特許第6425950号(P6425950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6425950
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】半導体製造方法および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20181112BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 21/26 20060101ALN20181112BHJP
【FI】
   H01L21/28 B
   H01L21/265 602B
   H01L21/28 301R
   !H01L21/26 J
   !H01L21/26 Q
   !H01L21/26 T
   !H01L21/26 G
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-185838(P2014-185838)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-58668(P2016-58668A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】青山 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎一
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−059794(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/047222(WO,A1)
【文献】 特開2007−281318(JP,A)
【文献】 特開2007−242744(JP,A)
【文献】 特開2013−084901(JP,A)
【文献】 特開2003−309079(JP,A)
【文献】 特開2002−252174(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/060837(WO,A1)
【文献】 特表2010−521799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/265
H01L 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のコンタクトを形成する半導体製造方法であって、
ゲート酸化膜近傍が水素終端されている半導体基板の一部領域にイオンを注入して不純物領域を形成するイオン注入工程と、
前記不純物領域上に金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層が形成された前記半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱する熱処理工程と、
を備え、
前記熱処理工程は、水素を含むフォーミングガス中にて実行されることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程にて光が照射される前記半導体基板の表面の到達温度は1000℃以上であることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程では、コンタクト形成とともに前記不純物領域に注入された不純物の活性化も行うことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程では、さらに前記不純物領域の再結晶化を促進することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載の半導体製造方法において、
前記イオン注入工程と前記金属層形成工程との間に、半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して前記不純物領域に注入された不純物の活性化を行う工程をさらに備えることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程では、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を前記半導体基板に照射することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程の前に、前記金属層上に光吸収膜を形成する工程をさらに備えることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体製造方法において、
前記イオン注入工程では、前記半導体基板の一方面にn型不純物領域とp型不純物領域とを形成し、
前記金属層形成工程では、前記n型不純物領域上にニッケル層を形成するとともに、前記p型不純物領域上にアルミニウム層を形成し、
前記熱処理工程では、前記半導体基板の前記一方面への光照射によってn型コンタクトとp型コンタクトとを同時に形成することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の半導体製造方法において、
前記熱処理工程では、フラッシュランプから前記半導体基板にフラッシュ光を照射することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体製造方法において、
前記半導体基板はシリコンカーバイドにて形成されていることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項11】
半導体基板のコンタクトを形成する半導体製造装置であって、
ゲート酸化膜近傍が水素終端され、イオンが注入された不純物領域上に金属層が形成された半導体基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内に設置され、前記半導体基板を載置して支持するサセプターと、
前記チャンバー内に、水素を含むフォーミングガスの雰囲気を形成するフォーミングガス供給部と、
前記サセプターに支持された前記半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱する光照射部と、
を備え、
前記光照射部は、前記フォーミングガス中にて前記半導体基板に光を照射することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、光照射によって前記半導体基板の表面を1000℃以上に到達させることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、前記半導体基板に光を照射してコンタクト形成とともに前記不純物領域に注入された不純物の活性化も行うことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、前記半導体基板に光を照射してさらに前記不純物領域の再結晶化を促進することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項15】
請求項11または請求項12記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、イオンが注入された後であって金属層が形成される前の半導体基板に光を照射して前記不純物領域に注入された不純物の活性化を行うことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項16】
請求項11から請求項15のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を前記半導体基板に照射することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、前記金属層上に光吸収膜を形成した前記半導体基板に光を照射することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項18】
請求項11から請求項17のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記半導体基板の一方面にn型不純物領域とp型不純物領域とが形成されるとともに、前記n型不純物領域上および前記p型不純物領域上にそれぞれニッケル層およびアルミニウム層が形成され、
前記光照射部は、前記半導体基板の前記一方面への光照射によってn型コンタクトとp型コンタクトとを同時に形成することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項19】
請求項11から請求項18のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記光照射部は、フラッシュランプを照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項20】
請求項11から請求項19のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記半導体基板はシリコンカーバイドにて形成されていることを特徴とする半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に形成されたn型領域やp型領域と金属層とを電気的に接続するコンタクト形成を行う半導体製造方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、半導体と金属とのオーミック接合(コンタクト)を確立することは重要な技術である。SiC(シリコンカーバイド)などの半導体基板へのコンタクト形成法としては、高濃度にドーピングした不純物領域に金属材料を蒸着した後、PDA(Post-Deposition Anneal)と称される熱処理を行って反応層を形成する方法が広く知られている。また、半導体デバイスの製造工程では、コンタクト形成以外にも、例えば注入した不純物の活性化など種々の目的で熱処理が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−44688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より行われている典型的な熱処理は、特許文献1などに開示されるような加熱炉を用いた数分程度の加熱であった。また、ハロゲンランプなどによって半導体基板を急速に加熱する数秒程度の熱処理も広く行われている。
【0005】
しかしながら、熱処理の種類によっては、処理時間が長くなるとたとえ数秒程度であったとしても半導体デバイスの他の特性が劣化することがあった。例えば、SiC半導体基板へのコンタクト形成のための熱処理では、加熱温度が高いほどコンタクト抵抗が低下するため好ましい。ところが、SiC半導体ではゲート酸化膜の界面特性を改善するために水素終端処理が行われており、コンタクト形成のために高温で数秒以上の熱処理を行うと、当該界面近傍に取り込まれていた水素が脱離して界面特性が劣化するという問題が生じる。また、p型コンタクトに金属層として用いられるアルミニウムは、低融点金属であるため、そもそも高温で熱処理すること自体が困難であった。
【0006】
また、典型的には、不純物注入を行った後であって金属層を形成する前に不純物活性化のための熱処理を行うのであるが、この熱処理を高温で数秒以上行うと、注入した不純物が外方拡散によって消失し、不純物領域の表面近傍では不純物濃度が低くなって低コンタクト抵抗が得られにくくなるという問題も生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デバイス特性を劣化させることなく低いコンタクト抵抗を得ることができる半導体製造方法および半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、半導体基板のコンタクトを形成する半導体製造方法において、ゲート酸化膜近傍が水素終端されている半導体基板の一部領域にイオンを注入して不純物領域を形成するイオン注入工程と、前記不純物領域上に金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層が形成された前記半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱する熱処理工程と、を備え、前記熱処理工程は、水素を含むフォーミングガス中にて実行されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程にて光が照射される前記半導体基板の表面の到達温度は1000℃以上であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程では、コンタクト形成とともに前記不純物領域に注入された不純物の活性化も行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程では、さらに前記不純物領域の再結晶化を促進することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る半導体製造方法において、前記イオン注入工程と前記金属層形成工程との間に、半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して前記不純物領域に注入された不純物の活性化を行う工程をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかの発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程では、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を前記半導体基板に照射することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかの発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程の前に、前記金属層上に光吸収膜を形成する工程をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれかの発明に係る半導体製造方法において、前記イオン注入工程では、前記半導体基板の一方面にn型不純物領域とp型不純物領域とを形成し、前記金属層形成工程では、前記n型不純物領域上にニッケル層を形成するとともに、前記p型不純物領域上にアルミニウム層を形成し、前記熱処理工程では、前記半導体基板の前記一方面への光照射によってn型コンタクトとp型コンタクトとを同時に形成することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る半導体製造方法において、前記熱処理工程では、フラッシュランプから前記半導体基板にフラッシュ光を照射することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれかの発明に係る半導体製造方法において、前記半導体基板はシリコンカーバイドにて形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項11の発明は、半導体基板のコンタクトを形成する半導体製造装置において、ゲート酸化膜近傍が水素終端され、イオンが注入された不純物領域上に金属層が形成された半導体基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内に設置され、前記半導体基板を載置して支持するサセプターと、前記チャンバー内に、水素を含むフォーミングガスの雰囲気を形成するフォーミングガス供給部と、前記サセプターに支持された前記半導体基板に1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱する光照射部と、を備え、前記光照射部は、前記フォーミングガス中にて前記半導体基板に光を照射することを特徴とする。
【0019】
また、請求項12の発明は、請求項11の発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、光照射によって前記半導体基板の表面を1000℃以上に到達させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13の発明は、請求項11または請求項12の発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、前記半導体基板に光を照射してコンタクト形成とともに前記不純物領域に注入された不純物の活性化も行うことを特徴とする。
【0021】
また、請求項14の発明は、請求項13の発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、前記半導体基板に光を照射してさらに前記不純物領域の再結晶化を促進することを特徴とする。
【0022】
また、請求項15の発明は、請求項11または請求項12の発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、イオンが注入された後であって金属層が形成される前の半導体基板に光を照射して前記不純物領域に注入された不純物の活性化を行うことを特徴とする。
【0023】
また、請求項16の発明は、請求項11から請求項15のいずれかの発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を前記半導体基板に照射することを特徴とする。
【0024】
また、請求項17の発明は、請求項11から請求項16のいずれかの発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、前記金属層上に光吸収膜を形成した前記半導体基板に光を照射することを特徴とする。
【0025】
また、請求項18の発明は、請求項11から請求項17のいずれかの発明に係る半導体製造装置において、前記半導体基板の一方面にn型不純物領域とp型不純物領域とが形成されるとともに、前記n型不純物領域上および前記p型不純物領域上にそれぞれニッケル層およびアルミニウム層が形成され、前記光照射部は、前記半導体基板の前記一方面への光照射によってn型コンタクトとp型コンタクトとを同時に形成することを特徴とする。
【0026】
また、請求項19の発明は、請求項11から請求項18のいずれかの発明に係る半導体製造装置において、前記光照射部は、フラッシュランプを照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする。
【0027】
また、請求項20の発明は、請求項11から請求項19のいずれかの発明に係る半導体製造装置において、前記半導体基板はシリコンカーバイドにて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1から請求項10の発明によれば、不純物領域上に金属層が形成された半導体基板に水素を含むフォーミングガス中にて1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱するため、水素終端のために取り込まれていた水素を脱離させることなく半導体基板の表面を昇温させることができ、デバイス特性を劣化させることなく低いコンタクト抵抗を得ることができる。
【0029】
特に、請求項6の発明によれば、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を半導体基板に照射するため、バンドギャップの広い半導体基板であっても照射光を吸収することができる。
【0030】
特に、請求項7の発明によれば、熱処理工程の前に金属層上に光吸収膜を形成するため、照射光の吸収率を高めることができる。
【0031】
請求項11から請求項20の発明によれば、不純物領域上に金属層が形成された半導体基板に水素を含むフォーミングガス中にて1秒以下の照射時間にて光を照射して加熱するため、水素終端のために取り込まれていた水素を脱離させることなく半導体基板の表面を昇温させることができ、デバイス特性を劣化させることなく低いコンタクト抵抗を得ることができる。
【0032】
特に、請求項16の発明によれば、分光分布にて波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である光を半導体基板に照射するため、バンドギャップの広い半導体基板であっても照射光を吸収することができる。
【0033】
特に、請求項17の発明によれば、金属層上に光吸収膜を形成した半導体基板に光を照射するため、照射光の吸収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る半導体製造装置の構成を示す縦断面図である。
図2】保持部の全体外観を示す斜視図である。
図3】保持部を上面から見た平面図である。
図4】保持部を側方から見た側面図である。
図5】移載機構の平面図である。
図6】移載機構の側面図である。
図7】複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。
図8】フラッシュランプの駆動回路を示す図である。
図9】半導体基板のコンタクトを形成する処理手順を示すフローチャートである。
図10】金属層が形成された半導体基板の表面構造を示す図である。
図11】イオン注入後の不純物領域における不純物濃度を示す図である。
図12】第2実施形態のコンタクト形成の処理手順を示すフローチャートである。
図13】第3実施形態のコンタクト形成の処理手順を示すフローチャートである。
図14】金属層上に光吸収膜が形成された半導体基板の表面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る半導体製造装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の半導体製造装置1は、SiC(シリコンカーバイド)の半導体基板Wに対してフラッシュ光を照射することによってコンタクト形成のためのPDA(Post-Deposition Anneal)を行うフラッシュランプアニール装置である。詳細は後述するが、半導体製造装置1に搬入される前の半導体基板Wには不純物領域上に金属層が形成されており、半導体製造装置1による加熱処理によって金属層と不純物領域とのコンタクトが形成される。
【0037】
半導体製造装置1は、半導体基板Wを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、シャッター機構2と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。半導体製造装置1は、チャンバー6の内部に、半導体基板Wを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体基板Wの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。また、半導体製造装置1は、チャンバー6の内部にフォーミングガス(水素−窒素混合ガス)の雰囲気を形成するフォーミングガス供給機構180を備える。さらに、半導体製造装置1は、シャッター機構2、フォーミングガス供給機構180、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体基板Wの熱処理を実行させる制御部3を備える。
【0038】
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。特に、フラッシュ光をチャンバー6内に透過する上側チャンバー窓63は、波長300nm以下の紫外域においても高い透過率を有する合成石英にて形成されている。
【0039】
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
【0040】
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体基板Wを保持する保持部7を囲繞する。
【0041】
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
【0042】
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体基板Wの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ85によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ85が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体基板Wの搬入および熱処理空間65からの半導体基板Wの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ85が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
【0043】
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に所定のガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は二叉に分岐され、その一方は窒素ガス供給源185に接続され、他方は水素ガス供給源189に接続される。ガス供給管83の二叉に分岐された経路のうち窒素ガス供給源185に接続された配管にはバルブ183および流量調整弁181が介挿され、水素ガス供給源189に接続された配管にはバルブ187および流量調整弁186が介挿されている。
【0044】
バルブ183が開放されると、窒素ガス供給源185からガス供給管83を通って緩衝空間82に窒素ガス(N)が送給される。ガス供給管83を流れる窒素ガスの流量は流量調整弁181によって調整される。また、バルブ187が開放されると、水素ガス供給源189からガス供給管83を通って緩衝空間82に水素ガス(H)が送給される。ガス供給管83を流れる水素ガスの流量は流量調整弁186によって調整される。緩衝空間82に流入したガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。
【0045】
これらの窒素ガス供給源185、バルブ183、流量調整弁181、水素ガス供給源189、バルブ187、流量調整弁186、ガス供給管83、緩衝空間82およびガス供給孔81によってフォーミングガス供給機構180が構成される。バルブ183およびバルブ187の双方を開放することによって、チャンバー6に水素ガスと窒素ガスとの混合ガス(フォーミングガス)を供給し、フォーミングガスの雰囲気を形成することができる。フォーミングガス供給機構180がチャンバー6に供給するフォーミングガス中に含まれる水素は約3vol.%である。
【0046】
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。
【0047】
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
【0048】
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図3は保持部7を上面から見た平面図であり、図4は保持部7を側方から見た側面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
【0049】
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
【0050】
平板状のサセプター74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は石英にて形成された略円形の平板状部材である。サセプター74の直径は半導体基板Wの直径よりも大きい。すなわち、サセプター74は、半導体基板Wよりも大きな平面サイズを有する。サセプター74の上面には複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76はサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って設けられている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体基板Wの径よりも若干大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。なお、ガイドピン76は、サセプター74と一体に石英のインゴットから加工するようにしても良いし、別途に加工したものをサセプター74に溶接等によって取り付けるようにしても良い。
【0051】
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の周縁部の下面とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されており、保持部7は石英の一体成形部材となる。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、略円板形状のサセプター74は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。チャンバー6に搬入された半導体基板Wは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。半導体基板Wは、5個のガイドピン76によって形成される円の内側に載置されることにより、水平方向の位置ずれが防止される。なお、ガイドピン76の個数は5個に限定されるものではなく、半導体基板Wの位置ずれを防止できる数であれば良い。
【0052】
また、図2および図3に示すように、サセプター74には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部77が形成されている。切り欠き部77は、熱電対を使用した接触式温度計130のプローブ先端部を通すために設けられている。一方、開口部78は、放射温度計120がサセプター74に保持された半導体基板Wの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。さらに、サセプター74には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体基板Wの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
【0053】
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体基板Wの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体基板Wと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
【0054】
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプター74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
【0055】
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。ランプ光放射窓53も、上側チャンバー窓63と同じ合成石英にて形成されている。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
【0056】
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体基板Wの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
【0057】
図8は、フラッシュランプFLの駆動回路を示す図である。同図に示すように、コンデンサ93と、コイル94と、フラッシュランプFLと、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)96とが直列に接続されている。また、図8に示すように、制御部3は、パルス発生器31および波形設定部32を備えるとともに、入力部33に接続されている。入力部33としては、キーボード、マウス、タッチパネル等の種々の公知の入力機器を採用することができる。入力部33からの入力内容に基づいて波形設定部32がパルス信号の波形を設定し、その波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を発生する。
【0058】
フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)92と、該ガラス管92の外周面上に付設されたトリガー電極91とを備える。コンデンサ93には、電源ユニット95によって所定の電圧が印加され、その印加電圧(充電電圧)に応じた電荷が充電される。また、トリガー電極91にはトリガー回路97から高電圧を印加することができる。トリガー回路97がトリガー電極91に電圧を印加するタイミングは制御部3によって制御される。
【0059】
IGBT96は、ゲート部にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)を組み込んだバイポーラトランジスタであり、大電力を取り扱うのに適したスイッチング素子である。IGBT96のゲートには制御部3のパルス発生器31からパルス信号が印加される。IGBT96のゲートに所定値以上の電圧(Highの電圧)が印加されるとIGBT96がオン状態となり、所定値未満の電圧(Lowの電圧)が印加されるとIGBT96がオフ状態となる。このようにして、フラッシュランプFLを含む駆動回路はIGBT96によってオンオフされる。IGBT96がオンオフすることによってフラッシュランプFLと対応するコンデンサ93との接続が断続される。
【0060】
コンデンサ93が充電された状態でIGBT96がオン状態となってガラス管92の両端電極に高電圧が印加されたとしても、キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管92内に電気は流れない。しかしながら、トリガー回路97がトリガー電極91に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には両端電極間の放電によってガラス管92内に電流が瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
【0061】
キセノンのフラッシュランプFLの放射分光分布は紫外域から近赤外域にまでおよんでいる。本実施形態においては、フラッシュランプFLからのフラッシュ光を透過するランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63が合成石英にて形成されている。合成石英は、波長300nm以下の紫外線に対しても高い透過率を有している。その結果、フラッシュランプFLから出射されてチャンバー6内の半導体基板Wに照射されるフラッシュ光の分光分布は、波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上となる。
【0062】
また、図1のリフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射された光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
【0063】
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLは、電力供給回路45からの電力供給を受けて発光し、チャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65へのハロゲン光の照射を行う。電力供給回路45からの電力供給は制御部3によって制御される。図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体基板Wの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
【0064】
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体基板Wの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体基板Wの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
【0065】
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
【0066】
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体基板Wへの放射効率が優れたものとなる。
【0067】
また、図1に示すように、半導体製造装置1は、ハロゲン加熱部4およびチャンバー6の側方にシャッター機構2を備える。シャッター機構2は、シャッター板21およびスライド駆動機構22を備える。シャッター板21は、ハロゲン光に対して不透明な板であり、例えばチタン(Ti)にて形成されている。スライド駆動機構22は、シャッター板21を水平方向に沿ってスライド移動させ、ハロゲン加熱部4と保持部7との間の遮光位置にシャッター板21を挿脱する。スライド駆動機構22がシャッター板21を前進させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置(図1の二点鎖線位置)にシャッター板21が挿入され、下側チャンバー窓64と複数のハロゲンランプHLとが遮断される。これによって、複数のハロゲンランプHLから熱処理空間65の保持部7へと向かう光は遮光される。逆に、スライド駆動機構22がシャッター板21を後退させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置からシャッター板21が退出して下側チャンバー窓64の下方が開放される。
【0068】
また、制御部3は、半導体製造装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって半導体製造装置1における処理が進行する。また、図8に示したように、制御部3は、パルス発生器31および波形設定部32を備える。上述のように、入力部33からの入力内容に基づいて、波形設定部32がパルス信号の波形を設定し、それに従ってパルス発生器31がIGBT96のゲートにパルス信号を出力する。さらに、制御部3は、フォーミングガス供給機構180の各バルブの開閉を制御することによってチャンバー6内の雰囲気調整を行うとともに、電力供給回路45を制御することによってハロゲンランプHLの発光を制御する。
【0069】
上記の構成以外にも半導体製造装置1は、半導体基板Wの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
【0070】
次に、半導体基板Wにコンタクト形成を行う処理手順について説明する。図9は、半導体基板Wのコンタクトを形成する処理手順を示すフローチャートである。同図のステップS13以降が半導体製造装置1によって実行される処理である。
【0071】
本実施形態において、コンタクト形成の対象となる半導体基板WはSiCの基板である。SiCには、立方晶系や六方晶系など種々の結晶構造のものが知られているが、パワーデバイス用途としては六方晶の4H−SiCが好ましい。SiCは、広いバンドギャップ(4H−SiCであれば約3.2eV)とシリコンの約10倍の絶縁破壊電界強度を有しており、高周波パワーデバイス材料として期待されている。SiCの半導体基板Wは、例えばφ150mm(6インチ)、厚さ約0.4mmの円形の基板である。
【0072】
まず、半導体製造装置1による熱処理に先立って、半導体基板Wの一部領域にイオンが注入される(ステップS11)。イオン注入は、半導体基板Wにドーパント(不純物)を注入して不純物領域を形成するために行うものであり、半導体製造装置1と別置のイオンインプランテーション装置によって実行される。イオン注入に際しては、例えば半導体基板Wの表面にシリコン酸化膜を形成してからフォトリソグラフィーおよびエッチングの手法によってシリコン酸化膜の一部領域のみを除去しておく。そして、ステップS11のイオン注入工程では、シリコン酸化膜が形成されていない半導体基板Wの一部領域のみにイオンが注入される。
【0073】
半導体基板Wのイオン注入領域(不純物領域)がp型領域である場合には、例えばアルミニウムイオン(Al)が注入される。一方、半導体基板Wのイオン注入領域がn型領域である場合には、例えばリンイオン(P)が注入される。イオン注入は、常温での注入であっても良いし、高温(例えば500℃)での注入であっても良い。高温でのイオン注入を行った場合には、その半導体基板Wの注入領域の結晶性に損傷を与えないが、常温でのイオン注入を行った場合には、半導体基板Wの注入領域の結晶性を破壊することがある。
【0074】
次に、第1実施形態においては、注入したイオンの活性化を行うことなく、半導体基板Wの表面に金属層を形成する(ステップS12)。ステップS11のイオン注入工程とステップS12の金属層形成工程との間に、フッ酸等の薬液を用いた半導体基板Wの表面処理が行われても良い。
【0075】
図10は、金属層が形成された半導体基板Wの表面構造を示す図である。半導体基板WのSiCの基材111の一部にはイオン注入によって不純物領域112が形成されている。そして、その不純物領域112上に金属層114が形成される。不純物領域を除く基材111と金属層114との間には層間絶縁膜113が形成されている。層間絶縁膜113は例えばシリコン酸化膜(SiO)である。
【0076】
金属層114の形成は、例えばスパッタリングによって行えば良いが、これに限定されるものではなく、蒸着などの手法を用いても良い。半導体基板Wの不純物領域112がp型不純物領域である場合には、例えばアルミニウム(Al)の金属層114が形成される。半導体基板Wの不純物領域112がn型不純物領域である場合には、例えばニッケル(Ni)の金属層114が形成される。
【0077】
次に、金属層114と不純物領域112とのコンタクト抵抗を低下させるための熱処理(PDA)が半導体製造装置1によって行われる。以下、半導体製造装置1における動作手順について説明する。半導体製造装置1での動作手順は、制御部3が半導体製造装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
【0078】
まず、イオン注入によって不純物領域112が形成され、その不純物領域112上に金属層114が形成された半導体基板Wが半導体製造装置1のチャンバー6に搬入される(ステップS13)。半導体基板Wの搬入時には、ゲートバルブ85が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して金属層114が形成された半導体基板Wがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。この際に、バルブ183を開放してチャンバー6内に窒素ガスを供給し続けることによって搬送開口部66から窒素ガス流を流出させ、装置外部の雰囲気がチャンバー6内の流入するのを最小限に抑制するようにしても良い。搬送ロボットによって搬入された半導体基板Wは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て半導体基板Wを受け取る。
【0079】
半導体基板Wがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ85によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体基板Wは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢に保持される。半導体基板Wは、金属層114が形成された表面を上面としてサセプター74に保持される。また、半導体基板Wは、サセプター74の上面にて5個のガイドピン76の内側に保持される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
【0080】
イオン注入によって不純物領域112が形成され、その不純物領域112上に金属層114が形成された半導体基板Wがチャンバー6に収容された後、チャンバー6内にフォーミングガスの雰囲気を形成する(ステップS14)。具体的には、バルブ183およびバルブ187を開放することによって、ガス供給孔81から熱処理空間65に水素ガスと窒素ガスとの混合ガス(フォーミングガス)を供給する。その結果、チャンバー6内にて保持部7に保持された半導体基板Wの周辺にはフォーミングガスの雰囲気が形成される。フォーミングガス雰囲気中における水素ガスの濃度(つまり、水素ガスと窒素ガスとの混合比)は、流量調整弁181および流量調整弁186によって規定される。本実施の形態では、フォーミングガスの雰囲気中における水素ガスの濃度が約3vol.%となるように、流量調整弁186および流量調整弁181によって水素ガスおよび窒素ガスの流量が調整されている。
【0081】
また、チャンバー6内にフォーミングガスの雰囲気が形成されるとともに、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して半導体基板Wの予備加熱(アシスト加熱)が開始される(ステップS15)。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体基板Wの裏面から照射される。半導体基板Wの裏面とは、金属層114が形成された表面とは反対側の主面である。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体基板Wの温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
【0082】
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体基板Wの温度が接触式温度計130によって測定されている。すなわち、熱電対を内蔵する接触式温度計130がサセプター74に保持された半導体基板Wの下面に切り欠き部77を介して接触して昇温中の基板温度を測定する。測定された半導体基板Wの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体基板Wの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、接触式温度計130による測定値に基づいて、半導体基板Wの温度が予備加熱温度T1となるように電力供給回路45をフィードバック制御してハロゲンランプHLの強度を調整している。第1実施形態の予備加熱温度T1は例えば600℃である。なお、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体基板Wを昇温するときには、放射温度計120による温度測定は行わない。これは、ハロゲンランプHLから照射されるハロゲン光が放射温度計120に外乱光として入射し、正確な温度測定ができないためである。
【0083】
半導体基板Wの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体基板Wをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、接触式温度計130によって測定される半導体基板Wの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3が電力供給回路45を制御してハロゲンランプHLの強度を調整し、半導体基板Wの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
【0084】
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体基板Wの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体基板Wの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体基板Wの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体基板Wの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体基板Wの面内温度分布を均一なものとすることができる。さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体基板Wの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、予備加熱段階における半導体基板Wの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
【0085】
次に、半導体基板Wの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点でフラッシュランプFLから閃光を照射することによるフラッシュ加熱処理を実行する(ステップS16)。フラッシュランプFLがフラッシュ光照射を行うに際しては、予め電源ユニット95によってコンデンサ93に電荷を蓄積しておく。そして、コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にて、制御部3のパルス発生器31からIGBT96にパルス信号を出力してIGBT96をオンオフ駆動する。
【0086】
パルス信号の波形は、パルス幅の時間(オン時間)とパルス間隔の時間(オフ時間)とをパラメータとして順次設定したレシピを入力部33から入力することによって規定することができる。このようなレシピをオペレータが入力部33から制御部3に入力すると、それに従って制御部3の波形設定部32はオンオフを繰り返すパルス波形を設定する。そして、波形設定部32によって設定されたパルス波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を出力する。その結果、IGBT96のゲートには設定された波形のパルス信号が印加され、IGBT96のオンオフ駆動が制御されることとなる。具体的には、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはIGBT96がオン状態となり、パルス信号がオフのときにはIGBT96がオフ状態となる。
【0087】
また、パルス発生器31から出力するパルス信号がオンになるタイミングと同期して制御部3がトリガー回路97を制御してトリガー電極91に高電圧(トリガー電圧)を印加する。コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にてIGBT96のゲートにパルス信号が入力され、かつ、そのパルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91に高電圧が印加されることにより、パルス信号がオンのときにはガラス管92内の両端電極間で必ず電流が流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
【0088】
このようにしてフラッシュランプFLが発光し、保持部7に保持された半導体基板Wの表面にフラッシュ光が照射される。フラッシュランプFLからのフラッシュ光を透過するランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63が合成石英にて形成されているため、保持部7に保持された半導体基板Wの表面に照射されるフラッシュ光の分光分布は、波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上である。IGBT96を使用することなくフラッシュランプFLを発光させた場合には、コンデンサ93に蓄積されていた電荷が1回の発光で消費され、フラッシュランプFLからの出力波形は幅が0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度のシングルパルスとなる。これに対して、本実施の形態では、回路中にスイッチング素子たるIGBT96を接続してそのゲートにパルス信号を出力することにより、コンデンサ93からフラッシュランプFLへの電荷の供給をIGBT96によって断続してフラッシュランプFLに流れる電流を制御している。その結果、いわばフラッシュランプFLの発光がチョッパ制御されることとなり、コンデンサ93に蓄積された電荷が分割して消費され、極めて短い時間の間にフラッシュランプFLが点滅を繰り返す。なお、回路を流れる電流値が完全に”0”になる前に次のパルスがIGBT96のゲートに印加されて電流値が再度増加するため、フラッシュランプFLが点滅を繰り返している間も発光出力が完全に”0”になるものではない。従って、IGBT96によってフラッシュランプFLへの電荷の供給を断続することにより、フラッシュランプFLの発光パターンを自在に規定することができ、発光時間および発光強度を自由に調整することができる。もっとも、フラッシュランプFLの発光時間は長くても1秒以下である。
【0089】
金属層114が形成された半導体基板Wの表面にフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射することによって、金属層114および不純物領域112を含む半導体基板Wの表面は瞬間的に処理温度T2にまで昇温する。フラッシュ光照射によって半導体基板Wの表面が到達する最高温度である処理温度T2は1000℃以上であり、第1実施形態では例えば1200℃である。フォーミングガスの雰囲気中にて半導体基板Wの表面が処理温度T2にまで昇温することによって、金属層114と不純物領域112との界面に反応層が形成されてコンタクト形成がなされる。フラッシュランプFLからの照射時間は1秒以下の短時間であるため、半導体基板Wの表面温度が予備加熱温度T1から処理温度T2にまで昇温するのに要する時間も1秒未満の極めて短時間である。
【0090】
フラッシュランプFLによるフラッシュ光照射が終了すると、IGBT96がオフ状態となってフラッシュランプFLの発光が停止し、半導体基板Wの表面温度は目標温度T2から急速に降温する。また、ハロゲンランプHLも消灯し、これによって半導体基板Wが予備加熱温度T1からも降温する。半導体基板Wの加熱処理終了後にはバルブ187のみを閉止して、チャンバー6内を窒素ガス雰囲気に置換する。また、ハロゲンランプHLが消灯するのと同時に、シャッター機構2がシャッター板21をハロゲン加熱部4とチャンバー6との間の遮光位置に挿入する。ハロゲンランプHLが消灯しても、すぐにフィラメントや管壁の温度が低下するものではなく、暫時高温のフィラメントおよび管壁から輻射熱が放射され続け、これが半導体基板Wの降温を妨げる。シャッター板21が挿入されることによって、消灯直後のハロゲンランプHLから熱処理空間65に放射される輻射熱が遮断されることとなり、半導体基板Wの降温速度を高めることができる。
【0091】
また、シャッター板21が遮光位置に挿入された時点で放射温度計120による温度測定を開始する。すなわち、保持部7に保持された半導体基板Wの下面からサセプター74の開口部78を介して放射された赤外光の強度を放射温度計120が測定して降温中の半導体基板Wの温度を測定する。測定された半導体基板Wの温度は制御部3に伝達される。
【0092】
消灯直後の高温のハロゲンランプHLからは多少の放射光が放射され続けるのであるが、放射温度計120はシャッター板21が遮光位置に挿入されているときに半導体基板Wの温度測定を行うため、ハロゲンランプHLからチャンバー6内の熱処理空間65へと向かう放射光は遮光されている。従って、放射温度計120は外乱光の影響を受けることなく、サセプター74に保持された半導体基板Wの温度を正確に測定することができる。
【0093】
制御部3は、放射温度計120によって測定される半導体基板Wの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体基板Wの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体基板Wをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ85により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体基板Wが装置外部の搬送ロボットにより搬出され(ステップS17)、半導体製造装置1における半導体基板Wの加熱処理が完了する。
【0094】
第1実施形態においては、金属層114が形成された半導体基板Wの表面にフラッシュランプFLから1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射することによって、金属層114および不純物領域112を含む半導体基板Wの表面を瞬間的に1000℃以上の処理温度T2にまで昇温している。すなわち、フラッシュ光照射によって半導体基板Wの表面を1秒以下の極めて短い時間で高温に加熱しているのである。
【0095】
既述したように、SiCの半導体基板Wにおいては、ゲート酸化膜の界面特性を改善するために水素終端処理が行われている。具体的には、ゲート酸化膜の界面近傍に存在していた欠陥を水素終端によって消失させることにより、界面特性を向上させているのである。なお、ゲートは図9に示したコンタクト形成の処理とは別工程にて、図10の不純物領域112とは異なる半導体基板Wの表面領域に形成されているものである。
【0096】
従来のように、半導体基板Wのコンタクト形成のために、数秒以上の熱処理時間にて半導体基板Wを高温に昇温すると、上記ゲート酸化膜の界面近傍に取り込まれていた水素が脱離して界面特性が劣化するおそれがある。本実施形態のように、半導体基板WにフラッシュランプFLから1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射し、半導体基板Wの表面を極めて短い時間にて1000℃以上に加熱すれば、水素の脱離を抑制しつつ金属層114および不純物領域112を加熱してコンタクトを形成することができる。
【0097】
また、本実施形態では、水素を含むフォーミングガスの雰囲気中にて半導体基板Wの表面にフラッシュ光を照射して加熱処理を行っている。このため、フラッシュ加熱時にゲート酸化膜の界面近傍から水素が脱離することをより確実に防ぐことができ、界面特性の劣化を防止することができる。
【0098】
また、フラッシュ加熱では加熱処理時間は短時間であるものの、金属層114および不純物領域112を含む半導体基板Wの表面を1000℃以上の高温に昇温している。一般にはコンタクト形成のためのPDAの処理温度が高温であるほど、コンタクト抵抗が低下することが知られており、本実施形態のように半導体基板Wの表面をフラッシュ光照射によって1000℃以上の高温に加熱すれば1.0×10−6Ωcm以下の低いコンタクト抵抗を得ることができる。
【0099】
このように、本実施形態においては、水素を含むフォーミングガスの雰囲気中にて半導体基板Wの表面にフラッシュランプFLから1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射することにより、水素を脱離を防止してデバイス特性を劣化させることなく、低いコンタクト抵抗を得ることができるのである。
【0100】
また、p型コンタクトを形成する場合に、金属層114が低融点のアルミニウムであっても、照射時間が1秒以下のフラッシュ光照射であれば、金属層114を溶融させることなくコンタクトを形成することができる。
【0101】
また、第1実施形態では、ステップS11で注入された不純物の活性化を行うことなく、ステップS12での金属層形成を行っており、ステップS16のフラッシュ光照射による加熱によって、コンタクト形成とともに不純物領域112に注入されている不純物の活性化も行っているのである。このため、従来行われていた金属層形成工程前の不純物活性化のための熱処理が不要となり、製造プロセスを簡素化することができる。また、フラッシュ光照射によって半導体基板Wの表面を極めて短い時間にて1000℃以上に加熱すれば、不純物領域112に注入されている不純物の不要な拡散を抑制するとともに、1000℃程度で長時間加熱されることに起因した不純物の非活性化を防止することもできる。
【0102】
また、第1実施形態のように注入された不純物の活性化熱処理を行うことなく金属層114を形成してからコンタクト形成のためのフラッシュ加熱を行うことにより、不純物濃度が高濃度に維持されたままの不純物領域112表面と金属層114とが接触した状態で熱処理が行われることとなる。図11は、イオン注入後の不純物領域112における不純物濃度を示す図である。同図の横軸には不純物領域112の表面から深さを示し、縦軸には不純物濃度を示している。図11において、深さ”0”の位置が不純物領域112の表面を示しており、この表面に金属層114が形成されて接触することとなる。
【0103】
従来のように、金属層形成工程前に不純物活性化のための熱処理を数秒程度以上かけて行った場合には、注入された不純物の外方拡散等によって、図11に点線で示すように不純物領域112の表面近傍での不純物濃度が低下する。不純物領域112の表面近傍における不純物濃度が低くなるほどショットキー障壁が現れやすくなり、良好なコンタクト形成が阻害されることとなる。このため、従来では、金属層形成工程にて不純物領域112の表面よりも深く金属を導入する必要があった。
【0104】
本実施形態においては、注入された不純物の活性化熱処理を行うことなく金属層114を形成してからフラッシュ光照射による加熱を行っているため、図11の実線にて示すように不純物濃度が注入後の高濃度のままの不純物領域112の表面に金属層114が接触した状態で加熱処理が行われることとなり、ショットキー障壁の現れない良好なコンタクト形成を実現することができる。
【0105】
また、ステップS11のイオン注入工程にて常温でのイオン注入を行った場合には、ステップS16のフラッシュ光照射による加熱によって、さらに不純物領域112の再結晶化も促進されることとなる。すなわち、常温でのイオン注入を行った場合には、不純物領域112の結晶性が破壊されることがあるが、コンタクト形成のためのフラッシュ加熱によってその破壊された不純物領域112の結晶が再結晶するのである。なお、このときの再結晶は、完全に元の結晶に戻るものでなくても良い。
【0106】
また、本実施形態においては、ランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63が合成石英にて形成されており、フラッシュランプFLから出射されてチャンバー6内の半導体基板Wに照射されるフラッシュ光の分光分布は、波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上となる。本実施形態の半導体基板Wを形成している4H−SiCのバンドギャップは約3.2eVであり、シリコン(バンドギャップは約1.1eV)と比較しても相当に広い。このため、半導体基板Wは短波長の光(具体的には紫外光)は吸収するものの、可視光は透過する。フラッシュ光の分光分布を波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上となるようにして、紫外域の光を多く含んだフラッシュ光をSiCの半導体基板Wに照射することによって、広いバンドギャップの半導体基板Wにもフラッシュ光が吸収されて金属層114および不純物領域112を含む半導体基板Wの表面を必要な処理温度T2にまで昇温することができる。
【0107】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の半導体製造装置の構成は第1実施形態と全く同じである。また、第2実施形態における処理手順についても概ね第1実施形態と同様である。図12は、第2実施形態のコンタクト形成の処理手順を示すフローチャートである。
【0108】
第2実施形態のコンタクト形成処理手順が第1実施形態と相違するのは、イオン注入後であって金属層形成前に不純物領域112に注入された不純物の活性化を行っている点である。まず、ステップS21のイオン注入工程は第1実施形態と全く同じである(図9のステップS11)。
【0109】
次に、第2実施形態においては、ステップS21にて不純物領域112に注入された不純物の活性化熱処理を実行する(ステップS22)。ここで、不純物活性化のための半導体基板Wの熱処理は照射時間が1秒以下のフラッシュ光照射によって行われる。不純物活性化のためのフラッシュ光照射の手法は第1実施形態にて説明したフラッシュ光照射の手法と同じである。すなわち、ハロゲンランプHLからの光照射によって予備加熱温度T1に予備加熱された半導体基板Wの表面に、フラッシュランプFLから照射時間1秒以下にてフラッシュ光を照射することによって表面温度を瞬間的に処理温度T2にまで昇温する。また、フラッシュ光照射による半導体基板Wの加熱処理は水素を含むフォーミングガスの雰囲気中にて行われる。但し、不純物活性化のためのフラッシュ加熱処理では、ハロゲンランプHLによる予備加熱温度T1は800℃であり、フラッシュ光照射による処理温度T2は1500℃である。
【0110】
このステップS22のフラッシュ加熱処理によって、不純物領域112に注入された不純物が活性化される。その後のステップS23からステップS28までの処理は、第1実施形態に説明した図9のステップS12からステップS17までの処理と同じである。すなわち、不純物領域112上に金属層114を形成した半導体基板Wに照射時間1秒以下にてフラッシュ光を照射してコンタクト形成を行う。
【0111】
第2実施形態においては、ステップS21のイオン注入工程とステップS23の金属層形成工程との間に、半導体基板Wに1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射して不純物領域112に注入された不純物の活性化を行っている。このようにしても、第1実施形態と同様に、水素を脱離を防止してデバイス特性を劣化させることなく、低いコンタクト抵抗を得ることができる。
【0112】
また、第2実施形態においては、不純物活性化のための熱処理を照射時間1秒以下のフラッシュ光照射によって行っているため、不純物領域112における不純物の外方拡散はほとんど生じない。よって、第1実施形態と同様に、不純物濃度が高濃度の不純物領域112の表面に金属層114が接触した状態でコンタクト形成熱処理が行われることとなり、ショットキー障壁の現れない良好なコンタクト形成を実現することができる。
【0113】
なお、金属層形成前の不純物活性化処理はフラッシュ光照射によらずに、従来と同様の数秒以上の熱処理によって行っても良い。しかし、数秒以上の熱処理を行った場合には、不純物の外方拡散が生じてコンタクト形成時にショットキー障壁が現れやすくなるため、第2実施形態のように不純物の活性化熱処理もフラッシュ光照射によって行うのが好ましい。
【0114】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の半導体製造装置の構成は第1実施形態と全く同じである。また、第3実施形態における処理手順についても概ね第1実施形態と同様である。図13は、第3実施形態のコンタクト形成の処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
第3実施形態のコンタクト形成処理手順が第1実施形態と相違するのは、金属層114を形成した後に、その金属層114上にさらに光吸収膜を形成する点である。まず、ステップS31のイオン注入工程およびステップS32の金属層形成工程は第1実施形態と全く同じである(図9のステップS11およびステップS12)。
【0116】
第3実施形態においては、金属層114が形成された後であってコンタクト形成のための熱処理を行う前に、金属層114上に光吸収膜を形成している(ステップS33)。図14は、金属層上に光吸収膜が形成された半導体基板Wの表面構造を示す図である。同図において、図10と同一の要素については同一の符号を付している。
【0117】
第3実施形態では、不純物領域112上に金属層114が形成され、さらにその金属層114上に光吸収膜115が形成されている。光吸収膜115としては、例えばカーボン(C)またはチタンナイトライド(TiN)の膜を用いることができる。光吸収膜115は、例えば蒸着によって金属層114上に形成すれば良い。
【0118】
光吸収膜形成後のステップS34からステップS38までの処理は、第1実施形態に説明した図9のステップS13からステップS17までの処理と同じである。すなわち、水素を含むフォーミングガスの雰囲気中にて半導体基板Wに照射時間1秒以下にてフラッシュ光を照射してコンタクト形成を行う。
【0119】
第3実施形態においては、コンタクト形成のための熱処理の前に、金属層114上に光吸収膜115を形成している。光吸収膜115は金属層114よりもフラッシュ光の吸収率が高い。よって、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射したときに金属層114および不純物領域112をより高温に加熱することが可能となり、コンタクト抵抗をさらに低下させることができる。また、光吸収膜115による効果以外については、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
なお、第3実施形態では、フラッシュ加熱後に金属層114から光吸収膜115を除去するための洗浄処理を行うようにしても良い。
【0121】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態の半導体製造装置の構成は第1実施形態と全く同じである。また、第4実施形態における処理手順についても概ね第1実施形態と同様である。第4実施形態が第1実施形態と相違するのは、半導体基板Wの一方面にp型コンタクトとn型コンタクトとを同時に形成する点である。
【0122】
第4実施形態のイオン注入工程(図9のステップS11)では、半導体基板Wの一方面にn型不純物領域とp型不純物領域とを形成する。具体的には、半導体基板Wの一方面の一部領域にアルミニウムイオンを注入してp型不純物領域を形成するとともに、上記一方面の当該一部領域とは異なる領域にリンイオンを注入してn型不純物領域を形成する。
【0123】
次に、第4実施形態の金属層形成工程(図9のステップS12)では、上記半導体基板Wの一方面に形成されたp型不純物領域上にアルミニウムの金属層が形成され、n型不純物領域上にニッケルの金属層が形成される。そして、上記の半導体基板Wが半導体製造装置1に搬入されてフラッシュランプFLからのフラッシュ光照射による加熱処理が行われる。このフラッシュ加熱処理の手順は図9のステップS13からステップS17までの処理手順と同じである。
【0124】
第4実施形態においては、上記半導体基板Wの一方面にフラッシュランプFLから1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射することによって、p型コンタクトとn型コンタクトとを一括して同時に形成している。すなわち、フラッシュ光照射によってアルミニウム層とp型不純物領域とを加熱してp型コンタクトを形成すると同時に、ニッケル層とn型不純物領域とを加熱してn型コンタクトを形成しているのである。
【0125】
このようにp型コンタクトとn型コンタクトとを同時に形成することができれば、製造プロセスを簡素化することができる。n型コンタクトのニッケルに比較してp型コンタクトのアルミニウムは低融点の金属であるが、照射時間が1秒以下のフラッシュ光照射であれば、アルミニウムの金属層を溶融させることなく、あるいは短時間の溶融で消失させることなく、n型コンタクトと同様にp型コンタクトを形成することができる。
【0126】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態においては、フラッシュランプFLからのフラッシュ光を透過するランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を合成石英にて形成することによって、バンドギャップの広いSiCの半導体基板Wに照射されるフラッシュ光に紫外域の光を多く含ませるようにしていたが、紫外域成分を多くする手法はこれに限定されるものではない。例えば、フラッシュランプFL自体の構造(例えば、封入するガスの組成や圧力)または発光時間を調整することによって出射するフラッシュ光に含まれる紫外域の成分を増加させるようにしても良い。いずれの手法であっても、半導体基板Wに照射されるフラッシュ光の分光分布が波長500nmに対する波長300nmの相対強度が20%以上となるようにすれば良い。
【0127】
また、上記各実施形態においては、IGBT96によってフラッシュランプFLへの電荷の供給を断続することにより、フラッシュランプFLの発光パターンを自在に規定することができるため、金属層を構成する金属の組成等に応じて適宜の発光パターンにてフラッシュランプFLを発光させるようにしても良い。
【0128】
また、上記各実施形態においては、半導体基板Wの表面にフラッシュランプFLから1秒以下の照射時間にてフラッシュ光を照射するようにしていたが、1秒以下の極めて短い照射時間の光照射が可能な光源であればフラッシュランプFLに限定されるものではなく、フラッシュランプFLに代えて例えばレーザ光源を用いるようにしても良い。一般にレーザ光源は、フラッシュランプFLよりもさらに短時間の照射が可能であり、半導体基板Wの表面にレーザ光源から1秒以下の照射時間にてレーザ光を照射して熱処理を行うようにしても良い。
【0129】
また、上記各実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
【0130】
また、本発明に係る技術はSiCの半導体基板Wへのコンタクト形成に限定されるものではなく、Siの半導体基板へのコンタクト形成にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、半導体基板へのコンタクト形成に適用することができ、特にSiCの半導体製造装置へのコンタクト形成に好適である。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体製造装置
2 シャッター機構
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
61 チャンバー側部
62 凹部
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプター
91 トリガー電極
92 ガラス管
93 コンデンサ
94 コイル
96 IGBT
97 トリガー回路
111 基材
112 不純物領域
113 層間絶縁膜
114 金属層
115 光吸収膜
180 フォーミングガス供給機構
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14