後、混合した粉末を小型打錠機(HP−AR−SS型、畑鉄工所製)を用いて、打錠杵数15本、打錠径(ペレット径)2φmm、打錠圧力30MPa、打錠機回転数50rpmの条件でペレット化を行ない、ペレットの内層90bを得た。
【0111】
次に、FEP又はPFAの粉末及び作製したペレットの内層90bを、小型打錠機(HP−AR−SS型、畑鉄工所製)を用いて、打錠杵数15本、打錠径(ペレット径)5φmm、打錠圧力30MPa、打錠機回転数50rpmの条件でペレット化を行ない、内層90bが外層90Dで被覆されたマスターバッチ(MB)としてのペレット90d(FEP又はPFA90質量%+アゾ化合物(ADCA)10質量%)を得た。
【0112】
(高速伝送用ケーブルの製造)
製造したペレット90dを用いて、下記の条件にて、下記の高速伝送用ケーブル(28AWG)を製造した。
高融点樹脂:FEP
押出機:30mm押出機
シリンダ:340℃
ヘッド:320℃
スクリュ:20rpm
樹脂:MB比 1:20
化学発泡剤(質量%):0.5
発泡核剤(質量%):0.25
発泡絶縁体径:1.05φmm
心線径:7/0.127=0.38φmm
発泡度(%):50
【0113】
(プローブケーブルの製造)
製造したペレット90dを用いて、下記の条件にて、下記の超音波診断用プローブケーブル(48AWG)を製造した。
高融点樹脂:PFA
押出機:30mm押出機
シリンダ:370℃
ヘッド:350℃
スクリュ:20rpm
樹脂:MB比 1:20
化学発泡剤(質量%):0.5
発泡核剤(質量%):0.25
発泡絶縁体径:0.093φmm
心線径:7/0.013=0.039φmm
発泡度(%):40
静電容量(pF/m):117〜125
特性インピーダンス(Ω):49〜53
【符号の説明】
【0114】
90a,90c:原料、90b:ペレットの内層
90d:ペレット、90D:ペレットの外層
90e:ペレット(ベース樹脂)
90,900:打錠機、91,91A:ホッパ、92:ホッパ架台
93:臼、94:上杵、95:下杵、96:スクレーパ
97,98:スライダー
80:押出機、81:ペレット投入口、82:押出機シリンダ
83:押出機スクリュ、84:半溶融樹脂、85:溶融樹脂
10,20,30,40,50,60,70:発泡絶縁電線
1,11:内部導体、2:発泡絶縁層
3:外部充実層、4:内部充実層
100,200,300:同軸ケーブル
101,201:外部導体、102:シース
400,500:同軸ケーブル
401:シールドテープ、402:ドレインワイヤ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17